(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1または2に記載の溶接シーケンス・エディタにおいて、前記コンピュータが、溶接ジョブ・シーケンサが使用するための前記溶接シーケンス・ファイルを出力するように構成された通信装置を備え、好ましくは、前記通信装置が無線通信装置として構成されることを特徴とする溶接シーケンス・エディタ。
請求項1乃至3の何れか1項に記載の溶接シーケンス・エディタにおいて、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースの使用を容易にするためのキーボードおよびマウスのうちの、1つまたは複数を提供するユーザ入力装置をさらに備えることを特徴とする溶接シーケンス・エディタ。
請求項5に記載の溶接システムにおいて、前記溶接ジョブ・シーケンサに動作可能なように接続された表示装置をさらに備え、好ましくは前記表示装置が、ユーザ入力機能を提供するタッチスクリーン表示装置であることを特徴とする溶接システム。
請求項5または6に記載の溶接システムにおいて、前記溶接作業セルが、ワイヤ供給装置、溶接ケーブル、溶接工具、消耗性溶接ワイヤ、消耗性溶接電極、非消耗性溶接電極、被加工物コネクタ、および溶接される1つまたは複数の被加工部品のうちの、1つまたは複数を備えることを特徴とする溶接システム。
請求項5乃至7の何れか1項に記載の溶接システムにおいて、前記溶接シーケンスを実施するとき、前記溶接ジョブ・シーケンサが、前記溶接電源、前記ワイヤ供給装置、または前記溶接工具のうちの、1つまたは複数と相互作用するように構成されることを特徴とする溶接システム。
請求項5乃至8の何れか1項に記載の溶接システムにおいて、オペレータによる前記溶接ジョブ・シーケンサの使用を容易にするためのキーボードおよびマウスのうちの、1つまたは複数を提供するユーザ入力装置をさらに備えることを特徴とする溶接システム。
請求項10に記載の方法において、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースのツール・バー・セクションを使用して、前記溶接シーケンスを電子ファイルにエクスポートするステップをさらに含み、前記電子ファイルが、前記コンピュータの記憶装置に記憶されることを特徴とする方法。
請求項10または11に記載の方法において、前記コンピュータから溶接ジョブ・シーケンサ構成要素まで、前記電子ファイルを無線で伝送するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
請求項10乃至12の何れか1項に記載の方法において、機能溶接シーケンス・グループから機能溶接シーケンス・ステップを削除すること、または機能溶接シーケンス・グループに機能溶接シーケンス・ステップを追加することのうち1つまたは複数により、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースを使用して前記溶接シーケンスを修正するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
請求項10乃至13の何れか1項に記載の方法において、機能溶接シーケンス・ステップに関連する1つまたは複数の特性を修正することにより、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースを使用して前記溶接シーケンスを修正するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
請求項10乃至14の何れか1項に記載の方法において、機能溶接シーケンス・ステップに関連する1つまたは複数のパラメータを修正することにより、前記グラフィカル・ユーザ・インターフェースを使用して前記溶接シーケンスを修正するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の各実施形態は、溶接ジョブ・シーケンサが使用する溶接シーケンスを生成し、編集するためのシステムおよび方法を提供する。ユーザが溶接シーケンスを生成できるよう支援するためのシステムおよび方法が提供される。溶接シーケンス・エディタによって、ユーザは、1組の作業指示を完了するための機能のフローチャートを作成できるようになり、各ステップの論理グループにこの機能を編成できるようになる。各ステップの論理グループには番号と名前を付けてもよく、各グループの第1の機能を識別することができる。溶接シーケンスが実行されるとき、各論理グループは、オペレータにとっては定義された目に見えるステップである。各論理グループを使用して情報を編成し、1組の作業指示を進んで行くが、ワーク・フローのオペレータの視界を妨げることなく複数のバックグラウンド機能が実行される。溶接シーケンス・エディタにより、エディタのユーザにとっての詳細な視点、および作業セルのオペレータにとっての要約された視点にまで、これらの作業指示を編成するための方法が実現する。
【0020】
初めに、溶接シーケンスを使用して溶接作業を実行する考え方の意味を理解するために、溶接ジョブ・シーケンサを使用する実施形態を本明細書で説明する。続いて、溶接ジョブ・シーケンサが使用する溶接シーケンスを生成することに関連して、溶接シーケンス・エディタ(WSE)を本明細書で説明する。
【0021】
溶接ジョブ・シーケンサ
本明細書での用語「構成要素(component)」は、ハードウェアの一部分、ソフトウェアの一部分、またはその組合せとして定義することができる。ハードウェアの一部分は、少なくともプロセッサ、および記憶装置の一部分を含むことができ、この記憶装置は、実行すべき命令を含む。
【0022】
用語「溶接(welding)」およびその派生形は、本明細書においては、アーク溶接、レーザ溶接、ろう付け、ハンダ付け、プラズマ切断、水ジェット切断、レーザ切断、ならびに、本明細書で考察する材料の精神および範囲から逸脱することなく、同様の制御方法を使用する他の任意のシステムおよび方法のうち任意のものを指してもよい。
【0023】
本明細書での各例および各図は専ら例示的なものであって、本発明を限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲に記載の範囲および精神によって判断する。次に各図面を参照すると、これらの説明は専ら本発明の例示的な実施形態を説明するためのものであって、それを限定するものではない。
図2を参照する。
図2に示すように、本発明の例示的な一実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサが提示される。この溶接ジョブ・シーケンサは、内部で使用可能な溶接スケジュールの数を落とさずに半自動作業セルの生産性を高めることによって、関連技術の半自動作業セルを改良する。溶接ジョブ・シーケンサは、半自動作業セル内で自動変更を実施することによって、また一連のコマンドおよび命令をオペレータに提示することによって、この改良を実現する。
【0024】
より具体的には、例示的な一実施形態において、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接作業セルの機能を自動的に選択し、それを実施する。このような機能の一例には、半自動作業セルで使用される特定の溶接スケジュールが含まれる。すなわち、溶接ジョブ・シーケンサは、オペレータにとって自動的に(すなわり、オペレータの特定の介入なしに)、特定の溶接向けに使用されるスケジュールを選択し、この選択された溶接スケジュールに従って半自動作業セルの設定を修正してもよい。
【0025】
さらに、例示的な実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサは、オペレータが最終溶接組立体を作製するために従うべき一連の作業を、自動的に指示してもよい。溶接スケジュールを自動的に選択するとともに、指示されたこのシーケンスによって、オペレータは、時間を費やして個々の溶接スケジュールおよび/または溶接シーケンスを調整し、選択し、または再検討する必要もなく、最終溶接部品を作製するためのシーケンスに従うことができるようになる。
【0026】
したがって、溶接ジョブ・シーケンサが溶接装置を設定し、ワーク・フローを編成するので、また、オペレータだけが溶接作業自体を実行するので、溶接作業で誤りの生じる可能性が非常に低くなり、生産性および品質が改善される。
【0027】
図2に、例示的な実施形態が図式的に示してある。
図2において、作業110で、溶接ジョブ・シーケンサが作業を開始し、直ちに溶接装置を設定して、溶接スケジュールAを使用し(作業120)、溶接#1、#2、および#3を実行するようオペレータに命令する、次いで、オペレータは、溶接スケジュールAを使用して、溶接#1、#2、および#3を実行する(作業122、124、および126)。次に、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接スケジュールBを使用するよう溶接装置を設定し(作業130)、溶接#4を実行するようオペレータに命令する。次いで、オペレータは、溶接スケジュールBを使用して、溶接#4を実行する(作業132)。溶接スケジュールBを完了した後、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接スケジュールCを使用するよう溶接装置を設定し(作業150)、溶接#5および#6を実行し、また部品を検査するようオペレータに命令する。次いで、オペレータは、溶接スケジュールCを使用して溶接#5および#6を実行し(作業152および154)、作業完了した部品を検査して、それが正しいことを確認する(作業160)。この検査には、寸法検証、目視欠陥確認、または必要となり得る他の任意のタイプの検査が含まれ得る。さらに、作業160は、「OK」ボタンを押すことなどによって、この検査が完了したことをオペレータが肯定的に示した後に、次の作業に移ることが可能になるという要求条件を含んでもよい。最後に、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接作業が終了し(作業170)、次の作業のためにリセットすることを示す。
【0028】
したがって、前述の通り、溶接動作の順序付けおよびスケジューリングは、シーケンサによって遂行され、オペレータが命令に従って自由に溶接の実行に集中できるようにする。
【0029】
溶接ジョブ・シーケンサは、様々な変数または入力に基づいて、
図2に示した溶接スケジュールA、B、およびCの選択や実施など、新規の機能を選択し、それを実施してもよい。たとえば、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接作業の開始以降、または溶接の中止以降の経過時間(前述の
図2での溶接#3後の時間など)の監視に基づいて、単に新規の溶接スケジュールを選択してもよい。あるいは、溶接ジョブ・シーケンサは、オペレータの動作を監視し、この動作と識別された一連の溶接とを比較し、新規の溶接スケジュールを適切に選択してもよい。さらに、最終的な結果が、溶接スケジュールなど、オペレータが使用するための機能を自動的に選択および実施することである限り、これらの方法の様々な組合せ、または他の任意の有効な方法を実施してもよい。
【0030】
選択された溶接スケジュールのパラメータには、溶接プロセス、ワイヤ・タイプ、ワイヤ・サイズ、WFS、電圧、トリム、どのワイヤ供給装置を使用するか、またはどの供給ヘッドを使用するかが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。
【0031】
上記説明は、自動的に選択されて実施される機能としての溶接スケジュールの選択に焦点を当てているが、溶接ジョブ・シーケンサは、この機能だけを使用することに限定されない。
【0032】
たとえば、溶接ジョブ・シーケンサが選択し、実施してもよい実現可能な他の機能は、溶接スケジュールに従って単一の電源における複数のワイヤ供給装置のうちから1つを選択することである。この機能は、半自動作業セル内のオペレータが実行できる溶接ジョブにさらに幅広い多様性をもたらすが、それというのも、様々なワイヤ供給装置が、たとえば、ワイヤ・サイズおよびワイヤ・タイプの幅広い多様性を実現することができるからである。
【0033】
溶接ジョブ・シーケンサに適合する機能の別の例は、品質検査機能である。この機能は、ジョブ・シーケンスを継続できるようにする前に、溶接(溶接中または溶接が完了した後の何れか)の品質検査を実行する。この品質検査は、様々な溶接パラメータを監視することができ、溶接作業を一時停止することができ、異常が検出されたかどうかオペレータに警告することができる。この機能によって測定可能な溶接パラメータの一例はアーク・データでもある。
【0034】
このような機能の別の例は、繰返し機能となる。この機能は、特定の溶接または溶接シーケンスを繰り返すようオペレータに指示することになる。この機能の使用法の一例には、品質検査機能が異常をいつ示すのか、またはそれら溶接の複数の事例がいつ必要となるのかが含まれる。
【0035】
このような機能の別の例は溶接工通知機能でもあり、この機能は溶接工に情報を伝達する。この機能は、情報を表示し、可聴信号を提示し、または他の何らかの手段によって溶接工と通信することになる。この機能の使用法の例には、オペレータが自由に溶接を開始できることをオペレータに示すこと、または品質目的のために溶接部品の何らかの部分をオペレータが検査しなければならないことを示すことが含まれる。
【0036】
このような機能の別の例は、ジョブ情報入力機能でもある。この機能は、ジョブ・シーケンサが継続できるようになる前に、部品のシリアル・ナンバー、個人ID番号、または他の特別な条件などの情報を溶接工が入力することを必要とする。この情報はまた、無線周波数識別(RFID)、バーコード走査などを用いて、部品または在庫タグ自体から読み取ることができる。次いで、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接作業のための入力情報を利用することもできる。この機能の使用法の一例は、どのスケジュールおよび/またはシーケンスを選択すべきかを溶接ジョブ・シーケンサに示すための、溶接作業全体の前提でもある。
【0037】
このような機能のさらなる例は、ジョブ報告機能でもある。この機能は、溶接ジョブについての報告を作成することになり、これには、実行される溶接の数、合計および個々のアーク・タイミング、シーケンス割込み、誤り、障害、ワイヤ使用量、アーク・データなどの情報が含まれ得る。この機能の使用法の一例は、溶接プロセスの効率および品質についての、製造品質部門への報告でもある。
【0038】
このような機能のさらなる例は、システム検査機能でもある。この機能は、溶接ジョブが、継続できるかどうか、またワイヤ供給装置、ガス供給装置、(ジョブを完了するのに必要となる時間と比較した)シフト時の残り時間などのパラメータを監視できるかどうか確定することになる。次いで、この機能は、溶接ジョブを継続するのに十分な時間および/または材料が存在することをパラメータが示すかどうか判定することもできる。この機能は、材料がなくなってしまうことによるダウンタイムを防止し、熱およびスケジューリングの問題点に起因する品質問題につながりかねない仕掛り中の組立体が遅延しないようにすることになる。
【0039】
さらに前述の通り、溶接ジョブ・シーケンサは、様々な変数または入力に基づいて、新規の機能を選択し、それを実施してもよい。これらの変数および入力は、特に限定されるものではなく、別の機能とすることも可能である。たとえば、溶接ジョブ・シーケンサに適合する別の機能は、溶接作業実行機能である。この機能は、オペレータが実行する実際の溶接を検出し、作業をさらに進めるかどうか溶接ジョブ・シーケンサが判定できるよう、その溶接を報告するように設計される。たとえば、この機能は、オペレータが溶接作業を開始するためのトリガを引くときに開始し、溶接が完了した後、または溶接が開始した後の所定の期間後にオペレータがトリガを解放するときに終了することによって動作することができる。この機能は、トリガが解放されるときに終了することもでき、一定期間、一定量のワイヤ、または一定量のエネルギーが与えられた後に自動的にオフになるよう構成することもできる。この機能を使用して、前述の通り、新規の溶接スケジュールなど新規の機能をいつ選択するか決定してもよい。
【0040】
図3は、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302(溶接ジョブ・シーケンサとも称する)を利用して、2つ以上の溶接作業で被加工物を組み立てるための溶接装置を構成する溶接システム300の例示的な実施形態の概略ブロック図である。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、被加工物に2つ以上の溶接手順を実行するための設定、構成、および/またはパラメータを含む溶接シーケンスを実施するように構成される。具体的には、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、溶接ジョブ・シーケンサとして前述した通り、2つ以上の溶接スケジュールを含む2つ以上の溶接部を作成するよう、溶接装置を自動的に構成する。さらに、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、溶接シーケンスを利用して、2つ以上の溶接をオペレータが実行できるよう支援する。前述の通り、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、半自動溶接作業セル304とともに利用することができる。しかし、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、少なくとも溶接装置およびオペレータを含む適切な溶接環境または溶接システムに実装して、1つまたは複数の溶接の作製を容易にすることができることを評価および理解されたい。
【0041】
溶接システム300はさらに、溶接プロセスおよび/または溶接オペレータをリアルタイムで監視するように構成されたチェック・ポイント構成要素306を備える。たとえば、溶接プロセスがリアルタイムに監視されて、溶接パラメータ(たとえば、とりわけ電圧、電流)、溶接スケジュール・パラメータ(たとえば、とりわけ溶接プロセス、ワイヤ・タイプ、ワイヤ・サイズ、WFS、電圧、トリム、使用するワイヤ供給装置、使用する供給ヘッド)、溶接部が作製されるときの被加工物上の溶接部、オペレータの動き、溶接工具の位置、溶接装置の位置または場所、オペレータの位置または場所、センサ・データ(たとえば、とりわけビデオ・カメラ、画像キャプチャ、熱画像処理装置、熱検知カメラ、温度センサ)などのうち、少なくとも1つを検出する。チェック・ポイント構成要素306は、警告または通知を伝達して、リアルタイム監視の状況を示すことができる警告システム(図示せず)を備える。一実施形態では、チェック・ポイント構成要素306は、リアルタイム監視が、溶接システム300内の異常を精密に識別できるための、閾値、範囲、限界などを利用することができる。さらに、チェック・ポイント構成要素306は、溶接作業セル304またはオペレータに警告または通知を伝達して、溶接手順を停止するか、溶接手順を継続するか、溶接手順を一時停止するか、溶接手順を終了するか、それとも溶接手順の承認を要求するかのうち、少なくとも1つを実行することができる。一実施形態では、チェック・ポイント構成要素306は、監視データ(たとえば、ビデオ、画像、結果、センサ・データなど)を、とりわけサーバ、データ記憶装置、クラウド、それらの組合せのうちの少なくとも1つに記憶することができる。
【0042】
溶接スコア構成要素308は、溶接システム300に設けられ、溶接作業セル304内でオペレータが作製する溶接が完了すると、このような溶接を評価するように構成される。溶接スコア構成要素308は、完成した溶接部についての評価点すなわちスコアを提示して、被加工物および/または被加工物の組立てへの品質管理の実施を容易にする。たとえば、溶接スコア構成要素308は、完了すると品質検査に警告を発し、ジョブ(たとえば、とりわけ被加工物の組立て、被加工物への溶接)のデータを収集することなどができる。一実施形態では、組立ての一部が完了すると(たとえば、とりわけ溶接の完了、2つ以上の溶接の完了、組立ての完了)、人による品質検査を実行することができる。他の実施形態では、溶接スコア構成要素308は、データを収集するためのセンサ(たとえば、とりわけビデオ・カメラ、画像キャプチャ、熱画像処理装置、熱検知カメラ、温度センサ)を利用して、ジョブの承認を決定することができる。たとえば、品質検査は、ジョブが完了すると収集されるビデオまたは画像データを用いて、遠隔で実行することができる。
【0043】
溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、(図示したように)独立型の構成要素とすることができ、溶接作業セル304に組み込むことができ、チェック・ポイント構成要素306に組み込むことができ、溶接スコア構成要素308に組み込むことができ、またはそれらの適切な組合せとすることができることを理解されたい。さらに、以下に述べるように、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、分散システム、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、クラウドベースのシステム、またはそれらの組合せとすることができる。さらに、チェック・ポイント構成要素306は、(図示したように)独立型の構成要素とすることができ、溶接作業セル304に組み込むことができ、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302に組み込むことができ、溶接スコア構成要素308に組み込むことができ、またはそれらの適切な組合せとすることができることを理解されたい。さらに、チェック・ポイント構成要素306は、分散システム、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、クラウドベースのシステム、またはそれらの組合せとすることができる。さらに、溶接スコア構成要素308は、(図示したように)独立型の構成要素とすることができ、溶接作業セル304に組み込むことができ、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302に組み込むことができ、チェック・ポイント構成要素306に組み込むことができ、またはそれらの適切な組合せとすることができることを理解されたい。さらに、溶接スコア構成要素308は、分散システム、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、クラウドベースのシステム、またはそれらの組合せとすることができる。
【0044】
図4には、溶接回路経路405を備える溶接システム400の、例示的な一実施形態の概略ブロック図が示してある。溶接システム400は、溶接作業セルとも呼ばれており、溶接作業セルおよび/または溶接システム400は、溶接部または溶接された部品を作製できることを理解されたい。溶接システム400は、溶接機電源410、および溶接機電源410に動作可能に接続された表示装置415を備える。あるいは、表示装置415は、溶接機電源410の一体部分でもよい。たとえば、表示装置415は、溶接機電源410に組み込むことができ、(図示したように)独立型の構成要素とすることができ、またはそれらの組合せとすることができる。溶接システム100はさらに、溶接ケーブル120、溶接工具430、被加工物コネクタ450、ワイヤのスプール460、ワイヤ供給装置470、ワイヤ480、および被加工物440を含む。本発明の一実施形態によれば、ワイヤ480は、スプール460からワイヤ供給装置470を介して溶接工具430に供給される。本発明の別の実施形態によれば、溶接システム400は、ワイヤのスプール460、ワイヤ供給装置470、またはワイヤ480を含まないが、その代わりに、たとえば手棒溶接などで使用される消耗電極を含む溶接工具を備える。本発明の様々な実施形態によれば、溶接工具430は、溶接トーチ、溶接ガン、および溶接消耗材料のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0045】
溶接回路経路405は、溶接機電源410から溶接ケーブル420を通って溶接工具430まで延びており、かつ/または被加工物440を通って被加工物コネクタ450まで延びており、また溶接ケーブル420を通って溶接機電源110まで戻る。動作中、電流が溶接回路経路405を通って流れ、電圧が溶接回路経路405に印加される。例示的な実施形態によれば、溶接ケーブル420は、同軸ケーブル・アセンブリを含む。別の実施形態によれば、溶接ケーブル420は、溶接機電源410から溶接工具430まで延びる第1のケーブル長、および被加工物コネクタ450から溶接機電源410まで延びる第2のケーブル長を有する。
【0046】
溶接システム400は、(前述の通り)溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302を備える。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、溶接システム400の一部分と対話するように構成される。たとえば、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、少なくとも電源410、溶接回路経路405の一部分、ワイヤのスプール460、ワイヤ供給装置470、またはそれらの組合せと対話することができる。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、溶接シーケンスに基づいて溶接システム400の1つまたは複数の要素を自動的に調整し、この溶接シーケンスを利用して、各溶接手順についてのそれぞれの設定または構成で、2つ以上の溶接手順を実行するよう、オペレータの介入なしに溶接システム400(またはその要素)を構成する。
【0047】
一実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、溶接シーケンスを利用して溶接装置を自動的に構成する。溶接システム400または溶接作業セルは、1つまたは複数の被加工物を組み立てるために複数の溶接シーケンスを利用できることを理解されたい。たとえば、被加工物は、組立体を完成するために3つの溶接部を含むことができ、ここで、第1の溶接部向けに第1の溶接シーケンスを使用することができ、第2の溶接部向けに第2の溶接シーケンスを使用することができ、第3の溶接部向けに第3の溶接シーケンスを使用することができる。さらに、このような例では、3つの溶接部を含む被加工物の組立体全体を、溶接シーケンスとして参照することができる。一実施形態では、特定の構成またはステップを含む溶接シーケンスはさらに、異種の溶接シーケンス(たとえば、入れ子式溶接シーケンス)内に含むことができる。入れ子式溶接シーケンスは、手順の一環として溶接シーケンスを含む溶接シーケンスとすることができる。さらに、溶接シーケンスには、とりわけパラメータ、溶接スケジュール、溶接スケジュールの一部分、段階的な命令、媒体(たとえば、画像、ビデオ、テキストなど)の一部分、チュートリアルのうちの少なくとも1つが含まれ得る。一般に、溶接シーケンスを作成および利用すると、溶接装置をオペレータが手動で設定することなく、特定の被加工物について溶接手順を介してオペレータを案内して、このような溶接手順を実行することができる。主題の新機軸は、溶接シーケンスを作成すること、および/または溶接シーケンスを修正することに関する。
【0048】
1つまたは複数の溶接機電源(たとえば、溶接機電源410)は、溶接機電源が実施するために電力を供給している先のそれぞれの溶接プロセスに対して、それぞれのデータを集約する。このように収集されたデータは、各溶接機電源に関するものであり、本明細書では「溶接データ」と呼ぶ。溶接データには、溶接機電源が電力を供給している先の特定の溶接プロセスに特有の溶接パラメータおよび/または溶接データが含まれ得る。たとえば、溶接データは、出力(たとえば、とりわけ波形、特徴、電圧、電流)、溶接時間、消費電力、溶接プロセス用の溶接パラメータ、溶接プロセス用の溶接機電源出力などとすることができる。一実施形態では、溶接データは、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302で利用することができる。たとえば、溶接データは、溶接シーケンスによって設定することができる。別の例では、溶接データは、設定を確認検査するためのフィードバック・ループまたはフィードフォワード・ループとして使用することができる。
【0049】
一実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、本明細書で開示した方法およびプロセスを実行するためのコンピュータ動作可能な構成要素である。本発明の実施形態の様々な態様についてさらに説明するため、以下の考察では、本発明の実施形態の様々な態様を実装することができる適切なコンピューティング環境の概要を簡潔に述べるものである。本実施形態はこれまで、1つまたは複数のコンピュータ上で実行できるコンピュータ実行可能な命令の一般的状況において説明してきたが、本実施形態はまた、他のプログラム・モジュールと組み合わせて、ならびに/またはハードウェアおよび/もしくはソフトウェアの組合せとして実施してもよいことが当業者には理解されよう。一般に、プログラム・モジュールは、ルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは特定のタスクを実行し、または特定の抽象データ型を実装する。
【0050】
さらに、発明性のある方法は、シングルプロセッサまたはマルチプロセッサのコンピュータ・システム、ミニコンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、ならびにパーソナル・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング装置、マイクロプロセッサ・ベースまたはプログラマブルの家庭用電化製品などを含め、他のコンピュータ・システム構成で実施してもよく、これらのそれぞれを、1つまたは複数の関連する装置に動作可能なように結合してもよいことが当業者には理解されよう。本発明の例示した態様はまた、通信ネットワークを介してリンクされる遠隔処理装置によってある種のタスクが実行される、分散コンピューティング環境において実施してもよい。分散コンピューティング環境においては、プログラム・モジュールは、ローカルのメモリ記憶装置と遠隔のメモリ記憶装置の両方に配置してもよい。たとえば、遠隔データベース、ローカル・データベース、クラウドコンピューティングのプラットフォーム、クラウド・データベース、またはそれらの組合せを、溶接ジョブ・シーケンサ302とともに利用することができる。
【0051】
溶接ジョブ・シーケンサ302は、本発明の様々な態様を実装するための、コンピュータを含む例示的な環境を利用することができ、ここでコンピュータは、処理装置、システム・メモリ、およびシステム・バスを備える。システム・バスは、それだけに限定されないが、システム・メモリを含むシステム構成要素を処理ユニットに結合する。処理ユニットは、様々な市販のプロセッサのうち任意のものでもよい。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャも、処理ユニットとして利用することができる。
【0052】
システム・バスは、様々な市販のバス・アーキテクチャのうち任意のものを使用する、メモリ・バスまたはメモリ制御装置、周辺装置バス、およびローカル・バスを備えるいくつかのタイプのバス構造のうちの任意のものとすることができる。システム・メモリには、リード・オンリ・メモリ(ROM)およびランダム・アクセス・メモリ(RAM)が含まれ得る。起動中などに溶接ジョブ・シーケンサ302内の各要素間で情報を転送する助けとなる基本ルーチンを含む、基本入出力システム(BIOS)がROMに記憶される。
【0053】
溶接ジョブ・シーケンサ302はさらに、たとえば取外し可能ディスクとの間で読み書きするための、ハード・ディスク・ドライブ、磁気ディスク・ドライブを備えることができ、たとえばCD−ROMディスクを読み取るため、または他の光媒体との間で読み書きするための光ディスク・ドライブを備えることができる。溶接ジョブ・シーケンサ302は、少なくともいくつかの形式のコンピュータ読取り可能な媒体を備えることができる。コンピュータ読取り可能な媒体は、コンピュータがアクセスできる利用可能な任意の媒体とすることができる。一例として、また限定することなく、コンピュータ読取り可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ読取り可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール、または他のデータなど、情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、取外し可能および取外し不可能な媒体が含まれ得る。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、もしくは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、もしくは他の磁気記憶装置、または、所望の情報を記憶するのに使用することができ、溶接ジョブ・シーケンサ302からアクセスすることができる他の任意の媒体を含むが、それだけには限定されない。
【0054】
通信媒体は通常、搬送波または他の搬送機構などの変調されたデータ信号内に、コンピュータ読取り可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール、または他のデータを包含し、任意の情報送達媒体を含む。用語「変調データ信号」は、信号内に情報を符号化するように設定または変更された、その特性のうち1つまたは複数の特性を有する信号を意味する。一例として、それだけには限定しないが、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接配線接続などの有線媒体、および、音波、無線周波数(RF)、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、赤外線、および/または他の無線媒体などの無線媒体を含んでもよい。上記任意の組合せも、コンピュータ読取り可能な媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0055】
オペレーティング・システム、1つまたは複数のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データを含め、複数のプログラム・モジュールを各ドライブおよびRAMに記憶することができる。溶接ジョブ・シーケンサ302内のオペレーティング・システムは、市販されている複数のオペレーティング・システムのうち任意のものとすることができる。
【0056】
さらに、ユーザは、キーボードおよびマウスなどのポインティング装置を介して、コマンドおよび情報をコンピュータに入力してもよい。他の入力装置には、マイクロホン、IR遠隔制御装置、トラック・ボール、ペン型入力装置、ジョイスティック、ゲーム・パッド、デジタイズ用タブレット、衛星用パラボラ・アンテナ、スキャナなどが含まれ得る。上記その他の入力装置は、システム・バスに結合されたシリアル・ポート・インターフェースを介して処理ユニットに接続されることが多いが、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、ユニバーサル・シリアル・バス(「USB」)、IRインターフェース、および/または様々な無線技術によって接続されてもよい。ビデオ・アダプタなどのインターフェースを介して、モニタ(たとえば、表示装置415)または他のタイプの表示装置もシステム・バスに接続してよい。視覚出力はまた、リモート・デスクトップ・プロトコル、VNC、X−Windowシステムなど、遠隔表示ネットワーク・プロトコルを介して実現してもよい。視覚出力に加えて、コンピュータは通常、スピーカ、プリンタなど他の周辺出力装置を含む。
【0057】
表示装置(表示装置415に加えて、または組み合わせて)を、溶接ジョブ・シーケンサ302とともに利用して、処理ユニットから電子的に受信されるデータを提示することができる。たとえば、表示装置は、データを電子的に提示する、LCD、プラズマ、CRTなどのモニタとすることができる。あるいは、またはさらに、表示装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、プロッタなどのハード・コピー形式で受信データを提示することができる。表示装置は、任意の色でデータを提示することができ、任意の無線もしくはハード・ワイヤのプロトコルおよび/または標準を用いて、溶接ジョブ・シーケンサ302からデータを受信することができる。別の例では、溶接ジョブ・シーケンサ302および/またはシステム400は、とりわけ携帯電話、スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、携帯型インターネット・ブラウジング装置、Wi−Fi装置、携帯型情報端末(PDA)など、モバイル装置とともに利用することができる。
【0058】
コンピュータは、1つまたは複数の遠隔コンピュータなど、1つまたは複数のコンピュータへの論理的および/または物理的な接続を使用するネットワーク化された環境で動作することができる。1つまたは複数の遠隔コンピュータは、ワークステーション、サーバ・コンピュータ、ルータ、パーソナル・コンピュータ、マイクロプロセッサ・ベースの娯楽機器、ピア装置、または他の一般的なネットワーク・ノードとすることができ、通常、コンピュータに関して述べた要素の多くまたはその全てを含む。図示した論理接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)を含む。このようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータ・ネットワーク、イントラネット、およびインターネットでは普通である。
【0059】
LANネットワーキング環境で使用するとき、コンピュータは、ネットワーク・インターフェースまたはアダプタを介してローカル・ネットワークに接続される。WANネットワーキング環境で使用するとき、通常、コンピュータはモデムを備え、またはLAN上の通信サーバに接続され、またはインターネットなどのWAN上での通信を確立するための他の手段を有する。ネットワーク化された環境では、コンピュータに関連して示したプログラム・モジュールまたはその各部分を、遠隔メモリ記憶装置に記憶してもよい。本明細書に記載のネットワーク接続は例示的なものであり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用してもよいことが理解されよう。
【0060】
あるいは、またはさらに、ローカルまたはクラウド(たとえば、とりわけローカル、クラウド、遠隔)のコンピューティング・プラットフォームを、データの集約、処理、および送達用に利用することができる。このために、クラウドコンピューティング・プラットフォームは、特定の遠隔地に複数のプロセッサ、メモリ、およびサーバを備えることができる。サービスとしてのソフトウェア(SaaS)の考え方の下では、複数のユーザによって単一アプリケーションが利用されて、クラウド内に存在するデータにアクセスする。このようにして、データ処理が一般にクラウド内で実行され、それによってユーザのネットワーク資源を解放するので、ローカル・レベルでの処理要求事項が軽減される。サービスとしてのソフトウェア(SaaS)のアプリケーションによって、ユーザは、(たとえば、ウェブ・ブラウザを用いて)ウェブ・ベースのサービスにログインできるようになり、このサービスがクラウド内に存在する全てのプログラムを管理する。
【0061】
図5に移ると、システム500は、ローカル、遠隔、またはクラウドのデータベースを介した複数の溶接作業セルを有する溶接環境を示す。システム500は、第1の溶接作業セル515、第2の溶接作業セル520、第N番目の溶接作業セル530など、複数の溶接作業セルを備える。ここでNは正の整数である。一実施形態では、各溶接作業セルは、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素535、540、および545を備え、これを使用して、各溶接作業セルに対して、ならびに、または別の選択肢では企業規模の溶接作業、および/または企業規模の溶接作業セルに対して、溶接スケジュールを実施する。各溶接ジョブ・シーケンサ構成要素535、540、545からの溶接シーケンスは、ローカルまたはクラウドのデータベース(たとえば、とりわけローカル・データベース、クラウド・データベース、遠隔データベース)のコンピューティング・プラットフォーム510から受信される。
【0062】
一実施形態では、各溶接作業セルはさらに、ローカル・データ記憶装置を備える。たとえば、第1の溶接作業セル515は、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素535およびデータ記憶装置550を含み、第2の溶接作業セル520は溶接ジョブ・シーケンサ構成要素540およびデータ記憶装置555を含み、第N番目の溶接作業セル530は溶接ジョブ・シーケンサ構成要素545およびデータ記憶装置560を含む。システム500は、各溶接作業セルが分散されたそれぞれの溶接ジョブ・シーケンサ構成要素を含むコンピューティング・プラットフォーム510によってホスティングされた、溶接ジョブ・シーケンサ302を含むことを理解されたい。さらに、溶接ジョブ・シーケンサ302(および、分散された溶接ジョブ・シーケンサ構成要素535、540、および545)は、各溶接作業セルにおける独立型の構成要素、またはコンピューティング・プラットフォーム510における独立型の構成要素とすることができることを理解されたい。
【0063】
各溶接作業セルは、少なくとも1つの溶接シーケンスの一部分を記憶する、それぞれのデータ記憶装置を備えることができる。たとえば、溶接プロセスAに関係する溶接シーケンスは、1つまたは複数の溶接作業セルで利用される。この溶接シーケンスは、それぞれのローカル・データ記憶装置(たとえば、データ記憶装置550、555、および560)に記憶される。さらに、各溶接作業セルは、(図示したような)ローカル・データ記憶装置、集合的および共用型の遠隔データ記憶装置、集合的および共用型のローカル・データ記憶装置、コンピューティング・プラットフォーム510にホスティングされたクラウド・データ記憶装置、またはそれらの組合せを備えることができることを評価および理解されたい。「データ記憶装置」または「メモリ」は、たとえば、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリの何れかとすることができ、または揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含むことができる。主題のシステムおよび方法のデータ記憶装置は、それだけに限定されないが、上記その他の適切なタイプの記憶装置を含むものである。さらに、データ記憶装置は、サーバ、データベース、ハード・ドライブ、フラッシュ・ドライブ、外部ハード・ドライブ、携帯用ハード・ドライブ、クラウドベースの記憶装置、固体ドライブなどとすることができる。
【0064】
たとえば、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、各溶接作業セル515、520、530内の各溶接ジョブ・シーケンサ構成要素535、540、545を管理することができる。他の実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサ302から各溶接作業セル(たとえば、各溶接ジョブ・シーケンサ構成要素)に通信情報を伝送することができる。他の実施形態では、各溶接作業セル(たとえば、各溶接ジョブ・シーケンサ構成要素)から、すなわち溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302から通信情報を受信することができる。たとえば、溶接シーケンスは、第1の溶接作業セル515とともに使用することができ、異種の溶接作業セルに直接伝達し、またはコンピューティング・プラットフォーム510を介して伝達することができる。
【0065】
図6には、複数の溶接作業セルを備える溶接システム600が示してあり、ここで、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302がコンピューティング・プラットフォーム510でホスティングされて、1つまたは複数の溶接シーケンスを利用して、1つまたは複数の溶接システム、溶接環境、および/または溶接作業セル内に溶接装置を構成する。溶接システム600は、コンピューティング・プラットフォーム510にホスティングされた、ローカルまたはクラウドベースの溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302を備える。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302は、いくつかの溶接作業セルで溶接シーケンスを利用することができる。たとえば、溶接システム600は、たとえば第1の溶接作業セル620、第2の溶接作業セル630、第N番目の溶接作業セルまでだがそれに限定されない、複数の溶接作業セルを備えることができる。ここでNは正の整数である。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302の位置関係は、それぞれ第1の溶接作業セル620、第2の溶接作業セル630、および/または第N番目の溶接作業セル640に対するものであることを理解されたい。
【0066】
一実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサ302は、1つまたは複数の溶接シーケンスをターゲットの溶接作業セルまで伝達し、ここで、ターゲットの溶接作業セルは、伝達される溶接シーケンスを利用することになる溶接作業セルである。さらに、他の実施形態では、溶接ジョブ・シーケンサ302は、コンピューティング・プラットフォーム510によってホスティングされた記憶装置650を利用し、ここに1つまたは複数の溶接シーケンスが記憶される。さらに、この記憶された溶接シーケンスは、記憶装置の位置(たとえば、とりわけローカル、クラウド、遠隔)にかかわらず、1つまたは複数の溶接作業セルに関連付けるか、またはそれをターゲットにすることができる。
【0067】
溶接シーケンス・エディタ
本明細書で前述した通り、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接シーケンスを使用して、複数の溶接部を必要とする部品をオペレータが組み立てるのを支援する。溶接シーケンスは、部品を組み立てるために実行すべき多くのステップを含むことができる。溶接シーケンスは、生成するのが非常に詳細にわたり、困難になることがある。さらに、多くの機能ステップが、部品を組み立てる際にオペレータのタスクを必要以上に複雑にしないよう、オペレータが目にする必要のない、または知る必要のないこれら多くの機能ステップが溶接シーケンスに存在することがある。
【0068】
したがって、一実施形態によれば、溶接シーケンス・エディタ(WSE)(別名エディタ)が提供されて、ユーザが溶接シーケンスを生成するのをさらに容易に、かつ効率的にする。溶接シーケンス・エディタは、(コンピュータ実行可能命令を有する)ソフトウェア・アプリケーションの形でのプログラミング・ツールであり、たとえば、Windows(商標)ベースのコンピュータ(または、他のタイプのコンピュータ)上で実行され、部品を組み立てるための詳細な溶接シーケンスをユーザが容易に構成できるようにする、グラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を提供する。その結果エディタから得られる溶接シーケンスは、電子ファイル(たとえば、XMLタイプのファイル)の形であり、組立作業中に溶接ジョブ・シーケンサがこれを読み、実行することができる。
【0069】
一実施形態によれば、溶接シーケンス・エディタによって、グループ(機能溶接シーケンス・グループ)内の詳細なステップ(機能溶接シーケンス・ステップ)をそれぞれ表すグラフィカルなアイコンを使用して、フローチャート式にユーザが詳細なステップのグループを作成できるようになる。エディタのユーザは、詳細なステップを選択して定義する。詳細なステップの各グループは、部品を組み立てるためにエディタから得られる溶接シーケンスを有する溶接ジョブ・シーケンサを使用するときにオペレータが遭遇する、オペレータ・レベルのステップを表す。しかし、グループ内の詳細なステップの多くが、オペレータにとって明白でもよい。組立作業中、オペレータは、グループ内の詳細な各ステップではなく、ステップのグループを次へと進む。したがって、オペレータは、たとえば次の溶接を実行するために溶接電源を設定することなど無関係な他の詳細ステップではなく、溶接のタスクに集中することができる。
【0070】
一実施形態では、溶接シーケンス・エディタが提供される。溶接シーケンス・エディタは、少なくとも1つのプロセッサを有するコンピュータ、コンピュータ記憶装置、および表示装置を備える。溶接シーケンス・エディタはさらに、コンピュータ記憶装置上に溶接シーケンス・エディタ・ソフトウェア・アプリケーションを含み、このソフトウェア・アプリケーションは、少なくとも1つのプロセッサが実行するように構成されたコンピュータ実行可能命令を含む。この溶接シーケンス・エディタ・ソフトウェア・アプリケーションは、ツール・バー・セクション、機能選択セクション、およびプログラマブル・フローチャート・セクションを有するグラフィカル・ユーザ・インターフェースを実現するように構成される。プログラマブル・フローチャート・セクションは、機能溶接シーケンス・グループを定義し、この機能溶接シーケンス・グループのそれぞれについて1つまたは複数の機能溶接シーケンス・ステップをプログラムし、機能溶接シーケンス・グループを通して機能的な流れをプログラムすることによって、部品を組み立てるための溶接シーケンスをユーザが生成するための空間を提供するように構成される。溶接シーケンス・エディタ・ソフトウェア・アプリケーションは、ユーザが生成する溶接シーケンスを有する電子溶接シーケンス・ファイルを生成するように構成してもよい。コンピュータは、溶接ジョブ・シーケンサが使用するための溶接シーケンス・ファイルを出力するように構成された通信装置を備えてもよい。この通信装置は、無線通信装置として構成してもよい。コンピュータは、タブレット・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・モバイル装置、またはワークステーションのうちの1つまたは複数として構成してもよい。表示装置は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースの使用を容易にするように構成されたタッチスクリーン表示装置でもよい。溶接シーケンス・エディタは、グラフィカル・ユーザ・インターフェースの使用を容易にするためのコンピュータ・キーボードおよびコンピュータ・マウスのうちの、1つまたは複数を提供するユーザ入力装置を備えてもよい。
【0071】
一実施形態では、溶接システムが提供される。この溶接システムは、本明細書において前述したような溶接シーケンス・エディタを含む。溶接システムはまた、溶接シーケンスを実施するように構成された溶接ジョブ・シーケンサと、オペレータが使用して、溶接シーケンスに従って1つまたは複数の溶接部品を作製するように構成された溶接電源を有する溶接作業セルとを備える。溶接システムは、溶接ジョブ・シーケンサに動作可能なように接続された表示装置を備えてもよい。表示装置は、ユーザ入力機能を可能にする、タッチスクリーン(タッチセンシティブ)表示装置でもよい。溶接作業セルは、ワイヤ供給装置、溶接ケーブル、溶接工具、消耗性溶接ワイヤ、消耗性溶接電極、非消耗性溶接電極、被加工物コネクタ、および溶接される1つまたは複数の被加工部品のうちの、1つまたは複数を備えてもよい。溶接シーケンスを実施するとき、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接電源、ワイヤ供給装置、または溶接工具のうちの、1つまたは複数と対話するように構成してもよい。溶接シーケンス・エディタは、タブレット・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・モバイル装置、またはワークステーションのうちの、1つまたは複数を備えてもよい。溶接システムは、オペレータによる溶接ジョブ・シーケンサの使用を容易にするためのコンピュータ・キーボードおよびコンピュータ・マウスのうちの、1つまたは複数を提供するユーザ入力装置を備えてもよい。
【0072】
一実施形態では、溶接シーケンスを生成する方法が提供される。この方法は、コンピュータ上で実行されている溶接シーケンス・エディタ・ソフトウェア・アプリケーションが提供するグラフィカル・ユーザ・インターフェースのプログラマブル・フローチャート・セクションで、機能溶接シーケンス・グループを定義するステップを含む。この方法はまた、グラフィカル・ユーザ・インターフェースの機能選択セクションから機能溶接シーケンス・ステップを示す機能アイコンを選択するステップと、プログラマブル・フローチャート・セクションで、選択された機能アイコンを機能溶接シーケンス・グループに読み込むステップとを含む。この方法はさらに、プログラマブル・フローチャート・セクションで、機能アイコンと機能溶接シーケンス・グループとをリンクさせて、機能溶接シーケンス・ステップの機能溶接シーケンス・グループを通して機能的な流れをプログラムし、その結果、溶接シーケンスを実現するステップを含む。この方法はさらに、グラフィカル・ユーザ・インターフェースのツール・バー・セクションを使用して、溶接シーケンスを電子ファイルにエクスポートするステップを含み、この電子ファイルは、コンピュータの電子記憶装置に記憶される。この方法はまた、コンピュータから溶接ジョブ・シーケンサ構成要素まで、電子ファイルを無線で伝送するステップを含んでもよい。この方法はさらに、機能溶接シーケンス・グループから機能溶接シーケンス・ステップを削除すること、または機能溶接シーケンス・グループに機能溶接シーケンス・ステップを追加することのうち1つまたは複数により、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを使用して溶接シーケンスを修正するステップを含んでもよい。この方法はまた、機能溶接シーケンス・ステップに関連する1つまたは複数の特性またはパラメータを修正することにより、グラフィカル・ユーザ・インターフェースを使用して溶接シーケンスを修正するステップを含んでもよい。
【0073】
図7は、溶接シーケンス・エディタ(WSE)ソフトウェア・アプリケーション745がインストールされた、パーソナル・コンピュータ700(たとえばタブレット装置)の一実施形態を示すブロック図である。タブレット装置700をユーザが使用して、溶接シーケンスを生成してもよい。タブレット装置700は、表示装置、無線および/または有線の通信媒体、ならびに、少なくとも溶接シーケンス・エディタ(WSE)ソフトウェア・アプリケーション745(別名エディタ)を記憶するコンピュータ記憶装置を備える。タブレット装置700はまた、WSE745の符号化された命令を実行するよう動作することができる処理手段を備える。パーソナル・コンピュータ700は、当業者には知られている、他のハードウェアおよびソフトウェアの構成部品および要素を備えてもよい。様々な実施形態によれば、パーソナル・コンピュータは、代わりに、たとえばタブレット・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・モバイル装置、またはコンピュータ・ワークステーションのうちの1つまたは複数の形式でもよい。
【0074】
図8には、WSEソフトウェア・アプリケーション745を使用して、タブレット・コンピュータ700のユーザが生成する溶接シーケンスを使用して、ある部品に組立作業を実行するためのシステム800の一実施形態が示してある。本明細書で先に述べたように、システム800は、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302および溶接作業セル304を備える。溶接作業セルは、たとえば、溶接電源、ワイヤ供給装置、溶接ケーブル、溶接工具、消耗性溶接ワイヤ、消耗性溶接電極、非消耗性溶接電極、被加工物コネクタ、および溶接される1つまたは複数の被加工部品のうちの、1つまたは複数を備えてもよい。溶接シーケンスを実施するとき、溶接ジョブ・シーケンサは、溶接電源、ワイヤ供給装置、または溶接工具のうちの、1つまたは複数と対話するように構成してもよい。コンピュータ・キーボードまたはコンピュータ・マウスのうちの1つまたは複数を提供するユーザ入力装置を設けて、溶接ジョブ・シーケンサの使用を容易にしてもよい。
【0075】
システム800はさらに、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302に動作可能なように接続された表示装置810を備える。このようにして、システム800のオペレータは、溶接シーケンスに関係するステップの表示画面を表示装置810上に見て、組立作業を実行することができる。表示装置810はまた、(たとえばタッチスクリーンを有する)入力装置の役割を果たしてもよく、これにより、ユーザは、(たとえば、溶接シーケンスの1つまたは複数のステップに応答して)システム800に情報を入力できるようになる。他の実施形態によれば、表示装置は、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素または溶接作業セルの一部分でもよい。
【0076】
再び
図7を参照すると、タブレット装置700は、無線通信装置710を備える。無線通信装置は、たとえば、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302を有するシステム800、および/または外部の通信インフラストラクチャ(たとえば、ネットワークもしくはインターネット)にアクセスする、WiFi通信の回路およびソフトウェア、ならびに/または、3Gもしくは4G通信の回路およびソフトウェアを備えてもよい。タブレット装置700はまた、表示装置720、プロセッサ730、およびコンピュータ記憶装置740を備える。一実施形態によれば、表示装置720は、タッチスクリーン(タッチセンシティブ)表示装置でもよい。プロセッサ730は、たとえばプログラマブル・マイクロプロセッサでもよいが、他のタイプの論理プロセッサも使用可能である。コンピュータ記憶装置740は、たとえば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)とリードオンリ・メモリ(ROM)の組合せなどの電子メモリでもよい。他の様々な実施形態によれば、他のタイプのコンピュータ記憶装置も使用可能である。一実施形態によれば、たとえばコンピュータ・キーボードまたはコンピュータ・マウスなどのユーザ入力装置を設けて、溶接シーケンス・エディタのグラフィカル・ユーザ・インターフェースの使用を容易にしてもよい。パーソナル・コンピュータ700は、当業者には知られている、他のハードウェアおよびソフトウェアの構成部品を備えてもよい。
【0077】
コンピュータ記憶装置740は、少なくとも、符号化された命令を有する溶接シーケンス・エディタ(WSE)ソフトウェア・アプリケーション745を記憶し、この命令をプロセッサ730上で実行して、組み立てられる部品を溶接するための溶接シーケンスをユーザが生成できるようにしてもよい。一実施形態によれば、システム800は、タブレット装置700の無線通信装置710を介してアクセスして、溶接シーケンス・ファイル(WSF)をダウンロードしてもよく、このファイルは、生成された溶接シーケンスを含んでおり、組立作業中に溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302が読んで使用する。あるいは、タブレット装置700は、システム800がアクセスできるネットワーク上にWSFを記憶してもよい。
【0078】
エディタが生成する溶接シーケンスは、この溶接シーケンスを生成するときにユーザが定義しなければならない多くの機能溶接シーケンス・ステップを含むことができる。このように定義された機能ステップは、部品を組み立てているときにオペレータが知る必要のない多くの詳細を含むことがある。
図9には、
図7の溶接シーケンス・エディタが提示するフローチャート表示画面900の例示的な一実施形態が示してある。表示画面900は、ツール・バー・セクション910、機能選択セクション920、およびプログラマブル・フローチャート・セクション930を含む。ツール・バー・セクション910は、ファイル操作、編集、特性設定、画面のレイアウト画定のためのツールを提供する。機能選択セクション920は、プログラマブル溶接シーケンス機能を表すアイコンを提供し、この機能は、ユーザが選択し、ユーザがプログラマブル・フローチャート・セクション930に配置し、ユーザが定義またはプログラムしてもよい。プログラマブル・フローチャート・セクション930は、ステップのグループ(機能溶接シーケンス・グループ)を定義し、溶接シーケンス用のこれらグループのための詳細な機能ステップをプログラムするため、および溶接シーケンスを定義するためにこれらのグループを介して機能的な流れをプログラムするための空間を実現する。用語「アイコン」、「機能」、および「ステップ」は、本明細書では区別なく使用してもよい。
【0079】
機能アイコンのうちいくつかの例として、「開始」アイコン940、フィールド入力アイコン950、消費可能重量アイコン960、画像表示アイコン970、溶接アイコン980、および警告アイコン990がある。しかし、他の機能アイコンも存在することができる。開始アイコン940(
図9の「開始」グループ内)は、溶接シーケンスの開始を明示する。フィールド入力アイコン950および消費可能重量アイコン960(
図9の「設定」グループ内)は、溶接シーケンスにおける第1の一連のステップを明示する。画像表示アイコン970、溶接アイコン980、および警告アイコン990(
図9の「仮付け溶接」グループ内)は、溶接シーケンスにおける第2の一連のステップを明示する。画像表示アイコン970、溶接アイコン980、および警告アイコン990(
図9の「溶接1」グループ内)は、溶接シーケンスにおける第3の一連のステップを明示する。ステップの各グループは、フローチャート式に互いに論理的に結びつけられ(リンクされ)ており、したがって、溶接シーケンスは、「開始」から、「設定」グループ、「仮付け溶接」グループ、「溶接1」グループなどに進む。このようにして、パーソナル・コンピュータ700上のWSE745のユーザは、詳細ステップのグループを「ビルド」して、溶接シーケンスを生成することができ、これを溶接シーケンス・ファイル(WFS)にエクスポートする。この場合も、詳細なステップの各グループは、部品を組み立てるためのエディタから得られる溶接シーケンスを有する溶接ジョブ・シーケンサを使用するときにオペレータが遭遇する、オペレータ・レベルのステップを表す。しかし、グループ内の詳細なステップの多くが、オペレータにとって明白でもよい。
【0080】
図10には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示するフィールド入力アイコン950に関連する特性ウィンドウ1000の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、アイコン950をダブル・クリックして、特性ウィンドウ1000を表示させるようにしてもよい。表示されると、ユーザは、特性ウィンドウ1000が提示する様々なフィールドに情報を入力することによって、フィールド入力アイコン950の特性を定義することができる。たとえば、
図10では、ユーザは、名前フィールドに「SN」を入力し、タイトル・フィールドに「シリアル・ナンバー」、説明フィールドに「部品のシリアル・ナンバーを入力:」、タイプ・フィールドに「シリアル・ナンバー」を入力した。これによって、フィールド入力アイコン950がシリアル・ナンバー入力機能として定義され、その結果、オペレータは、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302に指示されて、組み立てられる部品のシリアル・ナンバーを入力することになる。「値を消去」のチェック・ボックスによって、ユーザは、このボックスにチェックを入れて現在のシリアル・ナンバーを消去し、新規のシリアル・ナンバーを入力するようオペレータに要求する。「見積時間」領域によって、ユーザは、このフィールド入力機能をオペレータが実行するのに要する時間の見積量を入力できるようになる。
【0081】
図11には、
図8の溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302が提示するシリアル・ナンバー表示画面1100の例示的な一実施形態が示してあり、このとき、フィールド入力ステップ950が、溶接シーケンス・ファイル(WSF)に定義された溶接シーケンスの実行の一部として、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行される。メッセージ・タイトル「シリアル・ナンバー」およびメッセージ「部品のシリアル・ナンバーを入力」は、組み立てられる部品のシリアル・ナンバーをオペレータが入力することになるフィールド入力ボックス1110とともに、表示装置810上でオペレータに表示される。オペレータは、シリアル・ナンバーを入力し、次いで「入力」または「次へ」を押して、溶接シーケンスに進む。
【0082】
「サイクル状況」および「ステップ状況」を、表示画面内でオペレータに表示してもよい(たとえば、
図11参照)。溶接シーケンスでの詳細な機能ステップまたはアイコンがそれぞれ、その機能を完了するための予想時間に対応する詳細なパラメータを有する。また、ステップの各グループが、個々の機能時間を合計することによって完了するための予想時間を有する。各ステップを実行するとき、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素は、「ステップ状況」ゲージを用いて、予想時間に対する実際の実行時間を示す。「ステップ状況」ゲージの中心が予想時間である。最初は、ゲージ内のバーは「緑色」になっていてもよく、ステップが良好に進んでいることを示す。しかし、予想時間が経過する(バーが中心点を通過する)と、ゲージ内のバーが「赤色」になって、ステップが完了するまでの時間が長すぎることを示してもよい。一実施形態によれば、「ステップ状況」ゲージは、新規のステップ毎にゼロに戻ってもよい。
【0083】
「サイクル状況」ゲージは同様に動作するが、実行されたステップの総数が良好に進んでいるかどうか(すなわち、シーケンス全体が良好に進んでいるかどうか)、または各ステップが完了するまでの時間が長すぎないかどうかを示す。「サイクル状況」ゲージの中心は、これまでの全てのステップに加えて現在のステップを蓄積したものであり、ゲージ内のバーが、シーケンス全体の合計時間を示す。「サイクル状況」ゲージは、新規のステップ毎にゼロに戻らないが、中心点(および、ゲージのスケーリング)が、ステップ毎の開始時点で更新される。
【0084】
図12には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する消費可能重量アイコン960に関連するワイヤ重量特性ウィンドウ1200の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、アイコン960をダブル・クリックして、ワイヤ重量特性ウィンドウ1200を表示させるようにしてもよい。表示されると、ユーザは、名前(たとえば「ワイヤ重量」)を名前フィールドに入力し、消耗性ワイヤの要求重量(たとえば、2ポンドを表す「2」)を要求重量フィールドに入力することができる。このステップが、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行されると、溶接作業セル304内に装填された消耗性溶接ワイヤの実際の重量が、入力された要求重量(たとえば2ポンド)と比較される。消耗性溶接ワイヤの実際の重量が少なくとも2ポンドである場合、オペレータの目には、いかなる結果も見えないはずである。しかし、消耗性溶接ワイヤの実際の重量が2ポンド未満である場合、(たとえば、表示装置810を介して)ワイヤ供給が少ないことがオペレータに通知されるはずである。
【0085】
図13には、
図8の溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302が提示する消費可能重量表示画面1300の例示的な一実施形態が示してあり、このとき、消耗性溶接ワイヤの重量が少なすぎると、消費可能重量ステップ960が、溶接シーケンス・ファイル(WSF)に定義された溶接シーケンスの実行の一部として、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行される。
図13を見て分かるように、オペレータには、現在のワイヤ量(たとえば1.3ポンド)で継続するか、それとも要求に合うよう消耗性溶接ワイヤを置き換えるかの選択肢が与えられる。
【0086】
図14には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する画像表示アイコン970に関連する仮付け溶接特性ウィンドウ1400の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、アイコン970をダブル・クリックして、仮付け溶接特性ウィンドウ1400を表示させるようにしてもよい。表示されると、ユーザは、名前(たとえば「仮付け」)を名前フィールドに入力し、画像ファイル名を画像経路フィールドに、またサウンド・ファイル名をサウンド・ファイル・フィールドに入力することができる。このステップが、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行されると、画像ファイルに関連する画像(たとえば、2つの仮付け溶接が部品上に作製される様子を示す画像)がオペレータに表示され、サウンド・ファイルに関連するサウンド(たとえば「警告音」または言葉によるメッセージ)が再生される。画像ファイルおよびサウンド・ファイルは、システム800のどこかに(たとえば、ハード・ドライブ上)、またはシステム800がたとえばアクセス権をもつネットワーク上に記憶することができる。
【0087】
図15には、
図8の溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302が提示する仮付け溶接表示画面1500の例示的な一実施形態が示してあり、このとき、画像表示ステップ970が、溶接シーケンス・ファイル(WFS)に定義された溶接シーケンスの実行の一部として、溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行される。定義された画像ファイルがアクセスされ、関連する画像がオペレータに表示され(たとえば表示装置810)、部品上に作製される2つの仮付け溶接部1510の位置をオペレータに示す。さらに、定義されたサウンド・ファイルがアクセスされ、オペレータに向けて再生される。
【0088】
図16には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する溶接アイコン980に関連する溶接特性ウィンドウ1600の例示的な一実施形態が示してある。溶接特性ウィンドウ1600は、「特性」タブ、「妥当性検証」タブ、および「ヘッド」タブを設ける。ユーザは、アイコン980をダブル・クリックして、溶接特性ウィンドウ1600を表示させるようにしてもよい。表示されると、「特性」タブ表示1610の下で、ユーザは、名前(たとえば「溶接」)を名前フィールドに入力し、この機能で作製される溶接部の数(たとえば2)を、溶接部数のフィールドに、溶接プロファイル数(たとえば1)を溶接プロファイル・フィールドに、また溶接部数を完成する見積時間(たとえば15秒)を見積時間フィールドに入力することができる。溶接プロファイルを使用して、溶接作業についての制限を確立する(たとえば、溶接電流の限度検査を支援する)。たとえば、溶接電源は、200以上の溶接プロファイルを設けて、そこから選択してもよい。
【0089】
図17には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する溶接特性ウィンドウ1600の下での「妥当性検証」タブ表示1620の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、「妥当性検証」タブをクリックすると、(たとえば溶接1および溶接2)を何らかの制限の間(たとえば0.5秒〜4.0秒の間)になるように作製するよう、溶接の持続時間を設定することができる。実際の溶接時間が、溶接作業中にこれらの制限から外れる場合、溶接機能980が、「妥当性検証不合格」の終了条件を生成することになる。
【0090】
図18には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する溶接特性ウィンドウ1600の下での「供給ヘッド」タブ表示1630の例示的な一実施形態が示してある。溶接システムは、複数の供給ヘッド(ワイヤ供給源)を備えて、そこから選択してもよい。ユーザは、「供給ヘッド」タブをクリックすると、供給ヘッド(たとえばヘッド1)を選択し、続いて、手順Aおよび手順Bに使用するよう溶接手順を定義する。一実施形態によれば、手順AおよびBは、溶接トーチを用いて利用可能な選択肢である。たとえば、手順Aでは、「仮付け」の選択肢を選択してもよい。「仮付け」の選択肢は、使用される1組の定義済みの溶接パラメータに対応する。定義済みの溶接パラメータは、
図19に示す別のウィンドウで定義してもよい。定義済みの他の組の溶接パラメータ選択肢も利用可能でよい。
【0091】
図19には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する溶接アイコン980に関連する溶接パラメータ・ウィンドウ1900の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、表示画面900のツール・バー・セクション910の下の「溶接パラメータ」アイコンをクリックして、ウィンドウ1900を表示してもよい。溶接手順は、それと関連し、ユーザが設定できる多くのパラメータを有してもよい。ウィンドウ1900によって、ユーザは、溶接ステップ(たとえば、仮付け溶接ステップ980)に関連する溶接パラメータの多くを閲覧し、それを編集できるようになる。溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302による作業中、その溶接ステップ向けに、溶接パラメータ(たとえば、溶接モードおよびワイヤ供給速度)が溶接作業セル304の溶接電源に送られる。一実施形態によれば、溶接シーケンス・エディタ745を使用して、「溶接パラメータ」ライブラリを生成し、記憶し、維持してもよい。「溶接パラメータ」ライブラリは、様々な溶接プロセスが使用できる溶接パラメータの基準セットを含んでもよい。しかし、必要なら、溶接パラメータ・ウィンドウ1900を介して、任意の基準溶接パラメータを編集することができる。「溶接パラメータ」ライブラリを設定して、溶接パラメータの一貫性を実現する助けとしてもよいが、それというのも、溶接パラメータが、あらゆる溶接機能について独立して定義されないからである。さらに、「溶接パラメータ」ライブラリは、溶接パラメータの「大域編集」を容易にし、溶接シーケンス作成プロセスを速くすることができる。
【0092】
図20には、
図7の溶接シーケンス・エディタ745が提示する警告ウィンドウ2000の例示的な一実施形態が示してある。ユーザは、警告アイコン990をダブル・クリックして、警告ウィンドウ2000を表示させるようにしてもよい。表示されると、ユーザは、名前(たとえば「警告」)を名前フィールドに入力し、タイトル(たとえば「溶接作業注意」)をタイトル・フィールドに、またメッセージ(たとえば「仮付け溶接での間違った溶接持続時間」)をメッセージ・フィールドに入力することができる。
図9を参照すると、溶接ステップ980の終了条件=「不合格」の場合(たとえば、溶接持続時間が長すぎた場合)、溶接シーケンスは、警告ステップ990に進み、警告メッセージをオペレータに表示する。オペレータは、溶接シーケンスを継続する前に、溶接シーケンスが表示する警告メッセージ・ボックス上で「OK」ボタンをクリックすることを求められる。また、サウンド・ファイルは、ウィンドウ2000内で定義することができ、警告機能990が溶接ジョブ・シーケンサ構成要素302によって実行される場合に再生することができる。オペレータは、溶接部を修正するため、「前へ」を選択することによって、グループの第1のステップに戻るよう選択してもよい。妥当性検証に合格すると、溶接シーケンスは、グループ「仮付け溶接」のステップ980とグループ「溶接1」のステップ970との間の接続が指示する通りに、「合格」の終了条件の場合、(ステップ980から)溶接ステップの次のグループ(たとえば「溶接1」)のステップ970まで進む。
【0093】
一実施形態によれば、機能ステップの多くでは、オペレータは、自身の判断に基づいて、溶接シーケンスにおいて以前のステップに戻るか、それとも先に進むかの選択肢を有する。このように、オペレータは、過度に制限を受けることがない。
【0094】
要約すれば、ユーザが、1組の作業指示を完了するための機能のフローチャートを作成できるようにし、各ステップの論理グループにこの機能を編成できるようにする、溶接シーケンス・エディタが提供される。各ステップの論理グループには番号と名前が付けられ、各グループの第1の機能が識別される。溶接シーケンスが実行されるとき、各論理グループは、オペレータにとっては定義された目に見えるステップである。各論理グループを使用して情報を編成し、1組の作業指示を進んで行くが、ワーク・フローのオペレータの視界を妨げることなく複数のバックグラウンド機能が実行される。溶接シーケンス・エディタにより、エディタのユーザにとっての詳細な視点、および作業セルのオペレータにとっての要約された視点にまで、これらの作業指示を編成するための方法が実現する。
【0095】
本明細書で考察した実施形態は、前述のシステムおよび方法に関連するものであったが、これらの実施形態は例示的なものであって、これらの実施形態の適用範囲を、本明細書で説明した考察だけに限定するものではない。本発明で考察した制御システムおよび方法は、上記発明の範囲の趣旨から逸脱することなく、アーク溶接、レーザ溶接、ろう付け、はんだ付け、プラズマ切断、水ジェット切断、レーザ切断に関連するシステムおよび方法、ならびに同様の制御方法を使用する他の任意のシステムまたは方法に等しく適用可能であり、それらで利用することができる。本明細書での実施形態および考察は、当業者によって、これらのシステムおよび方法の何れにも容易に組み込むことができる。
【0096】
ある一定の実施形態を参照して本出願の特許請求される主題を説明してきたが、この特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えてもよく、また均等物で代用してもよいことが当業者には理解されよう。さらに、多くの修正を加えて、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料をその特許請求される主題の教示に適合させてもよい。したがって、特許請求される主題は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求される主題が、添付特許請求の範囲に記載の範囲に含まれる全ての実施形態を含むものである。