(54)【発明の名称】エレベータ機械室図面生成装置、エレベータ機械室モデリングデータ生成装置、エレベータ機械室図面生成方法、及びエレベータ機械室モデリングデータ生成方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて実施形態を説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0012】
<第一実施形態>
第一実施形態では、3次元計測点群を基に、エレベータ機械室の図面を出力する図面生成装置の例を説明する。
【0013】
[システム構成]
図1は、本発実施形態で適用される図面生成システム1を構成するエレベータ機械室図面生成装置100および周辺機器を含む構成例を示している。図面生成システム1全体は、エレベータ機械室図面生成装置100、入出力装置140、3次元計測装置150を有する。ユーザ(現地調査者など)は、入出力装置140の操作を通じてエレベータ機械室図面生成装置100の機能を利用する。エレベータ機械室図面生成装置100は、一般的な計算機(PC、サーバ等)で構成可能であり、例えばソフトウェアプログラム処理により本特徴的な処理機能(処理装置110の各処理部)を実現する。
【0014】
エレベータ機械室図面生成装置100は処理装置110、記憶装置120、入出力I/F(インタフェース
)130を備える。そして、入出力I/F装置130に入出力装置140が接続される。その入出力装置140に3次元計測装置150が接続される。
【0015】
入出力装置140は、ユーザの操作により、計測点群などの入力を行う入力装置やエレベータ機械室図面などの出力を行う出力装置であり、例えばキーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、スマートフォン、タブレット型PCなどがある。
【0016】
入出力I/F装置130は、入出力装置140とデータ交換などのインタフェース制御(周辺デバイス制御)の処理を行う部分である。
【0017】
3次元計測装置150は、計測地点の周辺の構造物の形状を点群データとして取得する計測装置であり、入出力装置140と一般的な無線ネットワークや有線ネットワーク、メモリカードなどの物理的媒体を介して接続する。図面生成システム1では、処理装置110が記憶装置120に記憶されたデータを用いた処理を行い、更に入出力I/F装置130がインタフェース制御処理を実行することにより、入出力装置140の画面で、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を構成し、各種の情報を表示する。
【0018】
処理装置110は、例えばCPU,RAM,ROM等の公知の要素により構成される。処理装置110は、本特徴的な機能を実現する処理を行う部分であり、データ読み込み部201、部品認識部202、ロープ落とし位置算出部203、図面生成部204、結果出力部205を有する。
【0019】
なお、エレベータ機械室図面生成装置100は、図示しないが、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどの公知の要素を有し、特にディスプレイなどの入出力装置140にGUI画面を表示するための既存の処理機能を備える。処理装置110は、上記の既存の処理機能を用いて、所定の画面を描画し表示する処理や、画面でユーザ入力されるデータ情報の処理などを行う。よってデータ読み込み部201、部品認識部202、ロープ落とし位置算出部203、図面生成部204、結果出力部205も各部の機能を実現するソフトウェアを含んで構成され、これらのソフトウェアが処理装置110を構成するハードウェアの一つであるCPUによりRAMにロードされて実行されることにより構成される。
【0020】
記憶装置120は、例えばHDDやSSD等の公知の要素により構成され、計測点群記憶部301、部品認識結果記憶部302、ロープ落とし位置記憶部303、出力図面記憶部304を含む、記憶部ないし対応するデータ情報(例えばデータベースやテーブル)を有する構成である。
【0021】
計測点群記憶部301は、処理装置110で本特徴的な機能の実現に用いる入力情報であり、入出力装置140を介して3次元計測装置150が取得する計測点群を基に、計測点群データ4100(
図3参照)を記憶する部分である。
【0022】
部品認識結果記憶部302は、部品認識部202の出力である部品認識結果データ4200(
図5参照)を記憶する部分である。
【0023】
ロープ落とし位置記憶部303は、ロープ落とし位置算出部203の出力であるロープ落とし位置データ4300(
図6参照)を記憶する部分である。
【0024】
出力図面記憶部304は、図面生成部204の出力である出力図面データとしての平面
図103、及び断面
図104(
図18参照)を記憶する部分である。なお、本実施形態では説明の便宜のため出力図面データの例として平面
図103、断面
図104と記載したが、出力図面データのデータ形式は平面
図103、断面
図104に限らず、後述するクラスタデータ4400(
図10参照)にロープ落とし位置の座標を加えたクラスタデータでもよい。
【0025】
[フローチャート]
図2は3次元計測データを基に、エレベータ機械室図面を自動で出力する処理のフローチャートの例である。
【0026】
(S101)データ読み込み部201は、ユーザが入出力装置140にて入力した3次元計測データを取得し、計測点群記憶部301内の計測点群データ4100の形式に沿って、計測点群記憶部301に記憶する。
【0027】
(S102)部品認識部202は、計測点群記憶部301に記憶されている計測点群データ4100を用いて、部品認識結果データ4200を算出し、部品認識結果記憶部302に記憶する。なお、本ステップS102の詳細は、後述する。
【0028】
(S103)ロープ落とし位置算出部203は、計測点群記憶部301に記憶されている計測点群データ4100と、部品認識結果記憶部302に記憶されている部品認識結果データ4200を用いてロープ落とし位置データ4300を生成し、ロープ落とし位置記憶部303に記憶する。なお、本ステップS103の詳細は後述する。
【0029】
(S104)図面生成部204は、計測点群記憶部301に記憶されている計測点群データ4100と、部品認識結果記憶部302に記憶されている部品認識結果データ4200と、ロープ落とし位置記憶部303に記憶されているロープ落とし位置データ4300を用いて、出力図面データとしての平面
図103及び断面
図104を生成し、出力図面記憶部304に記憶する。なお本ステップS104の詳細は、後述する。
【0031】
[計測データ]
図3は、計測点群記憶部301に記憶する計測点群データ4100のテーブル例である。計測点群データ4100のテーブルは、頂点を固有に識別する頂点ID4101と、その頂点IDが付与された計測点のX座標4102、Y座標4103、Z座標4104とを有する。テーブルの縦軸には、3次元計測によって得られる計測点の頂点が並ぶ。なお、
図3は、3次元空間上での1点を一意に特定するための最低限の情報が示してあり、この他に、各計測点での輝度、レーザの反射強度、色、といった情報を利用してもよい。また、本計測点群データは、1つの計測機で得た計測データや、複数の計測機から得た計測データの座標を合わせて位置合わせしたデータを用いてもよい。
【0032】
図4に、計測点群データを3次元空間上にプロットした点の例を示す。計測点群データをプロットすると、面、直方体等の幾何学形状が読み取れる。以後の処理ではプロットした点群の幾何学形状が実際のエレベータ機械室にあるどの部品(床、天井、梁等の構造物の他、機械室内に設置された巻上機や制御盤などの設置物を含む)に相当するかを認識するとともに、この計測点群データには含まれないロープの落とし位置を演算する。ここでロープの落とし位置とは機械室の床面とロープとの交差点を意味する。また計測点群データにロープの落とし位置が含まれない理由は、3次元計測装置150から見て、ロープの落とし位置がロープの巻上機の死角に入るためである。
【0033】
[部品認識結果データ]
図5は、部品認識結果記憶部302に記憶する、部品認識結果データ4200のテーブル例である。部品認識結果データ4200のテーブルは、部品ID4201と、部品種類4202と、形状種別4203と、包含頂点ID4204とを有する。部品種類4202はエレベータ機械室図面生成装置100で認識する部品の種類であり、たとえば、床(PLANE)、梁(CEILING JOIST)、巻上機(TRACTION)などである。形状種別4203は部品の形状を示すものであり、たとえば平面(PLANE)、直方体(CUBOID)、複雑形状(COMPLEX SHAPE)などである。包含頂点ID4204は各部品に所属する頂点ID4101の集合である。テーブルの縦軸には、認識した部品が並ぶ。
図4では、床、梁、巻上機を認識した例を示している。
【0034】
[ロープ落とし位置データ]
図6は、ロープ落とし位置記憶部303に記憶する、ロープ落とし位置データ4300のテーブル例である。ロープ落とし位置データ4300のテーブルは、巻上機部品ID4301、ロープ落とし位置相対座標A4302、ロープ落とし位置相対座標B4303を有する。巻上機部品IDは、部品ID4201のうち、部品種類4202が巻上機に該当する部品IDである。ロープ落とし位置相対座標A4302は、ロープと床面が交差する点の、巻上機部品の座標系から見た相対座標の一方であり、ロープ落とし位置相対座標B4303は、ロープと床面が交差する点の巻上機部品の座標系から見た相対座標の他方である。テーブルの縦軸には認識した巻上機部品IDが並ぶ。ロープ落とし位置相対座標A4302及びロープ落とし位置相対座標B4303はロープ落とし位置算出部203がロープ落とし位置算出処理を実行し、その演算結果により求められるが、その詳細は後述する。
【0035】
[部品認識処理]
図7は、部品認識部202が実行する、フローチャートの例である。以下、本フローチャートを説明する。
【0036】
(S201)部品認識部202は、S101で記憶した計測点群データ4100の全データを用いて床面、天井面を認識し、部品認識結果データ4200に記憶する。床面、天井面を認識する処理としては、様々な手法が考えられるが、一例として、RANSAC(RANdom SAmpling Consensus)アルゴリズムを用いて平面を検出し、その平面の内、Z軸に垂直な二平面をそれぞれ床面、天井面とする手法がある。
【0037】
(S202)部品認識部202は、S101で記憶した計測点群データ4100の内、部品認識結果データ4200内の包含頂点ID4204に含まれていない頂点を用いて、壁面を認識し、部品認識結果データ4200に記憶する。壁面を認識する処理としては、様々な手法が考えられるが、一例として、RANSACアルゴリズムを用いて平面を検出し、その平面の内、Z軸と平行かつ、Z軸方向の長さが、床面と天井面間との距離と等しい平面を壁面と判定する処理が考えられる。
【0038】
図8に、
図4の計測点群データ例に対して、床面、天井面、壁面を認識した例を示す。
図8では、G101が床面を、G102が天井面を、G103からG106が壁面をそれぞれ示している。
【0039】
(S203)部品認識部202は、S101で記憶した計測点群データ4100の内、部品認識結果データ4200内の包含頂点ID4204に含まれていない頂点を用いて、梁を認識し、部品認識結果データ4200に記憶する。機械室に現れる梁は一般的に直方体の形状が多いため、天井面に隣接する直方体を探索することで梁を認識することが可能である。ここで、直方体を探索する手法としては、RANSACアルゴリズムを用いて平面を検出し、隣接してかつ垂直な平面の組み合わせを見つける方法などが考えられる。
【0040】
図9に、
図3の計測点群データ例に対して、梁を認識した例を示す。
図9では、G201からG205の5本の梁を認識した例を示している。
【0041】
(S204
)部品認識部202は、S101で記憶した計測点群データ4100の内、部品認識結果データ4200内の包含頂点ID4204に含まれていない頂点を用いて、Euclidean Clusteringアルゴリズムを用いてクラスタに分類する。Euclidean Clusteringアルゴリズムとは、近傍の点を同一クラスタに分類するアルゴリズムの一例である。分類した結果を、
図10に示すクラスタデータ4400に一時的に記憶する。また、
図11に、
図3の計測点群データに対して本ステップの処理を適用したクラスタの例を示す。G101は
図8で認識した床面と同様であり、G301からG306にクラスタに分類した例を示している。
【0042】
以下、S205からS208のループ処理において、すべてのクラスタに対してS206とS207の処理が実行される。
【0043】
(S206)部品認識部202は、クラスタに対して巻上機か判定を行い、巻上機と判定されたクラスタを、部品認識結果データ4200に記憶する。巻上機と判定する条件は、床面に隣接かつ、部品を覆う直方体(バウンディングボックスともいう)の大きさが一定以上(巻上機を内包する直方体の大きさ以上)かつ、床面からある程度の距離以内(巻上機の高さ相当以内、マージンを加算した高さとしてもよい)にマシンビームの上面となる平面を持つ、である。例えば、
図11において、巻上機のクラスタはG301にあたる。
【0044】
(S207)部品認識部202は、クラスタに対して盤か判定を行い、盤と判定されたクラスタを、部品認識結果データ4200に記憶する。盤と判定する条件は、クラスタ内にZ軸に並行な平面を2面以上持つ、である。例えば、
図11において、盤のクラスタはG303にあたる。
【0045】
[ロープ位置算出処理]
図12は、ロープ落とし位置算出部203が実行するフローチャートの例である。以下に本フローチャートを説明する。
【0046】
以下、S301からS303のループ処理において、認識した全ての巻上機部品、即ち、シーブ及びその他の巻上機の部品が混在した認識結果データからシーブの認識処理を実行する。そのために、本ループ処理は、部品認識結果記憶部302に記憶されている部品認識結果データ4200のうち、部品種類が巻上機(TRACTION)である部品に対して実行する。
【0047】
(S302)ロープ落とし位置算出部203は、部品認識結果データ4200と、計測点群データ4100のデータを用いて、対象の巻上機部品のシーブを認識する。シーブを認識する手法はいくつか考えられるが、一例として、RANSACアルゴリズムを用いて円筒面を認識する手法がある。また、巻上機の仕様値情報を利用できる場合は、仕様値情報を利用してシーブの位置、寸法を取得してもよい。
【0048】
(S304)S302で取得したシーブ位置と巻上機部品を用いてロープ落とし位置を算出し、ロープ落とし位置データ4300を生成してロープ落とし位置記憶部303に記憶する。
【0049】
ロープはシーブの円筒面に接する直線として3次元空間上に現れるため、円筒面に接する直線を2本認識し、各直線を延長することで、ロープ落とし位置を算出可能である。そこでロープ落とし位置算出部203は、シーブの円筒面に接する直線の延長線と床面との交点を算出するための仕様値情報を予め取得しておき、この仕様値情報に巻上機の3次元計測データを適用、すなわち認識したシーブの座標を適用してロープ落とし位置の座標を算出してもよい。本ステップの処理により算出したロープ落とし位置をロープ落とし位置データ内のロープ落とし位置相対座標A4302とB4303に記憶する。
【0050】
仕様値情報の一例として、例えば下式(1)はシーブ位置と一方のロープ落とし位置Aとの位置関係を定義した数式、下式(2)はシーブ位置と他方のロープ落とし位置Bとの位置関係を定義した数式を用いてもよい。そして、S302で取得たシーブ位置(xs,ys,zs)を下式(1)、下式(2)に代入してロープ落とし位置相対座標A(xA,yA,zA)及びロープ落とし位置相対座標B(xB,yB,zB)を算出してもよい。
(xA,yA,zA)=f(xs,ys,zs)・・・(1)
(xB,yB,zB)=g(xs,ys,zs)・・・(2)
【0051】
[図面生成処理]
図13は、図面生成部204が実行する、フローチャートの例である。以下、本フローチャートを説明する。
【0052】
(S401)図面生成部204は、計測点群データ4100、部品認識結果データ4200、ロープ落とし位置データ4300の全データを利用して平面図を生成する。なお、本処理の詳細を
図14に記載する。
【0053】
以下、S402からS404のループ処理において、S403の処理を部品認識結果データ4200の内、巻上機部品に対してループ計算を行う。
【0054】
(S403)図面生成部204は、計測点群データ4100、部品認識結果データ4200、ロープ落とし位置データ4300の全データを利用して断面図を生成する。なお、本処理の詳細を
図15に記載する。
【0055】
[平面図生成処理]
図面生成部204がS401で実行する平面図生成処理の詳細を
図14のフローチャートを用いて説明する。
【0056】
(S501)図面生成部204は、出力用の平面図面D1を用意する。以後のステップでは、この平面図面上に描画していく。
【0057】
(S502)図面生成部204は、平面図面を描画する描画高さを設定して、描画平面を取得する。描画平面の法線はZ軸方向であり、描画高さとしては、例えば床面からの距離10cmなどが考えらえる。
【0058】
S503からS511のループ処理は、部品認識結果データ4200に記憶されている全部品認識結果に対してループ処理をする。
【0059】
(S504)図面生成部204は、描画高さと対象の部品が交差するかを判定し、交差する場合のみ以後の処理を続ける。
【0060】
(S505)図面生成部204は、形状種別4203の値に基づいて処理を分離する。
【0061】
(S506)図面生成部204は、対象の部品の形状種別が平面の場合、平面図面D1上に、部品と描画平面の交線を直線として描画する。
【0062】
(S507)図面生成部204は、対象部品が直方体の場合、平面図面D1上に、部品と描画平面との交線を長方形として描画する。
【0063】
(S508)図面生成部204は、対象部品が平面でも直方体でもない場合、平面図面D1上に、部品を覆う直方体を描画する。
【0064】
(S509)図面生成部204は、対象部品が巻上機かどうか判定し、巻上機の場合以降の処理を続ける。
【0065】
(S510)図面生成部204は、ロープ落とし位置データ4300を基に、平面図面D1上にロープ落とし位置を点として描画する。
【0066】
本平面図生成処理によって描画される平面図の例を
図16に示す。
図16では、認識した壁面をD101からD106で、盤をD107で、巻上機をD108で、ロープ位置をD109とD110でそれぞれ表している。なお、
図16はS508において部品を覆う直方体がなかった場合の図であり、部品を覆う直方体は描画されていない。
【0067】
[断面図生成処理]
図面生成部204がS403で実行する断面図生成処理の詳細を
図15のフローチャートを用いて説明する。なお、本フローチャートでは巻上機Tを対象とした断面図生成例を示す。
【0068】
(S601)図面生成部204は、出力用の断面図面D2を用意する。以後のステップでは、この断面上に描画していく。
【0069】
(S602)図面生成部204は、断面図面を描画する描画範囲を設定して、描画平面を取得する。描画平面の法線は巻上機Tの短軸方向であり、描画範囲は、巻上機の単軸方向の長さなどが考えらえる。
【0070】
S603からS612のループ処理では、部品認識結果データ4200に記憶されている全部品認識結果に対してS604からS611までの処理が繰り返し実行される。
【0071】
(S604)図面生成部204は、描画範囲と対象の部品が交差するかを判定し、交差する場合のみ以後の処理を続ける。
【0072】
(S605)図面生成部204は、形状種別4203の値に基づいて処理を分離する。
【0073】
(S606)図面生成部204は、対象の部品の形状種別が平面の場合、断面図面D2上に、部品と描画平面の交線を直線として描画する。
【0074】
(S607)図面生成部204は、対象部品が直方体の場合、断面図面D2上に、部品と描画平面との交線を長方形として描画する。
【0075】
(S608)図面生成部204は、対象部品が平面でも直方体でもない場合、断面図面D2上に、部品を覆う直方体を描画する。
【0076】
(S609)図面生成部204は、対象部品が巻上機かどうか判定し、巻上機の場合以降の処理を続ける。
【0077】
(S610)図面生成部204は、ロープ落とし位置データ4300を基に、断面図面D2上にシーブを円として描画する。
【0078】
(S611)図面生成部204は、ロープ落とし位置データ4300を基に、断面図面D2上にロープを直線で描画する。
【0079】
本断面図生成処理によって描画される断面の例を
図17に示す。
図17では、認識した床面をD120、天井面をD121、梁をD122、壁面をD123、D124、巻上機をD125、ロープ位置をD126とD127、巻上機部品を覆う直方体をD128でそれぞれ表した例を示している。本実施形態では、平面図、断面図という2次元図面を生成する手法に関して説明したが、部品認識結果データ4200の部品名などの情報を利用して、3次元モデルを引き当て、BIM(Building Information Model)データとして出力する形式でもよい。BIMデータとして出力する形式については第二実施形態で説明する。なお、本明細書においてBIMデータは請求の範囲に記載のモデリングデータに相当する。
【0080】
[入出力画面]
図18に本発明の出力となるエレベータ機械室図面生成装置の入出力画面の一例を示す。入出力I/F装置130を経由して読み込まれた計測点群データは、画面領域101に表示される。データの読み込み後、ボタン102を実行すると、平面
図103、断面
図104と、巻上機リスト105が表示される。巻上機リスト105のリストを切り替えることで、複数の巻上機が存在する機械室の場合、断面図を切り替えることが可能となる。
【0081】
[効果等]
以上説明したように第一実施形態に係るエレベータ機械室図面生成装置100によれば、エレベータ機械室の計測データを入力として、エレベータ機械室の図面を自動で生成することが可能となる。
【0082】
<第二実施形態>
第二実施形態について主に
図19、20、21を用いて説明する。なお、第一実施形態に記載された本実施形態に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施形態にも適用することができる。本実施形態では、3次元計測点群を基に、エレベータ機械室のBIMモデルを出力するBIMモデル生成装置(エレベータ機械室モデリングデータ生成装置に相当する)の例を説明する。
【0083】
[システム構成]
図19は、本実施形態で適用されるシステムを構成するエレベータ機械室BIMデータ生成装置160および周辺機器を含む構成例を示している。
図1に示した機械室図面生成装置と比較して、処理装置110にBIMデータ検索部206が、記憶装置120にBIMデータベース記憶部305とBIMデータ検索結果記憶部306がそれぞれ追加されている。
【0084】
[BIMデータベース]
図20は、BIMデータベース記憶部305に記憶されるBIMデータベース4500のテーブル項目例を示している。テーブルは部品属性、形状特徴の分類から構成する。BIMデータにおいて部品および部組品を一意に識別するBIMデータIDを設定し、そのデータIDごとの情報を格納する。部品属性とは、部品種別、モデル名、部品番号などの情報である。形状特徴とは、質量、重心、X方向長さ、Y方向長さ、Z方向長さなどの情報である。
【0085】
[BIMデータ検索結果データ]
図21は、BIMデータ検索部206が、BIMデータ検索結果記憶部306に保存する、BIMデータ検索結果データ4600のテーブル項目の例である。テーブルには、部品ID4601と、検索済みBIMデータID4602と、配置位置4603、配置姿勢4604が並ぶ。BIMデータ検索部206が各部品IDに対して、BIMデータベース4500から該当するBIMデータを検索し、検索したBIMデータのIDを4602に、BIMデータの配置座標を4603にそれぞれ記憶する。
【0086】
[フローチャート]
図22は3次元計測データを基に、エレベータ機械室のBIMデータを自動で出力する処理のフローチャートの例である。なお、(S101)、(S102)、(S103)は
図2と同一のため、説明しない。
【0087】
(S106)BIMデータ検索部206は、各部品ID4201に対して、BIMデータベース4500から該当するBIMデータを検索し、該当したBIMデータとその位置情報を、BIMデータ検索結果データ4600の形式に従って、BIMデータ検索結果記憶部306に記憶する。なお本処理の詳細は後述する。
【0088】
(S107)結果出力部205は、BIMデータベース4500に後述するロープ落とし位置の座標を付加したBIMデータ(付加後の機械室モデリングデータ)を出力する。この場合の出力とは、入出力装置140に付加後の機械室モデリングデータを表示する態様であってもよいし、BIMデータベース記憶部305にロープ落とし位置の座標を書き込む態様であってもよい。
【0089】
[BIMデータ検索処理]
図23は、BIMデータ検索部206が実行する、BIMデータ検索処理のフローチャートの例である。
【0090】
S701からS706のループ処理において、部品認識結果データ4200に記憶されている全部品認識結果に対してS702からS705の処理を実行する。
【0091】
(S702)BIMデータ検索部206は、部品認識結果データ4200内の部品種類4202、形状種別4203、包含頂点ID4204の情報を基に、既設計BIMデータベースから該当するBIMデータを検索する。検索方法としては、いくつかの手法が考えられるが、部品種類を基にデータベース内の候補を絞り込み、包含頂点IDから計算される部品を覆う直方体の大きさと、BIMデータベースに登録されている各軸方向の長さを比較する手法がある。
【0092】
(S703)BIMデータ検索部206は、部品認識結果データ4200内の包含頂点IDなどの情報を基に、S702にて検索したBIMデータの配置座標を計算する。配置座標の計算方法としては、いくつかの手法があるが、例えば、包含頂点IDから計算される重心位置と、BIMデータベース内の重心位置とを一致させ、誤差が最小となるように姿勢を計算する手法などが考えられる。
【0093】
(S704)BIMデータ検索部206は、対象の部品が巻上機かどうか判定し、巻上機の場合のみ以下の処理を続ける。
【0094】
(S705)BIMデータ検索部206は、対象の巻上機部品に対するロープ落とし位置データを用いて、BIMデータベースに記憶されているロープデータを元に、ロープモデルを引き当てる。
【0095】
[効果等]
以上説明したように第二実施形態に係るエレベータ機械室BIMデータ生成装置160によれば、エレベータ機械室の計測データを入力として、エレベータ機械室のBIMデータを自動で生成することが可能となる。
【0096】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。