(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602189
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20191028BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-236625(P2015-236625)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-103951(P2017-103951A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040051
【氏名又は名称】株式会社ハーモニック・ドライブ・システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 修平
(72)【発明者】
【氏名】小林 優
(72)【発明者】
【氏名】保科 達郎
【審査官】
三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2006/003847(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/125266(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの中心部分に同軸に配置した中空固定軸と、
前記中空固定軸の軸線方向の一方の軸端部である第1軸端部の側に配置され、前記ハウジングに対して主軸受けを介して回転自在に支持されている円盤状の第1出力軸と、
前記中空固定軸の他方の第2軸端部の側に配置され、前記中空固定軸および前記ハウジングに固定された円盤状の端板と、
前記端板および前記第1出力軸の間に形成される前記ハウジングと前記中空固定軸との間の環状空間内に配置したインナーロータ型のモータと、
前記環状空間内において前記モータの内側に配置され、前記モータの回転を減速して前記第1出力軸に伝達する第1波動歯車装置と、
前記第1出力軸の回転を検出する出力軸センサと、
を備えており、
前記出力軸センサは、前記中空固定軸の中空部内における前記第1軸端部の側の部位に配置され、前記第1出力軸と一体回転するエンコード板と、当該エンコード板の回転を検出する検出部とを備えており、
前記エンコード板は、前記中空固定軸の前記第1軸端部に対して軸線方向の外側から対峙する取付け板に取り付けられ、当該取付け板は、前記第1出力軸に固定されており、
前記モータは、
円筒状のハウジングの内側に固定した円環状のモータステータと、
前記モータステータの内側に同軸に配置されたモータロータと、
を備えており、
前記第1波動歯車装置は、
前記モータロータの内側に同軸に固定した第1波動発生器と、
前記第1波動発生器の内側に同軸に配置され、当該第1波動発生器によって楕円状に撓められている可撓性内歯車と、
前記可撓性内歯車の内側に同軸に配置され、楕円状に撓められた前記可撓性内歯車に部分的にかみ合っている剛性外歯車と、
を備えており、
前記剛性外歯車は、前記中空固定軸と当該中空固定軸の外周面に形成した第1外歯から構成され、
前記可撓性内歯車は、前記第1外歯にかみ合い可能な第1内歯が形成されている可撓性の円筒状胴部と、当該円筒状胴部における前記第2軸端部の側の端から半径方向の外方に広がるダイヤフラムと、当該ダイヤフラムの外周縁に連続して形成された剛性の円盤状のボスとを備えたシルクハット形状のものであり、
前記ボスが前記第1出力軸に固定されており、
前記中空固定軸の前記中空部内に、第2モータおよび第2波動歯車装置を備えた第2アクチュエータが同軸に組み込まれており、
前記第2波動歯車装置は、前記中空固定軸の内周面に第2内歯を形成することによって構成される剛性内歯車と、この内側に配置されたカップ形状をした可撓性外歯車と、この内側に装着され、前記第2モータによって回転駆動される第2波動発生器とを備え、
前記可撓性外歯車には、前記端板を貫通して延びる第2出力軸が同軸に取り付けられているアクチュエータ。
【請求項2】
前記中空固定軸の前記第1軸端部と前記第1出力軸との間は第1オイルシールによってシールされている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記中空固定軸の前記第2軸端部の側の外周面部分には伝達トルクを検出するためのトルクセンサが配置されており、
前記中空固定軸と前記第1波動発生器との間に配置した第2オイルシールによって、前記トルクセンサと前記可撓性内歯車および前記剛性外歯車のかみ合い位置との間がシールされている請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1波動発生器における前記第2軸端部の側の外周側の部位には、当該第1波動発生器の回転を検出する入力軸センサが配置されている請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インナーロータ型のモータの内側に同軸に中空型の波動歯車装置が組み付けられた構成のアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアクチュエータとしては、特許文献1の
図5に記載されている減速機付き駆動装置がある。この駆動装置は、モータと波動歯車装置とを備え、波動歯車装置は、波動発生器と、その内側に配置した可撓性内歯車と、その内側に配置した剛性外歯車とを備えており、波動発生器の楕円状内周面を備えたプラグが、モータロータに一体形成されている。
【0003】
モータロータは、その軸線方向の一方の側に延びる円筒部を備え、当該円筒部の外周にはモータ回転(波動歯車装置の入力回転)を検出するモータエンコーダ(入力軸エンコーダ)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4787753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この構成のアクチュエータにおいて、出力回転を検出する場合には、波動歯車装置の出力要素である可撓性内歯車のボスの部分を軸線方向に延長して、その外周部分に出力軸エンコーダが配置される。この構成では、アクチュエータの軸線方向に、入力軸エンコーダおよび出力軸エンコーダが配列され、軸線方向の寸法が増加してしまう。また、アクチュエータには伝達トルクを検出するためにトルクセンサが搭載される場合がある。この場合においても、トルクセンサの搭載場所を確保するために装置寸法が増加してしまう。
【0006】
一方、この構成のアクチュエータの小型化を図ると、波動歯車装置の潤滑部分と入力軸エンコーダ等のセンサ部分とが接近したレイアウトになる場合がある。このような場合には、潤滑部分から漏れ出る潤滑剤がセンサ部分に侵入しないように対策を講ずる必要がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、装置寸法の増加を抑制しつつ各種センサを搭載可能なアクチュエータを提供することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、装置寸法の増加を抑制しつつ各種センサを搭載でき、しかも、波動歯車装置から潤滑剤がセンサの側に侵入することを防止可能なアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、
円筒状のハウジングと、
前記ハウジングの中心部分に同軸に配置した中空固定軸と、
前記中空固定軸の軸線方向の一方の軸端部である第1軸端部の側に配置され、前記ハウジングに対して主軸受けを介して回転自在に支持されている円盤状の
第1出力軸と、
前記中空固定軸の他方の第2軸端部の側に配置され、前記中空固定軸および前記ハウジングに固定された円盤状の端板と、
前記端板および前記
第1出力軸の間に形成される前記ハウジングと前記中空固定軸との間の環状空間内に配置したインナーロータ型の
第1モータと、
前記環状空間内において前記モータの内側に配置され、前記モータの回転を減速して前記
第1出力軸に伝達する
第1波動歯車装置と、
前記
第1出力軸の回転を検出する出力軸センサと、
を備えており、
前記出力軸センサは、前記中空固定軸の中空部内における前記第1軸端部の側の部位に配置され、前記
第1出力軸と一体回転するエンコード板と、当該エンコード板の回転を検出する検出部とを備えており、
前記エンコード板は、前記中空固定軸の
前記第1軸端部に対して軸線方向の外側から対峙する取付け板に取り付けられ、当該取付け板は、前記
第1出力軸に固定
されており、
前記第1モータは、
円筒状のハウジングの内側に固定した円環状のモータステータと、
前記モータステータの内側に同軸に配置されたモータロータと、
を備えており、
前記第1波動歯車装置は、
前記モータロータの内側に同軸に固定した第1波動発生器と、
前記第1波動発生器の内側に同軸に配置され、当該第1波動発生器によって楕円状に撓められている可撓性内歯車と、
前記可撓性内歯車の内側に同軸に配置され、楕円状に撓められた前記可撓性内歯車に部分的にかみ合っている剛性外歯車と、
を備えており、
前記剛性外歯車は、前記中空固定軸と当該中空固定軸の外周面に形成した第1外歯から構成され、
前記可撓性内歯車は、前記第1外歯にかみ合い可能な第1内歯が形成されている可撓性の円筒状胴部と、当該円筒状胴部における前記第2軸端部の側の端から半径方向の外方に広がるダイヤフラムと、当該ダイヤフラムの外周縁に連続して形成された剛性の円盤状のボスとを備えたシルクハット形状のものであり、
前記ボスが前記第1出力軸に固定されており、
前記中空固定軸の前記中空部内に、第2モータおよび第2波動歯車装置を備えた第2アクチュエータが同軸に組み込まれており、
前記第2波動歯車装置は、前記中空固定軸の内周面に第2内歯を形成することによって構成される剛性内歯車と、この内側に配置されたカップ形状をした可撓性外歯車と、この内側に装着され、前記第2モータによって回転駆動される第2波動発生器とを備え、
前記可撓性外歯車には、前記端板を貫通して延びる第2出力軸が同軸に取り付けられていることを特徴としている。
【0010】
本発明のアクチュエータにおいては、インナーロータ型のモータの内部に、外周側に波動発生器が配置された構成の中空型の波動歯車装置が配置され、当該波動歯車装置の出力回転を取り出す出力軸が、中空固定軸の第1軸端部の側に配置されている。この構成により、出力軸の回転を、中空固定軸の第1軸端部の側から中空部に挿入した出力軸センサによって検出することができる。中空部内を、出力軸センサの設置スペースとして利用しているので、出力軸センサを軸線方向に並べて配置する場合に比べて、アクチュエータの軸長の増加を抑制できる。
【0011】
また、本発明のアクチュエータでは、前記中空固定軸の前記中空部内のスペースを利用して、第2モータおよび第2波動歯車装置を備えた第2アクチュエータが組み込まれている。前記中空固定軸の内周面に第2内歯を形成することで当該中空固定軸を剛性内歯車として利用し、この内側に可撓性外歯車を配置し、この内側に波動発生器を配置し、波動発生器を第2モータによって回転駆動している。これにより、可撓性外歯車から第2の出力回転を取り出すことができる。
【0013】
この場合、波動歯車装置から外部に潤滑剤が漏れ出ないように、前記中空固定軸の前記第1軸端部と前記出力軸との間が第1オイルシールによってシールされていることが望ましい。
【0014】
本発明において、前記中空固定軸の前記第2軸端部の側の外周面部分には波動歯車装置の伝達トルクを検出するためのトルクセンサを配置することができる。この場合には、前記中空固定軸と前記波動発生器との間に配置した第2オイルシールによって、前記トルクセンサと前記可撓性内歯車および前記剛性外歯車のかみ合い位置との間をシールすることが望ましい。
【0015】
固定側の剛性外歯車には、出力側の可撓性内歯車に作用する伝達トルクが作用するので、当該剛性外歯車の中空固定軸にトルクセンサを配置することにより、伝達トルクを検出できる。従来においては、可撓性内歯車に歪ゲージ等の検出素子を貼り付けて伝達トルクを検出しているが、検出素子は可撓性内歯車と共に繰り返し撓められるので耐久性等の点で好ましくない。本発明のトルクセンサは、剛性内歯歯車にトルクセンサを配置できるので従来に比べて耐久性等に優れている。
【0016】
また、第2オイルシールによって歯のかみ合い部分から潤滑油がトルクセンサの側に侵入することを防止しているので、潤滑油等が付着してトルクセンサに不具合が生じることもない。
【0017】
次に、前記波動発生器における前記第2軸端部の側の外周側の部位には、当該波動発生器の回転(したがって、モータロータの回転)を検出する入力軸センサを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明を適用したアクチュエータを示す概略縦断面図である。
【
図2】本発明を適用したアクチュエータの別の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本実施の形態に係るアクチュエータを示す概略縦断面図である。アクチュエータ1は、インナーロータ型のモータ2と、モータ2の回転を減速して出力する波動歯車装置3と、波動歯車装置3の出力回転を外部に出力する出力軸4と、出力軸4の回転を検出する出力軸センサ5とを備えている。
【0021】
具体的に説明すると、アクチュエータ1は円筒状のハウジング6と、このハウジング6の中心に同軸に配置した中空固定軸7とを備えている。中空固定軸7の軸線1aの方向の一方の軸端部である第1軸端部7aの側には円盤状の出力軸4が配置され、反対側の第2軸端部7bには円盤状の端板8が配置されている。出力軸4および端板8の間において、ハウジング6および中空固定軸7の間に形成される環状空間には、モータ2と波動歯車装置3が組み込まれている。
【0022】
出力軸4は、中心に軸穴4aが形成され、軸線1aに直交する状態に配置されている。出力軸4は主軸受けであるクロスローラベアリング9を介して、ハウジング6の端部に固定されている。出力軸4の軸穴4aには中空固定軸7の第1軸端部7aが同軸に挿入された状態となっている。本例では、クロスローラベアリング9の内輪が出力軸4に一体形成されており、これら内輪と出力軸4とが単一部品からなる。出力軸4は不図示の被駆動側部材に連結される。クロスローラベアリング9の外輪9aはハウジング6の端部に固定されている。外輪9aの外周側の部位は、他部材(図示せず)に固定される取付フランジとなっている。
【0023】
中空固定軸7の第2軸端部7bの側の端板8も軸穴8aが形成されており、軸線1aに直交する状態に配置されている。端板8の内周縁部は中空固定軸7の端面に固定され、端板8の外周縁端は直角に折れ曲がった円筒部8bとなっており、この円筒部8bの端部がハウジング6の側に固定されている。
【0024】
インナーロータ型のモータ2は、ハウジング6の円形内周面に固定した円環状のモータステータ11と、モータステータ11の内側に同軸に配置されたモータロータ12とを備えている。モータステータ11はステータコアと、ステータコアに形成された突極に巻き付けたステータコイルから構成され、モータロータ12は永久磁石からなるロータマグネットから構成される。
【0025】
波動歯車装置3は、モータロータ12の内側に配置した筒状の波動発生器13と、この内側に同軸に配置した可撓性内歯車14と、この内側に同軸に配置した剛性外歯車15とを備えている。波動発生器13は筒状の剛性プラグ16と、この楕円状内周面16aに装着したベアリング17とを備えている。剛性プラグ16はモータロータ12の内周面に固定されており、モータ2によって回転駆動される。
【0026】
可撓性内歯車14は、可撓性の円筒状胴部18と、当該円筒状胴部18における第1軸端部7aの側に端から半径方向の外方に広がるダイヤフラム19と、当該ダイヤフラム19の外周縁に連続して形成された剛性の円盤状のボス20とを備えたシルクハット形状のものである。ボス20が出力軸4に固定されている。円筒状胴部18における第2軸端部7bの側の端の内周面部分には内歯21が形成されている。内歯21が形成されている円筒状胴部18の部分が、波動発生器13によって楕円状に撓められている。
【0027】
剛性外歯車15は、本例では、中空固定軸7と当該中空固定軸7の外周面に形成した外歯22とによって構成されている。波動発生器13によって外側から楕円状に撓められている可撓性内歯車14の内歯21は、部分的に剛性外歯車15の外歯22にかみ合っている。
【0028】
波動発生器13の剛性プラグ16は、軸線1aの方向の両端部分が、ボールベアリング23、24によって回転自在に支持されている。一方のボールベアリング23は、出力軸4に固定したベアリング受け25によって支持されている。他方のボールベアリング24は、ハウジング6と端板8の間に挟まれた状態でこれらに締結固定されたベアリング受け26によって支持されている。このベアリング受け26は軸線1aに直交する状態に配置された円盤状の部材である。
【0029】
ここで、出力軸4の軸穴4aの内周面と中空固定軸7の第1軸端部7aの外周面との間の隙間は、これらの間に配置した第1オイルシール31によってシールされている。また、中空固定軸7の第2軸端部7bの側においては、波動発生器13の剛性プラグ16と第2軸端部7bとの間の隙間が、これらの間に配置した第2オイルシール32によってシールされている。
【0030】
次に、出力軸センサ5は、中空固定軸7の中空部33内における第1軸端部7aの側の部位に配置されている。出力軸センサ5は、出力軸4と一体回転するエンコード板34と、当該エンコード板34の回転を検出する検出部35とを備えている。エンコード板34は、中空固定軸7の第1軸端部7aに対して軸線1aの方向の外側から対峙している取付け円板36に取り付けられている。取付け円板36は、出力軸4の軸穴4aを封鎖する状態に配置されている。
【0031】
また、中空固定軸7の第2軸端部7bの側の外周面部分には、波動歯車装置3の伝達トルクを検出するためのトルクセンサ40が配置されている。先に述べたように、中空固定軸7と波動発生器13の剛性プラグ16との間には第2オイルシール32が配置されている。第2オイルシール32によって、トルクセンサ40と可撓性内歯車14および剛性外歯車15のかみ合位置との間がシールされている。
【0032】
さらに、本例では、波動発生器13の剛性プラグ16には第2軸端部7bの側に延びる円筒部16bが形成されている。この円筒部16bは、ベアリング受け26と端板8の間まで延びている。この円筒部16bの外周側には、波動発生器13の回転(入力回転)を検出する入力軸エンコーダ41が配置されている。
【0033】
このように構成したアクチュエータ1においては、インナーロータ型のモータ2の内部に、外周側に波動発生器13が配置された構成の中空型の波動歯車装置3が配置され、当該波動歯車装置3の出力回転を取り出す出力軸4が、中空固定軸7の第1軸端部7aの側に配置されている。この構成により、出力軸4の回転を、中空固定軸7の第1軸端部7aの側から中空部33に挿入した出力軸センサ5によって検出することができる。中空部33内を、出力軸センサ5の設置スペースとして利用しているので、出力軸センサ5を軸線1aの方向に並べて配置する場合に比べて、アクチュエータ1の軸長の増加を抑制できる。
【0034】
また、波動歯車装置3から外部に潤滑剤が漏れ出ないように、中空固定軸7の第1軸端部7aと出力軸4との間が第1オイルシール31によってシールされている。したがって、漏れ出た潤滑剤等が中空部33内の出力軸センサ5の側に回り込むことを防止できる。同様に、第2オイルシール32によって、潤滑剤等がトルクセンサ40あるいは入力軸エンコーダ41の側に漏れ出ることも防止できる。
【0035】
さらに、固定側の剛性外歯車15、すなわち、中空固定軸7にトルクセンサ40が配置されている。可撓性内歯車14に歪ゲージ等の検出素子を貼り付けて伝達トルクを検出する場合には、検出素子が可撓性内歯車14と共に繰り返し撓められるので耐久性等の点で好ましくない。本例では、このような弊害を回避でき、従来に比べて耐久性等に優れたトルク検出機構を実現できる。
【0036】
(その他の実施の形態)
図2は、上記のアクチュエータ1の変形例を示す説明図である。この図に示すアクチュエータは2軸アクチュエータ1Aであり、中空固定軸7の中空部33内のスペースを利用して、第2モータ52および第2波動歯車装置53を備えた第2アクチュエータ51が組み込まれている。
【0037】
例えば、中空固定軸7の内周面に内歯54を形成することで当該中空固定軸7を剛性内歯車として利用する。この内側にカップ形状の可撓性外歯車55が配置され、この内側に波動発生器56が配置されている。波動発生器56は中空部33内に配置した第2モータ52によって回転駆動される。これにより、可撓性外歯車55に取り付けた第2出力軸57から第2の出力回転を取り出すことができる。この構成によれば、寸法の増加を招くことなく、2軸のアクチュエータを構成できる。
【符号の説明】
【0038】
1 アクチュエータ
1A 2軸アクチュエータ
1a 軸線
2 モータ
3 波動歯車装置
4 出力軸
4a 軸穴
5 出力軸センサ
6 ハウジング
7 中空固定軸
7a 第1軸端部
7b 第2軸端部
8 端板
8a 軸穴
8b 円筒部
9 クロスローラベアリング
9a 外輪
11 モータステータ
12 モータロータ
13 波動発生器
14 可撓性内歯車
15 剛性外歯車
16 剛性プラグ
16a 楕円状内周面
16b 円筒部
17 ベアリング
18 円筒状胴部
19 ダイヤフラム
20 ボス
21 内歯
22 外歯
23,24 ボールベアリング
25,26 ベアリング受け
31 第1オイルシール
32 第2オイルシール
33 中空部
34 エンコード板
35 検出部
36 取付け円板
40 トルクセンサ
41 入力軸エンコーダ
51 第2アクチュエータ
52 第2モータ
53 第2波動歯車装置
54 内歯
55 可撓性外歯車
56 波動発生器
57 第2出力軸