特許第6603054号(P6603054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603054
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   F25D17/08 307
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-122251(P2015-122251)
(22)【出願日】2015年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-9141(P2017-9141A)
(43)【公開日】2017年1月12日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 達哉
(72)【発明者】
【氏名】兼坂 尚宏
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−075050(JP,A)
【文献】 特開2014−059081(JP,A)
【文献】 特開2010−127544(JP,A)
【文献】 特開2002−130934(JP,A)
【文献】 特開2011−257022(JP,A)
【文献】 特開昭60−216167(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0016202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/04−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室と、
前記冷蔵室内に設置したチルド室と、
前記冷蔵室用の冷気を生成する冷蔵用冷却器と、
前記冷蔵用冷却器で生成された前記冷気を、前記冷蔵室内に送風する冷蔵室用冷却ファンと、
冷凍室と、
前記冷凍室用の冷気を生成する冷凍用冷却器と、
前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を、前記冷凍室内に送風する冷凍用冷却ファンと、
前記チルド室内に収納され、前面に開口が形成されたチルドケースと、
前記開口を介して前記チルドケースに出入りし、前記チルドケースに収納されたときに前記開口を塞ぐ扉が一体的に形成された容器と、
前記チルドケースを、前記開口を除き覆った、熱伝導性の高い材料の冷却カバーと、
前記冷却カバーのまわりに前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を導くチルド用ダクトと、
前記冷凍用冷却器からの前記冷気を直接前記チルド用ダクトへ導く送風ダクトと、
前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を前記冷却カバーに送風するチルド室用冷却ファンと、
前記チルド用ダクトからの前記冷気を直接前記冷凍用冷却器へ導く帰還用ダクトと、を備え
前記チルド用ダクトと、前記送風ダクトと、前記帰還用ダクトは、前記冷凍用冷却器と前記チルド室の間で、前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を循環させる循環路を形成する冷蔵庫。
【請求項2】
前記送風ダクト内に、該送風ダクトを開閉して前記冷凍用冷却器で生成された冷気の流れをコントロールするダンパーを設置した、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記チルド用ダクトが、前記冷凍用冷却器で生成された冷気を行き渡らせるために、前記冷却カバーの上面および下面板、左側面および右側面板、背面板の全面を覆う、請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記チルド用ダクトが、前記冷凍用冷却器で生成された冷気を行き渡らせるために、前記冷却カバーの背面板を覆う、請求項1または2記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記帰還用ダクトから前記冷凍用冷却器に送られる冷気は、前記冷凍用冷却器で生成された冷気を吸い込む前記送風ダクトの冷気吸込口を介して循環した、請求項記載の冷蔵庫。
【請求項6】
少なくとも前記冷却カバーの上面および下面板、左側面および右側面板は、断熱材で覆った、請求項記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記冷却カバーの上面および下面板、左側面および右側面板、前記チルド用ダクトを除く前記冷却カバーの背面板は、断熱材で覆った、請求項記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記チルド室内に温度センサーを設置し、該温度センサーに検出結果に基づき、前記ダンパーをコントロールした、請求項記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵室用冷却器、冷凍室用冷却器の2冷却方式を備えた冷蔵庫のチルド室は、冷蔵用冷却器を通過した冷気を、冷蔵室用ファンでチルド室内に送風することで冷却している。
【0003】
しかしながら、冷蔵室用冷却器、冷凍室用冷却器のうち、冷蔵室内に設置されたチルド室は、冷蔵室用冷却器の冷気を使用することで冷却している。このため、冷蔵室用冷却器でチルド室の温度を下げるには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−257022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、2冷却方式を用いながら、チルド室の設定温度を制御して温度変動を抑えるとともに、低い温度設定も可能とする冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室と、前記冷蔵室内に設置したチルド室と、前記冷蔵室用の冷気を生成する冷蔵用冷却器と、前記冷蔵用冷却器で生成された前記冷気を、前記冷蔵室内に送風する冷蔵室用冷却ファンと、冷凍室と、前記冷凍室用の冷気を生成する冷凍用冷却器と、前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を、前記冷凍室内に送風する冷凍用冷却ファンと、前記チルド室内に収納され、前面に開口が形成されたチルドケースと、前記開口を介して前記チルドケースに出入りし、前記チルドケースに収納されたときに前記開口を塞ぐ扉が一体的に形成された容器と、前記チルドケースを、前記開口を除き覆った、熱伝導性の高い材料の冷却カバーと、前記冷却カバーのまわりに前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を導くチルド用ダクトと、前記冷凍用冷却器からの前記冷気を直接前記チルド用ダクトへ導く送風ダクトと、前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を前記冷却カバーに送風するチルド室用冷却ファンと、前記チルド用ダクトからの前記冷気を直接前記冷凍用冷却器へ導く帰還用ダクトと、を備え、前記チルド用ダクトと、前記送風ダクトと、前記帰還用ダクトは、前記冷凍用冷却器と前記チルド室の間で、前記冷凍用冷却器で生成された前記冷気を循環させる循環路を形成する
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1にかかる冷蔵庫の正面図である。
図2図1Aa−Ab線断面図である。
図3図1の冷蔵庫部分の観音開き扉を外した状態を示す図である。
図4図1Ba−Bb線断面図である。
図5】実施形態1にかかる冷蔵庫の要部を模式的に示す図である。
図6図2の要部を拡大した図を示す。
図7図6のCa−Cb線の断面図を示す。
図8】実施形態2にかかる冷蔵庫の図6相当部分の断面図を示す。
図9】実施形態2にかかる冷蔵庫の図7相当部分の断面図を示す。
図10】実施形態3にかかる冷蔵庫のチルド室を側面からみた図を示す。
図11図10のチルド室を背面からみた図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0009】
(実施形態1)
図1は、実施形態1を示す図で冷蔵庫の正面図である。図2は、図1Aa−Ab線断面図である。図3は、図1の冷蔵庫部分の両開き扉を外した状態を示す図である。図4は、図1Ba−Bb線断面図である。
【0010】
図1において、冷蔵庫11の縦長のキャビネット12は、外箱と内箱より構成され、その間に断熱材が充填された断熱箱体である。キャビネット12の内部は、図2図3に示すように、上部から順に、食品貯蔵のための貯蔵室である冷蔵室13、野菜室14、製氷室15、上部冷凍室16、それに下部冷凍室17が設けられている。各室13〜17は、前面にそれぞれ開口を備えている。
【0011】
冷蔵室13の開口は、いわゆる観音開き式の左扉13aおよび右扉13bによって開閉される。左扉13aは左端部の上下部がヒンジ13cによって回動可能に支持されている。右扉13bは右端部の上下部がヒンジ13dによって回動可能に支持されている。
【0012】
また、野菜室14、製氷室15、上部冷凍室16、それに下部冷凍室17は、引き出し式の扉14a,15a,16a,17aによって開閉されるようになっている。
なお、製氷室15と上部冷凍室16は左右方向に並べて配置されている。製氷室15と上部冷凍室16は、独立した扉15aと16aによって開閉されるようになっているが、室内が完全に独立しているわけではなく、製氷室15と上部冷凍室16との間では冷気が自由に行き来できる構成となっている。
冷蔵室13の下方背面の側の部屋には、図4に示すように、冷蔵用冷却器21と冷蔵室用冷却ファン22が配置されている。冷蔵用冷却器21は、冷蔵室13と野菜室14を冷却する冷気を生成する。冷蔵用冷却器21を通過して生成される冷気温度は、例えば−20℃程度である。冷蔵室用冷却ファン22が運転されると、冷蔵用冷却器21を通過して生成される冷気は、送風ダクト23を通して複数の吹出口24から冷蔵室13内に供給される。冷蔵用冷却器21を通過して生成される冷気は、野菜室14にも供給される。
【0013】
製氷室15、上部冷凍室16および下部冷凍室17の背面側の部屋には、図2に示すように、冷凍用冷却器25と冷凍室用冷却ファン26が配置されている。冷凍用冷却器25は、製氷室15、上部冷凍室16および下部冷凍室17を冷凍するための冷気を生成する。冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気温度は、例えば−40℃程度である。冷凍室用冷却ファン26を運転すると、冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気は、製氷室15、上部冷凍室16および下部冷凍室17の各室を冷凍する。
【0014】
さらに、冷蔵室13内の最下段には、チルド室27が配置されている。チルド室27は、ヨーグルト、生クリームなどの発酵食品、生鮮食品、練り製品、乳製品や凍らせたくない食品などを、例えば0℃〜1℃の温度で保存する。
【0015】
冷蔵室13の右扉13bには、図2に示すように、複数段のドアポケット13eが設けられている。左扉13aには、複数段の図示しないドアポケットが設けられている。また、冷蔵室13内には、例えばガラス等の透明性材料で形成されている複数段の棚板13fが設けられている。チルド室27の上面には、温度の異なる冷蔵室13との断熱機能を備えた棚板として使用するチルド室天井板13gが設置されている。
【0016】
右扉13bの表面には、図1に示すように、タッチパネル28が設けられている。このタッチパネル28は、表示部281と操作部282の機能を備えている。操作部282は、冷蔵室温度、冷凍室温度、チルド室温度等の設定を行うことができる。冷蔵室13の設定温度の変更は、タッチパネル28の[冷蔵室]の表示をタッチする。次に操作部282の上下スイッチを操作し、所望の温度に設定する。冷凍室17やチルド室27の設定温度は、同様のタッチパネル28操作により変更することができる。
なお、タッチパネル28のスイッチとしては、使用者が指で触れることによる静電容量の変化を検出する静電容量方式や、使用者が指で触れることによる電気抵抗の変化を検出する抵抗膜方式等を用いることができる。
【0017】
冷蔵室13と野菜室14の間には、図3に示すように、これらの横方向を仕切る上部仕切部30が配置されている。野菜室14と製氷室15、上部冷凍室16の間には、これらの横方向を仕切る中部仕切部31が配置されている。製氷室15、上部冷凍室16と下部冷凍室17の間には、これらの横方向を仕切る下部仕切部32が配置されている。さらに、製氷室15と上部冷凍室16の間には、これらの縦方向を仕切る縦仕切部33が配置されている。
【0018】
キャビネット12の下端部背面側には、図2に示すように、機械室34が設けられている。この機械室34内には、冷媒ガスを圧縮するコンプレッサ35および図示しない高圧の冷媒ガスを液化させる凝縮器、それらを冷却するための冷却ファンなどが配置されている。
【0019】
冷凍用冷却器25は、上記したように、製氷室15、上部冷凍室16および下部冷凍室17を冷凍するための冷気を生成する。これに加え、冷凍用冷却器25は、チルド室27を冷却するためにも使用する。
【0020】
冷凍用冷却器25と上部冷凍室16の間には、図2に示すように、冷却器用カバー36が設置されている。冷却器用カバー36は、冷凍室用冷却ファン26の風が上部冷凍室16に直接当たらないようにし、温度ムラの発生を抑えている。
【0021】
冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気は、チルド室27の背面まで設置された送風ダクト37を介して送風する。チルド室27の背面には、チルド用ダクト38が形成されている。チルド用ダクト38は、送風ダクト37を介して送風された冷気をチルド室27の背面に当てチルド室27の室内を冷却する。
【0022】
送風ダクト37内には、ダンパー39、チルド室用冷却ファン40が配置されている。ダンパー39は、送風ダクト37を開閉することにより冷気の流れをコントロールし、チルド室27の温度を細かくコントロールする役目を果たす。チルド室用冷却ファン40は、チルド室27の冷却速度を速める役目を果たす。
【0023】
チルド用ダクト38と冷凍用冷却器25との間には、帰還用ダクト41が設置されている。帰還用ダクト41は、送風ダクト37を介して送風された冷気でチルド室27を冷却した冷気を、冷凍室側に形成された送風ダクト37に形成された冷気吸込み口411を介して戻すようにしている。冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気は、送風ダクト37、チルド用ダクト38、帰還用ダクト41を介して再び冷凍用冷却器25に戻す閉循環にし、チルド室27を冷却している。
【0024】
チルド室27を冷却した冷気は、帰還用ダクト41を冷凍用冷却器25の冷却器用カバー36の冷気吸込み口411に直結した構造とした。帰還用ダクト41を戻ってくるやや温度が上がった冷気が冷凍室内温度への影響を抑えることができる。
【0025】
図5は、冷蔵庫11の正面側から見たキャビネット12の背面側に設置された送風ダクト23と冷蔵用冷却器21の位置関係および送風ダクト37と冷凍用冷却器25の位置関係の模式的に示す。
【0026】
冷蔵用冷却器21を通過して生成される冷気は、冷蔵室用冷却ファン22でチルド室27の背面に配置された送風ダクト23を介して冷蔵室13に送風する。
【0027】
冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気は、チルド室用冷却ファン40で野菜室14の背面に配置された送風ダクト37を介してチルド室27の背面に送風する。
【0028】
図6は、図2に示すチルド室27部分を拡大して示す。図7は、図6Ca−Cb線断面を示す図である。
【0029】
チルド室27は、図6図7に示すように、チルド室天井板13g、左側面板51、右側面板121、それに上部仕切部30による囲みで構成されている。チルド室天井板13gおよび左側面板51は、冷蔵室13に面して配置されている。右側面板121は、キャビネット12を構成する左側の側面と兼ねる構成とする。
【0030】
チルド室27内には、箱状の例えば樹脂製のチルドケース271が収納されている。チルドケース271は、前面に開口272が開けられている。チルドケース271の両内側面の下方には、奥側に伸びるレール81a,81bが一体的に形成されている(図11参照)。レール81a,81bは、対向する位置関係にある。レール81a,81bは、それぞれ上下のレールで構成されている。
【0031】
チルドケース271の開口272は、容器273が自在に出し入れされる。容器273は、扉カバー274と一体的に構成され、引出し式の扉を構成する。扉カバー274には取手274aが一体的に形成されている。容器273の両側面には、ガイド82a,82bが一体的に形成されている(図11参照)。ガイド82a,82bは、レール81a,81b間をそれぞれ摺動する。ガイド82a,82bにはローラを取着して、レール81a,81b上をスムースな移動を可能にするようにしてもよい。
【0032】
扉カバー274には、空気層を備えた扉パネル275が取着されている。扉パネル275は、チルドケース271の開口272よりやや広い大きさで形成されている。扉カバー274と扉パネル275はチルド室27に対して二重構造となり、断熱効果の向上、延いては省エネに寄与する。
【0033】
扉パネル275の外周には、さらにパッキン276が取着されている。パッキン276は、扉カバー274を閉めたときに、チルドケース271の開口272端面に対し、やや圧接状態で接触する。
【0034】
扉パネル275の幅方向両端の直交する方向には、係止部277が一体的に形成されている。係止部277は、先端に近づくに従い漸次幅が狭くなる第1傾斜部277aを備えている。係止部277は、先端近傍で先端よりやや幅を広くして形成される第2傾斜部277bを備えている。
【0035】
チルドケース271の上下面、左右側面、それに背面は、冷却カバー52で覆われている。冷却カバー52は、熱伝導率の高い金属製の例えばアルミニウムで一体的に形成されている。
【0036】
冷却カバー52の上面板52aとチルド室天井板13gとの間には、図6に示すように、チルドダクト38に連結した上チルドダクト38aが形成されている。冷却カバー52の下面板52bと上部仕切部30との間には、チルドダクト38に連結した下チルドダクト38bが形成されている。
【0037】
冷却カバー52の左側面板52cと左側面板51との間には、図7に示すように、チルドダクト38に連結した左チルドダクト38cが形成されている。冷却カバー52の右側面と右側面板121との間には、チルドダクト38に連結した右チルドダクト38dが形成されている。
【0038】
チルドダクト38、それに上下チルドダクト38a,38b、左右チルドダクト38c,38dは、連通された状態に形成される。これにより、冷却カバー52の背面板52e、上下面板52a,52b、両側面板52c,52dは、冷気が送風されるダクトに面することになる。
【0039】
チルドケース271の両外側の側面には、図6図7に示すように、樹脂製のキャッチャー53a,53bが取り付けられている。キャッチャー53a,53bは、パッキン276と開口272端面を圧接状態で係止部277を係止する役目を果たす。
【0040】
キャッチャー53a,53bは、チルドケース271の両外側面にそれぞれ取着されている。キャッチャー53a,53bは、同一構成をしている。
【0041】
チルドケース271を覆う冷却カバー52のチルド用ダクト38に面した冷却カバー52の背面板52eには、送風ダクト37を介して送られてくる冷気が当てられる。チルド室用冷却ファン40は、チルド用ダクト38により冷却カバー52に冷気を効率的に当て、チルド室27のチルド温度をより低温に設定することが可能となる。
【0042】
このように、送風ダクト37を介して送られてくる冷気は、冷凍用冷却器25を通過して生成されたものである。冷凍用冷却器25を通過して生成される冷気の温度は、冷蔵用冷却器21を通過して生成される温度よりも低い。チルド室27の温度が設定値より上昇した場合は、短時間に設定温度に戻すことができる。このため、チルド室27に収納された食品などの鮮度向上に寄与する。
【0043】
なお、チルド室27が設定温度よりも低くなった場合は、例えばチルド室27内に温度センサーを設置し、温度センサーの検出結果に基づき、ダンパー39を閉めるコントロールを行う。これにより、チルド室27は、送られる冷気が停止あるいは低下させることにより、チルド室27の温度を上げることができる。
【0044】
この実施形態は、冷蔵用と冷凍用の冷却器を備えた冷蔵庫にあって、冷蔵庫内に設置されたチルド室の冷却を、冷凍用の冷却器を通過させ生成される冷気により行うようにした。チルド室の温度帯は、これまでよりも低温に設定することが可能となり、商品の訴求性の向上を図ることができる。
【0045】
(実施形態2)
図8図9は、実施形態2の冷蔵庫を示す。図8は、図6相当部分の断面を示す。図9は、図7相当部分の断面を示す。
【0046】
この実施形態は、冷却カバー52の背面板52eほぼ全面に、チルド用ダクト38を介して冷気を当てるようにした。
【0047】
冷凍用冷却器25を通過させ生成される冷気は、送風ダクト37を介してチルド用ダクト38を介して、チルド室用冷却ファン40にチルド用ダクト38により冷却カバー52に当てる。冷却カバー52は、冷凍用冷却器25による低い温度の冷気を、チルド室用冷却ファン40の送風により効率的に冷やされる。
【0048】
この実施形態では、冷却カバー52の上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dには冷気を当てる構成をとっていない。しかし、チルド室27は、熱伝導率の高い冷却カバー52、低い冷気温度により室温を低くコントロールすることができる。また、冷却カバー52の上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dの対向面にダクトを設けない分、チルド室27をより低く設定可能としながら、チルド室27を構成する周囲の構成をコンパクトにでき、冷蔵室13の容量を広くすることが可能となる。
【0049】
(実施形態3)
図10図11は、実施形態3の冷蔵庫を示す。図10は、チルド室27の側面からみた図を示す。図11は、チルド室27の背面からみた図を示す。
【0050】
この実施形態では、図11に示すように、実施形態2と同様に、冷却カバー52の背面板52eに、チルド用ダクト38に取り込んだ送風ダクト37からの冷気を当てている。冷却カバー52の上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dには、断熱材101が設置されている。すなわち、冷却カバー52で覆われたチルドケース271の開口272とチルド用ダクト38との対向面以外の外面は、断熱材101で覆う構造とした。
【0051】
チルド用ダクト38に送られてきた冷凍用冷却器25を通過させ生成される冷気温度は、熱伝導率の高い金属製の冷却カバー52の背面板52eを冷却する。背面板52eが冷却された冷却カバー52は、上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dをそれぞれ伝導して、これら冷却する。冷却された上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dは、チルド室27に冷気として生成する。
【0052】
上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dの外側は、断熱材101で覆ってあることから、ほぼチルド室27側に冷気を伝える。これにより、チルド室27内の低い温度設定に対応することができる。
【0053】
この実施形態では、冷却カバー52の外面を覆った断熱材が冷却カバー52内の温度変動を抑え、延いてはチルドケース271の温度変動を抑えることが可能となる。この場合のチルドケース271は、収納した食品の保存性の向上を図ることが可能となる。
【0054】
なお、チルド用ダクト38の構造は、実施形態2としたが、実施形態1のように、冷却カバー52は冷却カバー52の上下面、左右側面にチルド用ダクト38に連なるダクトを形成したものであってもよい。断熱材101は、冷却カバー52の上下面板52a,52b、左右側面板52c,52dを覆うようにしたが、チルド用ダクト38周辺の背面板52eを覆うようにしてもよい。この場合は、チルド室27の保温性をより向上させることができる。
【0055】
上記した実施形態に限定されるものてばない。例えばチルド室27を冷却するために冷凍用の冷気を、この冷気より高い温度に設定されるチルド室27の上部にある冷蔵室13や下部にある野菜室14に漏れない構造とする。例えば、チルド室天井板13gは、冷蔵室13とチルド室27を隔離する形状とし、上部仕切部30は、チルド室27の底面と対向する部分に断熱材が収納された断熱板を設置する。これにより、冷蔵室内の温度変動や冷蔵室側の影響による異常着霜を抑えることができる。
【0056】
また、チルド室27内の温度を検出する温度センサーを設置する。これにより、設定されたチルド室27のきめ細かな温度制御が実現可能となる。この場合、チルド室27を冷却するための冷気は、冷凍用冷却器25を通過して生成される低い温度であることから、素早いチルド室27の設定温度の制御を実現することができる。
【0057】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
11 冷蔵庫
13 冷蔵室
13g チルド室天井板
14 野菜室
15 製氷室
16 上部冷凍室
17 下部冷凍室
21 冷蔵用冷却器
22 冷蔵室用冷却ファン
23 送風ダクト
25 冷凍用冷却器
26 冷凍室用冷却ファン
27 チルド室
271 チルドケース
272 開口
30 上部仕切部
36 冷却器用カバー
37 送風ダクト
38 チルド用ダクト
38a 上チルドダクト
38b 下チルドダクト
38c 左チルドダクト
38d 右チルドダクト
39 ダンパー
40 チルド室用冷却ファン
41 帰還用ダクト
411 冷気吸込み口
52 冷却カバー
52a 上面板
52b 下面板
51,52c 左側面板
52d,121 右側面板
52e 背面板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11