特許第6603138号(P6603138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603138
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】外構用電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20191028BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   H02J3/00
   H01F27/02
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-4247(P2016-4247)
(22)【出願日】2016年1月13日
(65)【公開番号】特開2017-127096(P2017-127096A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】今泉 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 郁
【審査官】 辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−039159(JP,A)
【文献】 実公昭47−001285(JP,Y1)
【文献】 特開平09−182289(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00620624(EP,A1)
【文献】 特表2015−513887(JP,A)
【文献】 特開平4−105308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H01F 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側商用電圧を36V以下の二次電圧に変換する変圧器を内蔵し、外構電気機器に給電するための外構用電源装置であって、
上面及び下面に開口部を備えるとともに側壁部に配線用の挿通孔を備えて箱枠状に形成され、地表面から凹設した収容穴に挿入配置される埋設枠部と、
上面に開口部を備えて箱状に形成され、内部に前記変圧器を収容する変圧器収容部と、
前記変圧器収容部の上面に着脱可能に取り付けられて前記変圧器収容部の内部を密閉し、前記変圧器収容部とともに本体箱を構成する変圧器収容蓋部とを備え、
地中に埋設設置して前記外構電気機器に給電するように構成され
前記変圧器が、前記変圧器収容部および前記埋設枠部の二重構造の内部に収容されていることを特徴とする外構用電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の外構用電源装置において、
前記変圧器収容蓋部の上方に着脱可能に重ねて配設される化粧蓋部を備えている外構用電源装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の外構用電源装置において、
前記埋設枠部に前記変圧器収容部が支持されて位置決めされた状態において、前記変圧器収容部の下面と、前記埋設枠部の下端部との間に所定の隙間が形成されている外構用電源装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の外構用電源装置において、
前記埋設枠部および前記変圧器収容部には、それぞれフランジ部が形成され、
前記埋設枠部の前記フランジ部に、前記変圧器収容部の前記フランジ部を係合させることで、前記埋設枠部に前記変圧器収容部が支持されて位置決め固定可能に構成されている外構用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次側商用電圧を外構電気機器用の36V以下にして外構電気機器に給電するための外構用電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の建物の外構には、門灯、表札灯、植栽灯、足元灯等の屋外照明装置、宅配ボックス、電気錠、ドアホン、電動ガレージ扉などの各種外構電気機器が設けられている。
【0003】
また、変圧器(トランス電源)を備えた外構用電源装置を用い、一次側商用電圧、例えば一般家庭用AC100Vを外構電気機器の仕様に対応した36V以下の例えばDC12Vに変換して給電するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−182289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記のような各種外構電気機器に対する電気工事は、例えば一般家庭用AC100V電源(一次側商用電圧)に電気配線を接続するため、電気工事士の資格者が専門担当して行っている。また、このとき、一般家庭用AC100V電源に壁掛けタイプの外構用電源装置を地上で配線接続し、外構用電源装置と複数の外構電気機器をそれぞれ配線接続して、各種外構電気機器の電源を確保するようにしている。
【0006】
一方、門灯、表札灯、植栽灯、足元灯等の屋外照明装置、宅配ボックス、電気錠、ドアホン、電動ガレージ扉などの36V以下、例えばDC12Vの各種外構電気機器が離れて遠方にある場合には、100V電源から外構用電源装置の配線を長くし、壁掛けタイプの外構用電源装置を外構電気機器側に近づけて設置することが必要になる。このため、壁掛けタイプの外構用電源装置によって外構における見栄えの悪化を招いたり、その設置位置の確保に困難が生じるケースがあった。
【0007】
さらに、外構用電源装置から複数の外構電気機器への配線接続を電気工事士が専門担当しているため、電気工事士による電気工事の作業工程に、例えば造園、屋外通路施工、門扉・ガレージ等の施工などの各種工事をそれぞれ行う施工業者の作業工程を合せる必要が生じ、工事の取り合いなどによる複雑化、ひいては工期の長期化を招くという不都合が生じていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、設置位置の自由度を高めるとともに電気工事士の資格者以外の作業者が外構電気機器への配線作業を行うことを可能にする外構用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0010】
本発明の外構用電源装置は、一次側商用電圧を36V以下の二次電圧に変換する変圧器を内蔵し、外構電気機器に給電するための外構用電源装置であって、上面及び下面に開口部を備えるとともに側壁部に配線用の挿通孔を備えて箱枠状に形成され、地表面から凹設した収容穴に挿入配置される埋設枠部と、上面に開口部を備えて箱状に形成され、内部に前記変圧器を収容する変圧器収容部と、前記変圧器収容部の上面に着脱可能に取り付けられて前記変圧器収容部の内部を密閉し、前記変圧器収容部とともに本体箱を構成する変圧器収容蓋部とを備え、地中に埋設設置して前記外構電気機器に給電するように構成され、前記変圧器が、前記変圧器収容部および前記埋設枠部の二重構造の内部に収容されていることを特徴とする。
【0011】
この発明においては、例えば、地盤を掘削するなどして地表面(基準面)から凹設した収容穴の底部に石材を敷き詰めなどし、この収容穴に埋設枠部を挿入して配設し、一般用電源に接続した変圧器を収容する変圧器収容部に変圧器収容蓋部を取り付けて、所望の強度、耐水性等を確保した本体箱を埋設枠部に挿入しつつ支持させて設置する。
【0012】
これにより、外構用電源装置を地中に埋設設置することができる。
また、変圧器収容部に変圧器収容蓋部を取り付け、所望の強度、耐水性等を確保する本体箱内に変圧器を収容するところまでを電気工事士が行い、変圧器から36V以下で各種外構電気機器に給電するための配線作業を電気工事士以外の作業者によって行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明の外構用電源装置においては、前記変圧器収容蓋部の上方に着脱可能に重ねて配設される化粧蓋部を備えていることが望ましい。
【0014】
この発明においては、変圧器収容蓋部(本体箱)の上方に着脱可能に重ねて化粧蓋部が配設されることにより、この交換可能な化粧蓋部によって地中に埋設設置される外構用電源装置の見栄えをよくすることができ、さらに景観の向上を図ることが可能になる。
【0015】
また、変圧器を収容する本体箱だけでなく、化粧蓋部を設けることによってさらなる絶縁性の向上を図ることが可能になる。
また、本発明の外構用電源装置においては、前記埋設枠部に前記変圧器収容部が支持されて位置決めされた状態において、前記変圧器収容部の下面と、前記埋設枠部の下端部との間に所定の隙間が形成されていてもよい。
さらに、本発明の外構用電源装置においては、前記埋設枠部および前記変圧器収容部には、それぞれフランジ部が形成され、前記埋設枠部の前記フランジ部に、前記変圧器収容部の前記フランジ部を係合させることで、前記埋設枠部に前記変圧器収容部が支持されて位置決め固定可能に構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の外構用電源装置においては、地中に埋設設置されるため、その設置位置の自由度を高めることができる。
【0017】
また、外構用電源装置、ひいては一般商用電源と変圧器を配線接続し、この変圧器を収容する変圧器収容部に変圧器収容蓋部を取り付けて、所定の強度を有する本体箱の耐水性を担保する部分まで電気工事士の資格者が行い、外構用電源装置から各種外構電気機器への配線作業を電気工事士以外の作業者によって行うことが可能になる。
【0018】
よって、本発明の外構用電源装置を用いることで、見栄えの悪化を防止することができるとともに、電気工事士による電気工事の作業工程に、造園、屋外通路施工、門扉・ガレージ等の施工などの各種工事の施工業者の作業工程を合せる必要がなくなり、従来のように工事の取り合いなどによる複雑化、工期の長期化を招くという不都合を解消することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る外構用電源装置を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る外構用電源装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る外構用電源装置を示す正面図である。
図4図3のX1−X1線矢視図である。
図5図3のX2−X2線矢視図である。
図6図3のX3−X3線矢視図である。
図7図3のX4−X4線矢視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る外構用電源装置を地中に設置した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1から図8を参照し、本発明の一実施形態に係る外構用電源装置について説明する。
【0021】
ここで、本実施形態は、例えば、AC100Vなどの一般商用電圧から、住宅などの建物の外構部に設けられる門灯、表札灯、植栽灯、足元灯等の屋外照明装置、宅配ボックス、電気錠、ドアホン、電動ガレージ扉などの36V以下(DC12Vなど)に変換して各種外構電気機器に給電するための外構用電源装置に関するものである。
【0022】
具体的に、本実施形態の外構用電源装置Aは、図1から図7に示すように、埋設枠部1と変圧器収容部2と変圧器収容蓋部3と化粧蓋部4とを備えて構成されている。
【0023】
埋設枠部1は、例えば樹脂製であり、上面に開口部を備えた箱枠状に形成されている。また、埋設枠部1は、上端部に、外側に突出するとともに突出方向先端側が上方に屈曲して周方向に繋がるフランジ部5を備えて形成されている。さらに、埋設枠部1は、側壁部に内面から外面に貫通する配線用の挿通孔6、アンカーボルト挿通用の挿通孔7がそれぞれ形成されている。また、側壁部には、外面から外側に突出し、フランジ部5から下端側に延びるリブ8が複数設けられている。
【0024】
そして、埋設枠部1は、図8に示すように、地盤Gを掘削するなどして地表面(基準面)から凹設した収容穴の底部に石材9を敷き詰めた後、収容穴に挿入して配設される。
なお、石材9は、排水(透水)機能や緩衝機能を持たせるためのものである。
【0025】
また、埋設枠部1の底面には、100V電源から埋設枠部内を通じて変圧器10の入力ポート10aに配線11を接続するための入力配線孔12と、変圧器10で12V等に変圧し、変圧器10の出力ポート10bに接続した配線13で埋設枠部1内を通じて外部の各種外構電気機器に給電するための出力配線孔14とが設けられている。
【0026】
変圧器収容部2は、例えば金属製であり、図1から図8に示すように、上面に開口部を備えた箱状に形成されている。また、変圧器収容部2は、上端部に、外側に突出するとともに突出方向先端側が上方に屈曲し周方向に繋がるフランジ部15を備えて形成されている。変圧器収容部2のフランジ部15は、埋設枠部1のフランジ部5の内側に配されて係合する大きさで形成されている。
【0027】
変圧器収容部2には、その内部に、底面から上方に突出する電源台座16が一体形成されており、この電源台座16上に変圧器(トランス電源)10が載置して固設されている。変圧器10は、一般家庭用のAC100V電源などの一般商用電源に接続する配線11、各種外構電気機器に接続する配線13が接続されている。なお、これら配線11、13の接続ポート(入力ポート10a、出力ポート10b)が変圧器収容部2に形成保持されていてもよい。
【0028】
このように構成した変圧器収容部2は、各配線11、13を埋設枠部1の側壁部に形成された配線用の挿通孔6や底面の配線孔12、14に挿通させるなどして埋設枠部1内に挿入、挿出し、埋設枠部1と互いのフランジ部5、15同士を係合させて配設される。
【0029】
このとき、埋設枠部1とフランジ部5、15を係合させることで、埋設枠部1に変圧器収容部2が支持されて位置決め固定される。また、変圧器収容部2を埋設枠部1に挿入支持させた状態で、変圧器収容部2の下面と、埋設枠部1の下端部、さらに石材9との上下の間に所定の隙間ができるように構成されている。
【0030】
変圧器収容蓋部3は、例えば金属製であり、略平板状に形成されている。変圧器収容蓋部3は、変圧器収容部2のフランジ部15に係合させて変圧器収容部2の上面の開口部を閉塞させるように配設される。また、変圧器収容部2のフランジ部15にビス止めして固定される。変圧器収容蓋部3を固定して配設することにより、変圧器10を収容した変圧器収容部2の内部が密閉され、水が侵入することのない所望の耐水性が確保(担保)される。
【0031】
化粧蓋部4は、例えば樹脂製であり、変圧器収容蓋部3の上方に着脱可能に重ねて配設される。これにより、地表面に上面を露出させた状態で外構用電源装置Aを地中に埋設した際の見栄えを化粧蓋部4によってよくすることができる。また、樹脂製の化粧蓋部4を用いることにより、絶縁性を確保することができる。さらに、化粧蓋部4は容易に交換でき、メンテナンス性をよくすることができる。
【0032】
上記構成からなる本実施形態の外構用電源装置Aにおいては、地盤を掘削するなどして形成した収容穴に石材9を敷き詰め、埋設枠部1を挿入して配置する。
このとき、埋設枠部1のアンカーボルト挿通孔7にアンカーボルト(ボルト/ナット:固定手段)17を取り付ける。これにより、埋設枠部1ひいては外構用電源装置Aが地盤G内に配置された状態で確実強固に保持できる。
【0033】
次に、変圧器10を収容した変圧器収容部2に変圧器収容蓋部3を取り付け、変圧器収容部2と変圧器収容蓋部3からなる本体箱20内に変圧器10を密閉して収容し、所望の強度、耐水性等を確保した状態の本体箱20を埋設枠部1に挿入して支持させ、所定位置に配設する。さらに、本体箱20の上面に化粧蓋部4を設置する。
これにより、外構用電源装置Aひいては変圧器10を地中に埋設して設置することができる。
【0034】
また、本実施形態の外構用電源装置Aにおいては、変圧器収容部2に変圧器収容蓋部3を取り付け、所望の強度、耐水性等を確保する本体箱20内に変圧器10を収容するところまでを電気工事士が行い、変圧器10から36V以下で各種外構電気機器に給電するための配線作業を電気工事士以外の作業者によって行うことが可能になる。
【0035】
さらに、変圧器収容蓋部3(本体箱20)の上方に着脱可能に重ねて化粧蓋部4が配設されることにより、この交換可能な化粧蓋部4によって地中に埋設設置される外構用電源装置Aの見栄えをよくすることができ、さらに景観の向上を図ることが可能になる。
【0036】
また、変圧器10を収容する本体箱20だけでなく、化粧蓋部4を設けることによってさらなる絶縁性の向上を図ることが可能になる。
【0037】
よって、本実施形態の外構用電源装置Aにおいては、地中に埋設設置されるため、その設置位置の自由度を高めることができる。
【0038】
また、外構用電源装置A、ひいては一般商用電源と変圧器10を配線接続し、この変圧器10を収容する変圧器収容部2に変圧器収容蓋部3を取り付けて、所定の強度を有する本体箱20の耐水性を担保する部分まで電気工事士の資格者が行い、外構用電源装置Aから各種外構電気機器への配線作業を電気工事士以外の作業者によって行うことが可能になる。
【0039】
そして、本実施形態の外構用電源装置Aを用いることで、見栄えの悪化を防止することができるとともに、電気工事士による電気工事の作業工程に、造園、屋外通路施工、門扉・ガレージ等の施工などの各種工事を行う施工業者の作業工程を合せる必要がなくなり、従来のように工事の取り合いなどによる複雑化、工期の長期化を招くという不都合を解消することが可能になる。
【0040】
以上、本発明に係る外構用電源装置の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 埋設枠部
2 変圧器収容部
3 変圧器収容蓋部
4 化粧蓋部
5 フランジ部
6 挿通孔
7 挿通孔
8 リブ
9 砕石
10 変圧器(トランス電源)
10a 入力ポート
11 配線
12 配線孔
13 配線
14 配線孔
15 フランジ部
16 電源台座
17 アンカーボルト
20 本体箱
A 外構用電源装置
G 地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8