特許第6603141号(P6603141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603141
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】消火用具
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/10 20060101AFI20191028BHJP
   E06B 1/04 20060101ALI20191028BHJP
   A47H 13/02 20060101ALI20191028BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   A62C35/10
   E06B1/04 J
   A47H13/02
   E06B5/16
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-8013(P2016-8013)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-127425(P2017-127425A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(72)【発明者】
【氏名】沖野 洋平
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−042920(JP,U)
【文献】 実開昭57−057792(JP,U)
【文献】 実開昭55−047846(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3170412(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3157426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00,
A47H 1/00−99/00,
E06B 1/04−1/52,5/00−5/20,
7/28−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン取り付けられる消火用具であって、
消火剤を収容する複数の収容部と、
前記カーテンに複数の前記収容部を取り付けるための取付け部と、
を備え、
前記収容部は、火熱によって溶融して前記消火剤を流出させる溶融部を有する、
消火用具。
【請求項2】
カーテンに取り付けられる消火用具であって、
中空リング状に形成され消火剤を収容する収容部を備え、
前記収容部は、火熱によって溶融して前記消火剤を流出させる溶融部を有し、
前記消火用具は、前記カーテンをカーテンレールに吊り下げるための吊り下げ部材である、
消火用具。
【請求項3】
前記収容部の母材は、火熱によって溶融可能な熱溶融性樹脂であり、
前記溶融部は、前記収容部が前記火熱によって溶融する部分である、
請求項1又は2に記載の消火用具。
【請求項4】
前記収容部は、前記消火剤が通過可能な孔を有し、
前記溶融部は、前記孔を封止している、
請求項1又は2に記載の消火用具。
【請求項5】
前記消火剤は、主成分である液体に炭酸が含まれている、
請求項1からのいずれか1項に記載の消火用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用具、及びカーテンレールに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物内では、キッチンのコンロや床に設けられたストーブ等の火元から火が発生することがある。そして、発生した火は、窓に設置されたカーテンに燃え移った後に、天井に達して、部屋全体が延焼することがある。
【0003】
ところで、火災初期の消火用具として、下記の特許文献1には、出火した調理器具の上部に覆い被せて消火する消火カーテンが開示されている。この消火カーテンは、モダクリル繊維を耐熱性繊維又は不燃性繊維と混紡等して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−132520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の消火カーテンは、特殊な素材から成るため、一般的なカーテンに比べて高価となる。また、使用可能な繊維が限られるため、カーテンのバリエーションを制限することになる。さらに、火災初期が過ぎると、火が大きくなって消火カーテンに燃え移ってしまう恐れがあり、かかる場合には、カーテンに燃え移った火を消火できず、火が天井に達してしまう。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、カーテンに燃え移った火が天井に達して延焼することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、カーテンが吊り下げられるカーテンレール又は前記カーテンに取り付けられる消火用具であって、消火剤を収容する収容部を備え、前記収容部は、火熱によって溶融して前記消火剤を流出させる溶融部を有する、消火用具を提供する。
【0008】
また、前記収容部の母材は、火熱によって溶融可能な熱溶融性樹脂であり、前記溶融部は、前記収容部が前記火熱によって溶融する部分であることとしてもよい。
【0009】
また、前記収容部は、前記消火剤が通過可能な孔を有し、前記溶融部は、前記孔を封止していることとしてもよい。
【0010】
また、前記消火剤は、主成分である液体に炭酸が含まれていることとしてもよい。
また、前記収容部は、長尺筒状に形成されていることとしてもよい。
【0011】
また、前記収容部の側面に沿って設けられ、前記消火用具は、前記カーテンレールに前記収容部を取り付けるための取付け部を更に備えることとしてもよい。
【0012】
また、前記収容部は、袋状に形成されており、前記消火用具は、前記収容部の端部に設けられ、前記カーテンレールの前記カーテンを吊り下げるレールフックに前記収容部を吊り下げるための吊り下げ部を更に備えることとしてもよい。
【0013】
また、前記収容部は、中空リング状に形成されており、前記消火用具は、前記カーテンを前記カーテンレールに吊り下げるための吊り下げ部材であることとしてもよい。
【0014】
また、前記収容部が複数設けられており、前記消火用具は、前記カーテンに複数の前記収容部を取り付けるための取付け部を更に備えることとしてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、カーテンを吊り下げるための中空のレール部と、前記レール部内に設けられ、消火剤を収容する収容部と、を備え、前記収容部は、火熱によって溶融して前記消火剤を流出させる溶融部を有する、カーテンレールを提供する。
【0016】
また、長尺筒状の前記収容部は、前記レール部の長手方向に沿って設けられ、前記レール部の下側には、前記収容部から流出した消火剤が通過可能な孔が長手方向に沿って複数設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カーテンに燃え移った火が天井に達して延焼することを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施形態に係る消火用具30の構成を説明するための模式図である。
図3】消火用具30の断面構成を示す模式図である。
図4】変形例に係る消火用具40の構成を説明するための模式図である。
図5】第2の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。
図6】第2の実施形態に係る消火用具130が取り付けられたカーテンレール120を示す模式図である。
図7】第3の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す図である。
図8】第3の実施形態に係る消火用具230の構成を示す模式図である。
図9】第4の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。
図10】第4の実施形態に係る吊り下げ具330の構成を示す模式図である。
図11】第5の実施形態に係る消火装置1の概略構成の一部を示す図である。
図12】第5の実施形態に係る消火用具430の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
(消火装置の構成)
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る消火装置1の構成について説明する。
【0020】
図1は、第1の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。消火装置1は、住宅等の建物の中に設けられている。消火装置1は、部屋内のストーブ等の火元から発生した火が、カーテンを伝わって天井へ延焼することを防止するための設備である。消火装置1は、図1に示すように、カーテン10と、カーテンレール20と、消火用具30とを有する。
【0021】
カーテン10は、建物の窓から見て室内側に設けられている。カーテン10は、室内に太陽光が直接差し込まないように、また他人が屋外から室内を容易に覗くことができないように、遮光性を有する素材で形成されている。例えば、カーテン10は、ポリエステル、綿、アクリル、レーヨン等の素材から成る。なお、カーテン10は、難燃性を有する素材を含んでもよい。
【0022】
カーテンレール20は、建物の天井の近くに設けられ、カーテン10を吊り下げるレール部材である。カーテンレール20は、フック等の吊り下げ具21を介して、カーテン10を開閉自在に吊り下げている。カーテンレール20は、取付け金具(図2に示す取付け金具22)によって、窓の上方の壁に固定されている。
【0023】
消火用具30は、カーテンレール20の上部に取り付けられている。消火用具30は、内部に収容する消火剤によって、火元からカーテン10へ燃え移った火を消火する。これにより、カーテン10から天井へ火災が延焼することを防止できる。消火用具30は、カーテンレール20の上部に着脱可能に装着されている。これにより、消火用具30をカーテンレール20に容易に取り付けることが可能である。
【0024】
(消火用具の詳細構成)
図2及び図3を参照しながら、消火用具30の詳細構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る消火用具30の構成を説明するための模式図である。図3は、消火用具30の断面構成を示す模式図である。
【0025】
消火用具30は、図2に示すように、長尺筒状に形成されている。消火用具30は、カーテンレール20に取付けリング25を介して取り付けられている。消火用具30には、消火剤が密封されている。消火用具30は、収容部31と、封止部32と、延出部33とを有する。
【0026】
収容部31は、内部に消火剤を収容する。収容部31は樹脂製であり、例えば、収容部31の母材は、カーテン10に燃え移った火の熱(以下、火熱とも呼ぶ)によって溶融可能な熱溶融性樹脂である。熱溶融性樹脂は、ここでは融点が約120℃〜140℃であるポリエチレンであるが、これに限定されず、例えば融点が90℃以上の他の樹脂であってもよい。
【0027】
収容部31は、例えば、火の熱によって軟化し、融点に達すると溶融する。収容部31においては、火に触れる部分が、熱によって溶融する溶融部となる。収容部31が溶融した際には、収容部31の溶融部が裂けて、内部の消火剤をカーテン10に向かって流出させる。これにより、カーテン10に燃え移った火が、消火剤によって消火されるので、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。
【0028】
収容部31は、薄い筒袋状(別言すればチューブ状)に形成されている。これにより、火の熱によって収容部31が裂け易くなり、消火剤による消火が円滑に行われる。収容部31の断面形状は、例えば図3に示すように楕円形状である。ただし、これに限定されず、収容部31の断面形状は、矩形状であってもよい。
【0029】
ここで、消火剤は、液体状であり、主成分である液体(水等)に炭酸が含まれている。具体的には、主成分の液体に炭酸を溶かし込んだものである。かかる場合には、炭酸によって消火剤中に生成される泡が収容部31に付着することで、火の熱によって泡が付着した部分が裂け易くなるので、消火剤によって早期に火を消火できる。
ただし、消火剤は液体に限定されない。例えば、消火剤は、粉体であってもよく、具体的には、炭酸水素塩類やリン酸塩類を主成分とする粉末消火剤であってもよい。
【0030】
封止部32は、消火剤を収容部31内に密封するために、収容部31を封止する部分である。封止部32は、消火用具30の長手方向の両端に設けられている。封止部32は、例えば、接着剤やテープ等で収容部31を封止している。
【0031】
延出部33は、収容部31の側面から延出した部分である。延出部33は、収容部31の側面に沿って複数設けられている。延出部33には、取付けリング25を引っ掛ける引っ掛け孔33aが形成されている。かかる場合には、延出部33が消火用具30をカーテンレール20に取り付ける取付け部として機能することで、消火用具30をカーテンレール20に設置しやすくなる。また、消火用具30をカーテンレール20に着脱可能に装着できるので、利便性が向上する。
【0032】
(変形例)
上記では、樹脂製の収容部31が溶融することとしたが、これに限定されず、例えば図4に示すような構成であってもよい。
図4は、変形例に係る消火用具40の構成を説明するための模式図である。長尺状の消火用具40は、収容部41と、封止部42とを有する。
【0033】
収容部41は、樹脂製の収容部31とは異なり、金属製のチューブである。収容部41は、内部に消火剤を収容している。収容部41の断面形状は、図4に示すように、円形状である。収容部41は、ここでは溶融し難い金属材料から成る。収容部41の下部には、消火剤が通過可能な貫通孔41aが、収容部41の長手方向に沿って所定間隔で設けられている。収容部41には、貫通孔41aから消火剤が充填される。
【0034】
封止部42は、複数の貫通孔41aをそれぞれ封止するように設けられている。封止部42は、熱によって溶融する金属製の材料から成る。すなわち、封止部42は、封止機能に加えて、火の熱によって溶融する溶融部の機能も有する。かかる場合には、カーテン10に燃え移った火の熱によって封止部42が溶融することで、貫通孔41aが開放される。これにより、消火剤が、貫通孔41aを通過してカーテン10に至り、カーテン10の火を消火する。
【0035】
(第1の実施形態における効果)
上述した第1の実施形態によれば、カーテン10を吊り下げるカーテンレール20に取り付けられた消火用具30において、消火剤を収容する収容部31が、カーテン10に燃え移った火の熱によって溶融する。そして、溶融した収容部31が裂けて、収容部31に収容されていた消火剤が流れ出る。
【0036】
かかる場合には、流れ出た消火剤が、下方に位置するカーテン10に達して、カーテン10の火を消火する。これにより、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。また、収容部31がカーテン10の火の熱によって溶融して裂けるので、使用者がカーテン10の近くで消火用具30を使用しなくても、カーテン10の火を消火できる。
また、火を完全に消火できなくても、消火剤によってカーテン10の火が燃え難くなるので、延焼の速度を遅くすることができる。これにより、消火活動を行う時間を確保できる。さらに、カーテン10の下方にストーブ等の火元がある場合には、消火剤がカーテン10に沿って流れて火元に達することで、火災の火源を消火することが可能となる。これにより、天井が延焼することを効果的に防止できる。
【0037】
<第2の実施形態>
図5及び図6を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る消火装置1の構成について説明する。
【0038】
図5は、第2の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。第2の実施形態に係る消火装置1も、カーテン10に燃え移った火が天井へ延焼することを防止するための設備である。消火装置1は、図5に示すように、カーテン10と、カーテンレール120とを有する。
【0039】
カーテン10は、第1の実施形態のカーテン10と同様な構成であるので、詳細な説明を省略する。カーテンレール120は、リング状の吊り下げ具121を介して、カーテン10を開閉可能に吊り下げるレール部材である。カーテンレール120は、取付け金具122によって、部屋の壁に固定されている。
【0040】
第1の実施形態では、図1に示すように消火用具30がカーテンレール20の上部に固定されているのに対して、第2の実施形態では、図6に示すように、消火用具130が、カーテンレール120の内部に取り付けられている。
【0041】
図6は、第2の実施形態に係る消火用具130が取り付けられたカーテンレール120を示す模式図である。カーテンレール120は、図6に示すように、円筒状の本体部120aを有する。本体部120aの内部には、消火用具130が装着可能な空間が形成されている。消火用具130は、本体部120aの側面の開口120bから挿入可能となっている。
【0042】
カーテンレール120の下部には、長手方向に沿って複数の貫通孔120cが形成されている。複数の貫通孔120cは、図6に示すように長手方向に沿って千鳥状に配置されている。ただし、これに限定されず、複数の貫通孔120cは、長手方向に沿って一直線に配置されていてもよい。また、貫通孔120cは、円形状の孔に限定されず、例えばスリット状の孔であってもよい。
【0043】
消火用具130は、カーテンレール120の長手方向のほぼ全長に亘って配置されている。消火用具130は、第1の実施形態の消火用具30と同様に、筒状の収容部131に消火剤を収容している。収容部131の母材が熱溶融性樹脂であるため、収容部131は、カーテン10に燃え移った火の熱によって、溶融する。これにより、収容部131が裂けて、内部の消火剤が流れ出る。流れ出た消火剤は、カーテンレール120の貫通孔120cを通過して、カーテン10に至り火を消火する。
【0044】
なお、上記では、収容部131が樹脂製であることとしたが、これに限定されない。例えば、収容部131は、図4に示す変形例と同様に、金属製であってもよい。かかる場合には、収容部131の貫通孔を封止すると共に火の熱によって溶融する封止部を設けることが望ましい。
【0045】
上述した第2の実施形態においても、カーテンレール120の内部に取り付けられた消火用具130の収容部131が、カーテン10の火の熱によって溶融して裂けることで、内部の消火剤がカーテン10に流れて火を消火できる。この結果、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。
【0046】
<第3の実施形態>
図7及び図8を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る消火装置1の構成について説明する。
【0047】
図7は、第3の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す図である。図7に示すように、消火装置1は、カーテン10と、カーテンレール220と、レールフック222と、消火用具230とを有する。
【0048】
第1の実施形態の消火用具30は筒状に形成されているが、第3の実施形態の消火用具230は、袋状に形成されている。消火用具230は、カーテン10をカーテンレール220に吊り下げるレールフック222に吊り下げられている。レールフック222は、カーテンレール220の長手方向に複数設けられており、消火用具230は、複数のレールフック222の各々に吊り下げられている。複数の消火用具230は、それぞれ同様な構成をしている。
【0049】
図8は、第3の実施形態に係る消火用具230の構成を示す模式図である。図8に示すように、消火用具230は、収容部231と、封止部232と、延出部233とを有する。
【0050】
収容部231は、袋状に形成されており、内部に液体又は粉体の消火剤を収容する。収容部231は、第1の実施形態と同様に、カーテン10に燃え移った火の熱によって溶融可能な熱溶融性樹脂製である。このため、収容部231が溶融した際には、収容部231が裂けて、内部の消火剤がカーテン10へ向かって流れ出る。これにより、カーテン10に燃え移った火が、消火剤によって消火される。
【0051】
封止部232は、収容部231の上下に設けられており、収容部231を封止する。これにより、消火剤が収容部231内に密封される。封止部232は、例えば、接着剤やテープ等で収容部231を封止している。
【0052】
延出部233は、収容部231の上方端部から延出するように設けられている。延出部233には、消火用具230をレールフック222(図7)に引っ掛けるための引っ掛け孔233aが形成されている。かかる場合には、延出部233がレールフック222に消火用具230を吊り下げる吊り下げ部として機能することで、消火用具230をレールフック222に容易に着脱可能に装着できる。
【0053】
上述した第3の実施形態によれば、レールフック222に取り付けられた消火用具230の収容部231が、カーテン10の火の熱によって溶融して裂けることで、内部の消火剤がカーテン10に達して火を消火できる。この結果、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。
【0054】
<第4の実施形態>
図9及び図10を参照しながら、本発明の第4の実施形態に係る消火装置1の構成について説明する。
【0055】
図9は、第4の実施形態に係る消火装置1の概略構成を示す斜視図である。図9に示すように、消火装置1は、カーテン10と、カーテンレール320と、吊り下げ具330とを有する。
【0056】
カーテン10は、吊り下げ部材である吊り下げ具330によって、カーテンレール320に吊り下げられている。第4の実施形態では、吊り下げ具330が、内部に収容する消火剤によってカーテン10に燃え移った火を消火する消火用具としても機能する。図9に示す複数の吊り下げ具330は、それぞれ同様な構成をしている。
【0057】
図10は、第4の実施形態に係る吊り下げ具330の構成を示す模式図である。図10(a)には吊り下げ具330の正面図が示され、図10(b)には図10(a)のA−A断面図が示されている。吊り下げ具330は、リング部331と、フック部332とを有する。
【0058】
リング部331は、中空輪状に形成されている。リング部331の中央は、カーテンレール320に取り付けられるように開口になっている。リング部331は、内部に液体又は粉体の消火剤を収容する収容部である。リング部331は、第1の実施形態と同様に、カーテン10に燃え移った火の熱によって溶融可能な熱溶融性樹脂製である。リング部331は、ここでは融点が約150℃であるポリカーボネイトであるが、これに限定されず、他の樹脂であってもよい。リング部331が溶融した際には、リング部331が裂けて、内部の消火剤がカーテン10へ向かって流れ出る。これにより、カーテン10に燃え移った火が、消火剤によって消火される。
【0059】
なお、リング部331が溶融して裂けた場合には、リング部331がカーテンレール320(図9)から外れることで、火が燃え移ったカーテン10が床に落下することになる。かかる場合には、カーテン10が天井から離れるので、カーテン10の火が天井に達して延焼することをより有効に防止できる。
【0060】
フック部332は、リング部331の外周面から下部へ延出した部分である。フック部332には、吊り下げ具330にカーテン10を引っ掛けるための引っ掛け孔332aが形成されている。
【0061】
上述した第4の実施形態においても、カーテン10を吊り下げる吊り下げ具330のリング部331が、カーテン10の火の熱によって溶融して裂けることで、内部の消火剤がカーテン10に達して火を消火できる。この結果、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。
【0062】
<第5の実施形態>
図11及び図12を参照しながら、本発明の第5の実施形態に係る消火装置1の構成について説明する。
【0063】
図11は、第5の実施形態に係る消火装置1の概略構成の一部を示す図である。第5の実施形態では、消火用具430が、カーテン10に取り付けられている。具体的には、複数の消火用具430が、カーテン10の下方の裾を折り曲げた折り曲げ部11に、吊り下げフック440によって取り付けられている。これにより、簡易な構成で、消火用具430をカーテン10に取り付けることができる。また、消火用具430は、美感が損なわれることを防止する観点から、カーテン10の裏側(窓側)に取り付けられている。
【0064】
図12は、第5の実施形態に係る消火用具430の構成を示す模式図である。図12(a)には消火用具430の正面図が示され、図12(b)には図12(a)のB−B断面図が示されている。消火用具430は、第1の実施形態と同様に溶融性樹脂製である。消火用具430は、基部431と、収容部432とを有する。
【0065】
基部431は、矩形状に形成されている。基部431には、吊り下げフック440(図11)を引っ掛けるための引っ掛け孔431aが形成されている。かかる場合には、引っ掛け孔431aが、消火用具430をカーテン10に取り付ける取付け部の機能を有することになる。図12では、引っ掛け孔431aが2つ形成されているが、これに限定されず、例えば引っ掛け孔431aが1つでもよい。
【0066】
収容部432は、図12(b)に示すように、基部431の両面から突出するように形成されており、内部に液体又は粉体の消火剤を収容する。収容部432は、熱溶融性樹脂であるため、カーテン10に燃え移った火の熱によって溶融して裂ける。これにより、収容部432の内部の消火剤が、流れ出て、カーテン10の火を消火する。
【0067】
なお、上記では、消火用具430が、カーテン10の下部に取り付けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、消火用具430は、カーテン10の高さ方向における中間部分に取り付けられていてもよい。ただし、カーテン10の下部に消火用具430が取り付けられていることで、カーテン10の火を早期に消火できる。
【0068】
上述した第5の実施形態においても、カーテン10に取り付けられた消火用具430の収容部432が、カーテン10の火の熱によって溶融して裂けることで、内部の消火剤がカーテン10に達して火を消火できる。この結果、カーテン10の火が天井に達して延焼することを防止できる。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0070】
1 消火装置
10 カーテン
20 カーテンレール
30 消火用具
31 収容部
33 延出部
40 消火用具
41a 貫通孔
42 封止部
図1
図2
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図5
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図10
図11
図12