(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6602960
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】車両の車両周辺環境を表示する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B60R 1/00 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
B60R1/00 A
【請求項の数】16
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-512966(P2018-512966)
(86)(22)【出願日】2016年7月15日
(65)【公表番号】特表2018-530465(P2018-530465A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2016066865
(87)【国際公開番号】WO2017041940
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2018年3月9日
(31)【優先権主張番号】102015217258.9
(32)【優先日】2015年9月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ラファエル カノ
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ドミンゴ エスパルザ ガルシア
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−198454(JP,A)
【文献】
特開2009−171537(JP,A)
【文献】
特開2003−148976(JP,A)
【文献】
特開2007−129290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の車両周辺環境を表示する方法であって、
少なくとも1つのカメラ画像における車両周辺環境の部分領域を検出するステップと、
実際の車両周辺環境を表す仮想空間(3)内に仮想投影面(2)を設けるステップと、
前記少なくとも1つのカメラ画像を、前記仮想投影面(2)の第1の領域(4)に伝送するステップであって、前記少なくとも1つのカメラ画像は、当該カメラ画像内に結像された前記車両周辺環境の位置に応じて前記仮想投影面(2)に配置される、ステップと、
前記仮想空間内に配置されている仮想カメラ(7)の視点からの前記車両周辺環境を表示するステップと、
を含む方法において、
計算によって生成された及び/又は予め記憶された付加的画像情報を、前記仮想投影面(2)の第2の領域(5)に伝送するステップを含み、
前記第2の領域は、前記車両(1)の垂直軸線(6)に沿って前記第1の領域の上方に延在し、
前記付加的画像情報が天空を表すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記仮想投影面(2)は、前記仮想空間(3)内の前記車両(1)の位置を完全に包囲する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記付加的画像情報は、現在の時刻及び/又は現在の日付に応じて選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記付加的画像情報は、前記車両の位置に応じて選択される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記付加的画像情報は、現在の気象状況に応じて選択される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記付加的画像情報は、現在の光条件に応じて選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記付加的画像情報は、現在又は将来の気象状況に関する情報を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記付加的画像情報は、テキスト要素又は記号を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
車両(1)の車両周辺環境を表示する装置(11)であって、
少なくとも1つのカメラ画像における車両周辺環境の部分領域を検出する手段と、
実際の車両周辺環境を表す仮想空間(3)内に仮想投影面(2)を設ける手段と、
前記少なくとも1つのカメラ画像を、前記仮想投影面(2)の第1の領域(4)に伝送する手段であって、前記少なくとも1つのカメラ画像は、当該カメラ画像内に結像された前記車両周辺環境の位置に応じて前記仮想投影面(2)に配置される、手段と、
前記仮想空間内に配置されている仮想カメラ(7)の視点からの前記車両周辺環境を表示する手段と、
を備える装置(11)において、
計算によって生成された及び/又は予め記憶された付加的画像情報を、前記仮想投影面(2)の第2の領域(5)に伝送する手段を備え、
前記第2の領域は、前記車両(1)の垂直軸線(6)に沿って前記第1の領域の上方に延在し、
前記付加的画像情報が天空を表すことを特徴とする装置(11)。
【請求項10】
前記仮想投影面(2)は、前記仮想空間(3)内の前記車両(1)の位置を完全に包囲する、請求項9に記載の装置(11)。
【請求項11】
前記付加的画像情報は、現在の時刻及び/又は現在の日付に応じて選択される、請求項9又は10に記載の装置(11)。
【請求項12】
前記付加的画像情報は、前記車両の位置に応じて選択される、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項13】
前記付加的画像情報は、現在の気象状況に応じて選択される、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項14】
前記付加的画像情報は、現在の光条件に応じて選択される、請求項9乃至13のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項15】
前記付加的画像情報は、現在又は将来の気象状況に関する情報を含む、請求項9乃至14のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項16】
前記付加的画像情報は、テキスト要素又は記号を含む、請求項9乃至15のいずれか一項に記載の装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車両周辺環境を表示する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ここでは特に、いわゆるサラウンドビューシステムに関する。そのようなサラウンドビューシステムにおいては、車両周辺環境の表示は、車両周辺環境の複数の眺望から合成される。そのようなシステムにおいては、通常は、複数のカメラが、当該複数のカメラによって、車両を取り巻く360°の眺望が可能になるように配置される。車両の周辺環境は、複数のカメラによって検出され、さらに、これらのカメラの画像は、典型的にはボウルの形態を有する仮想投影面に伝送される。複数のカメラ画像を仮想投影面に伝送するためには、内因性又は外因性のカメラ較正が、画像マッピングを可能にするために多く用いられている。
欧州特許出願公開第2163430号明細書(EP2163430A1)には、請求項1の上位概念による車両周辺環境を表示する装置が開示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の開示
車両の車両周辺環境を表示する本発明に係る方法は、少なくとも1つのカメラ画像における車両周辺環境の部分領域を検出するステップと、実際の車両周辺環境を表す仮想空間内に仮想投影面を設けるステップと、少なくとも1つのカメラ画像を、仮想投影面の第1の領域に伝送するステップであって、少なくとも1つのカメラ画像は、当該カメラ画像内に結像された車両周辺環境の位置に応じて仮想投影面に配置される、ステップと、計算によって生成された及び/又は予め記憶された付加的画像情報を、仮想投影面の第2の領域に伝送するステップと、車両周辺環境を、仮想空間内に配置されている仮想カメラの視点から表示するステップと、を含む。このようにして、これらのカメラ画像内で検出された情報の他に、さらに別の情報を表示することが可能になる。これらの付加的な情報により、例えば、車両の運転者に、この運転者がその視線を表示から逸らさなくても済むように、複数の情報を提供することができる。また、車両周辺環境の表示も、視覚的に向上する。なぜなら、カメラ画像が表示のために得られないような領域が補填されるからである。
【0004】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形態を示す。
【0005】
好ましくは、仮想投影面は、仮想空間内の車両の位置を完全に包囲する。この場合、この仮想投影面は、特に、球体の形態で実施されている。それにより、仮想空間内の仮想カメラは、任意に配向させることができ、各配向のもとで仮想カメラの完全な画像を計算することができる。
【0006】
また、好ましくは、第2の領域は、車両の垂直軸線に沿って第1の領域の上方に延在する。このような領域はカメラによって検出されないことが多い。なぜなら、そのような領域においては、物体が車両に接近することがほとんどないからである。そのため、カメラによって検出されない車両上方の領域を表示することも可能である。この場合、特に好ましくは、付加的画像情報が天空を表示する。それにより、第2の領域には、実際にこの箇所で可視である、車両の車両周辺環境とより高い確率で一致する画像情報が表示される。
【0007】
また、好ましくは、付加的画像情報は、現在の時刻及び/又は現在の日付に応じて選択される。このようにして、付加的画像情報は、車両の周辺環境における実際の事象と可及的に正確に一致するように選択することができる。そのため、例えば、画像情報の明るさや付加的画像情報によって表示される天空の外観を、相応に適応化することができる。
【0008】
同様に好ましくは、付加的画像情報は、車両の位置に応じて選択される。このようにして、付加的画像情報は、車両の周辺環境における実際の事象と可及的に正確に一致するように選択することができる。そのため、運転者には、例えば天気予報や交通情報などのような地域特有の情報を提供することができ、あるいは、付加的画像情報によって表示される天空の外観を、車両の位置に応じて適応化することができる。
【0009】
また、好ましくは、付加的画像情報は、現在の気象状況に応じて選択される。このようにして、付加的画像情報は、車両の周辺環境における実際の事象と可及的に正確に一致するように選択することができる。そのため、例えば、付加的画像情報によって表示される気象状況の天空において、対応する雲を表示することができる。
【0010】
さらに好ましくは、付加的画像情報は、現在の光条件に応じて選択される。特に、現在の光条件は、車両の光センサを用いて検出される。それにより、特に、ユーザー、特に車両の運転者が、車両周辺環境の表示を見るときに眩惑されることが回避される。さらに、付加的画像情報によって表示される要素の外観を、光条件に適応化させることができる。そのため、例えば、天空は、より明るく又はより暗く表示されることがある。
【0011】
さらに好ましくは、付加的画像情報は、現在又は将来の気象状況に関する情報を含む。それにより、運転者には、車両の運転にとって重要な情報が直感的に提供される。
【0012】
また、好ましくは、付加的画像情報は、テキスト要素又は記号を含む。特に、このテキスト要素又は記号は、将来の気象状況を記述する。このようにして、運転者には、1つの情報が、特に目に見えて速く伝達される。
【0013】
同様に好ましくは、車両の車両周辺環境を表示する装置は、本発明に係る方法を実施するように構成されている。そのような装置は、本発明に係る方法のすべての利点を備えている。
【0014】
以下においては、本発明の実施例を、添付図面に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る例示的な第1の実施形態の装置を備えた車両の平面図。
【
図3】本発明の第1の実施形態による車両の車両周辺環境の例示的な図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による車両1の車両周辺環境を表示する本発明に係る装置11を備えた車両1を示す。この車両1には、第1のカメラ12、第2のカメラ13、第3のカメラ14及び第4のカメラ15が配置されている。
【0017】
第1のカメラ12は、車両1の右側サイドミラーに配置され、車両1右側に隣接して存在する領域を検出する。第2のカメラ13は、車両1の前部に配置され、車両1の前方に存在する領域を検出する。第3のカメラ14は、車両1の左側サイドミラーに配置され、車両1の左側に隣接して存在する領域を検出する。第4のカメラ15は、車両1の後部に配置され、車両1の後方に存在する領域を検出する。第1乃至第4のカメラ12乃至15の各々は、それぞれ1つのデータ線路を介して、車両1の車両周辺環境を表示する装置11と接続されている。この装置11は、画像処理を実行するのに適した計算ユニットから形成され、第1乃至第4のカメラ12乃至15に対応するインタフェースを有する。
【0018】
この装置11によって、本発明に係る方法が、第1の実施形態で実行される。この方法は、装置11が起動したとき、例えば車両1のイグニッションキーが回されたときに開始される。
【0019】
この方法が開始された後においては、まず第1のステップS1が実行される。この第1のステップにおいては、少なくとも1つのカメラ画像内で車両周辺環境の部分領域の検出が行われる。この目的のために、第1乃至第4のカメラ12乃至15の各々によってそれぞれ1つの画像が検出され、装置11に伝送される。
図1に関連して説明した第1乃至第4のカメラ12乃至15の配置構成においては、車両1の全体の車両周辺環境は検出されない。そのため、例えば、車両1の真上に存在する領域は、カメラ12乃至15の1つによって検出されない。従って、車両周辺環境の部分領域のみが検出される。この方法の第1のステップの後においては、当該方法の第2のステップが実行される。
【0020】
第2のステップにおいては、実際の車両周辺環境を表す仮想空間3内への仮想投影面2の設定が行われる。この仮想空間は、実際の空間(以下においては、単に、実空間とも称する)ではなく、装置11によって算出される1つの空間の単なる数学的表示にすぎない。
【0021】
仮想空間のグラフィック表示は、
図2に示されている。仮想空間3は、実際の車両周辺環境を表している。そのため、車両周辺環境内の各対象には、仮想空間3内での1つの位置を割り当てることができる。このことは、車両1に対しても当てはまる。実空間内の車両1の位置に対応する、仮想空間内の位置には、車両1のモデル1’が配置されている。このモデル1’、従って、車両1の位置は、仮想空間3内の投影面によって完全に取り囲まれている。この仮想投影面2は、平坦な基準面2aを有し、この基準面2aは、車両1が存在している路面に応じて延在する。さらに、この仮想投影面2は、球状区間2bを有し、この球状区間2bは、球体の形態を有し、但し、そのうちの所定の部分は、平坦な基準面2aによって切断されている。この投影面2の球状部分2bは、車両1のモデル1’を、その側方領域と、車両1のモデル1’上に存在する領域とにおいて囲繞する。それにより、このモデル1’は、仮想投影面2によって完全に取り囲まれている。
【0022】
第2のステップS2の後においては、第3のステップS3が実行される。この第3のステップS3においては、仮想投影面2の第1の領域への第1乃至第4のカメラ12乃至15のカメラ画像の伝送が行われる。この場合、これらのカメラ画像は、その中に結像される車両周辺環境の位置に応じて仮想投影面2上に配置される。それにより、これらのカメラ画像は、テクスチャとして仮想投影面2に伝送される。そのため、第2のカメラ13によって検出された前方カメラ画像は、車両1のモデル1’の前方に存在する、仮想投影面2の領域に配置される。相応に、第1及び第3のカメラ12及び13のカメラ画像は、モデル1’に隣接する、仮想投影面2の領域に配置され、さらに、第4のカメラ15のカメラ画像は、車両1のモデル1’の後方に存在する、仮想投影面2の領域に配置される。この場合は、仮想投影面2の形態から生じるカメラ画像の歪みが補償されるように、カメラ画像内に表示される対象が歪ませられるか又は歪み修正される座標マッピングが行われると、特に有利である。
【0023】
カメラ画像が配置された仮想投影面2の領域は、総じて第1の領域4と称する。即ち、第1の領域4は、車両周辺環境の検出された部分領域を結像する。
図2に関連して明らかなことは、車両1のモデル1’の上方には、カメラ画像が何も配置されていない仮想投影面2の部分が存在することである。なぜなら、実際の車両周辺環境のこの領域は、カメラ画像において検出されていなかったからである。このことは、第1の実施形態においては、第1乃至第4のカメラ12乃至15のいずれも上向きに配向されていないことに起因する。この第1乃至第4のカメラ12乃至15のカメラ画像のいずれにも配置されていない、仮想投影面2の領域は、仮想投影面2の第2の領域5と称する。ここに説明する第1の実施形態においては、この第2の領域5は、車両1の垂直軸線6に沿って第1の領域4の上方に延在する。仮想空間3に伝送されるこのことは、第2の領域5が、実際の車両周辺環境における垂直軸線6に対応する仮想垂直軸線6’に沿って、かつ、車両1のモデル1’の上方に延在することを意味する。
【0024】
第3のステップS3の後においては、第4のステップS4が実行される。この第4のステップS4においては、計算によって生成された及び/又は予め格納された付加的画像情報の、仮想投影面2の第2の領域5への伝送が行われる。即ち、この付加的画像情報は、第2の領域5に対するテクスチャを定義する。以下においては、計算によって生成された付加的画像情報に対するいくつかの例、及び、予め格納された付加的画像情報に対するいくつかの例を説明する。以下において説明するすべての例は、任意の形態で組合せが可能であることは明らかである。これらの付加的画像情報は、例えば天空を表示する。その際の天空の表示は、予め記憶された実際の天空の結像から生成されるか、又は、コンピュータによってアニメーション化された天空が計算によって生成されてもよい。この人工の天空は、付加的画像情報として仮想投影面2の第2の領域5に結像される。それにより、車両1上方に存在する実際の天空の代わりに、人工の天空が、車両周辺環境の表示に結像される。これによって、車両1上方の領域が、カメラによって検出される必要性なしで、完全なパノラマビューの印象が可能になる。
【0025】
天空の眺望は様々な要因に依存するので、好ましくは、これらの要因が人工の天空の生成の際に加えられる。
【0026】
そのため、付加的画像情報は、現在の時刻及び/又は現在の日付に応じて選択することができる。時刻に応じて、日中の天空や夜空を表示することができる。現在の日付に依存して、日中の天空と夜空との間の移行をどの時刻で実行するかを選択することができる。
【0027】
さらに、付加的画像情報は、車両の位置に応じて選択することができる。この車両の位置は、例えば、ナビゲーションシステムのGPSセンサを介して提供される。このようにして、例えばまず、日没の時間が求められ、それに合わせて日没が付加画像情報を介して仮想投影面2上に表示され、これによって、仮想投影面2上の天空の結像が実際の天空に近づく。
【0028】
任意選択的に、付加的画像情報は、現在の気象状況に応じて選択することができる。その際に、例えば、雨天の気象状況の場合には、晴天の気象状況の場合よりも多くの雲が、人工の天空に表示される。相応に、雨や嵐の雲は、対応する気象条件のもとで表示することができる。
【0029】
さらに、付加的画像情報は、現在の光条件に応じて選択することができる。この場合、実際の車両周辺環境における現在の光条件に関する情報は、例えば、車両の光センサによって提供することができる。図示の人工の天空の明るさは、現在の光条件に適応化させることができる。
【0030】
特に、人工の天空には天体も表示される。現在の時刻と現在の日付は、車両1に対する天体(例えば太陽、月、星、銀河など)の位置を求めて、それらを人工の天空に表示するために使用される。この場合、例えば、月のみちかけ、地球照、射影、及び/又は、日食乃至月食も、計算して人工の天空に挿入することができる。
【0031】
人工の天空に対して代替的又は付加的に、天気予報を、第2の領域5に同様に表示することもできる。そのため、例えば記号、特に3次元的記号を仮想投影面2上に結像することができ、それによって、天気予報を車両の周辺環境表示に埋め込むことができる。これらの記号は、例えば、雲、雨、雪及び/又は風のアニメーションであってもよい。また、他の各天気をこのようにして記号化することができる。1つの記号は、この場合、それが仮想カメラ7の視点から3次元形態の眺望を有するように、仮想投影面2上を延在する場合、3次元的と称される。
【0032】
付加的に、複数のテキスト要素を第2の領域5に表示することができる。そのため、例えば、雲、太陽又は温度情報を車両周辺環境に埋め込むことができる。これらのテキスト要素は、例えば、記号によって表示された天気予報を明確にすることができる。しかしながら、他の各情報をこれらのテキスト要素によって提供することもできる。特にこの場合は、交通情報や車両1に関する運転情報、例えば、車両1の速度や雨滴センサの情報などを挙げることができる。また、特に、連続したテキストを表示することもできる。
【0033】
一般にこの場合は、モバイルインタネットインタフェースを介して提供される情報も加えることができる。そのため、例えば天気予報又は現在の気象条件を、このインタネットインタフェースを介して受け取ることができる。
【0034】
特に天空が、第2の領域5において表示される場合、第1の領域4と第2の領域5との間で移行が発生し、即ち、複数のカメラ画像から生成された第1の領域4のテクスチャと、複数の付加的画像情報から形成された第2の領域5のテクスチャとの間で移行が発生する。この目的のために、第1の領域4と第2の領域5との間の移行の領域において、仮想投影面2上にグラフィカルな移行を結像する水平帯域が埋め込まれる。そのため、この水平帯域は、例えば、第1の領域4のテクスチャと、第2の領域5のテクスチャとの間の移行である。
【0035】
前述したすべての付加的画像情報は、相互に依存することなく表示することができることは明らかである。それにより、上記の例の任意の組合せも可能である。特にこの場合、選択された付加的画像情報を車両1の位置に依存させることも可能である。そのため、例えば、車両1の位置が利用可能である場合には、人工の天空が表示され、車両1の位置が利用可能でない場合には、天気予報が表示されてもよい。このことは、典型的には、車両1が閉鎖された空間内に存在する場合に該当する。
【0036】
第4のステップの後においては、第5のステップが実行される。この第5ステップにおいては、仮想空間3に配置された仮想カメラ7の視点からの車両周辺環境の表示が行われる。この目的のために、仮想投影面2の結像は、仮想カメラ7の視点から計算される。仮想カメラ7の位置と配向とに依存して、第2の領域5は、仮想カメラ7の画像内で、即ち、仮想カメラ7の視点から可視となる。この仮想カメラ7の画像は、車両1の室内のディスプレイ16に表示される。
【0037】
図3は、仮想カメラ7の視点からの車両周辺環境の例示的な結像を示す。この表示のいくつかの領域においては、第1の領域4が、仮想カメラ7の視野内に存在することが明らかである。この第1の領域4には、図示の例においては、複数の車両30が存在している、車両1の車両周辺環境が表示されている。さらに当該車両1のモデル1’の上方には、第2の領域5が結像されていることが明らかである。この第2の領域5は、
図3に示す例においては、付加的画像情報によって定義される曇った天空によって充填されている。
【0038】
即ち、一般的には、仮想投影面2は、上向きに閉じた形態で、特に球体の形態で実行される。そうでなければ、この仮想投影面2は、典型的には上向きに開いたボウルの形態で実行されている。それにより、仮想投影面2の上方部分も3Dネットワークの形態で同様に利用可能である。車両周辺環境の関連する部分は、車両1に配置されたカメラ12乃至15のいずれによっても検出されない。そのため、仮想投影面2のこの領域に対しては、テクスチャ情報は用意されない。なぜなら、車両1上方の天空は、車両1のいずれのカメラによっても検出されないからである。テクスチャ情報なしの対応する領域は、仮想投影面2のポリゴンにテクスチャが割り当てられているかどうかを検査する可視性アルゴリズムを用いて簡単に識別することができる。
【0039】
ここでは特に、第2の領域5に結像される天空が、必ずしも車両上方の実際の天空に対応するものではないことが明らかである。これにより、第2の領域5内には将来の気象状況を表示し、車両1の運転者に指示する手段がもたらされる。
【0040】
上述の開示の他に、
図1乃至
図3の開示も明示的に参照される。