特許第6602247号(P6602247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602247
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】超音波メータ、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20191028BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20191028BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   G01F1/66 101
   G01F1/00 T
   G01F1/00 Y
   G01F3/22 B
   G01F3/22 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-65847(P2016-65847)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-181174(P2017-181174A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昭治
(72)【発明者】
【氏名】増田 雄大
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4572546(JP,B2)
【文献】 特許第4418261(JP,B2)
【文献】 特許第4552952(JP,B2)
【文献】 特許第4013355(JP,B2)
【文献】 特開2005−315717(JP,A)
【文献】 特開2007−327775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、前記第1方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に前記第2方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備えると共に、
前記第1方向で超音波が前記所定伝搬距離を伝搬する第1伝搬時間と前記第2方向で前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された前記第1伝搬時間及び前記第2伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記ガス通流路を通流するガスのガス流速を導出する制御部を備え、
前記制御部が、前記一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を、一対の送受波器が受信する超音波の受信強度が目標受信強度となるように調整すると共に、調整された前記送信強度が異常判定閾値を超えた場合に超音波の送受信状態が異常状態にあると判定する超音波メータであって、
前記制御部は、前記ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に基づいて、前記異常判定閾値を変更設定する超音波メータ。
【請求項2】
前記制御部は、前記ガス組成関連値に対応する熱量が低いほど、高い前記異常判定閾値へ変更する請求項1に記載の超音波メータ。
【請求項3】
前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記ガス組成関連値との関係である第1関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、計測した前記伝搬時間と前記第1関係とに基づいて、前記ガス通流路を通流するガスの前記ガス組成関連値を導出する請求項1又は2に記載の超音波メータ。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ガス組成関連値と前記異常判定閾値との関係である第2関係を記憶しており、
前記制御部は、導出した前記ガス組成関連値と前記第2関係とに基づいて、前記ガス組成関連値に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する請求項3に記載の超音波メータ。
【請求項5】
前記ガス通流路を通流するガスの温度を計測する温度計測手段を備え、
前記一対の送受波器にて送受信される前記超音波の音速と、前記ガス通流路を通流する前記ガスの前記ガス組成関連値としての平均分子量と、前記ガス通流路を通流するガスの温度とが有する関係である第3関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、計測された前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記超音波の音速を導出し、導出した音速と、前記温度計測手段が計測した温度と、前記第3関係とから、ガスの前記ガス組成関連値としての前記平均分子量を導出する請求項1又は2に記載の超音波メータ。
【請求項6】
前記記憶部は、前記平均分子量と前記異常判定閾値との関係である第4関係を記憶しており、
前記制御部は、導出したガスの前記平均分子量と前記第4関係とに基づいて、前記平均分子量に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する請求項5に記載の超音波メータ。
【請求項7】
前記制御部は、外部に設けられる外部サーバと通信ネットワークを介して電気的に接続されており、
前記外部サーバは、前記一対の送受波器が設けられる前記ガス通流路を通流する前記ガスの前記ガス組成関連値を逐次更新記憶するように構成されており、
前記ガス組成関連値と前記異常判定閾値との関係である第2関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記外部サーバから前記ガス組成関連値を取得可能に構成されると共に、取得した前記ガス組成関連値と前記第2関係とに基づいて、前記ガス組成関連値に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する請求項1又は2に記載の超音波メータ。
【請求項8】
ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、前記第1方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に前記第2方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備え、
前記第1方向の前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第1伝搬時間と前記第2方向の前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記ガス通流路を通流するガスのガス流速を導出し、
前記一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を調整すると共に、前記送信強度が異常判定閾値を超えた場合にガスの通流状態が異常状態にあると判定する超音波メータの制御方法であって、
前記ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に基づいて、前記異常判定閾値を変更設定する超音波メータの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、前記第1方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に前記第2方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備えると共に、前記第1方向で超音波が前記所定伝搬距離を伝搬する第1伝搬時間と前記第2方向で前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された前記第1伝搬時間及び前記第2伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記ガス通流路を通流するガスのガス流速を導出する制御部を備え、前記制御部が、前記一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を、一対の送受波器が受信する超音波の受信強度が目標受信強度となるように調整すると共に、調整された前記送信強度が異常判定閾値を超えた場合に超音波の送受信状態が異常状態にあると判定する超音波メータ、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波メータとして、ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、第1方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に第2方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備えると共に、第1方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第1伝搬時間と第2方向で所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された第1伝搬時間及び第2伝搬時間と所定伝搬距離とからガス通流路を通流するガスのガス流速を導出し、当該ガス流速とガス通流路の流路断面積とからガス流量を導出する制御部を備えるものが知られている(特許文献1を参照)。
特許文献1に示される超音波メータにあっては、制御部が、一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を、一対の送受波器が受信する超音波の受信強度が目標受信強度となるように自動調整するものが知られている(特許文献2を参照)。
このように、送信強度を自動調整する超音波メータにあっては、超音波が伝搬する伝搬領域において、水滴やダスト等が存在する場合、送信強度が異常上昇することが知られている。
このように送信強度が異常上昇している場合、超音波メータの故障に繋がる虞があると共に、超音波メータが故障すると正確なガス流量が測定できず安全性の観点から問題がある。このため、上述の超音波メータにあっては、制御部を、自動調整された超音波の送信強度が予め決定された特定の異常判定閾値を超えた場合に、超音波の送受信状態が異常状態にあると判定するように構成すると共に、異常状態にあると判定した場合に、送信強度増幅異常警報を発報する制御を実行したり、ガス通流路に設けられる遮断弁を異常遮断する遮断制御を実行したりするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−337726号公報
【特許文献2】特開2005−257359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような超音波メータが設置されるガス通流路を通流するガスは、経時的にそのガス組成関連値(具体的には、ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量)が変化する場合があり、例えば、通常熱量(45MJ/m3)の都市ガス13A以外に、低熱量(42MJ/m3)の都市ガス13Aが供給される場合がある。
そして、今般、本願の発明者らは、鋭意検討することにより、ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値が変動する場合、上述の超音波メータにおいて、自動調整される超音波の送信強度が変動するという新たな知見を見出した。このように、自動調整される超音波の送信強度が変動する場合、超音波の送受信状態に異常がない、即ち、超音波の伝搬領域にダストや水滴が存在しないにも関わらず、送信強度増幅異常警報が発報されたり、ガス通流路の異常遮断が行われる虞があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスのガス組成関連値(ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量)の変動に起因した超音波の送信強度の増幅異常警報の発報や、ガス組成関連値の変動に起因したガス通流路の異常遮断が実行されることを防止でき、ガス組成関連値が変動する場合にも適切に利用できる汎用性の高い超音波メータ、及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための超音波メータは、
ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、前記第1方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に前記第2方向で所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備えると共に、
前記第1方向で超音波が前記所定伝搬距離を伝搬する第1伝搬時間と前記第2方向で前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、計測された前記第1伝搬時間及び前記第2伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記ガス通流路を通流するガスのガス流速を導出する制御部を備え、
前記制御部が、前記一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を、一対の送受波器が受信する超音波の受信強度が目標受信強度となるように調整すると共に、調整された前記送信強度が異常判定閾値を超えた場合に超音波の送受信状態が異常状態にあると判定する超音波メータであって、その特徴構成は、
前記制御部は、前記ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に基づいて、前記異常判定閾値を変更設定する点にある。
【0007】
上記目的を達成するための超音波メータの制御方法は、
ガス通流路を通流するガスの流れ方向に対して、当該流れ方向に沿った第1方向及び当該第1方向とは逆方向の第2方向に超音波を伝搬させて、前記第1方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信すると共に前記第2方向の所定伝搬距離を伝搬した超音波を受信する一対の送受波器を備え、
前記第1方向の前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第1伝搬時間と前記第2方向の前記所定伝搬距離を超音波が伝搬する第2伝搬時間とを計測し、前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記ガス通流路を通流するガスのガス流速を導出し、
前記一対の送受波器が送信する超音波の送信強度を調整すると共に、前記送信強度が異常判定閾値を超えた場合にガスの通流状態が異常状態にあると判定する超音波メータの制御方法であって、その特徴構成は、
前記ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に基づいて、前記異常判定閾値を変更設定する点にある。
【0008】
本願の発明者らは、上述したように、ガス通流路を通流するガス組成関連値(ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量等)が変化する場合、超音波メータにおいて、調整される超音波の送信強度が変動するという新たな知見を見出した。説明を追加すると、低熱量(42MJ/m3)の都市ガス13Aは、通常熱量(45MJ/m3)の都市ガス13Aと比較的して、超音波の送信強度が高くなる傾向にあることを見出した。
上記構成によれば、制御部は、ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に基づいて、超音波の送受信状態の異常の有無を判定するための異常判定閾値を変更するように構成されているから、ガス通流路を通流するガス組成関連値が変動した場合にも、その変動に対応して異常判定閾値を適切な値に変更できる。
例えば、ガスが通常熱量(45MJ/m3)から低熱量(42MJ/m3)へ変化した場合、送信強度が高くなるため、異常判定閾値を高い側へ変更することで、ガス組成関連値の変動に起因した増幅異常警報の発報や、ガス組成関連値の変動に起因したガス通流路の異常遮断が実行されることを防止できる。
これにより、ガスのガス組成関連値(ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量)の変動に起因した超音波の送信強度の増幅異常警報の発報や、ガス組成関連値の変動に起因したガス通流路の異常遮断が実行されることを防止でき、ガス組成関連値が変動する場合にも適切に利用できる汎用性の高い超音波メータ、及びその制御方法を提供できる。
【0009】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記制御部は、前記ガス組成関連値に対応する熱量が低いほど、高い前記異常判定閾値へ変更する点にある。
【0010】
即ち、本願の発明者らは、ガス組成関連値に対応する熱量が低いほど、高い異常判定閾値へ変更することで、ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値が変動する場合であっても、当該ガス組成関連値の変動による送信強度の変化の影響を除外した状態で、超音波の送受信状態が異常状態にあるか否かを適切に判定し得る超音波メータを完成したのである。
【0011】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記ガス組成関連値との関係である第1関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、計測した前記伝搬時間と前記第1関係とに基づいて、前記ガス通流路を通流するガスの前記ガス組成関連値を導出する点にある。
【0012】
本願の発明者らは、超音波の第1伝搬時間又は第2伝搬時間である伝搬時間がガス組成関連値に関連することを見出した。例えば、後述の〔表1〕、〔表2〕のテーブルに示すように、低熱量(42MJ/m3)の都市ガス13Aの伝搬時間は、通常熱量(45MJ/m3)の都市ガス13Aの伝搬時間に比べ、少なくとも15μs以上(変化率は10%程度以上)は小さいものとなることを見出した。
上記特徴構成によれば、超音波の伝搬時間とガス組成関連値との関係である第1関係を、例えば、テーブル形式(後述する〔表1〕や〔表2〕に示すような形式)や関数形式で保持する記憶部を備えると共に、第1伝搬時間又は第2伝搬時間である伝搬時間と第1関係とから通流するガスのガス組成関連値を導出する制御部とを備えることで、従来の超音波メータが備える装置構成を大きく変更することなく、ガス組成関連値を良好に導出できる。そして、導出したガス組成関連値に対応する形態で、異常判定閾値を良好に変更できる。
【0013】
尚、第1方向d1に沿った超音波の第1伝搬時間t1及び第2方向d2に沿った超音波の第2伝搬時間t2は、図1に示すように、超音波が伝搬する所定伝搬距離をL(m)、音速をC(m/s)、ガスの流速をV(m/s)、ガスの流れ方向と超音波が伝搬する第1方向及び第2方向が成す角度をθ(°)とした場合、以下の〔式1〕、〔式2〕で示される関係を有する。
t1=L/(C+V・cosθ)・・・〔式1〕
t2=L/(C−V・cosθ)・・・〔式2〕
【0014】
上記〔式1〕、〔式2〕からもわかるように、超音波の伝搬時間は、ガスの流速にも依存するものである。しかしながら、ガスの流速の変化に起因する超音波の伝搬時間の変化率は、超音波メータの所定伝搬距離を70mm程度、ガスの流速の変動が0〜5.5m/sec程度、音速Cを340m/sec程度、取付角度θが40°の一般的な値であると仮定すると、ガスの流速が0から5.5m/secへ変化するときの伝搬時間の変化率は、高々1.2%程度であり、ガスの熱量が低熱量(42MJ/m3)の都市ガス13Aと通常熱量(45MJ/m3)の都市ガス13Aとの間で変動する場合の伝搬時間の変化率(10%程度以上)に比べ、十分小さい変化となるため、無視できるものとなる。
【0015】
即ち、上記特徴構成を有する超音波メータによれば、ガス通流路を通流するガスの流速の大小に関わらず、超音波メータにて逐次導出される第1伝搬時間又は第2伝搬時間である伝搬時間に基づいて、ガス組成関連値を適切に導出することができるのである。
【0016】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記記憶部は、前記ガス組成関連値と前記異常判定閾値との関係である第2関係を記憶しており、
前記制御部は、導出した前記ガス組成関連値と前記第2関係とに基づいて、前記ガス組成関連値に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、記憶部は、ガス組成関連値と異常判定閾値との第2関係をも記憶するものであるから、制御部は、導出したガス組成関連値と第4関係とから、ガス組成関連値に対応する異常判定閾値を適切に抽出することができ、異常判定閾値をガス組成関連値に対応した異常判定閾値へ、適切に変更設定できる。
これにより、ガス通流路を通流するガスのガス組成関連値に適切に対応した異常判定閾値に基づいて、超音波メータの異常状態の判定を適切に実行できる。
【0018】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記ガス通流路を通流するガスの温度を計測する温度計測手段を備え、
前記一対の送受波器にて送受信される前記超音波の音速と、前記ガス通流路を通流する前記ガスの前記ガス組成関連値としての平均分子量と、前記ガス通流路を通流するガスの温度とが有する関係である第3関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第1伝搬時間又は前記第2伝搬時間である伝搬時間と前記所定伝搬距離とから前記超音波の音速を導出し、導出した音速と、前記温度計測手段が計測した温度と、前記第3関係とから、ガスの前記ガス組成関連値としての前記平均分子量を導出する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、ガス組成関連値としてガスの平均分子量を良好に採用することができる。
即ち、上述した〔式1〕、〔式2〕で導出される第1伝搬時間t1及び第2伝搬時間t2を用いて、超音波の音速Cは、以下の〔式3〕にて表すことができる。
C=L/2・(1/t1+1/t2)・・・・〔式3〕
詳細な説明は省略するが、超音波の伝搬媒体(本明細書においては、ガス)の温度毎に、〔式3〕にて導出された音速Cと伝搬媒体の平均分子量とは、一次の相関関係又は2次の相関関係を有している。
上記特徴構成にあっては、温度毎に当該一次の相関関係又は二次の相関関係を第3関係として記憶部に記憶しており、導出した音速Cと、温度計測手段が計測した温度と、第3関係とから、伝搬媒体(ガス)の平均分子量を導出することができるのである。
【0020】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記記憶部は、前記平均分子量と前記異常判定閾値との関係である第4関係を記憶しており、
前記制御部は、導出したガスの前記平均分子量と前記第4関係とに基づいて、前記平均分子量に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、記憶部は、平均分子量と異常判定閾値との第4関係をも記憶するものであるから、制御部は、導出した平均分子量と第4関係とから、平均分子量に対応する異常判定閾値を適切に抽出することができ、異常判定閾値を平均分子量に対応した異常判定閾値へ、適切に変更設定できる。
これにより、ガス通流路を通流するガスの平均分子量に適切に対応した異常判定閾値に基づいて、超音波メータの異常状態の判定を適切に実行できる。
【0022】
超音波メータの更なる特徴構成は、
前記制御部は、外部に設けられる外部サーバと通信ネットワークを介して電気的に接続されており、
前記外部サーバは、前記一対の送受波器が設けられる前記ガス通流路を通流する前記ガスの前記ガス組成関連値を逐次更新記憶するように構成されており、
前記ガス組成関連値と前記異常判定閾値との関係である第2関係を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記外部サーバから前記ガス組成関連値を取得可能に構成されると共に、取得した前記ガス組成関連値と前記第2関係とに基づいて、前記ガス組成関連値に対応する前記異常判定閾値を抽出し、抽出した前記異常判定閾値へ変更設定する点にある。
【0023】
本発明の超音波メータにあっては、上記特徴構成の如く、自身を通過するガスのガス組成関連値を、外部に設けられる外部サーバから取得するように構成することもでき、制御部は、取得したガス組成関連値と第2関係を用いて、ガス組成関連値に対応する異常判定閾値を抽出し、抽出した異常判定閾値へ変更設定することもできる。
尚、例えば、超音波メータは、外部サーバから、製造所にて切り換えられたガス組成関連値に加え、ガスを送出するガス製造所においてガス組成関連値を切り換えたタイミングを受信するように構成することができる。更に、製造所から超音波メータの設置箇所までのガス導管の長さと、ガス流速とに基づいて、切り換えられたガス組成関連値に係るガスが、超音波メータの設置箇所に到達する時期を導出するように構成できる。超音波メータは、導出した時期に、ガス組成関連値を更新することにより、ガス組成関連値に係るガスが自身に到達する適切な時期に、ガス組成関連値を更新記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る超音波メータの概略構成図
図2】第2実施形態に係る超音波メータの概略構成図
図3】第3実施形態に係る超音波メータの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施形態に係る超音波メータは、ガスのガス組成関連値(ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量)の変動に起因した超音波の送信強度の増幅異常警報の発報や、ガス組成関連値の変動に起因したガス通流路の異常遮断が実行されることを防止でき、ガス組成関連値が変動する場合にも適切に利用できる汎用性の高い超音波メータ、及びその制御方法に関する。以下、図面に基づいて、当該超音波メータ、及びその制御方法の実施形態について説明を加える。
【0026】
〔第1実施形態〕
当該実施形態に係る超音波メータ100は、図1に示すように、ガス通流路11を通流するガス(例えば、都市ガス13A)の流れ方向(図1で、矢印gに沿う方向)に対して、当該流れ方向に沿った第1方向d1及び当該第1方向とは逆方向の第2方向d2に超音波を伝搬させて、第1方向d1で所定伝搬距離Lを伝搬した超音波を受信すると共に第2方向d2で所定伝搬距離Lを伝搬した超音波を受信する一対の送受波器10a、10bを備えると共に、第1方向d1で超音波が所定伝搬距離Lを伝搬する第1伝搬時間t1と第2方向で超音波が所定伝搬距離Lを伝搬する第2伝搬時間t2とを計測し、計測された第1伝搬時間t1及び第2伝搬時間t2とを所定伝搬距離Lとからガス通流路11を通流するガスのガス流速を導出し、導出したガス流速からガス通流路11を通流するガス流量を導出する制御装置C(制御部の一例)を備えている。
【0027】
説明を追加すると、制御装置Cは、基本構成として、超音波メータ100の全体を制御する中央制御部C1と、送受波器10a、10bでの超音波の送受信を制御する送受波器制御部C2と、送受波器10a、10bでの超音波の送信強度を、送受波器10a、10bでの超音波の受信強度が適切な強度となるように増幅する送信強度増幅部C3と、上述の第1伝搬時間t1及び第2伝搬時間t2を計測する伝搬時間計測部C4と、伝搬時間計測部C4にて計測された伝搬時間からガス通流路11を通流するガスのガス流速を導出する流速導出部C5と、流速導出部C5にて導出されたガス流速からガス通流路11を通流するガス流量を導出する流量導出部C6とを備えている。
流量導出制御の実行に際し、中央制御部C1は、送受波器10a、10bを駆動するように送受波器制御部C2に駆動指令を指示するのと同時に、伝搬時間計測部C4としての計数回路(図示せず)に計数指令を指示する。
駆動指令を受けた送受波器制御部C2は、送受波器10a、10bの夫々に超音波を送信させる送信信号を送信すると共に送受波器10a、10bが超音波を受信した受信信号を、伝搬時間計測部C4に送信する。
送受波器制御部C2から受信信号を受けた伝搬時間計測部C4としてのゼロクロス検知回路(図示せず)は、受信タイミングを検出し、伝搬時間計測部C4としての計数回路での計数を停止する。即ち、伝搬時間計測部C4としての計数回路が計数した時間が第1伝搬時間t1又は第2伝搬時間t2となる。
尚、送受波器制御部C2から送受波器10a、10bの超音波を送信させる送信信号は、送受波器10a、10bの送信強度に関連する値(例えば、信号の電圧値)を有している。送受波器制御部C2は、送受波器10a、10bの超音波の受信強度が適切な強度となるように、送信強度増幅部C3にて送受波器10a、10bの送信信号の送信強度に関連する値を増幅した後に、送信信号を送受波器10a、10bへ送信するように構成されている。
【0028】
伝搬時間計測部C4にて計測された第1伝搬時間t1、第2伝搬時間t2は、図1に示すように、超音波が伝搬する所定伝搬距離をL(m)、音速をC(m/s)、ガス流速をV(m/s)、ガスの流れ方向と超音波が伝搬する第1方向及び第2方向が成す角度をθ(°)とした場合、以下の〔式1〕、〔式2〕で示される関係を有する。
t1=L/(C+V・cosθ)・・・〔式1〕
t2=L/(C−V・cosθ)・・・〔式2〕
【0029】
そこで、流速導出部C5は、上記〔式1〕及び〔式2〕を連立させる形態で、ガス流速Vを導出し、流量導出部C6は、導出されたガス流速Vとガス通流路11の流路断面積Sとを積算する形態で、ガス流量を導出するように構成されている。中央制御部C1は、流量導出部C6にて導出されたガス流量を、カウンタ等の表示部21にて表示して、外部から視認可能とする。
【0030】
ここで、超音波が伝搬する伝搬路において、ダストや水滴等が存在する場合、それらの存在により、送信強度が異常上昇することが知られている。このように、送信強度が異常上昇している場合、超音波メータの故障(特に、一対の送受波器10a、10bの故障)につながる虞があると共に、超音波メータが故障すると正確なガス流量が測定できない虞があり安全性の観点から問題がある。
そこで、当該実施形態に係る超音波メータ100にあっては、送信強度増幅部C3から得られる送信強度に基づいて一対の送受波器10a、10bの超音波の送受信状態が異常状態にあると判定する送信強度異常判定部C7と、送信強度異常判定部C7が送受信状態が異常状態にあると判定した場合に警報器22に警報出力指令を出力する警報出力制御部C8と、送信強度異常判定部C7が送受信状態が異常状態にあると判定した場合にガス通流路11を遮断する遮断弁(図示せず)に遮断指令を出力する異常遮断制御部C9とを備えている。
説明を追加すると、送信強度異常判定部C7は、送信強度が警報を出力するための警報出力用異常判定閾値(異常判定閾値の一例)を超えた場合、送受信状態が警報出力レベルで異常状態にあると判定し、警報出力制御部C8が警報器22に警報出力指令を出力する。また、送信強度異常判定部C7は、送信強度が遮断弁を遮断するためのガス通流路遮断用異常判定閾値(異常判定閾値の一例:警報出力用異常判定閾値よりも高い閾値)を超えた場合、送受信状態がガス通流路遮断レベルで異常状態にあると判定し、異常遮断制御部C9が遮断弁に遮断指令を出力する。
【0031】
更に、本願の発明者らは、ガス通流路13を通流するガスのガス種(ガス組成関連値の一例)が変化する場合にも、超音波の送信強度が変動するという新たな知見を見出した。説明を追加すると、例えば、低熱量(42MJ/m3)の都市ガス13Aは、通常熱量(45MJ/m3)の都市ガス13Aと比較して、超音波の送信強度が高くなる傾向にあることを見出した。ちなみに、〔表1〕、〔表2〕に示す伝搬時間は、第1伝搬時間である。
更に、本願の発明者らは、ガス通流路13を通流するガスのガス種が異なる場合、超音波の伝搬時間(上述した第1伝搬時間又は第2伝搬時間)が変化することを見出し、その変化量は、ガス流量の変動に基づく伝搬時間の変動よりも十分に大きい(例えば、二桁程度大きい)ことを見出した。
【0032】
これらの知見に基づいて、本願の制御装置Cにあっては、ガス通流路11を通流するガスの伝搬時間からガス種を導出し、導出したガス種に基づいて、異常判定閾値を変更設定するように構成されている。
【0033】
異常判定閾値が警報出力用異常判定閾値である場合について、説明を追加すると、制御装置Cは、第1伝搬時間t1とガス種との関係である第1関係(以下の〔表1〕で1列目と2列目とに示す関係)を記憶する記憶部Mと、伝搬時間計測部C4にて計測された第1伝搬時間t1と記憶部Mにて記憶される第1関係とからガス通流路11を通流するガスのガス種を導出(特定)するガス種導出部C10とを備えている。
更に、制御装置Cの記憶部Mは、ガス種と警報出力用異常判定閾値との関係である第2関係(以下の(表1)で2列目と3列目以降の列とに示す関係)を記憶すると共に、ガス種導出部C10にて導出されたガス種と第2関係とに基づいて、ガス種に対応する警報出力用異常判定閾値を抽出し、抽出した警報出力用異常判定閾値へ変更設定する異常判定閾値変更設定部C11を備えている。
第2関係について説明を追加すると、異常判定閾値は温度依存性があるため、記憶部Mには、警報出力用異常判定閾値は、温度域毎に異なる値が記憶されている。このため、異常判定閾値変更設定部C11は、警報出力用異常判定閾値を抽出する場合、図示しない温度センサ23により計測されたガス通流路11の内部温度の計測値も用いて、警報出力用異常判定閾値を抽出することになる。
【0034】
【表1】
【0035】
次に、異常判定閾値が遮断用異常判定閾値である場合について、説明を追加すると、制御装置Cの記憶部Mは、異常判定閾値が警報出力用異常判定閾値である場合と同一の第1関係(以下の〔表2〕で1列目と2列目との関係)を記憶している。更に、記憶部Mは、ガス種と遮断用異常判定閾値との関係である第2関係(以下の(表2)で2列目と3列目以降の列とに示す関係)を記憶している。異常判定閾値変更設定部C11は、ガス種導出部C10にて導出されたガス種と第2関係とに基づいて、ガス種に対応する遮断用異常判定閾値を抽出し、抽出した遮断用異常判定閾値へ変更設定する。
【0036】
【表2】
【0037】
因みに、第1関係及び第2関係に関し説明を追加すると、第1関係は、伝搬時間が短いほど、低い熱量のガス種に対応する関係にあり、第2関係は、低い熱量に対応するガス種ほど、高い異常判定閾値(警報出力用異常判定閾値及び遮断用異常判定閾値)に対応する関係にある。
従って、異常判定閾値変更設定部C11は、ガス種が抽出されるガス種に対応する熱量が低いほど、高い異常判定閾値へ変更設定することとなる。
【0038】
〔第2実施形態〕
当該第2実施形態に係る超音波メータ100は、上記第1実施形態に対し、ガス組成関連値として平均分子量を用いる点、即ち、機能部としては、ガス種導出部C10に替えて、平均分子量導出部C10を備える点に特徴がある。そこで、以下では、その点について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一の構成及び制御については、説明を割愛する場合がある。
【0039】
当該第2実施形態に係る超音波メータ100にあっては、ガス組成関連値としてガスの平均分子量を良好に採用することができる。
即ち、上述した〔式1〕、〔式2〕で導出される第1伝搬時間t1及び第2伝搬時間t2を用いて、超音波の音速Cは、以下の〔式3〕にて表すことができる。
C=L/2・(1/t1+1/t2)・・・・〔式3〕
超音波の伝搬媒体(本明細書においては、ガス)の温度毎に、〔式3〕にて導出された音速Cと伝搬媒体の平均分子量とは、一次の相関関係又は2次の相関関係を有している。
従って、当該実施形態にあっては、温度毎に当該一次の相関関係又は二次の相関関係を第3関係として記憶部Mに記憶しており、導出した音速Cと、温度センサ23が計測した温度と、第3関係とから、伝搬媒体(ガス)の平均分子量を導出することができるのである。
ここで、ガス通流路11を通流するガスの温度Tは、温度センサ23にて計測できるから、平均分子量導出部C10が、伝搬時間計測部C4にて計測される第1伝搬時間t1、第2伝搬時間t2と所定伝搬距離Lとを上記〔式3〕に導入することにより音速Cを求め、当該音速Cと、温度センサ23にて計測されるガスの温度Tと、上記第3関係とにより、ガスの平均分子量を導出するように構成されている。
更に、記憶部Mは、平均分子量と異常判定閾値との関係である第4関係を記憶しており、異常判定閾値変更設定部C11は、平均分子量導出部C10にて導出したガスの平均分子量と第4関係とに基づいて、平均分子量に対応する異常判定閾値を抽出し、抽出した異常判定閾値へ変更するように構成されている。
尚、第4関係は、異常判定閾値として、警報出力用異常判定閾値と遮断用異常判定閾値との夫々につき、上記第1実施形態の〔表1〕、〔表2〕で示した第2関係と略同様に、各別のテーブルを有するものであり、温度により異なる異常判定閾値を保持するものである。
【0040】
〔第3実施形態〕
当該第2実施形態に係る超音波メータ100は、上記第1実施形態に対し、ガス組成関連値を外部のガス種関連情報管理サーバS(外部サーバの一例)から取得する点に特徴がある。そこで、以下では、その点について重点的に説明することとし、第1実施形態と同一の構成及び制御については、説明を割愛する場合がある。
当該実施形態にあっては、当該ガス種関連情報管理サーバSは、一対の送受波器10a、10bが設けられるガス通流路11を通流するガスのガス組成関連値(例えば、ガス種)を逐次更新記憶するように構成されている。
【0041】
制御装置Cは、外部に設けられるガス種関連情報管理サーバSと通信ネットワークNを介して電気的に接続されており、制御装置Cとしての異常判定閾値変更設定部C11は、ガス種関連情報管理サーバSに記憶されるガス種関連値を、逐次取得可能に構成されている。
記憶部Mは、ガス組成関連値(例えば、ガス種)と異常判定閾値(警報出力用異常判定閾値及び遮断用異常判定閾値を含む概念)との関係である第2関係(第1実施形態で示した第2関係と同一の関係)を記憶している。
異常判定閾値変更設定部C11は、ガス種関連情報管理サーバSから取得したガス組成関連値と第2関係とに基づいて、ガス組成関連値に対応する異常判定閾値を抽出し、抽出した異常判定閾値へ変更設定する。
〔別実施形態〕
【0042】
(1)上記第1、3実施形態にあっては、ガス組成関連値は、ガス種である例を示したが、ガス組成、ガスの熱量、ガスの平均分子量等であっても構わない。
この場合、記憶部Mは、ガス組成、ガスの熱量ガスの平均分子量の夫々と、伝搬時間との関係を記憶する点、及びガス種導出部C10としての機能部が、ガス組成、ガスの熱量及びガスの平均分子量を導出する機能部となる点を除き、構成及び制御は、上記第1実施形態と変わるところはない。
【0043】
(2)上記実施形態においては、ガス組成関連値が、ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量であるものとした。しかしながら、ガス組成関連値は、第1伝搬時間又は第2伝搬時間であっても構わない。
即ち、上記実施形態においては、記憶部は、伝搬時間とガス組成関連値との第1関係に加え、ガス組成関連値と異常判定閾値との第2関係を記憶するものである例を示した。
しかしながら、記憶部は、伝搬時間と異常判定閾値との関係を記憶するものであり、制御部は、伝搬時間と、伝搬時間と異常判定閾値との関係とから、異常判定閾値を導出する構成を採用しても構わない。
【0044】
(3)上記実施形態において、異常判定閾値として、警報出力用異常判定閾値と遮断用異常判定閾値がある例を示したが、双方を有していなくても良く、別に何れか一方であっても構わない。
【0045】
(4)上記実施形態において、〔表1〕及び〔表2〕に記載の伝搬時間は、第1伝搬時間t1であるとしたが、第1伝搬時間t1と第2伝搬時間t2との差は、数ns〜数μs程度であるので、第2伝搬時間t2であっても構わない。
また、第1伝搬時間t1と第2伝搬時間t2の平均値であっても、本願の目的を好適に実現できる。
【0046】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の超音波メータ、及びその制御方法は、ガスのガス組成関連値(ガス種、ガス組成、熱量、平均分子量)の変動に起因した超音波の送信強度の増幅異常警報の発報や、ガス組成関連値の変動に起因したガス通流路の異常遮断が実行されることを防止でき、ガス組成関連値が変動する場合にも適切に利用できる汎用性の高い超音波メータ、及びその制御方法として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10a :送受波器
10b :送受波器
11 :ガス通流路
23 :温度センサ
100 :超音波メータ
C :制御装置
L :所定伝搬距離
M :記憶部
N :通信ネットワーク
S :ガス種関連情報管理サーバ
T :温度
V :ガス流速
d1 :第1方向
d2 :第2方向
t1 :第1伝搬時間
t2 :第2伝搬時間
図1
図2
図3