【実施例】
【0017】
図1は、実施例に係る米飯成形食品の包装体を底面側から視た概略斜視図であって、該包装体10は、透明フィルム等の1枚のシート状の包装材からなる袋12に、三角形状のおにぎり14を収容した密封袋詰品である。包装材としては、厚みが30μm〜50μmのポリプロピレン等を基材とする熱溶着性プラスチックフィルムや、和紙、あるいは擬似和紙等の基材にポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂層が積層された熱溶着性のシート材で厚みが30μm〜50μmのものが好適であり、袋12の表側には主として商品名、その他各種模様等の印刷が施されているものが用いられるが、無地の包装材を用いてもよい。なお、包装材については、袋内のおにぎり14に面して包装材の溶着面である袋12の内面側を構成する一面側を内面、包装材の非溶着面であり袋12の外面側を構成する他面側を外面と指称する。
【0018】
前記袋12の底部には、
図1に示すように、左右方向(袋幅方向)に横断するように、横方向シール部16が袋底面に重なるように形成されている。横方向シール部16は、シート状の包装材でおにぎり14の表裏をコ字状に覆い、その包装材の両端縁が、おにぎり14を立てた姿勢にした時に底部の厚みに対する中央において合掌状に重合し、その重合部を挟んで加熱することで筒状となった包装材の重合部における内面同士が所定幅で溶着シールされて、その重合部がおにぎり14を収容した袋胴部15の底面から所定幅で延出するよう形成されている。そして、横方向シール部16は、延出基部(基端)16aにおいて袋12の表裏の何れか一方に向けて折曲げられることで、袋胴部15の袋底に折り重なる状態で底面に沿って所定幅の帯状となって袋12の左右へ延在している。また、横方向シール部16における延出基部16aは、該延出基部16aで折曲げられた横方向シール部16の延出長さ(幅方向長さ)N1の1/2の位置(幅方向の中央位置)が、袋12の表裏方向の厚みKの1/2の位置となるように袋12の表裏の何れか一方に変位している(
図3参照)。
【0019】
実施例では、延出基部16aが袋12の表側寄りに位置するよう包装材が合掌状に重合されて横方向シール部16が形成され、該横方向シール部16が袋12の裏側に向けて折曲げられている。このように横方向シール部16は、おにぎり14を陳列販売する際の包装体10の見栄えを良好なものとする点で裏側に向けて折曲げられることが好ましいが、延出基部16aが袋12の裏側寄りとなる位置で包装材を合掌状に重合して加熱シールして得た横方向シール部16を袋12の表側に向けて折曲げるようにしてもよい。
【0020】
ここで、前記横方向シール部16において重合された包装材が溶着した横溶着部17aと、該横溶着部17aから外方に僅かに延出する非溶着部17bとから横方向シール部16が構成され、該横溶着部17aの内側縁となる前記延出基部16aから延出先端までの延出長さ(袋底部における包装材の重合幅)N1が、袋底部の厚みの1/3〜1/2に設定されている。なお、おにぎり14の表裏の厚みは略30mm〜40mmが一般的であるので、その横方向シール部16の延出長さN1は、10mm〜20mm程度に形成されていることが好ましい。それにより、袋の密封性を十分確保でき、また、十分な溶着幅からなる横方向シール部16によって袋底部に保形性を付与することができる。横方向シール部16における溶着部の溶着幅N2は、延出長さN1の−2mm〜−3mm程度が好ましい。なお、横方向シール部16については、横方向シール部16の形成に際し重合して溶着した外側の非溶着部17bを切除するなどによって前記延出基部16aから延出先端までの全幅に亘って包装材が溶着された横溶着部17aとなっていてもよい。
【0021】
前記袋12の左右両端部の夫々には、包装材の内面同士が重合され、所定幅でその重合端縁部を加熱して溶着シールすることで、上下方向に延びる縦方向シール部20が形成されている。両縦方向シール部20,20は、袋底部側において前記横方向シール部16と交差している。すなわち、袋12は、縦横のシール部16,20,20で密封されているから、袋内への異物混入を防止することができる。各縦方向シール部20は、
図3に示すように、おにぎり14が収容されている状態での袋12の表裏方向の厚みKの略中央で包装材が重合するように形成される。ここで、前記縦方向シール部20において重合された包装材が溶着した縦溶着部21aと、該縦溶着部21aから外方に延出する非溶着部21bとから縦方向シール部20が構成され、前記縦溶着部21aの内側縁となる袋胴部側の内側基端から非溶着部21bの外側先端までの延出長さ(袋の左右縁部における包装材の重合幅)M1が、前記横方向シール部16の延出長さN1より短く設定される。すなわち、両縦方向シール部20,20を横方向シール部16より幅狭とすることで、立てた陳列状態で露出する縦方向シール部20,20を幅狭なものとして包装体10の見栄えを良好にできる一方で、陳列状態で露出しない袋底面に位置する横方向シール部16を幅広なものとして袋底部の保形性を高めることができる。なお、縦方向シール部20の延出長さM1は、横方向シール部16の延出長さN1以下とすることが好ましい。また、縦方向シール部20の延出長さM1は略6mm〜10mmに設定され、前記縦溶着部21aの溶着幅M2は略4mm〜7mmに設定されるのが好ましい。
【0022】
図1および
図2に示すように、袋12の底部において、袋内に収容されているおにぎり14の左右両側には、袋底部から包装材を内方に押し込んだ折込み部22が夫々形成されている。袋内方に凹む各折込み部22は、袋底に沿って折曲げられて所定幅で重なる前記横方向シール部16の延出長に対する中央位置において袋底部の包装材が袋底部側から袋内方に押し込まれて形成される。横方向シール部16における幅方向の中央位置は、袋12の表裏方向の厚みKの中央位置に合致しているので、このような折込み部22の形成を良好になし得る。それにより押し込み量が変化したり縦方向シール部20が不良とならず、袋12が歪んだりして包装品質が低下するのを未然に防止する。そして、袋底部側から包装材を押し込んだ上で前記縦方向シール部20が形成されるようになっており、これにより、縦方向シール部20が形成される際に内方に押し込まれて重なり合う8枚の包装材がシール手段で挟み付けられて加熱され、片面溶着性の包装材においてその溶着面となる内面同士が溶着する。ここで、包装材は片面溶着性のフィルムが使用され、各縦方向シール部20の袋底部側において包装材が押し込まれて折り重なった部位は、以下のように2つに分離した重合部が形成される。
【0023】
前記2つの重合部は、
図3に示す如く、幅方向中央で押し込まれることで折曲げられた横方向シール部16のシール重合片18a,18bには、中央から左右に分岐して延びるシール重合片18a,18bの上側で夫々重なり、縦溶着部21aを有する重合部20a,20bが形成されている。そして、両重合部20a,20bは、中央の基端部Tから包装材の表面同士が非溶着面となって重合することなく底部に向けて広がるように延出し、また横方向シール部16の分岐した両シール重合片18a,18bは、前記基端部Tから各重合部20a,20bの内側において底部側に向けて八字状に広がりをもって延在している。
【0024】
このようにして、袋12の底部には、横方向シール部16の2つのシール重合片18a,18bを挟む両側において、包装材の押し込み量に対応した範囲(袋底から基端部Tまでの範囲)において包装材の内面同士が熱溶着された2つの重合部20a,20bが形成されていることで、袋12の底部の強度が増して、該袋12の底部の保形性を高めることができる。また、横方向シール部16が袋底面における表裏の中央で左右に延在しており、袋底部における左右端部には横方向シール部16と縦方向シール部20,20とが交差する範囲について、シール重合片18a,18bと2つの重合部20a,20bとが夫々形成されているので、袋底部のこしが強くなり、ラベルなどの貼着物の補強をしなくても、保形性を確保することができる。
【0025】
図4および
図5に示すように、左右の重合部20a,20bが重合したときの包装材の重合面同士が臨む部位に、熱溶着性の樹脂からなるパートコート剤でパートコートを施した包装材を用いることで、袋12の底部側となる縦方向シール部20の下端部は、縦方向シール部20を形成するに際し、前記シール重合片18a,18bおよび重合部20a,20bの包装材を重ねてシール手段にて挟み付けることで、包装材の外面が相互に重なる重合面同士に塗布されたパートコート剤が熱により溶けて、それらシール重合片18a,18bと重合部20a,20bとが接着される。これにより、袋底面から折込み部22の折込み量に相当する高さ範囲において、2つの重合部20a,20bからなる4枚の包装材が重なり合って相互に熱接着により一体となった第1重合接着部およびシール重合片18a,18bおよび重合部20a,20bからなる8枚の包装材が重なり合って相互に熱接着により一体となった第2重合接着部とが連なる柱状強化部が形成される。そして、おにぎりの包装体10は、柱状強化部を含む縦方向シール部20が袋12の左右に形成され、その縦方向シール部20が2本の支柱となって袋底部をサポートし、保形性が一層良好なおにぎりの包装体10とすることができる。
【0026】
図2(a)に示すように、商品の正面となる袋12の表側には、おにぎり14の商品名などの品名表示26が包装材に予め印刷されている。なお、この品名表示26は、袋詰め包装後あるいは包装時に品名ラベルを貼り付けたり、包装機における包装材の搬送過程でサーマルプリンタなどのプリント手段により各種デザインの柄などと共に包装品種に対応した品名をプリントしたりすることで設けるようにしてもよい。
【0027】
前記袋12の裏側の包装材に品質表示欄(品質表示部)28を有し、該品質表示欄28には袋内に収容された米飯成形食品14の品目名、原材料名、製造日時、消費期限、製造者等の文字情報やバーコードなどの品目情報(包装品情報)が表示される。このような品目情報は、
図2(b)に示すように、袋12の底部寄りに表示され、包装機での包装材の搬送過程でサーマルプリンタなどのプリント手段により付される。一般的に黒色その他の濃色で品目情報が表示されるので、その品目情報の文字の視認性および識別性を考慮して、少なくとも品質表示欄28は、その下地となる背景欄が白色その他の淡色で着色された包装材を用いることが好ましい。すなわち、品目情報がプリントされる領域である品質表示欄28を白色その他の淡色で着色することで、黒色その他の濃色でプリントされた品目情報を明瞭に表示することができ、識別性が良好となる。なお、全体が白色その他の淡色で着色された包装材を用いれば、任意の位置に品目情報をプリントすることができる。
【0028】
ここで、従来の包装形態は、袋の裏側に横方向シール部が位置しており、その上に品質表示ラベルを重ねて貼着しているので、包装後において包装体の搬送過程で貼付されるラベルの貼付位置のずれや歪みなどが生じて、包装体の見栄えを損ねる。また、貼付位置のずれによってラベルが袋の開封ライン上に位置してしまい、開封に支障をきたすおそれもある。これに対し、実施例の包装形態では、前述したように包装前の包装材にその都度包装品情報をプリントすることができるので、包装品情報の表示が位置ずれしたり歪んだりして見栄えが劣る包装体となるのを防止することができる。また、ラベルを貼付していないので、袋12の開封が阻害される事態を生ずることはない。更に、包装材に直接プリントすることで、品目毎に異なる品質表示ラベルを用意することなく、サーマルプリンタのプリント情報のデータ切換えにより品目毎の包装品情報をプリントすることができる。すなわち、多品目に対応する複数種類の品質表示ラベルの確保や包装品目の切り替え時の品質表示ラベルの取り換え作業などの煩わしい作業を省略して作業能率を向上することができる。また、品質表示ラベルを消費しないので、ランニングコストが不要になり、省資源化を図ることができ、環境にも配慮した包装形態である。更に、プリント手段に比べて包装機の下流側への配置が必要であり、高価で大きな設置スペースが必要となるラベリング装置を不要とし得るので、おにぎりの包装体10を得る装置コストを低減すると共に省スペース化を図ることができる。特に、品質表示欄28にはフィルムの重合部が位置しないので、プリント手段でのプリント時にプリントのずれなどのプリント不良を招来することなく良好なプリントをなし得る。
【0029】
図2に示すように、前記袋12の左右両側に位置する縦方向シール部20,20の一方の端縁における非溶着部21bに、開封補助部としてのV字形の切欠き部からなる開封用ノッチ(ノッチ)24が形成され、該ノッチ24を開封基点として袋12を左右方向(横断方向)に引き裂いて開封し得るよう構成される。この開封用ノッチ24としては、U字形、半円形、台形またはコ字形等、その他の切欠き部であってもよい。また、直線状、円弧状の切込みや、あるいは開封用テープ、その他の袋12の密封性が損なわれない各種の開封補助部を採用可能である。更に、開封補助部は、少なくとも左右何れか一方の縦方向シール部20に設けられていればよいが、両縦方向シール部20,20の夫々に設けてもよい。また、開封用ノッチ24等による開封開始部を判別可能なマーキングと文字などからなる開封案内表示30(
図2(a)参照)を施すことが好ましい。
【0030】
前記開封用ノッチ24の形成位置は、袋12の上部寄りの位置に設けられている。具体的には、開封用ノッチ24による袋のカットラインLは、
図2に示すように、袋12に収容された状態のおにぎり14の高さの略1/2の位置より該おにぎり14の上部寄りの位置に設定されていることが好ましい。これにより、開封用ノッチ24を開封基点として袋12を横断するように開封した包装品において、下部を包装材で覆ったおにぎり14をつかんで食することができ衛生的である。また、開封補助部による袋の横断方向へのカットラインLは、実施例の如く前記品質表示欄28の形成範囲内(品質表示欄上端より下方)に位置していても、包装品情報がプリント手段により付された該品質表示欄28は包装材のみでラベル等の付着物と重なっていないので、手が汚れず、また開封が阻害されることがない。
【0031】
なお、開封用ノッチ24などの開封補助部によるカットラインLは、袋12に収容されたおにぎり14の高さの1/2以上の位置を通過し、おにぎり14の上部を欠損させてしまうことのない適宜位置に設定することが最も好ましい。これにより、開封後においておにぎり14の頭部を露出させて食することができる。
【0032】
前記包装体10を立てた状態で、袋12内に収容されたおにぎり14の上端または左右には、包装体10を持ち上げるなどの取扱い時におにぎり14に触れることなく袋を指でつまんで取扱い得る空所32が設けられて、当該部分がつまみ代として機能する。すなわち、製造業者から小売店までの搬送時や小売店での商品陳列時等において、収容されたおにぎり14を手で押さえてしまうのを防ぐことができ、製造時にふっくらと仕上げたおにぎり14の商品価値が低下するのを防止できる。また空所32を設けることで、包装体10にボリューム感を与えて商品価値を高めることができる。
【0033】
ここで、実施例では縦方向シール部20に1つ(単一)の開封補助部(開封用ノッチ24)を形成したが、該縦方向シール部20における所定範囲において複数の開封補助部(切込みやノッチ)を並ぶように形成することができる。例えば、
図6に示す変更例のように縦方向シール部20の外側端縁を、V字形の切欠き部が横並びで連続する形態とした鋸歯状の切断縁として、その何れかの部分を開封補助部24として設定することもできる。開封補助部は、このような鋸歯状の連続したすべての谷部あるいは所定範囲の複数の谷部が開封開始部となっており、消費者の選択により何れかの開封開始部から開封されるものであってもよい。なお、
図4〜
図6に示す変更例については、実施例と同一部分には同じ符号を付して示している。
【0034】
そして、前述のように構成された包装体10を、
図7に示す包装機としての横形製袋充填機によって得ることができる。すなわち、包装機では、包装材としての帯状のフィルムFを供給源から引き出して製袋手段によって一側方が開放したコ字状に成形し、その帯状のフィルムFの長手方向の両端縁部を重合して得られる筒状フィルム(筒状包装材)F中に、図示しないコンベヤにより寝かせた姿勢で供給されているおにぎり14が所定間隔毎に収容され、筒状フィルムFに収容されたおにぎり14が下流側に搬送される過程でフィルムFの長手方向端縁部が送りローラ43,43によって挟持されて合掌状に重合されると共に、その重合部がサイドシール手段36のシールローラ36a,36aで挟持されることによって加熱シールされ、前記包装体10の袋底部側となる位置で左右方向に延びる横方向シール部16が筒状フィルムFの搬送方向に連続して形成される。前記合掌状の重合部は、筒状フィルムFの一側部における上下方向の高さの中間から上方に基端が偏って重合されており、サイドシール手段36によりシールされて得られる横方向シール部16は、その延出基部16aが筒状フィルムFの上下方向の高さの中間から上方に偏って形成される。また、供給源から引き出されるフィルムFの案内経路には、サーマルプリンタなどからなるプリント手段が設けられ、包装体10の背面となる位置に対応した領域に予め付された品質表示欄28に、プリント手段によって商品の消費期限と品質表示とバーコードなどの前記包装品情報がプリントされる。
【0035】
前記サイドシール手段36の下流側に近接して折曲げ手段41が設けられ、横方向シール部16は、サイドシール手段36による加熱直後に折曲げ手段41によって延出基部16aから、おにぎり14の背面側となる下方へ折曲げられて包装体10の底部となる筒状フィルムFの一側部に重なるように形成される。すなわち、折曲げ手段41では、横方向シール部16の延出基部16aが偏る側と反対側に横方向シール部16を折曲げて筒状フィルムFの一側部に重ねる。この折曲げ手段41は、テーパー面を対向するように配置し、フィルム搬送速度に対応して回転駆動される一対の折曲げローラ41a,41aを備え、加熱直後の横方向シール部16をテーパー面間に設けたフィルムが通過できる程度のわずかな隙間を通過させることで、延出基部16aに熱により軟化した包装材に対して折癖を付すことができる。このように、フィルム搬送速度に対応して回転駆動される一対の折曲げローラ41a,41aの間を横方向シール部16が通過して折癖を付けるようにしているので、折癖を付ける際にフィルムが引張られて折曲げ手段41によってフィルムの搬送抵抗が作用することなく折癖を良好に形成することができる。特に、折曲げローラ41a,41aのテーパー面間にはフィルムを挟持することなく前記隙間を設けたので、フィルムが引張られて蛇行するようなことがない。折曲げローラ41a,41aの下流には折曲げ手段41で折曲げられた横方向シール部16の折曲げ状態を保持するガイド部材42が配設されている。このガイド部材42は、おにぎり14のサイズに応じた調節位置に位置調節可能に配設され、下流側に向けて徐々におにぎり14の底面に対して接近するよう傾斜状に配置されると共に、縦方向シール部20を形成する直前(エンドシール手段38で筒状フィルムFをシールする位置の搬送方向の上流近傍)の位置まで延設されたサイドガイド42aにより構成されている。そして、折癖が付けられて袋底部に沿って折曲げられた横方向シール部16は、サイドガイド42aに案内されて搬送される間に冷却されてその折曲げ状態が維持される。なお、前記筒状フィルムFにおける長手方向端縁部の重合高さおよび重合部の加熱シール高さは、横方向シール部16を延出基部16aで袋底部に沿って折曲げた際に前記延出長さN1の1/2(折曲がった状態での横方向シール部16の上下方向の高さの中間)の位置が物品高さの1/2の位置となるように、おにぎり14の搬送面からの物品高さに応じて、サイドシール手段36による重合部の加熱高さ(具体的にはシールローラ36a,36aによるフィルム挟持レベル)に設定される。これにより、折曲げ手段41によって延出基部16aで折曲げられた横方向シール部16は、筒状フィルムFの一側部においておにぎり14の搬送面からの高さの中央位置で搬送方向に延在するように形成される。なお、ガイド部材42は、前記サイドガイド42aの配設位置に対して、筒状フィルムFの通路の奥側となる筒状フィルムFを挟む他方の側面において搬送中心に対して近接離間調節可能に配設された、第2のサイドガイド42bを備えている。そして、袋底部側に臨むサイドガイド42aでは、おにぎり14の底面側の通過ラインを位置規制すると共に、前述の如く横方向シール部16の折曲げ状態を維持するよう機能する。また、他側に臨む第2のサイドガイド42bにあっては、寝た状態でフィルムFに収容されて搬送されるおにぎり14の天面側となる筒状フィルムFの一側面の通過ラインを規制することで、袋高さが規定された適正サイズの袋となって包装することができる。このように、おにぎり14の左右方向の長さ(陳列する際の高さ寸法)に応じて各サイドガイド42a,42bが位置調節される。
【0036】
前記横方向シール部16が形成された筒状フィルムFは、その搬送下流において該フィルムF中に寝かせた姿勢で所定間隔毎に供給されている各おにぎり14の間が、一対のシール体38a,38bを備えるエンドシール手段38によってフィルムが挟持されてフィルムの搬送方向と交差する方向に加熱シール・切断され、袋12の左右縁部に位置する縦方向シール部20が形成される。また、筒状フィルムFの一側において横方向シール部16が折り重なった一側部は、前記シール体38a,38bで縦方向シール部20が形成される際に、シール体38a,38bによるフィルムの挟持位置前後(搬送方向の上流と下流)において、前後方向に帯状に延びる横方向シール部16の幅中央(延出長さN1の1/2の位置)に押込み手段39における押込み片39aの先端をあてがって前記フィルムFの一側部が内方に押し込まれる。すなわち、筒状フィルムFは、一側部における高さの中間で横方向シール部16が折り重なって4重となった部位に押込み片39a,39aがあてがわれて内方に押し込まれる。この状態でフィルムFがシール体38a,38bで挟持されてシール・切断されることで、横方向シール部16と交差して袋12の上下方向に延びる縦方向シール部20が形成されると共に、おにぎり14が収容された袋底部の左右端部の夫々に袋内方に凹んだ折込み部22が形成される。そして、縦方向シール部20における袋底面から天部側に向けてフィルムの押し込み量に対応した所定範囲に、2枚のフィルムFが重合して熱溶着された重合部20a,20bが形成されると共に、両重合部20a,20bの基端部T側の内側に横方向シール部16のシール重合片18a,18bが位置する包装体10が得られる。すなわち、実施例の包装体10は横形製袋充填機により効率的に製造が可能であり、連続フィルムを使用することで包材コストが低減できると共に包装能力も向上し得る。また、押込み手段39における押込み片39aで筒状フィルムFの一側部を、高さの中間に位置する横方向シール部16の1/2の高さ位置で押し込むので、該押込みによって形成される折込み部22の折込量や折込状態が均一になるようにして、該折込み部22の形成を良好に行うことができる。
【0037】
前記押込み手段39における押込み片39a,39aが、筒状フィルムFにおいて横方向シール部16のシール重合片18a,18bが位置する一側部を内方へ押し込んで折込み部22を形成する。押込み片39a,39aがフィルムに当接して筒状フィルムFの一側部を内方へ押し込む前に、受け部材40における支持片40a,40aが、筒状フィルムFにおける他側のフィルムに当接して支持状態とする支持位置まで近接移動されるようになっている。この受け部材40は、押込み手段39が筒状フィルムFを内方へ押し込む際に押込み片39a,39aの動作と同調し、支持片40a,40aがフィルムから離間した退避位置から筒状フィルムFにおける他側面のフィルムに当接する支持位置まで移動して、筒状フィルムFの他側部を支持することにより折込み部22を形成する際の補助を行う。すなわち、受け部材40は、押込み片39a,39aによる2箇所の押込み位置に対向した筒状フィルムFの他側部の2箇所で、フィルムを支持片40a,40aで受け支える。そのようにすることで、筒状フィルムFの一側において横方向シール部16を押込み片39aの先端をあてがって押し込む際に、筒状フィルム中のおにぎり14と筒状フィルムFとの全体が押されて搬送路から位置ずれするのを防止または最小限に抑えることができると共に、押込み片39aによる押込み量が不均一になってしまったりするのを防止でき、安定した押込み動作を成し得るので良好な包装を行うことができる。
【0038】
また、片面溶着性フィルムの使用時には、シール重合片18a,18bおよび重合部20a,20bの重合面となる部位のフィルムの外面に前記パートコートを施したフィルムを用いることで、フィルムFが前記シール体38a,38bで挟持された際にコート剤が加熱されてシール重合片18a,18bと重合部20a,20bとが相互に接着される。すなわち、縦方向シール部20を形成する際に、シール重合片18a,18bを挟んで重合部20a,20bが相互に接着されると共に両重合部20a,20bが相互に接着されて、2つの重合片18a,18bと2つの重合部20a,20bとの8枚の包装材が重なり合って相互に熱接着により一体となった重合接着部からなる柱状強化部が形成されるので、袋底の強度を一層高めた包装体10をより効率的に製造することができる。
【0039】
前記シール体38a,38bによってフィルムFを搬送方向と交差する方向にシールすると同時に筒状フィルムFを分断するためのナイフには、前記一方の縦方向シール部20に対応して開封ノッチを形成するための開封補助部形成手段としての切刃が一体形成されている。そして、筒状フィルムFがエンドシール手段38によってシール・切断される際に、一方の縦方向シール部20には開封補助部24が形成される。このようにして、開封が容易な包装体10を効率よく製造することができる。なお、縦方向シール部20の形成後に、筒状フィルムFの分断用のナイフとは別に設けたカッターによって該縦方向シール部20に開封補助部24を形成してもよい。
【0040】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)前記折曲げ手段41は、一対の折曲げローラ41a,41aのテーパー面間の隙間に横方向シール部16を案内して折曲げるように構成したが、折曲げローラの平面同士の対向面間に案内して折曲げるものであったり、固定のガイド部材間に案内して折曲げるものであったり、公知の折曲げ形態に係る適宜構成を採用してもよい。
(2)また、折曲げ手段41は、前記サイドシール手段36の下流側に近接して設けてシールの残存熱の利用によりローラにより折癖を効果的に付与するようにしたが、必要に応じて、癖付け具自体を加熱してその熱を利用して折癖を付与するようにしてもよい。
(3)前記サイドシール手段36による加熱直後に、折曲げ手段41によって横方向シール部16を、延出基部16aからおにぎり14の背面側となる下方へ折曲げて筒状フィルムFの一側部に重なるように形成したが、その逆方向への折曲げも採用し得る。すなわち、筒状フィルムFの一側部における上下方向の高さの中間から下方に基端を偏らせて合掌状の重合部を形成し、サイドシール手段36でシールして得られた横方向シール部16を、折曲げ手段41で延出基部16aから上方に折曲げて筒状フィルムFの一側部に重なるように形成する。
(4)実施例では、筒状フィルムFの長手方向重合端縁部の重合高さおよびサイドシール手段36における加熱シール高さは、横方向シール部16を延出基部16aで袋底部に沿って折曲げた際に前記延出長さN1の1/2の位置が物品高さの1/2の位置とし、該位置から延出する横方向シール部16を袋底部に折曲げて横方向シール部16を袋底部における幅方向中央部とし、その横方向シール部16の中央を押込み手段39で押し込むようにしたが、重合端縁部の重合高さについて、袋底部の一方に飛び出して位置しない範囲で横方向シール部16が配置されるように折曲げ形成し、少なくとも、袋底部で折り重なって4重にフィルムが重合する個所であって、おにぎり14の載置高さの1/2に相当する位置に合わせて設けた押込み片39aによる押込み位置において、筒状フィルムFを内方へ押し込むものであればよい。すなわち、比較的軟質でハリが弱いフィルムなど、押し込み時に包装体を構成する他のフィルムが過度に引っ張られて変形するなどの不具合が生じるフィルム以外のものに適応できる。
(5)前記受け部材40は、押込み手段39が筒状フィルムFを内方へ押し込む際に、筒状フィルムFの側面に当接する支持位置まで移動してフィルムFの他側部を支持するようにしたが、これについては、必要に応じて採用されるものであればよい。