(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0015】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0016】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0017】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0018】
また、以下の実施の形態において、構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲等についても同様である。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る換気扇の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る電動機主軸及びボス部の構成の一例を示す図である。
図2(a)は電動機主軸の軸方向における一部断面図、
図2(b)は電動機主軸の軸方向と直交する方向における断面図である。
図3は、実施の形態1に係る換気扇の羽根車とベルマウスとの位置関係の一例を示す図である。
【0020】
換気扇1は、
図1及び
図2(a)に示すように、電動機10、電動機主軸20、羽根車30、取付枠40、ベルマウス50、電動機取付部材60を備えている。
【0021】
換気扇1は、電動機10で発生した動力が電動機主軸20を介して羽根車30の回転力に変換され、羽根車30の回転により、空気がベルマウス50を介して吹き出される。
【0022】
電動機10は、図示しない電源から電力の供給を受け、羽根車30を回転させる動力を発生させる。
【0023】
電動機主軸20は、
図2(a)に示すように、電動機10及び羽根車30と接続されている。具体的には、電動機主軸20の一方の端部側、すなわち軸径が大きい部分である太軸部20aは、電動機10と接続されている。
図2(a)に示すように、電動機主軸20の他方の端部側、すなわち軸径が小さい部分である細軸部20bは、後述する羽根車30のボス部32と接続されている。
【0024】
電動機主軸20は、
図2(a)に示すように、電動機10側の軸径が大きい太軸部20aと、羽根車30側の軸径が小さい細軸部20bとが組み合わされて構成されている。このため、電動機主軸20には、軸径が切り替わる位置、すなわち太軸部20aと細軸部20bとの境界に段差20cが形成されている。
【0025】
電動機主軸20の細軸部20bには、
図2(a)に示すように、電動機主軸20の軸方向に沿って溝状の羽根車嵌合部25が形成されている。羽根車嵌合部25は、羽根車30の空回りを防止するための空回り防止部材35を取り付ける溝である。電動機主軸20の軸方向における羽根車嵌合部25の長さは、電動機主軸20の軸方向におけるボス部32の長さよりも長くなっている。羽根車嵌合部25がこのように形成されているのは、後述する羽根車30の位置調整の範囲を拡張するためである。なお、空回り防止部材35の詳細については後述する。電動機主軸20の太軸部20aと反対側の細軸部20bの端部には、後述する羽根車固定部材29用のネジが形成されている。
【0026】
羽根車30は、羽根31及びボス部32を備えている。羽根車30は、例えば
図2(a)に示すように、羽根31及びボス部32が羽根部連結部材33を介して接続された構成となっている。ボス部32には、主面32aから主面32bまでを貫く、
図2(b)に示す貫通孔36が形成され、貫通孔36には電動機主軸20が挿通されている。ボス部32が主面32a側から座金27、28を介して、例えば六角ナット等の羽根車固定部材29で締め付けられることにより、羽根車30は電動機主軸20に接続される。
【0027】
詳しくは、貫通孔36は、孔径が電動機主軸20の太軸部20aの軸径よりも小さくなるように形成されている。このため、ボス部32の主面32bが電動機主軸20の段差20cに引っ掛かる。よって、ボス部32は、羽根車固定部材29で締め付けられることにより、段差20cと羽根車固定部材29との間で固定される。
【0028】
羽根車30のボス部32には、
図2(b)に示すように、空回り防止部材35を羽根車嵌合部25に嵌め込むための空回り防止部材取付孔32cが形成されている。空回り防止部材取付孔32cは、羽根車嵌合部25の孔径、長さ、空回り防止部材35の形状に合わせて形成される。羽根車嵌合部25は、例えば、電動機主軸20の軸方向に沿って延在するように形成された長穴である。
【0029】
空回り防止部材35は、例えば、羽根車嵌合部25の孔径、長さに合わせて形成された棒状部材などで構成されている。空回り防止部材35は、羽根車嵌合部25との位置が合わせられた空回り防止部材取付孔32cから挿入され、羽根車嵌合部25に嵌め込まれることにより取付けられる。
【0030】
その際、空回り防止部材35は、
図2(b)に示すように、一部が羽根車嵌合部25に嵌め込まれ、残りの部分が空回り防止部材取付孔32c側に突出するように配置される。これにより、電動機主軸20と羽根車30が一体で回転し、羽根車30の空回りが防止される。
【0031】
取付枠40には、電動機10、ベルマウス50等が取り付けられる。ベルマウス50は、例えば開口部の断面が略円形の円筒形状であり、
図1、
図3に示すように、電動機10側の吸込口から吹出口に向かって開口部の孔径を異ならせた構成となっている。ベルマウス50は、羽根車30から吹き出された空気を吸込口から吹出口へと誘導する。
【0032】
ベルマウス50は、換気扇1の特性を規定する部材である。具体的には、ベルマウス50は、羽根車30との相対位置により風量−静圧特性等、換気扇1の特性を規定する部材である。
【0033】
電動機取付部材60は、電動機10を取付枠40に取り付ける部材である。電動機取付部材60は、例えば、内部が空洞の管状部材等で構成される。電動機取付部材60は、例えば、鋼材等の材質で構成されている。電動機取付部材60の一方の端部は電動機10と接続され、他方の端部は取付枠40と接続されている。電動機取付部材60の他方の端部は、取付枠40と直接接続されてもよいし、例えば接続部材70と接続され、接続部材70を介して取付枠40と接続されてもよい。電動機取付部材60は、
図1に示すように、複数(例えば4本)設けられ、それぞれの電動機取付部材60は、取付枠40のそれぞれの角部に配置された接続部材70と接続されている。電動機10が取付枠40に取り付けられると、羽根31の一部は、例えば
図3に示すように、ベルマウス50の内部に配置される。
【0034】
図4は、実施の形態1に係る電動機主軸及びボス部の構成の一例を示す図である。
図4は、電動機主軸及びボス部が断面で示された一部断面図である。
図5は、位置調節された場合における羽根車とベルマウスとの位置関係の一例を示す図である。
【0035】
本実施の形態に係る換気扇1は、羽根車30とベルマウス50との相対位置が自在に変更されるように構成されている。具体的には、ボス部32と電動機10との間の電動機主軸20に、例えば
図4に示すように、羽根車30の位置を調節する位置調節部材であるスリーブ21が配置される。詳しくは、電動機主軸20の細軸部20bには、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が配置される。スリーブ21は、例えば、電動機主軸20を挿通する貫通孔を有する。スリーブ21の貫通孔は、孔径が電動機主軸20の電動機10側の軸径よりも小さくなるように形成されている。
【0036】
羽根車30の位置は、ボス部32の主面32bと段差20cとの間に配置されるスリーブ21の個数を変更することにより自在に調節される。例えば、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が配置されていない場合には、羽根車30は、例えば
図5に示すように、電動機10側に最も近い羽根車位置P0に配置される。また、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が1個配置される場合には、羽根車30は、例えば
図5に示すように、羽根車位置P0から1段階分、すなわち、1個のスリーブ21の厚み分だけベルマウス50側の羽根車位置P1に配置される。そして、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が2個配置される場合には、羽根車30は、例えば
図5に示すように、羽根車位置P1から1段階分、すなわち、1個のスリーブ21の厚み分だけベルマウス50側の羽根車位置P2に配置される。
【0037】
このように羽根車30の位置が調節されることにより羽根車30とベルマウス50との相対位置が変更されると、換気扇1の風量−静圧特性が変化する。
図6は、羽根車の位置を調節した場合における風量−静圧特性の変化の一例を示す図である。
図6では、
図5と対応させて羽根車位置P0〜P2におけるそれぞれの風量−静圧特性を示している。
【0038】
図6によれば、風量を多くして静圧を高くしたい場合、あるいは、風量を少なくして静圧を低くしたい場合には、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に配置されるスリーブ21の数を少なく(例えば0〜1個)し、羽根車30が、例えば羽根車位置P0、P1に配置されるようにすればよい。これに対して、
図6によれば、風量を多くして静圧を低くしたい場合、あるいは、風量を少なくして静圧を高くしたい場合には、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に配置されるスリーブ21の数を多く(例えば1〜2個)し、羽根車30が、例えば羽根車位置P1、P2に配置されるようにすればよい。
【0039】
ここでは、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が0〜2個配置される場合について説明したが、このような場合に限定されるものではない。羽根31がベルマウス50と接触しない範囲であれば、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に3個以上のスリーブが配置されてもよい。
【0040】
また、スリーブ21の厚みは、全てのスリーブ21において同一であってもよいし、それぞれに異なっていてもよい。また、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に配置されないスリーブ21は、
図4に示すように、電動機主軸20のボス部32の主面32a側、すなわちボス部32と羽根車固定部材29との間に配置されるようにしてもよい。このように、羽根車30及びスリーブ21を電動機主軸20に挿通させる順序を変えることにより羽根車30の位置を調節することができる。
【0041】
本実施の形態によれば、電動機主軸20に接続される羽根車30の位置を調節することにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置を自在に変更することができる。これにより、部品を交換したり電動機の回転数を強制的に変更することなく、風量−静圧特性を調整することができる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、電動機主軸20の細軸部20bには、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間にスリーブ21が配置される。この構成によれば、ボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に配置されるスリーブ21の数を異ならせることにより、電動機主軸20に接続される羽根車30の位置を調節することができる。これにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置を自在に変更することができ、部品を交換したり電動機の回転数を強制的に変更することなく、風量−静圧特性を調整することができる。また、これにより、使用者に最適な風量−静圧特性で換気扇1を使用することができる。また、これにより、過剰特性であったものを適切な特性に調整することができる。また、これにより、用途に応じて用いていた複数の換気扇を統合することができる。また、この構成によれば、スリーブ21をボス部32の主面32bと電動機主軸20の段差20cとの間に設置するだけでよいので、羽根車30の位置調節を容易に実施することができる。また、羽根車30の位置調節に要する部品コストの上昇を抑えることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、電動機主軸20の軸方向における羽根車嵌合部25の長さは、電動機主軸20の軸方向におけるボス部32の長さよりも長くなっている。この構成によれば、羽根車30を電動機主軸20に接続することができる範囲を拡張することができるので、羽根車30とベルマウス50との相対位置の調整範囲を拡張することができる。これにより風量−静圧特性をより広範囲で調整することができ、さらに換気扇1の用途を拡大させることができる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、スリーブ21の厚みはそれぞれに異なっている。この構成によれば、スリーブ21の組み合わせを変更することで、羽根車30の位置をより細かく調節することができる。これにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置がより細かく設定され、さらに用途に適した風量−静圧特性を得ることができる。
【0045】
また、本実施の形態によれば、羽根車30の位置調節に関与しないスリーブ21は、ボス部32の主面32aと羽根車固定部材29との間に配置される。この構成によれば、羽根車30の位置調節を実施する際に、羽根車30のボス部32とスリーブ21とを合わせた電動機主軸20の軸方向における長さが一定に保持される。これにより、羽根車30の位置調節の前後において、ボス部32又はスリーブ21から電動機主軸20の細軸部20bが突出する長さが一定に保たれるので、羽根車30を固定するための座金27、28、羽根車固定部材29を変更しなくてよい。また、これにより、異なるサイズの部品を用意する必要がなくなるので、コストの上昇を抑えることができる。また、全てのスリーブ21が電動機主軸20に配置されるので、スリーブ21の紛失が抑えられる。
【0046】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上述の実施の形態1とは異なる方法を用いて羽根車の位置を調節する方法について説明する。
【0047】
図7は、実施の形態2に係る電動機主軸及びボス部の構成の一例を示す断面図である。本実施の形態に係るボス部132には、電動機主軸120が挿通される貫通孔(第1の貫通孔)36と、電動機主軸120の軸方向と交差する方向に貫通孔36に達する貫通孔(第2の貫通孔)137が形成されている。
【0048】
電動機主軸120は、
図7に示すように、電動機10側の軸径が大きい太軸部20aと、羽根車130側の軸径が小さい細軸部120bとが組み合わされて構成されている。電動機主軸120には、
図7に示すように、貫通孔137に対応する複数の羽根車固定部材嵌合部125a、125b、125cが電動機主軸120の軸方向に沿って形成されている。
【0049】
貫通孔137は、羽根車固定部材嵌合部125a〜125cの孔径に合わせて形成されている。あるいは、羽根車固定部材嵌合部125a〜125cは、貫通孔137の孔径に合わせて形成されている。具体的には、貫通孔137は、孔径が羽根車固定部材嵌合部125a〜125cの孔径と同等かそれ以上となるように形成されている。あるいは、具体的には、羽根車固定部材嵌合部125a〜125cは、孔径が貫通孔137の孔径と同等かそれ以下となるように形成されている。
【0050】
羽根車固定部材129は、貫通孔137を介して複数の羽根車固定部材嵌合部125a、125b、125cのうちのいずれかに嵌め込まれている。したがって、本実施の形態に係る羽根車固定部材129は、羽根車130の空回りを防止するための空回り防止部材としての機能も有している。
【0051】
羽根車固定部材129は、貫通孔137及び羽根車固定部材嵌合部125a〜125cの孔径、長さに合わせて形成されたものが用いられる。具体的には、貫通孔137の孔径と羽根車固定部材嵌合部125a〜125cの孔径が同等であれば、軸径が一定の羽根車固定部材129が用いられる。これに対して、貫通孔137の孔径が羽根車固定部材嵌合部125a〜125cの孔径よりも大きい場合には、例えば、貫通孔137に合わせた軸径が大きい部分と、羽根車固定部材嵌合部125a〜125cに合わせた軸径が小さい部分とで構成された羽根車固定部材129が用いられる。また、貫通孔137及び羽根車固定部材嵌合部125a〜125cにネジが形成され、羽根車固定部材129はネジが形成されたボルト等で構成されてもよい。
【0052】
本実施の形態では、羽根車130の位置は、羽根車固定部材129が嵌め込まれる羽根車固定部材嵌合部を変更することにより調節される。具体的には、羽根車固定部材129が羽根車固定部材嵌合部125aに嵌め込まれた場合、羽根車130は、例えば
図5に示すような、電動機10側に最も近い羽根車位置P0側に配置される。また、羽根車固定部材129が羽根車固定部材嵌合部125bに嵌め込まれた場合、羽根車130は、例えば
図5に示すような、羽根車位置P0から1段階分、すなわち、羽根車固定部材嵌合部125aと羽根車固定部材嵌合部125bとの間隔分だけベルマウス50側の羽根車位置P1側に配置される。そして、羽根車固定部材129が羽根車固定部材嵌合部125cに嵌め込まれた場合、羽根車130は、例えば
図5に示すような、羽根車位置P1から1段階分、すなわち、羽根車固定部材嵌合部125bと羽根車固定部材嵌合部125cとの間隔分だけベルマウス50側の羽根車位置P2側に配置される。このように羽根車130の位置が調節されることにより、羽根車130とベルマウス50との相対位置が変更される。
【0053】
図12は、本発明者が検討した電動機主軸及びボス部の構成を示す図である。
図12に示すように、本発明者が検討した電動機主軸1020では、羽根車固定部材嵌合部1025が1つしか形成されていない。このため、羽根車固定部材1029が嵌め込まれる羽根車固定部材嵌合部1025を変更する方法では、羽根車1030の位置調節を実施することができなかった。
【0054】
これに対して、本実施の形態によれば、羽根車130のボス部132に貫通孔137が形成され、電動機主軸120の細軸部120bに、電動機主軸120の軸方向に沿って複数の羽根車固定部材嵌合部125a〜125cが形成されている。そして、羽根車固定部材129が、貫通孔137を介していずれかの羽根車固定部材嵌合部に嵌め込まれている。
【0055】
この構成によれば、羽根車固定部材129が嵌め込まれる羽根車固定部材嵌合部を変更することにより、羽根車130の位置が調節され、羽根車130とベルマウス50との相対位置を自在に変更することができる。これにより、部品を交換したり電動機の回転数を強制的に変更することなく、風量−静圧特性を調整することができる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、羽根車固定部材129が貫通孔137を介して電動機主軸120に嵌め込まれることにより、羽根車130が電動機主軸120に接続されるので、羽根車固定部材129が羽根車130の空回りを防止するための空回り防止部材として機能する。これにより、羽根車130の空回りを防止するための部材を別途に設ける必要がなくなるので、部品点数が削減され、製造コストが削減される。
【0057】
また、本実施の形態によれば、貫通孔137及び羽根車固定部材嵌合部125a〜125cにネジが形成され、羽根車固定部材129がボルト等で構成されている。この構成によれば、羽根車固定部材129は、貫通孔137及び羽根車固定部材嵌合部125a〜125cと噛み合いながら羽根車固定部材嵌合部125a〜125cに嵌め込まれるので、羽根車130が安定して電動機主軸120に接続される。
【0058】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係る電動機主軸及びボス部の構成の一例を示す断面図である。
【0059】
電動機主軸220は、
図8に示すように、電動機10側の軸径が大きい太軸部20aと、羽根車130側の軸径が小さい細軸部220bとが組み合わされた構成となっている。電動機主軸220には、
図8に示すように、ボス部132の貫通孔137に対応する、電動機主軸220の軸方向に沿って延在する溝状の羽根車固定部材嵌合部225が形成されている。羽根車固定部材嵌合部225の開口部は長穴形状である。
【0060】
本実施の形態では、羽根車130の位置は、羽根車固定部材129が嵌め込まれる羽根車固定部材嵌合部225の位置を異ならせることにより調節される。具体的には、羽根車固定部材129が電動機主軸220の太軸部20a側の位置で羽根車固定部材嵌合部225に嵌め込まれた場合には、羽根車130は、例えば
図5に示す羽根車位置P0側に配置される。これに対して、羽根車固定部材129が太軸部20aとは反対側の位置で羽根車固定部材嵌合部225に嵌め込まれた場合には、羽根車130は、例えば
図5に示す羽根車位置P2側に配置される。このように羽根車130の位置が調節されることにより、羽根車130とベルマウス50との相対位置が変更される。
【0061】
本実施の形態によれば、羽根車固定部材嵌合部225が電動機主軸220の軸方向に沿って延在する溝状に形成されている。この構成によれば、羽根車固定部材129は、羽根車固定部材嵌合部225の任意の位置で嵌め込まれるので、羽根車130の位置を無段階に調節することができる。これにより、羽根車130とベルマウス50との相対位置が無段階に設定され、用途に最適な風量−静圧特性を得ることができる。
【0062】
(実施の形態4)
図9は、実施の形態4に係る換気扇の構成の一例を示す図である。
図10は、実施の形態4に係る電動機取付部材及び接続部材の接続方法の一例を示す図である。
図10(a)は電動機取付部材と接続部材との接続部分の平面図である。
図10(b)は電動機取付部材と接続部材との接続部分の断面図である。本実施の形態に係る換気扇300は、
図9に示すように、接続部材370を備えている。接続部材370は、
図1の取付枠40と接続されている。また、接続部材370は電動機取付部材360の他方の端部361と接続されている。
【0063】
電動機取付部材360は、例えば、
図9、
図10(b)に示すように、内部が空洞にされた管状部材である。電動機取付部材360の端部361には、一対の貫通孔(第3の貫通孔)365が形成されている。接続部材370は、
図10(a)、
図10(b)に示すように、電動機取付部材360の他方の端部361を挿入させる管部371を有している。接続部材370には、
図10(a)、
図10(b)に示すように管部371を貫通する複数対の貫通孔(第4の貫通孔)375〜377が電動機取付部材360の延在方向に沿って形成されている。一対の貫通孔375〜377は、電動機取付部材360に形成された一対の貫通孔365に対応して形成されている。
【0064】
電動機取付部材360の他方の端部361は、
図9、
図10(a)に示すように、接続部材370の管部371に挿入されている。管部371は、その内径が電動機取付部材360の他方の端部361の外径と合うように形成されている。また、他方の端部361は、その外径が管部371の内径と合うように形成されている。
【0065】
電動機固定部材381は、例えば、ネジが形成されたボルト等であり、電動機固定部材382は、例えば、ネジが形成されたナット等である。電動機固定部材381は、例えば
図9、
図10に示すように、ベルマウス50とは反対側(図示で上側)から電動機取付部材360の貫通孔365及び複数対の貫通孔375〜377のうちのいずれかの貫通孔(図示では一対の貫通孔375)に挿通されている。これにより、電動機取付部材360は接続部材370と接続されている。電動機固定部材381はベルマウス50側で電動機固定部材382に挿通され、電動機固定部材382により締め付けられている。これにより、電動機取付部材360及び接続部材370が締結されている。
【0066】
上述の説明では、電動機取付部材360が管状である場合について説明したが、例えば電動機取付部材360が棒状部材であってもよい。この場合には、内部が空洞ではないため、電動機取付部材360の端部361には、一対の貫通孔ではなく単独の貫通孔が形成されている。
【0067】
また、上述の説明では、接続部材370の管部371に電動機取付部材360の端部361を挿入させる場合について説明したが、このような場合に限定されるものではない。例えば、接続部材に複数の板状部材が設けられ、電動機取付部材360が板状部材により挟持されるような構成であってもよい。
【0068】
本実施の形態では、羽根車30の位置は、電動機固定部材381が挿通される接続部材370の貫通孔を変更することにより調節される。具体的には、電動機固定部材381が貫通孔375に挿通された場合、羽根車30は、例えば
図5に示すような、電動機10側に最も近い羽根車位置P0側に配置される。また、電動機固定部材381が貫通孔376に挿通された場合、羽根車30は、例えば
図5に示すような、羽根車位置P0から1段階分、すなわち、貫通孔375と貫通孔376との間隔分だけベルマウス50側の羽根車位置P1側に配置される。そして、電動機固定部材381が貫通孔377に挿通された場合、羽根車30は、例えば
図5に示すような、羽根車位置P1から1段階分、すなわち、貫通孔376と貫通孔377との間隔分だけベルマウス50側の羽根車位置P2側に配置される。このように羽根車30の位置が調節されることにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置が変更される。
【0069】
本実施の形態によれば、接続部材370には、電動機取付部材360の延在方向に沿って複数対の貫通孔375〜377が形成され、電動機取付部材360の端部361には一対の貫通孔365が形成されている。この構成によれば、電動機固定部材381が挿通される接続部材370の貫通孔を変更することにより、羽根車30の位置が調節され、羽根車30とベルマウス50との相対位置を自在に変更することができる。これにより、用途に適した風量−静圧特性を得ることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、接続部材370の管部371に電動機取付部材360が挿入されている。管部371は、その内径が電動機取付部材360の他方の端部361の外径と合うように形成されている。また、他方の端部361は、その外径が管部371の内径と合うように形成されている。
【0071】
この構成によれば、電動機取付部材360の貫通孔365と管部371の貫通孔375〜377との位置合わせを実施する際、電動機取付部材360が落下しにくくなるので、羽根車30の位置調節に係る作業が容易になり、作業時間を短縮することができる。また、これにより、羽根車30の位置調節に係る作業を安全に実施することができる。
【0072】
(実施の形態5)
図11は、実施の形態5に係る電動機取付部材及び接続部材の接続方法の一例を示す図である。
図11(a)は電動機取付部材と接続部材との接続部分の平面図である。
図11(b)は電動機取付部材と接続部材との接続部分の断面図である。接続部材470は、例えば、管部471を有している。管部471は、その内径が電動機取付部材の他方の端部361の外径と合うように形成されている。また、他方の端部361は、
図11(b)に示すように、その外径が管部371の内径と合うように形成されている。電動機取付部材360の他方の端部361は、接続部材470の管部471に挿入されている。
【0073】
接続部材470には、
図11(a)、
図11(b)に示すように管部471を貫通し、電動機取付部材360の延在方向に沿って長穴状の一対の貫通孔(第4の貫通孔)475が形成されている。一対の貫通孔475は、電動機取付部材360に形成された一対の貫通孔365に対応して形成されている。
【0074】
電動機固定部材381は、例えば
図11(a)、
図11(b)に示すように、電動機取付部材360の一対の貫通孔365及び管部471の一対の貫通孔475に挿通されている。電動機固定部材381は電動機固定部材382に挿通され、電動機固定部材382により締め付けられている。これにより、電動機取付部材360及び接続部材370が締結されている。
【0075】
本実施の形態では、羽根車30の位置は、電動機固定部材381が挿通される一対の貫通孔475の位置を異ならせることにより調節される。具体的には、電動機固定部材381が電動機10側の位置で一対の貫通孔475に挿通された場合には、羽根車30は、例えば
図5に示す羽根車位置P0側に配置される。これに対して、電動機固定部材381が取付枠40側の位置で一対の貫通孔475に挿通された場合には、羽根車30は、例えば
図5に示す羽根車位置P2側に配置される。このように羽根車30の位置が調節されることにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置が変更される。
【0076】
本実施の形態によれば、接続部材470の管部471の一対の貫通孔475が電動機取付部材360の延在方向に沿って長穴状に形成されている。この構成によれば、電動機固定部材381は、一対の貫通孔475の任意の位置に挿通されるので、羽根車30の位置を無段階に調節することができる。これにより、羽根車30とベルマウス50との相対位置が無段階に設定され、用途に最適な風量−静圧特性を得ることができる。
【0077】
本実施の形態においても、電動機取付部材360が、例えば棒状部材であってもよいし、例えば接続部材に複数の板状部材が設けられ、電動機取付部材360が板状部材により挟持されるような構成であってもよい。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0079】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0080】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。なお、図面に記載した各部材や相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実装上はより複雑な形状となる場合がある。