(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一態様の発光装置について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
<発光装置の構成>
図1(A)は、本発明の一形態による発光装置の上面図であり、
図1(B)は、
図1(
A)のA1−A2間の断面図である。
【0023】
図1(A)に示す発光装置は、端子部4501、画素部4502、及び信号線回路部4
503を有する。
【0024】
図1(B)に示すように、発光装置は、画素部4502に、第3基板903、第2接着
層172、剥離層101、バッファ層103、複数のトランジスタ、絶縁層114、平坦
化層116、発光素子130、隔壁124、第1接着層171、第2基板902を有する
。
【0025】
図1(B)に示すように、第3基板903上に複数のトランジスタが備わっており、ト
ランジスタ150及びトランジスタ151の上部には、それぞれ発光素子130が備わっ
ている。各トランジスタは、ゲート電極層106、ソース電極層112a及びドレイン電
極層112b、半導体層110、及びゲート絶縁層108を備える。トランジスタ150
及びトランジスタ151は発光素子を駆動するトランジスタである。発光素子130は、
その下部に位置するトランジスタに電気的に接続される。発光素子130は、平坦化層1
16上に配され、発光素子130の第1電極層118は、平坦化層116に備わったコン
タクトホールを介してトランジスタに電気的に接続されている。発光素子130は、第1
接着層171及び第2基板902によって封止される。第2基板902の内側面に、後述
するタッチセンサを複数有し、発光装置がタッチパネルを備えてもよい。
【0026】
本実施の形態では、トップエミッション構造(上面射出構造)の発光装置について例示
するが、ボトムエミッション構造(下面射出構造)やデュアルエミッション構造(両面射
出構造)としてもよい。
【0027】
発光素子130は、トランジスタに電気的に接続された第1電極層118と、第1電極
層118上の有機化合物を含む層120と、有機化合物を含む層120上の第2電極層1
22と、を有する。第1電極層118の端部は、隔壁124で覆われている。第2電極層
122は、画素部4502の全面に渡って形成されている。
【0028】
図1(B)に示すように、発光装置は、信号線回路部4503に、トランジスタ152
を有する。
【0029】
図1(B)に示すように、発光装置は、端子部4501に、導電層915、バンプ45
56、異方性導電膜4519、及びFPC(Flexible Printed Cir
cuit)4518を有する。FPC4518には、画素部4502の駆動及び制御のた
めの各種電気部品が配されている。
【0030】
導電層915は、バンプ4556及び異方性導電膜4519を介して、FPC4518
と電気的に接続する。なお、バンプ4556は設けなくてもよく、導電層915は、異方
性導電膜4519と直接接することで、FPC4518と電気的に接続することが好まし
い。
【0031】
また、
図7(A)は、本発明の別の形態による発光装置の上面図であり、
図7(B)は
、
図7(A)のB1−B2間の断面図である。
図7(A)では、第2基板902側に作製
されるタッチパネルを詳細に示す。
【0032】
図7(A)に示す発光装置は、端子部4501、画素部4502、及び信号線回路部4
503を有する。
【0033】
図7(B)に示すように、発光装置は、画素部4502に、第3基板903、第2接着
層172、剥離層101、バッファ層103、複数のトランジスタ、絶縁層114、平坦
化層116、発光素子130、隔壁124、第1接着層171、オーバーコート層168
、着色層166、遮光膜164、パッシベーション層163、絶縁層162、導電層の連
結部911b、導電層の本体部912a、導電層920、絶縁層930及び第2基板90
2を有する。
【0034】
図7(B)に示すように、第3基板903上に複数のトランジスタが備わっており、ト
ランジスタ150及びトランジスタ151の上部には、それぞれ発光素子130が備わっ
ている。トランジスタ及び発光素子の構成は
図1(B)と同様である。
【0035】
図7(B)に示すように、第2基板902側には、導電層の連結部911b及び導電層
の本体部912aと、導電層の連結部911b及び導電層の本体部912aを覆う絶縁層
930と、複数の導電層の本体部912aを電気的に接続する導電層920と、を有する
。導電層920上に着色層166等を設けるため、導電層920と着色層166の間の絶
縁層162は平坦化機能を有することが好ましい。また、パッシベーション層163は有
していなくてもよい。
【0036】
図7(B)に示すように、発光装置は、信号線回路部4503に、トランジスタ152
を有する。
【0037】
図7(B)に示すように、発光装置は、端子部4501に、導電層915、バンプ45
56、ディスプレイ駆動用IC511、異方性導電膜4519、及びFPC4518を有
する。
【0038】
導電層915は、バンプ4556及び異方性導電膜4519を介して、FPC4518
と電気的に接続する。なお、バンプ4556は設けなくてもよく、導電層915は、異方
性導電膜4519と直接接することで、FPC4518と電気的に接続することが好まし
い。また、導電層915は、バンプ4556を介して、ディスプレイ駆動用IC511と
電気的に接続する。なお、バンプ4556は設けなくてもよく、導電層915は、ディス
プレイ駆動用IC511と直接接することが好ましい。導電層915を介して、ディスプ
レイ駆動用IC511とFPC4518は電気的に接続する。
【0039】
第3基板903上には、画素部4502の周囲に沿って、データライン914が形成さ
れている(
図7(A))。データライン914は、第2基板902の内側面に形成された
導電層911と導電層912で発生した電気的信号を、FPC4518に伝達する役割を
行う。
【0040】
第3基板903上の複数個の接続部512は、第2基板902に形成されている導電層
911の接続部911d及び導電層912の接続部912dと対応する位置にそれぞれ形
成される。そして、複数個の接続部512と、接続部911d,912dは、導電性部材
によって電気的に接続される。このとき、導電性部材としては、銀ペーストなど、多様な
導電性物質を用いることができる。一方、接続部512は、それぞれデータライン914
と電気的に接続されており、データライン914は、FPC4518と電気的に接続され
る。
【0041】
FPC4518には、第2基板902の内側面に形成された導電層911、912、9
20で発生した電気的信号が入力される、タッチパネルを駆動及び制御するためのタッチ
パネル駆動用IC913が配されている。
【0042】
以下では、本発明の一実施形態に係る発光装置におけるタッチパネルの駆動方法につい
て簡略に説明する。なお、本明細書中では、被検知体の近接又は接触を検知可能なセンサ
をタッチセンサと呼び、タッチパネルは、タッチセンサを複数有する。
【0043】
本発明の一態様の発光装置は、発光装置の表面に指、導電性物体又は高誘電率の物体が
接近ないし接触した場合、このような接近によって引き起こされた導体の静電容量の変化
を解釈してタッチを感知する。このとき、表面に近接又は接触した物体の座標(及びその
押す圧力値)が出力される。
【0044】
タッチセンサは、一対の電極を備え、これらの間に容量が形成される。一対の電極のう
ち、一方の電極に入力電圧が入力される。また、他方の電極に流れる電流(又は、他方の
電極の電位)が検出回路により検出される。
図7(A)(B)では、タッチセンサの一対
の電極として、導電層911及び導電層912を用いる例を示したが、タッチセンサの一
対の電極として、第2基板902側の電極(導電層911、導電層912の少なくとも一
方)と、第2電極層122と、を用いてもよい。
【0045】
画素部4502の第2電極層122には、定電圧としてのカソード電圧が印加されてい
る。本発明の一態様の発光装置は、第2基板902側の電極及び第2電極層122で1つ
のキャパシタを形成できる。第2基板902側の電極及び第2電極層122の間の静電容
量は一定に維持される。この状態で、第2基板902の上側表面に、指、導電性物体又は
高誘電率の物体が接近ないし接触すれば、指等と第2基板902側の電極とが、第2のキ
ャパシタを形成することになる。従って、全体的に見たとき、2つのキャパシタが直列に
接続されている形態をなすことになり、全体的な静電容量に変化が生じることになる。か
かる静電容量の変化が発生した位置及び大きさを利用し、タッチ感知システムが作動する
ことになる。
【0046】
<発光装置を構成する部材>
以下に本発明の一態様の発光装置を構成する部材について、説明する。
【0047】
(第3基板)
第3基板903には、熱を加えられても変形の少ない熱膨張係数が10ppm/K以下
の基板を用いることが好ましい。第3基板903に熱を加えても、第3基板903に接す
る樹脂や配線にクラックが生じにくいからである。第3基板903に使用できる材料は、
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリアクリ
ルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミ
ド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などを好適に用いることができる。
【0048】
(剥離層)
剥離層101は第1基板901とトランジスタ150の間に形成されている。剥離層1
01はタングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジ
ルコニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンか
ら選択された元素、又は該元素を含む合金材料、又は該元素を含む化合物材料の少なくと
も一つからなり、単層又は積層された層である。シリコンを含む層の結晶構造は、非晶質
、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。また、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸
化亜鉛、二酸化チタン、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、及
びIn−Ga−Zn系金属酸化物等の金属酸化物のいずれかを用いてもよい。
【0049】
剥離層101が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデン層、又はタ
ングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステンの酸化物若し
くは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、又はタング
ステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タ
ングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当
する。
【0050】
また、剥離層101として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の
積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成され
る絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物
を含む層が形成されることを活用してもよい。また、タングステンを含む層の表面を、熱
酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタング
ステンの酸化物を含む層を形成してもよい。
【0051】
本実施の形態では、第3基板903と剥離層101とが第2接着層172を介して貼り合
わされている例を示したが、本発明の一態様の発光装置は、剥離層101を備えていなく
てもよい。例えば、第3基板903とバッファ層103が第2接着層172を介して貼り
合わされていてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態では、トップエミッション構造の発光装置を例示するため、剥離層1
01の透光性は問わないが、ボトムエミッション構造やデュアルエミッション構造の発光
装置が剥離層101を有する場合は、剥離層101に透光性を有する材料を用いる。
【0053】
(第2基板)
第2基板902には、厚さが10μm以上500μm以下のガラスを用いることが好ま
しい。その厚さにすると、軽く、可撓性を持たせることができる。
【0054】
(バッファ層)
バッファ層103の材料は、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化ハフニウム膜、酸
化イットリウム膜、若しくは酸化アルミニウム膜などの酸化絶縁膜、又は、窒化シリコン
膜、若しくは窒化アルミニウム膜などの窒化絶縁膜、又は、酸化窒化シリコン膜、若しく
は酸化窒化アルミニウム膜などの酸化窒化絶縁膜、又は、窒化酸化シリコン膜などの窒化
酸化絶縁膜から選ばれた一の絶縁膜、又は、複数が積層された絶縁膜で形成できる。なお
、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものをい
い、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものを
いう。
【0055】
(ゲート電極層)
ゲート電極層106の材料は、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミ
ニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらを主成分とする合
金材料を用いて形成することができる。また、ゲート電極層106としてリン等の不純物
元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜、ニッケルシリサイドなど
のシリサイド膜を用いてもよい。ゲート電極層106は、単層構造としてもよいし、積層
構造としてもよい。
【0056】
(ゲート絶縁層)
ゲート絶縁層108の材料は、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化ハフニウム膜、
酸化イットリウム膜、若しくは酸化アルミニウム膜などの酸化絶縁膜、又は、窒化シリコ
ン膜、若しくは窒化アルミニウム膜などの窒化絶縁膜、又は、酸化窒化シリコン膜、若し
くは酸化窒化アルミニウム膜などの酸化窒化絶縁膜、又は、窒化酸化シリコン膜などの窒
化酸化絶縁膜から選ばれた一の絶縁膜、又は、複数が積層された絶縁膜で形成できる。
【0057】
ゲート絶縁層108は、プラズマCVD(Chemical Vapor Depos
ition)法やスパッタリング法で形成する。プラズマCVD法を用いる場合、特にマ
イクロ波の電界エネルギーを利用してプラズマを発生させ、プラズマによりゲート絶縁膜
の原料ガスを励起させ、励起させた原料ガスを被形成物上で反応させて反応物を堆積させ
るプラズマCVD法(マイクロ波プラズマCVD法ともいう。)を用いて形成することが
好ましい。ゲート絶縁層108の膜厚は、5nm以上300nm以下とする。
【0058】
(半導体層)
半導体層110はシリコン又は酸化物半導体を用いることができる。当該発明の作製方
法において、第1基板901上に半導体層110を形成する。そのため、半導体層110
を500℃以上の温度で成膜、又はアニール処理を行うことができる。そのため、電界効
果移動度、オン電流の高いトランジスタを作製することができる。なお、当該半導体層1
10に用いることができる酸化物半導体の詳細は実施の形態2で説明する。
【0059】
(ソース電極層及びドレイン電極層)
ソース電極層112a及びドレイン電極層112bに用いる導電膜としては、例えば、
Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した
元素を含む金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を
用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にT
i、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブ
デン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極層11
2a及びドレイン電極層112bに用いる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成し
ても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In
2O
3等)、酸化スズ(S
nO
2等)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化
物(In
2O
3―ZnO等)、又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたも
のを用いることができる。
【0060】
(絶縁層)
絶縁層114は、プラズマCVD法を用いて、シラン(SiH
4)と窒素(N
2)の混
合ガスを供給して成膜する窒化シリコン膜を用いることが好ましい。また、絶縁層114
は、ゲート絶縁層108と同様の材料を用いて形成してもよい。
【0061】
(平坦化層)
平坦化層116は、ポリイミド樹脂又はアクリル樹脂などの有機樹脂材料又は、酸化シ
リコン等の無機絶縁材料で形成することができる。
【0062】
(発光素子)
発光素子130は、第1電極層118と第2電極層122に挟持された有機化合物を含
む層120を有する。有機化合物を含む層120は、少なくとも発光層を含むものであり
、複数の層を有する。有機化合物を含む層120については実施の形態3で説明する。
【0063】
本実施の形態では、トップエミッション構造の発光装置について例示するため、第2電
極層122には、可視光を透過する導電膜を用いる。第1電極層118には、可視光を反
射する導電膜を用いることが好ましい。なお、第1電極層118と第2電極層122は、
一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。
【0064】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、ITO、インジウム亜鉛酸化物
、ZnO、ガリウムを添加したZnOなどを用いて形成することができる。また、金、白
金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、も
しくはチタン等の金属材料、又はこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、
透光性を有する程度に薄く形成することで用いることができる。また、グラフェン等を用
いても良い。
【0065】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タング
ステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、ア
ルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの
合金等のアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)、又は、銀と銅の合金等の銀を含
む合金を用いて形成することができる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。ま
た、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていて
も良い。
【0066】
第1電極層118に可視光を反射する導電膜を用いることで、発光素子からの光の取り
出し効率を向上でき、好ましい。
【0067】
(隔壁)
隔壁124は、無機絶縁材料、又は有機絶縁材料を用いて形成することができる。例え
ば、有機絶縁材料としては、ネガ型やポジ型の感光性を有する樹脂材料、非感光性の樹脂
材料などを用いることができ、具体的には、ポリイミド樹脂、又はアクリル樹脂等で形成
することができる。
【0068】
(着色層、遮光膜、オーバーコート層)
着色層166は、特定の波長帯域の光を透過する有色層である。例えば、赤色の波長帯
域の光を透過する赤色(R)のカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過する緑色(G
)のカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過する青色(B)のカラーフィルタなどを
用いることができる。各カラーフィルタは、公知の材料を用いて、印刷法、インクジェッ
ト法、フォトリソグラフィー法を用いたエッチング方法などでそれぞれ所望の位置に形成
する。
【0069】
なお、ここでは、RGBの3色を用いた方法について説明したが、これに限定されず、
RGBY(黄色)等の4色を用いた構成、又は、5色以上の構成としてもよい。
【0070】
遮光膜164は隣接する画素の発光素子130からの光を遮光し、隣接する画素間にお
ける混色を抑制する。ここで、着色層166の端部を、遮光膜164と重なるように設け
ることにより、光漏れを抑制することができる。遮光膜164は、発光素子130からの
発光を遮光する材料を用いることができ、金属や、有機樹脂などの材料を用いて形成する
ことができる。なお、遮光膜164やオーバーコート層168は、画素部4502にのみ
設けてもよいし、信号線回路部4503などの画素部4502以外の領域にまで設けても
よい。
【0071】
絶縁層162には、平坦化層116と同様の材料を用いることができる。また、パッシ
ベーション層163には、ゲート絶縁層108等に用いることができる無機絶縁材料を適
用できる。
【0072】
オーバーコート層168は、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機樹脂膜により形成
することができる。オーバーコート層168により、着色層166に含有された不純物成
分等を有機化合物を含む層120側への拡散を防止することができる。また、オーバーコ
ート層168は、有機樹脂膜と無機絶縁膜との積層構造としてもよい。無機絶縁膜として
は、窒化シリコン、酸化シリコンなどを用いることができる。なお、オーバーコート層1
68は、設けない構成としてもよい。
【0073】
(第1接着層)
第1接着層171は、第2電極層122と第2基板902との間に設けられ、第2基板
902と第3基板903を接着する。第1接着層171としては、光硬化型の接着剤、反
応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、又は嫌気型接着剤を用いることができる。例えば、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、イミド樹脂等を用いることができる。また、接着剤に光の波
長以下の大きさの乾燥剤(ゼオライト等)や、屈折率の大きいフィラー(酸化チタンや、
ジルコニウム等)を混合することにより、発光素子130の信頼性が向上、又は発光素子
130からの光取り出し効率が向上するため好適である。
【0074】
(第2接着層)
第2接着層172は、第1接着層171と同様の材料を用いることができる。
【0075】
(タッチパネル)
以下では、本発明の一態様に係る発光装置において、第2基板902の一面に形成され
ているタッチパネルについて説明する。
【0076】
図8及び
図9はそれぞれ、
図7の発光装置の第2基板902及びその一面上に形成され
ている導電層911及び導電層912を示す上面図である。
図10は、
図7の発光装置の
第2基板902及びその一面上に形成されている導電層911、導電層912及び導電層
920を示す上面図である。
図11は、
図10のC1−C2間の断面図である。
図12は
、
図7の発光装置の第2基板902及びその一面上に形成されている導電層911、導電
層912及び導電層920を示す斜視図である。
【0077】
第2基板902の第3基板903と対向する面には、導電層911、導電層912、絶
縁層930、及び導電層920が順に形成されている。
【0078】
本発明の一実施形態に係る発光装置は、発光装置の第2基板902の内側面に、タッチ
パネル機能の発現のための導電層としてITO膜を形成している。
【0079】
導電層911及び導電層912は、第2基板902の第3基板903と対向する面に複
数形成される。導電層911は、第1方向(
図8のX方向)に沿って互いに並んで形成さ
れ、複数の本体部912aを有する導電層912は、第1方向と実質的に垂直である第2
方向(
図9のY方向)に沿って互いに並んで形成される。
図8及び
図9に図示されている
ように、導電層911及び導電層912は、交互に配される。すなわち、第2基板902
上には、複数個の導電層911が第1方向(
図8のX方向)に沿って互いに並んで形成さ
れており、このような複数個の導電層911間に、複数個の導電層912が第2方向(図
9のY方向)に沿って互いに並んで形成されている。
【0080】
ここで、1つの導電層911を
図8のパターン1000に示す。導電層911は、それ
ぞれ複数個の本体部911a、複数個の連結部911b、1つの延長部911c及び1つ
の接続部911dを含む。本体部911aはほぼ菱形状(正方形)に形成され、第1方向
、例えば、
図8のX方向に沿って複数個が一列に形成されている。連結部911bは、互
いに隣接している本体部911a間に形成され、互いに隣接している本体部911a間を
連結する役割を担う。延長部911cは、導電層の本体部911a一端部から延長して形
成されている。複数個の導電層911では、すべての延長部911cが同一方向、例えば
、
図8のY方向に延び、各延長部911cがいずれも第2基板902の一端部、すなわち
、
図8で見たとき、上側に集まるように形成されうる。そして、延長部911cの端部に
は、接続部911dが形成されている。接続部911dは、後述する導電性部材を介して
、第3基板903のデータライン914に電気的に接続される。
【0081】
一方、1つの導電層912を
図9のパターン2000に示す。導電層912は、それぞ
れ複数個の本体部912a、1つの延長部912c及び1つの接続部912dを含む。本
体部912aは、ほぼ菱形状(正方形)に形成されており、第2方向、例えば、
図9のY
方向に沿って、複数個が一列に形成されている。ここで、前述の導電層911とは異なり
、導電層912は連結部を含まず、従って、それぞれの本体部912aが、互いに連結さ
れていない場合がある。このとき、それぞれの本体部912aは、後述する導電層920
によって互いに連結される。一方、延長部912cは、導電層の本体部912a一端部か
ら延長して形成されている。複数個の導電層912では、すべての延長部912cが、同
一方向、例えば、
図9のY方向に延び、各延長部912cがいずれも第2基板902の一
端部、すなわち、
図9で見たとき、上側に集まるように形成されうる。そして、延長部9
12cの端部には、接続部912dが形成されている。接続部912dは、後述する導電
性部材を介して、第3基板903のデータライン914に電気的に接続される。
【0082】
図11及び
図12に示すように、絶縁層930は、第2基板902の第3基板903と
対向する面に、導電層911、912を覆うように形成する。絶縁層930は、導電層9
11、912と導電層920とを絶縁させる役割を担う。そして、絶縁層930の所定の
位置、例えば、導電層912の本体部912aの互いに対面している端部付近には、コン
タクトホール931が形成されうる。コンタクトホール931を介して、導電層912の
本体部912aと導電層920とが互いに連結される。
【0083】
図10ないし
図12に図示されているように、導電層920は、絶縁層930の第3基
板903と対向する面に形成される。このとき、導電層920は、絶縁層930のコンタ
クトホール931を充填するように形成され、導電層912の互いに隣接している本体部
912a間を電気的に接続する役割を行う。
【0084】
かかる構成を介して、互いに直交する方向に形成されている導電層911と導電層91
2とを互いに交差させないようにできる。そのため、導電層911と導電層912との間
の電気的短絡を防止することができる。
【0085】
ここで、導電層911、912、920は、例えば、酸化インジウム(In
2O
3等)
、酸化スズ(SnO
2等)、ZnO、ITO、インジウム亜鉛酸化物、又はこれらの金属
酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものから形成できる。そして、かかる導電層911
、912、920は、フォトリソグラフィー工程を行って形成できる。すなわち、蒸着、
スピンコーティング、スパッタリング、インクジェットのような方法を使用して形成され
たITO層をパターニングし、導電層911、912、920を形成できる。また、絶縁
層930は、ゲート絶縁層108と同様の無機絶縁材料を用いて形成できる。
【0086】
上記構成により、第2基板902の内側面に導電層911、導電層912、導電層92
0、及び絶縁層930を形成することができる。そのため、タッチパネルを有し、かつ、
薄く可撓性を有する発光装置を作製することができる。
【0087】
<発光装置の作製方法>
図2乃至
図6に本発明の一態様の発光装置の作製方法を示す。以下に述べる各構成要素
を構成する材料は、上記を参酌できるものとする。
【0088】
まず、第1基板901上に剥離層101を形成する(
図2(A))。第1基板901と
しては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用い
ることができる。剥離層101は、前述の材料を用いて、スパッタリング法やプラズマC
VD法、塗布法、印刷法、蒸着法等で形成することができる。なお、塗布法はスピンコー
ティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
【0089】
次に、剥離層101上にバッファ層103を形成する(
図2(B))。バッファ層10
3は、窒化珪素膜や酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの窒素と珪素を含む絶縁層を、
プラズマCVD法により成膜温度を250℃〜400℃として形成することで、緻密で非
常に透水性の低い層とすることができる。
【0090】
次に、バッファ層103上に導電膜を形成し、導電膜を選択的にエッチングすることで
ゲート電極層106を形成する。次に、ゲート電極層106に接するように、ゲート絶縁
層108を形成する。次に、半導体層110を形成する。半導体層110はスパッタリン
グ法、プラズマCVD法等により成膜することができる。次に、導電膜をスパッタリング
法により形成する。この導電膜を選択的にエッチングして、ソース電極層112a及びド
レイン電極層112b、並びに導電層915を形成する(
図2(C))。
【0091】
次に、絶縁層114を、半導体層110、ソース電極層112a及びドレイン電極層1
12bと接するように形成する。次に平坦化層116を絶縁層114上に形成する(
図2
(D))。平坦化層116と絶縁層114には開口を設ける。これにより、トランジスタ
のソース電極層112a又はドレイン電極層112bと後に形成する第1電極層118を
電気的に接続できる。また、後に、導電層915と、異方性導電膜4519や、バンプ4
556、FPC4518等とを電気的に接続できる。
【0092】
次に、導電膜を形成し、導電膜を選択的にエッチングすることで第1電極層118を形
成する(
図2(E))。
【0093】
次に、隔壁124を、第1電極層118の端部を覆うように形成する。隔壁124は、
隣接する第1電極層118を電気的に絶縁する(
図2(F))。また、隔壁124は、そ
の上面に形成される膜が途切れないように、順テーパ形状を有していることが好ましい。
なお、順テーパ形状とは、下地となる層に他の層がなだらかな角度で厚みを増して接する
構成を言う。
【0094】
次に、蒸着法により有機化合物を含む層120を第1電極層118と隔壁124に接す
るように形成する(
図3(A))。有機化合物を含む層120に高分子材料を用いる場合
は、塗布法により形成することもできる。
【0095】
次に、有機化合物を含む層120に接するように、第2電極層122を形成する(
図3
(B))。第2電極層122は、蒸着法、又はスパッタリング法で形成することができる
。
【0096】
以上の工程により、トランジスタ150の上に、発光素子130を形成することができ
る。第1基板901上にトランジスタ150と発光素子130が形成された基板を、バッ
クプレーン基板1と呼ぶことにする。
【0097】
次に、支持基板700に吸着層600を形成する(
図4(A))。支持基板700とし
て、厚さが0.5mm以上1mm以下のガラスを用いることが好ましい。吸着層600は
、製造工程における加熱や化学処理に対する耐久性がある。吸着層600として使用する
接着材料は、白金系触媒を含んだシリコーン樹脂が好ましい。
【0098】
次に、吸着層600に接するように、第2基板902を貼り付ける(
図4(B))。支
持基板700に吸着層600を介して第2基板902を貼り付けた基板を対向基板2と呼
ぶ。支持基板700は、吸着層600により第2基板902と接着されている。なお、後
の工程で、支持基板700は、第2基板902から剥離することができる。
【0099】
次に、バックプレーン基板1と対向基板2を貼り付ける工程を行う。まず、対向基板2
の第2基板902の表面に、第1接着層171を塗る(
図4(C))。
【0100】
次に、第1接着層171を塗った面に、バックプレーン基板1の発光素子130等が設
けられた面を貼り合わせる(
図5(A)及び
図5(B))。
【0101】
第1接着層171が硬化したのち、第1基板901を剥離し(
図6(A))、第2接着
層172を用いて第3基板903を剥離層101(又はバッファ層103)に貼り付ける
(
図6(B))。
【0102】
第3基板903への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離
層101として、被剥離層と接する側に金属酸化膜を含む層を形成した場合は、当該金属
酸化膜を結晶化により脆弱化して、被剥離層を作製基板から剥離することができる。また
、耐熱性の高い作製基板と被剥離層の間に、剥離層として水素を含む非晶質珪素膜を形成
した場合はレーザ光の照射又はエッチングにより当該非晶質珪素膜を除去することで、被
剥離層を作製基板から剥離することができる。また、剥離層として、被剥離層と接する側
に金属酸化膜を含む層を形成し、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化し、さらに剥離層
の一部を溶液やNF
3、BrF
3、ClF
3等のフッ化ガスを用いたエッチングで除去し
た後、脆弱化された金属酸化膜において剥離することができる。さらには、剥離層101
として窒素、酸素や水素等を含む膜(例えば、水素を含む非晶質珪素膜、水素含有合金膜
、酸素含有合金膜など)を用い、剥離層にレーザ光を照射して剥離層101内に含有する
窒素、酸素や水素をガスとして放出させ被剥離層と基板との剥離を促進する方法を用いて
も良い。
【0103】
又は、被剥離層が形成された作製基板を機械的に削除又は溶液やNF
3、BrF
3、C
lF
3等のフッ化ガスによるエッチングで除去する方法等を用いることができる。この場
合、剥離層を設けなくとも良い。
【0104】
また、上記剥離方法を複数組み合わせることでより容易に転置工程を行うことができる
。つまり、レーザ光の照射、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチング、鋭いナイフや
メスなどによる機械的な削除を行い、剥離層と被剥離層とを剥離しやすい状態にしてから
、物理的な力(機械等による)によって剥離を行うこともできる。
【0105】
その他の剥離方法としては、剥離層101をタングステンで形成した場合は、アンモニ
ア水と過酸化水素水の混合溶液により剥離層101をエッチングしながら剥離を行うと良
い。
【0106】
上記の工程によりトランジスタ150と発光素子130を、第1基板901から軽量で
可撓性のある第3基板903に転置することができた。
【0107】
次に、支持基板700を上記発光装置から、剥離する(
図6(C))。剥離法は、例え
ば、支持基板700と第2基板902の間にある吸着層600に鋭利な刃物で切り込みを
いれ、第2基板902から支持基板700を剥離すればよい。
【0108】
本発明の一態様の発光装置の作製方法により、第2基板902と、第3基板903で発
光装置を作製することができる。第2基板902は、厚さが10μm以上500μm以下
のガラスであるので、発光装置の重量を軽くすることができる。また、第3基板903は
樹脂であるので、可撓性を有する発光装置を得ることができる。
【0109】
以下では、
図7(A)(B)の構成を適用する場合の作製方法を、
図4(D)を用いて
示す。
【0110】
第2基板902が吸着層600により支持基板700と接着している状態(
図4(B)
)で、以下の工程を行う。
【0111】
まず、第2基板902上に、導電層911及び導電層912を形成し、導電層911及び
導電層912を覆う絶縁層930を形成した後、絶縁層930に開口を設け、導電層91
2の一部を露出させる。そして、絶縁層930及び導電層912上に導電層920を形成
する。各構成については、先の説明を参酌することができる。
【0112】
次に、導電層920を覆うように絶縁層162をCVD法、スパッタリング法等で形成
する。次に、絶縁層162に接するようにパッシベーション層163を形成する。次に、
フォトリソグラフィー工程を用いて遮光膜164を形成する。次に、フォトリソグラフィ
ー工程を用いて、着色層166を形成する。次に、着色層166に接するように、オーバ
ーコート層168を形成する。オーバーコート層168により、着色層166中に含まれ
る色素の熱拡散を防止することができる。
【0113】
上記の工程により、第2基板902上に、タッチパネルやカラーフィルタ等を形成する
ことができる。
【0114】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1における半導体層に用いることのできる酸化物半導体
について詳細を説明する。
【0115】
上記酸化物半導体としては、例えばIn系金属酸化物、Zn系金属酸化物、In−Zn
系金属酸化物、又はIn−Ga−Zn系金属酸化物などを適用できる。また、上記In−
Ga−Zn系金属酸化物に含まれるGaの一部若しくは全部の代わりに他の金属元素を含
む金属酸化物を用いてもよい。
【0116】
上記他の金属元素としては、例えばガリウムよりも多くの酸素原子と結合が可能な金属
元素を用いればよく、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、ゲルマニウム、及び錫
のいずれか一つ又は複数の元素を用いればよい。また、上記他の金属元素としては、ラン
タン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、
テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及
びルテチウムのいずれか一つ又は複数の元素を用いればよい。これらの金属元素は、スタ
ビライザーとしての機能を有する。なお、これらの金属元素の添加量は、金属酸化物が半
導体として機能することが可能な量である。ガリウムよりも多くの酸素原子と結合が可能
な金属元素を用い、さらには金属酸化物中に酸素を供給することにより、金属酸化物中の
酸素欠陥を少なくできる。
【0117】
また、In:Ga:Zn=1:1:1の原子比である第1の酸化物半導体層、In:G
a:Zn=3:1:2の原子比である第2の酸化物半導体層、及びIn:Ga:Zn=1
:1:1の原子比である第3の酸化物半導体層の積層により、半導体層110を構成して
もよい。上記積層により半導体層110を構成することで、例えばトランジスタの電界効
果移動度を高めることができる。
【0118】
また、上記酸化物半導体を、C Axis Aligned Crystalline
Oxide Semiconductor(CAAC−OSともいう)としてもよい。
【0119】
CAAC−OSは、複数の結晶部を有する酸化物半導体の一つである。結晶部では、c
軸が酸化物半導体層の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃
い、且つab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状又は六角形状に配列し、c軸に
垂直な方向から見て金属原子が層状、又は金属原子と酸素原子が層状に配列している。な
お、本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれ
る。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれる。
【0120】
例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用いたスパッタリン
グ法によってCAAC−OSを形成できる。スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突
すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b
面に平行な面を有する平板状又はペレット状のスパッタリング粒子として剥離することが
ある。この場合、平板状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基板に到達す
ることにより、スパッタリング用ターゲットの結晶状態が基板に転写される。これにより
、CAAC−OSが形成される。
【0121】
また、CAAC−OSを形成するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0122】
例えば、不純物濃度を低減してCAAC−OSを形成することにより、不純物による酸
化物半導体の結晶状態の崩壊を抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物(水素、
水、二酸化炭素、及び窒素など)を低減することが好ましい。また、成膜ガス中の不純物
を低減することが好ましい。例えば、成膜ガスとして露点が−80℃以下、好ましくは−
100℃以下である成膜ガスを用いることが好ましい。
【0123】
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板付着後にスパッタリング粒子のマイ
グレーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下として成
膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平板状のスパッタリング粒子が基板に到
達した場合、基板上でマイグレーションし、平らな面を向けて基板に付着する。
【0124】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化して成膜時のプラズマダメージを軽
減させることが好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100
体積%とする。
【0125】
上記スパッタリング用ターゲットの一例として、In−Ga−Zn−O化合物ターゲッ
トについて以下に示す。
【0126】
InO
x粉末、GaO
y粉末、及びZnO
z粉末を所定の比率で混合し、加圧処理後、
1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることにより、多結晶であるIn−
Ga−Zn−O化合物ターゲットを形成する。なお、x、y、及びzは任意の正数である
。ここで、所定の比率は、例えば、InO
x粉末、GaO
y粉末、及びZnO
z粉末が、
2:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3又は3:1:2のmol
数比である。なお、粉末の種類、及びその混合する比率は、作製するスパッタリング用タ
ーゲットによって適宜変更すればよい。
【0127】
チャネル形成領域が上記CAAC−OSであるトランジスタは、可視光や紫外光の照射
による電気特性の変動が低いため、信頼性が高い。
【0128】
上記酸化物半導体を含むトランジスタは、バンドギャップが広いため熱励起によるリー
ク電流が少ない。さらに、正孔の有効質量が10以上と重く、トンネル障壁の高さが2.
8eV以上と高い。これにより、トンネル電流が少ない。さらに、半導体層中のキャリア
が極めて少ない。よって、オフ電流を低くできる。例えば、オフ電流は、室温(25℃)
でチャネル幅1μmあたり1×10
−19A(100zA)以下である。より好ましくは
1×10
−22A(100yA)以下である。トランジスタのオフ電流は、低ければ低い
ほどよいが、トランジスタのオフ電流の下限値は、約1×10
−30A/μmであると見
積もられる。
【0129】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可
能である。
【0130】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1における発光素子130に適用できる構成例について
詳細を説明する。
【0131】
図13(A)に示す発光素子130は、一対の電極(第1電極層118、第2電極層1
22)間に有機化合物を含む層120が挟まれた構造を有する。なお、以下の本実施の形
態の説明においては、例として、第1電極層118を陽極として用い、第2電極層122
を陰極として用いるものとする。
【0132】
また、有機化合物を含む層120は、少なくとも発光層を含んで形成されていればよく
、発光層以外の機能層を含む積層構造であっても良い。発光層以外の機能層としては、正
孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い
物質、バイポーラ性の物質(電子及び正孔の輸送性の高い物質)等を含む層を用いること
ができる。具体的には、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の機能層を
適宜組み合わせて用いることができる。有機化合物を含む層120には、低分子系化合物
及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいても良い。有機
化合物を含む層120を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法
、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0133】
図13(A)に示す発光素子130は、第1電極層118と第2電極層122との間に
生じた電位差により電流が流れ、有機化合物を含む層120において正孔と電子とが再結
合し、発光するものである。つまり有機化合物を含む層120に発光領域が形成されるよ
うな構成となっている。
【0134】
本発明において、発光素子130からの発光は、第1電極層118、又は第2電極層1
22側から外部に取り出される。従って、第1電極層118、又は第2電極層122のい
ずれか一方は透光性を有する物質で形成される。
【0135】
なお、有機化合物を含む層120は
図13(B)のように第1電極層118と第2電極
層122との間に複数積層されていても良い。n(nは2以上の自然数)層の積層構造を
有する場合には、m(mは自然数、mは1以上n−1以下)番目の有機化合物を含む層1
20と、(m+1)番目の有機化合物を含む層120との間には、それぞれ電荷発生層1
20aを設けることが好ましい。
【0136】
電荷発生層120aは、有機化合物と金属酸化物の複合材料、金属酸化物、有機化合物
とアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの化合物との複合材料の他、これらを適
宜組み合わせて形成することができる。有機化合物と金属酸化物の複合材料としては、例
えば、有機化合物と酸化バナジウムや酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物
を含む。有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水
素等の低分子化合物、又は、それらの低分子化合物のオリゴマー、デンドリマー、ポリマ
ー等など、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物としては、正孔輸送性
有機化合物として正孔移動度が10
−6cm
2/Vs以上であるものを適用することが好
ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いて
もよい。なお、電荷発生層120aに用いるこれらの材料は、キャリア注入性、キャリア
輸送性に優れているため、発光素子130の低電流駆動、及び低電圧駆動を実現すること
ができる。
【0137】
なお、電荷発生層120aは、有機化合物及び金属酸化物の複合材料と、他の材料とを
組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物及び金属酸化物の複合材料を含む層と
、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物及び電子輸送性の高い化合物を含む層とを
組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物及び金属酸化物の複合材料を含む層と、
透明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。
【0138】
このような構成を有する発光素子130は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こ
り難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子と
することが容易である。また、一方の発光層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容
易である。
【0139】
なお、電荷発生層120aとは、第1電極層118と第2電極層122に電圧を印加し
たときに、電荷発生層120aに接して形成される一方の有機化合物を含む層120に対
して正孔を注入する機能を有し、他方の有機化合物を含む層120に電子を注入する機能
を有する。
【0140】
図13(B)に示す発光素子130は、有機化合物を含む層120に用いる発光物質の
種類を変えることにより様々な発光色を得ることができる。また、発光物質として発光色
の異なる複数の発光物質を用いることにより、ブロードなスペクトルの発光や白色発光を
得ることもできる。
【0141】
図13(B)に示す発光素子130を用いて、白色発光を得る場合、複数のEL層の組
み合わせとしては、赤、青及び緑色の光を含んで白色に発光する構成としてもよく、例え
ば、青色の蛍光材料を発光物質として含む第1の発光層と、緑色と赤色の燐光材料を発光
物質として含む第2の発光層を有する構成が挙げられる。また、赤色の発光を示す第1の
発光層と、緑色の発光を示す第2の発光層と、青色の発光を示す第3の発光層とを有する
構成とすることもできる。又は、補色の関係にある光を発する発光層を有する構成であっ
ても白色発光が得られる。発光層が2層積層された積層型素子において、第1の発光層か
ら得られる発光の発光色と第2の発光層から得られる発光の発光色を補色の関係にする場
合、補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。
【0142】
なお、上述した積層型素子の構成において、積層される発光層の間に電荷発生層を配置
することにより、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素子を実現すること
ができる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一な
発光が可能となる。
【0143】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可
能である。