【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、要求を満たすために、請求項12による殺菌デバイスによって、および、請求項13による電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法によって、請求項1による電力供給ユニットを提案する。本発明の好ましい実施形態の追加の利点および特徴は、従属請求項に定義されている。
【0005】
本発明によれば、特には殺菌デバイス用の電力供給ユニットが、筐体と電気システムと電気絶縁システムとを備え、電気絶縁システムが少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備え、電気システムが筐体内に位置付けられ、電気システムが、運転の間、異なる電圧分布を有する帯域を有し、筐体が複数の領域を備え、少なくとも1つの領域が少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備え、電圧分布が第1の電圧閾値を超える電気システムの帯域への距離が最小距離未満であるそれらの領域が、少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備えることを特徴とする。
【0006】
別の実施形態では、高出力電圧を提供するための電力供給ユニットが提供される。電力供給ユニットは、電力供給ユニットの筐体の内部に位置付けられる電気システムを備える。電気システムはいくつかの領域へと分割される。各々の領域は、前記領域に位置付けられる構成要素の運転電圧を表す電圧分布値が割り当てられる。電圧分布値が第1の電圧閾値を超えるこれらのいくつかの領域のうちの第2の領域への距離があらかじめ規定された距離未満であるこれらのいくつかの領域のうちの第1の領域が、少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備える。
【0007】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの絶縁遮蔽体が、第1の領域と第2の領域との間に少なくとも一部位置付けられ得る。
【0008】
電力供給ユニットは、電子ビームエミッタ、または、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11、12個、およびそれ以上の複数の電子ビームエミッタへとそれぞれ連結可能である、または、連結される。電力供給ユニットの少なくとも1つの電子ビームエミッタとの組み合わせは、殺菌デバイスと呼ばれる。概して、連結は、構造および/または力の嵌め合いの連結である。
【0009】
電子ビームエミッタは、電子などの電荷担体を経路に沿って放つための電子発生器を備え、電子発生器は、密封された真空室で概して包囲される。真空室には、電子出口窓が設けられている。さらに、電子発生器は、陰極筐体とフィラメントとを備える。使用中、電子ビームは、フィラメントを加熱することで発生される。電流がフィラメントを通じて設定されるとき、フィラメントの電気抵抗が、フィラメントを2,000℃程度の温度まで加熱させる。この加熱は、フィラメントに電子雲を発生させる。電子は、陰極筐体と電子出口窓との間の高い電位差を用いて、電子出口窓に向かって加速される。その結果、電子は電子出口窓を通過し、例えば、殺菌される必要がある包装材料の一部といった、目標領域に向かって進み続ける。大きな電位差は、陰極筐体とフィラメントとを、前記の大きな電位を提供する電力供給ユニットに連結する一方で、真空室を地表電位へと連結することで、作り出される。2つの電位の間の差が、電子を加速する電圧に与えられる。前記電圧は電力供給ユニットによって供給されると言うこともできる。電圧は、1つまたは複数の実施形態によれば、約80〜150kVの範囲にある。しかしながら、より高い値およびより低い値も可能である。
【0010】
先に記載した電子ビームエミッタは、包装材料、食品、生物学的装置、または医学的装置などの殺菌のために使用できる。包装材料の内容物に関しての制限はなく、包装材料は、ウェブに基づく材料、カートン用板紙、任意の種類の予備成型品、または、ガラスやプラスチックのボトルを含んでもよい。内容物は、液体または固体であり得る。殺菌デバイスまたは電子ビームエミッタのそれぞれのそれ自体の使用に関しての制限もない。したがって、電子ビームエミッタまたは殺菌デバイスのそれぞれは、例えば包装容器などの包装材料の殺菌の内部または外部について使用され得る。
【0011】
電力供給ユニットと電子ビームエミッタとの間の電気連結が、電力供給ユニットの高電圧出力コネクタによって提供される。高電圧出力コネクタは、筐体の内部で、電気システムに、または、電気システムの少なくとも1つの部品にそれぞれ連結を提供する。
【0012】
別の実施形態では、電力供給ユニットと、具体的には、すべての電線および連結を含む電力供給ユニットとエミッタとの間の連結とが適切に封止され、供給ユニットの内部が絶縁ガスで勢いよく流される場合、特別な高電圧出力コネクタは省略されてもよい。誘電強度をさらに向上するために、約20〜50mmの範囲にあり、特には30mmより大きい十分な空間が、任意のケーブルまたはエミッタを供給するものと、高電圧で運転するものと、筐体との間に維持されるべきである。密封が、エミッタおよび加圧された筐体内で真空を維持するために、エミッタと筐体との間に位置付けられる。
【0013】
一般的に言って、電気システムは、1つまたは複数の電子ビームエミッタを運転するために使用される高電圧を発生するように適合される。しかしながら、高電圧が発生される場合、電気絶縁が問題である。特には、コロナが回避されるべきである。
【0014】
コロナ放電は、電気的にエネルギーの与えられる導体の周囲の媒体のイオン化によってもたらされる電気放電である。放電は、導体の周りの強度(電界の電位勾配)が、導電性の領域を形成するだけの高さであるが、近隣の物体への電気絶縁破壊またはアーク放電を引き起こすほど高くない場合に起こる。しかしながら、この場合には、電気アークまたはアーク放電は、殺菌デバイスおよびすべての連結される構成要素を損傷する可能性があるため、回避される必要がある。また、具体的には、殺菌デバイスまたは電力供給ユニットでそれぞれ作業する人々が、十分に保護される必要がある。そのため、筐体は、少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備える絶縁システムを備える。
【0015】
この場合、電気システムが複数の電気構成要素を備え得ることは、考慮される必要がある。これらの構成要素は、異なる電圧で運転され得る、異なる電圧で運転し得る、または異なる電圧を利用し得る。例えば、一部の電気構成要素または少なくとも電気構成要素の部品は、それらが例えば異なる電圧で運転されることを意味する、または、それらが異なる電圧を段階的もしくは連続的に発生することを意味する、異なる電圧または電圧レベル(異なる電位のレベル)を有するように適合される。特定の構成要素が特定の電圧レベルで運転されることを確認することが可能である。頻繁に、これらの構成要素は電気システムの特定の領域に位置付けられる。別の言い方をすれば、電気システムは領域へと分割され、電圧値はそれらの領域の各々に割り当てられ得る。
【0016】
言うまでもないが、低電圧(例えば、300Vより小さい電圧)は、コロナおよびアークなどの前述の問題を通常引き起こさない。その結果、電気システムのこれらの領域は、追加で電気的に絶縁される必要がない。結果的に、より低い限度の設定を可能にする第1の電圧閾値が提供され、それを超えると、絶縁が必要となり得る。第1の電圧閾値が所与の領域について超えられる場合、筐体内の前記領域の位置は考慮される必要がある。前記領域と筐体内に位置付けられる別の領域との間の距離が特定の最小値を超える場合、コロナおよびアーク放電はおそらく起こらない。
【0017】
したがって、少なくとも第1の電圧閾値を超える領域が、筐体内の他の領域への最小距離内にあるかどうかが確認される必要がある。この場合には、それらの他の領域は、コロナまたはアークが発生されるのを防止するために、絶縁遮蔽体を備えることになる。代替で、絶縁遮蔽体が、第1の電圧閾値を超える領域と他の領域との間に配置されてもよい。
【0018】
実施形態では、筐体は複数の領域を備える。別の言い方をすれば、筐体は、複数の領域によって定義される、または、複数の領域へと分割される。この分割または定義は、理論的に実施されるだけである。したがって、領域の形態または大きさについて、大きさの制限はない。領域は無限に小さくてもよい。概して、領域は、十分に細かい分配または筐体の帯域化を可能にするだけの小ささであるが、実際に実現可能であるだけの大きさでなければならない。具体的には、領域は、前記領域内に絶縁遮蔽体と構成要素とを置けるだけの大きさを有していなければならない。概して、領域は、前記領域に位置付けられる構成要素によって定義されてもよく、それによって、構成要素は、同じまたは同様の電圧によって運転される。
【0019】
実施形態によれば、(少なくとも)第1の電圧閾値を超える電気システムの1つまたは複数の帯域への最小距離内に位置付けられる筐体の異なる領域または部品は、絶縁遮蔽体または少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備える。これは、絶縁遮蔽体を必要とする筐体のそれらの部品または領域だけに、絶縁遮蔽体が設けられることを意味する。言うまでもないが、前述の特徴は、電力供給ユニットの大幅なコストおよび重量の低減を可能にする。
【0020】
都合の良いことには、筐体は少なくとも1つの壁を備え、少なくとも1つの絶縁遮蔽体は少なくとも1つの壁に配置される。結果的に、壁または少なくとも1つの壁が、複数の領域によって定義または分割される。壁は、それぞれ、複数の領域である、もしくは、領域へと分割される、または、領域が壁を備える。一般的に言って、領域は、筐体に取り付けられる筐体の内部の構成要素または部品と、少なくとも壁の部品とを含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態によれば、壁は、例えばアルミニウム、銅、または鉄といった金属を含み得る。良好な熱伝導性を持つ材料が使用される場合、壁は、冷却効果を提供できる。壁は、プラスチック、金属、繊維強化材料などの異なる材料を含む複合材料から作られてもよい。1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は、溶接されたステンレス鋼から作られ、筐体の最上端が、都合の良いことには移動可能に取り付けられ、適切なOリングで封止される。
【0022】
代替または追加で、液体ガスケットが用いられてもよい。絶縁ガスが、絶縁効果をさらに向上し、コロナまたはアークの発生を低減するために、筐体内で用いられてもよい。窒素または二酸化炭素などの絶縁ガスは、密封された筐体において、加圧されたとしても、漏れる可能性はない。別の実施形態では、電気システムの構成要素の一部が絶縁層によって覆われてもよい。単独で、および、組み合わせで取られるすべてのこれらの対策は、望ましくないコロナまたはアークの形性を低減する、または、防止さえする。
【0023】
筐体の取り外し可能な最上端、または、一般的に取り付け可能な部品は、容易な保守を可能にする。少なくとも1つの絶縁遮蔽体は、壁内に一体化されてもよく、および/または、特には壁の内面である壁に取り付けもしくは配置がそれぞれされ得る。特には、絶縁遮蔽体が壁の内側または内部にぴったり取り付けられている場合、固定された設置は必要とされない。代わりに、構造で閉じられる連結が十分であり得る。実施形態では、絶縁遮蔽体は、例えば、ネジ、ボルトなどの適切な連結要素を用いて、構造および力の嵌め合いを介して壁に連結されてもよい。概して、交換可能な設置の遮蔽体は、事後または以後においてであっても、絶縁システムを異なる電圧閾値に容易に適用させることができるため、非常に有利であり安心できる。
【0024】
1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は少なくとも1つの挿入体を備え、少なくとも1つの絶縁遮蔽体は少なくとも1つの挿入体に配置される。
【0025】
1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも1つの挿入体は、好ましくは電気絶縁特性を提供するように適合された絶縁材料から作られる。これは、絶縁遮蔽体によって提供される絶縁効果が増大され得るという利点を有する。挿入体の材料は、例えば、特には大きな絶縁破壊電圧を提供するポリマであるプラスチックであり得る。実施形態によれば、材料は、以下の材料のうちの少なくとも1つ、つまり、ポリエチレン、エポキシ樹脂、ガラス、ポリプロピレン、ネオプレン、テフロン(登録商標)、または他のポリマ、それらの組み合わせを含んでもよい。
【0026】
絶縁材料の誘電強度は、純粋な材料が、絶縁破壊することなく、つまり、その絶縁特性の不具合を被ることなく、理想的な条件の下で耐えることができる最大電界である。材料の理論的な誘電強度は、バルク材料の固有特性であり、界が供給される材料または電極の構成に依存している。固有の誘電強度が、理想的な実験室条件の下で、純粋な材料を用いて測定される。絶縁破壊において、電界は束縛電子を解放する。適用される電界が十分に大きい場合、バックグラウンド放射からの自由電子は、電子雪崩降伏と呼ばれる過程における中性物または分子との衝突の間、追加的な電子を自由にできる速度へと加速されることになり得る。破壊は極めて急激に起こり、電気的に導電性の経路の形成と、材料を通じた破裂放電とをもたらす。固体材料については、破壊の事象は、その絶縁能力を大きく低下させる、または、破壊すらする。
【0027】
都合の良いことには、挿入体は、板であるか、または複数の板を備えるかのいずれかである。これらの板、または、これらの挿入板は、特には筐体の壁の内面である壁に配置および/または取り付けられる。別の言い方をすれば、挿入体は筐体の一部でもあり、そのため、挿入体は複数の領域によって分割または定義されてもいる。別の言い方をすれば、領域は挿入体を含む、または、挿入体は領域を備える。電力供給ユニットの保守を簡素化できる交換可能な1つまたは複数の挿入体を形成することは、非常に有利である。
【0028】
1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも1つの絶縁遮蔽体が、特にはポリエチレン膜である絶縁膜によって形成され、少なくとも1つの絶縁遮蔽体が、絶縁膜の少なくとも1つの層によって形成される。材料は、先に記載したものと同じであり得る。概して、絶縁遮蔽体の材料は、大きな誘電強度を提供するべきである。
【0029】
1つまたは複数の実施形態によれば、挿入体および/または絶縁遮蔽体に使用される材料の誘電強度は、約15〜180MV/mの範囲内にある。例えば、ポリエチレンについての誘電強度は、約17〜22MV/mの範囲内にある。破壊が起こる電界強度は、誘電(絶縁体)のそれぞれの寸法と、電界が印加される電極とに加えて、電界が印加される増加の割合にも依存する。誘電材料は、通常、微小な欠陥を含むため、実際の誘電強度は、理想的な影響のない材料の固有の誘電強度の一部となる。そのため、前述したポリエチレン膜などの膜は、同じ材料のより大きい試料よりも大きな誘電強度を呈する傾向がある。そのため、誘電強度についての前述の値は、絶縁される構成要素において絶縁膜を用いることで、かなり増加され得る。
【0030】
好ましい実施形態によれば、絶縁膜は、0.5〜1mmの厚さを有し、特には、約0.7〜0.9mmまたは約0.8mmが好ましいとされる。有利には、絶縁膜は、材料の(すでに言及した)欠陥を最小限とする長手の圧延工程によって製作される。したがって、絶縁膜では、内部の気泡の量が最小限となっている。圧延工程の間、気泡のほとんどは破壊され、ガス汚染は膜の外部に移動する、または、気泡を非常に小さい気泡へと分割する。しかしながら、小さい気泡は、電力供給ユニットの運転の間に提供される電界の結果として、絶縁膜の内部では成長しない。絶縁膜の他の大きな利点は、特には設置の目的についてのその優れた可撓性である。1つまたは複数の実施形態によれば、絶縁膜の4〜5つの層が30〜50kVの絶縁遮蔽体について用いられる。80〜100kVの絶縁遮蔽体については、絶縁膜の約6つから8つの層が用いられる。
【0031】
別の実施形態によれば、電圧分布が割り当てられる筐体内の領域は、異なる電圧閾値を超える。結果的に、筐体に配置される絶縁遮蔽体またはシステムは、異なる電圧閾値に応じた異なる絶縁レベルを提供する。
【0032】
したがって、1つまたは複数の実施形態によれば、2つ以上の電圧閾値が定義される。第1の電圧閾値より大きい第2の電圧閾値が、筐体内の第2の領域へと割り当てられ得る。大きい誘電強度を持つ追加の絶縁遮蔽体が、第2の領域を第1の領域(第1の閾値が割り当てられる)から絶縁するために、または、任意の他の領域に、提供される。第1の領域は、さらに、任意の他の領域から第1の絶縁遮蔽体によって絶縁され、第1の絶縁遮蔽体は、第2の絶縁遮蔽体より小さい誘電強度を備える。
【0033】
1つまたは複数の実施形態によれば、特には第1の室のものである電力供給ユニットの側壁は、30〜50kVの絶縁遮蔽体で絶縁される。電気システムの構成要素は前記第1の室に配置される。特には、例えば電子ビームエミッタに連結される筐体の一部である、第2の室を表す筐体の下方部は、80〜100kVの絶縁遮蔽体で追加的に遮蔽される。これは、第1の電圧閾値が約30〜50kVの範囲内にあり、第2の電圧閾値は約80〜100kVの範囲内にあることを意味する。
【0034】
1つまたは複数の実施形態によれば、絶縁レベルは、いくつかの絶縁遮蔽体および/または絶縁膜のいくつかの層によって調節され得る。したがって、ある絶縁遮蔽体の誘電強度は、例えば、絶縁遮蔽体を形成する層の数を増やすことで、または、絶縁遮蔽体の材料を変えることで、大きくさせることができる。別の言い方をすれば、より大きな誘電強度を有する材料が使用されてもよい。しかしながら、絶縁遮蔽体自体の数が、より大きい誘電強度を持つ材料を用いることなく増大されてもよい。これは、例えば、第1の絶縁遮蔽体が挿入体に配置され、挿入体が壁に取り付けられ、挿入体と壁との間にさらなる絶縁遮蔽体などがあることを意味する。
【0035】
1つまたは複数の実施形態によれば、層は軸に沿って巻かれる。層は、基本的に軸に垂直に、または、螺旋状に巻かれ得る。有利には、複数の絶縁遮蔽体が基本的に軸に垂直に配置される。
【0036】
1つまたは複数の実施形態によれば、絶縁システムは絶縁蓋を備え、絶縁蓋は、第2の電圧閾値を超える電気システムの領域を少なくとも絶縁するように適合される。絶縁蓋は挿入体として表現されてもよいが、その形態は、絶縁蓋が、具体的には電力供給ユニットの高電圧出力コネクタと、電圧増倍器の最後のステージとを電気的に絶縁するように適合されているため、好ましくは蓋のようになっている。1つまたは複数の実施形態によれば、絶縁蓋の材料がポリエチレンを含む。付随して、挿入体の文脈においてすでに言及したものと同じ特徴および利点は絶縁蓋に適用でき、その逆も然りである。絶縁蓋が交換可能に形成および/または構築される場合、大きな利点である。
【0037】
1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも1つの絶縁遮蔽体は、絶縁蓋に配置される。絶縁蓋は壁と直接的に接触していてもよい。代替で、壁と絶縁蓋との間には、少なくとも1つの挿入体が配置されてもよい。概して、絶縁蓋は筐体の一部であり、そのため、絶縁蓋は複数の領域または部品によって分割および/または定義されてもいる。絶縁蓋は領域を備える、または、領域は絶縁蓋を含む。
【0038】
好ましい実施形態によれば、電気システムは少なくとも1つの電圧増倍器を備え、少なくとも1つの電圧増倍器は、第1の電圧閾値を少なくとも超える割り当てられた電圧値を有する領域に位置付けられる。
【0039】
1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は、特には窒素、二酸化炭素、ハロゲンなどの絶縁ガスである絶縁媒体で満たされる。代替で、筐体は、封止されて汲み出されることで、筐体に真空が作り出されて存在する。
【0040】
窒素は、化学的活性が小さく、電子構成要素の腐食を引き起こさないため、電気放電を防止または素早く急冷するように適合された誘電ガスである。例えば絶縁オイルの使用に反して、窒素などの絶縁ガスの使用の利点は、ガスが漏れ出し、例えば、殺菌される必要がある材料を損傷または汚染する可能性がないことである。別の大きな利点は、オイルなどの液体の絶縁材料の密度に反して、ガスの密度が小さいことである。すでに言及したように、殺菌デバイスは、概して、回転台などに配置される。これらの回転台は非常に速く移動し、例えば、昇降などがされる必要がある。したがって、殺菌デバイスの重量は最小限にされるべきである。この重量低減は、窒素などの絶縁ガスの使用によって、有利に実現され得る。絶縁ガスの絶縁特性を向上するために、絶縁ガスは、1つまたは複数の実施形態によれば、乾燥および/または加圧される。圧力は、好ましくは、特には通常の大気圧を約2.5barの範囲で上回り、通常の大気圧を約2〜4barの範囲で上回っている。乾燥という用語は、任意の人工的な湿気が絶縁ガスから除かれ、筐体内の残りの湿気が非常に小さいことを意味する。
【0041】
本発明によれば、特には包装材料用の殺菌デバイスが提供され、殺菌デバイスが少なくとも1つの電子ビームエミッタと電力供給ユニットとを備え、電力供給ユニットが、筐体と電気システムと電気絶縁システムとを備え、電気絶縁システムが少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備え、電気システムが筐体内に位置付けられ、電気システムが、運転の間、異なる電圧分布を有する帯域を有し、筐体が複数の領域を備え、少なくとも1つの領域が少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備え、電圧分布が第1の電圧閾値を超える電気システムの帯域への距離が最小距離未満である領域が、少なくとも1つの絶縁遮蔽体を備えることを特徴とする。
【0042】
本発明によれば、特には殺菌デバイス用の、電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法が提供され、電力供給ユニットが、筐体内に、筐体と電気システムとを備え、電気システムが、異なる運転電圧レベルを伴う構成要素を備える。筐体は複数の領域へと分割される。方法は、領域に位置付けられる構成要素がそれらの運転電圧を超えるかどうかを確認するために、第1の電圧閾値を備える。その場合には、前記領域の、異なる運転電圧の構成要素を伴う別の領域への距離が、測定される。運転電圧レベルが第1の電圧閾値を超える電気システムの前記領域への距離が最小距離未満であるそれらの他の領域には、少なくとも1つの絶縁遮蔽体が提供される。
【0043】
本発明による電力供給ユニットの特徴および利点は、本発明による殺菌デバイスと、本発明による電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法とに当てはまり、その逆も然りである。
【0044】
本発明の追加の態様および特徴は、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の記載に示されている。それぞれの実施形態の1つ1つの特徴または特性は、本発明の範囲内で組み合わされるように明示的に許容されている。