(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の代掻き作業機の実施例1の平面図を示す。
図2は、本発明の代掻き作業機の実施例1の側面図を示す。
図3は、本発明の代掻き作業機の実施例1における土寄せ装置の平面図を示す。
【0014】
実施例1の代掻き作業機100は、マスト121やヒッチ122を有する装着部120をトラクタ側後部の連結部に装着して、代掻き作業を行うものである。なお、
図1では、トラクタについて、トラクタが有する後部両側のトラクタタイヤ1の後ろ側以外の図示は省略している。トラクタからの動力はジョイント等を介して、入力軸カバー101内の入力軸108から入力して、ミッションケース102内の伝動機構、左フレームパイプ103内の軸、チェーンケース105内のチェーンを介するなどして、耕耘部カバー112の下側に位置する耕耘部130における代掻き爪を有する耕耘軸を回転させることにより代掻き作業を行う。ミッションケース102の左側に左フレームパイプ103と右側に右フレームパイプ104が備えられており、左フレームパイプ103より左側端部はチェーンケース105で、右フレームパイプ104より右側端部はブラケット107となっている。ミッションケース102、左フレームパイプ103、右フレームパイプ104の下側には、耕耘部カバー112を具備し、耕耘部カバー112の後ろ側は、ゴムカバー113を介して、第1整地体114が下方に取り付けられ、さらに、第1整地体114の下側には、第2整地体115が取り付けられている。また、ミッションケース102、左フレームパイプ103、右フレームパイプ104より前側には、フロントパイプ111が備えられ、チェーンケース105側とブラケット107側の左右を接続している。
【0015】
代掻き作業機100は、トラクタの前進時にトラクタタイヤ1の影響による泥を寄せるための土寄せ装置4、3、3’、4’を左から順に代掻き作業機100本体部の前側に有している。土寄せ装置4、3、3’、4’は、代掻き作業機100本体部のフロントパイプ111に取り付ける土寄せ板取付部20と、土寄せ板本体40、30、30’、40’で構成されている。トラクタを前進させて作業する時に、トラクタの自重によりトラクタタイヤ1の部分の地面はへこみ溝ができ、トラクタタイヤ1の両側には泥が盛り上がる。土寄せ装置4、3、3’、4’は、この泥による代掻き作業機100による均平作業への影響を軽減するためのものである。トラクタタイヤ1はクローラの場合でも同様であり、これにも本願発明を適用することができる。
【0016】
図1に示すように、土寄せ装置は、トラクタタイヤ1(により形成される溝)よりも外側の泥に対応する2カ所に土寄せ装置4、4’と、トラクタタイヤ1(により形成される溝)よりも内側の泥に対応する2カ所に土寄せ装置3、3’の計4カ所に設置されている。土寄せ板本体30、30’、40、40’には、土寄せ板32、42を有して、これにより土寄せ面が形成されている。この土寄せ面にトラクタタイヤ1の横方向の外端部1aから一定距離の外側方向の土がトラクタの進行とともに当たるように設定される。さらに、土寄せ面にトラクタタイヤ1の横方向の内端部1bから一定距離の内側方向の土がトラクタの進行とともに当たるように設定される。土寄せ面は、進行方向(
図1で上側)の垂直面に対して一定角度開いた状態で進行方向に対して斜めに形成されて、土寄せ面に当たった土がトラクタタイヤ1の跡による溝方向へ土が流れるように設置されている。具体的には、トラクタタイヤ外端部1a側であれば土寄せ面の前側が外側に向けて一定角度開いた状態で形成され、トラクタタイヤ内端部1b側であれば土寄せ面の前側が内側に向けて開くように形成されている。開く角度は、例えば30°など土寄せにふさわしい角度が採用される。これらの角度はいずれも同じ角度で設置するようにしてもよい。
【0017】
土寄せ装置4、3、3’、4’は、土寄せ板取付部20を代掻き作業機100のフロントパイプ111に固定して、土寄せ板本体40、30、30’、40’を、土寄せ板取付部20に取り付けすることで構成されている。
【0018】
土寄せ板取付部20は、フロントパイプ111に取り付けるために、固定部材24、固定板25を有し、これらをフロントパイプ111を挟みこむように固定される。
図2では、フロントパイプ111は角パイプの例を示しており、断面で頂点が上下左右に構成されている例を示している。また、固定には、固定ボルト91、固定ナット92を用いる例を示している。固定部材24は、固定板21、側板22、補強板23を有しこれらは、例えば溶接などで接合されている。
【0019】
固定板21は、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。上部には、垂直横方向に配置され固定ボルト91を通すための取付孔を有する上部取付部21a、その下側は折り曲げ部を介して前側(
図2では左側)斜め下に傾斜している上部傾斜部21b、さらにその下側には折り曲げ部を介して後ろ側斜め下に傾斜している下部傾斜部21c、さらにその下側には折り曲げ部を介して垂直横方向に配置され固定ボルト91を通すための取付孔を有する下部取付部21dを備えている。上部傾斜部21bと下部傾斜部21cの後ろ側は、フロントパイプ111の断面における側面側の形状に沿うように構成され、固定板21は、フロントパイプ111に沿って固定に必要な一定幅(固定ナット92の取り付けと側板22を接合できる幅以上)有している。
【0020】
側板22は、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能であり、同じ形状の側板22を垂直前後方向に配置したものを横に並べて2つ使用している。側板22は、側面の前部分近傍に、横方向に空いて上下方向に並んだ複数の調節孔22aを有し、
図2では、上下方向に6つの調節孔22aが形成されている。これらの孔の位置は、2つの側板22で同じ位置に形成されており、取付ピン93のピン部93aを通すことができる。一方、側板22の後ろ側側面は、固定板21の上部傾斜部21bと下部傾斜部21cの前側に沿った形状となるように加工されており、固定板21と接合されている。また、2つの側板22の間隔は、固定ナット92より広い幅となっている。
【0021】
補強板23は、2つの側板22の間をつなぐ補強板であり、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。補強板23は、必要に応じた数を使用でき、
図2では、上下方向に2つ使用している例を示している。補強板23の後ろ側は、固定板21と接合させれば、強度を高めることができる。また、補強板23の前側は後述する取付パイプ31の外形に沿わせた形状とでき、丸パイプなら円弧状とすることができる。これにより、取付パイプ31の位置合わせと、がたつき防止に寄与することが可能となる。
【0022】
固定板25は、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。上部には、垂直横方向に配置され固定ボルト91を通すための取付孔を有する上部取付部25a、その下側は折り曲げ部を介して後ろ側斜め下に傾斜している上部傾斜部25b、さらにその下側には折り曲げ部を介して前側斜め下に傾斜している下部傾斜部25c、さらにその下側には折り曲げ部を介して垂直横方向に配置され固定ボルト91を通すための取付孔を有する下部取付部25dを備えている。上部傾斜部25bと下部傾斜部25cの前側は、フロントパイプ111の断面における側面側の形状に沿うように構成され、固定板25は、フロントパイプ111に沿って固定に必要な一定幅を有している。
【0023】
図2では、手前に土寄せ板42を有する土寄せ板本体40が示され、奥側が土寄せ板32を有する土寄せ板本体30が示されているが、ここでは、まず土寄せ板本体30について説明する。土寄せ板本体30は、取付パイプ31、土寄せ板32、補強部材33を有しこれらは、例えば溶接などでそれぞれ接合されている。
【0024】
取付パイプ31は、例えば鉄材等の金属部材の丸状のパイプで形成され、上部には、上下方向に設けられたパイプを貫通する2以上の取付孔31aを有している。
図2では、2つ形成されている。また、取付パイプ31の下側は土寄せ板32や補強部材33と接合される。
【0025】
土寄せ板32は、前後方向に長い略長方形の板状の形状であり、これに前方下側の角をなくし、前方側面途中と下側側面途中を結ぶ傾斜部32aが形成されている。土寄せ板32の前側端部は地面に垂直な側面32bとなっており、土寄せ板32の後ろ側端部は地面に垂直な側面32cとなっている。なお、各角部は丸めてある。板面は地面に対して垂直方向に設置されている。土寄せ板32は、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。また、土寄せ板32の背面では、取付パイプ31の下側や補強部材33と接合される。土寄せ板32は取付パイプ31の取付孔31aの貫通方向に対して一定角度を付けて接合される。この場合の角度は、直角から進行方向に対して土寄せ板32を開いた角度を引いた角度となる。
【0026】
補強部材33は、取付パイプ31と土寄せ板32の接合の強度を増すためのものであり、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。
図3では、補強部材33は、全体として三角に近い形状であり、地面と略平行に板面を配置して、土寄せ板32の背面で一辺が接合されている。また、取付パイプ31に近くなる程、上面から見て幅が大きくなり、取付パイプ31との接合部分では、取付パイプ31の形状に合わせて円弧形状として、接合部を増加させることができる。
【0027】
土寄せ装置4は、土寄せ板本体40を、土寄せ板取付部20に取り付けすることで構成されており、土寄せ板本体40は、土寄せ板32よりも後ろ方向に長い土寄せ板42を使用している。すなわち、土寄せ板32は、取付パイプ31に対して後部付近で接合されているが、土寄せ板42の場合は、取付パイプ31の接合部よりも後ろ側に延長された延長部分を有している。また、土寄せ板42の前側には、傾斜部42aを有しておりこれは、土寄せ板32の傾斜部32aと同様である。また、土寄せ板42の前側端部は地面に垂直な側面42bとなっており、土寄せ板42の後ろ側端部は地面に垂直な側面42cとなっている。
【0028】
土寄せ装置3’は、土寄せ装置3に対して左右対称に形成された土寄せ板本体30’を取り付けて構成したものである。土寄せ板本体30’は、取付パイプ31に対する土寄せ板32と補強部材33の取付が、土寄せ板本体30とは上面からみて進行方向に対して左右対称に取り付けられる。土寄せ装置4’は、土寄せ装置4に対して左右対称に形成された土寄せ板本体40’を取り付けて構成したものである。土寄せ板本体40’は、取付パイプ31に対する土寄せ板42と補強部材33の取付が、土寄せ板本体40とは上面からみて進行方向に対して左右対称に取り付けられる。
【0029】
次に、土寄せ装置3の取り付けについて説明する(土寄せ装置3’、4、4’も同様)。
【0030】
まず、フロントパイプ111に対する土寄せ板取付部20の取り付けについて説明する。フロントパイプ111の前側の角部の側面に、固定部材24の固定板21における上部傾斜部21bと下部傾斜部21cを合わせる。フロントパイプ111の後ろ側の角部の側面に、固定板25の上部傾斜部25bと下部傾斜部25cを合わせる。そして、固定部材24の固定板21における上部取付部21aに有する孔と、固定板25における上部取付部25aに有する孔の位置を前後方向で合わせて、固定部材24の固定板21における下部取付部21dに有する孔と、固定板25における下部取付部25dに有する孔の位置を前後方向で合わせて、固定ボルト91と固定ナット92でそれぞれ固定する。固定の位置は、フロントパイプ111の左右方向の任意の位置で決定できるので、トラクタタイヤ1に合わせて適切な場所に移動して固定することが可能である。
【0031】
土寄せ板取付部20に対する土寄せ板本体30の取り付けは、土寄せ板本体30の取付パイプ31を、土寄せ板取付部20の2つの側板22の間に配置して、取り付けたい高さで取付パイプ31の取付孔31aを側板22の調節孔22aに合わせる。このときの高さは土寄せ板32により土を移動させるのにふさわしい高さとする。例えば、下端部が圃場面か、圃場面近傍に位置するように設定される。そして、取付ピン93のピン部93aを、一方の側板22の調節孔22a、取付パイプ31を貫通する取付孔31a、他方の側板22の調節孔22aに通す。そして、取付ピン93のロック部93cを取付ピン93の頭部93bを中心に回して、頭部93bと反対側の側板22の側面にかけて固定する。このとき、ロック部93cは、弾性力により側板22側に付勢されて取付ピン93が外れないようになっている。これを取付パイプ31が有する取付孔31aの上下の2カ所の位置で行う。また、取付パイプ31の後ろ側は、補強板23が有する円弧部が当接して位置決めをし易くし、取り付け強度を増すようにしてもよい。
【0032】
土寄せ板取付部20に対する土寄せ板本体30の取り付け高さは、側板22の調節孔22aに対する取付パイプ31の取付孔31aの上下方向の位置を変更すれば高さを変えることができる。また、取付ピン93を用いる構成とすることにより、土寄せ板取付部20に対する土寄せ板本体30の取り付け、取り外し、及び、高さ調整が容易なものとなる。なお、取付パイプ31に多数の孔を設けて高さ調節とすることも可能である。
【0033】
このようにして、
図1のように、左から土寄せ装置4、3、3’、4’の順に配置される。また、土寄せ板32、42の角度は、進行方向に対して一定角度(例えば30°)開いた状態となる。
【0034】
図3は、左側後ろのトラクタタイヤ1に対応する土寄せ装置4及び土寄せ装置3の構成を示している。図のPの横線が示されているように、外側(左側)の土寄せ装置4における土寄せ板42の前側端部の前後方向の位置と、内側(右側)の土寄せ装置3における土寄せ板32の前側端部の前後方向位置は同じになっている。また、土寄せ板32の後ろ側端部はQの位置であり、土寄せ板42の後ろ側端部はQよりも後ろに位置するRの位置となっている。すなわち、土寄せ板42は、土寄せ板32に対して後ろに長く構成されている。このとき、QとRの距離は、30mm以上あるとよく、さらに好ましくは50〜100mm位がよい。
【0035】
図4は、左右同じ土寄せ板32を使用する場合の水の流れを示す説明図である。
図5は、本発明の代掻き作業機の実施例1における土寄せ装置による水の流れを示す説明図である。
【0036】
図4は、左右のトラクタタイヤ1ごとに対称に配置された同じ土寄せ板32が設置されており、この場合、トラクタを前進させて作業すると、トラクタタイヤ1の両側(外端部1a側及び内端部1b側)の泥を含む水流はそれぞれ、左右の土寄せ板32に当たり、土寄せ板32に付けられた角度により内側後方に向けて流れる。これにより、トラクタタイヤ1の両側の泥はトラクタタイヤ1による溝を埋める方向に案内される。このとき、土寄せ板32の後端位置Qで、2つの水流が2つの対向する土寄せ板32の間の中央で合流するが、ここで水流同士がぶつかり勢いが弱くなる。そのため、この位置で雑物などのゴミが詰まりやすくなる。
【0037】
一方、
図5では実施例1を示し、外側の土寄せ板42の後端が後ろに延長されている。トラクタを前進させて作業すると、トラクタタイヤ1の両側(外端部1a側及び内端部1b側)の泥を含む水流はそれぞれ、内側の土寄せ板32と外側の土寄せ板42に当たり、土寄せ板32、42に付けられた角度により内側後方に向けて流れる。これにより、トラクタタイヤ1の両側の泥はトラクタタイヤ1による溝を埋める方向に案内されることで、その後ろの代掻き作業機100の本体部の代掻き作業による均平性を増すことができる。このとき、土寄せ板32の後端位置Qでは、2つの水流が合流するが、外側の水流は土寄せ板42により依然として内側後方へ案内されているため、内側へ向かう水流が勝り、代掻き作業機100の中央へ向かう水流が生まれる。このため、土寄せ板32の後端位置Qや土寄せ板42の後端位置Rでは、水流の勢いが衰えにくく、雑物などのゴミ詰まりを防止する効果がある。また、周りの水を引き込み脇への水の吐き出しを抑える効果もある。
【実施例2】
【0038】
図6は、本発明の代掻き作業機の実施例2における土寄せ装置の平面図を示す。実施例2では、実施例1と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0039】
図6は、左側後ろのトラクタタイヤ1に対応する土寄せ装置4及び土寄せ装置5の構成を示している。外側(図の左側)の土寄せ装置4は実施例1と同様である。内側(図の右側)の土寄せ装置5は、実施例1の土寄せ装置3の土寄せ板本体30の土寄せ板32に対して、土寄せ板52に変更した土寄せ板本体50を取り付けている点が異なり、それ以外は実施例1と同様である。
【0040】
土寄せ板52は、実施例1の土寄せ板32よりも前方向の長さが短く構成されている。すなわち、
図6に記載された土寄せ板42の長さaよりも、土寄せ板52の長さbは短く、この長さbは、実施例1の土寄せ板32の長さよりも短いことになる。そして、土寄せ装置4と土寄せ装置5を設置した状態では、内側の土寄せ板52の前側端部は対向する外側の土寄せ板42の先端位置Pよりも後ろ側に位置している。一方、内側の土寄せ板52の後ろ側端部は、実施例1の内側の土寄せ板32と同様にQの位置となっている。また、外側の土寄せ板42の後ろ側端部は、実施例1と同様にRの位置となっている。このため、外側の土寄せ板42の後ろ側端部と、内側の土寄せ板52の後ろ側端部の前後方向の距離は実施例1と同様であるため、実施例1でも説明した水流による効果を発揮することができる。また、土寄せ板52の前側には土寄せ板32の傾斜部32aと同様の傾斜部を有していてもよい。
【0041】
なお、右側後ろのトラクタタイヤ1に対応する土寄せ装置としては、
図6に対して左右対称の形状に配置され、外側に土寄せ装置4と左右対称な土寄せ装置4’が、内側に土寄せ装置5と左右が対称な土寄せ装置(図示省略)が設置される。
【実施例3】
【0042】
図7は、本発明の代掻き作業機の実施例3における土寄せ装置の平面図を示す。実施例3では、実施例1と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0043】
図7は、左側後ろのトラクタタイヤ1に対応する土寄せ装置6及び土寄せ装置3の構成を示している。内側(図の右側)の土寄せ装置3は実施例1と同様である。外側(図の左側)の土寄せ装置6は、実施例1の土寄せ装置4に対して、土寄せ板本体40を土寄せ板32を有する土寄せ板本体30’に変更して、固定部材24を前後方向の長さの短い固定部材24’に変更した点が異なり、それ以外は実施例1と同様である。
【0044】
固定部材24’は、実施例1の固定部材24に対して、側板22の前後方向の長さを短くした側板22’、補強板23の前後方向の長さを短くした補強板23’を使用することにより前後方向の長さを短くしている。このため、土寄せ板本体30’における取付パイプ31の取付の位置は、固定部材24よりも後ろ側に位置している。このため、この位置に土寄せ板本体30’を固定すると土寄せ装置6と土寄せ装置3を設置した状態では、外側の土寄せ板32の前側端部は対向する内側の土寄せ板32の先端位置Pよりも後ろ側に位置している。一方、内側の土寄せ板32の後ろ側端部は、実施例1と同様にQの位置となっている。また、外側の土寄せ板32の後ろ側端部は、実施例1の外側の土寄せ板42と同様にRの位置となっている。そして、外側の土寄せ板32の後ろ側端部と、内側の土寄せ板32の後ろ側端部の前後方向の距離は実施例1と同様であるため、実施例1でも説明した水流による効果を発揮することができる。実施例3では、同じ土寄せ板32を有する、土寄せ板本体30と土寄せ板本体30’を使用しているため、土寄せ板の長さcは同じとなっており、共通の部品を使用できる。
【0045】
なお、右側後ろのトラクタタイヤ1に対応する土寄せ装置としては、
図7に対して左右対称の形状に配置され、外側に土寄せ装置6と左右対称な土寄せ装置(図示省略)が、内側に土寄せ装置3と左右が対称な土寄せ装置3’が設置されている。
【実施例4】
【0046】
図8は、本発明の代掻き作業機の実施例4の平面図を示す。実施例4では、実施例1と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0047】
実施例4は、折り畳み機構を有する代掻き作業機200の実施例である。代掻き作業機200は、中央作業部210とその両側にサイド作業部250を有している。サイド作業部250は、シリンダ201の作用により回動部202を中心に回動させ、
図8のように延長させるか、中央側に折りたためるかを選択できる機構となっている。中央作業部210には、マスト231やヒッチ232を含み構成される装着部230を備え、ここをトラクタの後部の連結部に装着する。トラクタからの動力はジョイント等を介して、入力軸カバー211内の入力軸から入力して、ミッションケース212内の伝動機構から耕耘部カバー(中央)222の下側に位置する耕耘部における代掻き爪を有する耕耘軸を回転させるように伝えて代掻き作業を行う。
【0048】
サイド作業部250を
図8のように延長した状態では、動力は、サイド作業部250の耕耘部カバー(サイド)252の下側に位置する耕耘部における代掻き爪を有する耕耘軸にも伝達される。また、サイド作業部250を折り畳んだ状態では、サイド作業部250へは動力は伝達されない構成となっている。中央作業部210においては、ミッションケース212の下側には、耕耘部カバー(中央)222を具備し、耕耘部カバー(中央)222の後ろ側は、ゴムカバー(中央)223を介して、第1整地体(中央)224が下方に取り付けられ、さらに、第1整地体(中央)224の下側には、第2整地体(中央)225が取り付けられている。また、ミッションケース212より前側には、フロントパイプ221(
図8では斜線で明示)が備えられている。一方、サイド作業部250においても、中央作業部210と同様に、耕耘部カバー(サイド)252、ゴムカバー(サイド)253、第1整地体(サイド)254、第2整地体(サイド)255を有している。
【0049】
実施例4では、折り畳み機構を有する代掻き作業機200の前側に土寄せ装置を設置できる。具体的には中央作業部210におけるフロントパイプ221に土寄せ装置4、3、3’、4’を左から順に設置できる。この配置は、実施例1で説明したトラクタタイヤ1に対する設置位置と同様である。これにより、サイド作業部250を折り畳んで中央作業部210のみで作業するときも、サイド作業部250を延長した状態で作業するときも、実施例1に記載した土寄せの機能を発揮することができる。また、実施例2、3の構成も適用可能である。
【実施例5】
【0050】
図9は、本発明の代掻き作業機の実施例5における土寄せ装置の斜視図を示す。
図10は、本発明の代掻き作業機の実施例5における土寄せ装置7の平面図を示す。実施例5では、実施例3と異なる点について主に説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。実施例5では、実施例3の固定部材24と固定部材24’を使用するそれぞれの土寄せ板取付部を、共通の土寄せ板取付部70として変更した点が異なり、それ以外は実施例3と同様である。
【0051】
土寄せ板取付部70は、フロントパイプ111に取り付けるために、固定部材75、取付ボルト81、補強部材82を有し、これらをフロントパイプ111を挟みこむように取付ナット83で固定される。
図9では、フロントパイプ111は角パイプの例を示しており、断面で頂点が上下左右に構成されている例を示している。固定部材75は、側板71、固定板72、前側補強板73、後側補強板74を有しこれらは、例えば溶接などで接合されている。
【0052】
側板71は、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能であり、同じ形状の側板71を垂直前後方向に配置したものを横に並べて2つ使用している。側板71は、前側近傍に、横方向に空いて上下方向に並んだ複数の前側上下調節孔71aを有し、
図9では、上下方向に6つの前側上下調節孔71aが形成されている。さらに、前側上下調節孔71aよりも後ろ側には、一定幅を介して、横方向に空いて上下方向に並んだ複数の後側上下調節孔71bを有し、
図9では、上下方向に6つの後側上下調節孔71bが形成されている。前側上下調節孔71aと後側上下調節孔71bは同じ高さの孔を有することができる。そして、前側上下調節孔71a及び後側上下調節孔71bは、それぞれ対向する2つの側板71が同じように対向する位置に形成されており、頭付ピン95のピン部95bを通すことができる。一方、側板71の後ろ側側面は、フロントパイプ111に沿った形状となるように加工されており、上部傾斜部71sと下部傾斜部71tを有する凹部を備えている。また、2つの側板71の間隔は、取付ナット83より広い幅となっている。また、側板71は、固定板72、前側補強板73、後側補強板74の位置決めをして接合を強固にするための固定孔71m、71n、71o、71p、71q、71rを有している。また、側板71は、固定時にフロントパイプ111の前面で上側に延在する上側延在部71uとフロントパイプ111の前面で下側に延在する下側延在部71vを有している。
【0053】
固定板72は、2つの側板71の間をつなぐ板であり、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。中央には、取付ボルト81を通すための取付孔72a有している。また、固定板72の両側は、側板71の固定孔71q、71rと接合するための固定突起72bをそれぞれ有している。固定板72は、側板71の後ろ側近傍で横方向と上下方向を面として固定され、上部傾斜部71sより上側と下部傾斜部71tより下側の2つの位置で配置される。
【0054】
前側補強板73は、2つの側板71の間をつなぐ補強板であり、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。前側補強板73は、必要に応じた数を使用でき、
図9では、上下方向に2つ使用している例を示している。前側補強板73は、前側上下調節孔71aと後側上下調節孔71bの間に設けられる。前側補強板73の前側は前側部73aとなっており、取付パイプ31の外形に沿わせた形状とでき、丸パイプなら円弧状とすることができる。これにより、前側上下調節孔71aに取付パイプ31を取り付けた際の、取付パイプ31の後ろ側での位置合わせと、がたつき防止に寄与することが可能となる。前側補強板73の後ろ側は後側部73bとなっており、前側部73aと同様に取付パイプ31の外形に沿わせた形状とでき、丸パイプなら円弧状とすることができる。これにより、後側上下調節孔71bに取付パイプ31を取り付けた際の、取付パイプ31の前側での位置合わせと、がたつき防止に寄与することが可能となる。また、前側補強板73の両側は、側板71の固定孔71m、71nと接合するための固定突起73cをそれぞれ有している。
【0055】
後側補強板74は、2つの側板71の間をつなぐ補強板であり、例えば板状の鉄材等の金属部材を加工して成形可能である。後側補強板74は、必要に応じた数を使用でき、
図9では、上下方向に2つ使用している例を示している。後側補強板74は、後側上下調節孔71bよりも後ろ側に設置される。後側補強板74の前側は前側部74aとなっており、取付パイプ31の外形に沿わせた形状とでき、丸パイプなら円弧状とすることができる。これにより、後側上下調節孔71bに取付パイプ31を取り付けた際の、取付パイプ31の後ろ側での位置合わせと、がたつき防止に寄与することが可能となる。後側補強板74の後ろ側は後側部74bとなっており、こちらは、任意の形状が採用できる。ただし、前側補強板73の後側部73bと同様の形状として、前側補強板73と後側補強板74を同じ形状にすれば、共通部品として使用することができる。また、後側補強板74の両側は、側板71の固定孔71o、71pと接合するための固定突起74cをそれぞれ有している。
【0056】
取付ボルト81は、曲げ部を有してフロントパイプ111に固定部材75と反対側(後ろ側)に沿うことが可能な形状となっており、固定部材75の上側の固定板72と下側の固定板72の間を接続して固定する。取付ボルト81は両端が雄ねじ部を有し、これを固定板72の取付孔72aに通して、取付ナット83で固定することができる。
【0057】
補強部材82は、板状部材であり、取付ボルト81とフロントパイプ111の間に介在して設置してフロントパイプ111への応力集中を緩和して固定のための当接面を広くとることができる。
【0058】
上述した固定孔71m、71n、71o、71p、71q、71rと固定突起72b、73c、74cは嵌合による方法が示されているが、これ以外の方法でも採用できる。また、これらを使用しなくても溶接などにより接合することは可能である。
【0059】
フロントパイプ111に対する土寄せ板取付部70の取り付けについて説明する。フロントパイプ111の前側の角部の側面に、固定部材75の側板71における上部傾斜部71sと下部傾斜部71tを合わせる。そして、固定部材75の上側の固定板72における取付孔72aと、下側の固定板72における取付孔72aに取付ボルト81の両端を通して取付ナット83で固定する。このとき取付ナット83とフロントパイプ111の間には、補強部材82を介在する。固定の位置は、フロントパイプ111の左右方向の任意の位置で決定できるので、トラクタタイヤ1に合わせて適切な場所に移動して固定することが可能である。
【0060】
土寄せ板取付部70に対する土寄せ板本体30(30’)の取り付けは、側板71の前側上下調節孔71aに取り付けるか(第1取付状態)、後側上下調節孔71bに取り付けるか(第2取付状態)を選択できる。第1取付状態であれば、土寄せ板本体30(30’)の取付パイプ31を、2つの側板71の前側上下調節孔71aの間に配置して、取り付けたい高さで取付パイプ31の取付孔31aと前側上下調節孔71aの位置を合わせる。このときの高さは土寄せ板32により土を移動させるのにふさわしい高さとする。例えば、下端部が圃場面か、圃場面近傍に位置するように設定される。そして、頭付ピン95のピン部95bを、一方の側板71の前側上下調節孔71a、取付パイプ31を貫通する取付孔31a、他方の側板71の前側上下調節孔71aに通す。そして、頭付ピン95のピン部95b先端側の孔95cに、Rピン96を挿入する。このとき、頭付ピン95の頭部95aとRピン96に挟まれて、頭付ピン95が外れないようになっている。これを取付パイプ31が有する取付孔31aの上下の2カ所の位置で行う。また、取付パイプ31の後ろ側は、前側補強板73が有する前側部73aが当接して位置決めをし易くし、取り付け強度を増すことができる。また、第2取付状態である後側上下調節孔71bに対する取付パイプ31の取り付けも同様であり、取り付けした状態では、取付パイプ31は、前側は前側補強板73の後側部73bによって、後ろ側は後側補強板74の前側部74aによって、当接して位置決めをし易くし、取り付け強度を増すことができる。なお、
図9では、前側上下調節孔71a及び後側上下調節孔71bの隣り合う孔の距離は、取付パイプ31の取付孔31aの隣り合う孔の距離の半分となっている。これは、
図2の調節孔22aと同様である。
【0061】
土寄せ板取付部70に対する土寄せ板本体30(30’)の取り付け高さは、側板71の前側上下調節孔71aもしくは後側上下調節孔71bに対する取付パイプ31の取付孔31aの上下方向の位置を変更すれば高さを変えることができる。また、頭付ピン95を用いる構成とすることにより、土寄せ板取付部70に対する土寄せ板本体30の取り付け、取り外し、及び、高さ調整が容易なものとなる。
【0062】
このように、土寄せ板取付部70への土寄せ板本体30(30’)の取付時に、前側の前側上下調節孔71aか、後ろ側の後側上下調節孔71bかを選択することにより、土寄せ板本体30(30’)の前後方向の位置を変更することができる。
図9の左側では、土寄せ板本体30が前側上下調節孔71aに取り付けられており第1取付状態となっている。この土寄せ装置8は
図7右側の土寄せ装置3と土寄せ板本体30の取付位置が同様となっている。また、
図9の右側では、土寄せ板本体30’が後側上下調節孔71bに取り付けられており第2取付状態となっている。この土寄せ装置7は
図7左側の土寄せ装置6と土寄せ板本体30の取付位置が同様となっている。このように土寄せ板取付部70を共通で使用することができる。なお、土寄せ板取付部70は、実施例4のフロントパイプ221に対しても同様に適用できる。
【0063】
以上のように、本発明の実施例について説明したが、上記実施例の各土寄せ板について、各トラクタタイヤ1に対応する内側と外側の土寄せ板を対称に変更して、内側の土寄せ板の後ろ側端部の位置を、外側の後ろ側端部の位置よりも前後方向で後ろ側に設置される構成としても一定の効果を発揮することができる。また、上述した各実施例の一部構成を他の実施例の一部の構成に置き換えて適用することや、必要に応じて他の構成と組み合わせて利用してもよい。