特許第6602794号(P6602794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許6602794シラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネート
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602794
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】シラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネート
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/09 20060101AFI20191028BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20191028BHJP
   C08G 18/22 20060101ALI20191028BHJP
   C09D 175/00 20060101ALI20191028BHJP
   C07C 265/00 20060101ALI20191028BHJP
   C07C 263/00 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   C08G18/09
   C08G18/38 093
   C08G18/38 076
   C08G18/22
   C09D175/00
   C07C265/00
   C07C263/00
【請求項の数】16
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-572501(P2016-572501)
(86)(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公表番号】特表2017-524759(P2017-524759A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】EP2015062758
(87)【国際公開番号】WO2015189164
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】14172295.9
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515266223
【氏名又は名称】コベストロ、ドイチュラント、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】COVESTRO DEUTSCHLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラース,ハンス−ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】エッガート,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】マガー,ディーター
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−525554(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/09
C08G 18/22
C08G 18/38
C09D 175/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、18個までの炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族もしくは脂環族の基、または置換されていてもよい芳香族もしくは芳香脂肪族の基であり、前記基は、酸素、硫黄および窒素の組からの3個までのヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、
Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の有機基であり、
Yは、18個までの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基、芳香脂肪族または芳香族の基であり、かつ
nは、1から20までの整数である]のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項2】
式(I)において、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、6個までの炭素原子を有する、飽和の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であり、前記基は、3個までの酸素原子を含んでも含まなくてもよく、かつ
Xは、2個〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基であり、かつ
Yおよびnは、請求項1に示される定義を有することを特徴とする、請求項1に記載のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項3】
式(I)において、
、RおよびRは、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基、および/または3個までの酸素原子を含むアルコキシ基であるが、ただし、前記基R、RおよびRの少なくとも1つは、この種のアルコキシ基であるものとし、かつ
Xは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)であり、
Yおよびnは、請求項1に示される定義を有することを特徴とする、請求項1に記載のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項4】
式(I)において、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、メチル、メトキシまたはエトキシであるが、ただし、前記基R、RおよびRの少なくとも1つは、メトキシ基またはエトキシ基であるものとし、かつ
Xは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)であり、かつ
Yおよびnは、請求項1に示される定義を有することを特徴とする、請求項1に記載のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項5】
式(I)において、
Yは、5個〜13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項6】
式(I)において、
Yは、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/または4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの組から選択されるジイソシアネートからイソシアネート基を取り除くことによって得られる脂肪族および/または脂環族の基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のシラン基含有のチオアロファネート。
【請求項7】
請求項1に記載のシラン基含有のチオアロファネートの調製方法であって、
A)一般式(II)
【化2】
[式中、Yは、18個までの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基、芳香脂肪族または芳香族の基である]の少なくとも1種のモノマーのジイソシアネートと、
B)一般式(III)
【化3】
[式中、R、R、RおよびXは、請求項1に示される定義を有する]のメルカプトシランとを、イソシアネート基対メルカプト基の当量比2:1〜40:1において反応させることによる、調製方法。
【請求項8】
成分A)として、一般式(II)で示され、式中、Yが5個〜13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であるジイソシアネートが使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
成分A)として、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/もしくは4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはこれらのジイソシアネートのあらゆる所望の混合物が使用されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
成分B)として、一般式(III)
【化4】
[式中、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、6個までの炭素原子を有する、飽和の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であり、前記基は、3個までの酸素原子を含んでも含まなくてもよく、かつ
Xは、2個〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基である]のメルカプトシランまたはそのようなメルカプトシランのあらゆる所望の混合物が使用されることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
成分B)として、一般式(III)
【化5】
[式中、
、RおよびRは、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基、および/または3個までの酸素原子を含むアルコキシ基であるが、ただし、前記基R、RおよびRの少なくとも1つは、この種のアルコキシ基であるものとし、かつ
Xは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)である]のメルカプトシランまたはそのようなメルカプトシランのあらゆる所望の混合物が使用されることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
成分B)として、一般式(III)
【化6】
[式中、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、メチル、メトキシまたはエトキシであるが、ただし、前記基R、RおよびRの少なくとも1つは、メトキシ基またはエトキシ基であるものとし、かつ
Xは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)である]のメルカプトシランまたはそのようなメルカプトシランのあらゆる所望の混合物が使用されることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記反応を、チオアロファネート基の形成を促進する触媒の存在下で、好ましくはカルボン酸亜鉛および/またはカルボン酸ジルコニウムの存在下で行うことを特徴とする、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシラン基含有のチオアロファネートの、ポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としての使用。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のシラン基含有のチオアロファネートを含む被覆組成物。
【請求項16】
請求項15に記載の被覆組成物で被覆された基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン基含有のチオアロファネート、チオアロファネートの調製方法およびチオアロファネートの、ポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としての、より具体的にはポリウレタン塗料およびコーティングにおける架橋剤成分としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコキシシラン基含有のポリイソシアネート混合物は、かなりの時間にわたり知られている。イソシアネート基以外に、第二の反応性の構造、すなわち架橋可能な構造を含む、この種の製品は、過去に、様々なポリウレタン系およびポリウレタン用途において、特定の特性を得るために、例えばコーティングの付着性、耐薬品性または耐引掻性の改善のために使用されている。
【0003】
例として、国際公開第03/054049号は、ポリウレタンホットメルト接着剤用の接着促進剤としての、低モノマー含量の脂肪族または脂環族のポリイソシアネートと第二級アミノプロピルトリメトキシシランとから調製されたイソシアネート官能性シランを記載している。
【0004】
同様に、特開2005−015644号公報の教示によれば、窒素で置換された、すなわち第二級アミノプロピルアルコキシシランで変性されたポリイソシアネートまたはイソシアネートプレポリマーは、接着剤および封止剤の付着性を改善するために使用することができる。
【0005】
欧州特許第0994139号明細書の特許請求の範囲には、促進された硬化性を特徴とする1成分形湿分架橋性のコーティング、接着剤または封止剤のためのバインダーとしての、脂肪族および/または脂環族のポリイソシアネートと、欧州特許第0596360号明細書においてイソシアネート官能性化合物のための共反応物として記載される化学量論量を下回る量のアルコキシシラン官能性のアスパラギン酸エステルとの、またはそれらと更にポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールとの反応生成物が記載されている。
【0006】
脂肪族および/または脂環族のポリイソシアネートと、化学量論量を下回る量のアルコキシシラン官能性のアスパラギン酸エステルまたは第二級アミノアルキルシランとの反応生成物は、国際公開第02/058569号においても、2成分形ポリウレタン付着性プライマー用の架橋剤成分として記載されている。
【0007】
欧州特許第0872499号明細書は、架橋剤成分としてイソシアネート基およびアルコキシシリル基を有する化合物を含む水性の2成分形ポリウレタン被覆材料を記載している。これらの特定のポリイソシアネートの使用は、改善された耐水性と同時に高い光沢を伴う被覆をもたらす。
【0008】
親水変性されており、したがって乳化しやすいアルコキシシラン基含有のポリイソシアネートは、同様に既に、水性の2成分形塗料分散液および接着剤分散液用の架橋剤成分として特定されている(例えば、欧州特許出願公開第0949284号明細書)。
【0009】
溶剤系の熱硬化性2成分形自動車用ポリウレタンクリアコートまたはトップコート材料の耐引掻性の改善のために、最近では、脂肪族および/または脂環族のポリイソシアネートとN,N−ビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンとの反応生成物が架橋剤成分として提案されている(欧州特許出願公開第1273640号明細書)。
【0010】
国際公開第2009/156148号は、OEM生産ライン仕上げ塗装または自動車補修塗装における自動車用クリアコートのための架橋剤としての、イソシアネート官能性化合物と、化学量論量を下回る量のメルカプトシランとの反応生成物を記載している。
【0011】
これらのシラン基を有するポリイソシアネート混合物の全てに共通して、混合物は、未変性のポリイソシアネートまたはポリイソシアネートプレポリマーと、イソシアネート基に対して反応性の基を有する有機官能性シラン、例えばメルカプト官能性シラン、第一級アミノアルキルシラン、窒素でアルキル置換された第二級アミノアルキルシランまたはアルコキシシラン官能性アスパラギン酸エステルとの部分的な反応によって調製される。
【0012】
しかしながら、そのような変性は、平均イソシアネート官能価の、使用される当初のポリイソシアネートの官能価に対する低下を必ず引き起こし、この効果は、目標となる反応生成物のシラン含量に伴って高まる。しかしながら、実際には、上述の用途、例えば被覆材料または接着剤においては、例えば高い網目密度を達成するために、まさにできる限り高いイソシアネート官能価を有するポリイソシアネート架橋剤が望まれる。
【0013】
更に、変性度、すなわちシラン基含量の増加に伴い、生成物の粘度はまた、分子中に導入されたチオウレタン基および特に尿素基のために劇的に増大し、そのため、今までに知られているシラン基含有のポリイソシアネートは、一般的にかなりの量の有機溶剤を使用することによってのみ溶解された形態で使用できるにすぎない。
【0014】
これに関する例外は、欧州特許出願公開第2014692号明細書および欧州特許出願公開第2305691号明細書に記載される、シラン基含有のヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミドと、過剰量のモノマーのジイソシアネートとの反応によって得られるアロファネート基およびシラン基を含有するポリイソシアネートによって代表され、これらのポリイソシアネートは、高いイソシアネート官能価および高いシラン含量にもかかわらず、比較的低い粘度を有する。しかしながら、これらの特定のシラン官能性のポリイソシアネートの調製は、アミノアルキルシランと環状カーボネートおよび/またはラクトンのそれぞれから形成されたヒドロキシウレタンおよび/またはヒドロキシアミド中間物質の低い安定性のために、非常に費用がかかり、不便であり、かつ不十分な再現性を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第03/054049号
【特許文献2】特開2005−015644号公報
【特許文献3】欧州特許第0994139号明細書
【特許文献4】欧州特許第0596360号明細書
【特許文献5】国際公開第02/058569号明細書
【特許文献6】欧州特許第0872499号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0949284号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第1273640号明細書
【特許文献9】国際公開第2009/156148号
【特許文献10】欧州特許出願公開第2014692号明細書
【特許文献11】欧州特許出願公開第2305691号明細書
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点のない、シラン基含有のポリイソシアネートを提供することであった。これらの新規のポリイソシアネートは、簡単な方法で確実かつ再現的に調製でき、特にそれらのシラン基含量が高くても低い粘度を有する。
【0017】
この目的は、以下に詳細に記載される本発明のチオアロファネート構造を有するポリイソシアネートとポリイソシアネートの調製方法とを提供することで達成することができた。
【0018】
本発明は、メルカプトシランを、過剰量のモノマーのジイソシアネートと簡単に反応させることで、貯蔵安定な淡色のチオアロファネートポリイソシアネートを得ることができ、ポリイソシアネートは、高い転化度および高いシラン含量であっても非常に低い粘度の点で優れているという驚くべき知見に基づくものである。
【0019】
本発明は、一般式(I)
【化1】
【0020】
[式中、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、18個までの炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族もしくは脂環族の基、または置換されていてもよい芳香族もしくは芳香脂肪族の基を意味し、基は、酸素、硫黄および窒素の組からの3個までのヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、
Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の有機基であり、
Yは、18個までの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基、芳香脂肪族または芳香族の基であり、かつ
nは、1から20までの整数である]のシラン基含有のチオアロファネートを提供する。
【0021】
本発明は、また、そのようなシラン基含有のチオアロファネートの調製方法であって、
A)一般式(II)
【化2】
【0022】
[式中、Yは、18個までの炭素原子を有する、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基、芳香脂肪族または芳香族の基である]の少なくとも1種のモノマーのジイソシアネートと、
B)一般式(III)
【化3】
【0023】
[式中、R、R、RおよびXは、前記定義の通りである]のメルカプトシランとを、イソシアネート基対メルカプト基の当量比2:1〜40:1において反応させることによって行う調製方法を提供する。
【0024】
最後にまた、シラン基含有のチオアロファネートの、ポリウレタンプラスチックの製造における出発成分としての、特に2成分形ポリウレタン塗料およびコーティングならびに/またはポリ尿素塗料およびコーティングにおけるポリオールおよび/もしくはポリアミンのための架橋剤成分としての、または架橋剤成分の構成要素としての使用も提供される。
【0025】
本発明による方法のために適した出発化合物A)は、脂肪族部に結合した、脂環族部に結合した、芳香脂肪族部に結合した、および/または芳香族部に結合したイソシアネート基を有するあらゆる所望のジイソシアネートであり、ジイソシアネートは、あらゆる所望の方法によって、例えばホスゲン化によるか、またはホスゲン不含の経路で、例えばウレタン分解によって調製することができる。
【0026】
適切なジイソシアネートは、例えば一般式(II)
【化4】
【0027】
[式中、Yは、18個までの炭素原子、好ましくは4個〜18個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族もしくは脂環族の基、または18個までの炭素原子、好ましくは6個〜18個の炭素原子を有する置換されていてもよい芳香族もしくは芳香脂肪族の基である]のジイソシアネート、例えば1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)、1,5−ジイソシアナト−2,2−ジメチルペンタン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、1,9−ジイソシアナトノナン、1,10−ジイソシアナトデカン、1,3−および1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナト−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−2−メチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチルシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート:IPDI)、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12−MDI)、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−3,3’,5,5’−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナト−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、4,4’−ジイソシアナト−2,2’,5,5’−テトラメチル−1,1’−ビ(シクロヘキシル)、1,8−ジイソシアナト−p−メンタン、1,3−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−ジメチル−5,7−ジイソシアナトアダマンタン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−および1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)、ビス(4−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)フェニル)カーボネート、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネートならびにこれらの異性体のあらゆる所望の混合物、ジフェニルメタン−2,4’−および/または4,4’−ジイソシアネートおよびナフチレン−1,5−ジイソシアネートならびにそのようなジイソシアネートのあらゆる所望の混合物である。同様に適した更なるジイソシアネートは、更に例えば、ユストゥス・リービッヒの化学年鑑(Justus Liebigs Annalen der Chemie)の第562巻(1949年)第75頁〜第136頁に記載されている。
【0028】
出発成分A)としては、一般式(II)で示され、式中、Yが5個〜13個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であるジイソシアネートが特に好ましい。
【0029】
本発明の方法のためにとりわけ好ましい出発成分A)は、1,5−ジイソシアナトペンタン、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4’−および/もしくは4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンまたはこれらのジイソシアネートのあらゆる所望の混合物である。
【0030】
本発明の方法のための出発成分B)は、一般式(III)
【化5】
【0031】
[式中、
、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、18個までの炭素原子を有する、飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝鎖状の脂肪族もしくは脂環族の基、または置換されていてもよい芳香族もしくは芳香脂肪族の基であり、基は、酸素、硫黄および窒素の組からの3個までのヘテロ原子を含んでも含まなくてもよく、かつ
Xは、少なくとも2個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状の有機基である]のあらゆる所望のメルカプトシランである。
【0032】
適切なメルカプトシランB)の例は、2−メルカプトエチルトリメチルシラン、2−メルカプトエチルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエチルジエトキシシランおよび/または4−メルカプトブチルトリメトキシシランである。
【0033】
本発明の方法のための好ましいメルカプトシランB)は、一般式(III)で示され、式中、R、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、6個までの炭素原子を有する、飽和の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族または脂環族の基であり、基は、3個までの酸素原子を含んでも含まなくてもよく、かつXは、2個〜10個の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキレン基である、メルカプトシランである。
【0034】
特に好ましいメルカプトシランB)は、一般式(III)で示され、式中、R、RおよびRは、それぞれ、6個までの炭素原子を有するアルキル基、および/または3個までの酸素原子を含むアルコキシ基であるが、ただし、基R、RおよびRの少なくとも1つは、この種のアルコキシ基であるものとし、かつXは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)である、メルカプトシランである。
【0035】
とりわけ好ましいメルカプトシランB)は、一般式(III)で示され、式中、R、RおよびRは、同一または異なる基であり、それぞれ、メチル、メトキシまたはエトキシであるが、ただし、基R、RおよびRの少なくとも1つは、メトキシ基またはエトキシ基であるものとし、かつXは、プロピレン基(−CH−CH−CH−)である、メルカプトシランである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の方法の実施のために、ジイソシアネートA)は、メルカプトシランB)と、20℃〜200℃の、好ましくは40℃〜160℃の温度で、イソシアネート基対メルカプト基の当量比2:1〜40:1、好ましくは4:1〜30:1、特に好ましくは6:1〜20:1を維持しつつ反応されて、チオアロファネートが得られる。
【0037】
本発明の方法は、触媒を用いずに熱誘起されるアロファネート化として実施することができる。しかしながら、好ましくはアロファネート化反応を促進するために、適切な触媒が使用される。これらの触媒は、慣用の公知のアロファネート化触媒、例えば英国特許出願公開第0994890号明細書に記載される種類の金属カルボン酸塩、金属キレートまたは第三級アミンであるか、米国特許出願公開第3769318号明細書に記載される種類のアルキル化剤であるか、または例えば欧州特許出願公開第0000194号明細書に記載されている強酸である。
【0038】
適切なアロファネート化触媒は、特に亜鉛化合物、例えばステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)、ナフテン酸亜鉛(II)もしくは亜鉛(II)アセチルアセトネート、スズ化合物、例えばn−オクタン酸スズ(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸スズ(II)、酸化ジブチルスズ、二塩化ジブチルスズ、二酢酸ジブチルスズ、二ラウリン酸ジブチルスズ、二マレイン酸ジブチルスズもしくは二酢酸ジオクチルスズ、ジルコニウム化合物、例えば2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ネオデカン酸ジルコニウム(IV)、ナフテン酸ジルコニウム(IV)もしくはジルコニウム(IV)アセチルアセトネート、アルミニウムトリ(エチルアセトアセテート)、塩化鉄(III)、オクタン酸カリウム、マンガン化合物、コバルト化合物もしくはニッケル化合物ならびに強酸、例えばトリフルオロ酢酸、硫酸、塩化水素、臭化水素、リン酸もしくは過塩素酸またはこれらの触媒のあらゆる所望の混合物である。
【0039】
適切であるとはいえ、あまり好ましくはない本発明の方法のための触媒はまた、アロファネート化反応以外に、イソシアヌレート構造を形成するイソシアネート基の三量体化も触媒する化合物である。そのような触媒は、例えば欧州特許出願公開第0649866号明細書の第4頁第7行目〜第5頁第15行目に記載されている。
【0040】
本発明の方法のために好ましい触媒は、上述の種類の亜鉛化合物および/またはジルコニウム化合物である。とりわけ好ましくは、n−オクタン酸亜鉛(II)、2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)および/またはステアリン酸亜鉛(II)、n−オクタン酸ジルコニウム(IV)、2−エチル−1−ヘキサン酸ジルコニウム(IV)および/またはネオデカン酸ジルコニウム(IV)が使用される。
【0041】
これらの触媒は、本発明の方法では、仮にあっても、共反応物A)とB)の全重量に対して、0.001重量%〜5重量%の、好ましくは0.005重量%〜1重量%の量で使用され、触媒は、反応開始前でも、反応の間のどの時点でも添加することができる。
【0042】
本発明の方法は、好ましくは溶剤無しで実施される。しかしながら、所望であれば、出発成分の反応性基に対して不活性な適切な溶剤を使用してもよい。適切な溶剤の例は、自体公知の慣用の塗料用溶剤、例えばエチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートもしくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ホワイトスピリット、比較的多置換された芳香族化合物(それらは、例えばソルベントナフサ、Solvesso(登録商標)、Isopar(登録商標)、Nappar(登録商標)(Deutsche EXXON CHEMICAL GmbH、ドイツのケルン)およびShellsol(登録商標)(Deutsche Shell Chemie GmbH、ドイツのエシュボルン)の名称で販売されている)であるが、またプロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテートおよびジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドンならびにN−メチルカプロラクタム等の溶剤、またはそのような溶剤のあらゆる所望の混合物である。
【0043】
可能な一実施形態においては、本発明の方法では、出発ジイソシアネートA)または種々の出発ジイソシアネートの混合物は、不活性ガス下、例えば窒素下でもそうでなくても、かつ上述の種類の適切な溶剤の存在下でもそうでなくても、20℃から100℃の間の温度で導入される。引き続き、メルカプトシランB)または種々のメルカプトシランの混合物は、上述の量で添加され、そしてチオウレタン化のための反応温度は、適切な措置(加熱または冷却)によってもそうでなくても、30℃〜120℃の、好ましくは50℃〜100℃の温度に調整される。チオウレタン化反応に引き続き、すなわちイソシアネート基およびメルカプト基の完全な転化に理論的に相応するNCO含有率に至ったときに、チオアロファネート化は、例えば触媒を添加することなく、反応混合物を120℃〜200℃の温度に加熱することによって開始することができる。しかしながら、好ましくは、上述の種類の適切な触媒は、チオアロファネート化反応の促進のために使用され、この場合に、使用される触媒の種類および量に応じて、60℃から140℃までの範囲の、好ましくは70℃から120℃までの範囲の温度が、反応の実施のためには十分である。
【0044】
本発明の方法のもう一つの可能な実施形態においては、併用してもよい触媒は、ジイソシアネート成分A)および/またはシラン成分B)のいずれかに、実際の反応の開始前に混加される。この場合に、中間体として形成されるチオウレタン基は自発的に更に反応して、所望のチオアロファネート構造となる。この種の単段階反応様式では、触媒を含んでよい出発ジイソシアネートA)は、不活性ガス下、例えば窒素下でもそうでなくても、かつ上述の種類の適切な溶剤の存在下でもそうでなくても、一般的にチオアロファネート化のために最適な60℃から140℃までの範囲の、好ましくは70℃から120℃までの範囲の温度で導入され、そして触媒を含んでもよいシラン成分B)と反応される。
【0045】
触媒を反応混合物へと、チオウレタン化反応の間のあらゆる所望の時点で添加することはもう一つの選択肢である。本発明の方法のこの実施形態の場合に、触媒の添加前に進行する純粋なチオウレタン化反応のために、一般に30℃から120℃までの、好ましくは50℃から100℃までの範囲の温度に調整される。適切な触媒の添加後には、最終的にチオアロファネート化反応は、60℃〜140℃の、好ましくは70℃〜120℃の温度で実施される。
【0046】
本発明による方法での反応の過程は、例えばNCO含有率を滴定的手段により測定することによって追跡することができる。目的のNCO含有率に達した後に、好ましくは反応混合物のチオアロファネート化度(すなわち、NCO含有率から計算できる、反応してチオアロファネート基を形成するとともに、成分B)のメルカプト基から中間体として形成するチオウレタン基の百分率割合)が、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%である場合に、かつ非常に好ましくは完全なチオアロファネート化の後に、反応は中断される。これは、純粋に熱的な反応様式の場合に、例えば反応混合物の室温への冷却によって行うことができる。上述の種類のチオアロファネート化触媒の好ましい併用の場合に、しかしながら反応は一般的に、適切な触媒毒、例えば塩化アシル、例えば塩化ベンゾイルまたは二塩化イソフタロイルの添加によって停止される。
【0047】
好ましくは次いで、反応混合物から、薄膜蒸留によって、高真空下で、例えば1.0mbar未満の、好ましくは0.5mbar未満の、より好ましくは0.2mbar未満の圧力で、非常に穏やかな条件下で、例えば100℃〜200℃の、好ましくは120℃〜180℃の温度で、揮発性成分(過剰のモノマーのジイソシアネート、使用されてもよい溶剤と、触媒毒が使用されない場合に、あらゆる活性触媒)が除去される。
【0048】
得られた蒸留物は、未反応のモノマーの出発ジイソシアネート以外に、使用されるあらゆる溶剤、触媒毒が使用されない場合にあらゆる活性触媒を含有するが、蒸留物は、新たなオリゴマー化のために直ちに使用することができる。
【0049】
本発明の方法のもう一つの実施形態においては、上述の揮発性成分は、イソシアネート基に対して不活性な適切な溶剤、例えば脂肪族または脂環族の炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタンまたはシクロヘキサンでの抽出によって、オリゴマー化生成物から分離される。
【0050】
後処理の性質とは関係なく、本発明の方法から得られた生成物は、一般に120APHA未満の、好ましくは80APHA未満の、より好ましくは60APHA未満の色数と、2.0重量%〜18.0重量%の、好ましくは7.0重量%〜17.0重量%の、より好ましくは10.0重量%〜16.0重量%のNCO含有率とを有する、透明でほぼ無色のチオアロファネートポリイソシアネートである。平均NCO官能価は、転化度および使用されるチオアロファネート化触媒に応じて、一般的に1.8〜3.0、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.9〜2.0である。
【0051】
本発明のチオアロファネートポリイソシアネートは、イソシアネート重付加法によりポリウレタンプラスチックおよび/またはポリ尿素プラスチックを製造するための価値のある出発材料である。
【0052】
チオアロファネートポリイソシアネートは、それらの低い粘度に基づき溶剤無しで使用することができるが、必要に応じて慣用の溶剤、例えば本発明の方法で併用してもよい上述の不活性塗料用溶剤を使用して混濁のない希釈物へと変えることもできる。
【0053】
本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートは、2成分形ポリウレタン塗料であってそのポリヒドロキシル化合物がポリイソシアネートの共反応物としての慣用のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールおよび/またはポリアクリレートポリオールである塗料のための、架橋剤成分として、または架橋剤成分の構成成分として極めて適している。本発明のプロセス生成物のために特に好ましい共反応物は、ヒドロキシル基を有するポリアクリレート、すなわち(メタ)アクリル酸アルキルエステルのポリマーおよび/もしくはコポリマー、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレンもしくは他の共重合可能なオレフィン性不飽和モノマーとのポリマーおよび/もしくはコポリマーである。
【0054】
一般的に、本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートを配合した被覆組成物であって、組成物中に、塗料分野で慣用の助剤および添加剤、例えば流動調節助剤、着色顔料、充填剤または艶消し剤が導入されても導入されていなくてもよい被覆組成物は、室温乾燥であっても良好な塗料技術的特性を有する。その一方でもちろん、高められた温度での強制的な条件下でも、または260℃までの温度での焼き付けによっても乾燥させることができる。
【0055】
硬化速度の制御のために、被覆組成物の配合に際して適切な触媒を、例えばイソシアネート化学で慣用の触媒、例えば第三級アミン、例えばトリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N’−ジメチルピペラジンまたは金属塩、例えば塩化鉄(III)、塩化亜鉛、2−エチルカプロン酸亜鉛、オクタン酸スズ(II)、エチルカプロン酸スズ(II)、二ラウリン酸ジブチルスズ(IV)、2−エチルヘキサン酸ビスマス(III)、オクタン酸ビスマス(III)またはグリコール酸モリブデンを含むことができる。その他に、アルコキシシラン基の加水分解と縮合を促進する触媒またはアルコキシシラン基とバインダーとして使用されるポリオール成分のヒドロキシル基との反応を促進する触媒を使用することもできる。この種の触媒は、上述のイソシアネート触媒以外に、また例えば酸、例えばp−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸およびリン酸ジブチル、塩基、例えば窒素で置換されたアミジン、例えば1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)および1,5−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、しかしまた金属塩または有機金属化合物、例えばチタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチル、チタン(IV)アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムトリフレートまたはスズトリフレート等である。
【0056】
もちろん、本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートは、ポリウレタン化学から自体公知のブロック剤でブロックされた形でも、上述の被膜形成性結合剤または被膜形成性結合剤成分と組み合わせて1成分形ポリウレタン焼き付け系として使用することもできる。適切なブロック剤は、例えばジエチルマロネート、アセト酢酸エチル、活性化環状ケトン、例えばシクロペンタノン−2−カルボキシメチルエステルおよびシクロペンタノン−2−カルボキシエチルエステル、アセトンオキシム、ブタノンオキシム、ε−カプロラクタム、3,5−ジメチルピラゾール、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、ベンジル−t−ブチルアミンまたはこれらのブロック剤のあらゆる所望の混合物である。
【0057】
本発明のプロセス生成物は、ポリアミン、例えば欧州特許第0403921号明細書から公知のポリアスパラギン酸誘導体、またはアミノ基がブロックされた形で存在するポリアミン、例えばポリケチミン、ポリアルジミンもしくはオキサゾランと組み合わせてもよい。これらのブロックされたアミノ基に対する湿分の効果は、その状態から遊離のアミノ基に変えることであり、そしてオキサゾランの場合には遊離のヒドロキシル基へと変えることである。それらの基は、シラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートのイソシアネート基との反応、つまり架橋を伴う反応によって消費される。
【0058】
本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートは、水性2成分形ポリウレタン系の製造において、イソシアネート基に対して反応性の基、より具体的にはアルコール性ヒドロキシル基を有する水溶液もしくは分散液で存在する結合剤のための架橋剤成分または結合剤成分としても適している。チオアロファネートポリイソシアネートは、このような場合にその低い粘度に基づき、そのままで、すなわち疎水性の形で、または公知法により、例えば欧州特許第0540985号明細書、欧州特許第0959087号明細書または欧州特許第1287052号明細書により親水変性された形のいずれかで使用できる。
【0059】
本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートを配合した被覆系に、またあらゆる所望の他の加水分解可能なシラン化合物、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランもしくはフェニルトリエトキシシラン、またはそのようなシラン化合物の混合物を、共反応物として混加しても混加しなくてもよい。
【0060】
本発明のチオアロファネートポリイソシアネートの全ての上記の使用において、これらのチオアロファネートポリイソシアネートは、イソシアネート成分として、単独でも、脂肪族部に結合した、脂環族部に結合した、芳香脂肪族部に結合した、および/または芳香族部に結合したイソシアネート基を有するあらゆる所望の更なるポリイソシアネート、より具体的には、例えばLaas et al,J.Prakt.Chem.336,1994,185−200、独国特許出願公開第1670666号明細書、独国特許出願公開第3700209号明細書、独国特許出願公開第3900053号明細書、欧州特許出願公開第0330966号明細書、欧州特許出願公開第0336205号明細書、欧州特許出願公開第0339396号明細書および欧州特許出願公開第0798299号明細書に記載されている、ウレットジオン構造、イソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレタン構造、アロファネート構造、ビウレット構造および/またはオキサジアジントリオン構造を有する公知の塗料用ポリイソシアネートとの配合物においても、イソシアネート成分として使用することができる。特に、本発明のチオアロファネートがその非常に低い粘度に基づき、一般的により高粘性の塗料用ポリイソシアネートのための反応性希釈剤の役割を担うこれらの配合物は、今までに知られた同等のシラン含量を有する先行技術のシラン官能性のポリイソシアネートよりかなり高いイソシアネート含有率およびイソシアネート官能価を有すると同時に粘度が明らかにより低いという利点を示す。
【0061】
したがって、本発明は、また、本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートの、脂肪族部に結合した、脂環族部に結合した、芳香脂肪族部に結合した、および/または芳香族部に結合したウレットジオン構造、イソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレタン構造、アロファネート構造、ビウレット構造および/またはオキサジアジントリオン構造を有するイソシアネート基を有するポリイソシアネートとの配合のための使用、ならびにそれから得られるシラン基含有のポリイソシアネート混合物自体を提供する。
【0062】
ポリオールおよび/またはポリアミンのための架橋剤成分としてまたは架橋剤成分の構成成分として本発明のチオアロファネートポリイソシアネートを含む2成分形ポリウレタン塗料およびコーティングならびに/またはポリ尿素塗料およびコーティングにおいて、それらの共反応物は、通常は、ブロックされていてもよい各々のイソシアネート基に対して、0.5〜3の、好ましくは0.6〜2.0の、特に好ましくは0.8〜1.6のブロックされていてもよいイソシアネートに対して反応性の基となる量で存在する。
【0063】
しかしながら、本発明のポリイソシアネート混合物を、少量で非官能性の被膜形成性結合剤と、非常に特別な特性を達成するために、例えば付着性改善のための添加剤として混和しても混和しなくてもよい。
【0064】
本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートを用いて配合されたコーティング用に考えられる下地には、あらゆる所望の基材、例えば金属、木材、ガラス、石材、セラミック材料、コンクリート、硬質プラスチックおよび可撓性プラスチック、テキスタイル、皮革および紙が含まれ、それらの基材には、被覆前に、慣用のプライマーが設けられても設けられていなくてもよい。
【0065】
したがって、本発明によって、本発明のシラン基含有のチオアロファネートポリイソシアネートを含む被覆組成物、ならびにこれらの被覆組成物で被覆された基材も提供される。
【0066】
[実施例]
全ての百分率は、特段の記載がなければ、重量に対するものである。
【0067】
NCO含有率は、滴定法によりDIN EN ISO 11909によって測定した。
【0068】
残留モノマー含量は、DIN EN ISO 10283に従って、内部標準を用いてガスクロマトグラフィーによって測定した。
【0069】
全ての粘度測定は、Anton Paar Germany GmbH(ドイツ)社製のPhysica MCR 51型レオメータを用いてDIN EN ISO 3219に従って行った。
【0070】
ハーゼン色数は、Hach Lange GmbH(デュッセルドルフ)社製のLICO 400型色測定器で調べた。
【0071】
本発明の方法条件下で形成されるイソシアネート誘導体のチオウレタン、チオアロファネートおよびイソシアヌレートの量(モル%)は、プロトンデカップリングされた13C−NMRスペクトル(Bruker社DPX−400型装置で読み取る)の積分値から計算され、それぞれの場合に、存在するチオウレタン基、チオアロファネート基およびイソシアヌレート基の合計に基づいている。個々の構造エレメントは、以下の化学シフト(ppm)を有する:チオウレタン:166.8;チオアロファネート:172.3および152.8;イソシアヌレート:148.4。
【0072】
[実施例1](本発明による)
1008g(6モル)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を、80℃の温度で乾燥窒素下で撹拌しながら導入し、30分の時間にわたり196g(1.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランを加えた。その反応混合物を、約6時間後に完全なチオウレタン化に相当する38.4%のNCO含有率に達するまで更に80℃で撹拌した。
【0073】
この時点で、反応混合物から試料を取り出し、その組成を13C−NMR分光分析法により測定した。この測定によれば、チオウレタン基だけしか存在しなかった。13C−NMRスペクトルは、チオアロファネート基またはイソシアネート基のシグナルを示さなかった。
【0074】
0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を触媒として80℃の温度にある反応混合物へと添加することによって、チオアロファネート化反応を開始させた。ここで、温度は、発熱反応のため85℃にまで高まった。NCO含有率が触媒添加の約1時間後に34.9%に下がるまで85℃で撹拌を続けた。その反応を、0.1gのオルトリン酸の添加によって停止させ、そして未反応のモノマーのHDIを130℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸発器中で除去した。これにより、538gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0075】
NCO含有率:14.4%
モノマーのHDI:0.08%
粘度(23℃):291mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:91.2モル%
イソシアヌレート基:8.8モル%
[実施例2](本発明による)
1008g(6モル)のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を、80℃の温度で乾燥窒素下で撹拌しながら導入し、0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を触媒として加えた。約30分の時間にわたり、196g(1.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランを滴加した。ここで、その混合物の温度は発熱反応のため85℃にまで高まった。その反応混合物を、NCO含有率が約2時間後に34.9%に下がるまで更に85℃で撹拌した。触媒を、0.1gのオルトリン酸の添加によって失活させ、そして未反応のモノマーのHDIを130℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸発器中で除去した。これにより、523gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0076】
NCO含有率:14.2%
モノマーのHDI:0.05%
粘度(23℃):249mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:98.5モル%
イソシアヌレート基:1.5モル%
[実施例3](本発明による)
実施例2に記載される方法によって、1344g(8モル)のHDIを、0.15gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)の存在下で、196g(1.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランと85℃の温度で38.2%のNCO含有率になるまで反応させた。その反応を0.15gのオルトリン酸により停止させ、そして反応混合物を、薄膜蒸発器中で蒸留により後処理した後で、528gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0077】
NCO含有率:15.2%
モノマーのHDI:0.12%
粘度(23℃):209mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:99.0モル%
イソシアヌレート基:1.0モル%
[実施例4](本発明による)
実施例2に記載される方法によって、672g(4モル)のHDIを、0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)の存在下で、196g(1.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランと85℃の温度で29.0%のNCO含有率になるまで反応させた。その反応を0.1gのオルトリン酸により停止させ、そして反応混合物を、薄膜蒸発器中で蒸留により後処理した後で、486gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0078】
NCO含有率:12.9%
モノマーのHDI:0.06%
粘度(23℃):298mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:98.3モル%
イソシアヌレート基:1.7モル%
[実施例5](本発明による)
実施例2に記載される方法によって、756g(4.5モル)のHDIを、0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)の存在下で、294g(1.5モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランと85℃の温度で24.0%のNCO含有率になるまで反応させた。その反応を0.1gのオルトリン酸により停止させ、そして反応混合物を、薄膜蒸発器中で蒸留により後処理した後で、693gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0079】
NCO含有率:11.8%
モノマーのHDI:0.06%
粘度(23℃):452mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:99.0モル%
イソシアヌレート基:1.0モル%
[実施例6](本発明による)
実施例2に記載される方法によって、756g(4.5モル)のHDIを、0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)の存在下で、357g(1.5モル)のメルカプトプロピルトリエトキシシランと85℃の温度で22.6%のNCO含有率になるまで反応させた。その反応を0.1gのオルトリン酸により停止させ、そして反応混合物を、薄膜蒸発器中で蒸留により後処理した後で、715gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0080】
NCO含有率:11.3%
モノマーのHDI:0.21%
粘度(23℃):267mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:98.4モル%
イソシアヌレート基:1.6モル%
[実施例7](本発明による)
504g(3.0モル)のHDIを、80℃の温度で乾燥窒素下で撹拌しながら導入し、30分の時間にわたり588g(3.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランを加えた。その反応混合物を、約12時間後に完全なチオウレタン化に相当する11.5%のNCO含有率に達するまで更に80℃で撹拌した。0.1gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を触媒として80℃の温度にある反応混合物へと添加すると、温度は、発熱的チオアロファネート化反応のため85℃にまで高まった。その混合物を、NCO含有率が触媒添加の約4時間後に3.0%に下がるまで更に85℃で撹拌した。次いで、反応を0.1gのオルトリン酸の添加によって停止させた。これにより、ほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0081】
NCO含有率:3.0%
モノマーのHDI:0.69%
粘度(23℃):9220mPas
チオウレタン:23.2モル%
チオアロファネート:66.6モル%
イソシアヌレート基:10.2モル%
[実施例8](本発明による)
1332g(6モル)のイソホロンジイソシアネート(IPDI)を、95℃の温度で乾燥窒素下で撹拌しながら導入し、0.2gの2−エチル−1−ヘキサン酸亜鉛(II)を触媒として加えた。約30分の時間にわたり、196g(1.0モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランを滴加した。ここで、その混合物の温度は発熱反応のため103℃にまで高まった。その反応混合物を、NCO含有率が約5時間後に27.4%に下がるまで更に100℃で撹拌した。触媒を、0.2gのオルトリン酸の添加によって失活させ、そして未反応のモノマーIPDIを160℃の温度および0.1mbarの圧力で薄膜蒸発器中で除去した。これにより、659gの淡黄色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0082】
NCO含有率:11.6%
モノマーIPDI:0.46%
粘度(23℃):11885mPas
チオウレタン:1.3モル%
チオアロファネート:93.4モル%
イソシアヌレート基:4.3モル%
[実施例9](本発明の、熱的チオアロファネート化)
756g(4.5モル)のHDIに、80℃の温度で乾燥窒素下で撹拌しながら約30分の時間にわたり294g(1.5モル)のメルカプトプロピルトリメトキシシランを滴加した。その反応混合物を、引き続き140℃に加熱し、そしてNCO含有率が約5時間後に24.0%に下がるまで更に撹拌した。薄膜蒸発器中で蒸留により後処理することで、685gのほぼ無色の透明なポリイソシアネート混合物が得られ、混合物の特性および組成は以下の通りであった。
【0083】
NCO含有率:11.8%
モノマーのHDI:0.08%
粘度(23℃):447mPas
チオウレタン:0.0モル%
チオアロファネート:98.6モル%
イソシアヌレート基:1.4モル%
[実施例10〜13](本発明による)および[例14](比較)
21.6%のNCO含有率、3.5の平均イソシアネート官能価および3200mPasの粘度(23℃)を有するHDIを基礎とするポリイソシアヌレートポリイソシアネートA)80重量部を、実施例5からのチオアロファネートポリイソシアネート20重量部と混ぜ、そして60℃で30分間撹拌することによって均質化することで、本発明のシラン官能性ポリイソシアネート混合物10が得られた。
【0084】
同様の方法を用いて、以下の表1に列挙した量の同じ出発成分を使用して、本発明によるシラン官能性ポリイソシアネート混合物11〜13を製造した。
【0085】
比較のために、国際公開第2009/156148号パンフレットの実施例1に基づき、HDIを基礎とする前述のポリイソシアヌレートポリイソシアネートA)(NCO含有率:21.6%、平均NCO官能価:3.5、粘度(23℃):3200mPas)79重量部を、メルカプトプロピルトリメトキシシラン21重量部と、触媒としての500ppmの二ラウリン酸ジブチルスズの存在下で溶剤無しで反応させることによって、部分シラン化されたHDI三量体(比較例14)を調製した。
【0086】
以下の表1は、本発明のシラン官能性のポリイソシアネート混合物10〜13の組成(重量部)および特性データならびに国際公開第2009/156148号パンフレットの比較ポリイソシアネート14の特性データを示している。
【0087】
表1
【表1】
【0088】
両者とも13%のシラン基含量(−Si(OCH、モル重量=121g/モル)を有する、本発明によるシラン官能性のポリイソシアネート混合物13と国際公開第2009/156148号パンフレットの比較ポリイソシアネート14との直接的な比較により、現在の技術水準に対して、本発明のプロセス生成物のイソシアネート含有率、イソシアネート官能価および粘度の点での明らかな利点が見事に実証される。