(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1重量%〜25重量%の、メタロセン触媒ポリオレフィンエラストマ、プロピレン系コポリマ、エチレン系コポリマ、エチレン/α−オレフィンコポリマ、オレフィンブロックコポリマ、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリル酸n−ブチルコポリマ、およびスチレンブロックコポリマからなる群より選択される補助ポリマをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
前記ワックスが、パラフィンワックス、微結晶ワックス、合成ワックス、化学修飾ワックス、重合αオレフィン、フィッシャー・トロプシュ、および他のポリエチレン(PE)ワックスからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
前記組成物が、透明ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、または金属化延伸ポリプロピレンラベルフィルムなどの接着しにくい透明ラベルフィルムを使用して室温で200グラム以上の初期平均剥離力を有する、請求項1に記載の組成物。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤はパッケージング用途において使用され、その場合、これはしばしば、機能または美的目的のための広範囲のインク、コーティング、およびオーバープリントラッカーで被覆されている、低多孔度紙またはボール紙に接着することが要求される。その他の場合、これらは、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)フィルムなどの低表面エネルギー基材、ならびに高いレベルのリサイクル材料のために物理的特性、例えば剛性、密度、および化学組成が変動する箱または基材に接着するように使用される。これらの型の基材には、接着するのが困難である。その結果、接着剤は、これらの障害を克服するように調合されなければならない。結果として、接着剤調合者は、最も広い可能な適用窓を有する接着剤を開発するために、新しい材料および新規調合戦略を継続して評価している。接着剤の適用窓は、適用欠陥および/または製造変数を克服する接着剤の能力として規定される。本発明はホットメルト調合者が高温環境耐性および基材への接着に悪影響を及ぼさずに接着剤の適用窓のバランスをとることができる新規方法を詳述する。
【0003】
歴史的に、接着剤調合者は、ホットタックおよび/または冷温性能を維持しつつ150°F超の熱環境耐性を提供できる結晶、ポリオレフィン系接着剤またはEVA系接着剤を調合しようと奮闘してきた。150°F超での耐熱性を増加させるためには、典型的には、スチレンブロックコポリマ系ポリマが使用される。特にそれらは、完全水素化中間ブロック、例えばKraton G1657を有する。それらは、ポリオレフィン系ポリマとの十分な適合性を維持しながら接着剤の耐熱特性を増加させるために使用できる。別のアプローチは、耐寒性を維持しながら耐熱性を増加させるために、高レベルのポリマ(例えば、30%超)を使用することである。しかしながら、これらのアプローチは接着剤の粘度を著しく高くし、接着剤が意図した用途に不適となる。
【0004】
接着剤は何年もの間、ガラスおよびプラスチックビンの両方をラベルするために使用されてきた。炭酸飲料を含むプラスチックビンは特に難易度が高い。ビン詰め後、炭酸飲料は、プラスチックビンを膨張させるであろう。ラベル系は、この膨張に適応する必要がある。ラベルをプラスチックビンに接着させるために使用される接着剤もまた、この膨張に適応する必要がある。
【0005】
紙ラベルは剛性で、膨張しない。典型的には、硬い、ガラス状接着剤が、紙ラベルをガラスビンに接着させるのに使用される。紙ラベルがプラスチックビン上で使用される場合、接着剤はクリープに抵抗する必要があり、よって、ラベルが「垂れ下がる」(ラベル重なりのビンからの部分層間剥離)ことのないようにする。しかしながら、プラスチックラベルは可撓性であり、膨張し、一般に、紙ラベルよりも接着するのがより困難である。典型的には、より柔らかく、弾性で、粘着性の接着剤がプラスチックフィルムラベル上で使用される。プラスチックラベルを接着させるために使用される接着剤は、ラベルをビンに接着させるために十分なタックを有し、ラベルおよびビンの膨張に耐えるのに十分強力である必要がある。この型の適用では、接着剤は、ラベルよりも大きな内部強度を有する必要がある。接着剤の増加した内部強度は、ラベル重なりでの接着を維持しながらラベルを伸長および膨張させる。接着剤が伸長または変形するならば、ラベル重なりで、ビン上のラベルの前および後縁間でギャップが現れるであろう。
【0006】
プラスチックラベルは、増加したグラフィックスを支持し印刷プロセスを促進するために、より剛性になりつつある。加えて、プラスチックビンは、経費節約を達成し製造者の「地球に優しい」構想を満たすために、全体寸法が低減されつつある。また、透明ラベルも市場に参入してきている。これらのラベルは、それらの基本組成のために、以前のプラスチックラベルよりも大きな引張強さを有する。これらのラベルのより大きな引張強さは伸長に抵抗し、既存の接着剤のクリープを引き起こし、ラベルの故障(ラベルの前および後縁が分離する)を起こす。さらに、いくつかのプラスチックフィルムラベルは、接着剤からラベル中への油移動を受けやすい。この移動により審美的に不愉快なしわが引き起こされる。
【0007】
接着剤調合者は、これらの引張強さがより高いプラスチックラベルにうまく接着し、140°Fで接着剤からラベルへの油移動を示さない接着剤を開発しようと奮闘している。この発明は、ホットメルト調合者が、他の特性を損なわずに、ホットメルトビンラベル接着剤における低粘度、優れた接着、増加したクリープ耐性、および油移動なしを付与できる、新規方法を詳述する。
【0008】
「ホットフィル」適用のための増加した温度耐性を有するホットメルト接着剤が必要とされている。これは、液体食品製品(ジュース、茶、など)が、滅菌のために約190°Fの温度まで加熱される場合である。液体は熱いままプラスチックまたはガラス容器に入れられ、これはパッケージの滅菌にも用いられる。それは直ちに蓋がされ、これにより、液体が冷却するにつれ真空を提供するるのを助ける。蓋がされるとそれはすぐに、液体への熱の影響を最小に抑えるために直ちに冷却される。ラベルは容器が完全に冷却される前に適用してもよく、よってラベルがビンから分離しないように、増加した温度耐性が必要とされる。
【0009】
カートンシーリングを含む「ホットフィル」適用もまた必要とされる。ホットフィルラベル適用の他に、依然として熱いまま高温の材料が出荷容器に入れられる場合もある。これにより、ホットメルト接着剤は、接着が層間剥離する点まで柔らかくなる可能性がある。明らかに、多くの領域においてより良好な耐熱性を有するホットメルト接着剤が必要である。
【0010】
長年にわたって、接着剤調合者は、様々な異なるポリマならびに他の添加物をそれらの調合物中で使用し、これらの属性のバランスをとってきた(接着、クリープ耐性、可撓性、および熱環境耐性)。これらのポリマとしてはポリオレフィン(エチレン−またはプロペン系ポリマ)、官能化ポリオレフィン(酸素含有モノマを有するエチレンまたはプロペンコポリマ)、またはAPAO(エチレン−、プロペン−、またはブテンコポリマ)が挙げられるが、それらに限定されない。しかしながら、ホットメルト接着剤へと調合された際に、これらのポリマはいくつかの性能不足を有した。例えば、様々な分析試験方法により観察される、それらの全体的な広い分子量分布および/または著しく低い分子量部分のために、APAOは可撓性を提供できるが120°Fを超える高温で接着性能を妨害し得る。実際、それらのアモルファス、非結晶構造によりしばしばブロッキングが引き起こされ得る。ブロッキングは、被覆接着剤の、出荷および/または貯蔵中にそれが接触する基材への、望ましくない接着として規定される。
【0011】
エチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマに加えて、他のポリマもまた、接着剤のホットタックおよび接着特性を改善しようとして使用されている。これらのポリマとしてはエチレンアクリル酸メチルコポリマ(EMA)、エチレンアクリル酸n−ブチル(EnBA)、およびエチレンアクリル酸メチルアクリル酸コポリマが挙げられるが、それらに限定されない。これらのポリマはオレフィンポリマ、例えばAPAOと比べて、より狭い多分散性を示し、DSC(示差走査熱量測定)によって観察されるように、より低い全融解ピークを有する。これにより、いくらかの他の結晶添加物で強化されていなければ、高温でブロッキングまたは接着不良を起こしやすい接着剤となってしまう。いくつかのワックスまたは他の結晶添加物の組み込みにより接着剤の高温耐性を増加させることができるが、それらは、接着剤のホットタック、接着、および可撓性を低減させる可能性がある。
【0012】
接着剤調合者は、接着および可撓性を促進するために、他の添加物または希釈剤、例えば、限定はされないが、様々な可塑剤、微結晶ワックス、および酢酸ビニルまたは無水マレイン酸修飾ワックスを組み込むことができる。しかしながら、これらの型の調合物は典型的には、150°F超で不十分な耐熱性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明は、ホットフィルケースおよびカートンシーリング適用または150°F超、またはさらには160°F超での熱環境耐性を要求する任意の適用、および接着しにくい基材またはフィルムへの良好な接着を要求するビンラベリング適用において使用するための、下記成分のブレンドを含むホットメルト接着剤組成物を提供し:
約5重量%〜約50重量%の、無水マレイン酸とグラフトされたメタロセン触媒ランダムポリオレフィンエラストマを含む官能化ポリマ;
約5重量%〜約70重量%の、15MI以上のメルトインデックスを有する第2ポリマとしてメタロセン触媒ランダムまたはブロックポリオレフィンエラストマを含む非官能化ポリマ;
約0重量%〜約30重量%の固体または液体可塑剤;
約5重量%〜約30重量%のワックス;
約20重量%〜約70重量%の、少なくとも約95℃の、好ましくは約95℃〜約140℃の軟化点を有する第1の粘着付与樹脂;
約0重量%〜約20重量%の、115℃以上の、好ましくは約115℃〜約160℃の軟化点を有する芳香族強化樹脂;
約0.1重量%〜約5重量%の安定剤;
約0重量%〜約3重量%の補助添加物;
ここで、成分は合計して組成物の100重量%であり、かつ組成物の粘度は163℃で約20,000センチポアズ以下であり、好ましくは163℃で約15,000センチポアズ以下であり、より好ましくは163℃で約10,000センチポアズ以下である。
【0016】
好ましい実施形態では、組成物はまた、約1重量%〜約25重量%の、メタロセン触媒ポリオレフィンエラストマ、プロピレンまたはエチレン系コポリマ、エチレン−α−オレフィンコポリマ、オレフィンブロックコポリマ、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリル酸n−ブチルコポリマ、およびスチレンブロックコポリマからなる群より選択される補助ポリマを含み得る。
【0017】
さらに別の好ましい実施形態では、組成物は、パラフィンワックス、微結晶ワックス、および合成ワックス、例えば化学修飾ワックス、重合α−オレフィン、フィッシャー・トロプシュワックス、およびポリエチレン(PE)ワックスからなる群より選択されるワックスを含む。
【0018】
本明細書における「官能化」という用語の使用は、官能基無水物をポリマ骨格上で含むように化学的に修飾されたポリマを示す。対照的に、「非官能化」という用語は、エポキシ、シラン、スルホン酸、アミド、および特に無水物などの官能基をポリマ骨格上で含むように化学的に修飾されていないポリマを示す。
【0019】
ポリオレフィンポリマは非常に広範囲の分子量、モノマ、密度、結晶化度レベル、および官能性を有して生成される。無水マレイン酸(MAH)とグラフトされたメタロセン触媒ポリオレフィンエラストマは、優秀な接着特性を提供し、最も重要なことには増加した熱環境耐性(150°F超、さらには160°F超)、増加した可撓性、および接着しにくい基材への優秀な接着を提供する。これらのMAHグラフトポリマは、ホットメルト接着剤調合物において第1ポリマとして使用でき、または第2ポリマとしてとして使用でき、バランスの取れた接着特質(優秀な接着、増加した可撓性、低粘度、および150°F超での耐熱性)を提供する。これらのメタロセンポリマの一例としては、Dow Chemical Company製のAffinity(登録商標)GA1000Rが挙げられる。このポリマは0.878グラム/c.cの密度、68℃のDSC融点およびDSCによる−58℃のガラス転移温度を有する。177℃でのブルックフィールド粘度は13,000センチポアズ(cP)であり、メルトインデックス(ASTM1238、190℃、2.16kg荷重)は約660グラム/10分である。
【0020】
組成物はまた、第2ポリマとして、メタロセン触媒ランダムまたはブロックポリオレフィンエラストマを含む。ポリオレフィンエラストマはポリプロピレンまたはポリエチレン、異なるポリプロピレンのブレンド、異なるポリエチレンのブレンド、またはポリプロピレンのポリエチレンとのブレンドであってもよい。
【0021】
ポリオレフィンエラストマ第2ポリマは、組成物中に、約5%〜約70重量%、好ましくは約20重量%〜約70重量%、より好ましくは約30重量%〜約70重量%、最も好ましくは約30重量%〜約60重量%の量で組み込むことができる。
【0022】
エラストマ第2ポリマは、大部分の重量のエチレンおよびほんの一部の重量のC
3〜C
18α−オレフィンコモノマを含む好適なメタロセン触媒エチレン系コポリマ、または大部分の重量のプロピレンおよびほんの一部の重量のC
2〜C
18α−オレフィンコモノマを含むメタロセン触媒プロピレン系コポリマ、またはエチレン系コポリマ、プロピレン系コポリマ、または1つ以上のエチレン系コポリマの1つ以上のプロピレン系コポリマとのブレンドであってよい。α−オレフィンコモノマは好ましくは3〜12個の炭素原子、より好ましくは4〜10個の炭素原子、最も好ましくは4〜8個の炭素原子を含む。より特定的には、α−オレフィンコモノマは、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−l−ペンテン、1−ドデセン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、および1−デセンから選択され得る。特に好ましいのは、エチレンと共重合された1−ブテンまたは1−オクテンである。
【0023】
エチレン系コポリマ中のα−オレフィンコモノマ量は、少なくとも20重量%であり、20重量%〜50重量%、好ましくは25重量%〜50重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の範囲である。好適なエチレン系コポリマは、0.90g/cm
3以下の、0.90g/cm
3〜0.85g/cm
3、好ましくは0.89g/cm
3〜0.85g/cm
3、最も好ましくは0.885g/cm
3〜0.85g/cm
3の範囲の、ASTM D−792により決定される密度を有する。好適なエチレン系コポリマはまた、190℃および2.16kgで、ASTMD1238により決定される、15g/10分を超える、好ましくは、20g/10分を超える、より好ましくは30g/10分を超えるメルトインデックスを有する。
【0024】
プロピレン系コポリマ中のα−オレフィンコモノマ量は少なくとも5重量%、好ましくは5重量%〜30重量%、最も好ましくは5重量%〜15重量%であり、好ましいコポリマはプロピレン−エチレンコポリマである。プロピレン系コポリマは、15g/10分を超える、好ましくは20g/10分を超える、より好ましくは30g/10分より大きな、最も好ましくは50g/10分より大きな、または100g/10分を超えるメルトインデックス(230℃で測定)を有する。
【0025】
「ブレンド」は、好ましくは2つ以上のエチレン系コポリマまたは2つ以上のプロピレン系コポリマ、あるいは1つ以上のエチレン系コポリマを1つ以上のプロピレン系コポリマと共に含む。コポリマのブレンドが使用される場合、ブレンドの計算された密度は0.900g/cm
3未満であるが、0.850g/cm
3超でなければならない。例えば、70%の、0.870g/cm
3の密度を有するエチレン系コポリマおよび30%の、0.885g/cm
3の密度を有するプロピレン系コポリマのブレンドでは、0.875g/cm
3の計算された密度を有する最終ブレンドが得られる。
【0026】
有用なメタロセン触媒エチレン系ポリマは、とりわけ、Dow Chemical CompanyおよびExxon Mobil Chemical Companyから入手可能であり、これらは、シングルサイトまたは幾何拘束触媒ポリエチレンの製造者である。これらの樹脂は、商標名AFFINITY(商標)およびENGAGE(商標)でDow Chemical Co.から、EXACT(商標)ポリマでExxonMobil Chemicalから市販されている。
【0027】
メタロセン触媒プロピレン系コポリマは、VERSIFY(商標)商標名でDow Chemical Companyから入手可能である。そのようなポリプロピレンの製造はまたメタロセン触媒系の使用に基づき、DowのINSITE(商標)技術に基づく。
【0028】
第1またはベースポリマの、すなわち、無水マレイン酸とグラフトされたメタロセン触媒ランダムポリオレフィンエラストマの第2ポリマに対する比は、最終接着剤調合物により要求される物理的性質および接着によって変動し得る。例えば、比は、下記を増加または減少させるように変化させることができる:(i)接着剤組成物の弾性;(ii)接着剤組成物の接着;(iii)接着剤組成物の低温耐性;(iv)接着剤組成物の高温耐性;(v)接着剤組成物のクリープ耐性;(vi)接着剤組成物の粘着強度;(viii)接着剤組成物の粘度特性および/または(ix)接着剤組成物のエージング特性。上記特性の相対的変化(増加または減少)は、第2ポリマの添加なしの接着剤組成物に対して測定される。一般に、第1またはベースポリマのパーセンテージは、調合物中の第2ポリマ(複数可)の量よりも低いであろう。
【0029】
第2ポリマを選択する時に重要な検討事項は、第2ポリマの分子量および最終接着剤の粘度へのその影響である。これらの型の調合物は一般にかなり高いレベルのポリマを含むので、メルトインデックスが、最終接着剤の粘度を低く維持するために比較的高いことが重要である。ASTM D−1238により、190℃の試験温度および2.16キログラムの荷重を使用して測定される第2ポリマのメルトインデックスは1分あたり15グラム超(g/分)でなければならない。それは好ましくは30g/分を超え、より好ましくは50g/分を超え、最も好ましくは100g/分を超える。第2ポリマのブレンドを使用する場合、ブレンドの計算されたメルトインデックスは、これらの範囲内になければならない。
【0030】
本発明のホットメルト接着剤において使用される粘着付与樹脂または粘着剤は、ポリマと適合性があり、接着特性を拡張し、特定の接着を改善するものである。本明細書では、「粘着付与樹脂」または「粘着剤」という用語は下記を含む:
(a)ASTM方法E28−58Tにより決定される、約203°F(95℃)〜約320°F(160℃)の環球式軟化点を有する脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂、後者の樹脂は、主として脂肪族および/または脂環式オレフィンおよびジオレフィンから構成されるモノマの重合から得られる;水素化脂肪族および脂環式石油炭化水素樹脂もまた含まれ;この型のC5オレフィン部分に基づくそのような市販の樹脂の例は、Hercules Corp.により販売されているPiccotac95粘着付与樹脂およびExxonMobil Chemical Companyにより販売されているEscorez 1310LCである;
(b)芳香族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
(c)脂肪族/芳香族石油由来の炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;
(d)芳香族修飾脂環式樹脂およびそれらの水素化誘導体;
(e)約203°F(95℃)〜約284°F(140℃)の軟化点を有するポリテルペン樹脂、後者のポリテルペン樹脂は、一般にテルペン炭化水素、例えばピネンとして知られているモノテルペンの、フリーデル・クラフツ触媒の存在下の中程度に低い温度での重合により得られ;水素化ポリテルペン樹脂もまた含まれ;
(f)天然テルペンのコポリマおよびターポリマ、例えばスチレン/テルペン、α−メチルスチレン/テルペンおよびビニルトルエン/テルペン;
(g)天然および修飾ロジン、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジンおよび重合ロジンなど;
(h)天然および修飾ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル、例えば、ペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、ペールウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、トール油ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール修飾ペンタエリスリトールエステルなど;
(i)フェノール修飾テルペン樹脂、例えば、酸性媒質中でのテルペンおよびフェノールの縮合から得られる樹脂生成物など;
【0031】
2つ以上の上記粘着付与樹脂の混合物がいくつかの調合物のために要求され得る。20重量%〜70重量%の範囲の粘着付与樹脂が使用され得るが、好ましい量は約25%〜約65重量%、より好ましい量は約25%〜約50重量%であり、最も好ましい量は約30重量%〜約50重量%である。本発明に有用な粘着付与樹脂は、おそらく、極性粘着付与樹脂を含み得る。しかしながら、使用可能な極性粘着付与樹脂の選択は、極性樹脂の多くがポリオレフィンポリマと部分的にしか適合しないようであるという事実を考慮すると、制限される。
【0032】
上述のように、本発明の範囲内で有用な粘着付与樹脂は、組成物の約20重量%〜70重量%を占める。好ましくは、粘着付与樹脂は、非極性型のいずれかから選択でき、それらは市販されている。好ましい樹脂の1つのクラスは、脂肪族石油炭化水素樹脂であり、その例はC5オレフィンに基づく。最も好ましいのは、95℃を超える軟化点を有する水素化ジ−シクロ−ペンタ−ジエン(DCPD)系またはその芳香族修飾誘導体である非極性生成物である。そのような樹脂の例は、ExxonMobil Chemical Companyにより販売されているEscorez 5340、Escorez 5400およびEscorez 5600である。
【0033】
好ましくは、粘着付与樹脂は、少なくとも約95℃の、好ましくは約95℃〜約140℃の環球式軟化点(ASTM E28により測定)を有するべきである。一般に、粘着付与樹脂は、樹脂とポリオレフィンポリマとの間の適合性を確保するために、実質的に脂肪族でなければならない。
【0034】
固体または液体可塑剤は、所望の粘度制御を提供し可撓性を付与するために、本発明の組成物中に0重量%〜約30重量%、好ましくは0重量%〜約10重量%、最も好ましくは0重量%〜約5重量%の量で存在してよい。好適な可塑剤は、通常の可塑化油、例えば鉱物油だけでなく、オレフィンオリゴマおよび低分子量ポリマ、ならびに植物および動物油およびそのような油の誘導体を含む群から選択され得る。使用できる石油系油は、ごく少量の芳香族炭化水素しか含まない、相対的に高沸点材料である。この関連で、芳香族炭化水素は、芳香族炭素原子の割合により測定されるように、好ましくは油の30%未満、より特定的には15%未満でなければならない。より好ましくは、油は本質的に非芳香族であってもよい。オリゴマは、約350〜約10,000の平均分子量を有する、ポリプロピレン、ポリブテン、水素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、などであってもよい。好適な植物および動物油としては、通常の脂肪酸のグリセロールエステルおよびその重合生成物が挙げられる。本発明において有用性が見出される可塑剤は、様々な異なる可塑剤であってよいが、発明者らは、5,000未満の平均分子量を有する鉱物油および液体ポリブテンが特に有利であることを発見した。認識されるように、可塑剤は典型的には、接着強度および/または接着剤の使用温度を実質的に減少させずに接着剤組成物全体の粘度を低下させるために、ならびに開放時間を延長させ、接着剤の可撓性を改善するために、使用されている。最終用途適用、例えばケースおよびカートンシールまたは多層袋シーリングのために、典型的には、接着剤において可塑剤は使用されない。しかしながら、可塑剤は典型的には、ビンラベリング適用においての使用が意図されるホットメルト接着剤中には組み込まれるであろう。
【0035】
約5重量%〜約30重量%、好ましくは約5重量%〜約20重量%、最も好ましくは約5重量%〜約10重量%の量のワックスもまた、接着剤組成物中で使用でき、それらの粘着接着特性を認識できるほど減少させずに、ホットメルト接着剤の溶融粘度を低減させるために使用される。これらのワックスはまた、温度性能に影響を与えずに、組成物の開放時間、または設定時間を低減するために使用される。
【0036】
有用なワックス材料には下記が含まれる:
(1)低分子量、すなわち、約100〜約6000g/molの数平均分子量(Mn)の、ASTM方法D−1321により決定される、約0.1〜120の硬度値および約150°F(65℃)〜285°F(140℃)のASTM軟化点を有するポリエチレンワックス;
(2)石油ワックス、例えば、約122°F(50℃)〜約176°F(80℃)の融点を有するパラフィンワックスおよび約131°F(55℃)〜約212°F(100℃)の融点を有する微結晶ワックス、後者の融点は、ASTM方法D127−60により決定される;
(3)Clariantにより「Licocene」名で市販されているもののような、メタロセン触媒プロピレン系ワックス;
(4)例えば米国特許4,914,253号、6,319,979号またはWO97/33921号またはWO98/03603号で記載されるもののような、メタロセン触媒ワックスまたはシングルサイト触媒ワックス;
(5)一酸化炭素および水素を重合することにより製造される合成ワックス、例えばフィッシャー・トロプシュワックス;ならびに
(6)ポリオレフィンワックス。本明細書では、「ポリオレフィンワックス」という用語は、オレフィンモノマ単位から構成されるそれらのポリマまたは長鎖実体を示す。これらの材料は、Westlake Chemical Co.から商標名「Epolene」で市販されている。
【0037】
本発明の組成物で使用するのに好ましいワックス材料は、約200°F(93℃)〜約350°F(177℃)の環球式軟化点を有する。理解されるべきであるように、これらのワックスの各々は室温で固体である。他の有用な物質としては、水素化された動物、魚および植物の脂肪ならびに油、例えば水素化された獣脂、ラード、大豆油、綿実油、ヒマシ油、メンヘーデン油、肝油、などが挙げられ、それらは水素化されているために周囲温度で固体であり、ワックス材料等価物としての機能性について有用であることも見出されている。これらの水素化材料はしばしば、接着剤業界では「動物性または植物性ワックス」と呼ばれる。
【0038】
別の実施形態では、接着剤調合物は、完全な芳香族または実質的に完全な芳香族エンドブロック強化樹脂を含み得る。芳香族または実質的に完全な芳香族
エンドブロック強化樹脂は、221°F(115℃)以上の軟化点を有するはずである。そのような
芳香族エンドブロック
強化樹脂の例は、重合可能な不飽和基を有する任意の実質的な芳香族モノマから調製できる。そのような芳香族モノマの典型的な例としては、スチレンモノマ、スチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、第三ブチルスチレン、クロロスチレン、など、クマロン、インデンモノマ、例えばインデン、およびメチルインデンが挙げられる。芳香族エンドブロック
強化樹脂の環球式軟化点は、好ましくは115℃〜160℃である。より好ましくは、軟化点は、約115℃〜140℃、最も好ましくは約120℃〜140℃である。2つの好ましい例は、Eastman Chemicalから入手可能なPlastolyn240およびPlastolyn290である。それらはそれぞれ、120℃および140℃の環球式軟化点を有する。好ましくは、スチレンおよび/またはα−メチル−スチレンおよび/またはビニル−トルエンモノマが使用される。この
芳香族エンドブロック強化樹脂は、接着剤組成物中、0重量%〜約20重量%、すなわち約20重量%未満の量で存在してよく、組成物中に組み込まれる場合、好ましくは1重量%〜約10重量%でなければならない。
【0039】
本発明は、安定剤を、約0重量%〜約5重量%の量で含み得る。好ましくは約0.1%〜5%の安定剤が、組成物に組み込まれる。本発明のホットメルト接着剤組成物中で有用な安定剤は、上記ポリマを、よって全接着剤系を、接着剤の製造および適用中にならびに最終生成物の周囲環境への普通の曝露において通常起こる、熱分解および酸化的分解の影響から保護するのを助けるために組み込まれる。適用可能な安定剤の中には高分子量ヒンダードフェノールおよび多官能性フェノール、例えば硫黄およびリン含有フェノールが含まれる。ヒンダードフェノールは当業者によく知られており、そのフェノールヒドロキシル基にごく接近して立体的に嵩高いラジカルをも含むフェノール化合物として特徴付けられ得る。特に、第三ブチル基は一般に、ベンゼン環上、フェノールヒドロキシル基に関してオルト位の少なくとも1つで置換される。ヒドロキシル基の近くでのこれらの立体的に嵩高い置換ラジカルの存在は、その伸縮振動数およびそれに応じて、その反応性を妨害するように機能し;よって、この立体障害はフェノール化合物にその安定化特性を提供する。代表的なヒンダードフェノールとしては下記が挙げられる:
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン;
ペンタエリスリトールテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
n−オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;
4,4’−メチレンビス(4−メチル−6−tertブチルフェノール);
2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;
6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン;
2,3,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン;
ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート;
2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;ならびに
ソルビトールヘキサ−3(3,5−ジ−tet−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート。
【0040】
安定剤としてペンタエリスリトールテトラキス−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネートがとりわけ好ましい。
【0041】
これらの安定剤の性能は、これらと共に、下記を使用することによりさらに増強させることができる;(1)共力剤、例えば、チオジプロピオン酸エステルおよびホスファイトなど;これらの例としては、それぞれ、チオジプロピオン酸ジラウリル(DLTDP)および亜リン酸トリス(ノニルフェニル)(TNPP)が挙げられる;ならびに(2)キレート剤および金属不活性化剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸、その塩、およびジサリチラールプロピレンジイミン。
【0042】
特定の物理的性質を改変するために、0%〜3%の量の他の任意的な補助添加物を本発明の接着剤組成物中に組み入れることができることが理解されるべきである。これらとしては、例えば、下記が挙げられる:不活性着色剤、例えば二酸化チタン、ならびにフィラー、界面活性剤、他の型のポリマ、架橋剤、核形成剤、反応性化合物、難燃ミネラルまたは有機剤、紫外線(UV)または赤外線(IR)吸収剤、およびUVまたはIR蛍光剤。典型的なフィラーとしては、タルク、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、雲母、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、バライトおよび木粉が挙げられる。これらの任意的な補助添加物は、この技術分野においてよく知られている。
【0043】
好ましい実施形態では、組成物はまた、約1重量%〜約25重量%の、メタロセン触媒ポリオレフィンエラストマ、プロピレンまたはエチレン系コポリマ、エチレン−α−オレフィンコポリマ、オレフィンブロックコポリマ、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリル酸n−ブチルコポリマ、およびスチレンブロックコポリマからなる群より選択される補助ポリマを含み得る。
【0044】
スチレンブロックコポリマは、本発明によるホットメルト接着剤調合物中で使用でき、組成物中に、約1重量%〜約25重量%、好ましくは約1重量%〜約20重量%、最も好ましくは約1重量%〜約10重量%の量で組み込むことができる。中でも有用なスチレンブロックコポリマは、構造A−B、A−B−A、A−(B−A)
n−B、または(A−B)
n−Yを有するものであり、ここで、Aは80℃より高いTgを有するポリビニル芳香族ブロックを含み、Bは−10℃より低いTgを有するゴム状中間ブロックを含み、Yは多価化合物を含み、nは少なくとも3の整数である。本ホットメルト接着剤組成物中で有用なこれらの後者のブロックコポリマの例はスチレンブロックコポリマ(SBc)であり、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレン−ブチレン(SEB)スチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEPS)およびスチレン−エチレンプロピレン(SEP)およびスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPSまたは水素化SIBS)を含む。ポリマの総スチレン量は、ポリマの約30wt%程度であってよい。ブタジエン中間ブロックを水素化すると、ゴム状中間ブロックが生成され、これらは典型的には、エチレン−ブチレン中間ブロックに変換される。そのようなブロックコポリマは、例えば、Kraton Polymers、Polimeri Europa、Total Petrochemicals、Dexco、およびKurarayから入手可能である。マルチブロックまたはテーパードブロックコポリマ(A−(B−A)
n−B型)はFirestoneから入手可能である。ブロックコポリマ構造は、一般に任意のアクリルモノマまたはアクリル相を含んでよく、メタクリル酸メチルのように高いTgを示すか、またはアクリル酸ブチルのようにエラストマ挙動を有する。また、ホットメルト接着剤のポリマ部分は1つ以上の他の相を含んでよく、1を超える構造を含んでよく、あるいはエテン、プロペンまたは他のオレフィンモノマのコポリマのように、またはアクリルモノマの共重合のように他のポリマを含んでよい。これらの追加のポリマはホモポリマ、またはコポリマであってよく、グラフティングまたは鎖切断のような、任意の重合中のまたは重合後の修飾により潜在的に修飾できる。様々なスチレンポリマのブレンドもまた、組成物が本発明の所望の粘度、接着、可撓性、および耐熱性特性を保持する限り使用できる。
【0045】
オレフィンブロックコポリマは、Ziegler−Nattaまたは従来のメタロセン技術により生成されたランダムポリマではなく、モノマの直鎖ブロック構造を生成するチェーンシャトリング触媒作用技術を使用して生成されたポリオレフィンポリマのクラスである。現時点では、それらはDow Chemicalにより、Infuse(登録商標)の商標名で製造されている。OBCは、交互の、非常に低いコモノマ量および高い融解温度を有する結晶性エチレン−オクテンブロック(ハード)と高いコモノマ量および低いガラス転移温度を有するアモルファスエチレン−オクテンブロック(ソフト)から構成される。これにより、同様の密度の典型的なメタロセンランダムポリマに比べ、ずっと良好な高温耐性および弾性を有するポリマが提供される。いくつかのグレードのInfuse(登録商標)は低い融解熱(およそ20ジュール/グラム)を有するが、それらは、アモルファスポリ−α−オレフィンであると考えることはできない。なぜならポリマ構造が完全に異なり(すなわちブロック対ランダム)、結晶領域を有するように特定的に生成されるからである。それらは構造的に異なるだけでなく、物理的特性の観点からも非常に異なっており、OBCはより良好な弾性回復、圧縮永久ひずみおよび高温耐性を有する。そのようなものとして、それらは異なる市場で異なる最終用途のために販売され、互いに等価であるとは考えられない。
【0046】
OBCは当技術分野でよく知られている。それらの合成および物理的性質の詳細は、例えば、WO2006/101966号、WO2006/102016号、WO2006/102150号、WO2009/029476号およびUS7,524,911号(それらの開示は、参照により本明細書に特定的に組み込まれる)において見出され得る。当技術分野で知られているように、OBCの密度はその結晶化度に直接関連し、すなわち、密度が高いほど結晶化パーセントが高くなる。本ホットメルト接着剤組成物において有用なOBCは、0.860g/cm
3〜0.890g/cm
3(g/cc)の範囲の密度および、ASTM D1238に従い、190℃で2.16kg荷重で測定すると、1g/10分〜1000g/10分、好ましくは1g/10分〜100g/10分のメルトインデックスを有する。
【0047】
2つ以上のOBCポリマのブレンドもまた使用され得る。例えば、第1のOBCポリマおよび第1のOBCポリマとは異なる第2のOBCポリマのブレンドが使用され得る。
【0048】
OBCポリマは、Dow Chemical Companyから、商標名「Infuse(商標)」にて、主としてそれらの密度および結晶化重量パーセントに基づいて区別できる異なるグレードで市販されており、すなわち、Infuse9817、Infuse9807、Infuse9530、Infuse9500およびInfuse9507である。
【0049】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、当技術分野で知られている混合技術のいずれかを使用して調合され得る。先行技術の混合手順の代表例は、ポリマを除く全ての成分を、ローターが取り付けられた、ジャケット形混合ケトル、例えばBaker−PerkinsまたはDay型のジャケット形の頑丈なミキサに入れること、その後、混合物の温度を248°F(120℃)〜400°F(205℃)の範囲まで上昇させて内容物を融解させることを含む。この工程で使用される正確な温度は特定の材料成分の融点に依存することが理解されるべきである。ポリマはその後、ケトルに攪拌下で導入され、一貫した均一な混合物が形成されるまで混合が続けられる。ケトルの内容物は、二酸化炭素または窒素などの不活性ガスにより、全混合プロセス中保護され、全ての封入されたガス、特に空気を除去するために真空が適用され得る。
【0050】
本発明の接着剤組成物の粘度は、325°F(163℃)で20,000センチポアズ(cP)以下である。好ましくは、Brookfield Thermocelまたは他の適切な粘度計を使用して、ASTM方法D3236−88において明記される試験技術を用いて決定されるように、325°F(163℃)で15,000センチポアズ(cP)未満でなければならず、最も好ましくは325°F(163℃)で10,000センチポアズ(cP)未満でなければならない。最終接着剤の粘度は接着剤の最終用途によって広く変動し得る。例えば、ビンラベリング適用のために使用されるホットメルト接着剤は、一般に粘度がかなり低く、例えば、325°Fで約2,000センチポアズ(cP)未満、より好ましくは325°Fで1,000センチポアズ(cP)未満である。他方、ケースおよびカートンシーリングのために使用されるホットメルトは典型的には、325°Fで約10,000センチポアズ(cP)未満である。
【0051】
実施例
2つの試験を使用して、ホットメルト接着剤組成物試料の高温耐性を評価した。第1はマンドレル試験であり、第2は包装技術協会(IOPP)試験である。
【0052】
マンドレル試験を実施するために、42ポンド/連クラフト紙の2つのストリップが必要とされる。1つの片は3インチ×6インチに切断されなければならず、第2の片は1インチ×6インチに切断される。直径約1/8インチの接着剤のビーズを、350°Fの典型的な適用温度で、3インチ×6インチ片の中心に縦に適用する。2秒の開放時間後、1インチ×6インチ片を接着剤のビーズの上面に置き、標準4.5ポンドPSTC(Pressure Sensitive Tape Council)ローラーを使用して接着剤ビーズ上で1度回転させることにより圧迫する。試験サンプルを一晩、室温でエージングさせる。
【0053】
エージング後、積層物の1/2インチを各端から切断し、接着に影響し得る絞り出された接着剤がないことを確認する。積層物を、頂部および底部で、標準3インチIDコアの外側にテーピングする。外側1インチ×5インチ片のクラフト紙を定位置に保持する唯一のものは、接着剤のビーズである。試料を環境チャンバに、様々な温度(140°F、150°F、160°F、など)で24時間入れる。24時間が経過した後、層間剥離のためにチャンバ内にあるうちに試料をチェックする。層間剥離パーセントは故障モードと共に記録する。試料が依然として接着されている場合、手で剥がして繊維引裂の量を決定する。
【0054】
試料はまた、業界において、「ホットメルト接着剤の熱応力耐性を決定するための推奨試験方法」として知られているIOPP試験により評価した。この試験では、段ボールの2つの試料を、ホットメルト接着剤で一緒に糊付けする。試験は応力下でケースフラップを模倣するように配向される。試験サンプルを、等温オーブンに140°Fにて24時間入れる。試験サンプル上での接着を合格または不合格として評価し、故障モードを記す。IOPP試験のより詳細な説明は、www.iopp.orgにおいて、包装接着剤および接着委員会(Packaging Adhesives and Adhesion Committee)(PAAT)包装技術協会の委員会報告で見出すことができる。
【0055】
表1A、1Bおよび1Cにおける実施例は、無水マレイン酸とグラフトされた官能化ポリオレフィンエラストマを組み込んだ結果としての耐熱性能利点を示す。PA−1およびPA−2と名前が付けられた組成物は、ケースおよびカートンシーリング適用において使用される市販のホットメルト接着剤であり、Bostik,Incから入手可能であり、一方、比較試料1〜13は、非官能化メタロセン触媒ポリオレフィン(Affinity GA1900)のブレンドに基づく様々な調合物を示す。これらのいずれも、160°Fでの24時間のマンドレル試験に合格していない。比較試料13を発明試料1と比較すると、マレイン酸修飾ポリオレフィンポリマ(Affinity GA1000R)を含む発明試料1は、劇的に改善された高温特性を有する。比較試料14を発明試料2と、および比較試料15を発明試料3と比較しても同様である。粘度はマレイン酸修飾ポリマを添加しても著しくは変化しないことに注目することが重要である。驚いたことに、発明試料はずっと高い耐熱特性を有するにも関わらず環球式軟化点は増加しない。
【0056】
表2は、接着しにくい透明ラベルフィルム上で12インチ/分のクロスヘッド速度で室温にてInstron引張試験機を用いて測定した標準180度剥離試験を用いる接着力を評価するための、いくつかの実施例を示す。接着しにくい透明ラベルフィルムは、透明ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、または金属化延伸ポリプロピレンラベルフィルムなどのフィルムを含む。PA−3と名前が付けられた組成物は、ビンラベリング適用において使用される市販のホットメルト接着剤であり、Bostik, Incから入手可能である。PA−3と発明試料3を比較すると、発明試料3は、ポリプロピレンフィルムラベル上でずっと高い剥離力を提供することが明らかである。また、組成物PA−3およびComp.1を発明実施例Inv.l、Inv.2およびInv.3と比較すると、発明実施例Inv.l、Inv.2およびInv.3は35°Fで高い剥離強度を維持するがPA−3およびComp.1はどちらも層間剥離したことが明らかであることに注意すべきである。
【0057】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】