【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様において、本発明は、紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能する層とを含む包装用ラミネートを製造する方法を利用可能とし、後者はラミネート層によって紙又は板紙の層に固着させる。この方法では、ガス、特に酸素に対するバリア特性を持つ材料のウェブが紙又は板紙のウェブと一緒に運ばれ、ともに運ばれたウェブが2つの隣接した回転可能なシリンダー間の間隙を介して誘導され、同時に、両ウェブを互いに恒久的に結合するために、これらの間にラミネート材料を適用する。この方法は、一方の表面上に紙又は板紙のウェブに固着する能力を持つ第1の接着性ポリマーの第1の外側層を有し、他の表面上にガスバリアとして機能する材料ウェブに固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の外側層を有する中央ポリマー層をラミネート材料が含むこと、並びに、ラミネート材料には、紙又は板紙のウェブと接触している第1の接着性ポリマー層及びガスバリアとして機能する材料ウェブと接触している第2の接着性ポリマー層が適用されていることを特徴とする。
【0018】
本発明による方法では、ラミネート層として機能するラミネート材料が、その外側層のそれぞれに隣接したウェブに対する活性結合座位を最初から有する接着性ポリマーの両外側層を備えているという事実によって、これらの層間の所望の固着を達成するためには何らの余分な対策も添加物も不要となっている。そのため、本発明による方法は、ラミネート材料の適用の際に高い温度及び過剰なエネルギー消費もなく、オゾン処理等の健康及び環境に有害な方法又は物質を使用せずに実施可能である。
【0019】
ラミネート層として機能するラミネート材料は、市販の押出し装置を使用して押出し工程によって適用し、この装置を使用してラミネート層に含まれる各層は共押出しによって互いに一緒に押し出す。本発明による方法は、様々な面からのより高い機械的強度を持つ中央層内にラミネート材料を使用することで、かつ、ラミネート材料に含まれた材料の層厚さの点でそれらの強度を最適化するために、包装用ラミネートの機械的特性の改良も可能にする。例えば2〜6g/m
2、例えば2〜5g/m
2、例えば3から4g/m
2のポリマーの薄層は、熔融層を一緒に、かつ、個別の押出し層としてではなく押出す堅牢なコーティングの方法でのみ達成可能である。
【0020】
知られている方法でのラミネート材料の選択肢は経済性及び処理技術の理由で低密度ポリエチレン(LDPE)に限られているのに対して、本発明による方法は高い柔軟性及び適したラミネート材料の自由な選択肢が可能になっている。例えば、ラミネート材料の中央ポリマー層は、紙又は板紙及びガスバリアといった周囲の材料に固着する自身の能力に関係なく選択可能であり、そのように所望した場合、完成した包装用ラミネートの所望の機械的特性等の他のパラメータに従って選択可能である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料の中央ポリマー層はポリオレフィンを含む。本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料の中央ポリマー層はポリエチレンを含む。中央層の特性は、ポリエチレン類の中だけで、包装用ラミネートの様々な最終的な特性を達成するために変更及び調整が可能なことである。様々な機械的特性、例えば、引裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性に関して完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーを、押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせること、及び、変化させることが可能である。したがって、飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンポリマー類の中だけでほとんど見出される。このポリマー類は、エチレンと他のα-オレフィンモノマー類のコポリマー類も含み、これは、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)を当然含み、例えば、「Engage」及び「Affinity」の名称でDow社が販売しているタイプの所謂プラストマ又はエラストマ等の異なった比率のエチレンとプロピレンのコポリマーも、及び、ポリエチレンのような特性を有するエチレン、プロピレン、及び、α-オレフィンモノマーのターポリマーも含む。
【0022】
様々な機械的特性の改善に役立てることが可能なポリマーの例には、直鎖ポリオレフィン等の所謂直鎖ポリマーがあり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、及び、エチレンとの直鎖ポリプロピレンコポリマーがある。超低密度ポリエチレン(VLDPE)及び極超低密度ポリエチレン(ULDPE)は、直鎖低密度ポリエチレンの範疇内の下位範疇の例である。直鎖ポリマーは、LDPEよりも多い直鎖分子構造を有する、すなわち、より少ない長鎖分岐を有するポリマーとして理解されている。コモノマーのタイプ及び量によっては、これらのポリマーはいくつかの点でより高い耐久性を一般に有する。例えば、引き裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性等の様々な機械的特性に関して、完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーが押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせる、及び、変化させることが可能である。飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高い密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリマーの群内に見出される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本発明による方法のラミネート材料のポリマーは低密度ポリエチレン(LDPE)であり、これは、オートクレーブ反応器での重合反応又は管型反応器での重合反応のいずれかによって製造可能である。本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、オートクレーブ反応器での重合反応によって製造したLDPEと管型反応器での重合反応によって製造したLDPEとの配合物であってよい。いくつかの場合に、オートクレーブ反応器での重合反応によって製造した低密度ポリエチレンは、その後の包装容器の製造のための包装材料の製造に好ましい。いくつかの場合に、管型反応器での重合反応によって製造した低密度ポリエチレンは、その後の包装容器の製造のための包装材料の製造に好ましい。オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、所謂ネックインの形での激しい周辺効果がなく従来の方法で押出しが可能であるが、より低いドローダウン特性を有する、すなわち、上述の他のポリエチレン材料と比べて、同じ処理条件下でより大きな熔融弾性を有する。このポリエチレンは、広い分子量分布及び分子構造中に多くの長鎖分岐を典型的に有する。
【0024】
ネックインは、押し出されたポリマーの熔融カーテンの辺縁部でのドロウイングインとして理解され、押出しダイの出口と、ポリマーでコーティングするための走行中の材料のウェブとカーテンとが最初に接触する場所との間で発生する。そのため、押し出された暖かい熔融膜は縮み、その幅はダイと冷却シリンダー間の間隙との間の途中で縮む。同時に、熔融カーテンの辺縁区画は厚みを増す。この問題を克服するために、押し出したポリマーよりもしばしば高価になる未コーティングの基板材料に関してコストを削減するために、暖かいカーテンはコーティングするためのウェブよりもしばしば広く押し出す。このように形成された辺縁部の不要部分は押し出した材料のみで構成され、これは切り離してリサイクル可能である。この現象を
図7に模式的に示す。
図7は、コーティングするためのウェブ73と同じ幅をダイの出口72で有するが、ウェブの辺縁区画75、76が未コーティングで残るように縮む74熔融カーテン71を示す。辺縁区画の幅はミリメータ単位でネックインの目安となり、両方の辺縁部の未コーティング部分を合わせた幅として通常は示す。ドローダウンという用語は、熔融体を押出しダイの出口から大きな加速度で間隙においてウェブの下方に引き出す際に、カーテンに破損又は裂け目を作らずに一緒に保持して密着させる押し出された熔融カーテンの能力を指す。ポリマー熔融体のこれらの特性は、粘性特性と弾性特性との間のバランスに依存し、「熔融弾性」という用語で要約可能である。このバランスはポリマーの多くの特性、主に分子量分布及び長鎖分岐の結果である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した4から10g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、4から10g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した4から10g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、10から20g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した10から20g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、4から10g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。
【0026】
一方、管型反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、従来の押出し中に、オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)よりもネックインの形での辺縁部での悪影響にはるかに敏感であり、このポリエチレンは、ウェブの辺縁部からの材料の無駄をもたらし、その結果、コストを上昇させるかなりのネックイン効果を伴わずに押し出すことは不可能である。管型で製造したLDPEも長鎖分岐を有するが、このLDPEには、オートクレーブで製造したLDPEが有し、オートクレーブで製造したLDPEの分子量分布曲線の末尾に「テール」又は「余計な最高値」として見ることができる大きな分子量の分子の高比率はない。管型で製造したLDPEは、オートクレーブで製造したLDPEよりも一般に低い熔融弾性を有する。
【0027】
本発明による方法では、管型反応器で製造したLDPEは、それにもかかわらず、これの持つより優れたドローダウン特性に一部はよって、より低い温度においても比較的大きな押出し速度で適用可能である。同時に、管型反応器で製造したLDPEを使用したラミネート材料内の層はより薄く押し出し可能であり、ラミネート材料の総量は削減され、より良好な接着が達成可能であり、エネルギーも節約されている。本発明による方法によって、オートクレーブ反応器での重合で製造したLDPEは、管型反応器で製造したLDPEに比べて低いドローダウン特性にもかかわらず、比較的大きな速度及びより低い温度でも押し出し可能であると同時に、各層はより薄く押し出し可能であり、ラミネート材料の総量は削減され、より優れた接着が達成可能であり、エネルギーも節約されている。
【0028】
押出し時の2つのタイプのポリマーの挙動の差異は、本発明による方法を使用して、ラミネート材料の外側接着剤層の適した選択肢で効果的に抑えること、及び、排除することさえ可能である。接着性ポリマー材料は、押出しコーティング又は押出しラミネートに対して意図したタイプのものとしなければならない。そのため、何を差し置いても、低い押出し温度及び本発明による方法で、必要な接着力が維持可能であり、辺縁部の悪影響を回避可能である一方、同時に、押出し工程では、エネルギー効率がより上昇し、健康及び環境に有害な物質及び方法の使用が回避される。十分な接着力とは、従来の剥離試験を使用して測定した少なくとも100N/mの接着力を意味する(添付の実施例の説明を参照されたい)。ラミネート材料の中央層を両側の外側接着剤層と一緒に共押出しすることによって、ポリマーのより安定した熔融カーテン、すなわち、起伏のある辺縁部、迅速な辺縁部の成形、又は、引出し応答について問題が少ない熔融カーテンを得て、かつ、ネックイン及びドローダウンに関する異なったラミネート材料の特性を、より低い押出し温度でそれらによって相乗的に補償可能であり、比較的大きな速度で材料のラミネートが実施可能であり、同時に、十分な、又は、向上した接着力が達成され、それぞれのポリマーの薄層が欠陥なく適用可能であり、製造における原料の総コスト及び各ラミネート工程が維持、又は、低減さえされている。より低い押出し温度とは、ラミネート材料としてLDPEのみを使用した従来の押出しラミネートで使用する温度、すなわち、325〜330℃よりも15℃を超えて低い温度、例えば280〜310℃、例えば290〜310℃を意味する。押出し温度はダイの出口の直下の熔融カーテン上でIRメータによって測定する。比較的大きな押出し又はラミネート速度とは、約400m/分以上のウェブの速度を意味する一方、より小さな速度とは、約100〜300m/分を意味する。薄層とは、ラミネート材料としてLDPEのみを使用する従来の押出しラミネートで通常要求される20g/m
2の厚さよりも薄い層を意味する。本発明によるラミネート材料の中央層は、10から14g/m
2の厚さを有し得る一方、ラミネート材料の外側接着性ポリマー層は、それぞれ2から5g/m
2、例えば3から4g/m
2の厚さを有し得る。
【0029】
本発明による方法は、管型反応器での重合によって製造したLDPEポリマーに対して、低熔融弾性及びこれに伴うネックインの傾向の形でのこのポリマーの短所を克服するために特に有利であり、同時に、他の一般的な長所、すなわち、優れた接着力、より小さなエネルギー消費、及び、健康及び環境に関した調書も得られる。
【0030】
本発明による方法は、直鎖ポリマー類、特に事実上の直鎖分子構造を持つポリオレフィン、一般的には直鎖ポリエチレンポリマーに対して同様に有利である。なぜなら、これらは、押出しコーティング中に管型反応器での重合によって製造したLDPEと事実上同じ加工特性を有するからであり、これらの共通した特徴は、これらが低熔融弾性を有し、そのため、オートクレーブで製造した従来のLDPEと比較して熔融カーテンの辺縁部でのネックインについて強い傾向を有することである。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合によって製造したLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合によって製造したLDPE、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0033】
直鎖ポリマーも、向上した引き裂き抵抗及び穿刺抵抗等のより優れた機械的特性を備えた本発明によるラミネートの包装材料を提供し、これは、向上した一体性、すなわち、輸送によるストレスへの向上した耐久性を備えた包装容器をもたらす。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。
【0035】
上述したように、本発明による方法におけるラミネート材料で使用するための良好に機能する接着性ポリマーは、最初から、したがって追加の対策も必要なく、極性官能基の形での活性結合座位を有し、本発明の一実施形態によれば、これはカルボン酸基であり、これによって、ラミネート材料は一方で紙又は板紙のウェブに、かつ、他方でガスバリアとして機能する材料のウェブに効果的かつ恒久的に結合可能である。極性結合基の含有量は、アルミニウム箔及び板紙層との接着を達成するために十分大きくなければならないが、接着性材料がラミネート材料の中央層との親和性を失うほどに大きくあってはならない。本発明の一実施形態によれば、極性結合基、特にカルボン酸基の比率は1から10質量%である。良好に機能する接着性ポリマーのさらなる要件は、接着を達成するために十分高い温度で、しかし、品質を損なう制御不能の分解反応を開始させずにこのポリマーが押出し可能であることである。実施例で使用したPrimacor 3540では、温度は必要以上に290℃を、とにかく300℃は超えないようにすべきである。
【0036】
上記の要件を満たす接着剤の例は、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)であり、これらは両方とも、これらのポリマーをラミネート材料の両側のそれぞれのウェブに結合可能とする遊離カルボン酸基を含む。第一に述べたタイプ(EAA)の実用的な例はDow Chemical Company社からPrimacorの商品名で市販され、後者のタイプ(EMAA)の対応する例はNucrelの商品名でDuPont社から入手可能である。使用可能な接着剤のさらなる例は、Escorの商品名でExxonMobil Chemicals社が販売するものがある。本発明によれば、処理技術の理由で、ポリマー層の一方の表面の接着剤層と同じ接着剤をポリマー層の他方の表面の接着剤層で使用することが有利であるが、それぞれの接着剤層の接着剤の量は互いに異なり得る。しかし、この2つの層での異なった接着剤の使用は可能であり、特定の特性を達成するためにそのように所望する場合がある。本発明の一実施形態によれば、接着性ポリマーは、押出しコーティングに対して意図したラミネート材料の中央層で使用するLDPEに均等な粘度を、したがって、これと同じレベルのメルトフローインデックス(MFI)を有する。本発明の一実施形態によれば、接着性ポリマーは、押出しコーティングを意図したラミネート材料の中央層で使用するLDPEよりも低い粘度を、したがって、それよりも高いメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0037】
カルボン酸基の形の官能性極性基を含む接着剤層は、例えば赤外線分光分析(IR, FTIR)を含めた方法で特性決定してよい。特定の単量体組成物を有する特定の接着性ポリマーは、含まれるモノマーの様々な分子群を示すピークを備えた特徴的な吸収スペクトルをもたらす。特に、カルボン酸基は、FTIRスペクトルの1710〜1780cm-1の間にカルボン酸基の伸縮振動に対応する特徴的なピークをもたらす。
【0038】
ガスバリア特性を有し、本発明による方法で使用可能である材料は、有機及び無機の材料の両方であってよい。ガスバリアを提供する有機材料の例は、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマーの有機材料及び様々なタイプのポリアミド(PA)である。有機バリア材料は、押出しコーティングしたポリマー層とすることが可能であるが、プレハブポリマー膜とすることも可能である。この場合、プレハブ膜には、蒸着した有機又は無機の化合物のバリア層又は様々なバリア特性を持つポリマーの液膜をコーティングした層を設けることが可能である。無機バリア材料の例は、アルミニウム箔又はプレハブポリマー膜に蒸着した金属、金属酸化物、若しくは他の蒸着した化合物、例えば蒸着アルミニウム若しくはアルミニウム酸化物或いはシリコン酸化物(SiOx)とすることが可能である。本発明の一実施形態によれば、バリア層はアルミニウム箔で作製し、アルミニウム箔は、ガスに対する優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である誘導融着で包装用ラミネートを融着することを可能にする。代案として、融着は、同じく迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である超音波融着技術を使用して実施可能である。
【0039】
本発明による方法では、ポリマーの2つの液密かつ熱融着可能な外側層の少なくとも1つが膜ラミネートで適用可能であり、ここでは、ウェブと膜との間に適用するに適した接着剤を使用して、ポリマーのプレハブ膜をウェブの1つの表面上にラミネートする。本発明による一方法では、従来の既に設置済みの押出し設備を使用して2つの液密かつ熱融着可能な外側層はウェブの両面に押出しコーティングで適用可能である。
【0040】
本発明による包装用ラミネートの液密かつ熱融着可能な外側層のために使用可能なポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンである。
【0041】
第2の態様において、本発明は牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油等の酸素に敏感な液体食品のための包装容器のための包装用ラミネートを使用可能にする。この包装用ラミネートは、紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能し、ラミネート材料で紙又は板紙の層に固着された層とを含む。包装用ラミネートは、一方の表面上に紙又は板紙の層に固着する能力を持つ第1の接着剤ポリマーの第1の層を有し、かつ、他方の表面上にガスバリアとして機能する層に固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の層を有する中央ポリマー層をラミネート材料が含むこと、ポリマー層の一方の表面上の第1の接着剤層は紙又は板紙の層に接触していること、及び、ポリマー層の他方の表面上の第2の接着剤層はガスバリアとして機能する層に接触していることを特徴とする。
【0042】
ラミネート層に含まれた時にその機械的特性の改善を促進可能なポリマーの例には所謂直鎖ポリマー、例えば直鎖ポリオレフィンがあり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、並びに、エチレンとの直鎖ポリプロピレンコポリマーがある。様々な機械的特性、例えば、引裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性に関して完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーを、押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせる、及び、変化させることが可能である。この種の機械的な弾性特性は、(MDPE、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、m-LLDPEのタイプのポリエチレンを使用して達成する一方、HDPEは、例えば水蒸気に関して向上したバリア特性及び酸素に対する幾分向上したバリア特性も一般に付与する。
【0043】
飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンの群、すなわち、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリマーの中に見出される。本発明の一実施形態によれば、本発明による包装用ラミネートのラミネート材料のポリマーは、オートクレーブ反応器での重合反応又は管型反応器での重合反応のいずれかによって製造可能な低密度ポリエチレン(LDPE)である。オートクレーブでの重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、所謂ネックインの形の激しい周辺効果を伴わずに従来の方法で押出し可能であるが、管型反応器で製造したLDPEに比べて限られたドローダウン特性を有する、すなわち、他の上述のポリエチレン材料と比べて、LDPEは同じ加工条件下で同等のMFI値を備えながら、より高い熔融弾性を有する。
【0044】
管型反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)よりも低い熔融弾性を一般に有し、それにもかかわらず、従来の押出し中にネックインの形での辺縁部の悪影響にはるかに敏感であり、したがって、ウェブからのかなりの辺縁部不要部分をもたらし、その結果、コストを増加させるかなりのネックインを伴わずには押出しが不可能である。本発明による方法では、管型反応器で製造したLDPEは、これにもかかわらず、より低い温度、例えば280から310、例えば290から300℃においてさえ、一部はより優れたドローダウン特性にもよって、比較的大きな速度、例えば400m/分以上で適用可能である。同時に、管型反応器で製造したLDPEを使用したラミネート材料内の各層は、本発明による方法では、ラミネート材料としてLDPEのみを使用した従来のラミネートの場合よりも薄く押出し可能であり、ラミネート材料の総量も削減可能であり、十分又はより良好な接着が達成可能であり、エネルギーも節約される。本発明による方法によって、オートクレーブ反応器での重合によって製造したLDPEは、その低いドローダウン特性にもかかわらず、比較的大きな速度及びより低い温度でも押出し可能である一方、同時に、これらの層はより薄く押出し可能であり、ラミネート材料の総量が削減され、より良好な接着を達成可能であり、エネルギーも節約される。
【0045】
本発明による方法を使用すると、押出し時の2つのタイプのポリマーの挙動の差異は、ラミネート材料の外側接着剤層の適した選択肢で効果的に抑えることが、及び、排除することさえ可能である。接着性ポリマー材料は、押出しコーティング又は押出しラミネートに対して意図したタイプのものとしなければならない。そのため、より低い押出し温度で、かつ、本発明による方法で、必要な接着力を維持し、辺縁部の悪影響を回避することが可能である一方、同時に、押出し工程ではエネルギー効率がより上昇し、健康及び環境に有害な物質及び方法の使用も回避される。両面上の外側接着剤層を使用してラミネート材料の中央層を共押出しすることで、ポリマーのより安定した熔融カーテンを得て、ネックイン及びドローダウンに関するラミネート材料の様々な特性はより低い押出し温度で互いに補償可能となり、材料のラミネートが比較的大きな速度で進行可能であり、同時に、良好な又はより良好な接着を達成可能であり、それぞれのポリマー層の薄層は欠陥なしに適用可能であり、原料の総コスト及び製造でのラミネートの諸工程は維持されるか、又は、削減さえされる。本発明による方法は、管型反応器での重合によって製造したLDPEポリマーに対して、ネックインの傾向の形での短所を克服するために特に有利である一方、同時に、包装ラミネートの製造における他の一般的な長所、すなわち、優れた接着、より小さなエネルギー消費、並びに、健康及び環境に関した長所も得る。
【0046】
本発明による包装用ラミネートは、管型反応器での重合で製造したLDPE、一般にはポリエチレンポリマー類に比べて、ラミネート材料として直鎖ポリマー、特に、直鎖分子構造を持つポリオレフィンを含むことに対して同様に有利である。なぜなら、オートクレーブで製造した従来のLDPEと比較して、これらが押出しコーティング中に事実上同じ加工特性を有するからであり、これらに共通した特徴はすべてが低熔融弾性を有し、そのため、熔融カーテンの辺縁部でのネックインに対する強い傾向を有することである。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合で製造したLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒若しくは他の触媒又は所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低い熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合で製造したLDPE、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒若しくは他の触媒又は所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低い熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。直鎖ポリマーは、本発明によるラミネート包装材料に対して向上した引き裂き抵抗及び穿刺抵抗等のより良好な弾性特性も提供し、これは、向上した一体性、すなわち、輸送によるストレスへの向上した耐久性を備えた包装容器をもたらす。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒、他の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。
【0050】
本発明による包装用ラミネートの液密外側層に使用可能なポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンである。
【0051】
バリア層をアルミニウム箔で作製した場合、包装用ラミネートの内部の外側層、すなわち、包装容器内に詰めた製品の方に向ける側面は、ラミネート層13で使用するものと同じものにでも異なったものにでもすることが可能な接着性ポリマーの層によってアルミニウム箔に有利に固着している。これは、包装用ラミネートのすべての層間のより良好でさえある接着、並びに、例えば輸送中及び取扱い中での充填済み包装容器の良好な耐久性をもたらす。
【0052】
上述したように、本発明による包装用ラミネートのために使用可能な接着剤は、最初から極性官能基の形での活性結合座位、本発明の一実施形態によれば遊離カルボン酸基を有していなければならず、これによって、ラミネート材料は一方で紙又は板紙のウェブに、他方でガスバリアとして機能する材料に効果的かつ恒久的に結合可能である。
【0053】
既に述べたように、本発明による包装用ラミネートに使用可能な接着剤の例は、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)とすることが可能であり、これらは両方とも遊離カルボン酸基を含み、この基によってこれらは包装用ラミネートのそれぞれの隣接する層に効果的かつ恒久的に結合可能である。第一に述べたタイプ(EAA)の実用的な例はDow Chemical Company社からPrimacorの商品名で市販され、後者のタイプ(EMAA)の対応する例はNucrelの商品名でDuPont社から入手可能である。使用可能な接着剤のさらなる例はEsorの商品名でExxonMobil Chemicals社によって販売されているものがある。本発明によれば、処理技術の理由によって、ポリマー層の一方の表面上の接着剤層では、ポリマー層の他方の表面上の接着剤層と同じ接着剤を使用することが好ましいが、それぞれの接着剤層の接着剤の量は異なり得る。しかし、2つの層で異なった接着剤を使用することを所望した場合、特定の特性を達成するためにそのようにすることは可能である。
【0054】
カルボン酸基の形で官能性極性基を含む接着剤層は、例えば赤外線分光分析(IR, FTIR)を含む方法で特性決定してよい。特定の単量体組成物を有する特定の接着性ポリマーは、含まれるモノマーの様々な分子群を示すピークを備えた特徴的な吸収スペクトルをもたらす。特に、カルボン酸基は、1710〜1780cm-1の間に酸基の伸縮振動に対応するFTIRスペクトルの特徴的なピークをもたらす。ガスバリア特性、特に酸素に対するものを有し、本発明による包装用ラミネートに使用可能な材料は、有機及び無機の材料の両方であってよい。有機材料の例は、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマーの有機材料及び様々なタイプのポリアミド(PA)である。無機バリア材料の例は、一方の側面に金属のコーティング、例えば、蒸着アルミニウム又は酸化物、例えばアルミニウム酸化物若しくはシリコン酸化物(SiOx)を有するアルミニウム箔又はポリマー膜とすることが可能である。ガス、特に酸素に対して優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である誘導融着で包装用ラミネートを融着することを可能にするアルミニウム箔を選択することが好ましい。
【0055】
本発明の更に他の態様において、包装容器は酸素に敏感な液体食品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油のために使用可能とされている。包装容器は、折り畳み及び熱融着で本発明による包装用ラミネートから製造することを特徴とする。
【0056】
例えば、包装容器は、本発明による包装用ラミネートのウェブから、先ずウェブの相互に向かい合うプラスチック層を一体に熔融することによって重なり継ぎ目において互いに連結されたウェブの長さ方向の両辺縁部を使用してウェブを円筒に成形し、その後、この円筒は目的の食品製品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、又は、調理油で満たし、円筒の縦方向に関して横方向に円筒の製品の高さの下方で円筒を一体に繰り返し押圧し、熱融着することで連続した枕型の包装単位に分割する工程によって製造可能であり、この包装単位は互いから分離し、最終的に、少なくとも1つのさらなる形成及び熱融着の操作を使用して所望の形状、通常は煉瓦状の形状にする。
【0057】
代案実施形態において、包装容器は、先ず開放された円筒状容器カプセルを形成するように空容器を作りあげ、用意した一体化端部パネルの折り畳み及び熱融着を使用してカプセルの一端を閉じ、容器カプセルをその開放された端部を介して目的の食品製品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、又は、調理油で満たし、その後、開放端部は、用意した対応する一体化端部パネルの少なくとも1回のさらなる折り畳み及び熱融着を使用して閉じることによって、平らに折られた本発明による包装用ラミネートの円筒状空容器から製造可能である。
【0058】
添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。