(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容液を収容する容器の口部に固定されるシリンダと、該シリンダ内を上方付勢状態で上下に摺動可能なピストンを有するステムと、該ステムの上部に連結し、前記ステムを通じて吸い上げた内溶液をノズルから吐出させる押下げヘッドとを備える吐出ポンプにおいて、
前記押下げヘッドは、該押下げヘッドの押下げによって前記ステムから送り込まれる内溶液を加圧下に収容し、該収容した内溶液を前記押下げヘッドの上昇時に前記ノズルから吐出させる貯留室を備え、
前記押下げヘッドは、前記ステムに連結する下部ヘッドと、該下部ヘッドに形成された筒壁に対して下方付勢状態で上下に摺動可能なスライダとを備え、
前記下部ヘッドと前記スライダとによって前記貯留室が形成されていることを特徴とする吐出ポンプ。
前記押下げヘッドは、該押下げヘッドの押下げ時に前記貯留室と前記ノズルとの連通を遮断する一方、前記押下げヘッドの上昇時に前記遮断を開放する開閉部を備える、請求項1に記載の吐出ポンプ。
前記押下げヘッドの上昇開始から上昇終了までの少なくとも前半は、前記上部ヘッドを前記下部ヘッドに固定して前記下部ヘッドの前記弁体が前記上部ヘッドの前記弁座に着座した状態を維持する一方、前記押下げヘッドの上昇終了までに前記固定を解除するロック部を有する、請求項3又は4に記載の吐出ポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるような従来の吐出ポンプでは、押下げヘッドを片手で押下げたときに吐出される内溶液を反対側の手で受け止めることになる。しかしながら、例えばアルコール消毒液を吐出させる場合などに、一度に両手で内溶液を受け取れるようにできれば便利である。
【0005】
本発明は、前記の課題を解決するために開発されたもので、吐出させた内溶液を両手で受け取れる押下げヘッド式の吐出ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.内容液を収容する容器の口部に固定されるシリンダと、該シリンダ内を上方付勢状態で上下に摺動可能なピストンを有するステムと、該ステムの上部に連結し、前記ステムを通じて吸い上げた内溶液をノズルから吐出させる押下げヘッドとを備える吐出ポンプにおいて、
前記押下げヘッドは、該押下げヘッドの押下げによって前記ステムから送り込まれる内溶液を加圧下に収容し、該収容した内溶液を前記押下げヘッドの上昇時に前記ノズルから吐出させる貯留室を備えることを特徴とする吐出ポンプ。
【0007】
2.前記押下げヘッドは、該押下げヘッドの押下げ時に前記貯留室と前記ノズルとの連通を遮断する一方、前記押下げヘッドの上昇時に前記遮断を開放する開閉部を備える、前記1の吐出ポンプ。
【0008】
3.前記押下げヘッドは、前記ステムに連結する下部ヘッドと、前記ノズルを有し前記下部ヘッドに対して上下に移動可能に取り付けられる上部ヘッドとを備え、
前記上部ヘッドは、前記ノズルに繋がる流路を取り囲む環状の弁座を有し、
前記下部ヘッドは、前記弁座に着座可能な弁体を有し、
前記上部ヘッドの前記弁座と前記下部ヘッドの前記弁体とによって前記開閉部が形成されている、前記2の吐出ポンプ。
【0009】
4.前記押下げヘッドは、前記下部ヘッドに形成された筒壁に対して下方付勢状態で上下に摺動可能なスライダを備え、
前記下部ヘッドと前記スライダとによって前記貯留室が形成されている、前記3の吐出ポンプ。
【0010】
5.前記下部ヘッドは、前記貯留室に送り込まれた内溶液が前記ステムに逆流するのを阻止する逆止弁を備える、前記3又は4の吐出ポンプ。
【0011】
6.前記押下げヘッドの上昇開始から上昇終了までの少なくとも前半は、前記上部ヘッドを前記下部ヘッドに固定して前記下部ヘッドの前記弁体が前記上部ヘッドの前記弁座に着座した状態を維持する一方、前記押下げヘッドの上昇終了までに前記固定を解除するロック部を有する、前記3〜5のいずれかの吐出ポンプ。
【0012】
7.前記ロック部は、
前記上部ヘッドに設けられた周壁に揺動可能に支持された揺動レバーと、
前記周壁の内周側で前記下部ヘッドに設けられ、前記揺動レバーの一端側を係止可能な係止突起と、
前記シリンダに固定された補助筒に設けられ、前記周壁の外周側で上方に延びる外周壁と、
前記外周壁に設けられ、前記揺動レバーの他端側が乗り越え可能な係合突起とを備える、前記6の吐出ポンプ。
【0013】
8.前記ロック部は、
前記上部ヘッドに設けられた周壁の外周面に形成された段部と、
前記下部ヘッドに設けられ、前記周壁の下方で該周壁の内周側から外周側に向けて延びると共に上方への屈曲時に前記段部に係止される係止片と、
前記シリンダに固定された補助筒に設けられ、前記周壁の外周側で上方に延びると共に、上方に屈曲した前記係止片が摺動可能な外周壁とを備える、前記6の吐出ポンプ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、押下げヘッドの押下げによってステムから送り込まれる内溶液を貯留室に加圧下に収容し、この収容した内溶液を押下げヘッドの上昇時にノズルから吐出させることができる。
【0015】
したがって、本発明によれば、吐出させた内溶液を両手で受け取れる押下げヘッド式の吐出ポンプを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る吐出ポンプ100について詳細に例示説明する。
なお、本明細書において、上下方向とはシリンダ1の中心軸線Oに沿う方向を意味し、上方とはシリンダ1に対して押下げヘッド3が配置される側(例えば
図1における上方)であり、下方とはその反対側である。また、シリンダ1の中心軸線Oに対してノズル10gが位置する側を前方とし、その反対側を後方とする。さらに、前方から後方に向かって見たときの左右方向を側方とする。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、シリンダ1と、ステム2と、押下げヘッド3とを備えている。シリンダ1は、装着筒4によって、内容液を収容する容器(図示省略)の口部に固定されている。また、シリンダ1の下部内周側には座面1aが形成されており、この座面1aに着座可能な弾性弁5aを有する弁体5が配置されている。
【0019】
弁体5とステム2との間には、ステム2を上方に付勢する付勢部材(本実施形態ではコイルばね)6が配置されている。ステム2は、シリンダ1内を上下に摺動可能な環状のピストン2aと、ピストン2aの内周側から上方に延びる筒状のステム本体2bとを有している。本実施形態では、ステム本体2bの内周面に内溶液が下方に逆流するのを阻止する逆止弁(本実施形態ではボール弁)7が形成されている。シリンダ1の上部には、ステム2の抜け出しを阻止する補助筒8が固定されている。なお、補助筒8はアンダーカットによりシリンダ1に嵌合されており、また、回り止め用の縦リブ及び縦溝を介してシリンダ1に接続している。
【0020】
ステム2の上部には押下げヘッド3が取り付けられている。押下げヘッド3は、ステム2の上部に連結する下部ヘッド9と、下部ヘッド9に対して上下に移動可能に取り付けられる上部ヘッド10と、スライダ11とを備えている。
【0021】
下部ヘッド9は、ステム2の上部に嵌合する下筒9aを備えている。下筒9aの上端には円板状の底壁9bが連なっている。底壁9bの中央には柱状体9cが立設され、柱状体9cの外周部には、底壁9bを貫通してステム2の内部に連通する複数の貫通孔9dが間欠状に周設されている。さらにその外周側には、底壁9bから上方に延びる筒壁9eが設けられている。また、底壁9bの外周縁には、環状壁9fが垂設されている。環状壁9fの内周面には、補助筒8の外周面に形成された雄ねじ部8aに螺合可能な雌ねじ部9gが形成されている。押下げヘッド3を押下げ、これら雄ねじ部8a及び雌ねじ部9gを螺合させておくことで、吐出ポンプ100をコンパクトな収納状態にしておくことができ、また、運搬時等に内溶液の意図しない吐出が生じるのを防止できる。
【0022】
上部ヘッド10は、下部ヘッド9の筒壁9eの外周面に対して上方への抜け出し不能に係合する周壁10aと、周壁10aの上端部に連なる円板状の天壁10bとを備えている。周壁10aの内周面下部には、下部ヘッド9の筒壁9eの外周面下部に突設された環状突起9hと係合可能な環状突起10cが形成されている。また、天壁10bには、周壁10aに沿って複数の貫通孔10dが間欠状に周設されており、筒壁9eの上端縁には、これら貫通孔10dに挿入可能な延長部9iが間欠状に周設されている。各延長部9iには外周側に突起9jが形成されており、周壁10aの内周面上部には、これら突起9jに係合可能な突起10eが形成されている。なお、前述した環状突起9h,10cは、互いに係合可能であれば間欠状に周設してもよい。
【0023】
上部ヘッド10の天壁10bには、周壁10aの内周側で垂下する筒状のガイド壁10fが設けられている。ガイド壁10fは、下部ヘッド9の筒壁9eの上端部内周面に摺接するようになっている。ガイド壁10fの内周側では、ノズル10gに繋がる内溶液の流路を形成する垂下筒10hが天壁10bから垂設されている(
図1〜2参照)。
図1に示すように、垂下筒10hの上部内周面には縮径部10iが形成され、縮径部10iには、下部ヘッド9の柱状体9cの上部に形成された縮径部9kが液密に嵌入可能になっている。すなわち、垂下筒10hの縮径部10iは、ノズル10gに繋がる流路を取り囲む環状の弁座を構成し、柱状体9cの縮径部9kは、当該弁座に着座可能な弁体を構成している。そして、これら弁座及び弁体によって開閉部12が形成されている。
【0024】
上部ヘッド10の垂下筒10hの下部内周面には、スライダ11の内筒11aが上下に摺動可能に嵌入されている。内筒11aの内周面と、柱状体9cの外周面との間には、内溶液の流路となる環状の隙間が形成されている。また、内筒11aの下端部には外向きフランジ11bが連なり、外向きフランジ11bの外周縁は、下部ヘッド9の筒壁9eの内周面に上下に摺動可能に嵌入されている。また、外向きフランジ11bの外周縁には、ガイド筒11cが立設されている。外向きフランジ11bと上部ヘッド10との間には、スライダ11を下方に付勢する付勢部材(本実施形態ではコイルばね)13が配置されている。スライダ11が
図1に示す下端位置にあるとき、外向きフランジ11bの内周縁は下部ヘッド9の底壁9bと密着することで、内溶液の通過を阻止している。また、スライダ11が
図2に示すように上昇したとき、スライダ11と下部ヘッド9とによって貯留室14が形成される。より具体的には、貯留室14は、外向きフランジ11bの下面、筒壁9eの内周面、底壁9bの上面、及び柱状体9cの外周面によって区画されている。
【0025】
かかる構成によれば、以下の要領で内溶液を吐出させることができる。まず、
図1に示した収納状態で、押下げヘッド3を回転させて下部ヘッド9と補助筒8との螺合を外すと、ステム2及び押下げヘッド3が付勢部材6によって上昇する。この状態から押下げヘッド3を押下げると、直接押される上部ヘッド10が下部ヘッド9に対して下方に移動し、垂下筒10hの縮径部10i(弁座)に柱状体9cの縮径部9k(弁体)が着座し、貯留室14とノズル10gとの連通が遮断される。そして、
図2に示すように、前回のステム2の上昇によってシリンダ1内に吸い上げられていた内溶液が、ステム2を通じて押下げヘッド3に流入し、スライダ11を下方への付勢力に抗して押し上げ、貯留室14を形成する。すなわち、ステム2から送り込まれる内溶液は、貯留室14に加圧下に収容される。
【0026】
押下げヘッド3の押下げを止めると、貯留室14内の圧力により上部ヘッド10が下部ヘッド9に対して上方に移動し、貯留室14とノズル10gとの連通の遮断が開放される。したがって、
図3に示すように、押下げヘッド3が上昇しながらノズル10gから内溶液が吐出される。
【0027】
このように、本実施形態に係る吐出ポンプ100では、押下げヘッド3の押下げ時には内溶液の吐出を阻止する一方、押下げヘッド3の上昇時に内溶液を吐出させることができるため、押下げヘッド3を押下げた手を、ノズル側に移動させて内溶液を受け取ることができる。そのため、内溶液を両手で受け取ることも可能となる。好ましい内溶液としては、特にアルコール消毒液が挙げられるが、これに限らず、例えば化粧料、液体石鹸など、種々の液体を内溶液とすることができる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、内容液を収容する容器の口部に固定されるシリンダ1と、該シリンダ1内を上方付勢状態で上下に摺動可能なピストン2aを有するステム2と、該ステム2の上部に連結し、ステム2を通じて吸い上げた内溶液をノズル10gから吐出させる押下げヘッド3とを備え、押下げヘッド3は、該押下げヘッド3の押下げによってステム2から送り込まれる内溶液を加圧下に収容し、該収容した内溶液を押下げヘッド3の上昇時にノズル10gから吐出させる貯留室14を備えるという構成になっている。
【0029】
また、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、押下げヘッド3は、該押下げヘッド3の押下げ時に貯留室14とノズル10gとの連通を遮断する一方、押下げヘッド3の上昇時に前記遮断を開放する開閉部12を備えるという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、簡単な構成によって、内溶液を押下げヘッド3の押下げ時に貯留室14に収容し、押下げヘッド3の上昇時に吐出させることが可能になる。
【0030】
また、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、押下げヘッド3は、ステム2に連結する下部ヘッド9と、ノズル10gを有し下部ヘッド9に対して上下に移動可能に取り付けられる上部ヘッド10とを備え、上部ヘッド10は、ノズル10gに繋がる流路を取り囲む環状の弁座(縮径部10i)を有し、下部ヘッド9は、前記弁座に着座可能な弁体(縮径部9k)を有し、上部ヘッド10の前記弁座と下部ヘッド9の前記弁体とによって開閉部12が形成されているという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、簡単な構成によって、開閉部12を形成することができる。
【0031】
さらに、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、押下げヘッド3は、下部ヘッド9に形成された筒壁9eに対して下方付勢状態で上下に摺動可能なスライダ11を備え、下部ヘッド9とスライダ11とによって貯留室14が形成されているという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、簡単な構成によって、貯留室14を形成することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る吐出ポンプ100は、内溶液の逆流を防止する逆止弁7をステム2に設けていたが、これに代え、例えば
図4に符号7’で示すように、下部ヘッド9’に設けてもよい。なお、この場合、下部ヘッド9’は、柱状体9cと底壁9bの一部とを、残りの部分と別体に構成することが好ましい。このように、吐出ポンプ100’を、下部ヘッド9’が、貯留室14(前掲
図3参照)に送り込まれた内溶液がステム2’に逆流するのを阻止する逆止弁7’を備える構成とした場合には、下部ヘッド9’単独で貯留室14の蓄圧機能検査を行えるという利点がある。
【0033】
次に、
図5〜
図7を参照して、本発明の他の実施形態に係る吐出ポンプ101について詳細に例示説明する。本実施形態に係る吐出ポンプ101は、押下げヘッド20の上昇終了間際に初めて内溶液を吐出させるように構成している。すなわち、本実施形態に係る吐出ポンプ101は、
図1〜
図3を用いて説明した実施形態の場合と比べると、
図5に示すように、上部ヘッド21の周壁21aの構成、下部ヘッド22の筒壁22eの下部外周面の構成、及び補助筒23の構成が異なり、その他の構成は同一になっている。
【0034】
具体的には、以下のとおりである。上部ヘッド21の周壁21aには、周方向に等間隔で配置された4つの揺動レバー21jが設けられている。なお、揺動レバー21jは少なくとも1つ設ければよく、その個数は適宜変更することができる。各揺動レバー21jは上下方向中央に配置された一対の連結部21j1を介して周壁21aに連結している。揺動レバー21jの上端側には、内周側に突出する突起21j2が形成されている。また、揺動レバー21jの下端側には、外周側に突出する突起21j3が形成されている。
【0035】
また、下部ヘッド22の筒壁22eの下部外周面には、揺動レバー21jの上端側の突起21j2を係止可能な係止突起22lが形成されている。なお、係止突起22lは、本実施形態では環状をなす1つの突起として構成されているが、揺動レバー21jの上端側の突起21j2を係止可能であれば周方向に間欠状に設けてもよい。
【0036】
さらに、補助筒23には、周壁21aの外周側で上方に延びる外周壁23bが設けられている。外周壁23bの内周面には、揺動レバー21jの下端側の突起21j3が乗り越え可能な係合突起23cが形成されている。なお、
図1〜
図3を用いて説明した実施形態では設けていた、下部ヘッド9の筒壁9eの下端部外周側の環状壁9fは、本実施形態では設けられていない。
【0037】
かかる構成によれば、
図5に示した状態から押下げヘッド20を押し下げると、
図6(b)に示すように、揺動レバー21jの上端側の突起21j2が、筒壁22eの係止突起22lを下方に乗り越える。このとき、揺動レバー21jの突起21j2の下面と、筒壁22eの係止突起22lの上面とはテーパ状に形成されているため、乗り越えがスムーズとなる。そして、この乗り越えにより、
図6(c)に示すように揺動レバー21jの突起21j2が筒壁22eの係止突起22lに係止されると、上部ヘッド21が下部ヘッド22に固定されて、下部ヘッド22の弁体(縮径部22k)が上部ヘッド21の弁座(縮径部21i)に着座した状態が維持される(
図6(a)参照)。そして、この状態は押下げヘッド20の上昇終了間際まで維持される。
【0038】
押下げヘッド20の上昇終了間際には、
図7(b)に示すように、揺動レバー21jの下端側の突起21j3が外周壁23bの係合突起23cを乗り越えることで、揺動レバー21jが揺動し、揺動レバー21jの上端側の突起21j2と筒壁22eの係止突起22lとの係合が解除される。したがって、
図7(a)に示すように、貯留室14の内溶液の圧力によって上部ヘッド21が下部ヘッド22に対して上昇し、内溶液がノズル21gから吐出される。なお、内溶液を吐出させるタイミングは、外周壁23bに係合突起23cを設ける高さ位置によって調整することができる。
【0039】
このように、本実施形態に係る吐出ポンプ101は、押下げヘッド20の上昇開始から上昇終了までの少なくとも前半(より具体的には上昇終了間際まで)は、上部ヘッド21を下部ヘッド22に固定して下部ヘッド22の弁体(縮径部22k)が上部ヘッド21の弁座(縮径部21i)に着座した状態を維持する一方、押下げヘッド20の上昇終了までに前記固定を解除するロック部24を有するという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、内溶液を吐出させるタイミングを、押下げヘッド20の上昇開始から上昇終了までの後半(より具体的には上昇終了間際)まで遅らせられるので、内溶液をより容易に両手で受け取れるようにすることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る吐出ポンプ101は、ロック部24が、上部ヘッド21に設けられた周壁21aに揺動可能に支持された揺動レバー21jと、周壁21aの内周側で下部ヘッド22に設けられ、揺動レバー21jの一端側を係止可能な係止突起22lと、シリンダ1に固定された補助筒23に設けられ、周壁21aの外周側で上方に延びる外周壁23bと、外周壁23bに設けられ、揺動レバー21jの他端側が乗り越え可能な係合突起23cとを備えるという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、簡単な構成によって、ロック部24を形成することができる。
【0041】
なお、この実施形態の場合も、
図4を用いて説明した実施形態の場合と同様に、
図8に示すように、吐出ポンプ101’を、下部ヘッド22’が、貯留室14(前掲
図7参照)に送り込まれた内溶液がステム2’に逆流するのを阻止する逆止弁7’を備える構成とすることができる。
【0042】
次に、
図9〜
図11を参照して、本発明の更なる他の実施形態に係る吐出ポンプ102について詳細に例示説明する。本実施形態では、
図5〜
図7を用いて説明した実施形態の場合と同様に、押下げヘッド30の上昇終了間際に初めて内溶液を吐出させるように構成しているが、その具体的な構成が異なっている。すなわち、本実施形態に係る吐出ポンプ102は、
図5〜
図7を用いて説明した実施形態の場合と比べると、
図9に示すように、上部ヘッド31の周壁31aの構成、下部ヘッド32の筒壁32eの下部外周面の構成、及び補助筒33の構成が異なり、その他の構成は同一になっている。
【0043】
具体的には、以下のとおりである。上部ヘッド31の周壁31aの外周面には環状の段部31kが設けられている。また、下部ヘッド32の筒壁32eの下部外周面には、周壁31aの下方で該周壁31aの内周側から外周側に向けて延びる環状の係止片32mが形成されている。係止片32mは、周方向中間部に環状の薄肉部からなる屈曲部32m1を有しており、この屈曲部32m1で屈曲することで、先端側部分32m2が段部31kに係止されるようになっている(
図10(b)参照)。係止片32m及び段部31kは、互いに係合可能であれば、周方向に間欠的に形成してもよい。なお、係止片32mの上面には、周壁31aが弾性変形によって内周側に変位するのを防止するための複数の縦リブ32nが周方向に間隔を空けて配置されている。
【0044】
さらに、補助筒33には、周壁31aの外周側で上方に延びる外周壁33bが設けられている。外周壁33bの内周面には、
図10(b)に示すように、上方に屈曲した係止片32mが摺動するようになっている。また、外周壁33bの上端部には、
図9(b)に示したように、押下げヘッド30が上昇端位置にあるときに、非屈曲状態の係止片32mの先端側部分32m2を収容する段差部33b1が形成されている。
【0045】
かかる構成によれば、
図9に示した状態から押下げヘッド30を押し下げると、
図10に示すように、係止片32mと段部31kとが係合する。そして、この係合により、上部ヘッド31が下部ヘッド32に固定されて、下部ヘッド32の弁体(縮径部32k)が上部ヘッド31の弁座(縮径部31i)に着座した状態が維持される。そして、この状態は押下げヘッド30の上昇終了間際まで維持される。
【0046】
押下げヘッド30の上昇終了間際には、
図11(b)に示すように係止片32mが屈曲変形から復帰して段部31kから外れ、
図11(a)に示すように、貯留室14の内溶液の圧力によって上部ヘッド31が下部ヘッド32に対して上昇し、内溶液がノズル31gから吐出される。なお、内溶液を吐出させるタイミングは、例えば外周壁33bに設ける段差部33b1の深さを調整することで、変更することができる。
【0047】
このように、本実施形態に係る吐出ポンプ102は、
図5〜
図7を用いて説明した実施形態の場合と同様に、押下げヘッド30の上昇開始から上昇終了までの少なくとも前半(より具体的には上昇終了間際まで)は、上部ヘッド31を下部ヘッド32に固定して下部ヘッド32の弁体(縮径部32k)が上部ヘッド31の弁座(縮径部31i)に着座した状態を維持する一方、押下げヘッド30の上昇終了までに前記固定を解除するロック部34を有するという構成になっている。したがって、本実施形態の場合も、内溶液をより容易に両手で受け取ることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係る吐出ポンプ102は、ロック部34が、上部ヘッド31に設けられた周壁31aの外周面に形成された段部31kと、下部ヘッド32に設けられ、周壁31aの下方で該周壁31aの内周側から外周側に向けて延びると共に上方への屈曲時に段部31kに係止される係止片32mと、シリンダ1に固定された補助筒33に設けられ、周壁31aの外周側で上方に延びると共に、上方に屈曲した係止片32mが摺動可能な外周壁33bとを備えるという構成になっている。したがって、本実施形態によれば、簡単な構成によって、ロック部34を形成することができる。
【0049】
なお、この実施形態の場合も、
図8を用いて説明した実施形態の場合と同様に、下部ヘッド32が、貯留室14に送り込まれた内溶液がステム2’(前掲
図8参照)に逆流するのを阻止する逆止弁7’(前掲
図8参照)を備える構成とすることができる。
【0050】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。