特許第6603089号(P6603089)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603089
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】リフィル皿保護容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20191028BHJP
   B65D 43/12 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   A45D33/00 615B
   B65D43/12
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-181505(P2015-181505)
(22)【出願日】2015年9月15日
(65)【公開番号】特開2017-55871(P2017-55871A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幸司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵美子
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−055524(JP,A)
【文献】 実開平02−086411(JP,U)
【文献】 特開2007−039068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00−40/30
B65D 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、前記係止凸部は、商品収納時に商品の底部に当接可能な高さで水平方向に延伸するように形成され、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器。
【請求項2】
可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、前記収納部の底部周縁部には底部より一段高く形成された段差面を設け、当該段差面に商品を載置することにより底部と商品との間で一定の空間を形成し、前記収納部の商品取り出し口の外側には、傾斜部が斜め上方へと延伸して前記側壁の上端まで達する傾斜面を形成し、前記係止部が前記段差面と前記傾斜部との境界部分に形成された段差であり、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器。
【請求項3】
可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、前記係止部が前記側壁に垂直方向に延伸する凸部であり、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器。
【請求項4】
可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、さらに商品を取り出す際の押出方向を示す表示部を設け、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器。
【請求項5】
前記商品取り出し口と対向する収納部の側面に前記2つの側壁に連設する側壁を設けたことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の保護容器。
【請求項6】
可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、前記収納部の側面に商品取り出し口を対向して2箇所設け、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送及び保管時に商品を収納、保護するための保護容器に関し、更に詳細には、一枚のシートより一体成型され、収納した商品を確実かつ容易に取り外すことが可能な保護容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を輸送する際に、箱やブリスターケースなどの保護容器に商品を入れて傷や埃等が付くことを防いでいる。特に、化粧品の分野では、ファンデーションやアイカラー、頬紅等を中心に、詰め替えが可能なリフィル容器による提供がなされるようになっている。このタイプの化粧料は使い切った後に、リフィル皿等のリフィル容器に充填されたリフィル用化粧料を購入し、繰り返し化粧料の本体容器に詰め替え使用するというものである。
【0003】
こうしたリフィル皿用の保護容器は、構成を簡略化して一枚のシートより一体成型すれば資源やゴミの軽減に貢献するため、簡易な構成ものが開発されているが、構成を簡易なものとすると、収納されたリフィル皿が外部からの衝撃等で脱落しやすくなるおそれがある。そのため、かかる脱落を防ぐために保護容器のリフィル皿に対する係合保持力を高める必要があるが、その場合、逆にリフィル皿を保護容器から取り外しにくくなるという問題が生じていた。
【0004】
そこで、本出願人は、かかる問題を解消すべく、リフィル皿収納部のほぼ中央に凸部を設けて、リフィル皿の裏側の一方を収納部内に押し込むと、該凸部を支点として押された側とは反対側が収納部から持ち上がり容易に取り外すことができるというリフィル皿用保護容器を開発した(特許文献1、2)。
【0005】
かかるシーソー式離脱機構を採用する場合、収納部から持ち上がったリフィル皿の端部を簡単に指で把持できるよう、あらかじめ収納部の壁面の一部を切り欠いて、あるいは切り欠き可能に形成して、その部分から指を入れることが出来るようにすると、リフィル皿の取り外しがより容易となる。
【0006】
しかしながら、当該機構を採用した保護容器に接した消費者は、商品を取り出す際にシーソー式離脱機構となっていることを把握できず、取り出しにくいと感じたり、あるいは、無理矢理商品を取り出そうとして、化粧料の表面に指が触れてしまうことがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2003−265224
【特許文献2】特開2004−275640
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、従来の保護容器のかかる欠点を克服し、簡易な構成により商品の取り外しが容易であるとともに商品の十分な係合保持力も有し、さらに、消費者が商品の取り外し方法について直感的に把握することが可能な保護容器の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであり、可撓性を有する1枚のシート材から形成され、商品に被嵌可能な収納部を備えた保護容器であって、該収納部の対向する2つの側壁には商品に係止可能な係止凸部が収納部内へ突出して設けられ、前記2つの側壁とは異なる収納部の側面の少なくとも一方には商品取り出し口を設け、前記収納部と前記商品取り出し口との境界部分には商品に係止可能な係止部が商品取り出し口内へと突出して設けられ、収納部内の商品を商品取り出し口方向へ押圧することにより、前記係止部の係止が解除されることを特徴とする保護容器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる保護容器は、収納時には商品の動きを係止凸部及び係止部により規制して外れにくくし、商品の取り出しの際には収納部から商品取り出し口へと商品を押し出すことにより商品の係止が解除して離脱させることができ、商品を容易に取り外すことができる。
【0011】
また、本発明で商品の押出方向を示す表示部を備えたものは、商品の取り外し方法について直感的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)本発明の保護容器の平面図、(b)本発明の保護容器の側面図、(c)本発明の保護容器の正面図、(d)本発明保護容器の背面図
図2】(a)本発明保護容器にリフィル皿を収納した状態のA−A断面図、(b)本発明保護容器にリフィル皿を収納した状態のB−B断面図
図3】本発明の保護容器の斜視図
図4】(a)本発明の保護容器からリフィル皿を取り外す一連の状態を表す部分拡大断面図、(b)本発明の保護容器からリフィル皿を取り外す一連の状態を表す部分拡大断面図、(c)本発明の保護容器からリフィル皿を取り外す一連の状態を表す部分拡大断面図
図5】(a)本発明の異なる態様の保護容器の平面図、(b)本発明の異なる態様の保護容器にリフィル皿を収納した状態の断面図
図6】(a)本発明の異なる態様の保護容器の平面図、(b)本発明の異なる態様の保護容器にリフィル皿を収納した状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の保護容器の実施態様を、図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施態様に何ら制約されるものではない。
【0014】
図1図3に示すように、本発明の保護容器1は、可撓性を有する1枚のシートから一体成型され、商品に被嵌することにより内部に商品を収納可能な収納部11を備える。以下、その具体的な構成について詳しく説明する。なお、以下の実施態様では収納される商品は化粧料を充填したリフィル皿とするが、収納される商品はこれに限定されるものではない。
【0015】
本実施態様の保護容器1は、商品に被嵌可能な収納部11を備え、かかる収納部11は、底部12と、底部12より立設する2つの側壁13と、2つの側壁13に連設する側壁16と、商品を取り出し可能な開口部を形成する商品取り出し口14により区画される。そして、収納部11の上方は開放しているため、収納された商品は底部12側と反対側の面が外部に露出されて保持される。なお、本実施態様では、収納部11を区画する側面は側壁13、16および商品取り出し口14により構成されているが、側壁16の代わりに商品取り出し口14を対向して2箇所設けてもよい。
【0016】
底部12は収納される商品と平面視で略同一形状に形成されており、本実施態様では、底部12の周縁部に底部12より一段高く形成された段差面121が設けられている。収納部11に収納される商品は、かかる段差面121に載置されることになるため、底部12と商品との間には空間が形成される。このように、商品と底部12との間で一定の空間が生じることにより、外部からの衝撃をかかる空間で吸収し、商品を効果的に保護することができる。また、商品が化粧料を充填したリフィル皿の場合、化粧料が底部12に付着することを防ぐことができる。
【0017】
底部12の長手側の2辺からは(本実施態様では段差面121を介して)、2つの側壁13が平行して立設している。また、底部12の短手側の1辺からは(本実施態様では段差面121を介して)側壁16が立設しており、その両端部が側壁13に連設している。そして、側壁16が設けられた底部12の辺部と対向する辺部には、商品を取り出すための開口を形成する商品取り出し口14を設けている。そして、2つの側壁13は、それらの一部が収納部11より更に延伸し、商品取り出し口14より外側に延長するように形成されている。
【0018】
商品取り出し口14の外側には、傾斜部15が設けられている。かかる傾斜部15は、底部12から(本実施態様では段差部121を介して)斜め上方へと延伸し、側壁13の上端まで達する傾斜面を形成している。好ましい傾斜角度は10〜50度であり、更に好ましくは、15〜45度である。
【0019】
収納部11の商品取り出し口14の境界部分には、商品収納時に商品の前端部に係止可能に形成された係止部17が設けられている。詳しくは、段差面121と傾斜部15の境界部分に、傾斜部15側が高くなるような小段差を形成する係止部17が設けられている。この係止部17は、商品取り出し口14の開口幅と略同一の幅に形成されており、その立ち上がりの高さは、0.1〜1.2mmが好ましく、更に0.2〜1.0mmが好ましい。
【0020】
2つの側壁13には、商品収納時に商品の底部に当接可能な高さで水平方向に延伸する係止凸部131が設けられている。係止凸部131は収納部11内へと対向して突出し、それら2つの係止凸部131間の距離は、収納される商品の幅よりも狭くなるように形成されている。このため、収納部11にリフィル皿2が収納された状態では、係止凸部131はリフィル皿2の底部22の縁部に係止する。係止凸部131は、収納部11の全長(側壁16から商品取り出し口14まで)にわたって形成しても良いが、商品の取り出しをより容易にするために、商品取り出し口14から任意の間隔を空けて形成することが好ましい。当該間隔、すなわち係止部17と係止凸部131の商品取り出し口14との間隔は収納される商品の長さの10〜35%が好ましく、更に15〜30%が好ましい。
【0021】
本実施態様の側壁12、16の上端からは、外側へ向けてフランジ18が水平に延伸して形成されている。そして、側壁16とフランジ18の一部は凹陥して指入れ部161を形成する。かかる指入れ部161は、収納部11に収納された商品と側壁16との間に指先を入れることが可能なだけの空間を形成する。
【0022】
また、フランジ18の一部には、商品を取り出す際の押出方向を示す表示部181が設けられている。かかる表示部181により、需要者は直感的に商品の取り外し方法を把握することが可能となる。なお、本実施態様では、最も理解しやすい矢印の図をもって表示部181としているが、商品の摺動方向が把握できる表示であればこれに限定されない。
【0023】
図2(a)、(b)は、収納部11内に商品である化粧料用のリフィル皿2が収納された断面図である。なお、図では説明の便宜上、底部12を下側に表しているが、基本的にリフィル皿2は表側(化粧料面21)が底部12側を向いて収納される。すなわち、陳列の際には、保護容器1の底部12側が正面もしくは上部となる(図3)。
【0024】
かかる収納状態において、リフィル皿2は段差面121に載置された状態になっており、化粧料の表面21と保護容器1の底部12との間には空間が形成されている。かかる空間は、外部からの衝撃を緩衝する役割を果たす。そして、リフィル皿2の底部22には係止凸部131が係止している。なお、係止凸部131は底部22に常に接してもよいが、リフィル皿2を収納した状態で底部22との間に多少の遊び(隙間)があってもよい。
【0025】
そして、商品取り出し口14側に位置するリフィル皿2の前端部23は、その一部が係止部17に当接可能している。なお、前端部23と係止部17は常に接していても良いが、商品を収納した状態で前端部23と係止部17との間に多少の遊び(隙間)があってもよい。
【0026】
以上の通り、リフィル皿2は、前後への動きが係止部17と側壁16により、左右への動きが2つの側壁13により規制され、また、上下への動きが係止凸部131と段差面121により規制された状態で収納部11に保持されている。かかる状態において、リフィル皿2は前後左右および上下から保持されている形となっているため、収納部11内に確実に保持され、外部から保護容器1に衝撃等が加わっても商品が収納部11より脱落するおそれがない。
【0027】
次に、収納部11からリフィル皿2を取り出す方法について説明する。図4(a)〜(c)は、本発明の保護容器からリフィル皿を取り外す一連の状態を表す部分拡大断面図である。まず、使用者は本発明の保護容器1の底部12側を下にして保持する。そして、表示部181の矢印に従ってリフィル皿2を押し出すように、商品取り出し口14とは反対側のリフィル皿2の後端部を押す。このとき、指入れ部161部分から露出しているリフィル皿2の後端部を指で押すと、力が確実にリフィル皿2に伝わりやすくなる。
【0028】
リフィル皿2に対する押圧が一定の範囲内の場合、リフィル皿2の前端部23と係止部17が当接した状態が維持されるため、その移動は規制される(図4a)。しかし、係止部17を形成しているのは小段差のため、リフィル皿2に対する押圧が一定の範囲を超えると、前端部23が係止部17を乗り越えることが可能となる(図4b)。このように、リフィル皿2が係止部17の段差を乗り越えるに際し、少なくともその段差の高さ分、前端部23側が上方へ持ち上がる必要があるが、上述のとおり係止凸部131は商品取り出し口14から任意の間隔を空けて形成されているため、リフィル皿2のかかる動きを阻害するおそれがない。
【0029】
係止部17を乗り越えたリフィル皿2は、前端部23が傾斜部15上で摺動しながら前方へ押し出されるため、前端部23側が更に斜め上方へと持ち上がっていく。これに従い、リフィル皿2の底部22が係止凸部131の下側から強く圧接され、収納部11の側壁13を内側から押し広げようとする。そして、保護容器1は可撓性を有する材料で形成されており、また、商品取り出し口14は側壁がなく開放しているため、このように内側から強く押圧することにより側壁13は外側へ撓む。これにより、対向する2つの係止凸部131の間にはリフィル皿2が通過可能な空間が生じる。
【0030】
このように、係止凸部131の間にリフィル皿2が通過可能な空間が生じ、かかる空間内にリフィル皿2の一部が挿入されると、係止凸部131により規制されていたリフィル皿2の上方への動きも可能となる。その結果、リフィル皿2は前方及び上方への係止が解除され、収納部11から離脱可能となる(図4c)。そして、さらに矢印方向への押圧を加えることにより、前端部23が傾斜部15上で摺動しながらリフィル皿2は収納部11外へ押し出され、保護容器1からの取り外しが完了する。
【0031】
このように、リフィル皿2に対する押圧が一定の範囲を越えた時点で、リフィル皿2が係止部17の段差を乗り越えるとともに係止凸部131の間を通過して係止が解除され、収納部11からの取り外しが可能となる。なお、収納部11へのリフィル皿2の収納は、上記の取り外し作業と逆の手順で行えばよい。すなわち、商品取り出し口14からリフィル皿2を挿入し、収納部11内に押し込むようにする。リフィル皿2の側壁が係止凸部131に当接するとリフィル皿2の動きに抵抗が生じるが、そのまま収納部11内への押圧を続けると、側壁13は外側へ撓み、リフィル皿2は係止凸部131の間を通過して収納部11内に押し込まれて収納することができる。
【0032】
また、リフィル皿2を係止凸部131上に水平に載置し、水平状態を維持したまま上方から収納部11内へ押し込むことにより側壁13を外側へ撓ませ、係止凸部131の間を通過させ収納することも可能である。更に、リフィル皿2を一方に傾けてリフィル皿2のいずれかの側面部を収納部11内に挿入するとともに側壁13に当接させ、反対側の側面部を上方から押し込むことで側壁13を外側へ撓ませ、係止凸部131を乗り越えさせて収納することもできる。
【0033】
図5は、本発明に係る保護容器1の第二の実施態様を示す。この第二実施態様の保護容器1は、側壁13の構成において、底部12より立設する内側壁がその上端部で外側へ折り返されて天壁を形成するとともに、さらに天壁の外縁から下方へ折り返されて外側壁を形成している。すなわち、側壁13は一定の厚みを有する二重壁状に形成されている。
【0034】
また、2つの側壁13に連設する側壁16も、側壁13と同様の構成により一定の厚みを持たせた二重壁状に形成されている。このように、側壁13、16に一定の厚みを持たせることにより、保護容器1全体の剛性が向上し、リフィル皿2に対する保持力を高めることができる。
【0035】
本実施態様の保護容器1のその他の基本的な構成は、第一の実施態様のものと同様であり、リフィル皿2の保持手段についても第一実施態様と同様である。すなわち、前後への動きが係止部17と側壁16により、左右への動きが2つの側壁13により規制され、また、上下への動きが係止凸部131と段差面121により規制された状態で収納部11に保持されている。そして、収納部11からのリフィル皿2の取り外し方法についても第一実施態様と同様である。
【0036】
図6は、本発明に係る保護容器1の第三の実施態様を示す。この第三実施態様の保護容器1は、第二実施態様の保護容器1と同様に、側壁13及び側壁16が一定の厚みを持たせた二重壁状に形成されているが、本実施態様の特徴的な部分として、側壁16が2つの側壁13を連結するように連続して形成されておらず、2つの側壁13より一定の長さで対向するように突出する部分的な側壁として形成され、その中央部分は側壁16を設けずに指入れ部161を形成する。
【0037】
さらに、本実施態様の特徴的な点として、第一及び第二実施態様の商品取り出し口14より外側へ延伸する傾斜部に相当する部分は平坦状に形成されて段差面121がそのまま延長している。そして、本実施態様の係止部17は、収納部11と商品取り出し口14の境界部分に相当する側壁13に垂直方向に延伸する凸部として設けられている。
【0038】
かかる係止部17は、商品取り出し口14より外側の側壁13から内側へ対向するように2箇所設けられており、係止部17の間の距離は、収納される商品の幅よりも狭くなるように形成されている。このため、収納部11に商品が収納された状態で、係止部17はリフィル皿2の前端部23に係止する。かかる係止部17がリフィル皿2に係止することにより、リフィル皿2の前方への移動を規制することができる。
【0039】
本実施態様の保護容器1からリフィル皿2を取り外す方法は以下の通りである。まず、使用者は本発明の保護容器1の底部12側を下にして保持する。そして、表示部181の矢印に従ってリフィル皿2を押し出すように、商品取り出し口14とは反対側の中皿2の側壁を押す。このとき、指入れ部161部分から露出する中皿2の側壁を指で押すと、力が確実にリフィル皿2に伝わる。
【0040】
リフィル皿2に対する押圧が一定の範囲内の場合、フィリル皿2の前端部23と係止部17が当接した状態のままであるため、その移動は規制されている。そこで、さらにリフィル皿2に対する押圧を加えていくと、リフィル皿2の前端部23が係止部17に強く圧接され、収納部11の側壁13を内側から押し広げようとする。本発明の保護容器1は可撓性を有する材料で形成されており、また、商品取り出し口14は側壁がなく開放しているため、このように内側から強く押圧することにより側壁13は外側へ撓む。これにより、対向する2つの係止部17の間にはリフィル皿2が通過可能な空間が生じる。
【0041】
係止部17の間にリフィル皿2が通過可能な空間が生じてかかる空間内にリフィル皿2の一部が挿入されると、リフィル皿2に対する係止が解除される。そして、さらに矢印方向への押圧を加えることにより、水平方向に摺動しながら中皿2は収納部11外へ押し出され、これにより保護容器1からの取り外しが完了する。
【0042】
以上説明した実施態様のものは、いずれも商品取り出し口14が1箇所のみ設けられているが、これを2箇所としても良い。すなわち、側壁13とは異なる収納部11の側面に商品取り出し口14を対向して2箇所設け、それらの商品取り出し口14にはいずれも収納部11との境界部分に係止部を設ければ良い。係止部17は、第一及び第二実施態様のものと同様、収納部11と商品取り出し口14の境界部分に設けた小段差としても良く、また、第三実施態様のものと同様、側壁13に垂直方向に延伸する凸部として設けてもよい。
【0043】
本発明の保護容器1は、容器全体に適度な可撓性をもたせるために、ある程度の弾性を有する材料で形成することが望ましく、また、充填されたリフィル皿中の化粧料の色等を外部から簡単に視認できるものとするために、透明な材料を使用することが好ましい。このような条件を満たす材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートやこれらの再生樹脂等のプラスチック材料等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 … … 保護容器
2 … … リフィル皿
11 … … 収納部
12 … … 底部
13 … … 側壁
14 … … 商品取り出し口
15 … … 傾斜部
16 … … 側壁
17 … … 係止部
18 … … フランジ
21 … … 化粧料面
22 … … 底部
23 … … 前端部
121 … … 段差面
131 … … 係止凸部
161 … … 指入れ部
181 … … 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6