(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、視認範囲を変更する際に、インジケータにより切り出す範囲が撮影画像のどの範囲であるか大まかに認識することができるが、実際の撮影画像上のどの部分であるかが明確でないため、改善の余地がある。
【0008】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、視認範囲を変更する際に、表示する部分画像の撮影画像に対する位置を明確化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、車両周辺を視認するための視認用画像を表示する表示部と、前記視認用画像の視認範囲の変更を指示する指示部と、車両周辺を撮影した撮影画像の一部の範囲の部分画像を前記視認用画像として表示し、かつ前記指示部によって前記視認用画像の視認範囲の変更が指示された場合に、前記部分画像よりも広い範囲の広範囲画像を表示する
と共に、前記広範囲画像中の前記部分画像に対応する範囲を表す範囲指定画像を表示するように前記表示部を制御する制御部と、を備え
、前記制御部は、前記指示部の指示に応じて前記範囲指定画像を移動し、前記指示部による指示が予め定めた時間内にない場合、及び前記指示部によって指示終了が指示された場合のそれぞれの場合に、前記指示部の指示終了と判断し、前記指示部の指示終了後に、移動後の前記範囲指定画像に対応する前記部分画像を前記視認用画像として表示するように前記表示部を制御する。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、表示部には、車両周辺を視認するための視認用画像が表示され、視認用画像によって車両周辺を視認することが可能とされている。また、視認用画像の視認範囲は、指示部によって変更を指示することができる。
【0011】
そして、制御部では、車両周辺を撮影した撮影画像の一部の範囲の部分画像を視認用画像として表示するように表示部が制御される。また、制御部では、指示部によって視認用画像の視認範囲の変更が指示された場合に、部分画像よりも広い範囲の広範囲画像を表示する共に、広範囲画像中の部分画像に対応する範囲を表す範囲指定画像を表示するように表示部が制御される。これにより、視認範囲を変更する際に、広範囲画像と部分画像に対応する範囲指定画像を表示するので、表示する部分画像の撮影画像に対する位置を明確化することができる。
【0012】
また、制御部は
、指示部の指示に応じて範囲指定画像を移動し、指示部の指示終了後に、移動後の範囲指定画像に対応する部分画像を視認用画像として表示するように表示部を制御
する。これにより、指示部によって変更された部分画像の範囲を随時確認することが可能となり、視認範囲の変更終了後には変更された部分画像のみを表示することが可能となる。
【0013】
なお、広範囲画像としては、請求項
2に記載の発明のように、撮影画像全体を適用してもよい。これにより、視認範囲を変更する際に撮影画像全体に対する部分画像の位置を認識することができる。
【0014】
また、制御部は、請求項
3に記載の発明のように、広範囲画像を表示する際に、表示する範囲を部分画像の範囲から段階的に広くして広範囲画像を表示するように表示部を制御してもよい。これにより、部分画像から広域画像に表示する画像を変更する際にズームアウトするような視覚的効果を与えることができる。
【0015】
また、制御部は、請求項
4に記載の発明のように、指示部の指示終了後に、移動後の範囲指定画像に対応する部分画像を視認用画像として表示する際に、表示する範囲を広範囲画像の範囲から部分画像の範囲まで段階的に狭くして視認用画像を表示するように表示部を制御してもよい。これにより、広範囲画像から部分画像に表示する画像を変更する際にズームインするような視覚的効果を与えることができる。
【0016】
また、制御部は
、指示部による指示が予め定めた時間内にない場合、及び指示部によって指示終了が指示された場合の
それぞれの場合に、指示部の指示終了と判断
する。これにより、視認範囲の変更の終了を判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、視認範囲を変更する際に、表示する部分画像の撮影画像に対する位置を明確化することができる、という効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の実施の形態に係る車両用視認装置の車両搭載位置例を示す図であり、
図1(B)は車両用視認装置の概略構成を示す図である。
【0020】
本実施形態に係る車両用視認装置10は、後側方カメラ12、表示部としてのモニタ14、指示部としての操作部16、及び制御部としての制御装置18が車両の左右に対応してそれぞれ設けられている。
【0021】
後側方カメラ12は、車両のサイドドア(フロントサイドドア、図示省略)の上下方向中間部の車両前側端に外側に設置されて車両後側方を撮影する。後側方カメラ12は、支持体としての略直方体形箱状の筐体13に設けられており、レンズが車両後側方に向けて配置され、車両の後側方を撮影する。筐体13の車幅方向内側端部は、サイドドアに取付けられており、筐体13がサイドドア(車体側)に車両前後方向に回動可能に支持されている。なお、筐体13は、サイドドアではなく、フロントフェンダ等の他の位置に取り付ける形態としてもよい。
【0022】
モニタ14は、フロントピラーの下端付近に設けられ、後側方カメラ12の撮影画像を視認用画像として主に表示する。すなわち、アウターミラーの代わりとされ、モニタ14を確認することにより、車両周辺としての車両後側方を視認することができる。モニタ14は、車両の左右に対応してそれぞれ設けられている。
【0023】
操作部16は、モニタ14に表示される画像の表示位置、すなわち、後側方の視認範囲の変更の指示等を行う。操作部16は、例えば、視認範囲の車幅方向への変更指示や、車両上下方向への変更指示等を行うためのスイッチやセンサや、視認範囲を変更する対象のモニタ14(左または右)を指示するためのスイッチ等を備える。具体的には、視認範囲を変更するモニタ14に対応する方向を指示するための左スイッチ16L及び右スイッチ16Rと、変更方向を指示するための方向指示部16Sと、を含む。
【0024】
制御装置18は、車両の左右のそれぞれに対応して設けられており、左右各々の後側方カメラ12の撮影画像の表示制御を行う。なお、制御装置18は、後退時に車両後側方の視認範囲を変更して車両側方下側の障害物を視認し易くする後退連動制御や、方向指示器の操作に連動して視認範囲を変更して車両後側方を視認し易くする旋回連動制御等を更に行うようにしてもよい。
【0025】
続いて、本実施形態に係る車両用視認装置10の制御系の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両用視認装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【0026】
制御装置18は、CPU18A、ROM18B、RAM18C、及びI/O(入出力インタフェース)18Dがそれぞれバス18Eに接続されたマイクロコンピュータで構成されている。
【0027】
ROM18Bには、後側方カメラ12の後側方撮影画像をモニタ14に表示するための表示制御を行うための車両用視認制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。ROM18Bに記憶されたプログラムをRAM18Cに展開してCPU18Aが実行することにより、モニタ14への表示制御が行われる。
【0028】
I/O18Dには、視認範囲の変更等を指示するための操作部16、後側方カメラ12、及びモニタ14が接続されている。
【0029】
操作部16は、後側方の視認範囲の変更の指示等が乗員によって行われると、変更指示信号を制御装置18に出力する。操作部16は、具体的には、
図1(B)に示す上述の左スイッチ16L、右スイッチ16R、及び方向指示部16Sが接続されている。すなわち、左スイッチ16Lまたは右スイッチ16Rによって視認範囲を変更するモニタ14に対応する方向(左または右)を指示し、方向指示部16Sによって視認範囲の変更方向(車幅方向及び車両上下方向)を指示する。
【0030】
後側方カメラ12は、車両後側方を撮影することによって後側方撮影画像を得る。撮影によって得られた後側方撮影画像は、後側方カメラ12の撮影結果として制御装置18に出力する。
【0031】
モニタ14は、後側方カメラ12によって撮影された後側方撮影画像を制御装置18の制御に従って表示する。
【0032】
そして、制御装置18は、後側方カメラ12の撮影結果に基づいて、モニタ14への表示制御を行うと共に、操作部16によって後側方の視認範囲の変更が指示された場合に、モニタ14の表示位置(後側方の視認範囲)を変更する制御を行う。
【0033】
なお、制御装置18は、1つの制御装置18で左右のモニタ14の表示制御を行ってもよいし、車両の左右に対応して一対設けられてもよい。左右に対応して一対の制御装置18を設ける場合には、それぞれ相互通信可能なようにそれぞれのI/O18Dに他方の制御装置18を接続してもよい。
【0034】
ここで、制御装置18によるモニタ14への後側方カメラ12の撮影画像の表示方法について詳細に説明する。
図3は、撮影画像30から生成する視認用画像を説明するための図である。
【0035】
本実施形態に係る車両用視認装置10では、
図3に示すように、後側方カメラ12によって車両の後側方を撮影し、撮影によって得られる撮影画像30から
図3の点線で示す部分画像32を切り出す。そして、切り出した部分画像32を視認用画像34としてモニタ14に表示する。すなわち、本実施形態に係る車両用視認装置10では、撮影画像30の一部の部分画像32を表示するため、切り出す位置を変更することで、視認範囲の変更が可能とされている。視認範囲の変更は、操作部16を操作することで行われる。具体的には、視認範囲を変更する方向(左または右)を左スイッチ16Lまたは右スイッチ16Rの操作により選択して、方向指示部16Sを操作することで視認範囲の変更方向(車幅方向及び車両上下方向)を指示する。これにより、制御装置18が、撮影画像30の現在の部分画像32の位置から操作部16によって操作された方向に切り出す部分画像32の位置を変更してモニタ14に表示する。
【0036】
しかしながら、視認範囲の変更を行う際に、視認範囲の変更に応じて切り出した部分画像32のみを表示したのでは、撮影画像30全体に対してどこを切り出して表示しているかが分り難いため、切出し範囲の明確化が望まれる。
【0037】
そこで、本実施形態では、操作部16によって視認範囲の変更が指示された場合、モニタ14に表示された部分画像32よりも広い範囲の広範囲画像をモニタ14に表示すると共に、広範囲画像中の部分画像32に対応する範囲を表す範囲指定画像を表示する。
【0038】
具体的には、操作部16によって視認範囲の変更が指示された場合、
図4に示すように、広範囲画像の一例として撮影画像30全体を表示すると共に、撮影画像30中の切り出す部分画像32に対応する枠画像36を表示することで視認用画像34を表示する。これにより、実際の撮影画像30の切出し範囲を明確化することができ、撮影画像30のどこを切り出して表示しているかを容易に認識することができる。なお、
図4は、視認範囲の変更が指示された場合の視認用画像34の一例を示す図である。また、
図4における実線の部分画像32及び枠画像36は、視認範囲の変更前を示し、点線は視認範囲の変更後を示す。
【0039】
そして、視認範囲の変更指示が終了した場合には、操作部16によって指示された方向に移動した枠画像36に対応する位置の部分画像32を切り出し、
図5に示すように、視認用画像34としてモニタ14に表示する。なお、視認範囲の変更指示の終了は、操作部16への操作が予め定めた時間ない場合、及び操作部16によって指示終了が指示された場合の少なくとも一方の場合に、視認範囲の変更指示の終了と判断してもよい。例えば、操作部16によって視認範囲の変更を指示する再操作(例えば、左スイッチ16Lまたは右スイッチ16Rを再度操作する等)が行われたか否かを判定してもよい。或いは、操作部16への操作が行われない時間が、予め定めた時間経過したか否かを判定してもよい。また、
図5は、視認範囲の変更後の視認用画像34の一例を示す図である。
【0040】
なお、視認範囲の変更が指示されて、部分画像32から撮影画像30を表示する際に、表示する範囲を現在表示された部分画像32の範囲から段階的に広くし、表示サイズに合うように縮小した視認用画像34を表示してもよい。例えば、
図6に示す一点鎖線で示す広範囲画像38を縮小して視認用画像34として表示した後に、撮影画像30全体を視認用画像34として縮小して表示することで、段階的に表示する範囲を広くしてもよい。これにより、部分画像から広域画像に表示する視認用画像34を変更する際にズームアウトするような視覚的効果を与えることができる。
図6は、視認範囲を変更する際に、段階的に表示する範囲を広くする例を説明するための図である。
【0041】
また、視認範囲の変更を終了する際には、表示する範囲を撮影画像30の範囲から部分画像32の範囲まで段階的に狭くした視認用画像34を表示してもよい。例えば、
図7の一点鎖線で示す広範囲画像38を縮小して視認用画像34として表示した後に、選択された部分画像32を視認用画像34として表示することで、段階的に表示する範囲を狭くしてもよい。これにより、広範囲画像から部分画像に表示する視認用画像34を変更する際にズームインするような視覚的効果を与えることができる。
図7は、視認範囲の変更を終了する際に、段階的に表示する範囲を狭くする例を説明するための図である。
【0042】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る車両用視認装置10の制御装置18で行われる具体的な処理について説明する。
図8は、本実施形態に係る車両用視認装置10の制御装置18で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図8の処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合に開始し、オフされた場合に終了するものとして説明する。また、
図8の処理は、ROM18Bに記憶された車両用視認制御プログラムをCPU18AがRAM18Cに展開して実行することにより行われる。
【0043】
まず、ステップ100では、CPU18Aが、後側方カメラ12によって撮影された撮影画像を取得開始してステップ102へ移行する。すなわち、後側方カメラ12の撮影結果を順次取得する。
【0044】
ステップ102では、CPU18Aが、撮影画像30から部分画像32を切り出してステップ104へ移行する。なお、この時の部分画像は撮影画像中の予め定めたデフォルトの位置の部分画像でもよいし、IGオフ前に前回指示された位置の部分画像でもよい。
【0045】
ステップ104では、CPU18Aが、切り出した部分画像を鏡像変換して、
図3に示すように、視認用画像34としてモニタ14に表示してステップ106へ移行する。なお、本実施形態では、切り出してから鏡像変換するが、鏡像変換してから切り出してもよい。
【0046】
ステップ106では、CPU18Aが、操作部16が操作されて視認範囲の変更が指示されたか否かを判定する。該判定が肯定されるまで待機してステップ108へ移行する
【0047】
ステップ108では、CPU18Aが、部分画像32より広い範囲の撮影画像30を鏡像変換及び縮小して部分画像32に対応する枠画像36と共にモニタ14に表示するように制御してステップ110へ移行する。すなわち、
図4に示すように、撮影画像30と部分画像32に対応する枠画像36が表示されるので、撮影画像30のどの部分を切り出しているかを容易に認識することができる。
【0048】
ステップ110では、CPU18Aが、操作部16の指示に応じて枠画像36を移動してモニタ14に表示するように制御してステップ112へ移行する。
【0049】
ステップ112では、CPU18Aが、視認範囲の変更指示が終了したか否かを判定する。該判定は、上述したように、視認範囲の変更を指示する再操作(例えば、左スイッチ16Lまたは右スイッチ16Rを再度操作する等)が行われたか否かを判定してもよい。或いは、操作部16への操作が行われない時間が、予め定めた時間経過したか否かを判定してもよい。該判定が否定された場合にはステップ110に戻って上述の処理を切り返し、判定が肯定された場合にはステップ114へ移行する。
【0050】
ステップ114では、CPU18Aが、変更後(移動後の枠画像36)に対応する部分画像32を撮影画像30から切り出して鏡像変換してモニタ14に表示するように制御してステップ106に戻って上述の処理を繰り返す。
【0051】
このように制御装置18による制御を行うことで、視認画像を変更する際に、広域画像としての撮影画像30を表示すると共に、部分画像32に対応する枠画像36を表示して、実際の撮影画像30の切出し範囲を明確化することができる。従って、撮影画像30のどこを切り出して表示しているかを容易に認識することができる。
【0052】
なお、上記の実施形態では、撮影画像30中の切り出す部分画像32に対応する枠画像36を表示する例を説明したが、部分画像32に対応する範囲を表す範囲指定画像としては、これに限るものではない。部分画像32の範囲が分かればよいので、例えば、範囲指定画像として、部分画像32に対応する部分の角部分のみや枠の一部のみを表示してもよい。
【0053】
また、上記の実施形態における制御装置18で行われる処理は、ソフトウエアの処理として説明したが、これに限るものではない。例えば、ハードウエアで行う処理としてもよいし、ハードウエアとソフトウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。
【0054】
また、上記の実施形態における制御装置18で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0055】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。