特許第6602907号(P6602907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6602907活性作用物質の送達のための生分解性脂質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602907
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】活性作用物質の送達のための生分解性脂質
(51)【国際特許分類】
   C07D 295/15 20060101AFI20191028BHJP
   C07D 295/088 20060101ALI20191028BHJP
   A61K 47/22 20060101ALN20191028BHJP
【FI】
   C07D295/15CSP
   C07D295/088
   !A61K47/22
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】189
(21)【出願番号】特願2018-39568(P2018-39568)
(22)【出願日】2018年3月6日
(62)【分割の表示】特願2014-546124(P2014-546124)の分割
【原出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2018-111707(P2018-111707A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/568,133
(32)【優先日】2011年12月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/623,274
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511112478
【氏名又は名称】アルニラム・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・メイアー
(72)【発明者】
【氏名】ムトゥサミー・ジャヤラマン
(72)【発明者】
【氏名】アキン・アキンク
(72)【発明者】
【氏名】松田 成夫
(72)【発明者】
【氏名】パチャムトゥ・カダサミ
(72)【発明者】
【氏名】カラントッタティル・ジー・ラジーヴ
(72)【発明者】
【氏名】ムティアー・マノハラン
【審査官】 安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/153493(WO,A2)
【文献】 特許第6305344(JP,B2)
【文献】 特開2018−087250(JP,A)
【文献】 特表2015−505838(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/141703(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/141704(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/141705(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/000106(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/000107(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/054401(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/136369(WO,A1)
【文献】 特表2009−501699(JP,A)
【文献】 特表2010−505873(JP,A)
【文献】 特開昭60−215693(JP,A)
【文献】 特開2007−230789(JP,A)
【文献】 国際公開第95/028146(WO,A1)
【文献】 特開平05−286824(JP,A)
【文献】 CHESNOY S,STRUCTURE AND FUNCTION OF LIPID-DNA COMPLEXES FOR GENE DELIVERY,ANNUAL REVIEW OF BIOPHYSICS AND BIOMOLECULAR STRUCTURE,米国,ANNUAL REVIEWS INC.,2000年 1月 1日,V29,P27-47
【文献】 Chemistry and Physics of Lipids,1986年,39,221-236
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物、又はその塩であって、式中
R’は存在せず;
及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒に任意選択で置換された複素環を形成し;
は、各存在において、独立して、−(CR)−であり、
及びRは、各存在において、独立して、Hであり
への前記点線は、存在せず
Qは−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−O−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−であり
は、各存在において、独立して、H又はC〜Cアルキルであり;
及びMは、それぞれ、独立して、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル)から選択される生分解性基であり;
は、各存在において、独立して、C〜Cアルキルであり;
aは、1、2、3、4、5又は6であり;
bは、0、1、2、又は3であり
及びLは、それぞれ、独立して、C〜Cアルキレン又はC〜Cアルケニレンであり;
X及びYは、それぞれ、独立して、C〜C20アルキレン又はC〜C20アルケニレンであり;並びに
及びZは、それぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、前記〜C14アルケニル基は、二重結合に隣接する炭素原子において1つ又は2つのフッ素原子で任意に置換されてもよく、前記炭素原子が、前記二重結合と前記又は末端との間にある、化合物、又はその塩。
【請求項2】

【化3】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物、又はその塩であって、式中
R’は存在せず;
及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒に任意選択で置換された複素環を形成し;
は、各存在において、独立して、−(CR)−であり、
及びRは、各存在において、独立して、Hであり
への前記点線は、存在せず;
Qは−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−O−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−であり
は、各存在において、独立して、H又はC〜Cアルキルであり;
及びMは、それぞれ、独立して、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル)から選択される生分解性基であり
は、1、2、3、4、5又は6であり;
bは、0、1、2、又は3であり;
及びLは、それぞれ、独立して、C〜Cアルキレン又はC〜Cアルケニレンであり;
X及びYは、それぞれ、独立して、アルキレン又はアルケニレンであり;並びに
Zは、各存在において、独立して、C〜Cアルキルである、化合物又はその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、双方ともに参照により本明細書に組み込まれている、2011年12月7日に出願された米国仮特許出願第61/568,133号明細書、及び2012年4月12日に出願された米国仮特許出願第61/623,274号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、生分解性脂質及び核酸などの活性作用物質の送達のためのそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0003】
治療用核酸としては、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、プラスミド、免疫刺激性核酸、アンチセンス、アンタゴmir、アンチmir、マイクロRNA模倣体、スーパーmir、U1アダプタ、及びアプタマーが挙げられる。siRNA又はmiRNAの場合、これら核酸は、RNA干渉(RNAi)と呼ばれるプロセスを通して、特定のタンパク質の細胞内レベルを下方制御することが可能である。siRNA及びmiRNA構築物が、標的タンパク質に対するあらゆるヌクレオチド配列で合成され得るために、RNAiの治療的用途は非常に広範である。現在までに、siRNA構築物は、インビトロ及びインビボモデルの双方で標的タンパク質を特異的に下方制御するための能力を示してきた。加えて、siRNA構築物は、臨床試験で現在評価を受けている。
【0004】
しかしながら、siRNA又はmiRNA構築物が現在直面している2つの問題は、第1に、血漿中のヌクレアーゼ消化に対するこれらの感受性であり、第2に、遊離siRNA又はmiRNAとして全身投与される場合、これらがタンパク質RISCに結合することができる場所である細胞内コンパートメントに到達するためのこれらの限定された能力である。コレステロール及びPEG脂質などの他の脂質、並びにオリゴヌクレオチド(siRNA及びmiRNAなど)を含むカチオン性脂質から形成される脂質ナノ粒子は、オリゴヌクレオチドの細胞内取込を容易にするために使用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オリゴヌクレオチドの送達のために、改善されたカチオン性脂質及び脂質ナノ粒子が望まれている。好ましくは、これら脂質ナノ粒子は、高い薬剤:脂質比を提供し、血清中の分解及びクリアランスから核酸を保護し、全身送達に好適であり、並びに核酸の細胞内送達を提供するであろう。加えて、これら脂質−核酸粒子は、核酸の有効量における患者の治療が患者に対する重大な毒性及び/又はリスクに関連しないように、忍容性が高く、適切な治療指数をもたらさねばならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、核酸−脂質粒子を形成するために好適なカチオン性脂質及びPEG脂質に関する。本発明のカチオン性脂質及びPEG脂質のそれぞれは、1つ以上の生分解性基を含む。この生分解性基は、カチオン性又はPEG脂質の脂質部分(例えば、疎水性鎖)内に位置する。これらカチオン性及びPEG脂質は、核酸(例えば、siRNA)などの活性作用物質を送達するために、脂質粒子に組み込まれることが可能である。生分解性基の脂質への組み込みは、標的領域への活性作用物質の送達後に、より迅速な代謝及び体内からの脂質の除去をもたらす。結果として、これら脂質は、生分解性基を有しない類似の脂質よりも低い毒性を有する。
【0007】
一実施形態において、このカチオン性脂質は、式(I)の化合物又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、生分解性基に隣接するアルファ位で(生分解性基と第三級炭素との間に)分岐アルキルを有する:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
R’は存在しないか、水素、又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)であり、
及びRについては、
(i)R及びRは、それぞれ、独立して、任意選択で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、複素環、又はR10であるか;
(ii)R及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒に任意選択で置換された複素環を形成するか;又は
(iii)R及びRの一方は、任意選択で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は複素環であり、他方は、(a)隣接する窒素原子及び(b)窒素原子に隣接する(R)基と共に4〜10員の複素環又はヘテロアリール(例えば、6員環)を形成し;
Rは、各存在において、独立して、−(CR)−であり;
及びRは、各存在において、独立して、H、ハロゲン、OH、アルキル、アルコキシ、−NH、R10、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノ(1つの好ましい実施形態においては、R及びRは、各存在において、独立してH又はC〜Cアルキルである)であり;
10は、各存在において、独立して、PEG及びポリ(オキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]及びポリ(アミノ酸)類に基づくポリマー類から選択され、ここで、
(i)PEG又はポリマーは、直鎖又は分岐鎖であり、(ii)PEG又はポリマーは、n個のサブユニットで重合され、(iii)nは、10〜200ユニットの数平均重合度であり、並びに(iv)式の化合物は最大で2個のR10基(好ましくは、最大で1個のR10基)を有し;
Qへの点線は、存在しないか又は結合であり;
Qへの点線が存在しない場合、Qは存在しないか又は−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−O−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−であり;又は
Qへの点線が結合である場合、(i)bは0であり、及び(ii)Q及びこれに隣接する第三級炭素(C)は、5〜10個の環原子を有する置換又は非置換の、一環式又は二環式複素環式基(例えば、複素環式基中のヘテロ原子は、O及びSから選択され、好ましくはOである)を形成し;
は、各存在において、独立して、H又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)であり;
X及びYは、それぞれ、独立して、アルキレン又はアルケニレン(例えば、C〜C20アルキレン又はC〜C20アルケニレン)であり;
及びMは、それぞれ、独立して、生分解性基(例えば、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
であり、
(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル))であり;
は、各存在において、独立して、C〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、又はn−ヘキシル)であり;
aは、1、2、3、4、5又は6であり;
bは、0、1、2、又は3であり;並びに
及びZは、それぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、このアルケニル基は、任意選択で、二重結合とZ又はZの末端との間にある、二重結合に対してアルファ位の1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよい(例えば、
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
)。
【0008】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0009】
一実施形態において、R及びRは、双方ともアルキル(例えば、メチル)である。
【0010】
他の実施形態において、aは3である。別の実施形態において、bは0である。
【0011】
他の実施形態において、aは3であり、bは0であり、並びにRは−CH−である。更に他の実施形態において、aは3であり、bは0であり、Rは−CH−であり、並びにQは−C(O)O−である。別の実施形態において、R及びRはメチルであり、aは3であり、bは0であり、Rは−CH−であり、並びにQは−C(O)O−である。
【0012】
別の実施形態において、X及びYは、それぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0013】
他の実施形態において、M及びMは、それぞれ、独立して、−OC(O)−又は−C(O)O−である。例えば、一実施形態において、M及びMは、それぞれ−C(O)O−である。
【0014】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、式(II)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、生分解性基に対してアルファ位で(生分解性基とテールの末端、すなわち、Z又はZとの間で)分岐アルキルを有する:
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
R’は存在しないか、水素、又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)であり、
及びRについては、
(i)R及びRは、それぞれ、独立して、任意選択で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルアルキル、複素環、又はR10であるか;
(ii)R及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒に任意選択で置換された複素環を形成するか;又は
(iii)R及びRの一方は、任意選択で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は複素環であり、他方は、(a)隣接する窒素原子及び(b)窒素原子に隣接する(R)基と共に4〜10員の複素環又はヘテロアリール(例えば、6員環)を形成し;
Rは、各存在において、独立して、−(CR)−であり、
及びRは、各存在において、独立して、H、ハロゲン、OH、アルキル、アルコキシ、−NH、R10、アルキルアミノ、又はジアルキルアミノ(1つの好ましい実施形態においては、R及びRのそれぞれは、独立してH又はC〜Cアルキルである)であり;
10は、各存在において、独立して、PEG及びポリ(オキサゾリン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ[N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド]及びポリ(アミノ酸)類に基づくポリマー類から選択され、ここで、
(i)PEG又はポリマーは、直鎖又は分岐鎖であり、(ii)PEG又はポリマーは、n個のサブユニットで重合され、(iii)nは、10〜200ユニットの数平均重合度であり、並びに(iv)式の化合物は最大で2個のR10基(好ましくは、最大で1個のR10基)を有し;
Qへの点線は、存在しないか又は結合であり;
Qへの点線が存在しない場合、Qは存在しないか又は−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−O−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−であり;又は
Qへの点線が結合である場合、(i)bは0であり、及び(ii)Q及びこれに隣接する第三級炭素(C)は、5〜10個の環原子を有する置換又は非置換の、一環式又は二環式複素環式基(例えば、複素環式基中のヘテロ原子は、O及びSから選択され、好ましくはOである)を形成し;
は、各存在において、独立して、H又はアルキルであり;
X及びYは、それぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜Cアルキレン)又はアルケニレンであり、このアルキレン又はアルケニレン基は、M又はM基に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されており(例えば、
【化5】
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であり);
及びMは、それぞれ、独立して、生分解性基(−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル))であり;
は、各存在において、独立して、C〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル)であり;
aは、1、2、3、4、5又は6であり;
bは、0、1、2、又は3であり;並びに
及びZは、それぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、(i)アルケニル基は、任意選択で、二重結合とZ又はZの末端との間にある、二重結合に対してアルファ位の1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよく(例えば、
【化7】
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であり)及び(ii)Z及びZの少なくとも1つの末端は、少なくとも8個の炭素原子でM又はMから離隔されている。
【0015】
別の実施形態において、X及びYは、それぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0016】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0017】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、式(III)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、生分解性基に隣接する2〜6個の炭素原子である位置で(すなわち、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)又はゼータ位(ζ))(生分解性基とテールの末端、すなわちZ又はZの間)分岐点を有する:
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、M、M、R、a、及びbは、式(I)のように定義され;
及びLはそれぞれ、独立して、C〜Cアルキレン又はC〜Cアルケニレンであり;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜C20アルキレン又はC〜Cアルキレン)又はアルケニレン(例えば、C〜C20アルケニレン)であり;並びに
及びZはそれぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、このアルケニル基は、二重結合とZ又はZとの間である二重結合に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されてもよく(例えば、
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
であり)、但し、Z及びZの少なくとも1つの末端は、少なくとも8個の炭素原子によって基M又はMから離隔されている。
【0018】
一実施形態において、L及びLはそれぞれ−CH−である。別の実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。一実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。更に別の実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。更に別の実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。更に別の実施形態において、L及びLはそれぞれ−CH−CH=CH−である。好ましい実施形態において、L及びLはそれぞれ−CH−又は−(CH−である。
【0019】
一実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0020】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0021】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、式(IIIA)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、生分解性基M及びMから2〜6個の炭素原子である位置で(すなわち、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)又はゼータ位(ζ))(すなわち、生分解性基とテールの末端、すなわちZ又はZの間)分岐点を有する。
【化10】
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式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、M、M、a、及びbは、式(I)のように定義され;
各Rは、独立してC〜Cアルキル(例えば、C〜Cアルキル又はC〜Cアルキル)であり;
及びLはそれぞれ、独立して、C〜Cアルキレン(例えば、C〜Cアルキレン)又はC〜Cアルケニレンであり;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜C20アルキレ又はC〜Cアルキレン)又はアルケニレン(例えば、C〜C20アルケニレン又はC〜Cアルケニレン)であり;並びに
及びZはそれぞれ、独立して、C〜Cアルキル(例えば、C、C又はCアルキルなどのC〜Cアルキル)又はC〜Cアルケニル(C〜Cアルケニルなど)であり;
カチオン性該脂質は、
【化11】
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から選択されるものではない。
【0022】
一実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。別の実施形態において、L及びLはそれぞれ−(CH−である。
【0023】
一実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、4〜12又は7〜9である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の例示的な実施形態において、X及びYは、−(CHである。
【0024】
1つの好ましい実施形態において、M及びMは−C(O)O−である(ここでM及びM中のカルボニル基は、可変基Xに結合し、M及びM中の酸素原子は可変基L及びLに結合する)。
【0025】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0026】
1つの好ましい実施形態において、Z及びZは、分岐鎖アルキル又は分岐鎖アルケニル基である。
【0027】
式(IIIA)の一実施形態において、Z、Z、及び各Rは、C〜Cアルキル(C〜Cアルキルなど)である。式(IIIA)の別の実施形態において、Z、Z、及び各Rは、C〜C分岐鎖アルキル(C〜C分岐鎖アルキルなど)である。式(IIIA)の更に別の実施形態において、Z、Z、及び各Rは、C〜C直鎖アルキル(C〜C直鎖アルキルなど)である。
【0028】
式(IIIA)の一実施形態において、分岐点は、各テール内の生分解性基M及びMから第2位(β位)にある。Z、Z、及び各Rは、C〜C分岐鎖アルキル(例えば、C〜C分岐鎖アルキル)又はC〜C直鎖アルキル(例えば、C〜C直鎖アルキル)などのC〜Cアルキル(例えば、C〜Cアルキル)である。1つの好ましい実施形態において、M及びMは−C(O)O−である(ここでM及びM中のカルボニル基は、可変基Xに結合し、M及びM中の酸素原子は可変基L及び/又はLに結合する)。
【0029】
式(IIIA)の一実施形態において、分岐点は、各テール内の生分解性基M及びMから第3位(γ位)にある。Z、Z、及び各Rは、C〜C分岐鎖アルキル(例えば、C〜C分岐鎖アルキル)又はC〜C直鎖アルキル(例えば、C〜C直鎖アルキル)などのC〜Cアルキル(例えば、C〜Cアルキル)である。1つの好ましい実施形態において、M及びMは−C(O)O−である(ここでM及びM中のカルボニル基は、可変基Xに結合し、M及びM中の酸素原子は可変基L及び/又はLに結合する)。
【0030】
式(IIIA)の一実施形態において、分岐点は、各テール内の生分解性基M及びMから第3位(γ位)にある。
【0031】
式(IIIA)の別の実施形態において、M及び/又はMは、−O(C(O)−ではない(ここでM及び/又はM中の酸素原子は、可変基Xに結合し、M及び/又はM中のカルボニルは可変基L及び/又はLに結合する)。式(IIIA)の更に別の実施形態において、Z、Z、及び各Rは、C〜C10シクロアルキル(C〜Cアルキル)ではない。
【0032】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、式(IV)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、生分解性基に隣接する2〜6個の炭素原子にある位置で(すなわち、ベータ(β)、ガンマ(γ)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)又はゼータ位(ζ))(生分解性基とテールの末端、すなわちZ又はZの間)分岐点を有する:
【化12】
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式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、M、M、R、a、及びbは、式(I)のように定義され;
及びLはそれぞれ、独立して、C〜Cアルキレン又はC〜Cアルケニレンであり;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン又はアルケニレン(例えば、C12〜C20アルキレン又はC12〜C20アルケニレン)であり;並びに
Zは、各存在において、独立して、C〜Cアルキル(好ましくは、メチル)である。
【0033】
例えば、一実施形態において、−L−C(Z)は、−CHC(CHである。別の実施形態において、−L−C(Z)は、−CHCHC(CHである。
【0034】
一実施形態において、各テール(例えば、−X−M−L−C(Z)又は−Y−M−L−C(Z))の総炭素含量は、約17〜約26である。例えば、総炭素含量は、約19〜約26又は約21〜約26である。
【0035】
別の実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。一実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0036】
一実施形態において、カチオン性脂質は、式(V)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、少なくとも1つのテールでアルコキシ又はチオアルコキシ(すなわち、−S−アルキル)基置換を有する:
【化13】
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式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、M、M、a、及びbは、式(I)のように定義され;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜Cアルキレン)又はアルケニレンであり、このアルキレン又はアルケニレン基は、M又はM基に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されていて(例えば、
【化14】
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であり);
及びZはそれぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、ここで(i)Z及びZの少なくとも1つのC〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルは、1つ以上のアルコキシ(例えば、−OCHなどのC〜Cアルコキシ)又はチオアルコキシ(−SCHなどのC〜Cチオアルコキシ)基で置換され、並びに(ii)このアルケニル基は、二重結合とZ又はZの末端との間にある二重結合に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されてもよい(例えば、
【化15】
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である)。
【0037】
一実施形態において、Z及び/又はZ上のアルコキシ置換は、M及び/又はM基からベータ位にある。
【0038】
別の実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0039】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0040】
一実施形態において、カチオン性脂質は、式(VIA)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、二重結合に対してアルファ又は生分解性基に対してアルファのいずれかである位置で少なくとも1つのテール上で1つ以上のフルオロ置換基を有する:
【化16】
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式中、
、R、R、a、及びbは、式(I)に関して定義された通りであり;
Qは、存在しないか、又は−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−O−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−であり;
R’は存在しないか、水素、又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)であり;並びに
及びR10のそれぞれは、独立して、(a)1つ以上の生分解性基を有する、並びに(b)(i)生分解性基に対してアルファであり、生分解性基と星印()をつけた第三級炭素原子との間の位置、又は(ii)炭素−炭素二重結合に対してアルファであり、二重結合とR又はR10基の末端との間の位置で、1つ以上のフッ素原子で任意選択で置換された、C12〜C24アルキル(例えば、C12〜C20アルキル)、C12〜C24アルケニル(例えば、C12〜C20アルケニル)、又はC12〜C24アルコキシ(例えば、C12〜C20アルコキシ)であり;各生分解性基は、独立してC12〜C24アルキル、アルケニル、又はアルコキシ基に割り込むか、又はC12〜C24アルキル、アルケニル、又はアルコキシ基の末端で置換されていて;
ここでは、
(i)R及びR10の少なくとも1つがフルオロ基を含有し;
(ii)この化合物は以下の部分を含有せず:
【化17】
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式中、――――は任意の結合であり;並びに
(iii)R及びR10の末端は、8個以上の原子(例えば、12個又は14個以上の原子)の鎖によって、星印()をつけた第三級炭素原子から離隔されている。
【0041】
1つの好ましい実施形態において、R及びR10の末端は、18〜22個の炭素原子(例えば、18〜20個の炭素原子)の鎖によって、星印()をつけた第三級炭素原子から離隔されている。
【0042】
別の実施形態において、R及び/又はR10の末端は、式−C(O)O−CFを有する。
【0043】
別の実施形態において、カチオン性脂質は、式(VIB)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、二重結合に対してアルファ又は生分解性基に対してアルファのいずれかである位置で少なくとも1つのテール上で1つ以上のフルオロ置換基を有する:
【化18】
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式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、M、M、a、及びbは、式(I)のように定義され;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜Cアルキレン)又はアルケニレンであり、このアルキレン又はアルケニレン基は、M又はM基に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されていて(例えば、
【化19】
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であり);
及びZはそれぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、ここで該C〜C14アルケニルは、二重結合に対してアルファ位で1つ以上のフッ素原子で任意選択で置換されていて(例えば、
【化20】
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であり)、
X、Y、Z、及びZの少なくとも1つは、フッ素原子を含有する。
【0044】
一実施形態において、Z及びZの少なくとも1つは、二重結合に対してアルファ又は生分解性基に対してアルファのいずれかである位置で2つのフルオロ基によって置換されている。一実施形態において、Z及びZの少なくとも1つは、生分解性基に対してアルファである位置で末端−CF基を有する(すなわち、Z及びZの少なくとも1つが−C(O)OCF基で終端する)。
【0045】
例えば、Z及びZの少なくとも1つは、以下の部分の1つ以上を含んでもよい。
【化21】
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【0046】
一実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0047】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0048】
一実施形態において、カチオン性脂質は、式(VII)の化合物、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、これは、少なくとも1つのテール内の生分解性基としてアセタール基を有する:
【化22】
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式中、
R’、R、R、R、R、R、R10、Q、R、a、及びbは、式(I)のように定義され;
X及びYはそれぞれ、独立して、アルキレン(例えば、C〜Cアルキレン)又はアルケニレンであり、このアルキレン又はアルケニレン基は、M又はM基に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されていて(例えば、
【化23】
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であり);
及びMはそれぞれ、独立して、生分解性基(例えば、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化24】
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であり、(式中、R11は、C〜C10アルキル又はC〜C10アルケニル))であり;
但し、M及びMの少なくとも1つは、
【化25】
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であり;並びに
及びZはそれぞれ、独立して、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、ここで、このアルケニル基は、二重結合とZ又はZの末端との間にある二重結合に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で任意選択で置換されてもよい(例えば、
【化26】
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である)。
【0049】
一実施形態において、M及びMのそれぞれは、
【化27】
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である。
【0050】
別の実施形態において、X及びYはそれぞれ、独立して、−(CH−であり、式中nは4〜20、例えば、4〜18、4〜16、又は4〜12である。一実施形態において、nは、4、5、6、7、8、9、又は10である。1つの例示的な実施形態において、X及びYは、−(CH−である。別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。更に別の実施形態において、X及びYは、−(CH−である。
【0051】
R’RN−(R)−Q−(R)−基は、以下の表1に示しているもの、及びそれらの塩を含める、本明細書に記載されているヘッド基のいずれかであり得る。1つの好ましい実施形態において、R’RN−(R)−Q−(R)−は、(CHN−(CH−C(O)O−、(CHN−(CH−NH−C(O)O−、(CHN−(CH−OC(O)−NH−、又は(CHN−(CH−C(CH)=N−O−である。
【0052】
別の実施形態において、本発明は、
(i)中心の炭素原子と、
(ii)中心炭素原子に直接結合した窒素含有ヘッド基と、
(iii)中心炭素原子に直接結合した2つの疎水性テール[各疎水性テールは、式−R−M−Rである{式中、RはC〜C14アルキル又はアルケニルであり、Mは生分解性基であり、並びにRは、分岐鎖アルキル又はアルケニル(例えば、C10〜C20アルキル又はC10〜C20アルケニル)であり、これによって、(i)−R−M−Rの鎖長さは最大で20個の原子であり(すなわち、中心炭素原子の後ろの最初の炭素原子からテールの末端までのテールの全長は最大で20である)、並びに(ii)基−R−M−Rは、少なくとも20個の炭素原子を有する(例えば、少なくとも21個の原子)を有する}]と、を有するカチオン性脂質又はその塩に関する。任意選択で、R中のアルキル又はアルケニル基は、M又はMに対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよい(例えば、
【化28】
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である)。更に、任意選択で、R中のアルケニル基は、二重結合とRの末端との間にある二重結合に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよい(例えば、
【化29】
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である)。
【0053】
一実施形態において、本発明のカチオン性脂質(式I〜VIIなどの)は、非対称疎水性基(すなわち、異なる化学式を有する2つの疎水性基)を有する。例えば、カチオン性脂質は式
【化30】
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を有するか、又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、
式中、
Gは、分岐した又は分岐していないC〜C15アルキル、アルケニル又はアルキニル(例えば、n−Cアルキル、n−Cアルキル、又はn−C10アルキル)であり;
12は、分岐した又は分岐していないアルキレン又はアルケニレン(例えば、C12〜C20アルキレン又はC12〜C20アルケニレンなどのC〜C20アルキレン又はC〜C20アルケニレン)であり;
は、生分解性基(例えば、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化31】
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であり(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル));
及びRは、式(I)のように定義され;
は、各存在において、独立して、H又はアルキル(例えばC〜Cアルキル)であり;
13は、分岐した又は分岐していないC〜C15アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
【化32】
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は約4〜約13、より好ましくは約5〜約8(例えば、約5〜約7、約5〜約6.5、約5.5〜約6.5、又は約6〜約6.5)のpKを有するプロトン化可能な基を含む。
【0054】
一実施形態において、第一級基は、(i)ヘッド基と、(ii)両疎水性テールが直接結合している中心部分(例えば、中心炭素原子)とを含む。代表的な中心部分としては、中心炭素原子、中心窒素原子、中心炭素環式基、中心アリール基、中心複素環式基(例えば、中心テトラヒドロフラニル基又は中心ピロリジニル基)及び中心ヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
代表的な
【化33】
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は、限定されないが、
【化34】
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が挙げられ;式中、nは0〜6である。
【0056】
代表的な非対称カチオン性脂質としては、
【化35】
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が挙げられ、式中、wは0、1、2、又は3であり;並びにx及びyは、それぞれ独立して、1、2、3、4、5、6、又は7である。
【0057】
前述の生分解性カチオン性脂質の好ましい実施形態において、生分解性カチオン性脂質は、少なくとも10.1のlogP値(Slovensky Grob、スロバキア共和国のMolinspiration Cheminformaticsからhttp://www.molinspiration.com/services/logp.htmlで入手可能なソフトウェアによって計算された)を有する。より好ましくは、このlogP値は、少なくとも10.2又は10.3である。
【0058】
前述の生分解性カチオン性脂質の別の好ましい実施形態において、脂質ナノ粒子中の生分解性カチオン性脂質は、少なくとも1.4のこれ以降tlipid−tcholと呼ばれる、HPLC保持時間(脂質ナノ粒子中のコレステロールの保持時間と対比した)を有する。(HPLCパラメータは、以下の実施例で提供されている。特に断らない限り、脂質ナノ粒子の配合組成は、実施例31に記載されているものである)。より好ましくは、tlipid−tchol値は、少なくとも1.75、2.0、又は2.25である。
【0059】
別の実施形態において、本発明の生分解性カチオン性脂質は、
【化36】
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【化37】
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(式中、m及びnは整数であり、並びにm+n=13である)
【化38】
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(式中、m及びnは整数であり、並びにm+n=13である)
【化39】
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(式中、m及びnは整数であり、並びにm+n=13である)
【化40】
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(式中、m及びnは整数であり、並びにm+n=13である)
から選択されるものではない。
【0060】
更に別の実施形態において、この生分解性カチオン性脂質は、双方ともに参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2011/153493号パンフレット及び米国特許出願公開第2012/0027803号明細書で開示されているものから選択されるものではない。
【0061】
更に別の実施形態は、(i)少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholと、(2)カチオン性脂質の脂質部分(例えば、疎水性鎖)の中間又は遠位セクションで位置する1つ以上の生分解性基(エステル基など)とを有する生分解性カチオン性脂質であり、但し、この化合物は、
【化41】
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から選択されない。
【0062】
別の実施形態において、生分解性脂質は、双方ともに参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2011/153493号パンフレット及び米国特許出願公開第2012/0027803号明細書で開示されているものから選択されない。カチオン性脂質への生分解性基の組み込みは、標的領域への活性医薬成分の送達後に、カチオン性脂質のより迅速な代謝及び体内からの除去をもたらす。好ましい実施形態において、カチオン性脂質は、その生分解性基中に分岐鎖アルキル又は分岐鎖アルケニル基を含む。別の好ましい実施形態において、このカチオン性脂質は、少なくとも10.2又は10.3のlogPを有する。更に別の好ましい実施形態において、このカチオン性脂質は、少なくとも1.75、2.0、又は2.25のtlipid−tcholを有する。このカチオン性脂質は、約4〜約7(6.0〜6.5など)のpKaを有する。
【0063】
一実施形態において、少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholを有するカチオン性脂質は、(a)ヘッド基(好ましくは、本明細書に記載されているヘッド基などの窒素含有ヘッド基)と、(b)それぞれが式−(疎水性鎖)−(生分解性基)−(疎水性鎖)である、少なくとも2つの疎水性テールと、(c)ヘッド基及び疎水性テールに結合するリンカー基(例えば、単一の中心炭素原子)と、を含む。このカチオン性脂質は、以下に列挙された特性の1つ、2つ、3つ、4つ又はそれ以上を有することが好ましい:
(i)約4〜約7(6.0〜6.5など)のpKaを有すること;
(ii)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)において、この生分解性基が約6〜約12個の炭素原子(例えば、6〜8個の炭素原子又は8〜12個の炭素原子)によって、疎水性テールの末端から離隔されていること;
(iii)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、リンカー基から疎水性テールの末端までの鎖長さは、最大で21(例えば、最大で20、約17〜約21、約18〜約20、又は約16〜約18)であること(鎖長さを計算する場合、リンカー基中の原子はカウントされない);
(iv)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、疎水性テール中の炭素原子の総数が、約17〜約26個(約19〜約26個、又は約21〜約26個など)であること;
(v)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、リンカー基と生分解性基との間の炭素原子の数が、約5〜約10個(例えば、6〜10個、又は7〜9個)に及ぶこと;
(vi)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、リンカー基と疎水性テールの末端との間の炭素原子の総数が、約15〜約20個(16〜20個、16〜18個、又は18〜20個など)であること;
(vii)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、生分解性基と疎水性テールの末端との間の炭素原子の総数が、約12〜約18個(13〜25個など)であること;
(viii)少なくとも1つの疎水性テール(及び好ましくは全ての疎水性テール)について、疎水性テール中の末端疎水性鎖が、例えば、分岐が、生分解性基に対して疎水性鎖上のα、β、γ、又はδ位で発生する、分岐鎖アルキル又はアルケニル基であること;
(ix)脂質ナノ粒子として製剤化される場合(実施例35など)、カチオン性脂質が、約3時間未満(約2.5時間未満、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満、約0.5時間未満又は約0.25時間未満など、の肝臓内のインビボ半減期(t1/2)を有すること;
(x)脂質ナノ粒子として製剤化される場合(実施例35など)、カチオン性脂質が、投与後最初の24時間以内でCmaxに対する脂質レベルにおいて10倍を超える低下を伴い、マウスの肝臓から排除されること;
(xi)脂質ナノ粒子として製剤化される場合(実施例35など)、カチオン性脂質が、投与後最初の168時間以内でCmaxに対する脂質レベルにおいて10倍又はそれを超える低下を伴い、マウスの脾臓から排除されること;並びに
(xii)脂質ナノ粒子として製剤化される場合(実施例35など)、カチオン性脂質が、48時間以下の齧歯類又は非ヒト霊長類における終末相の血漿半減期(t1/2β)を伴い、血漿から排除されること。
【0064】
本発明は、前述の特性のいくつかの組み合わせ又は全てを有する化合物を具体化する。これら特性は、核酸などの活性作用物質の送達までそのまま残され、その後、疎水性テールの切断がインビボで生じる、カチオン性脂質を提供する。例えば、この化合物は、(logP又はtlipid−tchol値に加えて)特性(i)から(viii)全てを有することが可能である。別の実施形態において、この化合物は、特性(i)、(ii)、(iii)、及び(viii)を有する。更に別の実施形態において、この化合物は、特性(i)、(ii)、(iii)、(v)、(vi)、及び(viii)を有する。
【0065】
別の実施形態は、カチオン性脂質を調製する方法であり、方法は:
(a)少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholを有し、任意選択で、上記リストからの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特性(すなわち、特性(i)〜(xii))も有するカチオン性脂質を設計する工程と;
(b)工程(a)のカチオン性脂質を合成する工程と、を含む。工程(a)におけるカチオン性脂質は、(a)ヘッド基(好ましくは、本明細書に記載されているヘッド基などの窒素含有ヘッド基)と、(b)それぞれが式−(疎水性鎖)−(生分解性基)−(疎水性鎖)である、少なくとも2つの疎水性テールと、(c)ヘッド基及び疎水性テールに結合するリンカー基(例えば、単一の中心炭素原子)と、を含むことが可能である。工程(a)は:
(a)(i)少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholを有し、任意選択で、上記リストからの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特性(すなわち、特性(i)〜(xii))も有する1つ以上のカチオン性脂質を調製する工程と;
(a)(ii)このカチオン性脂質をスクリーニングし、脂質ナノ粒子中のこれらの効力及び/又は毒性を決定する工程と;
(a)(iii)合成のためにカチオン性脂質を選択する工程と、を含んでもよい。
【0066】
更に別の実施形態は、カチオン性脂質を設計する方法であり、方法は:
(a)少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholを有し、任意選択で、上記リストからの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特性(すなわち、特性(i)〜(xii))も有するカチオン性脂質を選択する工程と;
(b)任意選択で、
(i)少なくとも10.1のlogP値及び/又は少なくとも1.4のtlipid−tcholを有し、任意選択で、上記リストからの1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の特性(すなわち、特性(i)〜(xii))も有する1つ以上のカチオン性脂質を調製する工程と;
(ii)このカチオン性脂質をスクリーニングし、脂質ナノ粒子中のこれらの効力及び/又は毒性を決定する工程と;
(iii)任意選択で、更なる開発又は使用のために、カチオン性脂質を選択する工程と、を含む。
【0067】
一実施形態において、PEG脂質は、式
【化42】
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を有する:
式中、
は、分岐された又は分岐されていないC〜C15アルキル、アルケニル又はアルキニル(例えば、n−Cアルキル、n−Cアルキル、又はn−C10アルキル)であり;又はGは−R12−M−R13であり;
12は、分岐された又は分岐されていないアルキレン又はアルケニレン(例えば、C12〜C20アルキレン又はC12〜C20アルケニレンなどのC〜C20アルキレン又はC〜C20アルケニレン)であり;
は、生分解性基(例えば、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化43】
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(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル))であり;
及びRは、式(I)のように定義され;
それぞれのRは、独立して、H又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)であり、
13は、分岐された又は分岐されていないC〜C15アルキル、アルケニル又はアルキニルであり;
【化44】
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は、
【化45】
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の部分などのPEG部分を含み、式中bは10〜1,000の整数(例えば、5〜100、10〜60、15〜50、又は20〜45)であり;Rは−H、−R、又は−ORであり;Rは、−H、アルキル、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。
【0068】
一実施形態において、このペグ化第一級基は、(i)PEG部分を有するヘッド基と、(ii)そこに両疎水性テールが直接結合している中心部分(例えば、中心炭素原子)とを含有する。代表的な中心部分としては、中心炭素原子、中心窒素原子、中心炭素環式基、中心アリール基、中心複素環式基(例えば、中心テトラヒドロフラニル基又は中心ピロリジニル基)及び中心ヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
代表的な
【化46】
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としては、限定されないが、
【化47】
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(式中、bは10〜100(例えば、20〜50又は40〜50))が挙げられる。
【0070】
本発明の別の実施形態は、
(i)PEG部分(例えば、エトキシ単位などの10〜1000の繰り返し単位を有する)を含むヘッド基を含んでいるペグ化第一級基と、
(iii)ペグ化第一級基に直接結合した1つ以上の疎水性テール(好ましくは、2つの疎水性テール)(ここで、少なくとも1つの疎水性テールは、式−R−M−Rであり(式中、RはC〜C14アルキル又はアルケニルであり、Mは生分解性基であり、並びにRは、分岐鎖アルキル又はアルケニル(例えば、C10〜C20アルキル又はC10〜C20アルケニル)であり)、これによって、(i)−R−M−Rの鎖長さは最大で20個の原子であり(すなわち、中心炭素原子の後ろの最初の炭素原子からテールの末端までのテールの全長は最大で20である)、並びに(ii)基−R−M−Rは、少なくとも20個の炭素原子(例えば、少なくとも21個の原子)を有する)と、を有するPEG脂質(又はその塩)である。任意選択で、R中のアルキル又はアルケニル基は、M又はM基に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよい(例えば、
【化48】
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である)。更に、任意選択で、R中のアルケニル基は、二重結合とRの末端との間にある二重結合に対してアルファ位で1つ又は2つのフッ素原子で置換されてもよい(例えば、
【化49】
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である)。一実施形態において、ペグ化第一級基は、(i)PEG部分を有するヘッド基と、(ii)そこに疎水性テールが直接結合している中心部分(例えば、中心炭素原子)と、を含有する。このPEG部分は、5〜100、10〜60、15〜50、又は20〜45の繰り返し単位を有することが可能である。例えば、PEG部分は、式
【化50】
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の部分を有することが可能であり、式中bは10〜1,000の整数(例えば、5〜100、10〜60、15〜50、又は20〜45)であり;Rは−H、−R、又は−ORであり;Rは、−H、アルキル(例えば、C〜Cアルキル)、アシル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。
【0071】
更に別の実施形態は、本発明のカチオン性脂質及び/又はPEG脂質を含有する脂質粒子である。一実施形態において、この脂質粒子は、本発明のカチオン性脂質(例えば、式(I)〜(VIII)の1つの)を含有する。別の実施形態において、この脂質粒子は、本発明のPEG脂質(例えば、式(IX)の)を含有する。更に別の実施形態において、この脂質粒子は、本発明のカチオン性脂質及び本発明のPEG脂質を含有する。
【0072】
好ましい実施形態において、この脂質粒子は、中性脂質、凝集を低減することが可能な脂質、カチオン性脂質、及び任意選択で、ステロール(例えば、コレステロール)を含む。好適な中性脂質としては、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、POPC、DOPE、及びSMが挙げられるが、これらに限定されない。好適な凝集を低減することが可能な脂質としては、PEG−DMA、PEG−DMG、及び本発明のもの(例えば、式(IX)の)などのPEG脂質、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
脂質粒子は、活性作用物質(例えば、治療薬)を更に含有する。活性作用物質は、プラスミド、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、アンタゴmir、アプタマー、又はリボザイムなどの核酸であり得る。好ましい実施形態において、この核酸はsiRNAである。別の好ましい実施形態において、この核酸は、miRNAである。
【0074】
別の実施形態において、脂質粒子は、本発明のカチオン性脂質、中性脂質、及びステロールを含有する。この脂質粒子は、核酸(例えば、siRNA又はmiRNA)などの活性作用物質を更に含有する。
【0075】
本発明の更に別の実施形態において、脂質粒子は、本発明のPEG脂質、カチオン性脂質、中性脂質及びステロールを含有する。この脂質粒子は、核酸(例えば、siRNA又はmiRNA)などの活性作用物質を更に含有する。
【0076】
本明細書に記載されているこの脂質粒子は、脂質ナノ粒子であり得る。
【0077】
本発明の更に別の実施形態は、本発明の脂質粒子及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物である。
【0078】
一実施形態において、このカチオン性脂質は、核酸分子の送達までそのまま残り、その後、インビボで疎水性テールの切断が生じる。
【0079】
別の実施形態において、このPEG脂質は、核酸分子の送達までそのまま残り、その後、インビボで疎水性テールの切断が生じる。
【0080】
別の実施形態において、本発明は、核酸分子を送達させる方法に関し、方法は、(i)核酸分子と、(ii)本発明のカチオン性脂質及び/又はPEG脂質とを含む核酸脂質粒子を投与する工程を含む。一実施形態において、このカチオン性脂質及び/又はPEG脂質は、核酸分子の送達までそのまま残り、その後、インビボで疎水性テールの切断が生じる。
【0081】
更に別の態様は、本発明の脂質粒子を細胞に供給することによる細胞中の標的遺伝子の発現を調整する方法である。活性化作用物質は、プラスミド、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、マイクロRNA、アンタゴmir、アプタマー、及びリボザイムから選択される核酸であり得る。好ましい実施形態において、この核酸は、siRNA又はmiRNAである。
【0082】
更に別の態様は、本発明の医薬組成物を対象に供給することによる、ポリペプチドの過発現に特徴がある疾患又は障害を治療する方法であり、活性作用物質は、siRNA、マイクロRNA、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドから選択される核酸であり、このsiRNA、マイクロRNA、又はアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ポリペプチドをコード化するポリヌクレオチドに特異的に結合するポリヌクレオチド、又はその相補体を含む。好ましい実施形態において、この核酸はsiRNA又はmiRNAである。
【0083】
更に別の態様は、本発明の医薬組成物を対象に供給することによる、ポリペプチドの過小発現に特徴がある疾患又は障害を治療する方法であり、活性作用物質は、ポリペプチド又はその機能的変異体若しくは断片をコードするプラスミドである。
【0084】
更に別の態様は、本発明の医薬組成物を対象に供給することによる対象において免疫応答を誘導する方法であり、活性作用物質は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドである。
【0085】
更に別の態様は、上記記載の組成物又は脂質粒子を含むトランスフェクション試薬であり、この組成物又は脂質粒子は、核酸を含む。細胞と接触する場合、この試薬は、核酸を効率的に細胞に送達させる。更に別の態様は、上記記載の組成物又は脂質粒子を獲得又は形成し、この組成物又は脂質粒子を細胞に接触させることによる、細胞内部に核酸を送達させる方法である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
一態様において、本発明は、中性脂質、凝集を低減させることが可能な脂質(例えば、PEG脂質)、カチオン性脂質、及び任意選択でステロールを含有する脂質粒子に関する。特定の実施形態において、この脂質粒子は、活性作用物質(例えば、治療薬)を更に含有する。これら脂質、脂質粒子及びそれを含む組成物の様々な例示的な実施形態、並びに治療薬を送達し、遺伝子及びタンパク質発現を調節するためのこれらの用途が、以下に更に詳細に説明される。
【0087】
カチオン性脂質
一実施形態において、カチオン性脂質は、式I〜VIIIのいずれか1つの化合物である。以下の開示は、式I〜VIIIの化合物を含める、上記記載の化合物の様々な実施形態を説明する。
【0088】
一実施形態において、M及びMはそれぞれ、独立して:
−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、−OC(O)(CR)C(O)−、又は
【化51】
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である(式中、R11は、C〜Cアルキル又はアルケニル)。
【0089】
別の実施形態において、M及びMはそれぞれ、独立して:
−OC(O)−、−C(O)O−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−O−C(O)O−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、又は−OC(O)(CR)C(O)−である。
【0090】
更に別の実施形態において、M及びMはそれぞれ、独立して:
−C(O)−O−、−OC(O)−、−C(R)=N−、−C(R)=N−O−、−O−C(O)O−、−C(O)N(R)−、−C(O)S−、−C(S)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、又は−OC(O)(CR)C(O)−である。
【0091】
別の実施形態において、M及びMはそれぞれ−C(O)O−である。
【0092】
一実施形態において、R及びRはそれぞれ、独立して、任意選択で置換されたアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、又は複素環である。一実施形態において、Rはアルキルであり、Rは、アルキル、シクロアルキル又はシクロアルキルアルキルである。一実施形態において、R及びRはそれぞれ、独立して、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はイソプロピルなどのC〜Cアルキル)である。一実施形態において、R及びRは、双方ともメチルである。別の実施形態において、R及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒に任意選択で置換された複素環(例えば、N−メチルピぺラジニル)を形成する。別の実施形態において、R及びRの1つは、
【化52】
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である(例えば、Rは2つの前述の基の1つであり、Rは水素である)。
【0093】
一実施形態において、R’は水素又はアルキルである。別の実施形態において、R’は水素又はメチルである。一実施形態において、R’は存在しない。一実施形態において、R’は存在しないか又はメチルである。
【0094】
正電荷を運ぶ原子(例えば、窒素原子)を含有するカチオン性脂質化合物については、この化合物は負に帯電した対イオンも含有する。この対イオンは、有機又は無機アニオンなどの任意のアニオンであり得る。アニオンの好適な例としては、トシレート、メタンスルホネート、アセテート、シトレート、マロネート、タータレート、スクシネート、ベンゾエート、アスコルベート、α−ケトグルタレート、α−グリセロホスフェート、ハライド(例えば、クロリド)、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、及び炭酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、この対イオンはハライド(例えば、Cl)である。
【0095】
一実施形態において、各Rは、独立して、−(CR)−であり、式中、R及びRはそれぞれ、独立して、H又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)である。例えば、一実施形態において、各Rは、独立して−(CHR)−であり、式中各Rは、独立して、H又はアルキル(例えば、C〜Cアルキル)である。別の実施形態において、各Rは、独立して、−CH−、−C(CH−又は−CH(iPr)−である(式中、iPrはイソプロピルである)。別の実施形態において、各Rは、−CH−である。
【0096】
別の実施形態において、Rは、それぞれの場合で、水素又はメチルである。例えば、Rは、それぞれの場合、水素であり得る。
【0097】
一実施形態において、Qは存在しないか、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−S−S−、−OC(O)O−、−C(R)=N−O−、−OC(O)N(R)−、−N(R)C(O)N(R)−、−N(R)C(O)O−、−C(O)S−、−C(S)O−又は−C(R)=N−O−C(O)−である。一実施形態において、Qは−C(O)O−である。
【0098】
一実施形態において、Qへの点線は存在せず、bは0であり、並びにR’RN−(R)−Q−及びこれに隣接する第三級炭素(C)は以下の基を形成する:
【化53】
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式中、nは1〜4(例えば、nは2)である。
【0099】
一実施形態において、Qへの点線は存在せず、bは0であり、並びにR’RN−(R)−Q−及びこれに隣接する第三級炭素は以下の基を形成する:
【化54】
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式中、nは1〜4(例えば、nは2)であり、並びにR、R、R、a、及びbは、式(I)に関して定義された通りである。一実施形態において、aは3である。
【0100】
一実施形態において、Qへの点線は存在せず、bは0であり、並びにR’RN−(R)−Q−及びこれに隣接する第三級炭素は以下の基を形成する:
【化55】
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式中、nは1〜4(例えば、nは2)であり、並びにR、R、R、a、及びbは、式(I)に関して定義された通りである。一実施形態において、aは0である。例えば、この基は:
【化56】
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であり得る。
【0101】
一実施形態において、bは0である。別の実施形態において、aは2、3、又は4であり、並びにbは0である。例えば、一実施形態において、aは3であり並びにbは0である。別の実施形態において、aは3であり、bは0であり、並びにQは−C(O)O−である。
【0102】
特定の実施形態において、カチオン性脂質中に存在する生分解性基は、エステル(例えば、−C(O)O−、又は−OC(O)−)、ジスルフィド(−S−S−)、オキシム(例えば、−C(H)=N−O−又は−O−N=C(H)−)、−C(O)−O−、−OC(O)−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−O−C(O)O−、−C(O)N(R)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、(NR)C(S)−、−N(R)C(O)N(R)−、−C(O)S−、−SC(O)−、−C(S)O−、−OC(S)−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、又は−OC(O)(CR)C(O)−から選択される。
【0103】
本発明のカチオン性脂質(式I〜VIの化合物を含める)に好適なコレステロール部分は、式
【化57】
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を有する。
【0104】
更なる実施形態は、ヘッド基、1つ以上の疎水性テール、及びヘッド基と1つ以上のテールとの間の中心部分を有するカチオン性脂質を含む。このヘッド基は、アミン、例えば、所望のpKを有するアミンを含むことができる。このpKは、脂質の構造、特にヘッド基の性質{例えば、アニオン性官能基、水素結合供与体官能基、水素結合受容体基、疎水性基(例えば、脂肪族基)、親水性基(例えば、ヒドロキシル又はメトキシ)、又はアリール基などの官能基の存在、不在、及び場所}によって影響を受ける可能性がある。ヘッド基のアミンは、カチオン性アミン;第一級、第二級、又は第三級アミンであり得;ヘッド基は、1つのアミン基(モノアミン)、2つのアミン基(ジアミン)、3つのアミン基(トリアミン)、又はオリゴアミン又はポリアミンにおけるような多数のアミン基を含むことができる。ヘッド基は、例えば、イミダゾール、ピリジン、又はグアニジニウム基などのアミンよりも塩基性が強くない官能基を含むことが可能である。ヘッド基は、双性イオン性であり得る。その他のヘッド基も同様に適切である。
【0105】
代表的な中心部分としては、中心炭素原子、中心窒素原子、中心炭素環式原子、中心アリール基、中心複素環式基(例えば、中心テトラヒドロフラニル基又は中心ピロリジニル基)及び中心ヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。更に、中心部分としては、例えば、グルセリドリンカー、非環式グリセリド類似体リンカー、又は環式リンカー(スピロリンカー、二環式リンカー、及び多環式リンカーを含める)を挙げることができる。中心部分は、エーテル、エステル、ホスフェート、ホスホネート、ホスホロチオエート、スルホネート、ジスルフィド、アセタール、ケタール、イミン、ヒドラゾン、又はオキシムなどの官能基を含むことができる。他の中心部分及び官能基も同様に適切である。
【0106】
一実施形態において、カチオン性脂質は、ラセミ混合物である。別の実施形態において、このカチオン性脂質は、1つのジアステレオマーで富化され、例えば、このカチオン性脂質は、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%又は少なくとも70%のジアステレオマー過剰を有する。更に別の実施形態において、このカチオン性脂質は、1つのエナンチオマーで富化され、例えば、この脂質は少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも80%又は少なくとも70%のエナンチオマー過剰を有する。更に別の実施形態において、このカチオン性脂質は、キラル純粋であり、例えば、単一の光学異性体である。更に別の実施形態において、このカチオン性脂質は、1つの光学異性体に対して富化されている。
【0107】
二重結合が存在する場合(例えば、炭素−炭素二重結合又は単素−窒素二重結合)、二重結合の周りの配置において異性が存在し得る(すなわち、シス/トランス又はE/Z異性)。二重結合の配置が化学構造内で示される場合、対応する異性体がまた存在し得ることが理解される。存在する異性体の量は、異性体の相対的安定性及び異性体間を変換するために要するエネルギーに応じて様々であり得る。したがって、実際上では、一部の二重結合は、単一の配置のみで存在し、一方その他のもの(例えば、相対的安定性が類似していて、変換のエネルギーが低い場合)は、分離不能な配置の平衡混合物として存在することがある。
【0108】
場合によっては、二重結合不飽和が、環式不飽和によって置き換えられる。環式不飽和は、脂環式不飽和、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチル基であり得る。場合によっては、この環式基は、多環式基、例えば、二環式基又は三環式基であり得る。二環式基は架橋され、融合され、又はスピロ構造を有することが可能である。場合によっては、二重結合部分は、シクロプロピル部分、例えば、
【化58】
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で置き換えられることも、
【化59】
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で置き換えられることも可能である。
【0109】
カチオン性脂質は、1つ以上の生分解性基を含む。この生分解性基は、生物学的環境内で、例えば、生物体、器官、組織、細胞、又は細胞器官内で結合破壊反応を受けることが可能である1つ以上の結合を含有する。生分解性結合を含有する官能基としては、例えば、エステル、ジチオール、及びオキシムが挙げられる。生分解は、対象に投与される場合、体内からの化合物のクリアランスに影響を及ぼす因子であり得る。生分解は、細胞ベースアッセイで測定することが可能であり、ここではカチオン性脂質を含んでいる製剤が細胞に曝され、試料が様々な時点で採取される。脂質フラクションが、細胞から抽出され、分離され、LC−MSによって分析されることが可能である。LC−MSデータから、生分解の速度(例えば、t1/2値として)が測定され得る。
【0110】
例えば、化合物
【化60】
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は、各脂肪族鎖中にエステル結合を含み、これは、例えばリパーゼ又はエステラーゼなどに曝される場合、生物学的環境において加水分解を受けることが可能である。化合物の構造ももちろん、化合物が生分解を受ける速度に影響を及ぼす。したがって、
【化61】
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などの、メチル置換基が生分解性基のもう一方の側にある化合物は、生分解の異なる速度を呈することが予想される。この速度に及ぼすより大きな効果は、加水分解の部位での化合物の構造における変化から予想されると考えられる。加水分解の速度に影響を及ぼし得る1つの修正、これによって生分解及び対象の体内からのクリアランスの速度に影響を与える1つの修正は、加水分解反応の解離基に、第一級アルコールよりはむしろ第二級アルコールを有するようにさせることである。
【0111】
例えば、理論によって束縛されようとするものではないが、上記で示した化合物1は、以下のスキームに示したように代謝され得る。
【化62】
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【0112】
一実施形態において、本明細書に記載されているいずれかの実施形態のカチオン性脂質は、約3時間未満(約2.5時間未満、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満、約0.5時間未満又は約0.25時間未満など)のインビボ半減期(t1/2)(例えば、肝臓、脾臓又は血漿における)を有する。このカチオン性脂質は、好ましくは、所望の活性医薬成分(例えば、核酸)をその標的に効率的に送達する安定な脂質ナノ粒子を形成するのに十分であるよう、そのままで残り、又は半減期を有するが、その後迅速に分解し、対象への副作用を最小限に抑える。例えば、マウスにおいて、このカチオン性脂質は、脾臓中で、約1〜約7時間のt1/2を有することが好ましい。
【0113】
別の実施形態において、1つ又は複数の生分解性基を含有している、本明細書に記載されているいずれかの実施形態のカチオン性脂質は、1つ又は複数の生分解性基を含まない類似のカチオン性脂質に関するものの約10%未満(例えば、約7.5%未満、約5%未満、約2.5%未満)のインビボ半減期(t1/2)(例えば、肝臓、脾臓又は血漿における)を有する。
【0114】
いくつかのカチオン性脂質は、中心部分(炭素原子など)を介してヘッド基と組み合された疎水性基として便宜上表わされ得る。例として、化合物
【化63】
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は、以下のように、ヘッド基、中心部分、及び2つの疎水性基の組み合わせとしても考えられ得る。
【化64】
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【0115】
本発明は、(中心部分(中心炭素原子など)と組み合わせて)以下に列挙されたヘッド基及び疎水性基の任意の組み合わせから構成される化合物を含む。
【0116】
いくつかの好適なヘッド基は、表1Aで示したものを含む。
【0117】
【表1】
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【0118】
【表2】
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【0119】
好適な第一級基としては、表1Aからのヘッド基と中心炭素原子との組み合わせであるものが挙げられるが、これらに限定されない。その他の好適な第一級基としては、以下の表1B中のものが挙げられる。
【0120】
【表3】
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【0121】
いくつかの好適な疎水性テール基としては、表1C中に示したものが挙げられる。
【0122】
【表4】
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【0123】
【表5】
[この文献は図面を表示できません]
【0124】
【表6】
[この文献は図面を表示できません]
【0125】
その他の好適なテール基は、式−R12−M−R13であるものを含み、式中、R12は、C〜C14アルキル又はC〜C14アルケニルであり、Mは、上記で定義された通りの生分解性基であり、並びにR13は、分岐鎖アルキル又はアルケニル(例えば、C10〜C20アルキル又はC10〜C20アルケニル)であり、これによって、(i)−R12−M−R13の鎖長さは、最大で21個の原子であり(すなわち、第三級炭素(星印を付けた)の後ろの最初の炭素からテールの末端までのテールの全長が最大で21であり)、並びに(ii)基−R12−M−R13は、少なくとも20個の炭素原子(例えば、少なくとも21又は22個の炭素原子)を有する。
【0126】
1つの好ましい実施形態において、−R12−M−R13の鎖長さは、最大で21(例えば、最大で20)である。例えば、鎖長さは、約17〜約24又は約18〜約20であり得る。
【0127】
一実施形態において、各テール(−R12−M−R13)の総炭素原子含量は、約17〜約26である。例えば、総炭素原子含量は、約19〜約26又は約21〜約26であり得る。
【0128】
一実施形態において、このテールは、式
【化65】
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を有し、式中R13は、約13〜約17個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、最初の炭素(上記の最も左側の炭素原子)からテールの末端までのテールの全炭素長さが、最大で20である。好ましくは、このテールは、約22〜約26個の炭素原子を有する。一実施形態において、化合物のR13のその結合点からエステル基までの最大長は、12個の炭素原子である(例えば、最大長は、11個の炭素原子であり得る)。1つの好ましい実施形態において、アルキル又はアルケニル基中の分岐は、R13の結合点からエステル基までのδ位又はそれ以降にある。好適なR13基としては、
【化66】
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が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、カチオン性脂質は、
【化67】
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又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、式中、R13は、上述の基から選択される。
【0129】
別の例は、式
【化68】
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のテールであり、式中、R13は、約13〜約15個の炭素原子を有するアルキル又はアルケニル基であり、最初の炭素(すなわち、第三級炭素に結合している最も左側の炭素原子)からテールの末端までのテールの全炭素長さが、最大で20である。好ましくは、このテールは、約24〜約26個の炭素原子を有する。一実施形態において、化合物のR13のその結合点からエステル基までの最大長は、10個の炭素原子である(例えば、最大長は、9個の炭素原子であり得る)。1つの好ましい実施形態において、アルキル又はアルケニル基中の分岐は、R13の結合点からエステル基までのδ位又はそれ以降にある。好適なR13基としては、
【化69】
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が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、カチオン性脂質は、
【化70】
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又はその塩(例えば、その薬学的に許容可能な塩)であり、式中、R13は、上記の基から選択される。
【0130】
13基は、ジヒドロシトロネロール、ラバンジュロール、フィトール、又はジヒドロフィトールなどの天然物から誘導されてもよい。一実施形態において、上記テール中のR13基は、ジヒドロシトロネロール基(ラセミ基又はキラル純粋な基のいずれかとして)である。
【化71】
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例えば、ジヒドロシトロネロール基を有するカチオン性脂質は、
【化72】
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であるか、又はその塩であり得る。
【0131】
別の実施形態において、上記テール中のR13基は、以下に示すようなラバンジュロール基又はその同族体である。
【化73】
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【0132】
別の実施形態において、上記テール中のR13基は、フィトール又はジヒドロフィトール基である。
【化74】
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例えば、カチオン性脂質は、
【化75】
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であり得る。
【0133】

【化76】
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のカチオン性脂質は、以下のようなヘッド基、リンカー部分、及び疎水性鎖の2つの部分の組み合わせとしても考えることが可能である。
【化77】
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【0134】
様々なヘッド基、リンカー部分、及び疎水性鎖I及びIIが、以下に列挙されている。本発明は、以下に列挙されたヘッド、リンカー、疎水性鎖I、及び疎水性鎖II基の任意の組み合わせから構成された化合物を含む。
【0135】
【表7】
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【0136】
【表8】
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【0137】
【表9】
[この文献は図面を表示できません]
【0138】
【表10】
[この文献は図面を表示できません]
【0139】
【表11】
[この文献は図面を表示できません]
【0140】
【表12】
[この文献は図面を表示できません]
【0141】
本発明のその他のカチオン性脂質は、以下の表3中のものを含む。以下の化合物中のそれぞれの非対称炭素原子は、キラル純粋(R又はS)又はラセミ体のいずれかであり得る。これらカチオン性脂質並びに実施例(例えば実施例36及び37)におけるものは、核酸−脂質粒子を形成するために好適である。
【0142】
【表13】
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【0143】
【表14】
[この文献は図面を表示できません]
【0144】
【表15】
[この文献は図面を表示できません]
【0145】
【表16】
[この文献は図面を表示できません]
【0146】
【表17】
[この文献は図面を表示できません]
【0147】
【表18】
[この文献は図面を表示できません]
【0148】
【表19】
[この文献は図面を表示できません]
【0149】
【表20】
[この文献は図面を表示できません]
【0150】
【表21】
[この文献は図面を表示できません]
【0151】
【表22】
[この文献は図面を表示できません]
【0152】
【表23】
[この文献は図面を表示できません]
【0153】
【表24】
[この文献は図面を表示できません]
【0154】
【表25】
[この文献は図面を表示できません]
【0155】
【表26】
[この文献は図面を表示できません]
【0156】
【表27】
[この文献は図面を表示できません]
【0157】
【表28】
[この文献は図面を表示できません]
【0158】
【表29】
[この文献は図面を表示できません]
【0159】
【表30】
[この文献は図面を表示できません]
【0160】
【表31】
[この文献は図面を表示できません]
【0161】
【表32】
[この文献は図面を表示できません]
【0162】
【表33】
[この文献は図面を表示できません]
【0163】
別の態様において、本発明は、式I〜VIIの化合物を調製する方法に関する。好適な例示的合成法が、以下の実施例セクションに示したスキーム1〜27で図示されている。
【0164】
一実施形態において、本発明のカチオン性脂質は、以下の化合物、及びその塩(その薬学的に許容可能な塩を含む)から選択される。これらカチオン性脂質は、核酸−脂質粒子を形成するために好適である。
【化78】
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【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
【0165】
別の実施形態において、本発明のカチオン性脂質は、以下の化合物、及びその塩(その薬学的に許容可能な塩を含める)から選択される。
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0166】
別の実施形態において、本発明のカチオン性脂質は、以下の化合物、又はその塩(その薬学的に許容可能な塩を含める)から選択される。
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
【0167】
更なる代表的なカチオン性脂質としては、限定されないが、
【0168】
【表34】
[この文献は図面を表示できません]
【0169】
【表35】
[この文献は図面を表示できません]
【0170】
【表36】
[この文献は図面を表示できません]
【0171】
【表37】
[この文献は図面を表示できません]
【0172】
【表38】
[この文献は図面を表示できません]
【0173】
【表39】
[この文献は図面を表示できません]
【0174】
【表40】
[この文献は図面を表示できません]
【0175】
【表41】
[この文献は図面を表示できません]
【0176】
【表42】
[この文献は図面を表示できません]
【0177】
【表43】
[この文献は図面を表示できません]
【0178】
【表44】
[この文献は図面を表示できません]
【0179】
【表45】
[この文献は図面を表示できません]
【0180】
【表46】
[この文献は図面を表示できません]
【0181】
【表47】
[この文献は図面を表示できません]
【0182】
【表48】
[この文献は図面を表示できません]
【0183】
【表49】
[この文献は図面を表示できません]
【0184】
【表50】
[この文献は図面を表示できません]
【0185】
【表51】
[この文献は図面を表示できません]
【0186】
【表52】
[この文献は図面を表示できません]
【0187】
【表53】
[この文献は図面を表示できません]
【0188】
【表54】
[この文献は図面を表示できません]
【0189】
【表55】
[この文献は図面を表示できません]
【0190】
【表56】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられる。
【0191】
あるいは、式
【化87】
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(式中Xは、例えば、−C(O)O−であり得る)のヘッドを有する上記化合物については、このヘッドは、X基(又はその他の官能基)と窒素原子との間に1つのメチレン単位を有することが可能である。例えば、このヘッド基は、
【化88】
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であり得る。
【0192】
カチオン性脂質は、その中でアルキル置換基が異なるもの(例えば、N−エチル−N−メチルアミノ−及びN−プロピル−N−エチルアミノ−)を含める、示されたもの以外の代替脂肪酸基及びその他のジアルキルアミノ基を有するものを含む。
【0193】
特定の実施形態において、このカチオン性脂質は、少なくとも1つのプロトン化可能又は脱プロトン化可能な基を有することで、この脂質は、生理学的pH又は生理学的pH未満のpHで(例えばpH7.4で)正に帯電され、第2のpH、好ましくは生理学的pH又は生理学的pHを超えるpHで中性である。このような脂質は、カチオン性脂質とも呼ばれる。当然、pHの機能としてのプロトンの付加又は除去は、平衡プロセスであること、並びに荷電又は中性脂質については、優占種を指し、脂質の全てが荷電形態又は中性形態で存在することが必ずしも必要ではないことを理解されるであろう。この脂質は、複数のプロトン化可能又は脱プロトン化可能な基を有することができ、又は双性イオン性であり得る。
【0194】
特定の実施形態において、プロトン化可能な脂質(すなわち、カチオン性脂質)は、約4〜約11の範囲のプロトン化可能な基のpKを有する。例えば、この脂質は、脂質粒子内に組み込まれる場合、約4〜約7、例えば、約5.5〜約6.8などの約5〜約7のpKを有することができる。このような脂質は、より低いpHの製剤段階でカチオン性であり得、一方、粒子は、pH7.4周辺の生理学的pHにおいて(完全ではないが)大きく表面中和されるであろう。
【0195】
特定の実施形態において、この脂質は荷電脂質である。本明細書で使用するとき、用語「荷電脂質」とは、限定されないが、1つ又は2つの脂肪アシル又は脂肪アルキル鎖と第四級アミノヘッド基とを有する脂質を包含する。この第四級アミンは、永久正電荷を運ぶ。このヘッド基は、任意選択で、生理学的pHでプロトン化され得る第一級、第二級、又は第三級アミンなどのイオン性基を含むことが可能である。第四級アミンの存在は、第四級アミンを欠如する(例えば、第四級アミンが第三級アミンで置き換えられている)構造的に類似する化合物中の基のpKと比較して、イオン性基のpKを変更することが可能である。
【0196】
本発明に含まれるものは、本明細書に記載されているカチオン性脂質の遊離型、並びにその薬学的に許容可能な塩及びその立体異性体である。このカチオン性脂質は、アミンカチオン性脂質のプロトン化塩であり得る。用語「遊離型」とは、非塩型でのアミンカチオン性脂質を指す。遊離型は、塩を、希水性NaOH、炭酸カリウム、アンモニア及び重炭酸ナトリウムなどの好適な希水性塩基溶液で処理することで再生することが可能である。
【0197】
本発明のカチオン性脂質の薬学的に許容可能な塩は、通常の化学的な方法によって、塩基性又は酸性部分を含有する本発明のカチオン性脂質から合成することが可能である。一般的に、塩基性カチオン性脂質の塩は、イオン交換クロマトグラフィーにより、又は好適な溶媒又は溶媒の様々な混合中で、遊離塩基を所望の塩形成無機又は有機酸の理論量又は過剰量と反応させることによるのいずれかで調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応により形成される。
【0198】
したがって、本発明のカチオン性脂質の薬学的に許容可能な塩は、塩基性の本発明のカチオン性脂質を無機又は有機酸と反応することで形成されるような、本発明のカチオン性脂質の非毒性塩を含む。例えば、非毒性塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機塩から誘導されるもの、並びに酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ−安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、及びトリフルオロ酢酸(TFA)などの有機酸から調製された塩が挙げられる。
【0199】
本発明のカチオン性脂質が酸性である場合、好適な「薬学的に許容可能な塩」とは、無機塩基及び有機塩基を含める薬学的に許容可能な非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、及び亜鉛塩が挙げられる。一実施形態において、この塩基は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムから選択される。薬学的に許容可能な有機非毒性塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルフォリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどの天然型置換アミン、環式アミン及び塩基性イオン交換樹脂を含める第一、第二及び第三アミン、置換型アミンの塩が挙げられる。
【0200】
本発明のカチオン性脂質は、生物学的条件下で、カルボキシル基などの化合物中の脱プロトン化酸性部分はアニオン性であり得、その後、この電子電荷は、第四級窒素原子などのプロトン化された又はアルキル化された塩基性部分のカチオン正電荷に対して分子内部で脱平衡化されるために、分子内塩又は双性イオンである可能性があることにも留意されたい。
【0201】
上記で具体的に記載されたものに加えて、生理学的pH周辺で正味の正電荷を運ぶ1つ以上の追加のカチオン性脂質もまた、本明細書に記載されている脂質粒子及び組成物中に含有されてもよい。このようなカチオン性脂質としては、このようなカチオン性脂質としては、N,N−ジオレイル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(「DODAC」);N−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル−N,N−N−トリエチルアンモニウムクロリド(「DOTMA」);N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムブロミド(「DDAB」);N−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(「DOTAP」);1,2−ジオレイルオキシ−3−トリメチルアミノプロパン塩化物塩(「DOTAP.Cl」);3β−(N−(N’,N’−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル)コレステロール(「DC−Chol」);N−(1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル)−N−2−(スペルミンカルボキサミド)エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムトリフルオロアセテート(「DOSPA」);ジオクタデシルアミドグリシルカルボキシスペルミン(「DOGS」);1,2−ジオレイル−sn−3−ホスホエタノールアミン(「DOPE」);1,2−ジオレオイル−3−ジメチルアンモニウムプロパン(「DODAP」);N,N−ジメチル−2,3−ジオレイルオキシ)プロピルアミン(「DODMA」);及びN−(1,2−ジミリスチルオキシプロプ−3−イル)−N,N−ジメチル−N−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(「DMRIE」)が挙げられるが、これらに限定されない。更に、例えば、LIPOFECTIN(GIBCO/BRLから入手可能な、DOTMA及びDOPEを含んでいる)、並びにLIPOFECTAMINE(GIBCO/BRLから入手可能な、DOSPA及びDOPEを含む)などの多くの市販のカチオン性脂質の調製物を使用することが可能である。
【0202】
PEG脂質
PEG脂質に好適なヘッド基としては、以下の表3中に示すものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
【表57】
[この文献は図面を表示できません]
【0204】
代表的なPEG脂質としては、
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられるが、これらに限定されない:
式中、
nは10〜100の整数(例えば、20〜50又は40〜50)であり;
s、s’、t及びt’は、独立して、0、1、2、3、4、5、6又は7であり;並びにmは、1、2、3、4、5、又は6である。
【0205】
その他の代表的なPEG脂質としては、
【0206】
【表58】
[この文献は図面を表示できません]
【0207】
【表59】
[この文献は図面を表示できません]
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
その他の脂質成分
本明細書に記載されている脂質及び粒子はまた、1つ以上の中性脂質を含有してもよい。存在する場合、中性脂質は、生理学的pHにおいて非荷電形態又は双性イオン形態のいずれかで存在する数々の脂質種であり得る。このような脂質としては、例えば、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、及びセレブロシドが挙げられる。一実施形態において、この中性脂質成分は、2つのアシル基を有する脂質(例えば、ジアシルホスファチジルコリン及びジアシルホスファチジルエタノールアミン)である。一実施形態において、この中性脂質は、C10〜C20の範囲の炭素鎖長さを備える飽和脂肪酸を含有する。別の実施形態において、この中性脂質は、C10〜C20の範囲の炭素鎖長さを備えるモノ不飽和又は二不飽和脂肪酸を含有する。好適な中性脂質としては、DSPC、DPPC、POPC、DOPE、DSPC、及びSMが挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
本明細書に記載されている脂質粒子及び組成物はまた、凝集を低減することが可能な1つ以上の脂質を含有してもよい。形成中に凝集を低減する脂質の例としては、ポリエチレングリコール(PEG)変性脂質(PEG−DMG及びPEG−DMAなどのPEG脂質)、モノシアロガングリオシド Gm1、及び(その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,320,017号明細書に記載されているものなどの)ポリアミドオリゴマー(「PAO」)が挙げられる。好適なPEG脂質としては、PEG変性ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジン酸、PEG−セラミド接合体(例えば、PEG−CerC14又はPEG−CerC20)(参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,820,873号明細書に記載されているものなど)、PEG変性ジアルキルアミン及びPEG変性1,2−ジアシルオキシプロパン−3−アミン、PEG変性ジアシルグリセロール及びジアルキルグリセロール、mPEG(mw2000)−ジアステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG−DSPE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
この脂質粒子及び組成物は、コレステロールなどのステロールを含有してもよい。
【0211】
脂質粒子
他の態様において、本発明は、本明細書に記載されているカチオン性脂質の1つ以上を含有する脂質粒子に関する。一実施形態において、この脂質粒子は、1つ以上の式I〜VIIの化合物を含有する。
【0212】
脂質粒子としては、リポソームが挙げられるがこれに限定されない。本明細書で使用するとき、リポソームとは、水性の内部を封入している脂質含有膜を有する構造である。
【0213】
別の実施形態は、本発明のカチオン性脂質、非カチオン性脂質(中性脂質など)、任意選択でPEG−脂質接合体(本明細書で説明されている脂質粒子の凝集を低減するための脂質など)、任意選択でステロール(例えば、コレステロール)、及び核酸を含んでいる核酸−脂質粒子(例えば、SNALP)である。本明細書で使用するとき、用語「SNALP」とは、安定核酸−脂質粒子を指す。SNALPは、脂質から作られた粒子を表し、ここでは核酸(例えば、干渉RNA)は脂質内に封入される。特定の例において、SNALPは、これらが静脈内(i.v.)注射後に延長した循環寿命を呈することが可能であり、これらが遠位部位(例えば、投与部位から物理的に離隔された部位)において蓄積することが可能であり、並びにこれら遠位部位における標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介することが可能であるために、全身適用に有用である。核酸は、その開示が全体で参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第00/03683号パンフレットで記載されているように、縮合剤と複合体を形成され、SNALP内に封入される。
【0214】
例えば、この脂質粒子は、カチオン性脂質、融合促進脂質(例えば、DPPC)、中性脂質、コレステロール、及びPEG変性脂質を含有することが可能である。一実施形態において、この脂質粒子は、約20〜70%のカチオン性脂質:0.1〜50%の融合促進脂質:5〜45%の中性脂質:20〜55%のコレステロール:0.5〜15%のPEG変性脂質のモル比で(脂質粒子中の100%の全モルに基づいて)、上記脂質混合物を含む。
【0215】
脂質粒子の別の実施形態において、カチオン性脂質は、(脂質粒子の100%の全モルに基づいて)約20%及び訳60%のモル百分率で存在し;中性脂質は約5%〜約25%のモル百分率で存在し;ステロールは約25%〜約55%のモル百分率で存在し;並びにPEG脂質はPEG−DMA、PEG−DMG、又はこれらの組み合わせであり、約0.5%〜約15%の百分率で存在する。
【0216】
特定の実施形態において、カチオン性脂質/DSPC/Chol/PEG−DMG又はPEG−DMAのモル%に関するモル脂質比は、約40/10/40/10、35/15/40/10又は52/13/30/5である。この混合物は、0.1〜50%、0.1〜50%、0.5〜50%、1〜50%、5%〜45%、10%〜40%、又は15%〜35%のモル比で融合促進脂質と更に組み合わせてもよい。言い換えると、脂質/DSPC/Chol/PEG−DMG又はPEG−DMAの40/10/40/10混合物が、50%のモル比で融合促進脂質と組み合され、得られた脂質粒子は、20/5/20/5/50(カチオン性脂質/DSPC/Chol/PEG−DMG又はPEG−DMA/融合促進ペプチドのモル%)の全モル比を有することが可能である。別の実施形態において、これら組成物中の中性脂質、DSPCが、POPC、DPPC、DOPE又はSMで置き換えられる。
【0217】
一実施形態において、この脂質粒子は、本発明のカチオン性脂質、中性脂質、ステロール及びPEG変性脂質を含む。一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで約25%〜約75%の、例えば、モルベースで、約35〜約65%、約45〜約65%、約60%、約57.5%、約57.1%、約50%又は約40%のカチオン性脂質を含有する。一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで約0%〜約15%の、例えば、モルベースで、約3〜約12%、約5〜約10%、約15%、約10%、約7.5%、約7.1%又は約0%の中性脂質を含有する。一実施形態において、この中性脂質はDPPCである。一実施形態において、この中性脂質はDSPCである。一実施形態において、この製剤は、モルベースで約5%〜約50%の、例えば、モルベースで、約15〜約45%、約20〜約40%、約48%、約40%、約38.5%、約35%、約34.4%、約31.5%又は約31%のステロールを含有する。一実施形態において、このステロールはコレステロールである。
【0218】
本明細書に記載されている脂質粒子は、1つ以上の治療薬を更に含むことが可能である。好ましい実施形態において、この脂質粒子は、siRNA又はmiRNAなどの核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)を含有する。
【0219】
一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで約0.1%〜約20%の、例えば、モルベースで、約0.5〜約10%、約0.5〜約5%、約10%、約5%、約3.5%、約1.5%、約0.5%、又は約0.3%のPEG変性脂質を含有する。一実施形態において、このPEG変性脂質はPEG−DMGである。一実施形態において、このPEG変性脂質はPEG−c−DMAである。一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで、25〜75%のカチオン性脂質、0.5〜15%の中性脂質、5〜50%のステロール、及び0.5〜20%のPEG変性脂質を含有する。
【0220】
一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで、35〜65%のカチオン性脂質、3〜12%の中性脂質、15〜45%のステロール、及び0.5〜10%のPEG変性脂質を含有する。一実施形態において、この脂質粒子は、モルベースで、45〜65%のカチオン性脂質、5〜10%の中性脂質、25〜40%のステロール、及び0.5〜5%のPEG変性脂質を含有する。一実施形態において、このPEG変性脂質は、2,000Daの平均分子量のPEG分子を含む。一実施形態において、このPEG変性脂質は、PEG−ジスチリルグリセロール(PEG−DSG)である。
【0221】
一実施形態において、脂質:siRNAの比は、少なくとも約0.5:1、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約4:1、少なくとも約5:1、少なくとも約6:1、少なくとも約7:1、少なくとも約11:1又は少なくとも約33:1である。一実施形態において、脂質:siRNAの比は、約1:1〜約35:1、約3:1〜約15:1、約4:1〜約15:1、又は約5:1〜約13:1である。一実施形態において、脂質:siRNAの比は、約0.5:1〜約12:1である。
【0222】
一実施形態において、この脂質粒子はナノ粒子である。更なる実施形態において、この脂質粒子は、約50nm〜約250nm(例えば、約50nm〜約200nm)などの約50nm〜約300nmの平均直径サイズを有する。
【0223】
一実施形態において、本発明に記載されている実施形態のいずれかのカチオン性脂質を含有する脂質粒子は、3時間未満(約2.5時間未満、約2時間未満、約1.5時間未満、約1時間未満、約0.5時間未満又は約0.25時間未満など)のインビボ半減期(t1/2)(例えば、肝臓、脾臓又は血漿中の)を有する。
【0224】
別の実施形態において、本発明に記載されている実施形態のいずれかのカチオン性脂質を含有する脂質粒子は、1つ又は複数の生分解性基を含まない同一のカチオン性脂質のものの約10%未満(例えば、約7.5%未満、約5%未満、約2.5%未満)のインビボ半減期(t1/2)(例えば、肝臓、脾臓又は血漿中の)を有する。
【0225】
追加の成分
本明細書に記載されている脂質粒子及び組成物は、1つ以上の抗酸化剤を更に含むことが可能である。抗酸化剤は、脂質粒子を安定化し、脂質粒子内に存在するカチオン性脂質及び/又は活性作用物質の分解を防止し、減少させ、及び/又は阻害する。抗酸化剤は、親水性抗酸化剤、親油性抗酸化剤、金属キレート剤、一次抗酸化剤、二次抗酸化剤、それらの塩、及びそれらの混合物であり得る。特定の実施形態において、抗酸化剤は、EDTA又はその塩などの金属キレート剤を、単独で若しくは一次抗酸化剤、二次抗酸化剤、又はその他の金属キレート剤などの1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、又はそれ以上の追加の抗酸化剤と組み合わせて含む。1つの好ましい実施形態において、この抗酸化剤は、1つ以上の一次抗酸化剤及び/又は二次抗酸化剤との混合物で、EDTA又はその塩などの金属キレート剤を含む。例えば、この抗酸化剤は、EDTA又はその塩、トコフェロール又はその塩などの一次抗酸化剤、並びにパルミチン酸アスコルビル又はその塩などの二次抗酸化剤を含むことが可能である。一実施形態において、この抗酸化剤は、少なくとも約100mMのクエン酸又はその塩を含む。抗酸化剤の例としては、親水性抗酸化剤、親油性抗酸化剤、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。親水性抗酸化剤の非限定的な例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、1,2−ビス(o−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N’,N’−四酢酸(BAPTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸(DMPS)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、cc−リポ酸、サリチルアルデヒドイソニコチノイルヒドラゾン(SIH)、ヘキシルチオエチルアミン塩酸塩(HTA)、デスフェリオキサミン、これらの塩、及びこれらの混合物などのキレート化剤(例えば、金属キレート剤)が挙げられる。追加の親水性抗酸化剤としては、アスコルビン酸、システイン、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、2−メルカプトベンズイミダゾールスルホン酸、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。親油性抗酸化剤の非限定的例としては、α−、β−、γ−及びδ−トコフェロール並びにα−、β−、γ−及びδ−トコトリエノールなどのビタミンE異性体;2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−fert−ブチル−5−メチルフェノール、及び2−tert−ブチル−6−メチルフェノールなどのポリフェノール;ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(例えば、2−teri−ブチル−4−ヒドロキシアニソール及び3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール);ブチルヒドロキシトルエン(BHT);tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ);パルミチン酸アスコルビル;rc−プロピルガレート;これらの塩;及びこれらの混合物が挙げられる。好適な抗酸化剤及びこのような抗酸化剤を含有する製剤は、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2011/066651号パンフレットに記載されている。
【0226】
別の実施形態において、脂質粒子又は組成物は、抗酸化剤EDTA(若しくはその塩)、抗酸化剤クエン酸(若しくはその塩)、又はα−トコフェロール(若しくはその塩)及び/又はパルミチン酸アスコルビル(若しくはその塩)などの1つ以上の一次及び/又は二次抗酸化剤(例えば、これらの混合物)と組み合わせたEDTA(若しくはその塩)を含有する。
【0227】
一実施形態において、抗酸化剤は、脂質粒子内に存在するカチオン性脂質の分解を防止し、阻害し、又は低減するのに十分な量で存在する。例えば、この抗酸化剤は、少なくとも約又は約0.1mM、0.5mM、1mM、10mM、100mM、500mM、1M、2M、若しくは5M、又は約0.1mM〜約1M、約0.1mM〜約500mM、約0.1mM〜約250mM、若しくは約0.1mM〜約100mMの濃度で存在することが可能である。
【0228】
本明細書に記載されている脂質粒子及び組成物は、アポリポタンパク質を更に含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「アポリポタンパク質」又は「リポタンパク質」とは、当業者に既知のアポリポタンパク質並びにその変異体及び断片を指し、並びに以下に記載されているアポリポタンパク質作動体、その類似体又は断片を指す。
【0229】
好ましい実施形態において、活性作用物質は、siRNAなどの核酸である。例えば、活性作用物質は、RNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンタゴmir、DNA、プラスミド、リボソームRNA(rRNA)、マイクロRNA(miRNA)(例えば、単鎖で、長さ17〜25のヌクレオチドであるmiRNA)、転移RNA(tRNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、抗原、その断片、タンパク質、ペプチド、ワクチン及び小分子又はこれらの混合物を含めるが、これらに限定されない、関心ある産物でコード化される核酸であり得る。1つのより好ましい実施形態において、この核酸は、オリグヌクレオチド(例えば、長さ15〜50のヌクレオチド(又は長さ15〜30若しくは20〜30のヌクレオチド))である。siRNAは、例えば、16〜30ヌクレオチドの長さである二重鎖領域を有することが可能である。別の実施形態において、この核酸は、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド、スーパーmir、miRNA模倣体、又はmiRNA阻害剤である。スーパーmirとは、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)若しくはその双方又はその修飾体の単鎖又は二重鎖又は部分的に二重鎖のオリゴマー又はポリマーを指し、これは、miRNAと実質的に等しいヌクレオチド配列並びにその標的に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する。miRNA模倣体とは、1つ以上のmiRNAの遺伝子サイレンシング能力を模倣するために使用することできるある種の分子を表す。したがって、用語「マイクロRNA模倣体」とは、RNAi経路に侵入し、遺伝子発現を調節することが可能である、合成非コードRNAを指す(すなわち、このmiRNAは、内因性miRNAのソースからの精製によって得られない)。
【0230】
脂質−核酸粒子内に存在する核酸は、任意の形態であり得る。この核酸は、例えば、単鎖DNA又はRNA、若しくは二重鎖DNA又はRNA、あるいはDNA−RNAハイブリッドであり得る。二重鎖RNAの非限定的な例としては、siRNAが挙げられる。単鎖核酸としては、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、マイクロRNA、及び三重鎖形性オリグヌクレオチドが挙げられる。本発明の脂質粒子は、1つ以上のリガンドにコンジュゲートされている核酸を送達することも可能である。
【0231】
医薬組成物
脂質粒子は、特に治療薬を伴う場合、医薬組成物として製剤化されることが可能であり、例えば、これは、生理食塩水又はリン酸塩緩衝液などの薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤、又は担体を更に含む。
【0232】
得られる医薬調製物は、通常の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。水性溶液は、その後、使用のために包装され、又は無菌条件下で濾過され、凍結乾燥されることが可能であり、凍結乾燥調製物は、投与前に無菌水性溶液と混合される。この組成物は、生理学的条件に近づけるために、任意選択で、pH調整剤及び緩衝剤、並びに浸透圧調整剤、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩化カルシウムなどの薬学的に許容可能な補助物質を含有してもよい。更に、この脂肪懸濁液は、保存時に脂質をフリーラジカル及び脂質過酸化の損傷に対して保護する脂質保護剤を含有してもよい。α−トコフェロールなどの親油性フリーラジカル失活剤及びフェリオキサミンなどの水溶性鉄特異的キレート剤が好ましい。
【0233】
医薬品製剤中の脂質粒子又は脂質−核酸粒子の濃度は、例えば、約0.01重量%未満から約0.05〜5重量%まで、又は少なくとも0.05〜5重量%まで、10〜30重量%と同程度まで、異なり得る。
【0234】
製造法
カチオン性脂質、それらを含有する脂質粒子、及びカチオン性脂質及び/又は脂質粒子を含有している医薬組成物を製造する方法は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2010/054406号パンフレット、同第2010/054401号パンフレット、同第2010/054405号パンフレット、同第2010/054384号パンフレット、同第2010/042877号パンフレット、同第2010/129709号パンフレット、同第2009/086558号パンフレット、及び同第2008/042973号パンフレット、並びに米国特許出願公開第2004/0142025号明細書、同第2006/0051405号明細書及び同第2007/0042031号明細書に記載されている。
【0235】
例えば、一実施形態において、有機溶液(例えば、エタノール)中の1つ以上の脂質(本明細書に記載されている実施形態のいずれかのカチオン性脂質を含める)の溶液を調製する。同様に、水性緩衝溶液(例えば、クエン酸緩衝液)中の1つ以上の活性(治療)薬剤(例えば、siRNA分子又は2つのsiRNA分子の1:1モル混合物など)の溶液を調製する。この2つの溶液を混合し、希釈して、siRNA脂質粒子のコロイド状懸濁液を形成する。一実施形態において、siRNA脂質粒子は、約80〜90nmの平均粒子サイズを有する。他の実施形態において、この分散液は、0.45/2ミクロンのフィルターを通して濾過し、濃縮し、接線流濾過によって透析濾過することが可能である。
【0236】
定義
本明細書で使用するとき、用語「カチオン性脂質」は、生理学的pHにおいてプロトン化されカチオン性脂質を形成することが可能である、1つ又は2つの脂肪酸又は脂肪族鎖及びヘッド基を含有するアミノ酸を有する脂質であるものを含む。いくつかの実施形態において、カチオン性脂質は、「アミノ酸接合カチオン脂質」と呼ばれる。
【0237】
複合体の投与が、疾患又は障害に有効な治療レジメンである対象又は患者はヒトであるが、治験又はスクリーニング若しくは活性物質実験における実験動物を含める任意の動物であり得る。したがって、当業者であれば容易に理解することができるように、本発明の方法、化合物及び組成物は、任意の動物、特に哺乳動物への投与に特に適していて、これらは、決して限定するものではないが、ヒト、ネコ又はイヌ科動物などの飼育動物、限定されないがウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ及びブタ種などの家畜、野生動物(野生状態のもの又は動物園で飼育されているもののいずれでも)、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、及びネコなどの研究用動物、ニワトリ、七面鳥、及び鳴禽類など鳥類種、すなわち獣医学的使用のためのものが挙げられる。
【0238】
上記一般式中に記された化学基の多くは、特定の順序で表記されている(例えば、−OC(O)−)。化学基は、特に明記しない限り、示された順序で一般式に組み込まれるべきであることが意図されている。例えば、−(R)−(M−(R)−の形の一般式(式中、Mは−C(O)O−であり、kは1である)は、特記しない限り、−(R)−C(O)O−(R)−を指す。化学基が特定の順序で表記される場合、特記されない限り、逆の順序もまた考えられることを理解するべきである。例えば、一般式−(R)−(M−(R)−(式中、Mは−C(O)NHとして定義される(すなわち、−(R)−C(O)−NH−(R)−))において、特記されない限り、Mが−NHC(O)−である化合物(すなわち、−(R)−NHC(O)−(R)−)もまた考えられる。
【0239】
用語「生分解性カチオン性脂質」とは、カチオン性脂質の脂質部分(例えば、疎水性鎖)の中間又は遠位セクションに位置する1つ以上の生分解性基を有するカチオン性脂質を指す。生分解性基のカチオン性脂質への組み込みは、標的領域への活性医薬成分の送達後に、カチオン性脂質のより迅速な代謝及び体内からの除去をもたらす。
【0240】
本明細書で使用するとき、用語「生分解性基」とは、生物学的条件において、例えば、生物体、器官、組織、細胞、又は細胞小器官において、結合破壊反応を受けることが可能である1つ以上の結合を有する基を指す。例えば、生分解性基は、ヒトなどの哺乳動物の体部によって(例えば加水分解によって)代謝可能であり得る。生分解性結合を含有するいくつかの基としては、例えば、−OC(O)−、−C(O)O−、−SC(O)−、−C(O)S−、−OC(S)−、−C(S)O−、−S−S−、−C(R)=N−、−N=C(R)−、−C(R)=N−O−、−O−N=C(R)−、−C(O)(NR)−、−N(R)C(O)−、−C(S)(NR)−、−N(R)C(O)−、−N(R)C(O)N(R)−、−OC(O)O−、−OSi(RO−、−C(O)(CR)C(O)O−、又は−OC(O)(CR)C(O)−が挙げられるが、これらに限定されない。
【0241】
本明細書で使用するとき、「脂肪族」基は、その中で炭素原子が鎖に結合されている非芳香族基であり、これは飽和又は不飽和のいずれかである。
【0242】
用語「アルキル」及び「アルキレン」とは、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素部分を指す。一実施形態において、アルキル基は、直鎖飽和炭化水素である。特記しない限り、この「アルキル」又は「アルキレン」基は、1〜24個の炭素原子を含有する。代表的な飽和直鎖アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、及びn−ヘキシルが挙げられる。代表的な飽和分岐鎖アルキル基としては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、及びイソペンチルが挙げられる。
【0243】
用語「アルケニル」とは、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素を指す。一実施形態において、アルケニル基は、1、2、又は3個の二重結合を含有し、その他は飽和されている。特記されない限り、「アルケニル」基は、2〜24個の炭素原子を含有する。アルケニル基は、シス及びトランス異性体の双方を含む。代表的な直鎖及び分岐鎖アルケニル基としては、エチレニル、プロピレニル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、及び2,3−ジメチル−2−ブテニルが挙げられる。
【0244】
用語「アルキニル」とは、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖炭化水素部分を指す。特記されない限り、「アルキニル」基は、2〜24個の炭素原子を含有する。代表的な直鎖及び分岐鎖アルキニル基としては、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、及び3−メチル−1−ブチニルが挙げられる。
【0245】
特記されない限り、用語「分岐鎖アルキル」、「分岐鎖アルケニル」、及び「分岐鎖アルキニル」とは、基内の1つの炭素が(1)少なくとも3つの他の炭素原子に結合している、及び(2)環式基の環原子ではない、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基を指す。例えば、アルキル、アルケニル、又はアルキニル基中のスピロ環式基は、分岐点とはみなされない。
【0246】
特記されない限り、用語「アシル」とは、水素、アルキル、部分的に飽和された又は完全に飽和されたシクロアルキル、部分的に飽和された又は完全に飽和された複素環、アリール、又はヘテロアリールで置換されたカルボニル基を指す。例えば、アシル基としては、(C〜C20)アルカノイル(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、バレリル、カプロイル、及びt−ブチルアセチル)、(C〜C20)シクロアルキルカルボニル(例えば、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、及びシクロヘキシルカルボニル)、複素環式カルボニル(例えば、ピロリジニルカルボニル、ピロリド−2−オン−5−カルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピペラジニルカルボニル、及びテトラヒドロフラニルカルボニル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)及びヘテロアロイル(例えば、チオフェニル−2−カルボニル、チオフェニル−3−カルボニル、フラニル−2−カルボニル、フラニル−3−カルボニル、1H−ピロイル−2−カルボニル、1H−ピロイル−3−カルボニル、及びベンゾ[b]チオフェニル−2−カルボニル)が挙げられる。
【0247】
用語「アリール」とは、芳香族一環式、二環式、又は三環式炭化水素環系を指す。特記されない限り、この「アリール」基は、6〜14個の炭素原子を有する。アリール部分の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びピレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
用語「シクロアルキル」及び「シクロアルキレン」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルなどの飽和一環式又は二環式炭化水素部分を指す。特記されない限り、この「シクロアルキル」又は「シクロアルキレン」基は、3〜10個の炭素原子を含有する。
【0249】
用語「シクロアルキルアルキル」とは、アルキル基に結合したシクロアルキル基を指し、ここでは、アルキル基は、分子の残部に結合されている。
【0250】
用語「複素環」(又は「ヘテロシクリル」)とは、飽和又は不飽和のいずれかである、非芳香族5〜8員一環式環系、又は7〜12員の二環式環系、又は11〜14員三環式環系を指し、一環式の場合、1〜3個のヘテロ原子を含有し、二環式の場合、1〜6個のヘテロ原子を含有し、又は三環式の場合1〜9個のヘテロ原子を含有し(ヘテロ原子は、窒素、酸素及びイオウから独立して選択され)、この窒素及びイオウヘテロ原子は、任意選択で酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択で第四級化されてもよい。例えば、複素環は、シクロアルコキシ基であり得る。複素環は、複素環内の任意のヘテロ原子又は炭素原子を介して、分子の残部に結合され得る。複素環としては、モルフォリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、及びテトラヒドロチオピラニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0251】
用語「ヘテロアリール」とは、一環式の場合は1〜3個のヘテロ原子を有し、二環式の場合は1〜6個のヘテロ原子を有し、三環式の場合は1〜9個のヘテロ原子を有する、芳香族5〜8員の一環式、7〜12員の二環式、又は11〜14員の三環式環系を指し、このヘテロ原子は、O、N、又はSから選択される(例えば、一環式、二環式、又は三環式の場合、それぞれ炭素原子及び1〜3個、1〜6個、又は1〜9個のN、O、又はSのヘテロ原子)。本明細書に記載されているヘテロアリール基はまた、共通の炭素−炭素結合を共有する融合環を含有してもよい。
【0252】
用語「置換された」とは、特に断らない限り、特定された置換基のラジカルによる所定の構造内の1つ以上の水素の置き換えを指し、特定の置換基は、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、チオール、アルキルチオ、オキソ、チオキシ、アリールチオ、アルキルチオアルキル、アリールチオアルキル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアルキル、アリールスルホニルアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル、アミノ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルアミノアルキル、アリールアミノアルキル、アミノアルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アシル、アラルコキシカルボニル、カルボン酸、スルホン酸、スルホニル、リン酸、アリール、ヘテロアリール、複素環、及び脂肪族基が挙げられるが、これらに限定されない。置換基は、更に置換されてもよいことが理解される。例示的な置換基としては、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及び環式アミノ化合物が挙げられる。
【0253】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0254】
以下の略語を本出願において使用することができる:
DSPC:ジステアロイルホスファチジルコリン;DPPC:1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン;POPC:1−パルミトイル−2−オレオイル−sn−ホスファチジルコリン;DOPE:1,2−ジオレオイル−sn−3−ホスホエタノールアミン;PEG−DMG:一般的に1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール−メトキシポリエチレングリコール(例えばPEG 2000)を指す:TBDPSCl:tert−ブチルクロロジフェニルシラン;DMAP:ジメチルアミノピリジン;HMPA:ヘキサメチルホスホラミド;EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DCM:ジクロロメタン;TEA:トリエチルアミン;TBAF:テトラブチルアンモニウムフルオリド。
【0255】
様々な有機基及び保護基を調製するための方法は、当該技術分野で既知であり、それらの使用及び変更は、当業者の能力の範囲内にある(例えば、Green,T.W.et.al.,Protective Groups in Organic Synthesis(1999);Stanley R.Sandler and Wolf Karo,Organic Functional Group Preparations(1989);Greg T.Hermanson,Bioconjugate Techniques(1996);及びLeroy G.Wade,Compendium Of Organic Synthetic Methods(1980)を参照)。簡単に言うと、保護基は、官能基の不必要な反応性を低減又は排除する任意の基である。保護基は、特定の反応中に官能基の反応性をマスクするために官能基に添加し、その後、元の官能基を暴露するために除去することが可能である。いくつかの実施形態において、「アルコール保護基」が使用される。「アルコール保護基」は、アルコール官能基の不必要な反応性を低減又は排除する任意の基である。保護基は、当該技術分野で周知の技術を使用して、添加及び除去することが可能である。
【0256】
この化合物は、本明細書に記載されている技術の少なくとも1つ又は既知の有機合成技術によって調製することができる。
【実施例】
【0257】
実施例1:
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
化合物2:CHCl(80mL)中の化合物1(10.0g、18.8ミリモル、国際公開第2010/054406号パンフレットを参照)の溶液に、トリエチルアミン(7.86mL、56.4ミリモル)、DMAP(459mg、3.76ミリモル)及びtert−ブチル(クロロ)ジフェニルシラン(9.62mL、37.6ミリモル)を加えた。この反応混合物を24時間にわたって撹拌した。この混合物をCHClで希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後、粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜5%のEtOAc)によって精製し、2を得た(12.4g、16.1ミリモル、86%、R=0.24(ヘキサン使用))。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.66−7.68(m,4H)、7.33−7.42(m,6H)、5.30−5.39(m,4H)、3.67−3.72(m,1H)、1.97−2.04(m,8H)、1.07−1.42(m,52H)、1.05(s,9H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
【0258】
化合物3:tert−ブタノール(100mL)、THF(30mL)及びHO(10mL)中、2の溶液(12.4g、16.1ミリモル)に、4−メチルモルフォリンN−オキシド(4.15g、35.4ミリモル)及び四酸化オスミウム(41mg、0.161mg)を加えた。この反応混合物を16時間撹拌し、次いで重亜硫酸ナトリウムにより急冷した。蒸発により溶媒を除去した後に、残渣をEtO(500mL)及びHO(300mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=1:1、R=0.49)により精製し、3を得た(12.7g、15.1ミリモル、94%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.66−7.68(m,4H)、7.33−7.43(m,6H)、3.67−3.73(m,1H)、3.57−3.62(m,4H)、1.82(t,J=5.0Hz,4H)、1.10−1.51(m,60H)、1.04(s,9H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
【0259】
化合物4:1,4−ジオキサン(220mL)、CHCl(70mL)、MeOH(55mL)、及びHO(55mL)中、3の溶液(12.6g、15.0ミリモル)に、NaIO(7.70g、36.0ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をEtO(500mL)及びHO(300mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=9:1、R=0.30)により精製し、4を得た(7.98g、14.5ミリモル、97%)。C3554NaOSiについての分子量は(M+Na)計算値=573.3740、実測値=573.3であった。
【0260】
化合物7:THF(20mL)及びHMPA(4mL)中、5(Tetrahedron、63、1140−1145、2006を参照;1.09g、2.18ミリモル)の溶液に、LiHMDS(1MのTHF溶液、4.36mL、4.36ミリモル)を−20℃で加えた。得られた混合物を同じ温度で20分間撹拌し、次いで−78℃まで冷却した。THF(4mL)中の4(500mg、0.908ミリモル)の溶液を加えた。この混合物を撹拌し、室温に一晩かけて暖めた。MS分析は、二価酸の形成を示した(6;C5385Si(M−H) 計算値=829.6166、観測値=829.5)。この混合物に、NaHCO(1.10g、13.1ミリモル)及び硫酸ジメチル(1.24mL、13.1ミリモル)を加え、室温で2時間撹拌した。反応物に飽和NHCl水溶液(50mL)を加えて急冷し、次いでEtO(2×100mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=9:1、R=0.35)により精製し、7を得た(270mg、0.314ミリモル、35%)。C5590NaOSiについての分子量は、(M+Na)計算値=881.6455、実測値=881.6484であった。
【0261】
化合物8:THF(2.5mL)中の7(265mg、0.308ミリモル)の溶液に、n−TBAF(1MのTHF溶液、0.555mL、0.555ミリモル)を加えた。反応混合物を45℃で14時間にわたって撹拌した。濃縮後に、この混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1、R=0.52)により精製し、8を得た(155mg、0.250ミリモル、81%)。C3972NaOについての分子量は、(M+Na)計算値=643.5277、実測値=643.5273であった。
【0262】
化合物9:CHCl(5mL)中の8(150mg、0.242ミリモル)及び4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(49mg、0.290ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.126mL、0.726ミリモル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(56mg、0.290ミリモル)及びDMAP(6mg、0.0484ミリモル)を加えた。この反応混合物を室温で14時間撹拌した。次いで反応混合物をCHCl(100mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜5%のMeOH)により精製し、化合物9を得た(121mg、0.165ミリモル、68%、R=0.25(CHCl中5%のMeOHで展開))。C4584NOについての分子量は、(M+H)計算値=734.6299、実測値=734.5であった。
【0263】
化合物10:化合物9をCHCN及びCHCl中、CHClで処理し、化合物10を得ることができる。
【0264】
実施例2:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
化合物12:THF(20mL)及びHMPA(4mL)中の11(Journal of Medicinal Chemistry(1995)、38、636−46参照;1.25g、2.58ミリモル)の溶液に、LiHMDS(1MのTHF溶液、2.58mL、2.58ミリモル)を−20℃で加えた。この混合物を同じ温度で20分間撹拌し、次いで−78℃まで冷却した。THF(9mL)及びHMPA(0.9mL)中の4(500mg、0.908ミリモル)の溶液を加えた。混合物を撹拌し、−78℃から室温まで一晩かけて暖めた。HO(40mL)を加えて反応物を急冷し、次いでEtO(150mL×3)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=9:1、R=0.35)により精製し、12を得た(136mg、0.169ミリモル、19%)。C5182NaOSiについての分子量は、(M+Na)計算値=825.5829、実測値=825.5であった。
【0265】
5に代えて13を使用して、化合物7について記載されたものと類似の手順に従って、化合物12を得た(135mg、0.168ミリモル、46%)。
【0266】
化合物15/化合物16:THF(5mL)中の12(800mg、0.996ミリモル)の溶液に、n−TBAF(1MのTHF溶液、5mL、5.00ミリモル)を加えた。反応混合物を45℃で16時間にわたって撹拌した。濃縮後に、混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、15(ヘキサン:EtOAc=3:1、R=0.46、372mg、0.659ミリモル、66%)及び16(CHCl:MeOH=95:5、R=0.36、135mg、0.251ミリモル、25%)を得た。15;C3564NaOについての分子量は、(M+Na)計算値=587.4651、実測値=587.4652であった。16;C3361についての分子量は、(M+H)計算値=537.4519、実測値=537.5であった。
【0267】
化合物17:CHCl(5mL)中の化合物15(164mg、0.290ミリモル)及び4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(58mg、0.348ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.152mL、0.870ミリモル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(67mg、0.348ミリモル)及びDMAP(7mg、0.058ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で14時間にわたって撹拌した。反応混合物をCHCl(100mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜5%のMeOH)により精製し、化合物17を得た(158mg、0.233ミリモル、80%、R=0.24(CHCl中5%のMeOHで展開))。C4584NOについての分子量は、(M+H)計算値=734.6299、実測値=734.5であった。
【0268】
化合物18:化合物17をCHCN及びCHCl中、CHClで処理し、化合物18を得ることができる。
【0269】
化合物19:THF(2mL)及びMeOH(2mL)中の16(130mg、0.242ミリモル)の溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン(EtO中2M溶液、0.158mL、0.315ミリモル)を加えた。反応混合物を14時間撹拌した、蒸発後に、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:EtOAc=3:1、R=0.50)により精製し、19を得た(99mg、0.180ミリモル、74%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.29−5.40(m,4H)、4.12(q,J=7.1Hz,2H)、3.66(s,3H)、3.55−3.59(m,1H)、2.30(dd,J=14.7,7.2Hz,4H)、1.98−2.07(m,8H)、1.60−1.68(m,4H)、1.23−1.43(m,37H)。
【0270】
化合物20:CHCl(3mL)中の化合物19(95mg、0.168ミリモル)及び4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(42mg、0.252ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.088mL、0.504ミリモル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(48mg、0.504ミリモル)及びDMAP(4mg、0.034ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で14時間にわたって撹拌した。反応混合物をCHCl(100mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中0〜5%のMeOH)により精製し、化合物20を得た(103mg、0.155ミリモル、92%、R=0.19(CHCl中5%のMeOHで展開))。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.29−5.40(m,4H)、4.83−4.89(m,1H)、4.12(q,J=7.1Hz,2H)、3.67(s,3H)、2.28−2.34(m,8H)、2.23(s,6H)、1.98−2.07(m,8H)、1.76−1.83(m,2H)、1.60−1.68(m,4H)、1.23−1.51(m,35H)。
【0271】
化合物21:化合物20をCHCN及びCHCl中、CHClで処理し、化合物21を得ることができる。
【0272】
実施例3:ジ−アルデヒド中間体4についての代替合成
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
ジ−アルデヒド4は、1−ブロモ−9−デセンを使用して、スキーム3に示したように合成することが可能である。ヘッド基27を含有するジ−アルデヒドは、例えば、ウィッティング反応を使用して、末端エステル置換された脂質の合成に有用であり得る。オゾン分解は、ジ−アルデヒド4及び27をもたらすことが可能である。
【0273】
実施例4:化合物8についての代替合成
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
化合物8は、スキーム4に示す通りに合成することが可能である。
【0274】
化合物29:500mLの無水DMF中、NaH(油中60%、82g、1.7096モル)の撹拌懸濁液に、1.5LのDMF中、化合物28(250g、1.7096モル)の溶液を、0℃で滴下漏斗を使用してゆっくりと加えた。この反応混合物を30分間撹拌し、次いで臭化ベンジル(208.86mL、1.7096モル)を窒素雰囲気下でゆっくりと加えた。次いで反応物を周囲温度まで暖め、10時間にわたって撹拌した。次いで、混合物を砕氷(約2kg)で急冷し、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。有機層を水(1L)で洗浄して、不必要なDMFを除去し、NaSO上で乾燥し、真空中で蒸発乾固した。粗化合物を、DCM中0〜5%のMeOHで溶出させて、60〜120のシリカゲル上で精製し、化合物29(220g、54%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,5H)、4.49(s,2H)、3.63−3.60(m,2H)、3.47−3.43(m,2H)、1.63−1.51(m,4H)、1.39−1.23(m,8H)。
【0275】
化合物30:化合物29(133g、0.5635モル)を1.5LのDCM中に溶解し、CBr(280.35g、0.8456モル)を、この撹拌溶液に加え、不活性雰囲気下で反応混合物を0℃まで冷却した。次いでPPh(251.03g、0.9571モル)を、20℃未満の温度を保ちながら、少量ずつ添加した。添加完了後に、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応の完了後に、反応混合物から沈殿した固体(PPhO)を濾過により除去し、濾液を砕氷(約1.5kg)で希釈し、DCM(3×750mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥し、真空下で蒸留した。得られた粗化合物を、溶出系としてヘキサン中0〜5%の酢酸エチルを使用して、60〜120メッシュのシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーを行い、化合物30(150g、89%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.25(m,5H)、4.49(s,2H)、3.47−3.41(m,2H)、3.41−3.37(m,2H)、1.86−1.80(m,4H)、1.62−1.56(m,2H)、1.42−1.29(m,8H)。
【0276】
化合物31:新たに活性化した削り屑状Mg(24.08g、1.003モル)に200mLの無水THFを加え、続いて不活性雰囲気下でヨウ素一摘みをこの混合物に添加した。1Lの乾燥THF中化合物30(150g、0.5016モル)の溶液を、発熱反応を制御しながら、ゆっくりと加えた。反応物を1時間加熱還流し、次いで室温に冷却した。次いでギ酸メチル(60.24g、1.0033モル)をゆっくりと加え、2時間にわたって反応を続けた。反応完了後に、10%HCl、続いて水(1L)をゆっくりと添加することにより反応物を急冷し、酢酸エチル(3×1L)で抽出した。有機層を5リットルのビーカーに採取し、500mLのメタノールで希釈し、0℃に冷却した。この溶液に、過剰量のNaBH(約5当量)を少しずつ加え、HClの添加によって切断されないギ酸エステルの加水分解を確実にした。得られた溶液を1時間撹拌し、次いで揮発性物質を真空下で除去した。残渣を水(1L)中に取り上げ、10%のHCl溶液(pH4)で酸性化した。次いで、生成物を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。次いで有機相を乾燥し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、所望の化合物31(57g、24%)を固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ=7.35−7.32(m,8H)、7.29−7.24(m,2H)、4.49(s,4H)、3.56(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.63−1.56(m,4H)、1.44−1.34(m,28H)。13CNMR(100 MHz、CDCl):δ=138.56、128.21、127.49、127.34、72.72、71.76、70.37、37.37、29.64、29.56、29.47、29.33、26.07、25.54。
【0277】
化合物32:化合物31(56g、0.1196モル)を700mLの乾燥THF中に溶解し、0℃に冷却した。TBSCl(36.06g、0.2396モル)ゆっくりと加え、続いて不活性雰囲気下でイミダゾール(32.55g、0.4786モル)を添加した。次いで反応物を室温で18時間にわたって撹拌した。完了時に、反応物を氷(約1kg)で急冷し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、酸性不純物を除去し、NaSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗化合物を得て、これをシリカゲル(60〜120メッシュ)により精製し、0〜10%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、化合物32(60g、82%)を帯黄色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,10H)、4.49(s,4H)、3.60−3.57(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.61−1.54(m、4H)、1.41−1.26(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0278】
化合物33:化合物32(60g、0.1030モル)を500mLの酢酸エチル中に溶解し、Nで20分間脱気した。炭素上の(10重量%)Pd(12g)を加え、反応物を水素の雰囲気下で18時間にわたって撹拌した。撹拌完了後、セライト層を通して混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空下で蒸発させて、化合物33を得て(19g、46%)、これは次の合成シーケンスでの使用のために十分に純粋であった。H NMR(400MHz、CDCl):δ=3.64−3.58(m,5H)、1.59(br,2H)、1.57−1.51(m,4H)、1.38−1.22(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0279】
化合物34:化合物33(8.2g、0.0199モル)を100mLの乾燥DCM中に溶解し、0℃に冷却した。TEA(22.14mL、0.1592モル)を不活性雰囲気下で加えた。混合物を5分間撹拌した後に、塩化メシル(4.6mL、0.059モル)を滴加し、反応物を更に3時間撹拌した。反応完了後に、混合物を氷(約200g)で急冷し、DCM(3×75mL)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させて、粗化合物を得て、これを、溶出系としてヘキサン中0〜30%の酢酸エチルを用いて、60〜120メッシュのシリカゲルカラムで精製し、化合物34(8.2g、73%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=4.22−4.19(m,4H)、3.60−3.58(m,1H)、2.99(s,6H)、1.75−1.69(m,4H)、1.38−1.28(m,28H)、0.86(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0280】
化合物35:400mLの乾燥エーテル中、化合物34(8.2g、0.0146モル)の溶液に、MgBrEtO(22.74g、0.08817モル)を、窒素雰囲気下で0℃において少量ずつ加えた。添加の完了後に、反応混合物を28時間にわたって加熱還流した。反応の完了後に、反応において形成された無機物質を濾過により除去した。濾液を蒸発させて、得られた粗化合物を、溶出系としてヘキサン中0〜3%の酢酸エチルを用いて、60〜120メッシュのシリカゲルカラム上で精製し、化合物35(6.6g、85%)を無色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=3.61−3.58(m,1H)、3.41−3.37(t,4H,J=6.8Hz)、1.87−1.80(m,4H)、1.42−1.25(m,24H)、0.87(s,9H)、0.012(s,6H)。
【0281】
化合物36:60mLの乾燥THF中のエチニルトリメチルシラン(5.3mL、0.0378モル)の溶液を−78℃まで冷却し、ヘキサン中、1.4Mのn−BuLi(23mL、0.03405モル)を不活性雰囲気下でゆっくりと加えた。反応物を10分間撹拌し、次いでHMPA(2.3g、0.01324モル)を加え、次いで得られた混合物を0℃で2時間撹拌し、その後−78℃に冷却した。これに、60mLの乾燥THF中の化合物35(5g、0.0094モル)の溶液をゆっくりと加え、添加の完了後に、反応物を室温まで暖め、室温で18時間維持した。反応の進行をH NMRで監視した。反応完了後に、反応混合物を0℃に冷やし、飽和NHCl溶液(50mL)、続いて水(200mL)を注意深く添加することによって急冷した。水相をヘキサン(3×250mL)で抽出した。有機層を乾燥し、真空下で溶媒を除去し、化合物36(5g、94%)を得て、これを更なる精製をすることなく使用した。H NMR(400MHz、CDCl)δ=3.62−3.56(m,1H)、2.21−2.17(m,4H)、1.49−1.47(m,4H)、1.37−1.26(m、24H)、0.87(s,9H)、0.13(s,18H)、0.021(s,6H)。
【0282】
化合物37:50mLのメタノール中の化合物36(5g、0.0088モル)の撹拌溶液に、KCO(6.1g、0.044モル)を一度に加え、得られた混合物を周囲温度で18時間にわたって撹拌した。次いで、ロータリーエバポレーターで揮発性物質を除去し、粗混合物を100mLの水で希釈し、ヘキサン(3×100mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥し、真空下で蒸発させて、化合物37(3.5g、97%)を得て、これを更に精製することなく使用した。H NMR(400MHz、CDCl):δ=3.60−3.58(m,1H)、2.19−2.14(m,4H)、1.93−1.92(m,2H)、1.54−1.49(m,4H)、1.37−1.27(m、24H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0283】
化合物39:化合物37(2.5g、0.00598モル)を25mLの乾燥THF中に溶解し、−40℃に冷却した。n−BuLi(ヘキサン中1.4M、12.9mL、0.01794モル)をゆっくりと添加し、続いて、10分間おいて、HMPA(25mL)をゆっくりと加えた。得られた混合物を窒素雰囲気下、−40℃で30分間維持した。次いで、25mLの乾燥THF中の化合物38(3.5g、1.01196モル)の溶液を、冷却した反応混合物に滴加した。得られた混合物を2時間かけて室温まで暖めて、次いで室温で18時間にわたって撹拌した。次いで、飽和NHCl溶液(約50mL)を加えることで急冷し、生成物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。溶媒をロータリーエバポレーター上で除去し、得られた粗生成物を、溶出系としてジクロロメタン中0〜3%の酢酸エチルを用いて、(100〜200メッシュ)シリカゲルカラムによって精製し、化合物39(0.9g、18%)を黄色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=4.56−4.55(m,2H)、3.87−3.83(m,2H)、3.74−3.68(m,2H)、3.59−3.57(m,1H)、3.49−3.46(m,2H)、3.39−3.33(m,2H)、2.13−2.10(m,8H)、1.87−1.75(m,2H)、1.74−1.66(m,2H)、1.57−1.42(m,20H)、1.40−1.19(m、40H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0284】
化合物40:10mLの乾燥エーテル中の化合物39(504mg、0.598ミリモル)の溶液に、MgBrEtO(926mg、3.59ミリモル)を加えた。反応混合物を14時間にわたって撹拌し、次いで、飽和NaHCO水溶液を加えることで急冷した。生成物をCHClで抽出した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物40を得た(307mg、0.455ミリモル、76%、R=0.36(ヘキサン:EtOAc=2:1で展開))。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.59−3.66(m,5H)、2.14(t,J=6.6Hz,8H)、1.21−1.59(m、52H)、0.88(s,9H)、0.03(s,6H)。
【0285】
化合物41:無水DMF(5mL)中、化合物40(180mg、0.267ミリモル)の溶液に、ピリジニウムジクロメート(603mg、1.60ミリモル)を加えた。反応混合物を、48時間にわたって撹拌した。水(20mL)による希釈の後に、混合物をEtO(3×40mL)で抽出した。有機層をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物41を得た(53mg、0.075ミリモル、28%、R=0.25(CHCl:MeOH:AcOH=95:4.5:0.5で展開))。C4377Siについての分子量は、(M−H)計算値が701.5540であり、実測値が701.5であった。この化合物は、TEMPO酸化によって合成することが可能である。
【0286】
化合物42:化合物19について記載されたものに類似する手順で、化合物42を得た(23mg、0.032ミリモル、化合物40から21%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.67(s,6H)、3.59−3.62(m,1H)、2.30(t,J=7.5Hz,4H)、2.13(t,J=6.8Hz,8H)、1.27−1.64(m、48H)、0.88(s,9H)、0.03(s,6H)。
【0287】
P−2ニッケル条件を使用する還元は、化合物43を与えることが可能であり、引き続いてのTBAFによる脱保護で化合物8を得ることができる。
【0288】
実施例5:化合物8の代替合成
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
化合物8は、スキーム5で示した通りに合成され得る。臭化物51は、そのグリニャール試薬に変換され、次いでギ酸エチルと結合して、化合物52を得ることができる。その後の酸処理、酸化、及び還元によって、化合物8を得ることができる。
【0289】
実施例6:化合物8の代替合成
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
化合物8は、スキーム6で示した通りに合成され得る。化合物58、60、又は62のいずれかの臭化物は、ギ酸エチルと反応し、末端官能化ジ−オレフィン鎖を生成することが可能である。次いで化合物8は、標準化学反応を用いて、このジオレフィン鎖から調製することができる。
【0290】
実施例7:末端エステル脂質についての一般的合成スキーム
【化97】
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スキーム7に示すように、鎖長さ及びリンカー長さ並びに窒素原子上のエステル官能基及び置換基中のアルキル基が誘導され得る。
【0291】
実施例8:末端エステル脂質についての一般的合成スキーム2
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム8に示したように、銅媒介カップリングが、末端官能基を備える脂質鎖を含有するジ−インをもたらし、これは容易に還元され、脂質鎖を含有するジ−エンを生成することが可能である。リンカー及び脂質鎖の長さ並びに官能置換基(R、R、R)が誘導され得る。
【0292】
実施例9:末端ベンジルエステル脂質の合成
【化99】
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化合物201:化合物7(1.30g、1.51ミリモル)を、THF(25mL)及びHO(5mL)中、水酸化リチウム一水和物(317mg、7.55ミリモル)で処理した。アンバーライトIR−120(プラス)イオン交換樹脂を加え、その後10分間撹拌した。得られた透明溶液を濾過し、THF/HOで洗浄し、蒸発させた。トルエンとの同時蒸発により化合物201を得た(1.22g、1.47ミリモル、97%)。C5385Siの分子量については、(M−H)計算値が829.6166で、実測値が829.5であった。
【0293】
化合物202:化合物9について記載されたものに類似する手順をベンジルアルコール及び201(101mg、0.121ミリモル)で行い、化合物202(87mg、0.0860ミリモル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.68−7.66(m,4H)、7.42−7.30(m,16H)、5.38−5.30(m,4H)、5.11(s,4H)、3.71−3.68(m,1H)、2.35(t,J=7.6Hz,4H)、2.04−1.97(m,8H)、1.66−1.62(m,4H)、1.40−1.07(m,44H)、1.04(s,9H)。
【0294】
化合物203:化合物8について記載されたものに類似する手順を202(342mg、0.338ミリモル)で行い、化合物202(136mg、0.176ミリモル、52%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.38−7.30(m,10H)、5.38−5.30(m,4H)、5.11(s,4H)、3.57(brs,1H)、2.35(t,J=7.6Hz,4H)、2.01−1.98(m,8H)、1.66−1.60(m,4H)、1.45−1.25(m,44H)。
【0295】
化合物204:化合物9について記載されたものに類似する手順を203(133mg、0.172ミリモル)で行い、化合物204(93mg、0.105ミリモル、61%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.38−7.26(m,10H)、5.38−5.30(m,4H)、5.11(s,4H)、4.88−4.83(m,1H)、2.37−2.27(m,8H)、2.22(s,6H)、2.03−1.97(m,8H)、1.81−1.26(m,50H)。
【0296】
実施例10:末端t−ブチルエステル脂質及び誘導体の合成
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
化合物206:化合物12について記載されたものに類似する手順を205(3.80g、0.761ミリモル)及び化合物4(1.75g、3.17ミリモル)で行い、化合物206(2.00g、2.12ミリモル、67%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.68−7.66(m,4H)、7.42−7.33(m,6H)、5.39−5.31(m,4H)、3.71−3.68(m,1H)、2.20(t,J=7.6Hz,4H)、2.01−1.98(m,8H)、1.59−1.55(m,4H)、1.44(s,18H)、1.41−1.11(m,44H)、1.04(s,9H)。
【0297】
化合物207:化合物8について記載されたものに類似する手順を206(265mg、0.281ミリモル)で行い、化合物207(161mg、0.228ミリモル、81%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.38−5.30(m,4H)、3.58(brs,1H)、2.20(t,J=7.4Hz,4H)、2.01−1.98(m,8H)、1.59−1.55(m,4H)、1.44(s,18H)、1.35−1.26(m,44H)。
【0298】
化合物208:化合物9について記載されたものに類似する手順を207(158mg、0.224ミリモル)で行い、化合物208(138mg、0.169ミリモル、75%)を得た。C5196NOについての分子量は、(M+H)計算値が818.7238で、実測値が818.7であった。
【0299】
化合物209:化合物208(148mg、0.181ミリモル)を、CHCl(6mL)中のTFA(1.5mL)で2.5時間処理した。蒸発及びトルエンとの同時蒸発後に、化合物209(154mg、定量的)を得た。C4380NOについての分子量は、(M+H)計算値が706.5980で、実測値が706.5であった。
【0300】
化合物210:化合物9について記載されたものに類似する手順を209(0.061ミリモル)及びシス−2−ヘキセン−1−オール(18.3mg、0.183ミリモル)で行い、化合物210(32mg、0.0368ミリモル、60%)を得た。C55100NOについての分子量は、(M+H)計算値が870.7551で、実測値が870.5であった。
【0301】
実施例11:内部エステル/アミド脂質−1の合成
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
化合物213:化合物211(503mg、1.0ミリモル)を、CHCl(35mL)及びDIPEA(1.74mL、10ミリモル)中212(533mg、3.0ミリモル)で14時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理後に、化合物213(506mg、0.748ミリモル、75%)を得た。C4178についての分子量は、(M+H)計算値が676.5992で、実測値が676.4であった。
【0302】
化合物215:化合物211(503mg、1.0ミリモル)を、CHCl(35mL)中214(469mg、3.0ミリモル)及びKCO(1.38g、10ミリモルで14時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理後に、化合物215(244mg、0.346ミリモル、35%)を得た。C4380NOについての分子量は、(M+H)計算値が706.5986で、実測値が706.4であった。
【0303】
化合物217:化合物211(425mg、0.845ミリモル)を、CHCl(35mL)中216(525mg、3.08ミリモル)及びKCO(1.17g、8.45ミリモルで14時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理後に、化合物217(407mg、0.554ミリモル、66%)を得た。C4584NOについての分子量は、(M+H)計算値が734.6299で、実測値が734.4であった。
【0304】
化合物219:化合物211(503mg、1.0ミリモル)を、CHCl(35mL)中218(595mg、3.0ミリモル)及びKCO(1.38g、10ミリモル)で14時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理後に、化合物219(519mg、0.657ミリモル、66%)を得た。C4992NOについての分子量は、(M+H)計算値が790.6925で、実測値が790.7であった。
【0305】
実施例12:内部エステル脂質−223の合成
【化102】
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化合物221:化合物9について記載されたものに類似する手順を220(390mg、1.93ミリモル)及び218(765mg、3.86ミリモル)で行い、化合物221(878mg、1.56ミリモル、81%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.67−5.61(m,2H)、5.54−5.48(m,2H)、4.62(d,J=6.8Hz,4H)、2.47(t,J=7.2Hz,4H)、2.33(t,J=7.2Hz,4H)、2.12−2.06(m,4H)、1.93−1.86(m,4H)、1.38−1.26(m,32H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
【0306】
化合物222:化合物221(318mg、0.565ミリモル)を、CHCl(5mL)及びAcOH(0.2mL)中NaBH(OAc)(360mg、1.70ミリモル)で16時間にわたって処理した。蒸発、カラムクロマトグラフィー後に、化合物222(141mg、0.250ミリモル、44%)を得た。C3565についての分子量は、(M+H)計算値が565.4832で、実測値が565.4であった。
【0307】
化合物223:化合物9について記載されたものに類似する手順を222(137mg、0.243ミリモル)で行い、化合物223(137mg、0.202ミリモル、83%)を得た。C4176NOについての分子量は、(M+H)計算値が678.5673で、実測値が678.5であった。
【0308】
実施例13:内部エステル脂質−227の合成
【化103】
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化合物225:化合物9について記載されたものに類似する手順を224(200mg、0.774ミリモル)及び216(264mg、1.55ミリモル)で行い、化合物225(341mg、0.606ミリモル、78%)を得た。C3562NaOについての分子量は、(M+Na)計算値が585.4495で、実測値が585.5であった。
【0309】
化合物226:化合物225(283mg、0.503ミリモル)を、THF(5mL)及びAcOH(0.2mL)中、NaBH(57mg,1.51ミリモル)で8時間にわたって処理した。蒸発、カラムクロマトグラフィーを行った後に、化合物226(185mg、0.328ミリモル、65%)を得た。C3564NaOについての分子量は(M+Na)計算値が587.4651、実測値が587.3であった。
【0310】
化合物227:化合物9について記載されたものに類似する手順を226(230mg、0.407ミリモル)で行い、化合物227(248mg、0.366ミリモル、90%)を得た。C4176NOについての分子量は、(M+H)計算値が678.5673で、実測値が678.5であった。
【0311】
実施例14:リノレイル鎖を有する末端エステル脂質−232の合成
【化104】
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化合物230:化合物7について記載されたものに類似する手順を228(3.27g、6.0ミリモル)及び4(1.27g、2.30ミリモル)で行い、化合物230(1.31g、1.53ミリモル、67%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.68−7.66(m,4H)、7.42−7.33(m,6H)、5.42−5.29(m,8H)、3.71−3.68(m,1H)、3.66(s,6H)、2.77(t,J=5.8Hz,4H)、2.33−2.28(m,4H)、2.11−2.01(m,8H)、1.69−1.60(m,4H)、1.43−1.10(m,32H)、1.04(s,9H)。
【0312】
化合物231:化合物8について記載されたものに類似する手順を230(1.30g、1.52ミリモル)で行い、化合物231(611mg、0.990ミリモル、65%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.41−5.29(m,8H)、3.67(s,6H)、3.58(brs,1H)、2.77(t,J=5.8Hz,4H)、2.32(t,J=7.4Hz,4H)、2.10−2.00(m,8H)、1.69−1.60(m,4H)、1.43−1.29(m,32H)。
【0313】
化合物232:化合物9について記載されたものに類似する手順を231(520mg、0.843ミリモル)で行い、化合物232(600mg、0.822ミリモル、97%)を得た。C4580NOについての分子量は、(M+H)計算値が730.5986で、実測値が730.5であった。
【0314】
実施例15:リノレイル鎖を有する末端エステル脂質の合成
【化105】
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化合物231はまた、スキーム15に示した通りに合成した。
【0315】
化合物112:化合物111(840mg、2.69ミリモル)を、MeOH(40mL)中ジメチル(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)ホスホネート(0.970mL、6.46ミリモル)及びKCO(1.49g、10.8ミリモル)で6時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理の後に、化合物112(700mg、2.30ミリモル、86%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.58(brs,1H)、2.18(td,J=7.1,2.6Hz,4H)、1.94(t,J=2.6Hz,2H)、1.56−1.25(m,28H)。
【0316】
化合物234:化合物112(207mg、0.680モル)を、DMF(3.5mL)中、233(316mg、1.36ミリモル)、KCO(282mg、2.04ミリモル)、NaI(408mg、2.72ミリモル)及びCuI(518mg、2.72ミリモル)で18時間にわたって処理した。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理の後に、化合物234(292mg、0.480ミリモル、71%)を得た。C3961についての分子量は、(M+H)計算値が609.4519で、実測値が609.5であった。
【0317】
化合物231:EtOH(28.5mL)中の酢酸ニッケル(II)四水和物(533mg、2.14ミリモル)の撹拌溶液に、EtOH(2.14mL)中、NaBHの1M溶液を室温で加えた。30分後、エチレンジアミン(0.574mL、8.57ミリモル)及びEtOH(3mL)中、234(290mg、0.476ミリモル)の溶液を加え、次いで1時間撹拌した。セライトを通して反応物を濾過し、蒸発させた。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理の後に、化合物231(219mg、0.355ミリモル、75%)を得た。C3969についての分子量は、(M+H)計算値が617.5145で、実測値が617.3であった。
【0318】
実施例16:内部オキシム脂質−238の合成
【化106】
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化合物237:化合物235(465mg、1.78ミリモル)を、EtOH(15mL)中ヒドラジン一水和物(64〜65%、0.135mL、1.78ミリモル)で4時間処理した。濾過、次いで蒸発の後に、粗生成物をEtOH(5mL)中に再懸濁させた。この溶液に、化合物111(160mg、0.512ミリモル)及びAcOH(数滴)を加えた。水処理、次いでカラムクロマトグラフィー処理の後に、化合物237(165mg、0.306ミリモル、60%)を得た。C3367についての分子量は、(M+H)計算値が539.5152で、実測値が539.3であった。
【0319】
化合物238:化合物9について記載されたものに類似する手順を237(162mg、0.301ミリモル)で行い、化合物238(168mg、0.258ミリモル、86%)を得た。C3978についての分子量は、(M+H)計算値が652.5992で、実測値が652.4であった。
【0320】
実施例17
【化107】
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8−ベンジルオキシ−オクタン−1−オール(240):500mLの無水DMF中のNaH(油中60%、82g、1.7096モル)の撹拌懸濁液に、1.5LのDMF中化合物239(250g、1.7096モル)の溶液を、滴下漏斗を用いて、0℃でゆっくりと加えた。反応混合物を30分間撹拌し、次いで臭化ベンジル(208.86mL、1.7096モル)を窒素雰囲気下でゆっくりと加えた。次いで、反応物を周囲温度まで暖め、10時間にわたって撹拌した。反応完了後に、混合物を砕氷(約2kg)で急冷し、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。有機相を水(1L)で洗浄して、不必要なDMFを除去し、NaSO上で乾燥し、真空中で蒸発乾固した。粗化合物を、DCM中0〜5%のMeOHで溶出して、60〜120メッシュのシリカゲル上で精製し、化合物240(220g、54%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,5H)、4.49(s,2H)、3.63−3.60(m,2H)、3,47−3.43(m,2H)、1.63−1.51(m,4H)、1.39−1.23(m,8H)。
【0321】
(8−ブロモ−オクチルオキシメチル)−ベンゼン(241):化合物240を、1.5LのDCM中に溶解し、CBr(280.35g、0.8456モル)を、この撹拌溶液に加え、不活性雰囲気下で反応混合物を0℃まで冷却した。次いで、20℃未満の温度を維持しながら、PPh(251.03g、0.9571モル)を少しずつ加え、添加完了後に、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応完了後に、反応混合物から沈殿した固体(PPhO)を濾過により単離し、濾液を砕氷(約1.5kg)で希釈し、DCM(3×750mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥し、真空中で蒸留した。得られた粗化合物を溶出系としてヘキサン中0〜5%の酢酸エチルを用いて、60〜120メッシュのシリカゲル上でクロマトグラフィーを行い、化合物241(150g、89%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.25(m,5H)、4.49(s,2H)、3,47−3.41(m,2H)、3.41−3.37(m,2H)、1.86−1.80(m,4H)、1.62−1.56(m,2H)、1.42−1.29(m,8H)。
【0322】
17−ビス−ベンジルオキシ−ヘプタデカン−9−オール(242):新たに活性化した削り屑状Mg(24.08g、1.003モル)に200mLの無水THFを加え、続いて不活性雰囲気下でヨウ素一摘みをこの混合物に添加した。グリニヤール形成の開始後に、1Lの乾燥THF中化合物241(150g、0.5016モル)の溶液を、発熱反応を制御しながら、ゆっくりと加えた。添加完了後、反応物を1時間加熱還流し、次いで室温に冷却した。次いでギ酸メチル(60.24g、1.0033モル)をゆっくりと加え、2時間にわたって反応を続けた。反応完了後に、10%HCl、続いて水(1L)をゆっくりと添加することにより反応物を急冷し、酢酸エチル(3×1L)で抽出した。有機層を5リットルのビーカーに採取し、500mLのメタノールで希釈し、0℃に冷却した。この溶液に、過剰量のNaBH(約5当量)を少量ずつ加え、HClの添加によって切断されないギ酸エステルの加水分解を確実にした。得られた溶液を1時間撹拌し、次いで揮発性物質を真空下で除去した。残渣を水(1L)中に取り上げ、10%のHCl溶液(p4)で酸性化した。次いで、生成物を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。次いで有機相を乾燥し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、化合物242(57g、24%)を固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.35−7.32(m,8H)、7.29−7.24(m,2H)、4.49(s,4H)、3.56(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.63−1.56(m,4H)、1.44−1.34(m,28H)。C13NMR(100 MHz、CDCl):δ=138.56、128.21、127.49、127.34、72.72、71.76、70.37、37.37、29.64、29.56、29.47、29.33、26.07、25.54。
【0323】
[9−ベンジルオキシ−1−(8−ベンジルオキシ−オクチル)−ノニルオキシ]−tert−ブチル−ジメチル−シラン(243):化合物242(56g、0.1196モル)を700mLの無水THF中に溶解し、0℃に冷却した。TBM−SCl(36.06g、0.2396モル)ゆっくりと加え、続いて不活性雰囲気下でイミダゾール(32.55g、0.4786モル)を添加した。次いで反応物を室温で18時間にわたって撹拌し、その後、氷(約1kg)で急冷した。生成物を酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、酸性不純物を除去し、NaSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗化合物を生成し、これをシリカゲル(60〜120メッシュ)により精製し、0〜10%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、化合物243(60g、82%)を帯黄色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,10H)、4.49(s,4H)、3.60−3.57(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.61−1.54(m、4H)、1.41−1.26(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0324】
9−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘプタデカン−1,17−ジオール(244):化合物243(60g、0.1030モル)を500mLの酢酸エチル中に溶解し、Nで20分間脱気した。炭素上の(10重量%)Pd(12g)を加え、反応物を水素の雰囲気下で18時間にわたって撹拌した。撹拌完了後、セライト層を通して混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空下で蒸発させた。このようにして得られた化合物244(19g、46%)は、次の反応を実行するために、十分に純粋であった。H NMR(400MHz、CDCl)δ=3.64−3.58(m,5H)、1.59(br,2H)、1.57−1.51(m,4H)、1.38−1.22(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0325】
9−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘプタデカンジオン酸(245):無水DMF(40mL)中の244(2g、0.0049モル)の撹拌溶液に、不活性雰囲気下で0℃においてピリジニウムジクロメート(2.7g、0.0074モル)を加えた。次いで、反応混合物を、10〜15分の時間をかけて室温まで暖め、24時間続けた。次いで、反応物を水(100mL)で希釈した。、DCM(3×40mL)を使用して水相を抽出した。有機相を塩水(1×25mL)で洗浄し、真空下で濃縮して、粗酸を得て、その後これを、ヘキサン中0〜30%の酢酸エチル系を使用して、(100〜200メッシュ)シリカゲルカラムによって精製した。純粋な生成物(245)を、淡黄色油状物として得た(0.7g、33%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ=3.61−3.56(m,1H)、2.35−2.32(m,4H)、1.64−1.59(m,4H)、1.40−1.19(m,24H)、0.86(s,9H)、0.017(s,6H);LC−MS[M+H]−431.00;HPLC(ELSD)純度−96.94%。
【0326】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(246):二価酸245(0.42g、0.97ミリモル)を20mLのジクロロメタン中に溶解し、これに、シス−2−ノネン−1−オール(0.35g、2.44ミリモル)を加え、続いてヒューニッヒの塩基(0.68g、4.9ミリモル)及びDMAP(12mg)を加えた。この混合物に、EDCI(0.47g、2.44ミリモル)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物をCHCl(40mL)で希釈し、飽和NaHCO(50mL)、水(60mL)及び塩水(60mL)で洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥し、真空中で溶媒を除去した。このようにして得られた粗生成物を、Combiflash Rf精製システム(40gのシリカゲル、CHCl中0〜10%のMeOH)により精製し、純粋な生成物246(0.35g、53%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl):H NMR(400MHz、CDCl)δ5.64(dt,J=10.9,7.4Hz,2H)、5.58−5,43(m、2H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、3.71−3.48(m、1H)、2.30(t,J−7.6Hz,4H)、2.20−1.98(m,4H)、1.71−1.53(m,4H)、1.31(ddd,J−8.3,7.0,3.7Hz,34H)、1.07−0.68(m、14H)、0.02(s,5H)。13CNMR(101 MHz、CDCl)δ 178.18、139.81、127.78、81.73、81.42、81.10、76.72、64.59、41.52、41.32、38.76、36.09、34.10、33.93、33.80、33.70、33.59、33.55、33.26、31.95、30.34、29.69、29.58、29.39、27.01、22.56、18.48、0.01。
【0327】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−ヒドロキシヘプタデカンジオエート(247):シリル保護化ジエステル246(0.3g、0.44ミリモル)を、THF(6mL)中TBAFの1M溶液中に溶解し、この溶液を40℃で2日間保持した。反応混合物を、水(60mL)で希釈し、エーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、このようにして得られた粗生成物を、カラムで精製し、純粋な生成物を単離した(0.097g、39%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.64(dt,J=10.9,7.4Hz,2H)、5.52(dt,J=11.0,6.8Hz,2H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、3.57(s,1H)、2.30(t、J=7.5Hz,4H)、2.09(q、J=7.1Hz,4H)、1.75−1.53(m,4H)、1.53−1.06(m,36H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13CNMR(101 MHz、CDCl)δ173.98、135.64、123.57、77.54、77.22、76.91、72.14、60.41、37.69、34.54、31.89、29.70、29.60、29.44、29.29、29.07、27.76、25.80、25.15、22.82、14.29。
【0328】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート:アルコール247(0.083g、0.147ミリモル)を、20mLのジクロロメタン中に溶解し、これにジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.030g、0.176ミリモル)を加え、続いて、ヒューニッヒの塩基(0.045g、0.44ミリモル)及びDMAP(2mg)を加えた。この混合物に、EDCI(0.034g、0.176ミリモル)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(シリカゲル、CHCl中10%のMeOH)が、出発アルコールの完全な消失を示した。反応混合物をCHCl(40mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(50mL)、水(60mL)及び塩水(60mL)で洗浄した。合わせた有機層を無水NaSO上で乾燥し、真空中で溶媒を除去した。このようにして得られた粗生成物を、Combiflash Rf精製システム(40gのシリカゲル、CHCl中0〜10%のMeOH)により精製し、純粋な生成物(0.062g、62%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.74−5.58(m,2H)、5.51(dtt,J=9.7,6.8,1.3Hz,2H)、4.95−4.75(m,1H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、2.35−2.24(m,8H)、2.22(d,J=7.9Hz,6H)、2.09(q,J=6.9Hz,4H)、1.83−1.72(m,2H)、1.60(dd,J=14.4,7.2Hz,4H)、1.49(d,J=5.7Hz,4H)、1.41−1.13(m,30H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H)。13CNMR(101 MHz、CDCl):δ173.72、173.36、135.40、123.35、74.12、60.18、58.95、45.46、34.30、34.11、32.45、31.67、29.38、29.35、29.17、29.07、28.84、27.53、25.28、24.93、23.16、22.59、14.06。C4175NOのMW:計算値(MH):678.04、実測値:678.5。
【0329】
実施例18
以下のより短い経路を、本発明の化合物1の類似体の合成に使用した。市販の9−ブロモノン−1−エン248を、マグネシウムで処理して、対応のグリニヤード試薬を形成し、これをエチルホルメートと反応させて、対応の付加物249を得て、このブロモブチリルクロリドによる処理が、ブロモエステル250をもたらした。ブロモエステル250のRuOによる処理が、二価酸251をもたらした。ブロモ二価酸251のジメチルアミンによる処理が、アミノ二価酸252をもたらした。DMFの存在下での二価酸252の塩化オキザリルによる処理が、二価酸塩化物253をもたらした。脂質254a−nは、酸塩化物253を対応のアルコールで処理することにより合成した。
【化108】
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【0330】
【表60】
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【0331】
【表61】
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【0332】
【表62】
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【0333】
【表63】
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【0334】
【表64】
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【0335】
【表65】
[この文献は図面を表示できません]
【0336】
ノナデカ−1,18−ジエン−10−オール(249)の合成
火炎乾燥した500mLのRBフラスコに、新たに活性化した削り屑状Mg(9g)を加え、フラスコに、磁気撹拌バー、追加の漏斗及び還流冷却器を取り付けた。このセットアップを脱気し、アルゴンを流し、注射器を通してフラスコに100mLの無水エーテルを添加した。臭化物3(51.3g、250ミリモル)を無水エーテル(100mL)中に溶解し、追加の漏斗に添加した。このエーテル溶液の約5mLを、激しく撹拌しながら、削り屑状Mgに加えた。発熱反応が認められ(グリニヤール試薬形成を確認/加速するために、5mgのヨウ素を加え、即時の脱色を観察し、グリニヤール試薬の形成を認めた)、エーテルの還流を始めた。水中でフラスコを冷やすことにより穏やかな還流を続けながら、この臭化物の溶液の残りを滴加した。添加の完了後に、反応混合物を35℃で1時間保持し、次いで氷浴で冷却した。ギ酸エチル(9g、121ミリモル)を無水エーテル(100mL)中に溶解し、追加の漏斗に移し、撹拌しながら反応混合物に滴加した。発熱反応が観察され、反応混合物の還流を開始した。反応の開始後、ギ酸塩のエーテル性溶液の残りをストリームとして迅速に添加し、反応混合物を周囲温度で更に1時間にわたって撹拌した。10mLのアセトンを滴加し、続いて氷冷水(60mL)を加えることによって、反応物を急冷した。この溶液が均一になり、層が分離するまで、反応混合物を、HSO水溶液(10体積%、300mL)で処理した。水相をエーテル(2×200mL)で抽出した。合わせたエーテル層を乾燥し(NaSO)、濃縮して、粗生成物を得て、これをカラム(シリカゲル、ヘキサン中0〜10%のエーテル)クロマトグラフィーにより精製した。生成物フラクションを蒸発させて、純粋な生成物249を白色固体として得た(30.6g、90%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.26(s,1H)、5.81(ddt,J=16.9,10.2,6.7Hz,8H)、5.04−4.88(m,16H)、3.57(dd,J=7.6,3.3Hz,4H)、2.04(q,J=6.9Hz,16H)、1.59(s,1H)、1.45(d,J=7.5Hz,8H)、1.43−1.12(m,94H)、0.88(t,J=6.8Hz,2H)。13CNMR(101 MHz、cdcl):δ139.40、114.33、77.54、77.22、76.90、72.21、37.70、34.00、29.86、29.67、29.29、29.12、25.85。
【0337】
ノナデカ−1,18−ジエン−10−イル−4−ブロモブタノエート(250)の合成
無水DCM(300mL)中、アルコール249(5.6g、20モル)の溶液に、塩化ブロモブチル(20ミリモル)を、不活性雰囲気下0℃でゆっくりと注意深く加えた。反応混合物を室温まで暖め、20時間にわたって撹拌し、TLC(シリカゲル、ヘキサン中10%の酢酸エチル)により監視した。反応の完了時に、混合物を水(400mL)で希釈し、有機層を分離した。次いで有機相をNaHCOの飽和溶液(1×400mL)、続いて塩水(1×100mL)で洗浄し、真空下で濃縮した。次いで粗生成物を、ヘキサン中2〜3%の酢酸エチル溶液で溶出するシリカゲル(100〜200メッシュ)カラムで精製し、所望の生成物250の6g(90%)を無色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.80(ddt,J=16.9,10.2,6.7Hz,2H)、5.05−4.81(m,5H)、3.46(t,J=6.5Hz,2H)、2.48(t,J=7.2Hz,2H)、2.17(p,J=6.8Hz,2H)、2.11−1.93(m,4H)、1.65−1.44(m,4H)、1.43−1.17(m,19H)。13CNMR(101 MHz、cdcl):δ172.51、139.37、114.35、77.54、77.23、76.91、74.86、34.31、33.99、33.01、32.96、29.65、29.56、29.24、29.09、28.11、25.52。
【0338】
9−((4−ブロモブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオン酸(251)の合成
ジクロロメタン(300mL)及びアセトニトリル(300mL)中、ブロモエステル250(12.1g、28.2ミリモル)の溶液に、RuCl(1.16g、5モル%)を加え、反応混合物を10℃まで冷やし、水(400mL)中、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(60g)を滴加した。これを10℃で20時間にわたり撹拌した。反応混合物を水で希釈した。層を分離し、有機層に、飽和ブライン溶液を撹拌しながら加え、続いて、脱色(暗緑色から淡黄色)のために3%の亜硫酸ナトリウム溶液を滴加した。層を分離し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧で蒸発させて、純粋な生成物を得た。C2035BrOについてのMWは計算値:467.39;実測値465.4(M−2H)。H NMR(400MHz、DMSO)δ11.94(s,2H)、4.88−4.69(m,1H)、3.53(t,J=6.6Hz,2H)、2.43(t,J=7.2Hz,2H)、2.17(t、J=7,4Hz,4H)、2.09−1.95(m、2H)、1.90(s、3H)、1.46(s、7H)、1.23(s、15H)。
【0339】
9−((4−ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオン酸(252)の合成
ブロモ酸251(2ミリモル)をTHF(20mL)中、ジメチルアミンの2M溶液中に溶解し、これに1gの無水KCOを加え、混合物を加圧瓶中50℃にて一晩加熱した。TLCが反応の完了を示した。反応混合物を酢酸で酸性化し、水(100mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×60mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮乾固し、次の反応において使用した。C2343NOについてのMWは計算値:429.59;実測値430.6(MH)。1H NMR(400MHz、DMSO)δ11.87−11.82(m,7H)、5.75(d,J=0.7Hz,15H)、4.85−4.69(m,38H)、3.64−3.55(m,12H)、3.35−2.83(m,106H)、3.01−2.90(m,59H)、2.94(ddd,J=30.6,7.7,4.0Hz,63H)、2.90−2.73(m,9H)、2.70(s,221H)、2.57−2.46(m,91H)、2.44−2.30(m,76H)、2.17(t,J=7.3Hz,147H)、1.89(tq,J=15.5,7.6Hz,88H)、1.79−1.69(m,13H)、1.65−1.32(m,311H)、1.28(d,J=46.0Hz,598H)。
【0340】
9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオイルクロリド(253)の合成
二価酸252を、触媒活性DMFの存在下でジクロロメタン中の塩化オキザリルでこれを処理することにより、対応する二価酸塩化物253に変換し、反応混合物の濃縮後に得られた粗酸塩化物を、異なるアルコールとのカップリング用として使用した。
【0341】
カチオン性脂質254a−nの合成についての一般手順
ジクロロメタン(30mL)中の酸塩化物253(500mg、1ミリモル)の溶液に、対応するアルコール(5当量)を室温で添加し、続いて固体KCO(1g)を加え、溶液を室温で16時間にわたって撹拌した。反応混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、飽和NaHCO(100mL)で洗浄し、有機層を乾燥し(無水NaSO)、濃縮して、粗生成物を得て、これをCombiflash Rf精製システムにより精製した。
【0342】
化合物254b:上記手順を使用することにより、脂質254bを72%の収率で(554mg)単離した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ4.91=4.78(m,1H)、4.05(t,J=6.7Hz,4H)、3.81(s,6H)、3.63(t,J=6.4Hz,1H)、2.29(dt,J=15.2,7.5Hz,8H)、2.21(s,6H)、1.84−1.69(m,2H)、1.57(dt,J=13.4、5.2Hz,9H)、1.53−1.40(m,4H)、1.27(s,43H)。13CNMR(101 MHz、cdcl3):δ174.45、174.13、173.59、77.54、77.22、76.91、74.34、64.54、59.17、51.65、45.67、34.56、34.35、34.27、32.67、29.59、29.40、29.33、29.31、29.25、28.83、26.06、25.51、25.18、25.11、23.38。C4379NO10のMW:計算値770.09;実測値770.68。
【0343】
化合物254c:上記手順を使用することにより、脂質254cを69%の収率で(490mg)単離した。H NMR(400MHz、CDCl3)δ5.71−5.36(m,4H)、4.89−4.72(m,1H)、4.59(d,J=6.8Hz,4H)、2.26(ddd,J=2.23,13.0,8.6Hz,9H)、2.19(s,6H)、2.12−1.95(m,4H)、1.82−1.68(m,2H)、1.63−1.37(m,8H)、1.37−1.00(m,32H)、0.85(t,J=6.8Hz,6H)。13CNMR(101MHz、cdcL3)δ173.94、173.57、135.61、123.57、77.54、77.22,76.91、74.34、60.40、59.16、45.65、34.52、34.33、32.66、31.88、29.59、29.57、29.38、29.28、29.06、27.75、25.49、25.14、23.35、22.81、14.28。C4383NOのMW:計算値710.12;実測値710.81。
【0344】
化合物254d:上記手順を使用することにより、脂質254dを67%の収率で(456mg)単離した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ4.92−4.78(m,1H)、4.05(t,J=6.7Hz,4H)、3.63(t,J=6.4Hz,1H)、2.39−2.24(m,8H)、1.89−1.70(m,2H)、1.69−1.54(m,8H)、1.51(dd,J=17.2、6.3Hz,4H)、1.27(s,42H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。C4179NOのMW:計算値682.07;実測値682.96。
【0345】
化合物254e:上記手順を使用することにより、脂質254eを70%の収率で(474mg)単離した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ5.49(ddd,J=12.9,9.8,7.3Hz,2H)、5.40−5.23(m、2H)、4.92−4.77(m,1H)、4.05(t,J=6.9Hz,4H)、2.32(ddd,J=23.4,14.5,7.1Hz,12H)、2.21(s,6H)、2.07−1.91(m,4H)、1.84−1.70(m,2H)、1.66−1.39(m,8H)、1.40−1.15(m、26H)、0.88(t,J=6.8Hz,5H)。C4175NOのMW:計算値(MH)678.04;実測値678.5。
【0346】
化合物254f:上記手順を使用することにより、脂質254fを73%の収率で(559mg)単離した。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.87−5.62(m,2H)、5.55(dtt,J−9.1,6.4,1.3Hz,2H)、4.93−4.75(m,1H)、4.50(dd,J=6.5,0.6Hz,4H)、2.40−2.17(m、13H)、2.12−1.95(m,4H)、1.89−1.67(m,2H)、1.69−1.44(m,7H)、1.41−1.12(m、25H)、0.88(t,J=6.9Hz,5H)。C4175NOのMW:計算値(MH)678.04;実測値678.5。
【0347】
化合物254g:上記手順を使用することにより、脂質254gを63%の収率で(432mg)単離した。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.93−4.77(m,1H)、4.20−3.95(m,4H)、2.44−2.23(m、8H)、2.21(s,6H)、1.84−1.66(m,3H)、1.68−1.34(m,15H)、1.35−1.17(m、20H)、1.17−1.04(m,5H)、0.88(dd,J=12.4,6.6Hz,16H)。C4383NOのMW:計算値710.12;実測値710.81。
【0348】
化合物254h:上記手順を使用することにより、脂質254hを66%の収率で(466mg)単離した。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ5.08(ddd,J=7.1,5.9,1.3Hz,2H)、4.91−4.75(m,1H)、4.22−3.97(m,4H)、2.39−2.22(m、8H)、2.23(d,J=16.7Hz,7H)、2.09−1.84(m,4H)、1.86−1.71(m,3H)、1.71−1.02(m,44H)、0.91(t,J=4.9Hz,6H)。C4379NOのMW:計算値706.12;実測値706.81。
【0349】
実施例19
別のアプローチにおいて、以下の合成アプローチが、本発明の化合物1の合成に使用される。
【化109】
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【0350】
実施例20
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
8−ベンジルオキシ−オクタン−1−オール(2):500mLの無水DMF中NaH(油中60%、82g、1.7096モル)の撹拌懸濁液に、1.5LのDMF中の化合物1(250g、1.7096モル)の溶液を、0℃で滴下漏斗を使用してゆっくりと加えた。反応混合物を30分間撹拌し、これに臭化ベンジル(208.86mL、1.7096モル)を、窒素雰囲気下でゆっくりと加えた。次いで反応物を周囲温度まで暖め、10時間にわたって撹拌した。反応完了後に、混合物を、砕氷(約2kg)で急冷し、酢酸エチル(2×1L)で抽出した。有機層を水(1L)で洗浄し、不必要なDMFを除去し、NaSO上で乾燥し、真空下で蒸発乾固した。粗化合物を、DCM中0〜5%のMeOHで溶出して、60〜120のシリカゲル上で精製し、化合物2(220g、54%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,5H)、4.49(s,2H)、3.63−3.60(m,2H)、3,47−3.43(m,2H)、1.63−1.51(m,4H)、1.39−1.23(m,8H)。
【0351】
(8−ブロモ−オクチルオキシメチル)−ベンゼン(3):化合物2(133g、0.5635モル)を、1.5LのDCM中に溶解し、CBr(280.35g、0.8456モル)を、この撹拌溶液に加え、不活性雰囲気下で反応混合物を0℃まで冷却した。次いで、20℃未満の温度を維持しながら、PPh(251.03g、0.9571モル)を少しずつ加え、添加完了後に、反応混合物を室温で3時間撹拌し、TLCにより監視した。反応完了後に、反応混合物から沈殿した固体(PPhO)を濾過で除き、濾液を砕氷(約1.5kg)で希釈し、DCM(3×750mL)で抽出した。有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥し、真空中で蒸留した。得られた粗化合物を溶出系としてヘキサン中0〜5%の酢酸エチルを用いて、60〜120メッシュのシリカゲル上でクロマトグラフィーを行い、化合物3(150g、89%)を淡黄色液体として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.25(m,5H)、4.49(s,2H)、3,47−3.41(m,2H)、3.41−3.37(m,2H)、1.86−1.80(m,4H)、1.62−1.56(m,2H)、1.42−1.29(m,8H)。
【0352】
1,17−ビス−ベンジルオキシ−ヘプタデカン−9−オール(4):新たに活性化した削り屑状Mg(24.08g、1.003モル)に200mLの無水THFを加え、続いて不活性雰囲気下でヨウ素一摘みをこの混合物に添加した。グリニヤール形成の開始後に、1Lの乾燥THF中化合物3(150g、0.5016モル)の溶液を、発熱反応を制御しながら、ゆっくりと加えた。添加完了後、反応物を1時間還流し、次いで室温に冷却した。次いでギ酸メチル(60.24g、1.0033モル)をゆっくりと加え、2時間にわたって反応を続けた。反応完了後に、10%HCl、続いて水(1L)をゆっくりと添加することにより反応物を急冷し、酢酸エチル(3×1L)で抽出した。有機層を5リットルのビーカーに採取し、500mLのメタノールで希釈し、0℃に冷却した。この溶液に、過剰量のNaBH(約5当量)を少量ずつ加え、HClの添加によって切断されないギ酸エステルの加水分解を確実にした。得られた溶液を1時間撹拌し、次いで揮発性物質を真空下で除去した。残渣を水(1L)中に取り上げ、10%のHCl溶液(P4)で酸性化した。次いで、生成物を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。次いで有機相を乾燥し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、所望の化合物4(57g、24%)を固体として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ=7.35−7.32(m,8H)、7.29−7.24(m,2H)、4.49(s,4H)、3.56(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.63−1.56(m,4H)、1.44−1.34(m,28H)。C13NMR(100MHz、CDCl):δ=138.56、128.21、127.49、127.34、72.72、71.76、70.37、37.37、29.64、29.56、29.47、29.33、26.07、25.54。
【0353】
[9−ベンジルオキシ−1−(8−ベンジルオキシ−オクチル)−ノニルオキシ]−tert−ブチル−ジメチル−シラン(5):化合物4(56g、0.1196モル)を700mLの無水THF中に溶解し、0℃に冷却した。TBMS−Cl(36.06g、0.2396モル)をゆっくりと加え、続いて不活性雰囲気下でイミダゾール(32.55g、0.4786モル)を添加した。次いで反応物を室温で18時間にわたって撹拌した。反応が完了したことをTLCによって判断し、その後、氷(約1kg)で急冷し、酢酸エチル(3×500mL)で抽出した。有機層を分離し、飽和NaHCO溶液で洗浄し、酸性不純物を除去し、NaSO上で乾燥し、減圧下で蒸発させて、粗化合物を生成し、これをシリカゲル(60〜120メッシュ)により精製し、0〜10%の酢酸エチル−ヘキサンで溶出して、化合物5(60g、82%)を帯黄色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33−7.24(m,10H)、4.49(s,4H)、3.60−3.57(m,1H)、3.46−3.43(m,4H)、1.61−1.54(m、4H)、1.41−1.26(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0354】
9−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘプタデカン−1,17−ジオール(6):化合物5(60g、0.1030モル)を500mLの酢酸エチル中に溶解し、Nで20分間脱気した。炭素上の(10重量%)Pd(12g)を加え、反応物を水素雰囲気下で18時間にわたって撹拌した。反応完了(TLCによって判定)後、セライト層を通して混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空下で蒸発させた。このようにして得られた化合物6(19g、46%)は、次の反応を実行するために、十分に純粋であった。H NMR(400MHz、CDCl)δ=3.64−3.58(m,5H)、1.59(br,2H)、1.57−1.51(m,4H)、1.38−1.22(m,28H)、0.87(s,9H)、0.02(s,6H)。
【0355】
9−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ヘプタデカンジオン酸(7):無水DMF(40mL)中の化合物6(2g、0.0049モル)の撹拌溶液に、不活性雰囲気下で0℃においてピリジニウムジクロメート(2.7g、0.0074モル)を加えた。次いで、反応混合物を、10〜15分の時間をかけて室温まで暖め、24時間続けた。反応の進行をTLCによって監視した。完了後に、酸化反応物を水(100mL)で希釈した。DCM(3×40mL)を使用して水相を抽出した。有機相を塩水(1×25mL)で洗浄し、真空下で濃縮して、粗酸を得て、その後これを、ヘキサン中0〜30%の酢酸エチル系を使用して、(100〜200メッシュ)シリカゲルカラムによって精製した。純粋な生成物26−003を、淡黄色油状物として得た(0.7g、33%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ=3.61−3.56(m,1H)、2.35−2,32(m,4H)、1.64−1.59(m,4H)、1.40−1.19(m,24H)、0.86(s,9H)、0.017(s,6H);LC−MS[M+H]−431.00;HPLC(ELSD)純度−96.94%。
【0356】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(8):二価酸7(0.42g、0.97ミリモル)を20mLのジクロロメタン中に溶解し、これに、シス−2−ノネン−1−オール(0.35g、2.44ミリモル)を加え、続いてヒューニッヒの塩基(0.68g、4.9ミリモル)及びDMAP(12mg)を加えた。この混合物に、EDCI(0.47g、2.44ミリモル)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(シリカゲル、CHCl中5%のMeOH)は出発酸の完全な消失を示した。反応混合物をCHCl(40mL)で希釈し、飽和NaHCO(50mL)、水(60mL)及び塩水(60mL)で洗浄した。合わせた有機層を、無水NaSO上で乾燥し、真空中で溶媒を除去した。このようにして得られた粗生成物を、Combiflash Rf精製システム(40gのシリカゲル、CHCl中0〜10%のMeOH)により精製し、純粋な生成物8(0.35g、53%)を無色油状物として単離した。H NMR(400MHz、CDCl):δ5.64(dt,J=10.9,7.4Hz,2H)、5.58−5,43(m、2H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、3.71−3.48(m、1H)、2.30(t,J−7.6Hz,4H)、2.20−1.98(m,4H)、1.71−1.53(m,4H)、1.31(ddd,J=8.3,7.0,3.7Hz,34H)、1.07−0.68(m、14H)、0.02(s,5H)。13CNMR(101MHz、CDCl):δ178.18、139.81、127.78、81.73、81.42、81.10、76.72、64.59、41.52、41.32、38.76、36.09、34.10、33.93、33.80、33.70、33.59、33.55、33.26、31.95、30.34、29.69、29.58、29.39、27.01、22.56、18.48、0.01。
【0357】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−ヒドロキシヘプタデカンジオエート(9):シリル保護化ジエステル8(0.3g、0.44ミリモル)を、THF(6mL)中TBAFの1M溶液中に溶解し、この溶液を40℃で2日間保持し、その後、TLCは、反応の完了を示した。反応混合物を、水(60mL)で希釈し、エーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮し、このようにして得られた粗生成物を、カラムで精製し、純粋な生成物を単離した(0.097g、39%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.64(dt,J=10.9,7.4Hz,2H)、5.52(dt,J=11.0,6.8Hz,2H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、3.57(s,1H)、2.30(t、J=7.5Hz,4H)、2.09(q、J=7.1Hz,4H)、1.75−1.53(m,4H)、1.53−1.06(m,36H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13CNMR(101MHz、CDCl):δ173.98、135.64、123.57、77.54、77.22、76.91、72.14、60.41、37.69、34.54、31.89、29.70、29.60、29.44、29.29、29.07、27.76、25.80、25.15、22.82、14.29。
【0358】
ジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート:アルコール9(0.083g、0.147ミリモル)を、20mLのジクロロメタン中に溶解し、これにジメチルアミノ酪酸塩酸塩(0.030g、0.176ミリモル)を加え、続いて、ヒューニッヒの塩基(0.045g、0.44ミリモル)及びDMAP(2mg)を加えた。この混合物に、EDCI(0.034g、0.176ミリモル)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(シリカゲル、CHCl中10%のMeOH)が、出発アルコールの完全な消失を示した。反応混合物をCHCl(40mL)で希釈し、飽和NaHCO(50mL)、水(60mL)及び塩水(60mL)で洗浄した。合わせた有機層を無水NaSO上で乾燥し、真空中で溶媒を除去した。このようにして得られた粗生成物を、Combiflash Rf精製システム(40gのシリカゲル、CHCl中0〜10%のMeOH)により精製し、純粋な生成物(0.062g、62%)を無色油状物として単離した。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.74−5.58(m,2H)、5.51(dtt,J=9.7,6.8,1.3Hz,2H)、4.95−4.75(m,1H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、2.35−2.24(m,8H)、2.22(d,J=7.9Hz,6H)、2.09(q,J=6.9Hz,4H)、1.83−1.72(m,2H)、1.60(dd,J=14.4,7.2Hz,4H)、1.49(d,J=5.7Hz,4H)、1.41−1.13(m,30H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H)。13CNMR(101 MHz、CDCl)δ173.72、173.36、135.40、123.35、74.12、60.18、58.95、45.46、34.30、34.11、32.45、31.67、29.38、29.35、29.17、29.07、28.84、27.53、25.28、24.93、23.16、22.59、14.06。C4175NOのMW:(MH)計算値:678.04、実測値:678.5。
【0359】
別の実施形態において、以下のより短い経路をジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエートの合成に使用した。市販の9−ブロモノン−1−エン10を、マグネシウムで処理して、対応のグリニヤード試薬を形成し、これをギ酸エチルと反応させて、対応の付加物11を得て、このブロモブチリルクロリドによる処理が、ブロモエステル12をもたらした。ブロモエステル12のRuOによる処理が、二価酸13をもたらした。ブロモ二価酸13のジメチルアミンによる処理が、アミノ二価酸14をもたらした。アミノ二価酸14のアルコール15とのカップリングが、良好な収率で生成物をもたらした。
【0360】
実施例21
【化111】
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実施例22
【化112】
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実施例23
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
実施例24
【化114】
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化合物501:乾燥ピリジン(100mL)中の2−ヒドロキシ1−オクタノール5g(31.25ミリモル)、DMAP 0.38g(3.1ミリモル)の溶液に、DMTr−Clを加え、室温で14時間にわたって撹拌した。10mLの水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和NaHCO及び塩水で洗浄した。有機層をNaSO上で乾燥し、溶媒を濃縮して粗生成物500(20g)を得て、これをトルエンと2回同時蒸発し、更なる精製をすることなく次の工程で使用した。乾燥THF(250mL)中の上記粗DMTrエーテルに、NaH及びヨードメタンを0℃で加え、次いで30分かけて室温まで戻し、その後2日間撹拌した。5mLの水を加え、濃縮し、続いてカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%の酢酸エチル)を行い、対応する生成物501(10.25g、R:0.45、ヘキサン中20%の酢酸エチル)及び8.4gの回収された出発物質500を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.47−6.8(m,13H)、3.79(s,6H)、3.42(s,3H)、3.29−3.26(m,1H)、3.13−3.04(m,2H)、1.55−1.47(m,2H)、1.3−1.2(m、10H)、0.89(t、J=6.4Hz,3H)。
【0361】
アルコール502:化合物501(10.25g、21.5ミリモル)を75mLの80%酢酸中に溶解し、室温で14時間にわたって撹拌した。10mLのメタノールを加え、濃縮し、続いてカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜50%の酢酸エチル)を行い、予想された生成物502を無色油状物として生成した(1.8g、82%、R:0.3、ヘキサン中30%の酢酸エチル)。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.71−3.65(m,1H)、3.5−3.45(m、1H)、3.41(s、3H)、3.28−3.25(m,1H)、1.93−1.9(m,1H)、1.45−1.41(m,2H)、1.39−1.27(m、10H)、0.88(s、J=6.8Hz,3H)。
【0362】
化合物503:化合物503を、化合物213についての一般的実験手順に従って合成した。0.3g、淡黄色の油状物(52%、R=0.2、ジクロロメタン中5%のメタノール)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.87−4.84(m,1H)、4.18−4.00(m、4H)、3.4(s、6H)、3.37−3.19(m,2H)、2.34−2.26(m,6H)、2.2(s,6H)、1.8−1.6(m、2H)、1.63−1.2(m,50H)、0.88(s、J=6.8Hz,6H)。
【0363】
実施例25
【化115】
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化合物504:アルコール11(4.01g、22.25ミリモル)、TBDPS−Cl(12.24g、44.5ミリモル)及びDMAP(0.54g、4.42ミリモル)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(8.99g、90ミリモル)を加え、室温で14時間撹拌した。上記溶液に、イミダゾール(1.51g、22.25ミリモル)を加え、撹拌を室温で14時間続けた。20mLの水を加え、DCMで抽出し、続いて2N HCl、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮して、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜10%の酢酸エチル)によって精製し、化合物504を産生した(7.38g、79%、R:0.8、ヘキサン中5%の酢酸エチル)。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.68−7.66(m,4H)、7.43−7.33(m、6H)、5.86−5.76(m,2H)、5.02−4.91(m,4H)、3.73−3.67(m、1H)、2.04−1.99(m,4H)、1.42−1.08(m,24H)、1.05(s、9H)。
【0364】
化合物505:400mLのDCM/CHCN(1:1)中、ジエン504(7.38g、17.6ミリモル)及びRuCl(0.18g、0.88ミリモル)の撹拌溶液に、400mLの水に溶解したNaIO(37.6g、176ミリモル)を5℃周辺で30分間かけて滴加し、室温で3時間撹拌した。有機層を分離し、続いて3%のNaS溶液(100mL)、水(250mL)、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物505(4g、42%、R:0.3、ヘキサン中40%の酢酸エチル)を得て、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0365】
化合物506:75mLの乾燥DCM中、酸505(4g、7.22ミリモル)、HBTU(6.02g、15.88ミリモル)、HOBt(2.14g、15.88ミリモル)及びDMAP(88mg、0.72ミリモル)の撹拌溶液に、5mLのメタノールを加え、室温で14時間にわたって撹拌した。10mLの水を加え、続いてDCM(3×50mL)で抽出し、飽和NaHCO、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%の酢酸エチル)により精製して、化合物506(2g、47.6%、R:0.3、ヘキサン中10%の酢酸エチル)を産生した。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.67−7.65(m,4H)、7.41−7.33(m,6H)、3.70−3.64(m、1H)、3.66(s,6H)、2.28(t,J=7.2Hz,4H)、1.63−1.07(m、24H)、1.04(s、9H)。
【0366】
化合物507:乾燥THF(20mL)中のジメチルエステル506(1.0g、1.79ミリモル)の撹拌溶液に、KHMDS(0.752g、3.76ミリモル)及びヨウ化メチル(0.762g、5.37ミリモル)を0℃で加え、その後30分かけて室温まで戻し、24時間にわたって撹拌した。10mLの飽和NHCl溶液を加え、続いて酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜5%の酢酸エチル)により精製して、生成物507(0.218g、20%、R:0.8、ヘキサン中5%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.68−7.65(m,4H)、7.41−7.33(m、6H)、3.70−3.67(m、1H)、3.67(s,6H)、2.43−2.38(m、2H)、1.59−1.07(m、24H)、1.13(d,J=7.2Hz,6H)、1.04(s、9H)。
【0367】
化合物509:10mLのMeOH/THF(1:1)中、メチルエステル507の撹拌溶液に、1mLの水中、LiOH(0.079g、3.27ミリモル)を加え、室温で24時間にわたって撹拌した。上記溶液に、1mLの水中、KOH(0.183g、3.27ミリモル)を加え、更に2日間撹拌した。2mLの飽和NHCl溶液を加え、続いて酢酸エチル(3×25mL)で抽出し、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物508(0.45g、R:0.2、ヘキサン中10%の酢酸エチル)を得て、これを更に精製することなく次の工程で使用した。乾燥DCM(15mL)中、上記二価酸508(0.45g)、シス−2−ノネン−1−オール(0.66g、4.6ミリモル)及びEDC・HCl(0.82g、4.6ミリモル)の撹拌溶液に、DIEA(1.2g、9.24ミリモル)を加え、室温で3日間にわたって撹拌した。10mLの水を加え、続いてDCMで抽出し、その後2N HCl、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜10%の酢酸エチル)により精製して、化合物509(0.3g、55%、R:0.5、ヘキサン中3%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.67−7.65(m,4H)、7.42−7.33(m、6H)、5.67−5.6(m,2H)、5.55−5.49(m,2H)、4.615(d,J=4Hz,4H)、3.71−3.65(m,1H)、2.44−2.35(m、2H)、2.10(q,J=8.0Hz,4H)、1.64−1.07(m、40H)、1.13(d,J=8.0Hz,6H)、1.04(s,9H)、0.86(t,J=10Hz,6H)。
【0368】
化合物511:乾燥THF中、シリルエーテル509(0.3g、0.36ミリモル)の溶液に、ピリジン(1mL)及びHF・Pyr(1mL)を滴加し、45℃で48時間にわたって撹拌した。溶媒を蒸発させて、精製することなく、次の工程で使用した。乾燥DCM(10mL)中、上記粗アルコール510、N,N−ジメチルアミノ酪酸(0.34g、2.04ミリモル)、EDC・HCl(0.39g、2.04ミリモル)及びDMAP(0.06g、0.51ミリモル)の撹拌溶液に、DIEA(0.5g、3.88ミリモル)を加え、室温で2日間撹拌した。10mLの水を加え、続いてDCM(3×25mL)で抽出し、飽和NaHCO、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサンを含有する1%のTEA中0〜30%の酢酸エチル)により精製して、化合物511(0.167g、66%、R:0.4、DCM中10%のMeOH)を得た。C4379NOについての分子量は(M+H)計算値が706.59であり、実測値は706.5であった。
【0369】
実施例26
【化116】
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化合物512:100mLのTHF/HMPA(4:1)中、4−ペンチン酸の撹拌溶液に、−78℃でnBuLi(3.1g、49ミリモル)を滴加し、30分間撹拌した。次いで反応混合物を0℃にもどし、2時間撹拌した。再度、反応混合物を−78℃に冷却し、n−臭化ブチル(3.07g、22.44ミリモル)を滴加し、室温で14時間撹拌した。10mLの飽和NHCl溶液を加え、続いて酢酸エチル(3×25mL)で抽出し、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜30%の酢酸エチル)により精製して、化合物512(0.4g、R:0.8、ヘキサン中30%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ2.59−2.55(m,2H)、2.49−2.44(m,2H)、2.16−2.11(m,2H)、1.49−1.34(m、4H)、0.9(t,J=6.0Hz,3H)。
【0370】
化合物513:EtOH(20mL)中、Ni(OAc)(0.45g、2.53ミリモル)の懸濁液に、NaBH(0.096g、12.65ミリモル)を室温で少量ずつ加え、H雰囲気下で15分間撹拌した。固体を濾過で除き、続いて溶媒を濃縮し、化合物513を得た(0.35g、88.6%、R:0.6、ヘキサン中20%の酢酸エチル)。H NMR(400MHz、CDCl)δ10.88(br,s,1H)、5.47−5.41(m,1H)、5.35−5.31(m,1H)、2.43−2.33(m,4H)、2.07−2.03(m,2H)、1.36−2.27(m、4H)、0.9(t,J=8.0Hz,3H)。
【0371】
化合物515:MeOH(100mL)中、ジ−アセテート514(1.5g、3.09ミリモル)の撹拌溶液に、ナトリウム金属片(0.05g、2.17ミリモル)を加え、室温で14時間撹拌した、ドライアイスで中和し、濃縮し、続いて酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物515(1.1g、88.7%)を得て、これを精製することなく次の工程で使用した。
【0372】
化合物516:乾燥DCM(15mL)中、上記ジオール515(0.4g、1ミリモル)、513(0.341g、2.19ミリモル)、DMAP(0.1g、0.82ミリモル)及びEDC・HCl(0.57g、2.98ミリモル)の撹拌溶液に、DIEA(5.97g、6ミリモル)を加え、室温で2日間撹拌した。10mLの水を加え、続いて酢酸エチルで抽出し、1NのHCl、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜10%の酢酸エチル)により精製して、化合物516(0.335g、50%、R:0.6、ヘキサン中5%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.45−5.38(m,2H)、5.36−5.29(m,2H)、4.06(t,J=8Hz,4H)、3.63−3.58 9m,1H)、2.39−2.31(m,8H)、2.07−2.02(m,4H)、1.65−1.57(m、4H)、1.4−1.28(m、32H)、0.9(t,J=6.0Hz,6H)、0.88(s、9H)、0.03(s,6H)。
【0373】
化合物517:乾燥THF(5mL)中、シリルエーテル516(0.3g、0.36ミリモル)の溶液に、ピリジン(1mL)及びHF・Pyr(1mL)を滴加し、45℃で24時間にわたって撹拌した。溶媒を蒸発させて、続いてカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物517(0.2g、72%、R:0.4、ヘキサン中10%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.43−5.36(m,2H)、5.34−5.27(m,2H)、4.04(t,J=8Hz,4H)、3.59−3.53(m、1H)、2.37−2.3(m,8H)、2.05−2.0(m,4H)、1.61−1.29(m、37H)、0.88(t、J=8.0Hz,6H)。
【0374】
化合物518:乾燥DCM(10mL)中、アルコール517(0.2g、0.355ミリモル)、N,N−ジメチルアミノ酪酸(0.36g、2.14ミリモル)、EDC・HCl(0.406g、2.14ミリモル)及びDMAP(0.043g、0.36ミリモル)の撹拌溶液に、DIEA(0.55g、4.26ミリモル)を加え、室温で2日間撹拌した。10mLの水を加え、続いてDCM(3×25mL)で抽出し、飽和NaHCO、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサンを含有する1%のTEA中0〜30%の酢酸エチル)により精製して、化合物518(0.172g、72%、R:0.2、DCM中5%のMeOH)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.43−5.36(m,2H)、5.32−5.27(m,2H)、4.87−4.83(m,1H)、4.03(t,J=6Hz,4H)、2.36−2.2(m,6H)、2.32(s,6H)、2.03−1.25(m,40H)、0.88(t、J=6.0Hz,6H)。
【0375】
実施例27
【化117】
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化合物521:EtO中Mgの懸濁液に、臭化アルキル(25g、107.7ミリモル)を40℃で1時間かけて滴加した。ギ酸エチルを上記反応混合物に0〜5℃で加え、反応混合物を室温で14時間にわたって撹拌した。反応混合物を氷冷飽和NHCl溶液に注ぎ、続いてEtO(3×250mL)で抽出し、水、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをMeOH(250mL)中に再溶解し、ナトリウムの小片(0.1g)を加え、室温で14時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、100mLの水を加え、続いて固体を濾過し、水(2×100mL)で洗浄して、淡黄色末521(17g、94%、R:0.8、ヘキサン中10%の酢酸エチル)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.84−5.74(m,2H)、5.0−4.89(m,4H)、3.64−3.49(m,1H)、2.04−1.99(m,4H)、1.79(br,s,1H)、1.44−1.23(m,32H)。
【0376】
化合物522:乾燥DCM(50mL)中、521(10g、29.73ミリモル)及びDMAP(0.1g、0.82ミリモル)の撹拌溶液に、4−ブロモブチリルクロリド(6.56g、35.68ミリモル)を加え、室温で14時間撹拌した。5mLの飽和NaHCOを加え、有機層を分離し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮し、粗生成物を得て、これをカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜10%の酢酸エチル)により精製して、化合物522(9.6g、66.7%、R:0.9、ヘキサン中5%の酢酸エチル)を生成した。
【0377】
化合物524:化合物505と同一の実験手順に従って、酸化を行い、化合物523を得た(8.6g、83.5%、R:0.1、DCM中5%のMeOH)。この粗物質をTHF(20mL)中、2NのN,N−ジメチルアミンに溶解し、密閉チューブ内で14時間、60℃に加熱した。反応混合物を濃縮し、次いで反応混合物のpHを3とした。この混合物を凍結乾燥し、化合物524をHCl塩として得た(4g、82%)。C27H51NO6についての(M+H)計算値は486.37であり、実測値は486.2であった。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.94−4.89(m,1H)、3.32−3.3(m,2H)、3.2−3.16(m,2H)、2.91(s,6H)、2.47(t,J=8Hz,2H)、2.28(t,J=8Hz,4H)、2.05−1.97(m,2H)、1.61−1.56(8H)、1.4−1.25(m,22H)。
【0378】
【表66】
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【0379】
エステル525、526,527及び528の合成:
標題化合物を、化合物516についての実験手順に従って合成した。
【0380】
化合物525:(0.75g、60%、R:0.3、DCM中5%のMeOH)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.65−5.59(m,2H)、5.53−5.47(m,2H)、4.87−4.81(m,1H)、4.595(d,J=4.0Hz,4H)、2.43−2.25(m,8H)、2.2(s,6H)、2.1−2.03(m,4H)、1.81−1.73(m,2H)、1.61−1.56(m,4H)、1.48−1.47(m、4H)、1.36−1.23(m,32H)、0.86(t,J=8.0Hz,6H)。
【0381】
化合物526:(0.358g、60.9%、R:0.5、DCM中5%のMeOH)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.87−4.81(m,1H)、4.07−3.95(m,4H)、2.32−2.24(m,6H)、2.2(s,6H)、1.80−1.69(m,4H)、1.6−1.14(m,46H)、0.88−0.84(m,24H)。
【0382】
化合物527:(0.258g、56.8%、R:0.5、DCM中5%のMeOH)。C47H91NO6についての分子量は、(M+H)計算値:766.23;実測値766.7。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.86−4.80(m,1H)、4.12−4.02(m、4H)、2.31−2.23(m、8H)、2.19(s,6H)、1.80−1.72(m,2H)、1.66−1.06(m,52H)、0.87(d,J=8.0Hz,6H)、0.84(d,J=8.0Hz,12H)。
【0383】
化合物528:(0.3g、68.1%、R:0.5、DCM中5%のMeOH)。C47H91NO6についての分子量は、(M+H)計算値:766.23;実測値766.7。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.86−4.80(m,1H)、4.12−4.02(m,4H)、2.31−2.21(m,8H)、2.19(s,6H)、1.79−1.72(m,2H)、1.66−0.98(m,52H)、0.87(d,J=8.0Hz,6H)、0.835(d,J=4.0Hz,12H)。
【0384】
実施例28
【化118】
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化合物533、534、535及び536の合成:標題化合物(1ミリモル)を、脱シリル化工程を除いては、化合物513の実験手順に従って合成し、この脱シリル化は、室温でTHF中のTBAFを使用して行われる。
【0385】
化合物537、538、539及び540の合成:標題化合物(1ミリモル)を、化合物525の実験手順に従って合成する。
【0386】
実施例29
【化119】
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化合物243(X=O/NH、R=アルキル/アリール)は、スキーム16−2に示す通りに合成することが可能である。239のトシル基は、求核置換によってフタルイミド基で置き換えられることが可能である。脱保護化、続いて酸性条件下の111とのカップリング後に、242が合成され得る。標準エステル化によって、カチオン性脂質243及びその類似体を得る。
【0387】
実施例30:エステル含有脂質の合成
【化120】
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化合物15:化合物13(503mg、1,0ミリモル)を、CHCl(50mL)中、EDCI(2.30g、12.0ミリモル)、DMAP(235mg、1.92ミリモル)及びDIEA(8.34mL、47.9ミリモル)の存在下で、14(469mg、3.0ミリモル)で14時間にわたって処理した。水処理後、カラムクロマトグラフィーを行い、化合物15(1.22g、1.54ミリモル、40%)を得た。C4992NOについての分子量:(M+H)計算値:790.6925;実測値790.7。
【0388】
化合物16:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、13及びテトラヒドロラバンジュロールから合成した。収率:0.358g、61%。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.87−4.81(m,1H)、4.07−3.95(m,4H)、2.32−2.24(m,6H)、2.2(s,6H)、1.80−1.69(m,4H)、1.6−1.14(m,46H)、0.88−0.84(m,24H)。
【0389】
化合物17:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、12(1.0g、2.15ミリモル)及び3(1.03g、5.16ミリモル)から合成した。収率:856mg(50%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.91−4.79(m,1H)、4.08(t、J=7.1Hz,4H)、2.35−2.25(m,14H)、1.89−1.76(m,2H)、1.67−1.13(m,62H)、0.88(t,J=7.0Hz,12H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.08、74.45、63.08、45.27、34.76、34.56、34.28、33.70、32.61、32.39、29.54、29.36、29.28、26.36、25.47、25.13、22.83、14.26。C4996NOについての分子量:(M+H)計算値:794.7238;実測値794.6。
【0390】
化合物18:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、13(1.0g、2.15ミリモル)及び3(1g)から合成した。収率:1g(59%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.94−4.74(m,1H)、4.17−3.85(m,4H)、2.46−2.19(m,12H)、1.93−1.79(m,2H)、1.74−1.45(m,10H)、1.37(d,J=20.2Hz,2H)、1.35−1.13(m,44H)、0.88(t,J=6.9Hz,12H)。13C NMR(101MHz、CDCl)δ174.19、77.53、77.21、76.90、63.12、34.81、34.66、34.35、33.76.32.66、32.45、29.76、29.73、29.63、29.48、29.39、26.42、25.57、25.23、22.89、14.32。C53103NOについての分子量:(M+H)計算値:850.38;実測値850.7。
【0391】
化合物19:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、12及び11から合成した。収率:860mg(51%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.90−4.81(m,1H)、4.04(t,J=6.8Hz,4H)、2.37−2.17(m,14H)、1.84−1.06(m,48H)、0.93−0.78(m,24H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.06、74.35、65.51、64,91、59.05、45.51、43.77、37.10、34.55、34.29、32.55、29.54、29.37、29.34、29.28、28.58、28.19、26.99、26.74、25.47、25.15、22.90、22.82、19.60、19.41、19.28。C4792NOについての分子量:(M+H)計算値:766.6925;実測値766.5。
【0392】
化合物20:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、13及び11から合成した。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.86(p,J=6.2Hz,1H)、4.04(t,J=6.7Hz,4H)、2.38−2.17(m,14H)、1.84−1.07(m,56H)、0.93−0.76(m,24H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.11、173.46、74.44、64,90、59.06、45.51、43.77、37.11、34.59、34.32、32.57、29.71、29.67、29.57、29.43、29.34、28.58、28.20、27.00、26.75、25.51、25.20、22.90、22.82、19.41、19.28。C51100NOについての分子量は、(M+H)計算値:822.7551;実測値822.6。
【0393】
化合物21:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、12及び6から合成した。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.91−4.78(m,1H)、4.15−3.98(m,4H)、2.39−2.18(m,14H)、1.84−1.11(m,44H)、0.92−0.77(m,24H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.06、173.44、74.36、63,73、59.03、45.48、41.00、36.98、34.56、34.29、32.54、29.60、29.54、29.49、29.36、29.28、28.52、25.47、25.13、23.15、22.85、22.81、19.49、18.89。C4588NOについての分子量:(M+H)計算値:738.6612;実測値738.6。
【0394】
化合物22:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、13及び6から合成した。収率:900mg(57%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.92−4.78(m,1H)、4.15−3.91(m,4H)、3.33−3.08(m,1H)、2.36−2.15(m,14H)、1.79(dq、J=14.3,7.2Hz,2H)、1.74−1.55(m,8H)、1.55−1.37(m,9H)、1.35−0.95(m,36H),0.96−0.61(m,27H)。13C NMR(101MHz、CDCl)δ174.16、173.52、77.54、77.22、76.91、74.48、63.76、59.10、45.55、42.02、41.04、38.75、37.09、37.02、34.65、34.36、32.62、30.71、29.75、29.72、29.64、29.62、29.53、29.48、29.44、29.38、28.56、28.45、25.56、25.23、23.59、23.23、22.90、22.86、19.54、19.03、18.94。C4995NOについての分子量は、(M+H)計算値:794.2817;実測値794.7。
【0395】
化合物24:この化合物は、化合物15について記載されたものと類似の手順を使用して、13及び23から合成した。収率:0.567g(30%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ4.85(p、J=6.1Hz,1H)、4.20−3.93(m,4H)、2.41−2.18(m,13H)、1.92−1.72(m,2H)、1.56(ddd、J=27.4,16.4,5.8Hz,12H)、1.39(s,2H)、1.25(s,54H)、0.91(dt,J−13.7,6.4Hz,11H)。13C NMR(101MHz、CDCl)δ174.18、173.51、77.54、77.23、76.91、74.50、63.12、59.10、45.55、34.81、34.66、34.38、33.76、32.67、32.62、32.45、29.77、29.73、29.64、29.49、29.39、26.42、25.57、25.24、23.23、22.89、14.32。C4788NOについての分子量:(M+H)計算値:762.6612;実測値762.5。
【0396】
実施例31:アルコール成分の合成
【化121】
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化合物2:化合物2は、Journal of the Organic Chemistry,2009、1473に記載されているものに類似した手順を使用して、1から合成した。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.66(s,3H)、2.23(d,J=6.9Hz,2H)、1.84(brs,1H)、1.27(d,J=11.5Hz,16H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.29、51.49、39.25、35.22、34.00、32.24、26.34、22.77、14.22。
【0397】
化合物3:THF(85mL)中、LiAlH(2.84g、74.9ミリモル)の懸濁液に、THF(25mL)中、化合物2(8.55g、37.4ミリモル)を添加した。反応混合物を一晩還流した。水処理後、カラムクロマトグラフィーを行い、純粋な化合物3(7.35g、36.7ミリモル、98%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.66(t、J=7.0Hz,2H)、1.59−1.12(m,19H)、0.88((t,J=6.9Hz,6H)。
【0398】
化合物4:テトラヒドロラバンジュロール(10.1g、63.8ミリモル)を、CHCl(200mL)及びEtN(17.6mL)中のメタンスルホニルクロリド(6.38mL)で処理した。水処理を行い、粗メシレートを得て、これをEtOH(90mL)及びHO(10mL)中、KCN(4.98g、76.5ミリモル)で処理した。水処理後、カラムクロマトグラフィーを行い、純粋な化合物4(8.36g、50.0ミリモル、72%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ2.38−2.23(m,2H)、1.86−1.78(m,1H)、1.59−1.42(m,3H)、1.40−1.07(m,3H)、0.93−0.89(m,12H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ119.73、41.69、36.46、30.10、28.44、28.33、22.82、22.59、19.62、19.11、19.05。
【0399】
化合物6:シアノ誘導体4を、酸性条件下でエチルエステルに変換し、化合物5を得て、このエステルをTHF中のLiAlHにより還元して、化合物6を得た。
【0400】
化合物7:テトラヒドロラバンジュロール(98.1g、51.2ミリモル)を、CHCl(200mL)中のPCC(16.6g、76.8ミリモル)で酸化した。水処理後、カラムクロマトグラフィーを行い、純粋な化合物7(6.19g、39.6ミリモル、77%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ9.60(d,J=3.1Hz,1H)、2.05−1.79(m,1H)、1.71−1.36(m,4H)、1.23−1.04(m,2H)、1.02−0.82(m,12H)。
【0401】
化合物9:トルエン(40mL)及びCHCl(18mL)中の化合物7の溶液に、8(3.96g、11.8ミリモル)を加えた。混合物を70℃で一晩加熱した。カラムクロマトグラフィーを行い、純粋な化合物9(1.40g、6.59ミリモル、51%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ6.77(dd,J=15.6,9.9Hz,1H)、5.76(d,J=15.6Hz,1H)、3.73(s,3H)、1.97−1.83(m,1H)、1.72−1.64(m,1H)、1.54−1.40(m、2H)、1.37−1.22(m,1H)、1.18−0.97(m,2H)、0.94−0.78(m、12H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ167.19、152.54、121.70、51.53、49.66、36.95、31.76、29.49、28.29、22.92、22.54、20.84、19.24。
【0402】
化合物10:MeOH(15mL)中化合物9(1.0g、4.71ミリモル)の溶液に、Pd−C(125mg)を加えた。混合物をH雰囲気下で一晩撹拌した。混合物をセライト上で濾過し、次いで蒸発させて、純粋な化合物10(924mg、4.31ミリモル、92%)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.67(s、3H)、2.41−2.16(m,2H)、1.74−1.57(m,2H)、1.57−1.42(m,2H)、1.33−1.02(m,5H)、0.88−0.83(m,12H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.78、51.62、43.71、36.97、32.69、29.23、28.56、27.94、25.92、22.85、22.79、19.32、19.19。
【0403】
化合物11:THF(12mL)中、LiAlH(444mg、11.7ミリモル)の懸濁液に、THF(8mL)中、化合物10(1.25g、5.83ミリモル)の溶液を加えた。反応混合物を一晩還流した。水処理を行い、粗化合物11(1.1g)を無色油状物として得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ3.63(t,J=6.7Hz,2H)、1.74−1.66(m,1H)、1.60−1.45(m,3H)、1.37−1.05(m,7H)、0.88−0.82(m,12H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ63.75、44.00、37.16、31.22、29.40、28.61、28.28、26.62、22.90、22.82、19.43、19.28。
【0404】
実施例32:エステル含有脂質の合成
【化122】
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化合物26:化合物25(840mg、1.03ミリモル)を、TFA(9mL)及びCHCl(36mL)中で、室温で3時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、トルエンと3回、同時蒸発させて、化合物26を得た。C4380NOについての分子量:(M+H)計算値:706.5986、実測値:706.4。
【0405】
化合物27:前の工程からの化合物26を、CHCl(10mL)中、EDCI(592mg、3.09ミリモル)、DMAP(50mg、0.412ミリモル)及びDIEA(1.44mL、8.24ミリモル)の存在下で、2,2−ジメチルプロパノール(363mg、4.12ミリモル)で14時間にわたって処理した。水処理後、カラムクロマトグラフィーを行い、化合物27(575mg、0.679ミリモル、66%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.40−5.28(m,4H)、4.91−4.81(m,1H)、3.76(s,4H)、2.34−2.27(m,8H)、2.22(s,6H)、2.03−1.97(m,8H)、1.83−1.26(m、50H)、0.94(s、18H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.14、173.53、130.09、129.92、74.41、73.72、59.12、45.61、34.60、34.32、32.64、31.45、29.93、29.85、29.71、29.68、29.48、29.32、29.28、27.39、27.33、26.62、25.52、25.22、23.32。C53100NOについての分子量:(M+H)計算値:846.7551、実測値:846.5。
【0406】
実施例33:第四級脂質の合成
A.実施例31及び32で合成されたアミノ脂質は、CHCN及びCHCl中のCHClによる処理によって、以下に示したように対応する第四級脂質に変換することが可能である。
【化123】
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【0407】
B.ボディパイ(BODIPY)−脂質コンジュゲートの合成
【化124】
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化合物102:CHCl(20mL)中、化合物101(2.00g、4.30ミリモル)及びシス−2−ノネン−1−オール(1.81mL、10.7ミリモル)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(3.00mL、17.2ミリモル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(2.06g、10.7ミリモル)及びDMAP(106mg、0.868ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で18時間にわたって撹拌した。反応混合物をCHCl(200mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(100mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0〜5%のEtOAc)により精製し、化合物102を得た(2.11g、2.96ミリモル、69%、R=0.45(ヘキサン中10%のEtOAcで展開))。H NMR(500MHz、CDCl)δ5.67−5.61(m,2H)、5.54−5.49(m、2H)、4.89−4.84(m、1H)、4.62(d、J=6.5Hz,4H)、3.46(t,J=6.5Hz,2H)、2.48(t,J=7.3Hz,2H)、2.30(t,J=7.5Hz,4H)、2.20−2.14(m,2H)、2.12−2.04(m、4H)、1.63−1.60(m,4H)、1.51−1.50(m、4H)、1.37−1.27(m、32H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ173.90、172.45、135.58、123.51、74.74、60.36、34.47、34.24、32.93、32.91、31.83、29.54、29.48、29.31、29.21、29.01、28.03、27.70、25.43、25.08、22.76、14.23。C3969BrNaOについての分子量:(M+Na)計算値:735.42、実測値:735.2。
【0408】
化合物103:DMF(20mL)中、102(2.11g、2.96ミリモル)の溶液に、DMF(20mL)中、N−Boc−1,6−ジアミノヘキサン(670mg、3.10ミリモル)を0℃で加えた。この混合物を室温で18時間にわたって撹拌した。次いで、DMF(1mL)中、追加のN−Boc−1,6−ジアミノヘキサン(160mg、0.740ミリモル)を加え、混合物を12時間撹拌した。反応物を、飽和NaHCO水溶液(100mL)を添加することにより急冷し、次いでEtO(150mL×3)で抽出した。有機層を分離し、無水MgSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中5%のMeOH、R=0.24)により精製し、103を得た(1.28g、1.51ミリモル、51%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.67−5.61(m,2H)、5.55−5.50(m,2H)、4.88−4.81(m,1H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、4.54(brs,1H)、3.11−3.08(m,2H)、2.67−2.59(m,4H)、2.35(t,J=7.4Hz,2H)、2.29(t,J=7.6Hz,4H)、2.10−2.07(m,4H)、1.84−1.81(m,4H)、1.63−1.57(m,4H)、1.50−1.47(m,8H)、1.44(s,9H)、1.38−1.27(m,34H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ173.90、173.53、135.57、123.50、74.49、60.36、49.82、49.29、40.64、34.47、34.24、32.68、31.83、30.16、29.89、29.54、29.50、29.33、29.23、29.01、28.58、27.69、27.11、26.80、25.44、25.37、25.09、22.76、14.23。C5093についての分子量:(M+H)計算値:849.69、実測値:849.5。
【0409】
化合物104:THF(20mL)中103(1.16g、1.37ミリモル)の溶液に、ホルムアルデヒド(HO中37重量%、0.306mL、4.11ミリモル)、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(THF中1M溶液、2.06mL、2.06ミリモル)及び酢酸(0.008mL、0.137ミリモル)を0℃で加えた。この混合物を室温で17時間にわたって撹拌した。反応物を、飽和NaHCO水溶液(50mL)を添加することにより急冷し、次いでEtO(100mL×3)で抽出した。有機層を分離し、無水MgSO上で乾燥した。濾過及び濃縮後に、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl中8%のMeOH、R=0.46)により精製し、104を得た(531mg、0.615ミリモル、45%)。H NMR(400MHz、CDCl)δ5.66−5.60(m,2H)、5.53−5.47(m,2H)、4.86−4.80(m,1H)、4.61−4.59(m,5H)、3.12−3.07(m,2H)、2.89−2.78(m,4H)、2.62(s、3H)、2.40(t,J=6.8Hz,2H)、2.28(t,J=7.4Hz,4H)、2.11−2.06(m,4H)、1.99−1.92(m,2H)、1.69−1.27(m,57H)、0.87(t,J=6.8Hz,6H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ173.86、172.45、156.18、135.55、123.45、75.24、60.32、56.68、55.83、40.72、40.36、34.40、34.09、31.79、31.29、29.92、29.49、29.41、29.26、29.17、28.96、28.55、27.65、26.49、26.30、25.41、25.02、24.79、22.71、20.12、14.19。C5195についての分子量:(M+H)計算値:863.71、実測値:863.6。
【0410】
化合物105:CHCl(8mL)中化合物104(525mg、0.608ミリモル)の溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を0℃で加えた。この反応混合物を0℃で1時間、室温で3時間にわたって撹拌した。反応混合物を蒸発させて、トルエンと3回にわたって同時蒸発させ、次いで真空中で一晩乾燥し、化合物105を得た(603mg、0.603ミリモル(2 TFA塩として定量的に計算)、R=0.24(CHCl中8%のMeOHで展開))。H NMR(400MHz、CDCl)δ8.06(brs,1H)、5.68−5.61(m,2H)、5.55−5.49(m,2H)、4.87−4.81(m,1H)、4.62(d,J=6.8Hz,4H)、4.28(brs,3H)、3.20−3.02(m,6H)、2.82(d,J=4.0Hz,3H)、2.45−2.40(m,2H)、2.30(t,J=7.4Hz,4H)、2.12−2.00(m,6H)、1.78−1.22(m,52H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。13C NMR(100MHz、CDCl)δ174.04、172.08、161.84、161.47、135.63、123.44、117.60、114.71、75.56、60.41、55.69、55.27、39.94、39.64、34.44、34.06、31.82、30.72、29.53、29.43、29.28、29.19、29.00、27.69、26.58、25.42、25.27、25.05、24.60、23.06、22.75、19.00、14.22。C4687についての分子量:(M+H)計算値:763.66、実測値:763.4。
【0411】
化合物106:CHCl(1mL)及びEtN(0.050mL、0.360ミリモル)中、105(23.8mg、0.0240ミリモル(2TFA塩として計算))の溶液に、CHCl(2mL)中、BODIPY(登録商標)493/503(10mg、0.0240ミリモル、Life Technology #D2191)の溶液を加えた。この反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに充填し、CHCl中0〜5%のMeOHで溶出した。生成物の着色フラクションを回収し(CHCl中5%のMeOH、R=0.36)、106(26mg、0.024ミリモル、定量的)に得た。H NMR(400MHz、CDCl)δ6.05(s,2H)、5.67−5.61(m,2H)、5.54−5.48(m,2H)、4.85−4.82(m,1H)、4.61(d,J=6.8Hz,4H)、3.37−3.32(m,2H)、3.27−3.22(m,2H)、2.51−2.44(m,17H)、2.34−2.27(m,8H)、2.12−2.06(m,4H)、1.60−1.21(m,52H)、0.88(t,J=6.8Hz,6H)。C62104BFについての分子量:(M+H)計算値:1065.80、実測値:1065.5。
【0412】
実施例34:多エステル含有脂質及びアセタール結合脂質
【化125】
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化合物5002の合成:DCM(20mL)中、アルコール5001(1.0g、5.15ミリモル)、無水グリコール酸5000(5.66ミリモル)の溶液に、DMAP(1.26g、10.41ミリモル)を加え、室温で48時間にわたって撹拌した。この反応混合物を濃縮し、続いてカラム精製を行い、対応する生成物5002(1.4g、86%)をDMAP塩として得た。LCMS:計算値:316.22(M)、実測値:315.1(M−1)。
【0413】
化合物5004の合成:DCM(100mL)中、アルコール5003(5.0g、44.6ミリモル)、4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(8.1g、48.3ミリモル)及びEDC(10.3g、53.6ミリモル)の溶液に、DIEPA(23g、178.3ミリモル)を加え、室温で一晩撹拌した。通常の処理後、粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製した(9.0g、90%)。
【0414】
化合物5005の合成:10mLのTHF中、ジエン5004(4.0g、18ミリモル)の撹拌溶液に、9−BBNを加え、一晩撹拌した。上記溶液に、6.6mLの3MのNaOAc及び7.4mLの30%Hを0〜5℃で加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。通常の処理後、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製し、5005(2.6g、55%)を粘性油状物として得た。LCMS:計算値:261.19(M)、実測値:262.1(M+1)。
【0415】
化合物5006及び5007の合成:10mLのDCM中、ジエン5005(260mg、1ミリモル)、酸5002(1.0g、2.28ミリモル)EDC(387mg、2ミリモル)の溶液に、DIEA(516mg、4ミリモル)を加え、一晩撹拌した。通常の処理後、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製し、5006(0.1g、12%)及び5007(0.2g、36%)を得た。化合物5006についてのLCMS:計算値:857.62(M)、実測値:858.5(M+1)、880.5(M+Na)。化合物5007についてのLCMS:計算値:559.4(M)、実測値:560.4(M+1)。
【化126】
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【0416】
化合物5011の合成:5mLのクロロトリメチルシラン中、アルコール5008(2.66g、10ミリモル)の撹拌溶液に、パラホルムアルデヒド(0.3g、10ミリモル)を加え、室温で一晩撹拌した。過剰なクロロトリメチルシランを蒸発させて、続いて減圧下で乾燥し、対応する生成物5009を得て、これを更に精製することなく、次の工程に使用した。化合物5009を、DCM(10mL)中、ジオール(261mg、1ミリモル)、DIEA(2.5g、19.4ミリモル)及びDMAP(20mg、0.16ミリモル)の溶液に滴加し、一晩撹拌した。溶媒を濃縮することにより、粗生成物5010を得て、これを5mLのTHFに溶解し、2mLの1N−NaOHを加え、室温で2日間にわたって撹拌した。通常の処理後に、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、対応する生成物5011(200mg、28%)を得た。化合物5010についてのLCMS:計算値:1131.95(M)、実測値:1096.98(M−Cl)。化合物5011についてのLCMS:計算値:704.63(M)、実測値:727.5(M+Na)。
【0417】
化合物5012の合成:10mLのDCM中、アルコール5011(200mg、0.284ミリモル)、4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(103mg、0.57ミリモル)、EDC(109mg、0.57ミリモル)の溶液に、DIEA(294mg、4ミリモル)を加え、一晩撹拌した。通常の処理後に、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、5012(190mg、85%)を得た。化合物5012についてのLCMS:計算値:817.72(M)、実測値:818.5(M+Na)。
【化127】
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【0418】
化合物5016の合成:5mLのクロロトリメチルシラン中、アルコール5013(1.0g、7.03ミリモル)の溶液に、アセトアルデヒド(0.3g、7.03ミリモル)を加え、室温で2時間撹拌した。過剰なクロロトリメチルシランを蒸発させて、続いて減圧下で乾燥し、対応する生成物5014を得て、これを更に精製することなく、次の工程に使用した。化合物5014を、DCM(10mL)中、ジオール5015(223mg、0.55ミリモル)、DIEA(2mLg、11.5ミリモル)及びDMAP(20mg、0.16ミリモル)の溶液に滴加し、一晩撹拌した。10mLの水を添加し、続いてDCM(3×30mL)で抽出し、水、飽和NaHCO、塩水で洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶媒を濃縮することで粗生成物を得て、これを更に精製することなく、次の工程に使用した。化合物5016についてのLCMS:計算値:738.66(M)、実測値:761.5(M+Na)。
【0419】
化合物5017の合成:5mLのTHF中アルコール5016の溶液に、THF(0.54ミリモル)中、0.54mLの1M−TBAFを加え、室温で2日間にわたって撹拌した。通常の処理後に、粗物質をカラムクロマトグラフィーにより精製して、5017を得た。しかしながら、これは、いくらかの分離できない不純物を含有し、したがって更に精製することなく次の工程に使用した。化合物5017についてのLCMS:計算値:624.57(M)、実測値:647.5(M+Na)。
【0420】
化合物5018の合成:10mLのDCM中、アルコール5017(0.55ミリモル)、4−(ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩(116mg、0.64ミリモル)、EDC(123mg、0.64ミリモル)の撹拌溶液に、DIEA(165mg、1.28ミリモル)を加え、2日間にわたって撹拌した。通常の処理後に、粗物質をカラムクロマトグラフィー(DCMを含有する1%のEtN中、0〜10%のMeOH)により精製して、5018(300mg、5015から75%)を得た。化合物5018についてのLCMS:計算値:737.65(M)、実測値:738.6(M+1)、760.5(M+Na)。
【0421】
実施例35:脂質ナノ粒子の調製
本明細書に記載されているカチオン性脂質は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2010/088537号パンフレットに記載されているインライン混合法を使用して、AD−1661二重鎖(以下の表に示した)を含有するリポソームを製剤化するために使用される。この脂質ナノ粒子は、以下の表に示す配合組成を有した。
【0422】
【表67】
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【0423】
siRNA AD−1661二重鎖は、以下に示した配列を有する。
【0424】
【表68】
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【0425】
小文字は2’OMe修飾であり、Nfは、2’F修飾ヌクレオ塩基であり、dTはデオキシチミジンであり、sはホスホチオエートである。
【0426】
脂質ナノ粒子を、以下の通りに調製した。表中に記載された比のカチオン性脂質、DSPC、コレステロール、及びPEG−DMGを、25mg/mLの総脂質濃度で、エタノール中に溶解した。
【0427】
siRNA保存溶液を、siRNA AD−1661を低pHの酢酸塩又はクエン酸塩緩衝液(pH=4)中、0.8mg/mLで溶解することにより調製した。
【0428】
この保存溶液は、完全に透明であるべきで、脂質はsiRNAと混合する前に完全に溶解されねばならない。したがって、これが適切に判定された場合、溶液は加熱され、脂質を完全に溶解した。
【0429】
各溶液をT字型接合部に汲み入れることによって(すなわち、インライン混合によって)、個々の保存溶液を混合した。具体的には、エタノール溶液(0.01インチのPEEKチューブを介して、5ml/分で)及び水性緩衝溶液(0.02インチのPEEKチューブを介して、15mL/分で)を、T字型接合部(PEEK Tee body、IDEX)を通して混合した。
【0430】
T字型接合部の後ろには、単一チューブが配置されていて、ここで混合されたストリームが放出するであろう。エタノールを移動させ、透析によってPBSに交換される。次いで、脂質製剤は、遠心分離又は透析濾過を使用して、適切な作業濃度に濃縮される。
【0431】
実施例36の表中に列挙されたカチオン性脂質を含有している脂質ナノ粒子を、上記記載の通りに調製した。
【0432】
実施例36:脂質ナノ粒子の有効性
血液凝固カスケードにおける顕著なタンパク質であるVII因子(FVII)は、肝臓(肝細胞)において合成され、血漿中に分泌される。血漿中のFVIIレベルは、簡単なプレートベースの比色検定法によって判定することが可能である。したがって、FVIIは、肝細胞由来のタンパク質のsiRNA媒介ダウンレギュレーションを判定するための格好のモデルを代表する。
【0433】
実施例35で調製された脂質ナノ粒子の製剤を、雌の7〜9週齢、15〜25gの雌C57B1/6マウスにおいて、処置群当たり3匹のマウスを使用して、0.1、0.3、1.0及び5.0mg/kgにおいて、それらのFVIIノックダウンについて最初に評価した。全ての試験は、リン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS、対照群)又はベンチマーク製剤のいずれかを受容する動物を含んだ。試験の直前に、製剤をPBS中で適切な濃度まで希釈した。マウスを秤量し、適切な投与体積を計算した(10μl/g体重)。試験製剤及びベンチマーク製剤並びにPBS(対照動物用)を、外側尾静脈を介して静脈内投与した。24時間後に、動物をケタミン/キシラジンの腹腔内注射で麻酔処理し、心穿刺により500〜700μlの血液を血清セパレータチューブ(BD Microtainer)に回収した。血液を15℃にて2,000×gで10分間遠心分離し、血清を回収し、分析まで−70℃で保存した。血清試料を37℃で30分間解凍し、PBS中で希釈し、96−ウェルアッセイプレートに分けた。VII因子レベルを、発色アッセイ(Biophen FVIIキット、Hyphen BioMed)を使用し、製造業者の使用説明書に従って評価し、吸光度を405nmの波長フィルターを具備したマイクロプレートリーダーにおいて測定した。血漿FVIIレベルを定量化し、ED50値(対照動物と比較して血漿FVIIレベルにおいて50%の減少をもたらす投与量)を、対照動物から得た血清のプール試料から作製した標準曲線を使用して計算した。高レベルのFVIIノックダウン(ED50<<0.1mg/kg)を示すこれら着目した製剤を、効力を確認し、ED50レベルを確立するために、より低い用量範囲で別個の試験において再試験した。
【0434】
以下の表は、本明細書に記載されているカチオン性脂質のいくつかについてのED50値を示している。2つの星印(**)は、0.001〜0.10のED50値を示している。1つの星印()は、0.10を超えるED50値を示している。
【0435】
【表69】
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【0436】
【表70】
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【0437】
【表71】
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【0438】
【表72】
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【0439】
実施例37:疎水性及び安定性
以下の表に列挙されている生分解性カチオン性脂質についてのlogP値を、Molinspiration Cheminformatics of Slovensky Grob,Slovak Republicからhttp://www.molinspiration.com/services/logp.htmlで入手可能なソフトウェアを使用して計算した。
【0440】
更に、各生分解性カチオン性脂質についてのHPLC保持時間を、これらから調製した脂質ナノ粒子中で測定した。脂質ナノ粒子を、AD−1661をペイロードとして使用して、実施例35に記載された通りに調製した。保持時間は、コレステロールについての保持時間に対して以下の表で報告されている。
【0441】
使用されたHPLC緩衝液は、2つの溶液(溶液#1及び溶液#2)の混合物であった。
溶液#1:80%メタノール/20% 10mM NHHCO
溶液#2:80%メタノール/20%イソプロパノール
【0442】
混合物中の2つの溶液の比は、以下の表に示した通りに経時的に変化させた。
【0443】
【表73】
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【0444】
脂質ナノ粒子のサイズを、透析の前後で一晩測定した。一般的に、脂質ナノ粒子のサイズにおける大きな変化は、安定性に劣ることを示す。
【0445】
Zetasizer(Westborough,MAのMalvern Instruments,Inc.)を使用して、脂質ナノ粒子サイズを決定するために、動的光散乱を用いた。全ての測定は、解析モデルとして通常の解析度モードを使用して、173°の散乱角で532nmの波長にて行った。
【0446】
これら実験の結果を以下の表に示す。
【0447】
【表74】
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【0448】
【表75】
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【0449】
実施形態に対するこれら及び他の改変を、上記の詳細な説明に照らして行うことが可能である。一般的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、明細書及び特許請求の範囲で開示された特定の実施形態に限定するよう解釈されるべきではないが、このような特許請求の範囲に与えられる均等物の完全な範囲と共にあらゆる考え得る実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示により限定されるものではない。