(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1に記載のロック機構付きキャップによれば、被覆板部によりヒンジ部の開閉を抑制するためには、被覆板部と蓋体との間のクリアランスを極力狭くして、開閉の際に蓋体のヒンジ部に被覆板部を密着させる必要がある。従って、そのような密着性を得るためには、ヒンジ部や蓋部の形状を密着性の良い形状に限定する必要があり、設計の自由度が限られてしまうといった問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載のロック機構付きキャップでは、蓋体の後端部であるヒンジ部のみを被覆する(ロックする)機構であり、開閉する側である蓋体の前端部については、ロック機構が無く、開きやすい状態となっている。そのため、後端部でのロックが弱い(すなわち、密着性が低い)場合には、少しの外的要因によっても蓋体の前端部側が開いてしまう可能性があるといった問題があった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、蓋体を上部から直接押さえるようなロック構造とすることで、様々な外的要因が加わったとしても、閉まっている蓋体が不測に開くことを確実に防止することのできる蓋ロック機能付きキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の蓋ロック機能付きキャップは、容器の口部に装着される外周部が円筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体の上部に設けられた蓋体収納凹部に支持部を介して開閉自在に設けられた蓋体と、前記キャップ本体の前記外周部に沿って回転自在に装着され、上部が開口した内周部が円筒状のキャップカバーと、を備え、前記蓋体は、平面視が円以外の形状に形成されており、前記キャップカバーは、上部の開口縁部が、閉じた状態の前記蓋体より上方の位置まで延設され、かつ、延設された前記開口縁部から前記蓋体の上部に向かって蓋体押え片が延設されて
おり、前記キャップ本体の外周部及び前記キャップカバーの内周部のいずれか一方に突起部が形成され、他方には、前記突起部が嵌まり込んで摺動する円弧状または環状の溝部が形成されており、前記キャップ本体の外周部または前記キャップカバーの内周部において前記突起部に対応する位置に、上端部から前記溝部に達する縦溝が形成されており、前記縦溝の前記溝部の直上位置には、前記縦溝内を前記突起部が摺動して前記溝部側に乗り越える第3リブ片が形成されており、前記第3リブ片は、前記溝部内に嵌まり込んだ前記突起部が前記縦溝側に戻らない構成とされていることを特徴としている。
【0013】
また、本発明によれば、前記蓋体押え片は、前記キャップカバーが前記蓋体を開閉可能な開閉位置では前記蓋体の上部に重ならず、前記開閉位置から前記キャップカバーを回転させることで前記蓋体上部の重なる位置に移動する構成とされていてもよい。
【0014】
この構成によれば、開閉位置から、キャップカバーを右または左のいずれかの方向に少し回転させると、蓋体の形状に対してキャップカバーの開口部の形状が回転方向にずれていく。すなわち、この回転に伴って蓋体押え片が蓋体の上部に移動し、蓋体を上部から押さえる形となって蓋体の開放を確実に阻止する。すなわち、閉じている蓋体を確実にロックすることができる。
また、上記構成によれば、キャップカバーをキャップ本体に対してスムーズに回転させることができる。さらに、上記構成によれば、キャップカバーをキャップ本体に装着するときの装着性が向上するとともに、一旦装着した後は、容易に外れることのない装着構造とすることができる。
【0015】
また、本発明によれば、前記蓋体は、少なくとも外周部の一部若しくは対向する二辺が円弧以外の曲線状または直線状に形成された構成としてもよい。
【0016】
また、本発明によれば、前記キャップカバーは、前記蓋体を開閉可能な開閉位置において、前記蓋体を開閉操作する操作部に対向する周側面に、前記開口縁部を下方に凹ませて前側開口凹部が形成され、前記蓋体の前記支持部に対向する周側面に、前記開口縁部を下方に凹ませて後側開口凹部が形成されており、前記後側開口凹部の幅は、前記支持部の幅に対して広い幅に形成された構成としている。
【0017】
この構成によれば、蓋体の開閉位置において、蓋体の前方側の操作部と後方側の支持部とがキャップカバーから露出しているので、蓋体をスムーズに開閉操作することができる。また、後側開口凹部の幅は支持部の幅に対して広い幅に形成されているので、蓋体を開いた状態でキャップカバーが不測に回転したとしても、キャップカバーが支持部(例えば樹脂で一体成形されたヒンジ部)に直ぐに当たることはなく、当たるまでに若干の余裕があるので、蓋体を開いたまま回転させるといった不測の事態に対して支持部の破損を低減することができる。
【0020】
また、本発明によれば、前記溝部には、前記突起部が当たって乗り越える第1リブ片が形成された構成としてもよい。
【0021】
この構成によれば、キャップカバーを回転させると、突起部が第1リブ片を乗り越えることで操作者の手にクリック感が伝わるため、確実にその位置まで回したことを実感することができる。従って、このような第1リブ片を、溝部の複数箇所に形成しておくことで、キャップカバーを段階的に回転させることができる。
【0022】
また、本発明によれば、前記溝部には、前記突起部の回動移動を規制する第2リブ片が形成された構成としてもよい。
【0023】
キャップカバーの回転は、溝部を環状とすることで360度自由に回転する構造としてもよいが、確実にロックされる位置まで回転させると、そこで回転が規制され、それ以上は回転しないように第2リブ片を形成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓋体を閉じた後、キャップカバーを任意の方向に回転させるたけで、蓋体押え片が閉じた蓋体の上部を確実に押さえるので、閉じた蓋体が不測に開くことを抑制することができる。つまり、閉蓋状態を確実に維持(ロック)することができる。また、本発明によれば、キャップカバーを僅かに回転させるだけで、蓋体押え片によって閉じた蓋体の上部を確実に押さえることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1Aは、本発明の実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップを斜め上方からの視点で示す斜視図、
図1Bは、本発明の実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップを斜め下方からの視点で示す斜視図、
図1Cは、
図1AのA−A線に沿った断面図である。
【0030】
本発明の実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップ1は、容器の口部に装着される外周部が円筒形状のキャップ本体10と、容器の口部に対向するキャップ本体10の上部に支持部を介して開閉自在に設けられた蓋体20と、キャップ本体10の外周部に沿って回転自在に装着されたキャップカバー30と、を備えている。すなわち、本発明の蓋ロック機能付きキャップ1は、蓋体20を一体に備えたキャップ本体10と、キャップ本体10に回転自在に装着されたキャップカバー30の2部材によって構成されている。
【0031】
(1)キャップ本体10の説明
図2Aは、実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップ1を構成するキャップ本体10を斜め上方からの視点で示す斜視図、
図2Bは、実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップ1を構成するキャップ本体10を斜め下方からの視点で示す斜視図、
図2Cは、実施形態に係るキャップ本体10の平面図、
図2Dは、実施形態に係るキャップ本体10の側面図、
図2Eは、実施形態に係るキャップ本体10の蓋体20を開いた状態を斜め上方からの視点で示す斜視図である。
【0032】
キャップ本体10は、容器本体から円筒状に突出した口部(図示省略)に外嵌めして装着する部分であり、口部に合せて全体が略円筒形状に形成されている。
【0033】
キャップ本体10の下部は、口部に装着する底面が開口された装着部であり、その内周部には、口部の外周部に形成された螺旋状の雄ねじ部に螺合するように、螺旋状の雌ねじ部11が形成されている。ただし、口部とキャップ本体10との装着構造はこのようなねじ構造に限るものではなく、従来周知の種々の装着構造を採用することが可能である。
【0034】
ここで、本実施形態では、キャップ本体10を容器の口部に装着した状態において、容器の正面から見た方向を前後方向とし、これに直交する方向を左右方向とする。
【0035】
キャップ本体10の上部には、蓋体20を開閉自在に収納する蓋体収納凹部12が設けられている。蓋体収納凹部12は、本実施形態では、前後方向に開口し、左右方向に直線状の側壁部が平行に設けられた形状となっている。前後方向の開口部は、キャップ本体10の外周部に沿った円弧状となっている。従って、蓋体収納凹部12は、平面視では直線部を有する略楕円形状となっており、前方側から見て左右対称形状となっている。
【0036】
この蓋体収納凹部12の後端部は、キャップ本体10の外周部から内側に凹んだ段差部12aとなっており、この段差部12aに、蓋体20を開閉自在に支持する支持部であるヒンジ部13が設けられている(主に
図2C及び
図2D参照)。また、蓋体収納凹部12の底面には、容器内に収納された内部組成物を吐出するための吐出口14が設けられている。
【0037】
蓋体20は、蓋体収納凹部12に嵌まり合う形状(すなわち、平面視で円以外の形状)となっている。具体的には、前方側が円弧形状の指掛け部21となっており、この指掛け部21の左右両側から後方に向かって平行に直線状の側壁部22,22が形成され、両側壁部22,22の後端部同士が直線状の後壁部23によって連接された構成となっている。すなわち、蓋体20は、前方側から見て左右対称形状となっている。そして、後壁部23と蓋体収納凹部12の段差部12aとに渡って開閉軸であるヒンジ部13が設けられた構成となっている。本実施形態では、キャップ本体10と蓋体20とは、ヒンジ部13も含め樹脂による一体成形によって形成されている。ただし、ヒンジ部13については、樹脂による一体成形ではなく、別途、棒状の支持軸(ピン)を用いてキャップ本体10と蓋体20とを開閉自在に連結する構造であってもよい。すなわち、蓋体20の開閉機構については、特に限定されるものではなく、従来周知の種々の開閉機構を採用することが可能である。
【0038】
蓋体20は、蓋体収納凹部12に収納された状態(すなわち、蓋体20を閉じた状態)において、キャップ本体10の上面10bとほぼ面一となるように構成されている。また、蓋体20は、蓋体収納凹部12に収納された閉状態において、蓋体収納凹部12の底面に設けられた吐出口14を密閉する。
【0039】
また、キャップ本体10の外周部には、円弧状または環状の溝部15が形成され、この溝部15には、複数の第1リブ片16が形成されている。なお、溝部15及び第1リブ片16については、キャップカバー30と関係する部分であり、蓋体20の開閉を規制する蓋ロック機能に直接係わる部分ではないため、後述するクリック機構の説明のところで詳述する。また、本実施形態では、溝部15は環状、すなわちキャップ本体10の外周部の周回方向の全周に渡って一連に形成されている場合について説明し、溝部15が円弧状の場合については後ほど説明する。
【0040】
(2)キャップカバー30の説明
図3Aは、実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップを構成するキャップカバー30を斜め上方からの視点で示す斜視図、
図3Bは、キャップカバー30の底面図である。
【0041】
キャップカバー30は、キャップ本体10に外装する形で装着され、キャップ本体10の外周部に沿って回転自在に設けられている。従って、キャップカバー30は、下部及び上部が共に開口し、少なくとも内周部が円筒形状に形成されている。実施形態では、キャップカバー30は、キャップ本体10の形状に合せて全体が略円筒形状に形成されている。ただし、キャップカバー30の外周形状は必ずしも円筒形状である必要はなく、意匠性や操作性等を考慮して種々の形状とすることができる。例えば、意匠性の面では外周形状を平面視で星型形状や花びら形状、連続する波形形状等にすることが考えられる。また、操作性の面から見れば、外周面をこのような凹凸形状とすることで、キャップカバー30を回転させるときの指の滑りを防止できるといった効果を得ることができる。
【0042】
また、キャップカバー30は、上部側の開口縁部31が、閉じた状態の蓋体20より上方の位置まで延設され、かつ、延設された開口縁部31a,31aから蓋体20の上部に向かって一対の蓋体押え片32,32が延設された構成となっている。
【0043】
また、キャップカバー30は、蓋体20を開閉可能な位置(
図1に示す位置:以下、開閉位置ともいう。)において、蓋体20を開閉操作する指掛け部(操作部)21に対向する前側の周側面に、開口縁部31を下方に凹ませて前側開口凹部33が形成され、蓋体20のヒンジ部13に対向する後ろ側の周側面に、開口縁部31を下方に凹ませて後側開口凹部34が形成されている。前側開口凹部33は、略U字状に形成され、後側開口凹部34は、ヒンジ部13が露出する高さまで凹ませた横長の長方形状に形成されている。このように、蓋体20の開閉位置において、蓋体20の指掛け部21に対向する前側の周側面に前側開口凹部33を形成し、蓋体20のヒンジ部13に対向する後ろ側の周側面に後側開口凹部34を形成することで、開閉位置において蓋体20の指掛け部21とヒンジ部13とがキャップカバー30から露出しているので、蓋体20をスムーズに開閉操作することができる。
【0044】
また、このように前側開口凹部33と後側開口凹部34とを設けることで、キャップカバー30の延設された開口縁部31a(31)は、実質的に開口縁部でもある前側開口凹部33と後側開口凹部34とを除いたキャップカバー30の左右対称位置の2箇所に設けられており、この2箇所の開口縁部31a,31aから蓋体20の上部に向かって一対の蓋体押え片32,32がそれぞれ延設された構成となっている。蓋体押え片32は平面視が弓形状に形成されており、その対向する縁部32a,32aは、前後方向に向かって平行な直線状となっている。
【0045】
この蓋体押え片32は、前記開閉位置において、蓋体収納凹部12の両側に位置するキャップ本体10の上面10bに完全に重なる位置に設けられている(
図1Cを併せて参照)。つまり、前記開閉位置において、蓋体押え片32の縁部32aが、蓋体収納凹部12の縁部に平面視においてほぼ一致し、蓋体20の側壁部22に平面視において対峙するようになっており、蓋体20の上部には重ならないようになっている。
【0046】
その結果、一対の蓋体押え片32,32の縁部32a,32aと前側開口凹部33(31)とによって形成される開口部の平面視での形状が、蓋体20の指掛け部21と左右の側壁部22,22とによって形成される平面視での形状に略一致する形状となっている。
【0047】
すなわち、蓋体押え片32に着目すれば、蓋体押え片32は、前記開閉位置では蓋体20の上部に重ならない位置にあり、この開閉位置からキャップカバー30を回転させることで、蓋体押え片32も同方向に回転して、蓋体20の上部の重なる位置に移動するようになっている。
【0048】
この構成によれば、キャップカバー30の開口部の形状が蓋体20の形状と一致する位置では、蓋体20の開閉が可能となる。一方、この開閉位置から、キャップカバー30を右または左のいずれかの方向に少し回転させると、蓋体20の形状に対してキャップカバー30の開口部の形状が回転方向にずれていく。すなわち、この回転に伴って蓋体押え片32が蓋体20の上部に移動し、蓋体20を上部から押さえる形となって蓋体20の開放を確実に阻止する。つまり、閉じている蓋体20を確実にロックすることができる。この場合、キャップカバー30をほんの少し回転させるだけでも、蓋体20の形状に対してキャップカバー30の開口部の形状が回転方向にずれるので、蓋体20の角部をキャップカバー30の蓋体押え片32で押さえることができる。すなわち、キャップカバー30を僅かに回転させるだけで、閉まっている蓋体20にロックをかけることが可能となっている。
【0049】
一方、キャップカバー30の下部底面は開口されており、その内周部には、キャップ本体10の外周部に形成された溝部15に嵌まり込んで摺動する突起部35が形成されている。形成される突起部35の数は特に限定されるものではないが、溝部15に沿って周回方向の複数箇所に設けられていることが好ましい。本実施形態では、対称位置の2箇所に設けられている。突起部35を複数箇所に設けることで、キャップカバー30の回転がよりスムーズなものとなる。なお、突起部35については、キャップ本体10の溝部15及び第1リブ片16と関係する部分であり、蓋体20の開閉を規制する蓋ロック機能に直接係わる部分ではないため、後述するクリック機構の説明のところで詳述する。
【0050】
(3)蓋ロック機能の説明
実施形態に係る蓋ロック機能付きキャップ1は、上記構成の各部材を組み付けることによって一体に形成されている。すなわち、蓋体20が取り付けられたキャップ本体10にキャップカバー30を外嵌し、キャップカバー30の内周部に形成された突起部35をキャップカバー30の外周部に形成された溝部15に嵌め込むことで、キャップカバー30がキャップ本体10から外れることなく、キャップ本体10の外周部に沿って周回方向に回転自在に装着されている。
図4は、キャップカバー30が開閉位置にある場合の概略平面図であり、
図5ないし
図9は、キャップカバー30を
図4に示す開閉位置に対して右回り方向に15度、45度、90度、135度、165度それぞれ回転させたときの蓋体20と蓋体押え片32との位置関係を示す概略平面図である。
【0051】
図4に示すように、キャップカバー30の前側開口凹部33が蓋体20の指掛け部21に対向する開閉位置では、蓋体押え片32は蓋体20とは重ならない位置にあるため、蓋体20を自由に開閉操作することができる。この場合、
図4に示すように、後側開口凹部34は、その横幅W1がヒンジ部13の幅W2に対して十分広い幅に形成されている。このように、後側開口凹部34の幅W1をヒンジ部13の幅W2より十分広くすることで、使用者が蓋体20を開いた状態でキャップカバー30をうっかり回転させたとしても、後側開口凹部34の左右の縁部がヒンジ部13に直ぐに当たることはなく、当たるまでに若干の余裕があるので、蓋体20を開いたまま回転させるといった不測の事態に対して、ヒンジ部13が破損することを少しでも低減することができる。
【0052】
一方、
図4に示す開閉位置からキャップカバー30を右または左のいずれかの方向に回転させると、その回転が僅かであっても、蓋体押え片32が蓋体20の上部に位置することになり、蓋体20の開動作を抑制して、蓋体20が不測に開かないようにロックすることができる。
【0053】
具体的に説明すると、キャップカバー30を
図4に示す開閉位置から例えば右方向R1に15度回転させると、
図5に示すように、蓋体押え片32も同方向に回転し、その一部が蓋体20の上部に重なることになる。すなわち、この場合には、右側の蓋体押え片32が蓋体20の右前角部分(指掛け部21の右側部分)と僅かではあるが重なり、左側の蓋体押え片32が蓋体20の左後角部分と僅かではあるが重なることになり、蓋体20はこの2箇所の重なり部分(
図5中、重なり部分を破線を付して示す。)において各蓋体押え片32,32によって押さえられ、蓋体20が不測に開かないようにロックされることになる。
【0054】
また、キャップカバー30をさらに回転させて
図4に示す開閉位置から右方向R1に45度回転させると、
図6に示すように、蓋体押え片32もさらに同方向に回転し、その中央部が蓋体20の上部に重なることになる。すなわち、この場合には、右下側の蓋体押え片32が蓋体20の右前角部分(指掛け部21の右側部分)と広い面積で重なり、左上側の蓋体押え片32が蓋体20の左後角部分と広い面積で重なることになり、蓋体20はこの2箇所の重なり部分(
図6中、重なり部分を破線を付して示す。)において、各蓋体押え片32,32によって確実に押さえられ、蓋体20が不測に開かないように確実にロックされることになる。
【0055】
また、キャップカバー30をさらに回転させて
図4に示す開閉位置から右方向R1に90度回転させると、
図7に示すように、蓋体押え片32もさらに同方向に回転し、その縁部32a部分の全体が蓋体20の上部に重なることになる。すなわち、この場合には、下側の蓋体押え片32のほぼ全体が蓋体20の前方部分である指掛け部21の全体と重なり、上側の蓋体押え片32のほぼ全体が蓋体20のヒンジ部13を含む後方部分の全体と重なることになり、蓋体20はこの上下(前後)2箇所の重なり部分(
図7中、重なり部分を破線を付して示す。)において、各蓋体押え片32,32によって確実に押さえられ、蓋体20が不測に開かないように確実にロックされることになる。
【0056】
また、キャップカバー30をさらに回転させて
図4に示す開閉位置から右方向R1に135度回転させると、
図8に示すように、蓋体押え片32もさらに同方向に回転し、その中央部が蓋体20の上部に重なることになる。すなわち、この場合には、右上側の蓋体押え片32が蓋体20の右後角部分(ヒンジ部13が設けられている部分)と広い面積で重なり、左下側の蓋体押え片32が蓋体20の左前角部分(指掛け部21の左側部分)と広い面積で重なることになり、蓋体20はこの2箇所の重なり部分(
図8中、重なり部分を破線を付して示す。)において、各蓋体押え片32,32によって確実に押さえられ、蓋体20が不測に開かないように確実にロックされることになる。
【0057】
また、キャップカバー30をさらに回転させて
図4に示す開閉位置から右方向R1に165度回転させると、
図9に示すように、蓋体押え片32もさらに同方向に回転し、その中央部が蓋体20の上部に重なることになる。すなわち、この場合には、右側の蓋体押え片32が蓋体20の右後角部分(ヒンジ部13が設けられている部分)と僅かではあるが重なり、左側の蓋体押え片32が蓋体20の左前角部分と僅かではあるが重なることになり、蓋体20はこの2箇所の重なり部分(
図9中、重なり部分を破線を付して示す。)において、各蓋体押え片32,32によって押さえられ、蓋体20が不測に開かないようにロックされることになる。
【0058】
なお、上記蓋ロック機能の説明では、キャップカバー30を右方向R1に回転させた場合について説明したが、左方向R2に回転させた場合も全く同様である。また、上記蓋ロック機能の説明では、理解を容易にするために、キャップカバー30の回転角度を15度、45度、90度等のある決まった角度まで回転させたときのロック状態について説明している。しかし、上記説明からも明らかなように、本実施形態の蓋ロック機能付きキャップ1は、キャップカバー30を、開閉位置から僅かでも回転させると、蓋体押え片32が蓋体20の上部に移動して、蓋体20をロックすることになる。すなわち、開閉位置以外であればどの位置にキャップカバー30を回転させても、蓋体20を確実にロックすることが可能な構成となっている。
【0059】
このような蓋ロック機能を実現するためには、上記したように蓋体20の形状が重要であり、蓋体20が円形状であった場合には、開閉位置以外で蓋体20をロックすることはできない。そのため、本実施形態では、蓋体20の形状を前方側の指掛け部21を円弧形状とし、これに続く左右側壁部22,22を平行な直線形状としている。そして、これに対応する蓋体押え片32の縁部32aも、側壁部22に平面視で対峙するように直線形状となっている。しかし、このような形状は一例であり、本発明では蓋体20の平面視での形状が円形状以外の形状であればどのような形状でも対応することができる。以下、蓋体20及び蓋体押え片32の他の形状の具体例について一例を挙げて説明する。
【0060】
(蓋体20及び蓋体押え片32の他の形状の具体例1)
図10は、蓋体20及び蓋体押え片32の他の形状の具体例1を示す平面図である。
【0061】
具体例1では、蓋体20は左右両側の側壁部22,22に直線部分を含まない前後方向に長い楕円形状(ただし、後部側はヒンジ部13を設ける関係上、直線となっている。)となっており、キャップカバー30に設けられる蓋体押え片32も、その縁部32aが平面視で蓋体20の湾曲状の側壁部22に対峙するように凹ませた湾曲状となっており、全体として三日月形状となっている。このような構成であっても、開閉位置以外であればどの位置にキャップカバー30を回転させても、蓋体20を確実にロックすることが可能となる。
【0062】
(蓋体20及び蓋体押え片32の他の形状の具体例2)
図11は、蓋体20及び蓋体押え片32の他の形状の具体例2を示す平面図である。
【0063】
上記実施形態や具体例1では、蓋体20を左右対称形状としているが、具体例2では、意匠性等を考慮して、蓋体20を敢えて左右非対称の形状とした場合を例示している。
【0064】
すなわち、具体例2では、蓋体20の右側の側壁部22のみを直線状とし、左側の側壁部22aは円弧形状としている。すなわち、指掛け部21及び左側の側壁部22aの全体が円弧形状となっている。そのため、具体例2では、キャップカバー30に設けられる蓋体押え片32は、直線である右側の側壁部22に対峙する右側の1箇所のみとなっている。この場合、キャップカバー30を回転させると、蓋体押え片32が蓋体20の上部に重なる位置が1箇所のみとなるが、この場合でも蓋体押え片32によって蓋体20が押さえられることに変わりはないので、蓋体20が不測に開かないようにロックされることになる。
【0065】
上記具体例1,2からも分かるように、本発明の蓋ロック機能付きキャップ1では、蓋体20は円形状以外の形状(ただし、円に極めて近い形状等は除く)であればどのような形状であっても、ロック機能を持たせることができる点に特徴を有している。
【0066】
なお、上記具体例1では、蓋体20の側壁部22、及びこれに対向する蓋体押え片32の縁部32aの両方を共に曲線とし、上記具体例2では、蓋体20の側壁部22、及びこれに対向する蓋体押え片32の縁部32aの両方を共に直線とした場合を例示しているが、このような曲線同士、直線同士のパターンに限定されるものではない。例えば、蓋体20の側壁部22を直線とし、これに対向する蓋体押え片32の縁部32aを曲線とするパターン、蓋体20の側壁部22を曲線とし、これに対向する蓋体押え片32の縁部32aを直線とするパターン等、種々の組み合わせのパターンを採用することが可能である。本発明によれば、ロックさせる回転角度にこだわらなければ、どのような組み合わせのパターンであっても、キャップカバー30を回転させることにより、蓋体押え片32によって蓋体20を直接ロックすることが可能である。
【0067】
また、上記実施形態及び具体例1,2では、蓋体押え片32の数(すなわち設ける箇所)を左右対称位置の2箇所、若しくは左または右の1箇所としているが、蓋体押え片32を設ける箇所は、3箇所以上であってもよい。すなわち、蓋体押え片32をさらに小さく分割して、キャップカバー30の周囲に分散させて配置してもよい。どのように配置するかは、蓋体20の形状との兼ね合いで適宜決定すればよい。
【0068】
一方、使用者にとっては、どの位置に回転させても蓋ロック機能が働くことは操作性の点で便利であるが、その反面、キャップカバー30を回転させて蓋体20が確実にロックされていることを何らかの感触若しくは感覚で確認できれば安心である。そこで、本実施形態では、蓋ロック機能が確実に機能していること、すなわち、蓋体押え片32が蓋体20の上部にあって確実に蓋体20の開放を規制する位置にあることを使用者に知らせるために、クリック機能及び回転ロック機能を備えた構成としている。以下、クリック機能及び回転ロック機能について説明する。
(3)クリック機能及び回転ロック機能の説明
上記したように、キャップカバー30は、内周部に設けられた突起部35が、キャップ本体10の外周部に設けられた溝部15に嵌まり込んで摺動することで、キャップ本体10の周囲を自由に回転する構成としている。
【0069】
そこで、実施形態では、溝部15の適所に、突起部35が当たって乗り越える第1リブ片16を設けている。キャップ本体10及びキャップカバー30は樹脂で形成されている。そのため、キャップカバー30は、樹脂自体の有する弾性力によって多少の変形が可能であり、突起部35はこの弾性変形力によって第1リブ片16を乗り越えるように構成することができる。
【0070】
図12は、蓋ロック機能付きキャップ1の溝部15に沿った横断面図、
図13は第1リブ片16部分を一部拡大した溝部15に沿った横断面図である。
【0071】
図13に示すように、第1リブ片16は、各クリック位置において、突起部35の幅より少し広めの間隔を存して一対設けられている。この一対の第1リブ片16a,16bは、
図13に示すように、回転方向に沿って断面山形に形成されており、かつ、その高さH1は、突起部35の高さH2(すなわち、溝部15の深さに略相当)よりも低くなっている。これにより、突起部35は、溝部15内において第1リブ片16を乗り越えることが可能となっている。そして、この第1リブ片16a,16b間に挟まった状態の突起部35が、左方向R1に回転すると、左側の第1リブ片16aを乗り越えるときにクリック感(樹脂の弾性変形、弾性復帰による弾発力)が得られ、右方向R2に回転すると、右側の第1リブ片16bを乗り越えるときにクリック感を得ることができる。また、各クリック位置において第1リブ片16を一対設けることで、突起部35が第1リブ片16a,16b間に嵌まり込んだときに、その位置で止まった感じ(ロック感)を得ることができる。
【0072】
この構成によれば、キャップカバー30を回転させると、突起部35が第1リブ片16a,16bを乗り越えることで操作者の手にクリック感(及びロック感)が伝わるため、確実にその位置まで回したことを実感(すなわち、感触によって確認)することができる。従って、このような一対の第1リブ片16a,16bを、回転角度で例えば15度ごと、30度ごと、45度ごと等の間隔で溝部15内に形成しておくことで、キャップカバー30を所定の角度に段階的に回転させることが容易となる。
【0073】
なお、
図12では、45度ごとに一対の第1リブ片16a,16bを形成した場合を例示している。従って、この場合には、キャップカバー30が
図4に示す開閉位置まで回転したとき、
図6及び
図8に示す45度の位置まで回転したとき、及び、
図7に示す90度の位置まで回転したときに、それぞれクリック感が得られることになる。
【0074】
また、上記の説明では、キャップカバー30がキャップ本体10の周囲を360度自由に回転できる場合を例に挙げて説明しているが、キャップカバー30の回転角度は例えば90度等に規制されていてもよい。すなわち、確実にロックされる位置まで回転させると、そこで回転が規制され、それ以上は回転しないように構成してもよい。
【0075】
図14は、キャップカバー30の回転角度を90度に規制した場合を例示している。
【0076】
この場合には、溝部15は、キャップ本体10の外周部の全周ではなく、キャップ本体10の左右両側に設けられた一対の第1リブ片16a,16bを中心として、左右の回転方向R1,R2にそれぞれ45度の角度まで(すなわち、全体として90度の回転角度の範囲だけ)形成されている。そして、このように形成された溝部15の端部では、溝部15の端壁15aとこれに対向する1個の第1リブ片16cとによって、一対の第1リブ片16a,16bと同じ機能を果たしている。
【0077】
すなわち、この場合には、端壁15aと第1リブ片16cとの間に嵌まり込んでいる突起部35が、溝部15の反対側の端壁15aに向かって第1リブ片16cを乗り越えるときにクリック感が得られ、溝部15内の突起部35が、端壁15a側に向かって第1リブ片16cを乗り越えたとき、クリック感と共に、端壁15aに当たってそれ以上の回転を規制されるロック感を得ることができる。従って、この場合には、溝部15の端壁15aが、請求項に記載の突起部の回動移動を規制する第2リブ片として機能することになる。
【0078】
すなわち、
図14に示す例では、キャップカバー30が
図1に示す開閉位置まで回転したときにクリック感が得られ、
図6及び
図8に示す45度の位置まで回転したときにクリック感とロック感が得られることになる。
【0079】
この構成によれば、使用者は、蓋体20を閉めた後、回転が止まる位置までキャップカバー30を開閉位置から一方向に一気に回転させればよく、蓋体20がロックされているか否かをいちいち目視等によって確認する必要がない。
【0080】
なお、規制する回転角度の90度はあくまで一例であり、例えば30度、60度、120度、150度等、自由に設定することが可能である。また、上記の回転角度規制では、キャップカバー30を開閉位置から左方向R1及び右方向R2の両方に回転可能として説明しているが、開閉位置から左方向R1または右方向R2のいずれか一方向にのみ例えば45度だけ回転可能に構成してもよい。
【0081】
さらに、
図14では、溝部15をキャップ本体10の外周部の一部に形成することでキャップカバー30の回転角度を規制する構成としているが、溝部15自体はキャップ本体10の外周部の全周に形成しておき、溝部15の端部15aに該当する箇所に、第1リブ片16cよりも背の高い(すなわち、キャップ本体10の外周面まで達する高さの)第2リブ片を形成することで、キャップカバー30の回転角度を規制する構成としてもよい。
【0082】
(4)蓋ロック機能付きキャップ1の装着性の説明
本実施形態の蓋ロック機能付きキャップ1では、キャップカバー30をキャップ本体10に装着するときの装着性も考慮されている。
【0083】
図15は、
図2AのB−B線に沿う断面図である。
【0084】
図2A及び
図15に示すように、キャップ本体10には、溝部15が形成された外周部であって、キャップカバー30に形成された突起部35に対応する位置に、開口縁部31aの上端部から溝部15に達する縦溝17が形成されている。また、縦溝17内であって、溝部15の直上位置には、縦溝17内を突起部35が下方に摺動して溝部15側に乗り越える第3リブ片18が形成されている。この第3リブ片18は、溝部15内に嵌まり込んだ突起部35が縦溝17側に再び戻らない構成とされている。具体的には、第3リブ片18は、開口縁部31a側から溝部15側に向かって外側に広がる傾斜面18aに形成され、この傾斜面18aの下端部から連続する下面18bが水平面となっている。すなわち、第3リブ片18を乗り越えて溝部15に嵌まり込んだ突起部35は、溝部15内での周回方向の回転によって縦溝17と対峙する位置まで回転したとしても、縦溝17の下部は第3リブ片18の水平面(下面)18bによって塞がれており、突起部35はこの水平面18bによって上方への移動が規制される。これにより、キャップカバー30をキャップ本体10に装着するときの装着性が向上するとともに、一旦装着した後は、容易に外れることのない装着構造とすることができる。
【0085】
なお、上記実施形態では、溝部15をキャップ本体10の外周部に設け、突起部35をキャップカバー30の内周部に設けているが、これとは逆に、溝部15をキャップカバー30の内周部に設け、突起部35をキャップカバー30の外周部に設けてもよい。
【0086】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。