特許第6602541号(P6602541)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日野自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6602541-蓄圧式燃料噴射装置 図000002
  • 特許6602541-蓄圧式燃料噴射装置 図000003
  • 特許6602541-蓄圧式燃料噴射装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602541
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】蓄圧式燃料噴射装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 55/02 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   F02M55/02 310C
   F02M55/02 330C
   F02M55/02 330B
   F02M55/02 350C
   F02M55/02 360A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-28218(P2015-28218)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-151202(P2016-151202A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 正純
(72)【発明者】
【氏名】辻 幸浩
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−079594(JP,A)
【文献】 特開2009−275692(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/033129(WO,A1)
【文献】 実開昭59−136011(JP,U)
【文献】 特開2005−023559(JP,A)
【文献】 実開昭62−179500(JP,U)
【文献】 実開昭55−154882(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタ同士を連結コネクタを介し第一の燃料噴射管により連結して燃料供給系統を相互に連通した状態とし、その並び方向両端の二つの連結コネクタとコモンレールとの間を第二の燃料噴射管により連結して高圧燃料を二系統で供給し得るようにした蓄圧式燃料噴射装置において、前記インジェクタと前記連結コネクタとを接続するための相互の接続端部に異なるピッチの雄ネジ部を夫々形成し、該各雄ネジ部の夫々に螺着し得るようピッチの異なる二種類の雌ネジ部を軸心方向両側の内周面に夫々形成した接続ナットを備え、
前記インジェクタ側の雄ネジ部よりも連結コネクタ側の雄ネジ部の方がピッチが粗くなるようにし、
前記接続ナットの軸心方向両側の各雌ネジ部に対し前記インジェクタの接続端部と前記連結コネクタの接続端部とを螺着させた状態で前記接続ナットを回転させることで前記インジェクタの接続端部と前記連結コネクタの接続端部とが前記接続ナット内で引き寄せられて最終的に突き合わされた状態で圧接し得るよう構成し
前記連結コネクタのインジェクタに対する位相が合わない時に接続ナットを一旦緩めて前記連結コネクタの向きを調整した後に締め直し得るよう構成したことを特徴とする蓄圧式燃料噴射装置。
【請求項2】
インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とにおける雄ネジ部が互いに順方向となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
【請求項3】
インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とにおける雄ネジ部が互いに逆方向となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
【請求項4】
インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが異なる径で形成されていると共に、これに対応して接続ナットの両端部も異なる径で形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
【請求項5】
インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部の少なくとも何れかの雄ネジ部に、接続ナットの緩みを防止するロックナットが備えられていることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の蓄圧式燃料噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式燃料噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの燃料噴射に関し、噴射圧力の高圧化を図り且つ燃料の噴射タイミング及び噴射量等の噴射条件をエンジンの運転状態に応じて最適に制御する方式として蓄圧式燃料噴射装置が知られており、この種の蓄圧式燃料噴射装置にあっては、高圧供給ポンプによりコモンレールに高圧燃料を蓄圧し、コモンレールで蓄圧された高圧の燃料をエンジンの各気筒毎に装備された各インジェクタに向け個別に供給し得るようにしているが、噴射時にインジェクタのニードル弁が開いた直後に燃料圧力が大きく落ち込むため、燃料噴射期間中の平均噴射圧力が低下して噴霧が細かく飛ばなくなり、これにより各気筒内での燃料と空気の混合が悪化して黒煙が発生し易くなると共に、燃費の悪化を招くことにもなり、更には、噴射直後の燃料圧力の落ち込みによる圧力脈動で噴射系材料の疲労寿命が低下するといった課題があった。
【0003】
そこで、インジェクタにおける噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑えて燃料噴射期間中の平均噴射圧力を高める手段として、図3に示す如く、インジェクタ1同士を三方向に連結口を持つ連結コネクタ2を介して燃料噴射管3(第一の燃料噴射管:両端部に袋ナットを回動自在に装備した配管)により連結して燃料供給系統を相互に連通した状態とし、その並び方向両端の二つの連結コネクタ2とコモンレール4との間を燃料噴射管5(第二の燃料噴射管:両端部に袋ナットを回動自在に装備した配管)により連結して高圧燃料を二系統で供給し得るようにした蓄圧式燃料噴射装置(例えば下記の特許文献1等を参照)が提案されており、このようにすれば、各インジェクタ1における噴射直後の燃料圧力の落ち込みが抑えられて燃料噴射期間中の平均噴射圧力を高めることが可能となる。尚、図3中の6はコモンレール4に燃料を供給するサプライポンプを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−79594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
斯かる蓄圧式燃料噴射装置においては、インジェクタ1に対し連結コネクタ2を極力近づけて接続した方が各インジェクタ1における噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑える効果が高いことが判っているが、インジェクタ1に直接螺着し得るようなネジ部を連結コネクタ2側に形成しても、該連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相(インジェクタ1の締め込み回転方向の向き)を狙い通りに決めることが難しく、連結コネクタ2の向きが燃料噴射管3の向きと合わない場合に燃料漏れのリスクが増大する虞れが生じる。
【0006】
また、各連結コネクタ2の相互の間を連結している燃料噴射管3を用いてインジェクタ1に連結コネクタ2を接続することも考えられるが、燃料噴射管3を用いた場合には、インジェクタ1と連結コネクタ2との接続間隔が大きくなって、各インジェクタ1における噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑える効果が少なくなってしまう。
【0007】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、インジェクタにおける噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑え得る蓄圧式燃料噴射装置を組み付け性の悪化や燃料漏れのリスクを招くことなく実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、インジェクタ同士を連結コネクタを介し第一の燃料噴射管により連結して燃料供給系統を相互に連通した状態とし、その並び方向両端の二つの連結コネクタとコモンレールとの間を第二の燃料噴射管により連結して高圧燃料を二系統で供給し得るようにした蓄圧式燃料噴射装置において、前記インジェクタと前記連結コネクタとを接続するための相互の接続端部に異なるピッチの雄ネジ部を夫々形成し、該各雄ネジ部の夫々に螺着し得るようピッチの異なる二種類の雌ネジ部を軸心方向両側の内周面に夫々形成した接続ナットを備え、
前記インジェクタ側の雄ネジ部よりも連結コネクタ側の雄ネジ部の方がピッチが粗くなるようにし、
前記接続ナットの軸心方向両側の各雌ネジ部に対し前記インジェクタの接続端部と前記連結コネクタの接続端部とを螺着させた状態で前記接続ナットを回転させることで前記インジェクタの接続端部と前記連結コネクタの接続端部とが前記接続ナット内で引き寄せられて最終的に突き合わされた状態で圧接し得るよう構成し
前記連結コネクタのインジェクタに対する位相が合わない時に接続ナットを一旦緩めて前記連結コネクタの向きを調整した後に締め直し得るよう構成したことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とにおける雄ネジ部は互いに順方向となるように形成されていても良いし、互いに逆方向となるように形成されていても良く、何れの場合も接続ナットの各雌ネジ部に螺着させた状態で前記接続ナットを回転させると、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが前記接続ナット内で引き寄せられて最終的に突き合わされた状態で圧接し、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが締結される。
【0010】
即ち、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とにおける雄ネジ部が互いに順方向となるように形成されている場合には、接続ナットを回転することでインジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが同じ方向に移動するが、前記各雄ネジ部のピッチの違いにより移動量が異なるので、予めピッチの細かい方の雄ネジ部に接続ナットの片側を深く締め込んでおいた上でピッチの粗い方の雄ネジ部に前記接続ナットの残りの片側を締め込んでいけば、ピッチの細かい方の雄ネジ部を持つ接続端部が遠ざかる移動量に対し、ピッチの粗い方の雄ネジ部を持つ接続端部が近づく移動量の方が勝り、その移動量の差分だけ徐々に両者が引き寄せられて最終的に突き合わされることになる。
【0011】
一方、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とにおける雄ネジ部が互いに逆方向となるように形成されている場合には、接続ナットを回転することで前記各雄ネジ部の夫々が逆向きに移動することになるため、何れの雄ネジ部に対しても締め込みが成されるように前記接続ナットを回転していけば、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが引き寄せられて最終的に突き合わされることになる。
【0012】
尚、エンジンを製作するにあたり、インジェクタについては、別の部品メーカーから規格品を調達して用いることになるため、その接続端部の雄ネジ部を調達後に改造するということは考え難いが、このインジェクタ側の雄ネジ部よりも連結コネクタ側の雄ネジ部の方がピッチが粗くなるようにしておけば、インジェクタ側の雄ネジ部と同じピッチで連結コネクタ側の雄ネジ部を逆方向に形成するよりも少ない回転数で接続ナットを締め込むことが可能となり、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部との締結を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
【0013】
そして、このように接続ナットによりインジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部との締結を図るようにすれば、インジェクタに対し連結コネクタを極力近づけて接続することが可能となり、各インジェクタにおける噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑える効果を高めることが可能となる。
【0014】
しかも、連結コネクタのインジェクタに対する位相を固定したまま接続ナットの回転操作を行うだけでインジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが締結されると共に、連結コネクタのインジェクタに対する位相が合わない時に接続ナットを一旦緩めて前記連結コネクタの向きを調整した後に締め直すことで簡単に位相を合わせることが可能となる。
【0015】
更に、本発明においては、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが異なる径で形成されていると共に、これに対応して接続ナットの両端部も異なる径で形成されていることが好ましく、このようにすれば、締結作業時に接続ナットの向きを間違えてピッチの合わない雌ネジ部に雄ネジ部を締め込んでしまうような誤組を確実に防止することが可能となる。
【0016】
また、本発明においては、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部の少なくとも何れかの雄ネジ部に、接続ナットの緩みを防止するロックナットが備えられていることが好ましく、このようにすれば、ピッチを粗くすること等により接続ナットが緩み易くなっても、該接続ナットの緩みを前記ロックナットで防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明の蓄圧式燃料噴射装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0018】
(I)本発明の請求項1、2、3に記載の発明によれば、インジェクタに対し連結コネクタを極力近づけて接続することができ、しかも、連結コネクタのインジェクタに対する位相を固定してインジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とを締結することができると共に、連結コネクタのインジェクタに対する位相が合わない時に簡単に位相を合わせ直すこともできるので、各連結コネクタの組み付け性の悪化を未然に回避することができ、燃料漏れのリスクについても著しく低減することができる。
【0019】
(II)本発明の請求項4に記載の発明によれば、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部とが異なる径で形成されていると共に、これに対応して接続ナットの両端部も異なる径で形成されているので、締結作業時に接続ナットの向きを間違えてピッチの合わない雌ネジ部に雄ネジ部を締め込んでしまうような誤組を確実に防止することができる。
【0020】
(III)本発明の請求項5に記載の発明によれば、インジェクタの接続端部と連結コネクタの接続端部の少なくとも何れかに、接続ナットの緩みを防止するロックナットが備えられているので、ピッチを粗くすること等により接続ナットが緩み易くなっても、該接続ナットの緩みを前記ロックナットで防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明を実施する形態の一例を示す部分断面図である。
図2】本発明の別の形態例を示す部分断面図である。
図3】従来の蓄圧式燃料噴射装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、先に説明した図3の従来例の場合と同様に、インジェクタ1同士を連結コネクタ2を介し燃料噴射管3(第一の燃料噴射管:図3参照)により連結して燃料供給系統を相互に連通した状態とし、その並び方向両端の二つの連結コネクタ2とコモンレール4(図3参照)との間を燃料噴射管5(第二の燃料噴射管:図3参照)により連結して高圧燃料を二系統で供給し得るようにした蓄圧式燃料噴射装置に関し、前記インジェクタ1と前記連結コネクタ2とを接続するための相互の接続端部7,8に異なるピッチの雄ネジ部9,10を夫々形成し、該各雄ネジ部9,10の夫々に螺着し得るようピッチの異なる二種類の雌ネジ部11,12を軸心方向両側の内周面に夫々形成した接続ナット13により前記インジェクタ1の接続端部7と前記連結コネクタ2の接続端部8とを締結したものとなっている。
【0024】
ここで、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とにおける雄ネジ部9,10は互いに順方向となるように形成されており、特に本形態例においては、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりも連結コネクタ2側の雄ネジ部10の方がピッチが粗くなるようにしてあると共に、インジェクタ1の接続端部7よりも連結コネクタ2の接続端部8の方が大きな径で形成されている。
【0025】
即ち、エンジンを製作するにあたり、インジェクタ1については、別の部品メーカーから規格品を調達して用いることになるため、その接続端部7の雄ネジ部9を調達後に改造するということは考え難く、ここに図示している例では、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりも連結コネクタ2側の雄ネジ部10のピッチを粗くし且つインジェクタ1の接続端部7よりも連結コネクタ2の接続端部8の径を大きく設定するようにしている。
【0026】
また、前記接続ナット13は、その軸心方向両側の雌ネジ部11,12に挟まれた中間部分の内周面を前記連結コネクタ2側の雄ネジ部10より外側まで張り出して何れの雄ネジ部9,10とも干渉しないようにしてあり、連結コネクタ2の接続端部8の方がインジェクタ1の接続端部7より大きな径で形成されていても、両雄ネジ部9,10の広範囲に亘って螺着できるようになっている。
【0027】
更に、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりもピッチを粗くした連結コネクタ2側の雄ネジ部10では、ピッチを粗くすることで接続ナット13が緩み易くなる虞れに配慮し、該接続ナット13の緩みを防止するロックナット14が螺着されており、前記連結コネクタ2側の雄ネジ部10に螺着した接続ナット13の端部と圧接するように前記ロックナット14を締め込んでおくことにより前記接続ナット13の緩みが防止されるようにしてある。
【0028】
尚、前記インジェクタ1の接続端部7の先端部に擂り鉢状の受け座15が形成されていると共に、前記連結コネクタ2の接続端部8の先端部には先細りのテーパ部16が形成されており、互いに突き合わされて圧接した際に、楔作用により緊密な接続が図られて燃料漏れが防止されるようになっている。
【0029】
而して、このような構成とした場合、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とにおける雄ネジ部9,10が互いに順方向となるように形成されているので、接続ナット13を回転することでインジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが同じ方向に移動することになるが、前記各雄ネジ部9,10のピッチの違いにより移動量が異なるので、予めピッチの細かいインジェクタ1側の雄ネジ部9に接続ナット13の片側を深く締め込んでおいた上でピッチの粗い連結コネクタ2側の雄ネジ部10に前記接続ナット13の残りの片側を締め込んでいけば、ピッチの細かい雄ネジ部9を持つインジェクタ1の接続端部7が遠ざかる移動量に対し、ピッチの粗い雄ネジ部10を持つ連結コネクタ2の接続端部8が近づく移動量の方が勝り、その移動量の差分だけ徐々に両者が引き寄せられて最終的に突き合わされた状態で圧接し、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが締結される。
【0030】
そして、このように接続ナット13によりインジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8との締結を図るようにすれば、インジェクタ1に対し連結コネクタ2を極力近づけて接続することが可能となり、各インジェクタ1における噴射直後の燃料圧力の落ち込みを抑える効果を高めることが可能となる。
【0031】
しかも、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相を固定したまま接続ナット13の回転操作を行うだけでインジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが締結されると共に、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相が合わない時に接続ナット13を一旦緩めて前記連結コネクタ2の向きを調整した後に締め直すことで簡単に位相を合わせることが可能となる。
【0032】
従って、上記形態例によれば、インジェクタ1に対し連結コネクタ2を極力近づけて接続することができ、しかも、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相を固定してインジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とを締結することができると共に、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相が合わない時に簡単に位相を合わせ直すこともできるので、各連結コネクタ2の組み付け性の悪化を未然に回避することができ、燃料漏れのリスクについても著しく低減することができる。
【0033】
更に、特に本形態例の場合には、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが異なる径で形成されていると共に、これに対応して接続ナット13の両端部も異なる径で形成されているので、締結作業時に接続ナット13の向きを間違えてピッチの合わない雌ネジ部12,11に雄ネジ部9,10を締め込んでしまうような誤組を確実に防止することができる。
【0034】
また、連結コネクタ2の接続端部8における雄ネジ部10にロックナット14が備えられているので、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりも連結コネクタ2側の雄ネジ部10のピッチを粗くすることで接続ナット13が緩み易くなっても、該接続ナット13の緩みを前記ロックナット14により防止することができる。
【0035】
図2は本発明の別の形態例を示すもので、先の図1の形態例の場合と同様に、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりも連結コネクタ2側の雄ネジ部10の方がピッチが粗くなるようにしてあるが、各雄ネジ部9,10は互いに逆方向となるように形成されており、これら各雄ネジ部9,10の夫々に螺着し得るようピッチの異なる二種類の雌ネジ部11,12を軸心方向両側の内周面に夫々形成した接続ナット13により前記インジェクタ1の接続端部7と前記連結コネクタ2の接続端部8とが締結されるようになっている。
【0036】
尚、ここに図示している例では、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが同じ径で形成されていると共に、これに対応して接続ナット13の両端部も同じ径で形成されており、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8の両方の雄ネジ部9,10にロックナット14,17が備えられている場合を例示している。
【0037】
このようにした場合、接続ナット13を回転することで前記各雄ネジ部9,10の夫々が逆向きに移動することになるため、何れの雄ネジ部9,10に対しても締め込みが成されるように前記接続ナット13を回転していけば、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とが引き寄せられて最終的に突き合わされることになる。
【0038】
従って、本形態例においても、インジェクタ1に対し連結コネクタ2を極力近づけて接続することができ、しかも、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相を固定してインジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8とを締結することができると共に、連結コネクタ2のインジェクタ1に対する位相が合わない時に簡単に位相を合わせ直すこともできるので、各連結コネクタ2の組み付け性の悪化を未然に回避することができ、燃料漏れのリスクについても著しく低減することができる。
【0039】
ここで、図1の形態例に関する説明の中でも述べている通り、別の部品メーカーから規格品として調達されるインジェクタ1における接続端部7の雄ネジ部9を調達後に改造するということは考え難いため、本形態例のように、インジェクタ1側の雄ネジ部9よりも連結コネクタ2側の雄ネジ部10の方がピッチが粗くなるようにしておけば、インジェクタ1側の雄ネジ部9と同じピッチで連結コネクタ2側の雄ネジ部10を逆方向に形成するよりも少ない回転数で接続ナット13を締め込むことができ、インジェクタ1の接続端部7と連結コネクタ2の接続端部8との締結を簡単に且つ短時間で行うことができるというメリットが得られる。
【0040】
尚、本発明の蓄圧式燃料噴射装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、図示例においては、全ての連結コネクタを連結した場合を例示しているが、該各連結コネクタを複数のグループに組分けし、各グループ毎に並び方向両端の連結コネクタをコモンレールと第二の燃料噴射管を介して連結するようにしても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 インジェクタ
2 連結コネクタ
3 燃料噴射管(第一の燃料噴射管)
4 コモンレール
5 燃料噴射管(第二の燃料噴射管)
7 接続端部
8 接続端部
9 雄ネジ部
10 雄ネジ部
11 雌ネジ部
12 雌ネジ部
13 接続ナット
14 ロックナット
17 ロックナット
図1
図2
図3