【文献】
株式会社タイカ,αGEL製品(衝撃吸収/ゲルシート(θゲル)),インターネット,製品詳細・技術データ,URL,http://taica.co.jp/gel/product/shock_absorption/theta_sheet/html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(表示装置)
2.変形例(表示装置)
3.適用例(電子機器)
【0012】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置100の断面構成の一例を表したものである。表示装置100は、光出射面110Aを有する表示パネル110と、表示パネル110の光出射面110Aに設けられた保護シート120とを備えている。表示パネル110は、光出射面110Aの直下に2次元配置された複数の表示画素を有しており、各表示画素から出射された光によって画像光Lを生成する。表示パネル110の外縁部分には、複数の表示画素を駆動するドライバが実装されている。表示装置100は、表示パネル110を制御するコントローラを備えており、コントローラからの制御信号に基づいて表示パネル110を制御する。
【0013】
(表示パネル110)
表示パネル110は、コントローラからの制御信号に基づいて、画像光Lを生成し、生成した画像光Lを、光出射面110Aを介して外部に出射する。表示パネル110は、例えば、有機ELパネル、または、液晶パネルである。なお、表示パネル110は、有機ELパネルや液晶パネルに限定されるものではなく、他の方式の表示パネルであってもよい。
【0014】
図2は、表示パネル110の断面構成の一例を表したものである。
図2に記載の表示パネル110は、トップエミッション型の有機ELパネルである。表示パネル110は、例えば、
図2に示したように、素子形成基板111、TFT層112、有機層113および封止基板114を有している。素子形成基板111、TFT層112、有機層113および封止基板114は、光出射面110Aに向かってこの順に配置されている。例えば、封止基板114の表面が光出射面110Aとなっている。素子形成基板111は、TFT層112や有機層113を形成する際に用いられた基板であり、例えば、ガラス基板、または、プラスチック基板で構成されている。
【0015】
ガラス基板としては、例えば、高歪点ガラス、ソーダ石灰ガラス(Na
2O・CaO・SiO
2)、硼珪酸ガラス(Na
2O・B
2O
2・SiO
2)、フォルステライト(2MgO・SiO
2)および鉛ガラス(Na
2O・PbO・SiO
2)などが挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)あるいはトリアセチルセルロース(TAC)などの有機ポリマーによって構成された基板が挙げられる。なお、プラスチック基板は、可撓性を有するフィルム状あるいはシート状の基板であってもよい。
【0016】
有機層113は、例えば、表示画素ごとに1つずつ設けられた複数の有機EL素子を含む層である。各有機EL素子から発せられる光によって画像光Lが形成される。TFT層112は、例えば、表示画素ごとに1つずつ設けられた複数の画素回路を含む層である。各画素回路は、対応する表示画素に含まれる有機EL素子に流れる電流を制御する。封止基板114は、有機層113内の複数の有機EL素子を封止するものであり、必要に応じて、カラーフィルターやブラックマトリクスなどを含んで構成されている。封止基板114は、素子形成基板111と同一の材料で構成された基板を含んでいてもよい。封止基板114が、偏光板で構成されていてもよい。封止基板114が、低リタデーションフィルムと、偏光板とを互いに重ね合わせたもので構成されていてもよい。表示パネル110において、封止基板114が省略されていてもよい。
【0017】
図3は、表示パネル110の断面構成の一例を表したものである。
図3に記載の表示パネル110は、ボトムエミッション型の有機ELパネルである。表示パネル110は、例えば、
図3に示したように、素子形成基板111、TFT層112、有機層113および封止基板114を有している。素子形成基板111、TFT層112、有機層113および封止基板114は、光出射面110A側からこの順に配置されている。例えば、素子形成基板111の表面が光出射面110Aとなっている。
【0018】
図2または
図3の表示パネル110において、素子形成基板111および封止基板114は、フレキシブルなプラスチック基板で構成されていてもよい。この場合、表示パネル110は、フレキシブルな有機ELパネルとなる。
【0019】
図4は、表示パネル110の断面構成の一例を表したものである。
図4に記載の表示パネル110は、液晶パネルである。表示パネル110は、例えば、
図4に示したように、バックライト115、偏光板116、液晶層117および偏光板118を有している。バックライト115、偏光板116、液晶層117および偏光板118が、光出射面110Aに向かってこの順に配置されている。例えば、偏光板118の表面が光出射面110Aとなっている。バックライト115は、偏光板116、液晶層117および偏光板118からなる光変調部に対して、偏光板116側から面発光光を供給する。偏光板116および偏光板118の各透過軸は、液晶層117の駆動モード等に応じた設定となっており、例えば、クロスニコルの関係となるように設定されている。液晶層117は、印加電圧に応じて、液晶層117を透過する光の透過率を制御する。液晶層117は、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically controlled birefringence)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、またはIPS(In Plane Switching)モード等により表示駆動される液晶を含む。
【0020】
(保護シート120)
保護シート120は、表示パネル110の光出射面110Aを保護するものである。保護シート120は、さらに、画像光Lに対して光透過性を有するフレキシブルなシートで構成されている。保護シート120は、例えば、
図1に示したように、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123を有している。衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123は、表示パネル110の光出射面110A側からこの順に配置されている。衝撃吸収層121が、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123の中で最も光出射面110A寄りに配置されている。衝撃分散層123が、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123の中で最も光出射面110Aから離れて配置されている。歪み緩和層122は、衝撃吸収層121と衝撃分散層123との間に配置されている。
【0021】
(衝撃分散層123)
衝撃分散層123は、外部から加わった衝撃を一点に集中させないように分散させる機能と、引っ掻き等によって表面にキズが付くことを防止する機能とを持つ。衝撃分散層123は、鉛筆硬度3H以上の硬度を持った樹脂フィルムによって構成されている。衝撃分散層123の硬度の上限は、特に限定されない。衝撃分散層123は、例えば、鉛筆硬度10H以下の硬度を持った樹脂フィルムによって構成されている。樹脂フィルムの硬度を高めるためには、フィルム基材表面にハードコート材料を塗布または蒸着することが一般に行われる。しかし、フィルム基材の片面にハードコート処理した場合には、フィルム基材に反りが発生しやすく、貼合プロセスが困難になりやすい。また、フィルム基材の片面にハードコート処理されたもの(以下、「片面HC(Hard Coat)処理フィルム」と称する。)を貼合した場合には、貼合した樹脂フィルムが残留応力により割れたり、反ったりしてしまうことがある。そこで、衝撃分散層123は、ハードコート材料を固めてフィルム状にしたもの(以下、「HC(Hard Coat)フィルム」と称する。)、または、フィルム基材の両面にハードコート処理されたフィルム(以下、「両面HC処理フィルム」と称する。)によって構成されていることが好ましい。
【0022】
HCフィルムおよび両面HC処理フィルムでは、反りの発生が少なく、所望の鉛筆硬度やヤング率、厚みを実現することができる。そのため、HCフィルムおよび両面HC処理フィルムは、衝撃分散層123として適している。
【0023】
衝撃分散層123において、曲げに強い材料が選択された場合には、落球試験の衝撃耐性が向上する。
図5は、4種類のHCフィルム(片面HC処理フィルム、両面HC処理フィルム、HCフィルム)の曲げ破壊ひずみと落球試験の破壊高さの実験結果を表したものである。
図5から、曲げ破壊ひずみの高いフィルムは、落球試験による破壊限界高さも高い傾向にあることがわかる。衝撃分散層123の割れを抑制する観点からは、衝撃分散層123は、曲げ破壊ひずみが4%以上のHCフィルム、または、曲げ破壊ひずみが4%以上の両面HC処理フィルムによって構成されていることが好ましい。
【0024】
(衝撃吸収層121)
衝撃吸収層121は、衝撃分散層123が衝撃を受けた際に、当該衝撃吸収層121が衝撃分散層123に生じた湾曲に応じた変形をすることにより、外部からの衝撃を吸収する機能(衝撃吸収機能)を持つ。衝撃吸収層121は、サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の樹脂層である。衝撃吸収層121を構成するゲル状の樹脂層では、アスカーC硬度が30以上80以下となっていることが好ましい。アスカーC硬度が30よりも小さい場合、衝撃吸収層121が衝撃により潰れてしまい、衝撃を十分吸収できなくなる可能性がある。また、アスカーC硬度が80よりも大きい場合、衝撃が加わった際のゲルの変形が小さく、衝撃を十分吸収できなくなる可能性がある。本実施の形態では、衝撃分散層123が設けられているので、衝撃吸収層121の厚さは、衝撃分散層123が設けられていない場合に衝撃吸収層121として必要とされる厚さ(例えば、2mm程度)よりも薄くなっている。
【0025】
衝撃吸収層121は、ゲル状接着層であってもよい。このとき、衝撃吸収層121は、保護シート120を光出射面110Aに直接もしくは間接的に貼合する機能(貼合機能)を有している。衝撃吸収層121がゲル状接着層である場合、衝撃吸収層121は、例えば、アクリル系のゲル状接着剤で構成されている。ゲル状接着剤としては、シリコ
ーンゲルなども候補に挙げることが可能ではある。しかし、シリコ
ーンゲルでは、油の染み出しが発生する可能性あり、ディスプレイの信頼性を低下させるおそれがある。
【0026】
(歪み緩和層122)
歪み緩和層122は、荷重に対する衝撃分散層123の割れ耐性を高めるためのものである。衝撃分散層123に曲げ耐性の高い部材が使用された場合であっても、その下層に非常に柔らかい衝撃吸収層121があるときには、荷重によって衝撃分散層123が大きくたわみ、曲げ破壊ひずみを超えて割れてしまう可能性がある。そこで、本実施の形態では、荷重に対する衝撃分散層123の割れ耐性を高めるために、衝撃分散層123と衝撃吸収層121の間に歪み緩和層122が挿入されている。
【0027】
歪み緩和層122は、衝撃分散層123よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い樹脂フィルムによって構成されている。そのような樹脂フィルムとしては、例えば、PETフィルムが挙げられる。
【0028】
図6は、歪み緩和層122が設けられている場合と、設けられていない場合とにおいて、保護シート120の表面からの荷重によって各層の歪みがどのように分布するかを応力シミュレーションで求めた結果を表したものである。
図6から、歪み緩和層122が設けられていることにより、衝撃分散層123の歪みが緩和され、衝撃分散層123が割れにくくなっていることがわかる。
【0029】
以下に、衝撃分散層123と歪み緩和層122との組み合わせの例を挙げる。
衝撃分散層123 歪み緩和層122
1. 有機/無機ハイブリッドHCフィルム PET
2. 有機/無機ハイブリッドHCフィルム TAC
3. 有機/無機ハイブリッドHCフィルム PI
4. PET基材HC処理フィルム PET
5. PET基材HC処理フィルム TAC
6. PET基材HC処理フィルム PI
7. TAC基材HC処理フィルム PET
8. TAC基材HC処理フィルム TAC
9. TAC基材HC処理フィルム PI
10.PC基材HC処理フィルム PET
11.PC基材HC処理フィルム TAC
12.PC基材HC処理フィルム PI
13.PMMA基材HC処理フィルム PET
14.PMMA基材HC処理フィルム TAC
15.PMMA基材HC処理フィルム PI
【0030】
HCフィルム:ハードコート材料を固めてフィルム状にしたもの
有機/無機ハイブリッド:有機材料と無機材料とが混ぜ合わされたハードコート材料
HC処理フィルム:フィルム基材にハードコート処理されたフィルム
PET基材:PETで形成されたフィルム基材
TAC基材:TACで形成されたフィルム基材
PC基材:PCで形成されたフィルム基材
PMMA基材:PMMAで形成されたフィルム基材
【0031】
上記の例では、保護シート120は、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123を表示パネル110側からこの順に積層した構造となっている。しかし、保護シート120における積層構造の種類はこの限りではない。保護シート120は、例えば、
図7に示したように、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123を表示パネル110側からこの順に積層した積層体120Aを、複数、積層した構造となっていてもよい。また、保護シート120は、例えば、
図8に示したように、複数の衝撃吸収層121、複数の歪み緩和層122および複数の衝撃分散層123を表示パネル110側からこの順に積層した構造となっていてもよい。この場合、衝撃吸収層121の積層数、歪み緩和層122の積層数および衝撃分散層123の積層数は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。このように積層数を増やすことで衝撃耐性をさらに上げることができる。
【0032】
[効果]
次に、表示装置100における効果について説明する。
【0033】
外部からの衝撃によって、ディスプレイの表面に傷が付いたり、ディスプレイ内部が破壊され、機能が損なわれたりすることがある。特に、フレキシブルディスプレイには、薄い、軽い、柔軟といった特徴がある一方で、衝撃耐性が低いという欠点がある。従来では、ディスプレイの衝撃耐性を改善するために、ディスプレイの表面に強化ガラスが貼合されていた。しかし、重量や厚みが増してしまう欠点があった。また、フレキシブルディスプレイの表面に強化ガラスが貼合された場合には、薄い、軽い、柔軟といった特徴が損なわれてしまう。
【0034】
一方、本実施の形態では、衝撃分散層123の下に設けられた衝撃吸収層121が、サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の樹脂層によって構成されている。これにより、衝撃分散層123が衝撃を受けた際に、衝撃吸収層121が衝撃分散層123に生じた湾曲に応じた変形をするので、外部からの衝撃を吸収することができる。単に接着を目的として設けられた厚さの薄い接着層には、このような機能を持たせることはできない。
【0035】
また、本実施の形態では、衝撃分散層123と衝撃吸収層121との間に、衝撃分散層123よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い歪み緩和層122が設けられている。これにより、衝撃分散層123の下に非常に柔らかい衝撃吸収層121が設けられている場合であっても、衝撃分散層123が曲げ破壊ひずみを超えて割れてしまう可能性を低減することができる。従って、本実施の形態では、強化ガラスを使用しなくても、割れの発生を抑えつつ、外部からの衝撃を吸収することができる。
【0036】
また、本実施の形態において、衝撃吸収層121がゲル状接着層で構成されている場合には、保護シート120を直接または間接的に表示パネル110の光出射面110Aに貼り合わせることができる。これにより、既存の表示パネル110に対して、あと付けで保護シート120を設けることができる。その結果、既存の表示パネル110に対して保護シート120を設けることで、割れの発生を抑えつつ、外部からの衝撃を吸収することができる。
【0037】
また、本実施の形態において、衝撃吸収層121がアクリル系のゲル状接着剤で構成されている場合には、シリコンゲルのような油の染み出しが起こらないので、ディスプレイの信頼性を低下させるおそれがない。
【0038】
また、本実施の形態において、素子形成基板111および封止基板114がフレキシブルなプラスチック基板で構成されており、表示パネル110がフレキシブルな有機ELパネルとなっている場合には、表示パネル110および保護シート120を含む積層体全体がフレキシブルなディスプレイとなる。これにより、上記積層体を丸めて持ち運んだり、曲面の壁に貼りつけたりと、持ち運びや用途の自由度を高くすることができる。
【0039】
<2.変形例>
以下に、表示装置100の変形例について説明する。なお、以下では、上記実施の形態の表示装置100と共通する構成要素に対しては、同一の符号が付与される。さらに、上記実施の形態の表示装置100と共通する構成要素についての説明は、適宜、省略されるものとする。
【0040】
[変形例A]
上記実施の形態において、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123が、それぞれ、樹脂シートで構成されていてもよい。この場合、表示装置100は、例えば、
図9に示したように、衝撃吸収層121と表示パネル110との間、歪み緩和層122と衝撃吸収層121との間、および衝撃分散層123と歪み緩和層122との間に、接着層126を備えていてもよい。
【0041】
[変形例B]
上記実施の形態において、保護シート120は、例えば、
図10に示したように、光出射面110Aと衝撃吸収層121との間に、光学フィルム124、または、透明配線を含むタッチパネル125を有していてもよい。光学フィルム124としては、例えば、偏光板(例えば、円偏光板)や、防眩フィルム(AG(Anti Glare)フィルム)、反射防止フィルム(LR(Low Reflection)フィルムなどが挙げられる。タッチパネル125における透明配線は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウムスズ)などの光透過性の導電性材料によって構成されている。透明配線を含むタッチパネル125は非常に割れやすいので、衝撃吸収層121の下に配置されていることが好ましい。
【0042】
[変形例C]
上記実施の形態において、歪み緩和層122が、例えば、
図11に示したように、偏光板などの光学フィルム127、または、Cuなどの金属配線を含むタッチパネル128によって構成されていてもよい。金属配線を含むタッチパネル128では、透明配線を含むタッチパネル125と比べて、柔軟性や衝撃耐性が高い。そのため、偏光板などの光学フィルム127、または、金属配線を含むタッチパネル128を、歪み緩和層122として設けることにより、保護シート120の厚さを薄くすることができ、また、製造コストを安価にすることができる。
【0043】
[変形例D]
上記実施の形態において、素子形成基板111および封止基板114がフレキシブルなプラスチック基板で構成されており、表示パネル110がフレキシブルな有機ELパネルとなっている場合に、表示装置100は、例えば、
図12に示したように、表示パネル110の背面に保護シート130を備えていてもよい。保護シート130は、表示パネル110の剛性を高め、表示パネル110に衝撃が加わった際の表示パネル110の局所的な撓みを低減する機能を有する。保護シート130は、ヤング率が高く、塑性変形しにくい材料によって構成されていることが好ましく、例えば、42Ni、SUS、Mg合金、Al等の金属材料によって構成されていることが好ましい。保護シート130が上述したような金属材料によって構成されている場合には、表示パネル110で生じた熱を保護シート130から放散させることもできる。なお、保護シート130が、保護シート120と同程度の剛性を有する樹脂シート(例えば、PET、PI、PC、PMMA等の樹脂シート)で構成されていてもよい。この場合にも、保護シート1
20と同様の効果が得られる。
【0044】
[変形例E]
上記実施の形態において、素子形成基板111および封止基板114がフレキシブルなプラスチック基板で構成されており、表示パネル110がフレキシブルな有機ELパネルとなっている場合に、表示装置100は、例えば、
図13に示したように、表示パネル110の背面に保護シート140を備えていてもよい。保護シート140は、例えば、
図10に示したように、衝撃吸収層141、歪み緩和層142および衝撃分散層143を有している。衝撃吸収層141、歪み緩和層142および衝撃分散層143は、表示パネル110の背面側からこの順に配置されている。衝撃吸収層141が、衝撃吸収層141、歪み緩和層142および衝撃分散層143の中で最も表示パネル110の背面寄りに配置されている。衝撃分散層143が、衝撃吸収層141、歪み緩和層142および衝撃分散層143の中で最も表示パネル110の背面から離れて配置されている。歪み緩和層142は、衝撃吸収層141と衝撃分散層143との間に配置されている。衝撃吸収層141は、衝撃吸収層121の構成と同一の構成となっている。歪み緩和層142は、歪み緩和層122の構成と同一の構成となっている。衝撃分散層143は、衝撃分散層123の構成と同一の構成となっている。
【0045】
本変形例では、表示パネル110の背面に設けられた保護シート140が保護シート120と共通の構成となっている。これにより、保護シート120が表示パネル110に与える応力と、保護シート140が表示パネル110に与える応力とが相殺し合うので、保護シート120に起因する表示パネル110の反りや撓みを防止することができる。
【0046】
<3.適用例>
以下、上記実施の形態およびその変形例(以下、「上記実施の形態等」と称する。)で説明した表示装置100の適用例について説明する。上記実施の形態等の表示装置100は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、シート状のパーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0047】
図14は、本適用例に係る電子機器200の外観を斜視的に表したものである。電子機器200は、例えば、筐体210の主面に表示面を備えたシート状のパーソナルコンピュータである。電子機器200は、電子機器200の表示面に、上記実施の形態等の表示装置100を備えている。表示装置100は、保護シート120が外側を向くように配置されている。本適用例では、表示装置100に対して保護シート120が設けられているので、軽量かつ、割れの発生し難い電子機器200を実現することができる。
【0048】
また、本適用例において、表示装置100に対して保護シート140も設けられている場合には、反りや撓みの少ない電子機器200を実現することができる。
【0049】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本開示を説明したが、本開示は実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本開示の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本開示が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
【0050】
また、例えば、本開示は以下のような構成を取ることができる。
(1)
光出射面を有する表示パネルと、
前記光出射面に設けられた第1保護シートと
を備え、
前記第1保護シートは、
鉛筆硬度3H以上の第1衝撃分散層と、
前記第1衝撃分散層よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い第1歪み緩和層と、
サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の第1衝撃吸収層と
を有し、
前記第1衝撃吸収層、前記第1歪み緩和層および前記第1衝撃分散層は、前記光出射面からこの順に並んで配置されている
表示装置。
(2)
前記第1衝撃吸収層は、前記第1保護シートを前記光出射面に直接もしくは間接的に貼合する、アスカーC硬度が30以上80以下のゲル状接着層である
(1)に記載の表示装置。
(3)
前記第1衝撃吸収層は、アクリル系のゲル状接着剤で構成されている
(2)に記載の表示装置。
(4)
前記表示パネルは、フレキシブルなパネルである
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の表示装置。
(5)
前記表示パネルは、有機ELパネルである
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(6)
前記第1保護シートは、前記光出射面と前記第1衝撃吸収層との間に、偏光板、または、透明配線を含むタッチパネルを有する
(1)ないし(5)のいずれか1つに記載の表示装置。
(7)
前記第1歪み緩和層は、偏光板、または、金属配線を含むタッチパネルである
(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の表示装置。
(8)
前記表示パネルの背面に設けられた第2保護シートをさらに備え、
前記第2保護シートは、
鉛筆硬度3H以上の第2衝撃分散層と、
前記第2衝撃分散層よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い第2歪み緩和層と、
サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の第2衝撃吸収層と
を有し、
前記第2衝撃吸収層、前記第2歪み緩和層および前記第2衝撃分散層は、前記背面からこの順に並んで配置されている
(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の表示装置。
(9)
表示装置を備え、
前記表示装置は、
光出射面を有する表示パネルと、
前記光出射面に設けられた第1保護シートと
を有し、
前記第1保護シートは、
鉛筆硬度3H以上の第1衝撃分散層と、
前記第1衝撃分散層よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い第1歪み緩和層と、
サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の第1衝撃吸収層と
を有し、
前記第1衝撃吸収層、前記第1歪み緩和層および前記第1衝撃分散層は、前記光出射面からこの順に並んで配置されている
電子機器。
(10)
表示パネルの光出射面を保護する保護シートであって、
鉛筆硬度3H以上の第1衝撃分散層と、
前記第1衝撃分散層よりも曲げ強度および引っ張り強度の高い第1歪み緩和層と、
サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の第1衝撃吸収層と
を有し、
前記第1衝撃吸収層、前記第1歪み緩和層および前記第1衝撃分散層は、この順に並んで配置されている
保護シート。