(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603170
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/24 20060101AFI20191028BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20191028BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R12/71
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-86901(P2016-86901)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-199462(P2017-199462A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084180
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【弁理士】
【氏名又は名称】藤岡 努
(72)【発明者】
【氏名】緑川 和弥
【審査官】
藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−091893(JP,A)
【文献】
特開2008−281519(JP,A)
【文献】
特開2016−001583(JP,A)
【文献】
特開2010−257757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00−12/90
13/24
33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に配され該回路基板の面に対して直角な軸線方向で相手接続材から接圧を受けて弾性変位状態で上記回路基板と相手接続材とを電気的に接続する金属板製の電気コネクタにおいて、
相手接続材と圧接する圧接部と、
上記圧接部から延出して半径方向に広がるように弯曲されているばね部と、
上記ばね部の自由端から延出して設けられ、回路基板に対して半田接続される接続部とを有し、
上記ばね部は、該ばね部の板厚方向を上記半径方向とする弯曲面が回路基板の面に対して交差する方向の板面を有し、半径方向に見たときに、ばね部同士が重複する範囲を形成しているとともに、該ばね部が圧接部の周縁で複数位置から延出しており、
上記接続部は、上記ばね部の板面を延長した面に該接続部の板面を有し、回路基板の面に対向する板厚面で該回路基板に接続されるようになっていることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
ばね部は、圧接部の周縁で周方向での等間隔位置から延出していることとする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
ばね部は、軸線位置を中心として圧接部の周縁で点対称位置から延出していることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に用いられる電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板と他の接続部材、例えば他の回路基板とを電気的に接続する場合、一般に、上記回路基板に弾性変位可能な電気コネクタ(以下、「電気コネクタ」という)が取り付けられ、この電気コネクタに対して上記他の接続部材が圧接される。
【0003】
この電気コネクタとしては、特許文献1に圧接コネクタと称して開示されている電気コネクタが知られている。
【0004】
この特許文献1の電気コネクタは、取付対象となる回路基板と接面する下側平板部と、これに対して上方に位置して平行な上側平板部と、上側平板部から下側平板部まで延びる螺旋状のばね部を有している。該ばね部は、両平板部を近接させる圧縮方向に平行な板面を有した帯状をなしている。上記ばね部は、単数もしくは複数のばね部となっている。
【0005】
かかる電気コネクタは、螺旋状のばね部が、螺旋の旋回半径方向で互いのばね部の板面同士が対面しているので、電気コネクタとしての直径寸法が小さくできること、圧縮量が大きいときでも、半径方向で見たときに、ばね部同士が重複する範囲を有していてその板面で半径方向に接面可能であり、ばね部の姿勢が崩れない、等の利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−001583
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の電気コネクタは、上述のごとく直径寸法を小さくできる。その反面、ばね部は上下に幅をもつ帯状をなしているので、高さ方向では少なくともこの幅分の寸法以上となる。通常、回路基板と他の接続部材としての他の回路基板は、狭い間隔が望まれるので、上記幅も狭くしたい要請がある。また、回路基板上の電子部品の配置、あるいは回路部の配置は、非常に密になっていることが多く、電気コネクタは、上記直径方向の小径化が強く求められる。しかし、この直径方向での小型化を確保しつつも、やはり回路基板同士の近接配置を可能とするために、やはり、上記幅方向(高さ方向)でも可能な限り小型化したいという要請は依然として高い。
【0008】
かかる状況において、特許文献1の電気コネクタでも上記小型化の要請に十分には応えてなく、さらなる小型化、特に高さ方向の小型化が求められる。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑み、高さ方向で可及的に小型化できる電気コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電気コネクタは、回路基板上に配され該回路基板の面に対して直角な軸線方向で相手接続材から接圧を受けて弾性変位状態で上記回路基板と相手接続材とを電気的に接続する。
【0011】
かかる電気コネクタにおいて、本発明では、相手接続材と圧接する圧接部と、上記圧接部から延出して半径方向に広がるように弯曲されているばね部と、上記ばね部の自由端から延出して設けられ、回路基板に対して半田接続される接続部とを有し、上記ばね部は、半径方向に見たときに、ばね部同士が重複する範囲を形成していることを特徴としている。
【0012】
このような構成の本発明によれば、相手接続材と圧接する圧接部から延びるばね部の下方自由端側に設けられた接続端部が直接回路基板と半田接続される。本発明では、回路基板と接面する底板部(特許文献1の下側平板部に相当)が不要となるので、底板部がない分だけ高さ方向寸法が小さくなる。さらには、ばね同士の重複範囲で、ばね部が弾性変位時に傾倒しようとしても、ばね部同士が当接し合うので、ばね部の姿勢が安定する。
【0013】
本発明において、ばね部は、該ばね部の弯曲面が回路基板の面に対して交差する方向の板面を有しているようにすることができる。こうすることで、ばね部は、その板厚と巻き回数との積の分だけの半径寸法となるので、半径方向での小型化が図れる。
【0014】
本発明において、ばね部は、圧接部の周縁で複数位置から延出しているようにすることができる。こうすることで、ばね部は並列をなして複数設けられているようになるので、ばね力が増大かつ圧接部の姿勢が安定化する。
【0015】
本発明において、ばね部は、圧接部の周縁で周方向での等間隔位置から延出しているようにすることができる。こうすることで、ばね部はどの周方向位置でも均等に弾性変位するので、圧接部の姿勢が安定化するようになる。
【0016】
本発明において、ばね部は、軸線位置を中心として圧接部の周縁で点対称位置から延出しているようにすることができる。こうすることで、周方向のどの位置でもその位置に対してどの向きでも圧接部の姿勢が安定化する。
【0017】
本発明において、接続部はばね部と平行な板面を有し、下端面で回路基板と半田接続されるようになっているようにすることが好ましい。こうすることで、接続部のみが半田接続に関与し、ばね部の他部は半田接続に関与しないので、該接続部が弾性変形を伴わずに半田接続が安定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように相手接続材と圧接する圧接部から延びる帯状のばね部を有し、該ばね部の下端側となる自由端側に接続部を設けることとしたので、従来のように、回路基板に接面する底板部を要することがないので、その分だけ高さ方向の小型化が図れ、かつ、ばね部は螺旋状に弯曲して、半径方向に見たときに、ばね部同士が重複する範囲を有しているので、半径方向での弾性変位時に傾倒しようとしても、ばね部同士が互いに当接し、ばね部の形態を安定して維持する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態の電気コネクタを示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図2】
図1のコネクタの変形時を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図3】
図1のコネクタの変形時を示す断面斜視図である。
【
図4】
図1のコネクタの他の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図5】
図1のコネクタのさらに他の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図6】
図1のコネクタのさらに他の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図7】
図1のコネクタのさらに他の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【
図8】
図1のコネクタのさらに他の変形例を示し、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面にもとづいて、本発明の実施形態を説明する。
【0021】
図1(A),(B)は、本発明の一実施形態であり、回路基板(図示せず)の回路部に半田接続され、該回路基板の面に対して直角な軸線方向で相手接続材(例えば、他の回路基板)からの接圧を受けて、上記回路基板と相手接続材とを電気的に接続する電気コネクタを示し、
図1(A)は平面図、
図1(B)は斜視図である。
【0022】
図1(A),(B)に示される電気コネクタ1は、金属板を加工して得られ、圧接部10と、ばね部20と、接続部30とを有している。
【0023】
圧接部10は、相手接続材たる他の回路基板の回路面と圧接するための略正方形の板状をなしている。この略正方形の圧接部10は、その辺縁にエッジを形成せずに相手接続材の回路面と接面を円滑に行うため、周方向で等間隔位置にある4つの辺縁部11には曲面部12が設けられている。
【0024】
上記略正方形の圧接部10の4つの辺縁部11のそれぞれからは、上記曲面部12を経て下方に屈曲した基部13から周方向にばね部20が延びている。各基部13から延びる4つのばね部20のそれぞれは、周方向で略3/4周だけ旋回する腕状をなしている。
【0025】
上記4つのばね部20のそれぞれの弯曲面は、電気コネクタ1が半田接続される回路基板の面に対し直角な方向に延びる板面をもって旋回、すなわち、巻き半径を半径方向に次第に広げながら、上方から見たときに、反時計方向に略3/4周だけ巻回し、さらには、上記回路基板の方に近づくように旋回先方で下方へ傾いている。このように、周方向に90°ずつずれて位置する4つの辺縁部11のそれぞれから略3/4周だけ巻回され、巻回先方で下方に傾いているので、4つのばね部20は、半径方向に見たときに、ばね部20同士が重複する範囲を有している4条巻きの筍状をなしている。
【0026】
上記ばね部20の先端には、接続部30が該ばね部20に対して連続して設けられている。該接続部30は、ばね部20よりも若干幅(上下方向高さ寸法)が大きい四辺形状を形成しており、該接続部30の下端面がばね部20の下端面よりも下方に突出している。したがって、該ばね部20の下端面が回路基板に当接することなく、接続部30の下端面のみが回路基板に当接する。かくして接続部30の下端面は該回路基板の回路部に対し半田接続される接続端部31を形成する。
【0027】
図示の例では、ばね部20は全長にわたり同一幅をなしているが、
図3のごとく、接続部30に隣接する部位を幅広とし、基部13に向けて、すなわちばね部20の上部に向けて次第に幅狭にするようにしてもよい。こうすることで基部13側で、より弾性変位しやすくなる。
【0028】
次に、このように形成された本実施形態の電気コネクタの使用要領、作動原理について説明する。
【0029】
先ず、
図1(A),(B)に示される電気コネクタ1を所定の回路基板(図示せず)の回路部の上に配し、該電気コネクタ1の各ばね部20の先端側に隣接して設けられた接続部30をその接続端部31で上記回路部に半田接続する。
【0030】
しかる後、接続対象たる相手接続材、例えば、他の回路基板を、その接続回路部が上記電気コネクタ1の圧接部10の上方に位置するようにもたらした後、そのまま降下させる。降下した他の回路基板は、その接続回路部が上記電気コネクタ1の圧接部10に当接する。かかる状態を維持したまま、該他の回路基板を圧接部10に対して下方に圧すると、上記圧接部10から延出するばね部20が下方へ弾性変位し、圧接部10は下方へ位置を移動する(
図2(A),(B)参照)。かくして、電気コネクタ1は上下方向で圧縮された状態となる。上記他の回路基板の圧接部10への圧接は、電気コネクタ1が接続されている下方の回路基板とともに不動の位置にある支持部材(図示せず)で上記他の回路基板を所定位置に支持させて位置決めすることで行われ、かくして接圧を生ずる。
【0031】
上記接圧を受けて、下方へ弾性変位する4つのばね部20は、互いに周方向にずれた位置で略3/4周だけ巻回されているので、全体として螺旋を形成しその高さを縮めるように圧縮されて弾性変位する。ばね部20は、半径方向に見たときに、互いに重複する範囲を有していて、高さを縮めるような弾性変位が進むにつれて上記重複する範囲が大きくなる。したがって、全体として螺旋をなす4つのばね部20は、その形態が傾倒しようとしても、上記重複する範囲で、ばね部20が弾性拡径変位して該ばね部20同士が当接し、かかる傾向に抗して垂立する姿勢を維持し、圧縮時の姿勢が安定した状態が確保される。
【0032】
このような螺旋をなす4つのばね部20は、高さを縮める方向に圧縮されるように弾性変位すると、ばね部20は周方向にも、少なからず弾性変位するので、圧接部10は、その弾性変位量に応じて中心位置まわりに回転する。したがって、圧接部10は相手接続材との間で摺接して、いわゆるワイピング効果も得られ、摺接面の被膜を除去する等クリーニングされ、接触を安定させることができる。
【0033】
かくして、回路基板と他の回路基板は、電気コネクタ1を介して電気的に接続され、上述したようにばね部20の姿勢が安定しているので、電気的接続も安定して維持される。本実施形態では、接続部30で半田接続されるので、半田接続のための底板部を有していない分だけ、ばね部20は回路基板に至近する位置まで弾性変位可能であり、使用時の電気コネクタ1は高さ方向で小型化される。これは、回路基板と他の回路基板とをそれだけ近づけて位置設定でき、その結果、装置の高さ方向での小型化を図れることを意味している。
【0034】
本発明では、ばね部はその数も各ばね部の巻回長さも任意に設定できる。
図1(A),(B)では、ばね部20の数は4つであったが、
図4(A),(B)、
図5(A),(B)、
図6(A),(B)に示すごとく、ばね部20の数は、3つ、2つ、1つのように他の数でもよい。ばね部20の数が複数の場合、その配置位置は、
図4、
図5に図示のごとく、周方向で等分の角度をもって決められることが好ましい。こうすることで、ばね部20が周方向のどの位置でも均等に弾性変位し、その結果、圧接部10の姿勢が安定する。また、ばね部20の数が複数の場合、軸線位置を中心として圧接部10の周縁で点対称位置から延出しているようにしてもよい。こうすることで、周方向のどの位置でもその位置に対してどの向きでも圧接部10の姿勢が安定化する。
【0035】
また、本発明では、ばね部20は、
図1ないし
図6のように電気コネクタが取り付けられる回路基板の面に対して交差、例えば直交する板面をもつようにする場合に限られず、回路基板の面と平行な板面をもつようにすることも可能である。
図7に示されるごとく、例えば2つの渦巻状のばね部20を有しているようにすることができる。もちろん、ばね部20の数は
図4〜
図6の場合と同様に、任意の数に設定できる。
【0036】
図1ないし
図7の形態では、ばね部20は使用前の自由状態では筍状にばね部の中心部側で上方に突出していて、使用時に圧縮されて平坦状をなしていたが、本発明は、かかる形態に限られずに、使用前の自由状態では平坦状をなし、使用時に引き伸ばされて筍状となる引き伸ばしばねの形態をなしていてもよい。
【0037】
このような形態として、例えば、電気コネクタの圧接部に対して相手接続材が下方から圧接するような形態とすることができる。具体的には、電気コネクタが配される回路基板における圧接部の下方に位置する領域に孔部を貫通形成しておき、相手接続材(例えばピン状端子)を下方から上記孔部を経て挿入して、該相手接続材を圧接部の下面に圧接して電気的に接続させる。このとき、圧接部が相手接続材によって下方から上方へ向け圧せられることにより、ばね部は、上記回路基板から離れるように、すなわち、該ばね部が上方へ向けて引き伸ばされるように弾性変位する。ばね部はこのように上方へ弾性変位すると、縮径した状態となり、螺旋をなすばね部同士に半径方向で間隔が生じる。しかし、ばね部は、半径方向に見たときに互いに重複する範囲を有しているので、弾性変位した状態で傾倒しようとしても、上記重複する範囲で該ばね部同士が当接し、かかる傾向に抗して垂立する姿勢を維持し、圧縮時の姿勢が安定した状態が確保される。
【0038】
本発明は、
図1ないし
図7の形態以外にも、変形が可能である。例えば、
図8(A),(B)のごとく、圧接部10の中心位置にディンプルによる圧接突部10Aを形成すれば、該圧接突部10Aで相手接続材と集中的に接触するのみならず、ばね部20の弾性変位時に圧接部10が弾性変位量に応じて回転移動するので、相手接続材との間にワイピング効果を得られる。上記圧接突部は圧接部の中心位置に限らず、中心位置から半径方向にずれた位置に設けることとすれば、それだけ摺接範囲が拡がりワイピング効果も得られる。またこの圧接部を中心位置からずれた位置で周方向の複数位置に設けることとすれば、ワイピング効果がさらに良好になるとともに圧接時の姿勢も安定する。
【符号の説明】
【0039】
1 電気コネクタ 20 ばね部
10 圧接部 30 接続部