(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような背景で発明されたものであり、以下の目的を達成するものである。本発明の目的は、押しボタンの押圧面のどの位置を押しても、押しボタンが傾くことなく円滑に移動し、用途に応じたデザインや寸法の押しボタンを設計することが容易なスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、次の手段を採る。
即ち、本発明1のスイッチ装置は、
箱状のケース(2,24)と、
前記ケース(2,24)に対して移動可能に嵌合
され、上面に平坦な押圧面(31A)
が形成された箱状の押しボタン(3,36)と、
一端が前記ケース(2,24)の一方の側板(25A)に回動可能にかつ前記押圧面(31A)に平行
な方向に移動可能に軸支され
た第1スライドピン(44)、
及び他端が前記押しボタン(3,36)の一方の側板(37A)に回動可能にかつ前記押圧面(31A)に平行
な方向に移動可能に軸支され
た第2スライドピン(43)
を有し、
二つのリンクが交差して配置された一対のリンク(41,42)で構成される第1のXリンク機構(4A)と、
一端が前記ケース(2,24)の一方の側板(25A)に対向する他方の側板(25C)に回動可能にかつ前記押圧面(31A)に平行
な方向に移動可能に軸支され
た第3スライドピン(44)、
及び他端が前記押しボタン(3,36)の
前記一方の側板(37A)に対向する他方の側板(37C)に回動可能にかつ前記押圧面(31A)に平行
な方向に移動可能に軸支され
た第4スライドピン(43)
を有し、
二つのリンクが交差して配置された一対のリンク(41,42)で構成される第2のXリンク機構(4C)と、
一端が前記第1のXリンク機構(4A)の交差部に回動可能に軸支され、他端が前記第2のXリンク機構(4C)の交差部に回動可能に軸支され、前記押圧面に平行に配置された第1のシャフト(51)と、
前記ケース(2,24)に設けられ、前記押圧面(31A)に直交する方向に前記第1のシャフト(51)を移動可能に案内する第1の案内部材(52)と、
前記ケース(2,24)に設けられ、前記押圧面(31A)に平行で前記第1のシャフト(51)と平行に配置された第2のシャフト(53)と、
前記第1のシャフト(51)の一端と前記第2のシャフト(53)の一端を連結する第1のレバー(57)と、
前記第1のシャフト(51)の他端と前記第2のシャフト(53)の他端を連結する第2のレバー(58)と、
前記ケース(2,24)と前記押しボタン(3,36)の間に設けられ、前記押しボタン(3,36)を前記ケース(2,24)から離れる方向に付勢するばね部材(35)と、
前記ケース(2,24)に設けられ、前記押しボタン(3,36)の押圧操作による押しボタン(3,36)の移動動作で作動するスイッチ(61)と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明2のスイッチ装置は、本発明1において、前記スイッチ(61)は、前記
押圧面(31A)への押圧操作による前記押しボタン(3,36)の移動動作で自己発電し、受信器に無線信号を送信するスイッチであることを特徴とする。
本発明3のスイッチ装置は、本発明2において、前記スイッチ(61)は、前記
押圧面(31A)への押圧操作による前記第1のシャフト(51)の移動動作で作動することを特徴とする。
本発明4のスイッチ装置は、本発明3において、前記ばね部材(35)は、前記ケース(2,24)と前記押しボタン(3,36)の四隅に各々1個配置された圧縮コイルばねであることを特徴とする。
本発明5のスイッチ装置は、本発明1において、前記押しボタン(3,36)には、前記押圧面(31A)に直交する方向に前記第1のシャフト(51)を移動可能に案内する第2の案内部材(38)が設けられている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスイッチ装置は、押しボタンの押圧面を押し下げると、第1のXリンク機構と第2のXリンク機構が同期して作動し、押しボタンの押圧面のどの位置を押しても押しボタンは傾くことなく円滑に移動するため、用途に応じたデザインや寸法の押しボタンを設計することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のスイッチ装置1の外観を示す全体斜視図、
図2は
図1のスイッチ装置1から押しボタンを取り外した状態を示す斜視図である。
図3は
図2のスイッチ装置1からばね部材を取り外した状態を示す斜視図、
図4は
図3のスイッチ装置から上ガイド板と押さえ板を取り外した状態を示す斜視図である。
図5は
図4のA−A断面図、
図6は
図4のB−B断面図、
図7は
図4のC−C断面図である。
図1から
図7に示すように、本発明のスイッチ装置1は、矩形箱状のケース2と、ケース2に対して移動可能に外嵌する矩形箱状の押しボタン3で構成される。ケース2は、上面が開口した正方形の箱で、押しボタン3は下面が開口した正方形の箱である。ケース2は、底板21と4個の側板22A〜22Dを有し、底板21の下面21Aは平坦で正方形に形成されている。押しボタン3は、上記底板21に平行な上板31と4個の側板32A〜32Dを有し、上板31の上面には平坦で正方形の押圧面31Aが形成されている。押圧面31Aは底板21の下面21Aに平行に形成されている。
【0011】
上板31の下面(内面)31Bは押圧面31Aに平行に形成され、下面31Bの四隅には、4本のガイドピン33(
図7参照)が一体的に形成されている。ガイドピン33は中空円筒状で、下面31Bに直交する方向に突出して形成されている。ケース2の底板21の四隅には、4個の円形のガイド穴23が形成され、ガイドピン33が押圧面31Aに直交する方向に移動可能に嵌合している。ガイドピン33の下端のめねじには抜け止めピン34がねじ込まれて固定され、ガイドピン33がガイド穴23から上方に抜け出すことを防止している。4本のガイドピン33の外周には圧縮コイルばね(ばね部材)35が各々外嵌している。圧縮コイルばね35は、ケース2のガイド穴23の上面(内面)23Aと押しボタン3の上板31の下面31Bとの間に挟持されている。従って圧縮コイルばね35は、押しボタン3をケース2から離れる方向(
図4から
図6の上方向)に常時付勢している。
【0012】
押しボタン3の上板31の下面31Bには、薄い板状の上ガイド板36が複数のボルトで固定されている。また、ケース2の底板21の上面(内面)21Bには、薄い板状の下ガイド板24が複数のボルトで固定されている。上ガイド板36には、
図6の左右方向の両端に側板37A、37Cが形成されている。側板37A、37Cは、下面31Bに直交する方向に突出して形成され、押しボタン3の側板32A、32Cに平行に形成されている。また下ガイド板24には、
図6の左右方向の両端に側板25A、25Cが形成されている。側板25A、25Cは、上面21Bに直交する方向に突出して形成され、ケース2の側板22A、22Cに平行に形成されている。
図6の左側の側板37Aと左側の側板25Aとの間には第1のXリンク機構4Aが配置されている。また、
図6の右側の側板37Cと右側の側板25Cとの間には第2のXリンク機構4Cが配置されている。
【0013】
第1のXリンク機構4Aと第2のXリンク機構4Cは同一形状である。第1のXリンク機構4A、第2のXリンク機構4Cは、交差して配置された一対の薄板状のリンク41、42で構成されている。リンク41、42は同一長さに形成されている。
図6、
図7に示すように、リンク41、42の上端(押しボタン3側)は、スライドピン43、43に回動可能に軸支されている。また、リンク41、42の下端(ケース2側)は、スライドピン44、44に回動可能に軸支されている。上ガイド板36の側板37A、37Cには長溝(
図7の左右方向に長い)45、45が形成され、スライドピン43、43が
図7の左右方向(押しボタン3の押圧面31Aに平行)に移動可能に支持されている。また、下ガイド板24の側板25A、25Cには長溝(
図7の左右方向に長い)46、46が形成され、スライドピン44、44が
図7の左右方向(押しボタン3の押圧面31Aに平行)に移動可能に支持されている。
【0014】
図6に示すように、第1のXリンク機構4Aの交差部と第2のXリンク機構4Cの交差部に第1のシャフト51の一端と他端が各々回動可能に軸支されている。第1のシャフト51は押しボタン3の押圧面31Aに平行に配置されている。第1のシャフト51は、第1の案内部材52、52に案内されて、押しボタン3の押圧面31Aに直交する方向(
図5の上下方向)に移動可能である。第1の案内部材52、52はケース2の上面21Bに一体的に形成され、第1のシャフト51を
図5の左右方向の両側から挟み込み、第1のシャフト51の軸方向の両端を案内している。ケース2の上面21Bには第2のシャフト53が第1のシャフト51と平行に設置されている。ケース2の上面21Bには支持板54、54が一体的に形成され、第2のシャフト53の軸方向の両端が支持板54、54の上面に載置され、押しボタン3の押圧面31Aに平行に第2のシャフト53を支持している。また、ケース2の上面21Bには、第2のシャフト53の軸方向の両端に、円柱状の支柱55、55が一体的に形成され、第2のシャフト53を
図5の左右方向から挟み込んでいる。支柱55、55と第2のシャフト53との間には、
図5の左右方向に若干の隙間が形成されている。支柱55、55の上面には矩形板状の押さえ板56が固定されている。押さえ板56は第2のシャフト53を支持板54、54の上面との間で軽く挟み込んでいる。従って、第2のシャフト53は、支持板54、54と押さえ板56の間で、
図5の左右方向に若干移動可能に支持されている。
【0015】
図4、
図6に示すように、第1のシャフト51と第2のシャフト53の両端は、第1のレバー57と第2のレバー58で連結されている。第1のレバー57と第2のレバー58は、第1のシャフト51と第2のシャフト53の中心軸線に対して直交して取り付けられている。第1のシャフト51は第1のレバー57と第2のレバー58に回動可能に軸支されている。第2のシャフト53は第1のレバー57と第2のレバー58に回動不能に軸支されている。すなわち、第2のシャフト53の両端には、円柱軸の両側面を削いだ二面幅軸部(
図7参照)531が形成され、第1のレバー57と第2のレバー58の二面幅溝に係合している。従って、押しボタン3を押すと、押しボタン3の押圧面31Aに常時平行に支持された第2のシャフト53によって規制されて、第1のシャフト51は、押しボタン3の押圧面31Aに対して常時平行な状態を維持し、押しボタン3の押圧面31Aに直交する方向(
図5の上下方向)に移動する。
【0016】
ケース2の上面21Bにはスイッチ61が固定されている。スイッチ61には、
図5に示すように板ばね62が取り付けられ、板ばね62の先端が第1のシャフト51の下まで延びている。押しボタン3が押されて第1のシャフト51が
図5の下方に移動すると、第1のシャフト51が板ばね62の先端を押し下げる。板ばね62が押し下げられると、スイッチ61の図示しない永久磁石がスイッチ61の誘導コイル内で移動し、誘導コイルに電流が流れる。すなわち、スイッチ61は、電源や電池が不要で、電磁誘導で自己発電する。この自己発電した電流で、スイッチ61は図示しない受信器に無線信号を送信し、照明等の電気機器をON、OFFする。ケース2の上面21Bには第1のシャフト51と板ばね62の真下に押し上げピン71が固定されている。押し上げピン71は圧縮コイルばね72によって常時
図5の上方に押し上げられ、板ばね62の先端を押し上げている。従って、押しボタン3から手を離して第1のシャフト51が
図5の上方に移動すると、押し上げピン71が板ばね62の先端を押し上げて、
図5に示すように、押しボタン3の押圧面31Aに平行な状態に板ばね62を戻す。
【0017】
以上のように構成されたスイッチ装置1の押しボタン3の押圧面31Aを押し下げると、スライドピン43、43が押し下げられる。スライドピン43、43が押し下げられると、リンク41、42がスライドピン44、44を中心にして回転する。
図7で、リンク41はスライドピン44を中心にして反時計方向に回転する。リンク42はスライドピン44を中心にして時計方向に回転する。リンク41がスライドピン44を中心にして反時計方向に回転すると、リンク41のスライドピン43は長溝45に沿って
図7の左方向に移動し、リンク41のスライドピン44は長溝46に沿って
図7の右方向に移動する。また、リンク42がスライドピン44を中心にして時計方向に回転すると、リンク42のスライドピン43は長溝45に沿って
図7の右方向に移動し、リンク42のスライドピン44は長溝46に沿って
図7の左方向に移動する。
【0018】
リンク41、42がスライドピン44、44を中心にして回転すると、第1のシャフト51が第1の案内部材52、52に案内されて、押しボタン3の押圧面31Aに直交する方向(
図5〜
図7の下方向)に移動する。第1のシャフト51は第2のシャフト53によって規制されて、押しボタン3の押圧面31Aに平行な状態を維持して下方向に移動する。従って、第1のXリンク機構4A、第2のXリンク機構4Cは同期して作動し、押しボタン3の押圧面31Aはケース2の下面21Aに平行な状態を維持して下方向に移動する。すなわち、押しボタン3の押圧面31Aのどの位置を押しても、押しボタン3は傾くことなく円滑に下方向に移動し、確実に所定のストロークだけ押しボタン3が移動する。
図9に示すように、押しボタン3が押し下げられると、四隅に各々1個配置された圧縮コイルばね35が圧縮される。
【0019】
押しボタン3が押されて第1のシャフト51が
図5の下方に所定のストロークだけ移動すると、
図8、
図9に示すように、第1のシャフト51が板ばね62の先端を押し下げる。板ばね62が押し下げられると、スイッチ61の誘導コイルに電流が流れ、スイッチ61は、図示しない受信器に無線信号を送信し、照明等の電気機器をON、OFFする。押しボタン3の押圧面31Aから手を離すと、圧縮コイルばね35の付勢力で押しボタン3が
図8の上方に移動し、
図5〜
図7の状態に戻る。すると、押し上げピン71が圧縮コイルばね72によって
図8の上方に押し上げられ、板ばね62の先端を押し上げ
図5〜
図7の状態に戻す。
【0020】
本発明のスイッチ装置1は、押しボタン3の押圧面31Aのどの位置を押しても、押しボタン3は傾くことなく円滑に移動するため、用途に応じたデザインや寸法の押しボタンを設計することが容易となる。また、圧縮コイルばね35の付勢力を適宜選定することによって、用途に応じて押しボタン3を押す力を調整することが容易となる。
【0021】
次に、本発明の他の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図10は、本発明のスイッチ装置の他の実施の形態を示し、スイッチ装置を裏返してケース、スイッチを取り外した状態を示す斜視図である。
図10に示すように、押しボタン3の下面31Bには、第2の案内部材38、38が一体的に形成され、第1のシャフト51を両側から挟み込み、第1のシャフト51の軸方向の両端を案内している。
図10では、第1のシャフト51の軸方向の一端側の第2の案内部材38だけが見えている。押しボタン3と第1のXリンク機構4A、第2のXリンク機構4Cは、スライドピン43、43(
図7参照)で連結されているが、スライドピン43、43は長溝45、45に嵌合し、押しボタン3の押圧面31Aに平行に移動可能に支持されている。従って、押しボタン3と第1のXリンク機構4A、第2のXリンク機構4Cとの間には、押しボタン3の押圧面31Aに平行な方向に若干のガタがある。
【0022】
従って、押しボタン3の押し下げストロークが大きなスイッチ装置を設計すると、このガタが大きくなる。
図10に示すように、第2の案内部材38、38を設けることによって、押しボタン3が押し下げられると、前述したように第1のシャフト51がケース2側の第1の案内部材52、52に案内されて、押しボタン3の押圧面31Aに直交する方向に移動する。同時に、この第1のシャフト51に案内されて押しボタン3側の第2の案内部材38、38が押しボタン3の押圧面31Aに直交する方向に移動するため、押しボタン3と第1のXリンク機構4A、第2のXリンク機構4Cとの間のガタを解消することが可能となる。
【0023】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこの実施例に限定されることはない。例えば、前述した実施例では、押しボタン3に固定された上ガイド板36の側板37A、37Cと、ケース2に固定された下ガイド板24の側板25A、25Cを介して第1のXリンク機構4Aと第2のXリンク機構4Cが取り付けられているが、押しボタン3の側板32A、32Cと、ケース2の側板22A、22Cに第1のXリンク機構4Aと第2のXリンク機構4Cを直接取り付けてもよい。また、前述した実施例では、押しボタン、ケースは矩形箱状であるが、円形箱状、楕円形箱状等、任意形状の箱型、又半箱状のものであってもよい。