(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調理物を加熱する加熱手段と、調理モードを設定する調理モード設定手段と、前記調理モード設定手段の設定操作に応じて前記加熱手段を制御して余熱工程を含む自動調理を実行する制御手段と、前記制御手段への電力の供給をオンオフするために操作される電源スイッチとを備える加熱調理器において、
前記制御手段は、前記余熱工程を開始して完了するまでの該余熱工程の実行中に前記電源スイッチがオフ操作されたときには、実行中の前記余熱工程を継続し、この余熱工程の継続中に、該余熱工程を前記完了するまで継続させるための条件を満たす継続操作がされたときには、前記余熱工程を継続して完了させ、前記継続操作がされなかったときには、前記余熱工程の継続を終了させる、
ことを特徴とする加熱調理器。
前記制御手段は、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中に、前記余熱工程用表示手段による表示を行わないようにする前に、一定期間に亘って、前記余熱工程用表示手段による通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行う、
請求項5に記載の加熱調理器。
前記制御手段は、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中に、前記残時間表示部による前記残時間の表示を行わないようにする前に、一定期間に亘って、前記残時間表示部による通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行う、
請求項7に記載の加熱調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
余熱工程では、加熱が終了した後、調理器具内部に残った熱や蒸気が食品の中心部まで十分に通るように、そのまま高温状態にしておくのであるが、この余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチを操作してしまい、制御部へ電力が供給されなくなると、余熱工程が途中で終了したことになり、調理終了の報知が正常に行われなくなる。
【0005】
このため、使用者は、余熱工程が完了する前に、調理器具の蓋を開けて、熱や蒸気を調理器具外へ逃がしてしまい、適切な余熱調理ができない虞がある。
【0006】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチを操作しても、安全に余熱工程を継続することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0008】
(1)本発明は、調理物を加熱する加熱手段と、調理モードを設定する調理モード設定手段と、前記調理モード設定手段の設定操作に応じて前記加熱手段を制御して余熱工程を含む自動調理を実行する制御手段と、前記制御手段への電力の供給をオンオフするために操作される電源スイッチとを備える加熱調理器において、
前記制御手段は、前記余熱工程を開始して完了するまでの該余熱工程の実行中に前記電源スイッチがオフ操作されたときには、実行中の前記余熱工程を継続し、この余熱工程の継続中に、該余熱工程を前記完了するまで継続させるための条件を満たす継続操作がされたときには、前記余熱工程を継続して完了させ、前記継続操作がされなかったときには、前記余熱工程の継続を終了させる。
【0009】
本発明によると、余熱工程を開始して完了するまでの余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作しても、直ちに余熱工程を終了するのではなく、余熱工程を継続し、この余熱工程の継続中に、余熱工程を完了するまで継続させるための条件を満たす継続操作がされたときには、余熱工程を継続して完了させるので、使用者が、不用意に電源スイッチをオフ操作しても、継続操作をすることによって、適切に余熱工程を完了させることができ、また、継続操作がされないときには、余熱工程の継続を終了させる。
【0010】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記継続操作が、前記余熱工程の前記開始から前記完了までの余熱時間が経過するまでの期間内に行われる所要の操作である。
【0011】
この実施態様によると、余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作しても、余熱時間が経過するまでの期間内に所要の操作をすることによって、余熱工程を完了まで継続する、すなわち、余熱工程を完了させることができる。
【0012】
(3)上記(2)の実施態様では、前記所要の操作を、前記電源スイッチのオン操作としてもよい。
【0013】
この実施態様によると、余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作しても、電源スイッチをオン操作することによって、余熱工程を継続して完了させることができる。
【0014】
(4)本発明の他の実施態様では、前記余熱工程を含む自動調理が、炊飯調理であって、前記余熱工程が、蒸らし工程である。
【0015】
この実施態様によると、炊飯調理の蒸らし工程中に、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作しても、電源スイッチのオン操作等の所要の操作をすることで、蒸らし工程を完了させることができるので、米粒中心部の糊化が進んで周囲の水分が完全に吸収され、ふっくらとしたご飯になり、より好ましい炊飯調理ができる。
【0016】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記余熱工程に関する表示を行う余熱工程用表示手段を備え、前記制御手段は、余熱工程用表示手段を制御すると共に、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中は、前記余熱工程用表示手段による表示を行わない。
【0017】
この実施態様によると、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作した後、前記継続操作がされるまでの余熱工程の継続中は、余熱工程用表示手段による表示が行われなくなるので、使用者は、不用意に電源スイッチをオフ操作したことを認識することができる。
【0018】
(6)上記(5)の実施態様では、前記制御手段は、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中に、前記余熱工程用表示手段による表示を行わないようにする前に、一定期間に亘って、前記余熱工程用表示手段による通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行うようにしてもよい。
【0019】
この実施態様によると、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作したときには、余熱工程用表示手段による表示を行わないようにする前に、一定期間に亘って、通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行うので、使用者は、不用意に電源スイッチをオフ操作したことを、余熱工程用表示手段の通常とは異なる表示によって認識することができる。
【0020】
(7)上記(5)または(6)の実施態様では、前記制御手段は、余熱工程の経過時間を計測する計測部を有し、前記余熱工程用表示手段は、前記余熱工程の残時間を表示する残時間表示部を有し、前記制御手段は、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中は、前記残時間表示部による前記残時間の表示を行わず、前記継続操作がされて、前記余熱工程を前記完了するまで継続している期間中は、前記残時間表示部による前記残時間の表示を行うようにしてもよい。
【0021】
この実施態様によると、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作した後、継続操作を行うまでは、余熱工程の残時間の表示は行われず、使用者が、継続操作を行って余熱工程を完了まで継続するときには、余熱工程の残時間の表示が行われるので、使用者の操作と残時間の表示とが対応し、使い勝手の良いものとなる。
【0022】
(8)上記(7)の実施態様では、前記制御手段は、前記継続操作がされるまでの前記余熱工程の前記継続中に、前記残時間表示部による前記残時間の表示を行わないようにする前に、一定期間に亘って、前記残時間表示部による通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行うようにしてもよい。
【0023】
この実施態様によると、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作したときには、一定期間に亘って、残時間表示部に、通常の表示態様とは異なる表示態様の表示を行うので、使用者は、不用意に電源スイッチをオフ操作したことを、残時間表示部の通常とは異なる表示によって認識することができる。
【0024】
(9)本発明の他の実施態様では、前記制御手段は、前記余熱工程の継続中は、前記加熱手段による加熱を禁止する。
【0025】
この実施態様によると、電源スイッチを、加熱手段の加熱の開始/加熱の停止を指令するために操作される加熱/停止操作部と共用し、加熱/停止操作部の加熱開始の操作によって電源スイッチがオンすると共に、加熱が開始(点火)され、加熱/停止操作部の加熱停止の操作によって加熱が停止(消火)されると共に、電源スイッチがオフされる構成の場合に、余熱工程の継続中における継続操作を、電源スイッチのオン操作、すなわち、加熱/停止操作部の加熱開始の操作としたときに、制御手段は、加熱開始の指令を受けても加熱を禁止する、すなわち、点火しないので、安全であり、また、余熱工程を継続することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、余熱工程を開始して完了するまでの余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチをオフ操作しても、直ちに余熱工程を終了するのではなく、余熱工程を継続し、この余熱工程の継続中に、余熱工程を完了するまで継続させるための条件を満たす継続操作がされたときには、余熱工程を継続して完了させるので、使用者が、不用意に電源スイッチをオフ操作しても、使用者が継続操作を行うことによって、適切に余熱工程を完了させることができ、また、継続操作がされないときには、余熱工程の継続を終了する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
この実施形態では、加熱調理器として、グリル付きガスコンロに適用して説明する。
【0030】
この実施形態のグリル付きガスコンロAは、
図1に示すように、コンロ本体1の上部に、最大火力の異なるコンロバーナからなる3つのガスコンロ部2a〜2cを備え、コンロ本体1の左右中央には、グリルバーナ(図示せず)を内装すると共に、グリル扉3aを前方に備えるグリル皿(図示せず)を前面から出し入れ可能に装着したグリル3を備えている。
【0031】
このグリル付きガスコンロAは、図示しないキッチンキャビネットに落とし込み装着されるビルトインタイプである。
【0032】
コンロ本体1の上部は、天板4で覆われると共に、コンロ奥端の上面にグリル3の燃焼排ガスを排出するためのグリル排気口5が設けられている。
【0033】
この実施形態では、天板4の手前側の左右に配設したガスコンロ部2a,2bの一方(左側)が、標準火力のガスコンロ部2aとなっており、他方(右側)が、高火力のガスコンロ部2bとなっている。また、奥側(後側)の中央部に配設したガスコンロ部2cが、小火力のガスコンロ部2cとなっている。各ガスコンロ部2a〜2cには、調理容器、例えば鍋の底部の温度を検出するサーミスタからなる温度センサ7a〜7cがそれぞれ装備されていると共に、対応する五徳6a〜6cがそれぞれ載置されている。
【0034】
各ガスコンロ部2a〜2cには、図示していないが、コンロバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、コンロバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対とが設けられ、グリル3にも同様に、グリルバーナに点火する点火装置としての点火プラグと、グリルバーナの着火を検出する着火検出装置としての熱電対が設けられる。点火プラグは、後述する加熱状態調節部12a〜12cにおける点火操作によってマイクロコンピュータからなる制御手段としての制御部11(
図2参照)により点火動作が行われ、熱電対において検出された着火(点火)情報は制御部11に認識されて、制御部11により点火プラグでの点火処理を終了する。
【0035】
加熱手段としての各コンロバーナ及びグリルバーナには、
図2に示すように、都市ガス等のガス燃料を供給する燃料供給路8からそれぞれ分岐する分岐供給路8aが接続されている。なお、この
図2では、ガスコンロ部2aのコンロバーナのみを代表的に示している。燃料供給路8には、電磁弁9が設けられると共に、各分岐供給路8aには、ガス燃料の供給量の調節を行うためステッピングモータにより駆動されて弁体の開度位置の微調整が可能な流量制御弁10と、前記弁体の開度位置を検出する位置センサ(図示せず)と、安全弁(図示せず)が設けられている。電磁弁9、流量制御弁10及び安全弁は、制御部11によって制御され、位置センサにおける検出情報は、制御部11によって認識・処理される。また、流量制御弁10は、対応するコンロバーナ又はグリルバーナが使用されない時には、流量を零にして遮断状態となるように切り換えられる。
【0036】
図1に示すように、コンロ本体1の前面の左右上部には、各ガスコンロ部2a〜2cの点火/消火、及び火力調節ための操作をそれぞれ行うための3つの加熱状態調節部12a〜12cが設けられている。この実施形態では、前面の左側に、標準火力のガスコンロ部2aの加熱状態調節部12aを配設し、前面の右側に、高火力のガスコンロ部2bの加熱状態調節部12b及び小火力のガスコンロ部2cの加熱状態調節部12cを配設している。
【0037】
また、前面の右側上部には、制御部11をはじめ電磁弁9や流量制御弁10、入力部や加熱状態調節部12a〜12c等の各部への通電の入切(オンオフ)を行う自動復帰型の押し釦式の電源スイッチ13及び電源オン時に点灯する電源ランプ13aが設けられている。
【0038】
制御部11は、電源スイッチ13がオン操作されることによって、給電ラインを介して電力が供給されて動作を開始すると共に、電源スイッチ13がオフ操作された時に、直ちに給電ラインが遮断されないように、電源保持信号を出力して給電ラインを確保できるように構成されており、制御部11は、電源スイッチ13がオフ操作されたときには、消火処理等の所要の制御を行った後に、電源保持信号の出力を停止して当該制御部11への給電ラインを遮断する。
【0039】
このように電源スイッチ13をオフ操作した時に、制御部11への電力の供給を直ちに遮断するのではなく、制御部11が、消火処理等の所要の制御を終了した後に、当該制御部11への電力の供給を遮断する構成は、従来と同様である。
【0040】
上記各加熱状態調節部12a〜12cは、前後方向に移動自在な押釦により構成され、ガスコンロ部2a〜2cの使用に当たっては、押釦よりなる加熱状態調節部12a〜12cを押圧して点火操作をすることで、後退していた加熱状態調節部12a〜12cが前方に突出して器具栓がONとなり、流出するガス燃料にスパーク放電がなされてガスコンロ部2a〜2cのコンロバーナに点火される。
【0041】
この押釦よりなる加熱状態調節部12a〜12cが前方に突出した状態で加熱状態調節部12a〜12cを指で摘んで回動操作すると、前記回動角度がロータリーエンコーダにより検出されて制御部11に認識され、前記回動角度に応じた開度位置となるようにステッピングモータにより流量制御弁10の弁体が駆動されてガス流量が制御されて、ガスコンロ部2a〜2cの火力が制御できるようになっている。一方、消火にあたっては、前方に突出している加熱状態調節部12a〜12cを後方に押圧操作することで器具栓がOFFとなってガスコンロ部2a〜2cのコンロバーナが消火される。
【0042】
コンロ本体1の前面の左右の下部には、操作パネル14,15が収納自在に設けられている。右側の操作パネル15には、グリル3に関する操作を行うためのグリル用調理設定入力部16が設けられ、この操作パネル15がグリル側操作パネルとなり、左側の操作パネル14には、標準火力のガスコンロ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスコンロ用調理設定入力部17が設けられ、この操作パネル14がコンロ側操作パネルとなっている。
【0043】
図3には、ガスコンロ用調理設定入力部17を示している。標準火力のガスコンロ部2aによる調理設定の入力を行うためのガスコンロ用調理設定入力部17は、ガスコンロ部2aによる調理時間を設定するためのタイマースイッチ18、揚げ物、炊飯、湯沸し、煮込みの自動調理のメニューをそれぞれ設定するための各メニュースイッチ19〜22、及び、前記各スイッチ18〜22を操作して設定した各入力を取り消すための取消しスイッチ23等を備えている。
【0044】
タイマ設定部としてのタイマースイッチ18のアップスイッチ18a,ダウンスイッチ18bを押すことにより、1分単位で1分〜120分迄のタイマ時間を設定することができ、設定されるタイマ時間が、タイマ表示部18cに表示される。タイマ時間が設定されない場合は、初期設定値として、60分が表示される。また、設定された調理モードの実行中は、表示部18cには、残り時間が1分となるまでは1分の時間経過と共にデクリメントされた分単位の残時間が、表示され、残り時間が1分未満になると、残り時間が30秒になるまでは、「1分」の値が表示され、残り時間が30秒以下になると、ブザーで報知すると共に、1秒単位で1秒の時間経過と共にデクリメントされた秒単位の残時間が、表示され、残り時間が0になると「0」が10回点滅し、ガスコンロ部2aが消火し、設定された調理モードは終了する。タイマ表示部18cには、後述の炊飯調理の余熱工程(蒸らし工程)の実行中には、余熱工程の残時間が表示される。
【0045】
なお、タイマ時間が設定された調理モードの実行中に、タイマースイッチ18のアップスイッチ18a又はダウンスイッチ18bを押すことにより、タイマ時間の設定の増減変更ができ、設定可能な最大時間は120分迄であり、ガスコンロ部2aの連続使用可能時間は120分迄としている。
【0046】
上記自動調理のメニュースイッチ19〜22の内、揚げ物用のメニュースイッチ19を押すことで揚げものを自動調理で行う揚げ物モードとすることができ、この揚げ物用のメニュースイッチ19を何回押すかによって、200℃、180℃、160℃といった複数種類の揚げ物の調理の中から目的とする温度の揚げ物調理を設定することができ、設定に対応する温度表示ランプ19aが点灯する。また、モード設定手段としての炊飯用のメニュースイッチ20を押すことで炊飯を自動調理で行う炊飯調理モードとすることができ、この炊飯用のメニュースイッチ20を何回押すかによって、ご飯、おかゆといった複数種類の炊飯の調理の中から目的とする炊飯の調理を設定することができ、設定に対応する炊飯表示ランプ20aが点灯する。また、湯沸し用のメニュースイッチ21を押すことで湯沸しを自動調理で行う湯沸しモードとすることができ、この湯沸し用のメニュースイッチ21を何回押すかによって、自動消火、5分保温といった湯沸し後にすぐ消火するか、あるいは一定時間保温するかといった湯沸しを選択して設定することができ、設定に対応する湯沸し表示ランプ21aが点灯する。
【0047】
更に、この実施形態では、煮込み用のメニュースイッチ22を押すことで煮込みを自動調理で行う煮込み調理モードとすることができ、この煮込み用のメニュースイッチ22を押す度に、煮込み火力が、「標準」(おでんやロールキャベツ等)→「強め」(肉じゃがや筑前煮、量が多い時等)→「弱め」(味噌汁や量が少ない時等)と、サイクリックに切替わり、所望の煮込み火力を設定することができ、設定に対応する煮込み火力表示ランプ22aが点灯する。
【0048】
ガスコンロ用調理設定入力部17において、標準火力のガスコンロ部2aによる調理の設定入力が行われると、制御部11により予め設定された制御内容に基づいて、ガスコンロ部2aにおける火力調整、調理時間等が制御される。この場合、鍋の底部の温度を温度センサ7aにより検出して、該温度センサ7aで検出した鍋の底部の温度を、制御部11に入力してフィードバック制御により火力調整を行うようになっている。また、制御部11は、タイマースイッチ18によって設定されるタイマ時間を計測するタイマ計測部としての機能を有する。
【0049】
ガスコンロ用調理設定入力部17の炊飯用のメニュースイッチ20を操作して、自動で炊飯を行う炊飯調理モードの設定入力が行われると、制御部11により予め設定された制御プログラムに従って、ガスコンロ部2aにおける火力調整、調理時間等が制御される。この場合、鍋の底部の温度を温度センサ7aにより検出して、該温度センサ7aで検出した鍋の底部の温度を、制御部11に入力してフィードバック制御により火力調整を行う。
【0050】
各ガスコンロ部2a〜2cの使用に当たっては、手動により加熱を行う場合には、コンロ本体1の前面に露出している加熱状態調節部12a〜12cを直接指で操作して制御部11に指令を与えて点火、火力調整、消火を行うと共に、標準火力のガスコンロ部2aで炊飯調理等の自動調理を行う場合には、後述のように、主として制御部11によりガス流量及び火力が調整される。
【0051】
また、炊飯調理等の自動調理の終了、タイマ機能、あるいは、安全装置により異常が検知されることで、自動消火される場合があり、この場合には、加熱状態調節部12a〜12cが、器具栓をONとする状態であっても安全弁により燃料ガスが遮断されて消火される。
【0052】
なお、自動調理の実行中に、使用者が、加熱状態調節部12aを押し込んで、ガスコンロ部2aを消火するか、あるいは、鍋の底部の検出温度が、焦げ付きを防止する安全機能として設定しているハイカット温度、例えば、150℃を超えた場合にも、ガスコンロ部2aは自動消火して自動調理は中止される。
【0053】
図4は、炊飯調理モードが設定されて炊飯調理を実行した場合の鍋の底部の検出温度の変化及び火力の変化の一例を示すものであり、横軸が時間を、縦軸が温度を示している。
【0054】
使用者が電源スイッチ13をオン操作し、制御部11等に電力を供給し、炊飯用のメニュースイッチ20によって、炊飯モードを設定し、加熱状態調節部12aを押圧して点火操作をすることで、炊飯調理が開始される。
【0055】
この実施形態では、炊飯調理の加熱開始時t0には、火力は「中火」に設定され、温度センサ7cの検出温度が、90度(水温は約60℃)に達すると、その時点t1で火力を「小火」に切替え、加熱開始時点t0から予め設定された標準的な吸水工程時間Pになるまで、小火での加熱が継続される。
【0056】
吸水工程時間Pが経過すると、その時点t2で、火力を、「小火」から「中火」に切替え、加熱を継続する。この加熱中に、温度センサ7cの検出温度が略一定となる平衡状態となり、平衡温度Teが検出される。
【0057】
この平衡温度Teは、例えば、一定の判定期間毎に、その判定期間内の温度差が所定温度範囲内となったときに、平衡状態になったと判定し、前記判定期間の、例えば終了時点の温度を平衡温度Teとする。
【0058】
吸水工程時間Pを経過した後の「中火」による加熱は、温度センサ7cの検出温度が、予め設定された火力切替え温度Tcになるまで継続される。火力切替え温度Tcは、平衡温度Teに所定温度を加算した温度である。
【0059】
「中火」での加熱中に、温度センサ7cの検出温度が、火力切替え温度Tcに達すると、その時点t3で、火力を、再び「小火」に切替える。
【0060】
この「小火」による加熱は、温度センサ7cの検出温度が、予め設定された炊飯終了温度Tsになるまで継続される。炊飯終了温度Tsは、平衡温度Teに所定温度を加算した温度である。
【0061】
「小火」での加熱中に、温度センサ7cの検出温度が、炊飯終了温度Tsに達すると、その時点t4で、自動消火して炊き上げ工程が終了する。
【0062】
この炊き上げ工程後、所定の余熱時間、例えば、10分間、蒸らし工程である余熱工程を実行する。余熱工程が実行されると、タイマ表示部18cに余熱時間の残時間が、タイマ計測部により計測されて表示され、所定の余熱時間が経過して余熱工程が完了すると、炊飯表示ランプ20aの点灯とタイマ表示部18cの残時間は消灯し、炊飯調理モードが終了したことをブザーで使用者に報知する。炊飯表示ランプ20a及びタイマ表示部18cによって、余熱工程の残時間等を表示する余熱工程用表示手段が構成される。
【0063】
従来では、炊き上げ工程が終了し、蒸らしのための余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチ13をオフ操作してしまったときには、余熱工程の途中で制御部11へ電力が供給されなくなるので、炊飯調理モードが終了したことが報知されなくなる。このため、使用者が、余熱工程が完了する前に、調理容器の蓋を開けて、熱や蒸気を外へ逃がしてしまい、適切な蒸らしができない虞がある。
【0064】
そこで、この実施形態では、炊飯調理モードにおいて、炊き上げ工程が終了し、制御部11によってガスコンロ部2aを自動消火した後の余熱工程の実行中に、使用者が電源スイッチ13を不用意にオフ操作したときには、制御部11は、余熱工程を継続し、この余熱工程の継続中に、余熱工程を前記余熱時間が経過するまで継続させるための条件、すなわち、余熱工程を完了させるための条件を満たす継続操作がされたときには、余熱工程を、余熱時間が経過するまで継続して余熱工程を完了させ、継続操作がされなかったときには、余熱工程の継続を終了させるようにしている。
【0065】
余熱工程をその完了まで継続させるための条件を満たす継続操作は、所定期間内における所要の操作であり、この実施形態では、前記余熱時間が経過するまでの期間内における電源スイッチ13のオン操作である。
【0066】
すなわち、使用者が不用意に電源スイッチ13をオフ操作したときには、余熱時間が経過するまでに、電源スイッチ13をオン操作すれば、余熱工程は、その完了まで継続される。
【0067】
なお、所定期間は、余熱期間が経過するまでの期間に限らず、それよりも短い期間であってもよく、また、所要の操作は、電源スイッチ13のオン操作に限らず、例えば、炊飯用のメニュースイッチ20などの操作であってもよい。
【0068】
余熱工程の実行中に、電源スイッチ13がオフ操作されたとき、すなわち、使用者が不用意の電源スイッチ13をオフ操作したときには、ガスコンロ用調理設定入力部17の炊飯表示ランプ20a、及び、余熱工程の残り時間を表示しているタイマ表示部18cを、通常の表示態様である点灯表示とは異なり、それぞれ例えば5回点滅表示させ、ブザーによって報知した後、炊飯表示ランプ20a、及び、タイマ表示部18cの残時間の表示を、消灯する。
【0069】
これによって、使用者は、余熱工程の実行中に電源スイッチ13を不用意にオフ操作したことを認識することができる。
【0070】
使用者が、不用意に電源スイッチ13をオフ操作した後、上記余熱時間が経過するまでの期間内に、電源スイッチ13がオン操作されると、すなわち、継続操作されると、余熱工程は、その完了まで継続されることになり、継続操作がされた時点から余熱工程が完了するまでの間、炊飯表示ランプ20aが再び点灯すると共に、残りの余熱時間が、タイマ表示部18cに再び表示される。
【0071】
余熱工程の開始時点からの経過時間は、使用者が不用意に電源スイッチ13をオフ操作した後の余熱工程の継続中も、タイマ計測部により計測されており、計測されていた余熱時間の残時間がタイマ表示部18cに表示される。
【0072】
余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチ13をオフ操作した後、継続操作がされて余熱工程が継続され、余熱工程が完了したときには、正常に余熱工程が完了したとして、炊飯表示ランプ20aの点灯とタイマ表示部18cの残時間は消灯し、炊飯調理モードが終了したことをブザーで使用者に報知する。
【0073】
余熱工程の実行中に、使用者が不用意に電源スイッチ13をオフ操作した後、継続操作がされることなく、余熱工程の継続が終了したときには、従来と同様に、制御部11は、当該制御部11への給電ラインを遮断し、報知を行わない。なお、この場合に、炊飯調理モードが正常に終了していないとして、その旨を、例えば、炊飯表示ランプ20aの点滅及びタイマ表示部18cの残時間の点滅などによって、炊飯表示ランプ20aの点灯とタイマ表示部18cの残時間を消灯する前に報知するようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、ガスコンロ部2aの余熱工程について説明したけれども、本発明は、グリル3においても適用可能であり、余熱工程を必要とする調理としては、例えば、グリル庫内でダッチオーブンなどの容器をグリル皿の上に載せて調理するダッチオーブン調理のポトフや、直接、焼き網の上で、貝などを焼いたりする場合に、醤油を少し垂らして、2〜3分余熱工程を置く調理などに適用することができる。
【0075】
上記実施形態では、電源スイッチ13と、ガスコンロ部2a〜2cの点火/消火を指令するために操作される加熱状態調節部12a〜12cは、個別に設けられているが、他の実施形態として、コンロバーナ等の加熱手段の点火/消火を指令するための点火/消火操作部と電源スイッチとを共用する構成、すなわち、点火/消火操作部の点火操作を行うことによって電源がオンして点火し、点火/消火操作部の消火操作を行うことによって、消火して電源がオフする構成の加熱調理器に適用してもよい。この場合、制御部11は、余熱工程の継続中は、点火/消火操作部の点火操作による点火指令を受け付けず、点火を禁止するようにしてもよい。
【0076】
これによって、余熱工程の継続中に、継続操作として、電源スイッチのオン操作、すなわち、点火/消火操作部の点火操作が行われても、点火については受け付けず、例えば、余熱工程中のガスコンロ部2aの燃料供給路の電磁弁を閉状態に維持するようにしてもよい。
【0077】
上記実施形態では、ガスバーナによって調理容器を加熱したが、ガスバーナに限定されるものではなく、電気ヒータ、IHヒータ等を用いるなどの種々の加熱調理器に適用可能である。
【0078】
また、加熱調理器は必ずしもビルトインタイプに限られるものではなく、卓上型の加熱調理器であってもよい。