特許第6603134号(P6603134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6603134包装用ラミネート、その製造方法、及び、該包装用ラミネートから製造した包装容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603134
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】包装用ラミネート、その製造方法、及び、該包装用ラミネートから製造した包装容器
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/15 20060101AFI20191028BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20191028BHJP
   B32B 15/085 20060101ALI20191028BHJP
   B32B 15/20 20060101ALI20191028BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20191028BHJP
   B29C 48/18 20190101ALI20191028BHJP
   B65D 5/56 20060101ALI20191028BHJP
   B65D 5/62 20060101ALI20191028BHJP
   B65D 5/40 20060101ALI20191028BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20191028BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20191028BHJP
【FI】
   B32B37/15
   B32B27/10
   B32B15/085 A
   B32B15/20
   B29C48/15
   B29C48/18
   B65D5/56 D
   B65D5/62 B
   B65D5/40
   B29L7:00
   B29L9:00
【請求項の数】16
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-557376(P2015-557376)
(86)(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公表番号】特表2016-514060(P2016-514060A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2014052287
(87)【国際公開番号】WO2014124858
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2017年1月25日
(31)【優先権主張番号】13155645.8
(32)【優先日】2013年2月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ヨハンソン
【審査官】 深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2000/056542(WO,A1)
【文献】 特開2004−149179(JP,A)
【文献】 特開昭47−004090(JP,A)
【文献】 特開2003−181983(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0076506(US,A1)
【文献】 特開平04−220340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 48/00−48/96
B65D 5/00−5/76
B29L 7/00、9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装用ラミネート(10)を製造する方法であって、
スに対するバリア特性を持つ材料のウェブ(203)が紙又は板紙のウェブ(201)と一緒に運ばれる工程と、
一緒に運ばれた前記ウェブ(203及び201)は2つの隣接した回転可能なシリンダー(204及び205)間の間隙を介して誘導され、同時に、前記ウェブ(201及び203)を互いに恒久的に固着するために、これらの間にラミネート材料(206)を適用する工程と、
を含み、
前記ラミネート材料(206)は、一方の表面上に紙又は板紙に固着する能力を持つ第1の接着性ポリマーの第1の外側層(206b)を有し、かつ、他の表面上にガスバリアとして機能する前記材料に固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の外側層(206c)を有する中央ポリマー層(206a)を含み、
前記ラミネート材料(206)には、前記紙又は板紙のウェブ(201)と接触している前記第1の外側層(206b)及びガスバリア特性を持つ前記材料のウェブ(203)と接触している前記第2の外側層(206c)が適用され
前記ラミネート材料(206)は、前記中央ポリマー層(206a)及び前記第1の外側層(206b)及び前記第2の外側層(206c)の共押出しによって適用され、
前記中央ポリマー層(206a)は、オートクレーブ反応器における重合反応又は管型反応器における重合反応のいずれかによって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、
前記第1の外側層(206b)及び前記第2の外側層(206c)における接着性ポリマーは、官能性極性基を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記材料のウェブ(203)は、酸素に対するバリア特性を持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
記中央ポリマー層(206a)はポリオレフィンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
記中央ポリマー層(206a)はポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
記中央ポリマー層(206a)は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、所謂シングルサイト触媒、メタロセン触媒、又は、所謂束縛構造触媒を使用して製造した直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、及び、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む群から選択したポリエチレンを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2の外側層(206b及び206c)における前記接着性ポリマーは互いに同一であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1及び第2の外側層(206b及び206c)における前記接着剤は、材料、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)から選択したことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガスバリアとして機能する前記材料層はアルミニウムであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
紙又は板紙の層(11)と、ガスバリアとして機能する層(12)とを含み、前記層(11及び12)はラミネート材料(13)によって互いに固着されている、酸素に敏感な液体食品のための包装容器のための包装用ラミネートであって、
ラミネート材料(13)は、一方の表面上に前記紙又は板紙の層(11)に固着する能力を持つ第1の接着性ポリマーの第1の層(13b)を有し、他の表面上にガスバリアとして機能する前記層(12)に固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の層(13c)を有する中央ポリマー層(13a)を含むこと、
前記第1の層(13b)は前記紙又は板紙の層(11)と接触し
前記第2の層(13c)はガスバリアとして機能する前記層(12)と接触し、
前記ラミネート材料(13)は、前記中央ポリマー層(13a)及び前記第1の層(13b)及び前記第2の層(13c)の共押出しによって適用され、
前記中央ポリマー層(13a)は、オートクレーブ反応器における重合反応又は管型反応器における重合反応のいずれかによって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)を含み、
前記第1の層(13b)及び前記第2の層(13c)における接着性ポリマーは、官能性極性基を有することを特徴とする包装用ラミネート。
【請求項10】
前記中央ポリマー層(13a)はポリオレフィンを含むことを特徴とする請求項9に記載の包装用ラミネート。
【請求項11】
前記中央ポリマー層(13a)はポリエチレンを含むことを特徴とする請求項9に記載の包装用ラミネート。
【請求項12】
前記中央ポリマー層(13a)は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、所謂シングルサイト触媒、メタロセン触媒、又は、所謂束縛構造触媒を使用して製造した直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、及び、高密度ポリエチレン(HDPE)を含む群から選択したポリエチレンを含むことを特徴とする請求項9に記載の包装用ラミネート。
【請求項13】
前記第1及び第2の層(13b及び13c)における前記接着剤は、互いに同一であることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の包装用ラミネート。
【請求項14】
前記第1及び第2の層(13b及び13c)における前記接着剤は、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)から選択したことを特徴とする請求項9に記載の包装用ラミネート。
【請求項15】
ガスバリアとして機能する前記層(12)はアルミニウム箔であることを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載の包装用ラミネート。
【請求項16】
請求項9から15のいずれか一項に記載の前記包装用ラミネートを折り曲げて製造された液体食品用の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能する層とを含み、これらの層はラミネート層によって互いに固着されている包装用ラミネートを製造する方法であって、ガスバリアとしての特性を持つ材料のウェブが紙又は板紙のウェブと一緒に運ばれ、一緒に運ばれたそれらのウェブは回転可能な2つのシリンダー間の間隙を介して誘導され、同時に、これらのウェブを互いに恒久的に結合するために両方のウェブの間にラミネート材料を適用する方法に関する。
【0002】
本発明は、紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能する層とを含む包装用ラミネートにも関する。これらの層はラミネート層により互いに固着されている。
【0003】
加えて、本発明は食品用の包装容器にも関する。この包装容器は包装用ラミネートを折り曲げることによって製造する。
【背景技術】
【0004】
知られている上述のタイプの包装用ラミネートは、紙又は板紙の層と、ポリエチレン(PE)、好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)の外側液密コーティングとを一般に有する。包装用ラミネートにガス、特に酸素に対するバリア特性を付与するために、包装用ラミネートは、そのようなバリア特性をもたらし、かつ、ラミネート層、好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)によって紙又は板紙の層に固着された材料のさらなる少なくとも1つの層を更に有する。この種のさらなる層の材料として、固有のバリア特性を持つポリマー、例えば、エチレンとビニルアルコールのコポリマー(EVOH)或いはポリアミド(PA)を含む層若しくは膜、又は、主にガスだが着香料及び水蒸気に対しても同等のバリア特性を有する液膜被覆、真空蒸着、又は、蒸着された層で被覆したプレハブ膜が挙げられる。この種の被覆プレハブ膜の一般的な例はポリエステルの配向膜のもの、例えば、金属化層又はプラズマ利用蒸着で被覆した層を備えたポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリプロピレン(PP)である。アルミニウム箔は一般的に使用されており、これは、ガス、特に酸素に対して優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である誘導融着で包装用ラミネートを熱融着することを可能にする有利な特性も有する。
【0005】
知られている包装用ラミネートは、従来、保管用リールから繰り出した紙又は板紙のウェブと、同時に対応する保管用リールから繰り出したアルミニウムのウェブから製造される。繰り出したこの2つのウェブは互いと一緒に運ばれ、回転可能な2つの隣接したシリンダー間の間隙を介して誘導され、同時に、アルミニウムウェブを紙又は板紙のウェブに恒久的に結合するために、通常は低密度ポリエチレン(LDPE)であるラミネート材料をウェブ間に適用する。その後、紙又は板紙のウェブはポリエチレン、通常は低密度ポリエチレン(LDPE)の液密コーティングを両面に適用し、続いて、その後の輸送及び取扱いのために完成品包装用日のためのリールに巻き取る。
【0006】
寸法が安定した使い捨ての包装容器は、包装用ラミネートのウェブ又はプレハブ空容器からの完成品包装用品に成形、充填、及び、融着を行う形式の高効率包装機械を使用して包装用ラミネートから製造する。
【0007】
例えば、先ずウェブの相互に向かい合うプラスチック層を一体に熔融することによって、包装用ラミネートのウェブから、重なり継ぎ目において互いに恒久的に連結したウェブの長さ方向の両辺縁部を使用してウェブを円筒に成形する工程によって包装容器を製造する。この円筒は目的の食品製品、例えば牛乳又はジュースで満たし、円筒の縦方向に関して横方向に円筒の製品の高さの下方で円筒を一体に繰り返し押圧し、熱融着することで連続した枕型の包装単位に分割する。枕型の連続包装単位は、横方向の融着区画に作製した切れ目によって互いから分離し、最終的に、少なくとも1回のさらなる形成及び熱融着の操作を使用して所望の形状、通常は煉瓦状の形状にする。
【0008】
知られているタイプの包装用ラミネートは、製品に対応可能で、消費者に優しく、かつ、酸素に敏感な液体食品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油を保持するにもかかわらず、環境及び処理技術の両方に関した短所を伴った寸法が安定した包装容器の製造も可能にする。
【0009】
例えば、アルミニウム箔を紙又は板紙の層に固着させるために使用する低密度ポリエチレン(LDPE)は、非極性ポリマーであり、このポリマー自体はアルミニウム箔の表面上の対応する結合座位に結合するための天然の結合座位を欠いている。そのため、知られている方法では、官能性結合座位を合成で作らなければならない。これは、実際には、低密度ポリエチレンの押出しコーティングで通常使用する温度(約300℃)よりも高い温度(この場合、約330℃)での押出しによって紙又は板紙のウェブとアルミニウムウェブとの間に低密度ポリエチレンを適用し、同時に、酸化反応を開始させて、低密度ポリエチレン(LDPE)がアルミニウム箔の表面上の活性結合座位に結合可能となる遊離カルボン酸基を含む極性基を形成する工程によって実施する。高い温度(約330℃)での押出しは、エネルギー消費の増加を伴い、その結果、環境を害する温室ガスの排出量(「二酸化炭素排出量」)も増加する。
【0010】
知られている方法のような高い温度(約330℃)での低密度ポリエチレン(LDPE)の押出しは、鎖開裂反応及び架橋結合反応によるポリエチレン分子の分解反応を引き起こす。一旦これらの反応が実際に始まると、これらの分解反応は、アルミニウム箔と紙又は板紙の層との間の恒久的な固着強度を維持するポリマーの所望の能力が失われる程度にまで進行し、機械的強度もこれによって失われる。
【0011】
酸化及び接着を促進するための薬剤として一般に使用するオゾンは、それ自体が健康及び環境に対して有害なガスであり、このガスの漏出を防止するために最大の注意を払って扱わなければならない。
【0012】
そのため、上述の知られている技術に伴うタイプの問題及び短所のない冒頭に述べたタイプの包装用ラミネートを利用可能とする必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的はこの必要性を満たすことである。
【0014】
他の目的は、包装用ラミネートのガスバリア層と紙又は板紙の層との間の恒久的な官能性結合を達成及び維持するために、冒頭に説明したタイプの方法であって、しかし、知られている方法とは対照的に、過剰なエネルギーを不必要に消費せずに、かつ、健康及び環境に有害な物質を使用せずに実行可能な方法を利用可能とすることである。
【0015】
さらなる目的は、包装用ラミネートの折り畳み及び熱融着によって製造するタイプの酸素に敏感な液体食品のための包装容器のための包装用ラミネートを利用可能とすることである。
【0016】
更に他の目的は、酸素に敏感な液体食品のために使用し、かつ、包装用ラミネートの折り畳み及び熱融着によって製造する包装容器を利用可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様において、本発明は、紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能する層とを含む包装用ラミネートを製造する方法を利用可能とし、後者はラミネート層によって紙又は板紙の層に固着させる。この方法では、ガス、特に酸素に対するバリア特性を持つ材料のウェブが紙又は板紙のウェブと一緒に運ばれ、ともに運ばれたウェブが2つの隣接した回転可能なシリンダー間の間隙を介して誘導され、同時に、両ウェブを互いに恒久的に結合するために、これらの間にラミネート材料を適用する。この方法は、一方の表面上に紙又は板紙のウェブに固着する能力を持つ第1の接着性ポリマーの第1の外側層を有し、他の表面上にガスバリアとして機能する材料ウェブに固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の外側層を有する中央ポリマー層をラミネート材料が含むこと、並びに、ラミネート材料には、紙又は板紙のウェブと接触している第1の接着性ポリマー層及びガスバリアとして機能する材料ウェブと接触している第2の接着性ポリマー層が適用されていることを特徴とする。
【0018】
本発明による方法では、ラミネート層として機能するラミネート材料が、その外側層のそれぞれに隣接したウェブに対する活性結合座位を最初から有する接着性ポリマーの両外側層を備えているという事実によって、これらの層間の所望の固着を達成するためには何らの余分な対策も添加物も不要となっている。そのため、本発明による方法は、ラミネート材料の適用の際に高い温度及び過剰なエネルギー消費もなく、オゾン処理等の健康及び環境に有害な方法又は物質を使用せずに実施可能である。
【0019】
ラミネート層として機能するラミネート材料は、市販の押出し装置を使用して押出し工程によって適用し、この装置を使用してラミネート層に含まれる各層は共押出しによって互いに一緒に押し出す。本発明による方法は、様々な面からのより高い機械的強度を持つ中央層内にラミネート材料を使用することで、かつ、ラミネート材料に含まれた材料の層厚さの点でそれらの強度を最適化するために、包装用ラミネートの機械的特性の改良も可能にする。例えば2〜6g/m2、例えば2〜5g/m2、例えば3から4g/m2のポリマーの薄層は、熔融層を一緒に、かつ、個別の押出し層としてではなく押出す堅牢なコーティングの方法でのみ達成可能である。
【0020】
知られている方法でのラミネート材料の選択肢は経済性及び処理技術の理由で低密度ポリエチレン(LDPE)に限られているのに対して、本発明による方法は高い柔軟性及び適したラミネート材料の自由な選択肢が可能になっている。例えば、ラミネート材料の中央ポリマー層は、紙又は板紙及びガスバリアといった周囲の材料に固着する自身の能力に関係なく選択可能であり、そのように所望した場合、完成した包装用ラミネートの所望の機械的特性等の他のパラメータに従って選択可能である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料の中央ポリマー層はポリオレフィンを含む。本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料の中央ポリマー層はポリエチレンを含む。中央層の特性は、ポリエチレン類の中だけで、包装用ラミネートの様々な最終的な特性を達成するために変更及び調整が可能なことである。様々な機械的特性、例えば、引裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性に関して完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーを、押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせること、及び、変化させることが可能である。したがって、飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンポリマー類の中だけでほとんど見出される。このポリマー類は、エチレンと他のα-オレフィンモノマー類のコポリマー類も含み、これは、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)を当然含み、例えば、「Engage」及び「Affinity」の名称でDow社が販売しているタイプの所謂プラストマ又はエラストマ等の異なった比率のエチレンとプロピレンのコポリマーも、及び、ポリエチレンのような特性を有するエチレン、プロピレン、及び、α-オレフィンモノマーのターポリマーも含む。
【0022】
様々な機械的特性の改善に役立てることが可能なポリマーの例には、直鎖ポリオレフィン等の所謂直鎖ポリマーがあり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、及び、エチレンとの直鎖ポリプロピレンコポリマーがある。超低密度ポリエチレン(VLDPE)及び極超低密度ポリエチレン(ULDPE)は、直鎖低密度ポリエチレンの範疇内の下位範疇の例である。直鎖ポリマーは、LDPEよりも多い直鎖分子構造を有する、すなわち、より少ない長鎖分岐を有するポリマーとして理解されている。コモノマーのタイプ及び量によっては、これらのポリマーはいくつかの点でより高い耐久性を一般に有する。例えば、引き裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性等の様々な機械的特性に関して、完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーが押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせる、及び、変化させることが可能である。飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンポリマー、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高い密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリマーの群内に見出される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本発明による方法のラミネート材料のポリマーは低密度ポリエチレン(LDPE)であり、これは、オートクレーブ反応器での重合反応又は管型反応器での重合反応のいずれかによって製造可能である。本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、オートクレーブ反応器での重合反応によって製造したLDPEと管型反応器での重合反応によって製造したLDPEとの配合物であってよい。いくつかの場合に、オートクレーブ反応器での重合反応によって製造した低密度ポリエチレンは、その後の包装容器の製造のための包装材料の製造に好ましい。いくつかの場合に、管型反応器での重合反応によって製造した低密度ポリエチレンは、その後の包装容器の製造のための包装材料の製造に好ましい。オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、所謂ネックインの形での激しい周辺効果がなく従来の方法で押出しが可能であるが、より低いドローダウン特性を有する、すなわち、上述の他のポリエチレン材料と比べて、同じ処理条件下でより大きな熔融弾性を有する。このポリエチレンは、広い分子量分布及び分子構造中に多くの長鎖分岐を典型的に有する。
【0024】
ネックインは、押し出されたポリマーの熔融カーテンの辺縁部でのドロウイングインとして理解され、押出しダイの出口と、ポリマーでコーティングするための走行中の材料のウェブとカーテンとが最初に接触する場所との間で発生する。そのため、押し出された暖かい熔融膜は縮み、その幅はダイと冷却シリンダー間の間隙との間の途中で縮む。同時に、熔融カーテンの辺縁区画は厚みを増す。この問題を克服するために、押し出したポリマーよりもしばしば高価になる未コーティングの基板材料に関してコストを削減するために、暖かいカーテンはコーティングするためのウェブよりもしばしば広く押し出す。このように形成された辺縁部の不要部分は押し出した材料のみで構成され、これは切り離してリサイクル可能である。この現象を図7に模式的に示す。図7は、コーティングするためのウェブ73と同じ幅をダイの出口72で有するが、ウェブの辺縁区画75、76が未コーティングで残るように縮む74熔融カーテン71を示す。辺縁区画の幅はミリメータ単位でネックインの目安となり、両方の辺縁部の未コーティング部分を合わせた幅として通常は示す。ドローダウンという用語は、熔融体を押出しダイの出口から大きな加速度で間隙においてウェブの下方に引き出す際に、カーテンに破損又は裂け目を作らずに一緒に保持して密着させる押し出された熔融カーテンの能力を指す。ポリマー熔融体のこれらの特性は、粘性特性と弾性特性との間のバランスに依存し、「熔融弾性」という用語で要約可能である。このバランスはポリマーの多くの特性、主に分子量分布及び長鎖分岐の結果である。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した4から10g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、4から10g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した4から10g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、10から20g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。本発明の一実施形態によれば、2.16kg及び190℃でISO1133に従って測定した10から20g/10分のMFIを持つオートクレーブ反応器で製造したLDPEは、4から10g/10分のMFI値を持つ接着性ポリマーの接着剤層と有利に組み合わせ可能である。
【0026】
一方、管型反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、従来の押出し中に、オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)よりもネックインの形での辺縁部での悪影響にはるかに敏感であり、このポリエチレンは、ウェブの辺縁部からの材料の無駄をもたらし、その結果、コストを上昇させるかなりのネックイン効果を伴わずに押し出すことは不可能である。管型で製造したLDPEも長鎖分岐を有するが、このLDPEには、オートクレーブで製造したLDPEが有し、オートクレーブで製造したLDPEの分子量分布曲線の末尾に「テール」又は「余計な最高値」として見ることができる大きな分子量の分子の高比率はない。管型で製造したLDPEは、オートクレーブで製造したLDPEよりも一般に低い熔融弾性を有する。
【0027】
本発明による方法では、管型反応器で製造したLDPEは、それにもかかわらず、これの持つより優れたドローダウン特性に一部はよって、より低い温度においても比較的大きな押出し速度で適用可能である。同時に、管型反応器で製造したLDPEを使用したラミネート材料内の層はより薄く押し出し可能であり、ラミネート材料の総量は削減され、より良好な接着が達成可能であり、エネルギーも節約されている。本発明による方法によって、オートクレーブ反応器での重合で製造したLDPEは、管型反応器で製造したLDPEに比べて低いドローダウン特性にもかかわらず、比較的大きな速度及びより低い温度でも押し出し可能であると同時に、各層はより薄く押し出し可能であり、ラミネート材料の総量は削減され、より優れた接着が達成可能であり、エネルギーも節約されている。
【0028】
押出し時の2つのタイプのポリマーの挙動の差異は、本発明による方法を使用して、ラミネート材料の外側接着剤層の適した選択肢で効果的に抑えること、及び、排除することさえ可能である。接着性ポリマー材料は、押出しコーティング又は押出しラミネートに対して意図したタイプのものとしなければならない。そのため、何を差し置いても、低い押出し温度及び本発明による方法で、必要な接着力が維持可能であり、辺縁部の悪影響を回避可能である一方、同時に、押出し工程では、エネルギー効率がより上昇し、健康及び環境に有害な物質及び方法の使用が回避される。十分な接着力とは、従来の剥離試験を使用して測定した少なくとも100N/mの接着力を意味する(添付の実施例の説明を参照されたい)。ラミネート材料の中央層を両側の外側接着剤層と一緒に共押出しすることによって、ポリマーのより安定した熔融カーテン、すなわち、起伏のある辺縁部、迅速な辺縁部の成形、又は、引出し応答について問題が少ない熔融カーテンを得て、かつ、ネックイン及びドローダウンに関する異なったラミネート材料の特性を、より低い押出し温度でそれらによって相乗的に補償可能であり、比較的大きな速度で材料のラミネートが実施可能であり、同時に、十分な、又は、向上した接着力が達成され、それぞれのポリマーの薄層が欠陥なく適用可能であり、製造における原料の総コスト及び各ラミネート工程が維持、又は、低減さえされている。より低い押出し温度とは、ラミネート材料としてLDPEのみを使用した従来の押出しラミネートで使用する温度、すなわち、325〜330℃よりも15℃を超えて低い温度、例えば280〜310℃、例えば290〜310℃を意味する。押出し温度はダイの出口の直下の熔融カーテン上でIRメータによって測定する。比較的大きな押出し又はラミネート速度とは、約400m/分以上のウェブの速度を意味する一方、より小さな速度とは、約100〜300m/分を意味する。薄層とは、ラミネート材料としてLDPEのみを使用する従来の押出しラミネートで通常要求される20g/m2の厚さよりも薄い層を意味する。本発明によるラミネート材料の中央層は、10から14g/m2の厚さを有し得る一方、ラミネート材料の外側接着性ポリマー層は、それぞれ2から5g/m2、例えば3から4g/m2の厚さを有し得る。
【0029】
本発明による方法は、管型反応器での重合によって製造したLDPEポリマーに対して、低熔融弾性及びこれに伴うネックインの傾向の形でのこのポリマーの短所を克服するために特に有利であり、同時に、他の一般的な長所、すなわち、優れた接着力、より小さなエネルギー消費、及び、健康及び環境に関した調書も得られる。
【0030】
本発明による方法は、直鎖ポリマー類、特に事実上の直鎖分子構造を持つポリオレフィン、一般的には直鎖ポリエチレンポリマーに対して同様に有利である。なぜなら、これらは、押出しコーティング中に管型反応器での重合によって製造したLDPEと事実上同じ加工特性を有するからであり、これらの共通した特徴は、これらが低熔融弾性を有し、そのため、オートクレーブで製造した従来のLDPEと比較して熔融カーテンの辺縁部でのネックインについて強い傾向を有することである。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合によって製造したLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合によって製造したLDPE、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0033】
直鎖ポリマーも、向上した引き裂き抵抗及び穿刺抵抗等のより優れた機械的特性を備えた本発明によるラミネートの包装材料を提供し、これは、向上した一体性、すなわち、輸送によるストレスへの向上した耐久性を備えた包装容器をもたらす。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、他の触媒若しくは所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。
【0035】
上述したように、本発明による方法におけるラミネート材料で使用するための良好に機能する接着性ポリマーは、最初から、したがって追加の対策も必要なく、極性官能基の形での活性結合座位を有し、本発明の一実施形態によれば、これはカルボン酸基であり、これによって、ラミネート材料は一方で紙又は板紙のウェブに、かつ、他方でガスバリアとして機能する材料のウェブに効果的かつ恒久的に結合可能である。極性結合基の含有量は、アルミニウム箔及び板紙層との接着を達成するために十分大きくなければならないが、接着性材料がラミネート材料の中央層との親和性を失うほどに大きくあってはならない。本発明の一実施形態によれば、極性結合基、特にカルボン酸基の比率は1から10質量%である。良好に機能する接着性ポリマーのさらなる要件は、接着を達成するために十分高い温度で、しかし、品質を損なう制御不能の分解反応を開始させずにこのポリマーが押出し可能であることである。実施例で使用したPrimacor 3540では、温度は必要以上に290℃を、とにかく300℃は超えないようにすべきである。
【0036】
上記の要件を満たす接着剤の例は、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)であり、これらは両方とも、これらのポリマーをラミネート材料の両側のそれぞれのウェブに結合可能とする遊離カルボン酸基を含む。第一に述べたタイプ(EAA)の実用的な例はDow Chemical Company社からPrimacorの商品名で市販され、後者のタイプ(EMAA)の対応する例はNucrelの商品名でDuPont社から入手可能である。使用可能な接着剤のさらなる例は、Escorの商品名でExxonMobil Chemicals社が販売するものがある。本発明によれば、処理技術の理由で、ポリマー層の一方の表面の接着剤層と同じ接着剤をポリマー層の他方の表面の接着剤層で使用することが有利であるが、それぞれの接着剤層の接着剤の量は互いに異なり得る。しかし、この2つの層での異なった接着剤の使用は可能であり、特定の特性を達成するためにそのように所望する場合がある。本発明の一実施形態によれば、接着性ポリマーは、押出しコーティングに対して意図したラミネート材料の中央層で使用するLDPEに均等な粘度を、したがって、これと同じレベルのメルトフローインデックス(MFI)を有する。本発明の一実施形態によれば、接着性ポリマーは、押出しコーティングを意図したラミネート材料の中央層で使用するLDPEよりも低い粘度を、したがって、それよりも高いメルトフローインデックス(MFI)を有する。
【0037】
カルボン酸基の形の官能性極性基を含む接着剤層は、例えば赤外線分光分析(IR, FTIR)を含めた方法で特性決定してよい。特定の単量体組成物を有する特定の接着性ポリマーは、含まれるモノマーの様々な分子群を示すピークを備えた特徴的な吸収スペクトルをもたらす。特に、カルボン酸基は、FTIRスペクトルの1710〜1780cm-1の間にカルボン酸基の伸縮振動に対応する特徴的なピークをもたらす。
【0038】
ガスバリア特性を有し、本発明による方法で使用可能である材料は、有機及び無機の材料の両方であってよい。ガスバリアを提供する有機材料の例は、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマーの有機材料及び様々なタイプのポリアミド(PA)である。有機バリア材料は、押出しコーティングしたポリマー層とすることが可能であるが、プレハブポリマー膜とすることも可能である。この場合、プレハブ膜には、蒸着した有機又は無機の化合物のバリア層又は様々なバリア特性を持つポリマーの液膜をコーティングした層を設けることが可能である。無機バリア材料の例は、アルミニウム箔又はプレハブポリマー膜に蒸着した金属、金属酸化物、若しくは他の蒸着した化合物、例えば蒸着アルミニウム若しくはアルミニウム酸化物或いはシリコン酸化物(SiOx)とすることが可能である。本発明の一実施形態によれば、バリア層はアルミニウム箔で作製し、アルミニウム箔は、ガスに対する優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である誘導融着で包装用ラミネートを融着することを可能にする。代案として、融着は、同じく迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である超音波融着技術を使用して実施可能である。
【0039】
本発明による方法では、ポリマーの2つの液密かつ熱融着可能な外側層の少なくとも1つが膜ラミネートで適用可能であり、ここでは、ウェブと膜との間に適用するに適した接着剤を使用して、ポリマーのプレハブ膜をウェブの1つの表面上にラミネートする。本発明による一方法では、従来の既に設置済みの押出し設備を使用して2つの液密かつ熱融着可能な外側層はウェブの両面に押出しコーティングで適用可能である。
【0040】
本発明による包装用ラミネートの液密かつ熱融着可能な外側層のために使用可能なポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンである。
【0041】
第2の態様において、本発明は牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油等の酸素に敏感な液体食品のための包装容器のための包装用ラミネートを使用可能にする。この包装用ラミネートは、紙又は板紙の層と、ガスバリアとして機能し、ラミネート材料で紙又は板紙の層に固着された層とを含む。包装用ラミネートは、一方の表面上に紙又は板紙の層に固着する能力を持つ第1の接着剤ポリマーの第1の層を有し、かつ、他方の表面上にガスバリアとして機能する層に固着する能力を持つ第2の接着性ポリマーの第2の層を有する中央ポリマー層をラミネート材料が含むこと、ポリマー層の一方の表面上の第1の接着剤層は紙又は板紙の層に接触していること、及び、ポリマー層の他方の表面上の第2の接着剤層はガスバリアとして機能する層に接触していることを特徴とする。
【0042】
ラミネート層に含まれた時にその機械的特性の改善を促進可能なポリマーの例には所謂直鎖ポリマー、例えば直鎖ポリオレフィンがあり、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、並びに、エチレンとの直鎖ポリプロピレンコポリマーがある。様々な機械的特性、例えば、引裂き抵抗、穿刺抵抗、及び、耐久性に関して完成した包装用ラミネートに何を要求するかによっては、本発明によれば、ラミネート材料及び接着性ポリマーを、押出しコーティング及び押出しラミネートにおける適した加工特性の流れにおいて組み合わせる、及び、変化させることが可能である。この種の機械的な弾性特性は、(MDPE、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、m-LLDPEのタイプのポリエチレンを使用して達成する一方、HDPEは、例えば水蒸気に関して向上したバリア特性及び酸素に対する幾分向上したバリア特性も一般に付与する。
【0043】
飲料及び液体のための所望のタイプの包装用ラミネートのための様々なラミネート材料は、ポリエチレンの群、すなわち、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒或いは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリマーの中に見出される。本発明の一実施形態によれば、本発明による包装用ラミネートのラミネート材料のポリマーは、オートクレーブ反応器での重合反応又は管型反応器での重合反応のいずれかによって製造可能な低密度ポリエチレン(LDPE)である。オートクレーブでの重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、所謂ネックインの形の激しい周辺効果を伴わずに従来の方法で押出し可能であるが、管型反応器で製造したLDPEに比べて限られたドローダウン特性を有する、すなわち、他の上述のポリエチレン材料と比べて、LDPEは同じ加工条件下で同等のMFI値を備えながら、より高い熔融弾性を有する。
【0044】
管型反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、オートクレーブ反応器での重合によって製造した低密度ポリエチレン(LDPE)よりも低い熔融弾性を一般に有し、それにもかかわらず、従来の押出し中にネックインの形での辺縁部の悪影響にはるかに敏感であり、したがって、ウェブからのかなりの辺縁部不要部分をもたらし、その結果、コストを増加させるかなりのネックインを伴わずには押出しが不可能である。本発明による方法では、管型反応器で製造したLDPEは、これにもかかわらず、より低い温度、例えば280から310、例えば290から300℃においてさえ、一部はより優れたドローダウン特性にもよって、比較的大きな速度、例えば400m/分以上で適用可能である。同時に、管型反応器で製造したLDPEを使用したラミネート材料内の各層は、本発明による方法では、ラミネート材料としてLDPEのみを使用した従来のラミネートの場合よりも薄く押出し可能であり、ラミネート材料の総量も削減可能であり、十分又はより良好な接着が達成可能であり、エネルギーも節約される。本発明による方法によって、オートクレーブ反応器での重合によって製造したLDPEは、その低いドローダウン特性にもかかわらず、比較的大きな速度及びより低い温度でも押出し可能である一方、同時に、これらの層はより薄く押出し可能であり、ラミネート材料の総量が削減され、より良好な接着を達成可能であり、エネルギーも節約される。
【0045】
本発明による方法を使用すると、押出し時の2つのタイプのポリマーの挙動の差異は、ラミネート材料の外側接着剤層の適した選択肢で効果的に抑えることが、及び、排除することさえ可能である。接着性ポリマー材料は、押出しコーティング又は押出しラミネートに対して意図したタイプのものとしなければならない。そのため、より低い押出し温度で、かつ、本発明による方法で、必要な接着力を維持し、辺縁部の悪影響を回避することが可能である一方、同時に、押出し工程ではエネルギー効率がより上昇し、健康及び環境に有害な物質及び方法の使用も回避される。両面上の外側接着剤層を使用してラミネート材料の中央層を共押出しすることで、ポリマーのより安定した熔融カーテンを得て、ネックイン及びドローダウンに関するラミネート材料の様々な特性はより低い押出し温度で互いに補償可能となり、材料のラミネートが比較的大きな速度で進行可能であり、同時に、良好な又はより良好な接着を達成可能であり、それぞれのポリマー層の薄層は欠陥なしに適用可能であり、原料の総コスト及び製造でのラミネートの諸工程は維持されるか、又は、削減さえされる。本発明による方法は、管型反応器での重合によって製造したLDPEポリマーに対して、ネックインの傾向の形での短所を克服するために特に有利である一方、同時に、包装ラミネートの製造における他の一般的な長所、すなわち、優れた接着、より小さなエネルギー消費、並びに、健康及び環境に関した長所も得る。
【0046】
本発明による包装用ラミネートは、管型反応器での重合で製造したLDPE、一般にはポリエチレンポリマー類に比べて、ラミネート材料として直鎖ポリマー、特に、直鎖分子構造を持つポリオレフィンを含むことに対して同様に有利である。なぜなら、オートクレーブで製造した従来のLDPEと比較して、これらが押出しコーティング中に事実上同じ加工特性を有するからであり、これらに共通した特徴はすべてが低熔融弾性を有し、そのため、熔融カーテンの辺縁部でのネックインに対する強い傾向を有することである。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合で製造したLDPE、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒若しくは他の触媒又は所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低い熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、管型反応器での重合で製造したLDPE、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒若しくは他の触媒又は所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。これらのすべてのポリマータイプに共通する特徴は、オートクレーブで製造したLDPEに比べて、押出しコーティングにおいて同等のMFIを持つ低い熔融弾性を有することである。この理由は、これらのポリマーでは分子量分布がより狭くかつ/又は長鎖の分岐の比率がより低いためである。直鎖ポリマーは、本発明によるラミネート包装材料に対して向上した引き裂き抵抗及び穿刺抵抗等のより良好な弾性特性も提供し、これは、向上した一体性、すなわち、輸送によるストレスへの向上した耐久性を備えた包装容器をもたらす。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ラミネート材料は、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン-LLDPE(m-LLDPE)触媒を含む従来の触媒、他の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、及び、これらのポリマーの2つ以上による混合物を含む群から選択したポリエチレンを含む。
【0050】
本発明による包装用ラミネートの液密外側層に使用可能なポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンである。
【0051】
バリア層をアルミニウム箔で作製した場合、包装用ラミネートの内部の外側層、すなわち、包装容器内に詰めた製品の方に向ける側面は、ラミネート層13で使用するものと同じものにでも異なったものにでもすることが可能な接着性ポリマーの層によってアルミニウム箔に有利に固着している。これは、包装用ラミネートのすべての層間のより良好でさえある接着、並びに、例えば輸送中及び取扱い中での充填済み包装容器の良好な耐久性をもたらす。
【0052】
上述したように、本発明による包装用ラミネートのために使用可能な接着剤は、最初から極性官能基の形での活性結合座位、本発明の一実施形態によれば遊離カルボン酸基を有していなければならず、これによって、ラミネート材料は一方で紙又は板紙のウェブに、他方でガスバリアとして機能する材料に効果的かつ恒久的に結合可能である。
【0053】
既に述べたように、本発明による包装用ラミネートに使用可能な接着剤の例は、エチレンアクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)とすることが可能であり、これらは両方とも遊離カルボン酸基を含み、この基によってこれらは包装用ラミネートのそれぞれの隣接する層に効果的かつ恒久的に結合可能である。第一に述べたタイプ(EAA)の実用的な例はDow Chemical Company社からPrimacorの商品名で市販され、後者のタイプ(EMAA)の対応する例はNucrelの商品名でDuPont社から入手可能である。使用可能な接着剤のさらなる例はEsorの商品名でExxonMobil Chemicals社によって販売されているものがある。本発明によれば、処理技術の理由によって、ポリマー層の一方の表面上の接着剤層では、ポリマー層の他方の表面上の接着剤層と同じ接着剤を使用することが好ましいが、それぞれの接着剤層の接着剤の量は異なり得る。しかし、2つの層で異なった接着剤を使用することを所望した場合、特定の特性を達成するためにそのようにすることは可能である。
【0054】
カルボン酸基の形で官能性極性基を含む接着剤層は、例えば赤外線分光分析(IR, FTIR)を含む方法で特性決定してよい。特定の単量体組成物を有する特定の接着性ポリマーは、含まれるモノマーの様々な分子群を示すピークを備えた特徴的な吸収スペクトルをもたらす。特に、カルボン酸基は、1710〜1780cm-1の間に酸基の伸縮振動に対応するFTIRスペクトルの特徴的なピークをもたらす。ガスバリア特性、特に酸素に対するものを有し、本発明による包装用ラミネートに使用可能な材料は、有機及び無機の材料の両方であってよい。有機材料の例は、エチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマーの有機材料及び様々なタイプのポリアミド(PA)である。無機バリア材料の例は、一方の側面に金属のコーティング、例えば、蒸着アルミニウム又は酸化物、例えばアルミニウム酸化物若しくはシリコン酸化物(SiOx)を有するアルミニウム箔又はポリマー膜とすることが可能である。ガス、特に酸素に対して優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である誘導融着で包装用ラミネートを融着することを可能にするアルミニウム箔を選択することが好ましい。
【0055】
本発明の更に他の態様において、包装容器は酸素に敏感な液体食品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油のために使用可能とされている。包装容器は、折り畳み及び熱融着で本発明による包装用ラミネートから製造することを特徴とする。
【0056】
例えば、包装容器は、本発明による包装用ラミネートのウェブから、先ずウェブの相互に向かい合うプラスチック層を一体に熔融することによって重なり継ぎ目において互いに連結されたウェブの長さ方向の両辺縁部を使用してウェブを円筒に成形し、その後、この円筒は目的の食品製品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、又は、調理油で満たし、円筒の縦方向に関して横方向に円筒の製品の高さの下方で円筒を一体に繰り返し押圧し、熱融着することで連続した枕型の包装単位に分割する工程によって製造可能であり、この包装単位は互いから分離し、最終的に、少なくとも1つのさらなる形成及び熱融着の操作を使用して所望の形状、通常は煉瓦状の形状にする。
【0057】
代案実施形態において、包装容器は、先ず開放された円筒状容器カプセルを形成するように空容器を作りあげ、用意した一体化端部パネルの折り畳み及び熱融着を使用してカプセルの一端を閉じ、容器カプセルをその開放された端部を介して目的の食品製品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、又は、調理油で満たし、その後、開放端部は、用意した対応する一体化端部パネルの少なくとも1回のさらなる折り畳み及び熱融着を使用して閉じることによって、平らに折られた本発明による包装用ラミネートの円筒状空容器から製造可能である。
【0058】
添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明による包装用ラミネートの模式的断面図である。
図2】本発明による方法による図1からの包装用ラミネートの製造を模式的に示す図である。
図2A図2の円で囲んだ領域Aの拡大図である。
図3】包装材料のリール上のウェブから融着容器への成形、充填、及び、融着を行うための方法を模式的に示す図である。
図4】本発明による包装用ラミネートから作製したTetra Brik Asepticタイプの包装容器の模式的な斜視図である。
図5】本発明による包装用ラミネートから作製したTetra Fino Asepticタイプの包装容器の模式的な斜視図である。
図6】本発明による包装用ラミネートから作製した切妻頂部タイプ、所謂Tetra Rex容器の包装容器の模式的な斜視図である。
図7】走行中のウェブ上へのポリマーの押出しコーティング中のネックイン効果を模式的に示す図である。
図8】押出し実施例1〜3による押出しコーティング中のネックインの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は本発明の一実施形態による包装用ラミネート全体を通した模式的断面を示す。全般的な参照番号10で示す包装用ラミネートは、紙又は板紙の層11及びバリアとして機能し、ラミネート層13によって紙又は板紙の層11に固着された層12を有する。図示した実施形態において、包装用ラミネート10は、紙又は板紙層11の両面上に外側液密コーティング14、15も有する。
【0061】
ラミネート層13は中央層13aを有し、これの一方の表面は紙又は板紙の層11に固着する能力を持つ接着剤の層13bを有し、その他方の表面はガスバリアとして機能する層12に固着する能力を持つ接着剤の層13cを有する。図1に示すように、中央層13aの一方の側面の接着剤層13bは紙又は板紙の層11と接触している一方、中央層13aの他方の側面の接着剤層13cはガスバリアとして機能する層12と接触している。
【0062】
本発明による例示的一実施形態において、中央層13aは、オートクレーブ反応器又は管型反応器のいずれかでの重合反応によって製造可能な低密度ポリエチレン(LDPE)のポリマー層とすることが可能である。既に述べたように、低密度ポリエチレン(LDPE)のポリマー層は、好ましくは、後者のタイプの反応器、すなわち、管型反応器で製造した低密度ポリエチレン(LDPE)である。なぜなら、この種の低密度ポリエチレン(LDPE)は、オートクレーブ反応器で製造した低密度ポリエチレン(LDPE)よりも低い押出し温度及び大きなウェブ速度での押出し(ドローダウン)が可能である。
【0063】
他の例示的実施形態において、中央層13aは直鎖ポリマーで作製したポリマー層とすることが可能であり、これは、完成した包装用ラミネート10に、所望であれば向上した機械的特性を付与するうえで役立つ。使用可能な直鎖ポリマーの例は、従来の触媒又は所謂シングルサイト触媒を使用して製造した高密度ポリエチレン(HDPE)、又は、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、極超低密度ポリエチレン(ULDPE)である。
【0064】
既に述べたように、接着剤層13b及び13cのための良好に機能する接着性ポリマーは、紙又は板紙の層11及びガスバリアとして機能する層12への効果的かつ恒久的な固着を可能にする活性結合座位(遊離カルボン酸基)を有する。本発明による包装用ラミネート10の良好に機能する接着性ポリマーのさらなる要件は、包装用ラミネート層13の中央層13aのより暖かいポリマーとの接触の際の分解反応の結果として品質が落ちることを回避するために、十分に低い温度で適用できることである。活性結合座位(酸基)を持つ接着剤の実用的な例は、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)である。
【0065】
包装用ラミネート層13の接着剤層13b及び13cは、相互に異なった化学組成で、かつ、相互に異なった層厚さの接着性ポリマーから作製可能であるが、それらは、好ましくは、同一の層厚さを持つ同一の接着性ポリマーから作製する。
【0066】
本発明によれば、ガスバリアとして機能する層12の材料は、有機及び無機の性質の両方とすることが可能である。有機材料の例は、様々なタイプのポリアミド(PA)であり、無機材料の一例はアルミニウム箔である。好ましくは、ガスバリアとして機能する層12はアルミニウム箔であり、これは、ガス、特に酸素に対する優れたバリア特性に加えて、迅速かつ効果的な融着技術である誘導融着を手段として包装用ラミネート10を熱融着させるものである。
【0067】
包装用ラミネート10の外側液密コーティング14及び15は、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)ホモ又はコポリマー等のポリオレフィンでのコーティングとすることが可能である。使用可能なポリエチレン(PE)の例は、従来の触媒又は所謂シングルサイト触媒を使用して製造した低密度ポリエチレン(LDPE)、及び、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、並びに、高密度ポリエチレン(HDPE)である。この場合、包装容器に詰めた食品製品への対応を意図した外側液密コーティングは、ラミネート材料13が含む接着剤層と同じタイプの又は異なる接着性ポリマーの層によってバリア層に固着可能である。
【0068】
本発明によれば、図1の包装用ラミネート10は図2に模式的に示す方法で製造可能である。紙又は板紙のウェブ201を保管リール200から繰り出し、ガス、特に酸素に対するバリア特性を持つ材料の対応するウェブ203を保管リール202から繰り出す。2つのウェブ201及び203を互いに一緒に運び、2つの隣接した回転可能なシリンダー204及び205の間の間隙を介して一緒に誘導する。同時に、ウェブとラミネート材料206を互いにラミネートして耐久性のあるラミネートされたウェブ208を形成するために、ラミネート材料206を両ウェブの間に適用する。
【0069】
示す実施例において、ラミネート材料206は、シリンダー間隙の上方に配置した押出し機207を使用した共押出しによって適用され、これは以下に詳細に説明する。
【0070】
ラミネートされたウェブ208は、ガイドロール209及び210を介して、2つのさらなる隣接した回転可能なシリンダー211及び212間の間隙に向けて、かつ、これを介して搬送すし、同時に、ウェブ208の一方の表面には、押出しコーティングしたポリマーの外側液密コーティング213を設ける。続く他の2つの隣接した回転可能なシリンダー217及び218間の間隙では、押し出したポリマーの外側液密コーティング214をウェブ208の他の表面に設ける。これらの2つの押出しコーティング工程は逆の順序でも実施可能であり、シリンダー204及び205間の間隙においてラミネート工程の前に、全体にせよ部分にせよ実行可能である。
【0071】
示す実施例において、外側液密コーティング213は、押出し機215を使用した押出しによってウェブの一方の表面に適用し、外側液密コーティング214は、ウェブ208の近くに配置した対応する押出し機216を使用した押出しによってウェブ208の他方の表面に適用する。
【0072】
このようにコーティングしたウェブに対するさらなる機械的操作又は他の機械加工操作に続いて、ウェブは、その後の輸送、及び、以下に説明するような酸素に敏感な液体食品、例えば、牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油のための寸法が安定した包装容器に形成するさらなる取扱いのために巻き取る。
【0073】
本発明によれば、ガス、特に酸素に対するバリア特性を持つ材料のウェブ203を紙又は板紙の層201にラミネートするラミネート材料206は、図2Aに拡大して示すように三層構造である。この三層構造はポリマーの中央層206aを有し、これは一方の表面に紙又は板紙に固着する能力を持つ接着性ポリマーの第1の外側層206bを有し、他方の表面にガス、特に酸素に対してバリア特性を持つ前記材料に固着する能力を持つ接着性ポリマーの第2の外側層206cを有する。本発明によれば、ラミネート材料として機能する三層構造は、好ましくは共押出しによって、外側接着剤層206bを紙又は板紙のウェブ201と直接的に接触させる方法で押し出し、同時に、外側接着剤層206cはガス、特に酸素に対してバリア特性を持つ材料のウェブ203と直接に接触させる。
【0074】
本発明によれば、かつ、既に述べたように、ラミネート材料206の中央層206aのためのポリマーは、事実上、自由に選択可能であり、いずれの特定のタイプのポリマーにも限らない。ラミネート材料206の中央層206aのための使用可能なポリマーの例は、オートクレーブ反応器での重合反応で製造したタイプの低密度ポリエチレン(LDPE)、又は、管型反応器での重合反応で製造したタイプの低密度ポリエチレン(LDPE)である。本発明の方法によって、オートクレーブ反応器で製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、その低いドローダウン特性にもかかわらず、比較的大きな速度及びより低い温度でさえ押出し可能であり、同時に、各層はより薄く押出し可能であり、ラミネート材料の総量は削減され、より良好な接着を達成可能であり、かつ、エネルギーも節約される。
【0075】
管型反応器で製造した低密度ポリエチレン(LDPE)は、オートクレーブ反応器で製造したLDPEと比較して、その良好なドローダウン特性によって比較的大きな製造速度、例えば約400m/分での押出しコーティングが可能である。このポリエチレンは、加えて、このポリマーがオートクレーブ反応器で製造したLDPEよりも低い温度、例えば280から310℃、例えば290から310℃で共押出し及びコーティングが可能であり、そのため、必要なエネルギーが前者よりも少ないという長所も有する。続いて、このような低温での低密度ポリエチレン(LDPE)の押出しは、既に述べたように分解反応による品質の低下の危険を低減する。
【0076】
ラミネート材料206の中央層206aのための使用可能なポリマーの他の例は直鎖ポリマーであり、これは完成した包装用ラミネートの機械的特性の改善を促進するという長所を有する。本発明の方法において使用可能な直鎖ポリマーの例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、所謂メタロセン触媒を含めた従来の触媒、又は、所謂シングルサイト触媒若しくは束縛構造触媒を使用して製造した極超低密度ポリエチレン(ULDPE)である。
【0077】
ラミネート材料206の両方の外側層206b及び206cのための使用可能なポリマーが満たす要件は、当然、このポリマーが、それぞれのウェブ201及び203への効果的かつ恒久的な固着を可能にしなければならないことである。さらなる要件は、品質を損なう制御不能の分解反応を開始させる可能性のある臨界温度を超えないように、ラミネート材料206のポリマー層20の温度を不注意に上昇させる危険を排除するために、このポリマーが十分に低い温度で押出し可能でもなければならないことである。これらの要件の両方を満たす接着剤の例は、自然な状態で表面上に活性酸基を有するもの、例えば、エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)及びエチレン-メタクリル酸コポリマー(EMAA)である。このような接着剤はDow Chemical Company社からPrimacorの商品名で市販され、他のこのような接着剤はNucrelの商品名でDuPont社から入手可能である。さらなる例は、Escorの商品名でExxonMobil Chemicals社から入手可能である。ラミネート材料206の外側層206b及び206cで互いに異なる接着剤が使用可能であっても、処理技術の理由で、外側層206b及び206cのそれぞれにおいて同じ組成及び同じ量の接着剤を使用することが有利である。
【0078】
ガスバリア特性を有し、本発明による方法で使用可能な材料は、有機及び無機の両方の性質のものであってよい。有機材料の例はエチレンとビニルアルコール(EVOH)のコポリマー及び様々なタイプのポリアミド(PA)である。無機材料の例は、一方又は両方の側面に金属のコーティング、例えば蒸着した若しくは真空蒸着したアルミニウム、又は、酸化物、例えばアルミニウム酸化物若しくはシリコン酸化物(SiOx)の蒸着コーティングを有するアルミニウム箔又はポリマー膜である。ガスに対する優れたバリア特性を有することに加えて、迅速、簡便、かつ、効果的な熱融着技術である所謂誘導融着で包装用ラミネートを融着することを可能にするアルミニウム箔を好ましく使用する。
【0079】
本発明による方法でウェブ208に適用した液密で熱融着可能な外側層213及び214のための使用可能なポリマーの例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び、ポリプロピレン(PP)のホモポリマー又はコポリマー等のポリオレフィンである。
【0080】
既に述べたように、例えば、図1の包装用ラミネート10のウェブから、それ自体知られている方法での折り畳み及び熱融着によって牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油等の酸素に敏感な液体食品のための使い捨ての寸法が安定した包装容器を製造可能である。今日では、このような包装容器は、完成した包装体に成形、充填、及び、融着を行うタイプの近代的な包装装置を使用して製造している。
【0081】
図1の包装用ラミネート10で作製した包装容器が成形、充填、及び、融着可能である1つの方法を図3に示す。所謂使い捨て包装体は、ウェブを使用して、先ず円筒31に成形し、ウェブの縦方向の辺縁部32、32'を、プラスチック層14及び15の相互に向かい合う表面を一緒に熔融することで重なり継ぎ目33において互いに連結してウェブから製造する。円筒を目的の食品製品で満たし34、円筒の縦方向35に関して横方向に円筒の製品の高さの下方で円筒を一体に繰り返し押圧し、熱融着することで連続した枕型の包装単位に分割する36。包装単位は互いから分離し、最終的に、少なくとも1つのさらなる折り畳み及び熱融着の工程を使用して所望の形状、通常は煉瓦のような平行六面体の形状にする。
【0082】
この種の使い捨て包装体の良く知られている例は、Tetra Brik asepticの商品名で販売されている図4に示す業務用包装体である。この業務用タイプの包装の独特な特徴は、特徴的な煉瓦状の外形に加えて、これが、別になった頂部及び/又は底部等の余分の包装用部品を使用せずにウェブ形状の包装用ラミネートの折り畳み及び熱融着41、42によって事実上完全に製造されていることである。このような包装容器40には、適した開封具43、例えば、開くと、包装材料を貫通及び除去し、包装した製品の完全な流出を可能にするネジ蓋を設けることが可能である。ラミネートされている包装用ラミネートは、この目的のために、ラミネートのポリマーとバリア層との間にラミネートした板紙層にミシン目を有することが可能である。代案として、充填工程の直前に、ラミネート包装材料に穴を開け、その後、穴には包装材料の両面でテープ又はプルタブを設ける。包装容器を充填及び融着した後、蝶番又はネジ蓋の形の開封具を被覆した穴の頂部に適用可能である。代案として、開けた穴に充填工程中に直接成形した開封具を取り付ける。包装容器に開封器具を設ける必要はなく、引き裂き用のミシン目を使用して、又は、切断によって引き裂いて開封可能である。
【0083】
代案として、包装容器は上記のように製造可能であるが、包装単位を互いから分離した後に直接得られ、したがって、折り畳みによって更には成形しない枕形状を最終形状として有する。このような包装体は、一般により薄い板紙材料を使用して製造し、そのため、ラミネート層、及び、ポリマー層の機械的特性、特に弾性特性に関した包装材料の接着及び一体性に対するより大きな要求を伴っている。このような包装体の例を図5に示す。
【0084】
酸素に敏感な液体食品、例えばジュースのための包装容器も、図1の包装ラミネート10のシート状空容器又はプレハブ空容器から製造可能である。包装体は、平らに畳まれた包装ラミネート10の円筒状空容器から、先ず開放された円筒状容器カプセルを形成するように空容器を作りあげ、一体化端部パネルの折り畳み及び熱融着を使用してカプセルの一つの開放端を閉じることによって製造する。このように閉じた容器カプセルはその開放端部を介して目的の食品製品、例えば、ジュースで満たし、その後、開放端部は対応する一体化端部パネルのさらなる折り畳み及び熱融着を使用して閉じる。シート状かつ円筒状の空容器から製造した包装容器の例を図6に示す。これは、所謂切妻頂部包装体50である。成形した頂部及び/又はプラスチックのネジ蓋を有するこの種の包装体も存在する。
【実施例】
【0085】
(実施例1)
包装用ラミネート10は以下の表に示す組成物を使用して製造した。
【0086】
【表1】
【0087】
実施例1の本発明による包装用ラミネート10は、13b/13a/13cの順序で含まれた材料層を使用して、三層構造として材料層13a〜13cの共押出しによって製造した。この共押出しは、包装用ラミネートの紙又は板紙の層11へのガスバリアとして機能するアルミニウム箔12の恒久的な固着を達成及び維持するためのオゾン又は他の余分な化学物質を使用せずに、200m/分の押出し速度及び310℃未満の押出し温度で一般に実施可能である。全体を通じて使用した板紙材料は260mNの折曲げ力を持つCLC/C材料であった。この3つの層は、板紙層又はバリア層への優れた(検出限界を超えて測定不能の)接着性を備えて290〜310〜290℃の温度及び650m/minのウェブ速度で共押出しすることが可能であった。
【0088】
参照例1を構成する知られている包装用ラミネートは、材料層13aのみの押出しによって同様の方法で製造したが、この場合、アルミニウム箔12と紙又は板紙の層11との間の許容可能な固着を達成するために、オゾンの添加とともに325℃にも達する押出し温度を必要とした。本発明による方法で製造した包装用ラミネートは、知られている方法で、すなわち、紙又は板紙の層及びガスバリアとして機能する層、この場合はアルミニウム箔との直接接触で接着剤を使用せずに製造した対応する包装用ラミネートに対して、環境及び健康に関したかなりの長所を有する。本発明による実施例において、ラミネート材料とアルミニウム箔との間で得た接着は、各層がこれらの2つの材料間の境界に沿って最早分離不能となった程度まで改善していた。すなわち、接着力が剥離試験の約200N/mという検出限界よりも強かったのである。比較の方法によって、満足な接着は、より高い押出し温度及びオゾンを使用した表面処理を使用して参照例でも得たが、この接着は各層が分離不能なほどには強くなかった(中央値は105N/m)。包装容器に成形した後、実施例1及び参照例の両方からの包装用ラミネートで満足な包装一体性、すなわち、液体及び酸素の両方に対する耐久性及び気密性を得た。
【0089】
剥離試験では、幅15mmの包装用ラミネートの試験片を切り出し、接着力を測定する2つの層を分離/剥離する。剥離した試験片を引張り試験機に固定し、ここで、90°の剥離角度で管理した条件下で試験片を更に剥離する。剥離中の力を荷重計で測定し、剥離試験の値は単位N/mで示す。この方法は、ASTM D903-98(2010)「Standard Test Method for Peel or Stripping Strength of Adhesive Bonds」の変形であり、試料の幅が25mmの代わりに15mmであり、剥離角度が180°の代わりに90°であることが異なっている。
【0090】
更に、包装容器がある高さから床に落ちた場合等の衝撃又は打撃に耐えるための包装用ラミネートの能力を試験する目的で、内部試験法によって行った観察では、驚くべきことに、参照例1の包装用ラミネートに比べて、本発明の包装用ラミネートの耐久性では30%を超えるほどの有意な改善を示した。
【0091】
(実施例2)
実施例1及び参照例1では、200m/分のウェブ速度、及び、押出しダイの出口と熔融カーテンがウェブの表面と接触する点との間を2つの異なった間隔にして、すなわち、195mm及び310mmの隙間で反復した。更に、これらの例は、参照例1のラミネート材料を管型反応器での重合で製造した試験ポリマーLDPE 2によって置き換えたことを唯一の相違として反復し、これは、ラミネート材料の単一層としての押出しの際の大きなネックインの形で予想された低い押出し特性を有した。
【0092】
実施例2において、ラミネート材料は同じLDPE 2の中央層、並びに、実施例1のように同じポリマー及び同じ層厚さの各外側接着剤層とともに共押出しした。
【0093】
ラミネート材料と同じLDPE 2の単一層を使用した参照例2と比べて、実施例1の包装特性と均等な包装特性(バリア特性及び接着)、及び、有意に向上した押出し工程(低減したネックイン)を得た。Table 3(表3)に示すネックインの値は、押出しコーティングされたウェブの押出しポリマーでコーティングしていない部分のmm単位での組み合わせた幅、すなわち、ウェブの未コーティング辺縁区画の幅の合計である。
【0094】
詳細には、中央層としてLDPE 2を備えた3つの層は、各層が分離不能であり、そのため、温度290〜290〜290℃及び約500m/分のより大きなウェブ速度で共押出しが可能であり、接着が測定には強すぎるほどの板紙層及びバリア層への優れた接着を備えていた。
【0095】
(実施例3)
参照例2では、管型反応器での重合で製造し、かつ、すべての利用可能なデータ及び提案によれば、押出しコーティングには適さず、代わりに、射出成型に対して意図され、かつ、2.16kg、190℃で20g/10分にもなるMFIを有するポリマーLDPE 3(Dow 750 E)でラミネート材料を置き換えたことを唯一の相違として反復した。予想通り、従来の押出しラミネートは、大きすぎるネックインの理由でこのポリマーでは実施不可能であった。実施例3では、代わりに、実施例2と同じLDPE 3の中央層並びに同じポリマーの外側接着剤層及び同じ層厚さでラミネート材料を共押出しした。
【0096】
均等な接着特性、並びに、予想より良好なもの、及び、実施例1のオートクレーブ重合によるLDPEの単一層を使用した参照ラミネートと均等なものを含めて有意に向上した押出し工程(低減したネックイン)を得た。更に、実施例1〜3のすべてにおいて、薄いラミネート層の厚さは、本発明によれば、20から16g/m2のラミネート材料合計に低減可能であり、これはコストの節約及び原料の形でのより良好な資源の経済性を伴っている。
【0097】
【表2】
【0098】
押出し速度200m/分での低減したネックイン効果に関して、実施例1〜3の結果をTable 3(表3)及び図8にはグラフの形に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
(実施例4)
実施例1は、ラミネート材料の両方の外側層13b及び13cの接着性ポリマーとしてPrimacor 3460(MFI 20g/10分)を使用したことを唯一の相違として反復した。中央層として従来のオートクレーブLDPE Novex 19N 730を使用した。3つの層は温度設定290〜290〜290℃で共押出しを行い、500m/分のウェブ速度でコーティングが可能であった。
【0101】
(実施例5及び6)
実施例3のように、しかし、別個の評価において、ラミネート材料としてのm-LLDPE及びHDPEと比較して調べた。唯一のラミネート材料としてのこれらのポリマーの押出しが過剰に大きいネックイン値の理由で不可能であった一方、小さな押出し速度においてさえ、外側接着剤層との共押出しはかなり向上した押出し工程を可能にし、紙のウェブ及びアルミニウム箔が満足な接着で互いにラミネート可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明による方法では、牛乳、ジュース、ワイン、及び、調理油等の酸素に敏感な液体食品のための包装容器のための包装用ラミネートが、不必要にエネルギー集約型の製造操作(押出し)を使用せずに、かつ、包装用ラミネートに許容可能な一体性の特性を付与するための環境に有害な化学物質を使用せずに製造される。
【符号の説明】
【0103】
10 包装用ラミネート
11 紙又は板紙の層
12 ガスバリアとして機能する層
13a 中央層
13b、13c 接着剤層
14、15 プラスチック層
200、202 保管リール
201、203、208 ウェブ
204、205、211、212、217、218 シリンダー
206 ラミネート材料
207、215 押出し機
209、210 ガイドロール
213、214 外側液密コーティング
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6
図7
図8