特許第6603085号(P6603085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートモーティブエナジーサプライ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6603085-車両用電源装置及び車両制御装置 図000002
  • 特許6603085-車両用電源装置及び車両制御装置 図000003
  • 特許6603085-車両用電源装置及び車両制御装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603085
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】車両用電源装置及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/04 20060101AFI20191028BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20191028BHJP
   B60R 16/023 20060101ALI20191028BHJP
   B60W 50/029 20120101ALI20191028BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20191028BHJP
   H02H 7/18 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   B60L3/04 E
   B60R16/02 650J
   B60R16/023 P
   B60W50/029
   H02J7/00 P
   H02J7/00 S
   H02H7/18
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-174293(P2015-174293)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-51036(P2017-51036A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】福家 和也
(72)【発明者】
【氏名】茂刈 武志
【審査官】 清水 康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−166018(JP,A)
【文献】 特開2013−199166(JP,A)
【文献】 特開2013−212755(JP,A)
【文献】 特開2001−329884(JP,A)
【文献】 特開2001−317399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 − 3/12
B60L 7/00 − 13/00
B60L 15/00 − 15/42
B60L 50/00 − 58/40
B60R 16/02
B60R 16/023
B60W 50/029
H02J 7/00 − 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータと上記インバータへの制御指令により車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラを有する車両の電源装置であって、
車両に搭載されたバッテリと、
上記インバータと上記バッテリとの間に接続されたリレーと、
上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、
上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへの制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と
上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線と、を有し、
上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することなく、車両の走行モードが所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
インバータと上記インバータへの制御指令によりモータによって駆動される車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラを有する車両の電源装置であって、
車両に搭載されたバッテリと、
上記インバータと上記バッテリとの間に接続されたリレーと、
上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、
上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへの制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と
上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線と、を有し、
上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、車両の走行モードがモータ駆動による所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴とする車両用電源装置。
【請求項3】
車両に搭載されたバッテリと、
リレーと、
上記リレーを介して上記バッテリに接続されたインバータと、
上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、
上記インバータへの制御指令により車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラと、
上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへのオンオフ制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と、を有し、
少なくとも上記車両制御用コントローラが、上記通信線による通信異常を検知可能な車両制御装置において、
上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線を有し、
上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することなく、車両の走行モードが所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴とする車両制御装置。
【請求項4】
車両に搭載されたバッテリと、
リレーと、
上記リレーを介して上記バッテリに接続されたインバータと、
上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、
上記インバータへの制御指令によりモータによって駆動される車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラと、
上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへのオンオフ制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と、を有し、
少なくとも上記車両制御用コントローラが、上記通信線による通信異常を検知可能な車両制御装置において、
上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線を有し、
上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、車両の走行モードがモータ駆動による所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
上記リンプホームモードにおいて、車両運転者のキーオフ操作がなされたタイミングで、上記車両制御用コントローラが上記信号線を介して上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することを特徴とする請求項3または4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
上記リンプホームモードで走行中に、車両部品が破損した場合には、上記車両制御用コントローラが上記信号線を介して上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項7】
前回走行時に上記リンプホームモードで運転者のキーオフ操作がされていた場合には、車両運転者のキーオン操作による車両の始動時に、上記リレーをオンしないことを特徴とする請求項3〜のいずれかに記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたバッテリの電力供給を制御する車両用電源装置及び車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、異なる制御装置の間にデータ伝送系が設けられ、このデータ伝送系により両者間で所定のデータの授受が可能となった構成が開示されている。
【0003】
この特許文献1では、上記データ伝送系を介して得られた所定のデータに基づいて一方の制御装置(例えばエンジン制御装置)が他方の制御装置(例えば自動定速走行制御装置)の機能診断を行い、他方の制御装置に異常が検知された際には、他方の制御装置によるフェイルセイフ機能が有効に作動しない場合であっても、一方の制御装置によるバックアップにより運転性能悪化を防止している。このように制御装置間で連係した制御を行うことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−20456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような制御装置間の連係を、車両用電源装置に適用した場合、制御装置自体に異常はないが、データ伝送系に異常発生した場合には、制御装置間でデータの授受が出来なくなり、制御装置間で協調がとれなくなってしまい、バッテリの電力供給ができなくなり、結果的に運転性能が悪化してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用電源装置は、インバータと上記インバータへの制御指令により車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラを有する車両の電源装置であって、車両に搭載されたバッテリと、上記インバータと上記バッテリとの間に接続されたリレーと、上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへの制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線と、を有し、上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することなく、車両の走行モードが所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴としている。
また、本発明の車両制御装置は、車両に搭載されたバッテリと、リレーと、上記リレーを介して上記バッテリに接続されたインバータと、上記リレーのオンオフを制御可能なバッテリコントローラと、上記インバータへの制御指令により車両の走行モードを制御可能な車両制御用コントローラと、上記バッテリの情報を上記バッテリコントローラから上記車両制御用コントローラに送信するとともに、上記リレーへのオンオフ制御指令を上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラへ送信可能な通信線と、を有し、少なくとも上記車両制御用コントローラが、上記通信線による通信異常を検知可能なものであって、上記通信線による通信異常が発生した際に、上記車両制御用コントローラから上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信可能な上記通信線とは異なる信号線を有し、上記車両制御用コントローラは、上記通信線による通信異常が検知されると、上記バッテリコントローラに上記リレーの遮断要求信号を送信することなく、車両の走行モードが所定のリンプホームモードに移行するよう上記インバータを制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、上記通信線に通信異常が発生しても、適切なタイミングで上記リレーをオフすることが可能となるため、上記通信線に通信異常が発生した場合でも上記バッテリの電力供給を継続できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る車両用電源装置を含む車両用制御装置を模式的に示した説明図。
図2】本発明に係る車両用電源装置を含む車両制御装置における始動時のリレーの制御の流れを示すフローチャート。
図3】本発明に係る車両用電源装置を含む車両制御装置において走行中にリレーをオフする場合の制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る車両用電源装置を含む車両制御装置1を模式的に示した説明図である。
【0010】
車両制御装置1は、例えば、ハイブリッド車両や電気自動車等に搭載されるものであって、車両の駆動源となるモータMの電源となる高電圧のバッテリパック2と、バッテリパック2に接続されたリレー3と、リレー3を介してバッテリパック2に接続されたインバータ4、バッテリパック2に接続されたバッテリマネジメントシステム(BMS)としてのバッテリコントローラ5と、インバータ4を制御可能な車両制御用コントローラ6と、バッテリコントローラ5と車両制御用コントローラ6との間で双方のデータの授受をいわゆるCAN通信によって行う通信線8と、通信線8の通信異常を車両制御用コントローラ6が判断し、車両制御用コントローラ6からバッテリコントローラ5にリレー3のオフ要求信号を送信可能な通信線8とは別ルートの信号線9と、から大略構成されている。
【0011】
バッテリパック2は、充放電可能な二次電池であり、例えば、複数の単電池を直列または並列に接続することで構成されたものである。
【0012】
図1中の11は、バッテリパック2の電圧を測定する電圧測定機構であり、具体的には、バッテリパック2の電圧を検知可能なIC等の電子部品からなっており、信号線14を介してバッテリパック2に接続されると共にMPU12と通信線で接続されMPU12へ電圧値の情報を送信している。
【0013】
図1中の7は、バッテリパックの2の充放電電流を検知する電流センサであり、バッテリパック2とリレー3との間に介装され、バッテリパック2の充放電電流を検知する。電流センサ7からの信号は、信号線16を介してMPU12に送信される。
【0014】
リレー3は、電流センサ7とインバータ4の間に接続された強電リレーであり、オン状態でバッテリパック2とインバータ4とが電気的に接続された状態となりバッテリパックの充放電が可能となる。また、リレー3は、オフ状態でバッテリパック2とインバータ4との間が電気的に遮断された状態となる。リレー3は、直接的にはバッテリコントローラ5によって制御されるが、通信線8や信号線9を介した車両制御用コントローラ6からの制御指令に基づいて制御可能となっている。
【0015】
バッテリコントローラ5は、バッテリパック2の状態を演算する主演算器としてのMPU(マイクロプロセッシングユニット)12と、MPU12からの制御信号によりリレー3を駆動するリレー駆動機構13と、から大略構成される。
【0016】
リレー駆動機構13は、具体的には、リレー3を駆動させる信号を信号線15を介して送信するIC等の電子部品からなっている。
【0017】
MPU12は、電圧測定機構11や電流センサ7や図示しない温度センサ等からの信号を入力し残存容量等のバッテリパックの状態を演算する機能、電圧測定機構11や電流センサ7や図示しない温度センサ等の信号を入力し過充電や過放電のような電圧異常、温度異常などのバッテリパック2の異常診断を行う機能、MPU12の自己診断機能、各種診断の結果やバッテリパックの各種状態を通信線8を介して車両制御用コントロー6に送信する機能、リレー3が溶着しているか否かを診断する機能、リレー3をオンオフ制御するためにリレー駆動機構13を制御する機能等を有している。
【0018】
各種診断の結果やバッテリパックの各種状態は、後述するように、車両制御用コントローラ6においてモータMの制御に利用したり、車両制御用コントローラ6に接続された図示しない警報器や表示器への情報として利用されたり、車両制御用コントローラ6においてリレー3のオンオフ要求の条件判定に利用される。
【0019】
各種診断機能について説明する。過電圧によるバッテリパック2の電圧異常は、バッテリパック2の電圧が所定の過電圧閾値以上となった場合である。過放電によるバッテリパック2の電圧異常は、バッテリパック2の電圧が所定の過放電閾値以下となった場合である。バッテリパックの温度異常は、バッテリパック2の温度が所定の温度上限閾値以上になった場合や、バッテリパック2の温度が所定の温度下限閾値以下になった場合である。またリレーの溶着異常は、リレー駆動機構13によりリレー3をオンオフさせたときに図示しないリレー3の電位を検出するセンサからの信号が変化しなかったか否かによって判断する。
【0020】
なお、車両に搭載される状態では、バッテリパック2、バッテリコントローラ5、電流センサ7及びリレー3が一つにまとめられて単一のバッテリユニット21を構成する。つまり、バッテリユニット21(車両用電源装置)の構成要素の一つがバッテリコントローラ5となる。
【0021】
車両制御用コントローラ6は、通常は、車両に搭載された各種センサSからの信号やバッテリコントローラ5から通信線8を介して受信した各種情報に基づいて判断した車両の運転状況に応じてインバータ4を制御することで、モータMの回転数やトルクを制御する。各種センサSの例としては、イグニッションスイッチの状態を検出するセンサ、アクセル操作量やブレーキ操作量を検出するセンサ、加速度センサ等がある。車両制御用コントローラ6の上記以外の機能については、図2及び図3を参照して説明する。
【0022】
図2は、上述した本実施例の車両制御装置1における始動時のリレー3の制御の流れを示すフローチャートである。
【0023】
車両運転者によるイグニッションキーのオン操作が行われると、S11にて車両制御用コントローラ6はイグニッションキーのオン状態を検出し、車両制御用コントローラ6はバッテリコントローラ5にバッテリコントローラ5のMPU12の自己診断結果及びバッテリパック2の診断結果を送信するよう指示する信号を通信線8を介して送信し、通信線8を介して診断結果を受信する。バッテリコントローラ5は診断結果を車両制御用コントローラ6からの指示に従って送信するようプログラムされている。
【0024】
次に、S12に進み、車両制御用コントローラ6は、バッテリコントローラ5のMPU12に異常があると判定した場合には、リレー3をオンすることなく終了する。バッテリコントローラ5に異常がない場合には、S14に進む。
【0025】
S14では、車両制御用コントローラ6はバッテリコントローラ5からの情報によりバッテリパック2の異常の有無を判定する。バッテリパック2に異常があると判定されるとS13へ進み、リレー3をオンすることなく終了する。バッテリパック2に異常がないと判定された場合には、S15へ進む。
【0026】
そして、S12でバッテリコントローラ5に異常がなく、バッテリパック2にも異常がない場合、S15では、リレー3をオンにするリレーオン要求を、車両制御用コントローラ6から通信線8を介してバッテリコントローラ5に送信する。
【0027】
S16では、車両制御用コントローラ6からのリレーオン要求を受けて、バッテリコントローラ5が、リレー3の溶着診断を実施する。溶着診断の結果、リレー3が溶着していると判断された場合にはS13へ進み、リレー3をオンすることなく終了する。リレー3が溶着していない場合はS17へ進んでリレー3をオンする。
【0028】
以上のように、S12、S14では、バッテリコントローラ5において診断結果を演算し車両制御用コントローラ6が診断結果が異常か正常かを判定する構成としたが、これに限るものではなく、バッテリコントローラ5から、MPU12が入力した電圧値や電流値を車両制御用コントローラ6に送信し、車両制御用コントローラ6にて診断結果を演算した上でS12、S14の判定をしても良い。また、図2のS11のキーオン信号を車両制御用コントローラ6から通信線8を介してバッテリコントローラ5に送信した際、バッテリコントローラ5において、S12、S14の判定を行っても良い。
【0029】
次に、図3は、上述した本実施例の車両制御装置1において走行中にリレー3をオフする場合の制御の流れを示すフローチャートである。
【0030】
S21では、車両制御用コントローラ6で通信線8による通信異常(CAN通信の異常)の有無を診断する
【0031】
通信線8の通信異常が検知された場合にはS22へ進み、通信線8の通信異常が検知されない場合にはS27へ進む。
【0032】
S27では、車両部品の破損が発生したか否かを判定する。例えば、車両が衝突した際の衝撃を検知した加速度センサからの信号入力が車両制御用コントローラ6に入力されると、車両部品の破損が発生したと判定する。車両部品の破損が発生したと判定されるとS28へ進み、車両部品が破損したことによって車両制御用コントローラ6はリレーオフ要求を通信線8を介してバッテリコントローラ5に送信し、S26へ進んでバッテリコントローラ5はリレー3をオフすることになる。車両部品の破損が発生していない場合はS29へ進み、車両制御用コントローラ6は、通信線8を介してバッテリコントローラ5にバッテリパック異常診断結果を送信するよう指示する信号を送信する。
【0033】
そして、バッテリコントローラ5のMPU12は、バッテリパック2に異常がないか診断し、診断結果を車両制御用コントローラ6に送信する。例えば、バッテリパック2の電圧が過電圧閾値以上、あるいは過放電閾値以下となった場合や、バッテリック2の温度が温度上限閾値以上、あるいは温度下限閾値以下となった場合に、バッテリパック2に異常があると判定される。S29でバッテリパック2に異常があると判定されるとS26へ進み、バッテリパック2に異常がない場合には、リレー3をオフすることなく終了する。
【0034】
S21で通信線8の通信異常が検知された場合について説明する。S22へ進み、車両制御用コントローラ6は、確実に目的地に到着するため、車両の走行モードを通常モードから、例えば、バッテリパック2からの放電電力が大幅に抑制されたり、バッテリパック2への充電が禁止されるリンプホームモードへ移行する。つまり、車両制御用コントローラ6は、通信線8の通信異常が検知されると、信号線17を介してインバータ4を制御してリンプホームモードを実現する。
【0035】
そして、S23では車両制御用コントローラ6が車両部品の破損が発生したか否かを判定する。判定の仕方についてはS27と同様である。S23で、破損が発生していないと判定された場合には、S24へ進み、破損が発生していると判定された場合には、S25へ進む。
【0036】
次に、S24では、車両制御用コントローラ6はキーオフが操作されたか否かを判定する。イグニッションキーのオフ操作が検出された場合S25へ進み、キーオフ操作が検出されなければリレーをオフすることなく終了する。ここで、S25で、車両制御用コントローラ6は、信号線9を介してバッテリコントローラ5にリレーオフ要求を送信し、このリレーオフ要求にしたがってバッテリコトローラ5はリレー3をオフする(S25、S26)。
【0037】
このように、通信線8の通信異常が検出された場合に、リンプホームモードで走行可能であるにもかかわらず、バッテリコントローラ5によってリレー3を即遮断してしまうと、走行を継続することが出来なくなってしまう。そこで、図3の実施例によれば、走行モードがリンプホームモードに移行後、所定のリレー遮断条件、例えば、リンプホームモードにおいて車両が停止し車両運転者のキーオフ(電源オフ)の操作が成立すると、信号線9を介して、バッテリコントローラ5にリレーオフ要求を送信しリレー3がオフされる。つまり、車両制御用コントローラ6は、車両の運転状態(上記の例では車両を安全に停止させた後)を考慮して適切なタイミングでリレーオフ要求を信号線9を介してバッテリコントローラ5に送信することが可能となり、走行を継続することができ、運転性能の悪化を抑制することができる。
【0038】
なお、走行時にリンプホームモードでかつ運転者のキーオフ操作がされた場合には、車両制御用コントローラはフラグを立てておき、車両運転者のキーオン操作による車両の始動時に、そのフラグがたっている場合には、リレーをオンしないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…車両制御装置
2…バッテリパック
3…リレー
5…バッテリコントローラ
6…車両制御用コントローラ
8…通信線
9…信号線
21…バッテリユニット(車両用電源装置)
図1
図2
図3