(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アルコール対前記ペルオキシカルボン酸のモル比、及び前記エステル対前記ペルオキシカルボン酸のモル比が、160:1〜1:10である、請求項1に記載の組成物。
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
前記物体が、食品加工もしくは製造に関する表面、食物組織、食品包装表面、医療管理に関する表面、医療もしくは手術機器、織物、水域もしくは水流、気体域もしくは気体の流れ、接客部門に関する表面、工業部門に関する表面、農業に関する表面、獣医学に関する表面、建築に関する表面、食卓用食器、硬い表面包装、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、微生物の優れた減少を提供し、60℃を超える温度で少なくとも2000ppmを超える活性濃度を有する単一のペルオキシカルボン酸組成物と比べて低減された蒸気圧を有する、請求項17に記載の方法。
前記ペルオキシカルボン酸組成物が、微生物の個体群の少なくとも5対数桁の減少に有効な量で存在し、前記微生物は、胞子、細菌、かび、酵母、ウイルス、およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、アルキルエステルを形成するための過酸組成物のエステル化のために、有効な抗微生物量の過酸およびアルコールを含む改善された抗微生物性過酸組成物に関する。代替として、エステルを、本発明に従って事前に形成された過酸組成物に直接添加してもよい。有利に、本発明の組成物は、アルコールを欠いた従来の過酸組成物と比較して、より低い使用濃度を必要とする改良された抗微生物効果を有する。その結果、本抗微生物性過酸組成物は、より低い使用濃度で使用することができ、その一方で商品過酸組成物では死滅されない死滅が困難な内生胞子を形成する桿菌型細菌を含む微生物の個体群を効果的に減少させることができる。その結果、組成物は、飲食料品産業で使用される施設および設備におけるものといった、様々な硬い表面上で使用することができる。加えて、本組成物は、食品の、食卓用食器の微生物の個体群を効果的に減少させるために、および水を処理するために使用することができる。本発明のなおさらなる利益において、本発明に従う過酸組成物中でのエステルの使用は、過酸組成物に改良された臭気プロファイルをもたらす。
【0019】
本発明の実施形態は、特定の組成物、使用方法、および製作方法に制限されず、これらは変化し得、当業者に理解される。本明細書で使用されるすべての専門用語は、特定の実施形態の説明のみを目的としており、任意の様式または範囲に制限されるとは意図されないことがさらに理解される。例えば、本明細書および添付の請求項で使用されるように、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、認められた形式のその国際単位で示される。本明細書内で記載される数値の範囲は、範囲を画定する数値の境界値を含み、画定される範囲内の各整数を含む。
【0020】
本発明がより容易に理解されるように、特定の用語を最初に定義する。特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本発明の実施形態に関連する当業者に通常理解されるものと同様の意味を有する。本明細書で説明されるものと類似の、修正された、または同等の多くの方法および材料は、過度の実験を伴わずに本発明の実施形態の実施において使用することができ、好ましい材料および方法が本明細書に説明される。本発明の実施形態の説明および請求において、以下の専門用語が、下記の通り定義に従って使用される。
【0021】
本明細書で使用される「約」という用語は、例えば、濃縮物または使用溶液を生成するために実際に用いられる典型的な計測、および液体の処理手順によって、これらの手順における不慮の過失によって、組成物の製造または方法の実施に使用される含有物の製造、供給源、または純度の違い等によって生じ得る数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期の混合物によってもたらされる組成物の異なる平衡状態に起因する異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されているかどうかにかかわらず、特許請求の範囲は、生じ得る数量の変動を示す数量の同等物を含む。
【0022】
本明細書で使用される「アルキル」または「アルキル基」という用語は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等)、環状アルキル基(または「シクロアルキル」または「脂環式」または「炭素環式」基)(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert−ブチル、sec−ブチル、イソブチル等)、およびアルキル置換アルキル基(例えば、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基)を含む、1つ以上の炭素原子を有する飽和炭化水素を指す。特に指示がない限り、「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含む。本明細書で使用される「置換アルキル」という用語は、炭化水素主鎖の1つ以上の炭素上で1つ以上の水素を置き換える置換基を有するアルキル基を指す。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲノ、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト塩、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、複素環式、アルキルアリール、または芳香族(複素芳香族を含む)基を挙げることができる。
【0023】
抗微生物性の「殺菌(−cidal)」または「静菌(−static)」作用の区別、効果の程度を説明する定義、およびこの効果を計測するための公認の実験プロトコルは、抗微生物剤および組成物の関連性を理解するための検討材料である。抗微生物性組成物は、2種類の微生物細胞損傷をもたらすことができる。1つ目は、完全な微生物細胞の破壊または無力化をもたらす致死的で不可逆的な作用である。2つ目の細胞損傷の種類は、有機体を薬品のない状態にした場合に再び増殖可能であるような、可逆的なものである。前者は殺菌、そして後者は静菌と称される。清浄剤および消毒剤は、定義によると抗菌または殺菌作用を提供する薬剤である。対照的に、防腐剤は、概して阻害剤または静菌組成物と説明される。
【0024】
本特許出願の目的のために、効果的な微生物の減少は、微生物の個体群が約50%まで、水での洗浄によって達成されるよりも著しく高い値まで、または少なくとも約0.3〜1ログ10まで減少されるときに、達成される。微生物の個体群のより大きな減少は、より優れたレベルの保護を提供する。本出願において、そのような個体群の減少は、プロセス許容される最低限のことである。微生物の個体群の任意の増大した減少は、高いレベルの保護を提供する付加利益である。
【0025】
本明細書で使用される「消毒剤」という用語は、A.O.A.C.Use Dilution Methods,Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、段落955.14および該当する章、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)で説明される手順を使用して、もっとも知られた病原微生物を含むすべての栄養細胞を死滅させる薬剤を指す。本明細書で使用される「高度消毒」または「高度消毒剤」という用語は、高レベルの細菌胞子を除く実質的にすべての有機体を死滅させる化合物または組成物を指し、化学的殺菌剤が米国食品医薬品局によって滅菌剤としての市場出荷を認可されると成立する。本明細書で使用される「中度消毒」または「中度消毒剤」という用語は、米国環境保護庁(EPA)によって殺結核菌剤(tuberculocide)として登録された化学的殺菌剤で、マイコバクテリア、大多数のウイルス、および細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。本明細書で使用される「低度消毒」または「低度消毒剤」という用語は、EPAによって病院消毒剤として登録された化学的殺菌剤で、一部のウイルスおよび細菌を死滅させる化合物または組成物を指す。
【0026】
本明細書で使用される「食品加工に関する表面」または「食品に関する表面」という語句は、食品加工、調理、または貯蔵活動の一部として用いられる道具、機械、設備、建造物、建物等の表面を指す。食品加工に関する表面の例は、食品加工もしくは調理設備(例えば、スライス設備、缶詰め設備、または水路を含む運搬設備)、食品加工用品(例えば、調理用具、食卓用食器、洗浄用品、およびバーグラス)、ならびに中で食品加工が生じる建造物の床、壁、または備品の表面が挙げられる。食品加工に関する表面は、食物を腐敗させない空気循環システム、無菌包装の清浄、食品冷蔵および冷却器のクリーナーおよび清浄剤、用品洗浄の清浄、漂白器の浄化および清浄、食品包装材料、まな板添加剤、サードシンクの清浄、飲料冷却機および保温機、肉の冷却水および熱湯、清浄ゲル、冷却塔、食品加工用抗微生物性衣類スプレー、ならびに非水性〜低水性の食物調理滑沢剤、油、および漱ぎ添加剤に見られ、そして用いられる。
【0027】
本明細書で使用される「医療管理に関する表面」という語句は、医療管理活動の一部として用いられる器具、機器、カート、ケージ、家具、建造物、建物等の表面を指す。<w0>医療管理に関する表面の例は、医療器具または歯科器具、医療機器または歯科機器、患者の健康状態を監視するために用いられる電子装置、ならびに中で医療管理が生じる建造物の床、壁、または備品の表面が挙げられる。医療管理に関する表面は、病院、手術室、病室、分娩室、遺体安置所、および臨床診断室に見られる。これらの表面は、「硬い表面」(壁、床、便器等といったもの)、または織物表面および不織布表面(手術着、カーテン、ベットリネン、包帯等といったもの)、または患者治療用設備(レスピレーター、診断設備、シャント、ボディースコープ、車椅子、ベッド等といったもの)、または手術もしくは診断設備として代表されるものであってもよい。医療管理に関する表面は、動物の医療管理に用いられる品物および表面を含む。
【0028】
本明細書で使用される「複素環式基」という用語(例えば、複素環式基を含む置換アルキルを指す)は、環中の炭素原子のうちの1つ以上が炭素以外の元素、例えば、窒素、硫黄、または酸素である炭素環式基に類似した閉環構造を含む。複素環式基は、飽和または不飽和であってもよい。複素環式基の例には、アジリジン、酸化エチレン(エポキシド、オキシラン)、チイラン(エピスルフィド)、ジオキシラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジオキセタン、ジチエタン、ジチエト、アゾリジン、ピロリジン、ピロリン、オキソラン、ジヒドロフラン、およびフランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される「器具」という用語は、本発明に従う臭気低減組成物での浄化から利益を得ることができる様々な医療器具もしくは歯科用器具または医療機器もしくは歯科用機器を指す。「医療器具」、「歯科用器具」、「医療機器」、「歯科用機器」、「医療設備」、または「歯科用設備」という語句は、医学または歯科医学で使用される器具、機器、道具、器械、装置、および設備を指す。そのような器具、機器、および設備は、冷殺菌、浸漬、または洗浄され、次いで、加熱殺菌されてもよく、あるいは本発明の組成物での浄化によって利益を得ることができる。これらの様々な器具、機器、および設備は、診断器具、トレイ、皿状の器物、ホルダー、棚、鉗子、はさみ、大ばさみ、のこぎり(例えば、骨鋸およびそれらの刃)、止血物質、ナイフ、のみ、骨鉗子、やすり(files)、ニッパー、ドリル、ドリルの錐先、石目やすり、バール、開大器、破砕機、エレベーター、クランプ、持針器、キャリア、クリップ、フック、切骨器、キュレット、開創器、ストレートナー、穴開け器、摘出器、しゃくし、角膜切開刀、へら、エクスプレッサー(expressors)、トロカール、拡張器、ケージ、ガラス用品、チューブ類、カテーテル、カニューレ、プラグ、ステント、関節鏡(arthoscope)および関連設備等、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される用語「農業に関する」または「獣医学に関する」物体または表面には、動物飼料、動物水やり場および囲い地、動物舎、動物の獣医師診療所(例えば、外科区域または治療区域)、動物外科区域等が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される「微生物」という用語は、任意の非細胞または単細胞(群生を含む)の有機体を指す。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノ細菌を含む)、地衣類、微小菌類、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、および一部の藻類を含む。本明細書で使用される「細菌」という用語は、微生物と同義である。
【0032】
「過酸組成物」、「ペルオキシカルボン酸組成物」、「過酸」、または「ペルオキシカルボン酸」に関連して使用されるとき、「混合された」または「混合物」という用語は、ペルオキシ酢酸およびペルオキシオクタン酸を含む組成物または混合物等のペルオキシカルボン酸といった1つを超える過酸を含む組成物または混合物を指す。
【0033】
本明細書で使用される「好ましくない臭い(objectionable odor)」、「不快な臭い(offensive odor)」または「嫌な臭い(malodor)」という語句は、鋭い、刺激性のある、もしくは鼻をつく臭気を、あるいは可能な場合、典型的な人はそこから立ち去る大気環境を指す。ヘドニックトーンは、臭気が快適であるか、または不快であるかの程度の尺度を提供する。「好ましくない臭い」、「不快な臭い」、または「嫌な臭い」は、5重量%の酢酸、プロピオン酸、酪酸、またはそれらの混合物の溶液と同じくらい不快であるか、あるいはそれよりも不快であると評価するヘドニックトーンを有する。
【0034】
本明細書で使用される「物体」という用語は、直接的および/または間接的に感覚によって感知されることができる何かの物質を指す。物体は、硬い表面(ガラス、陶磁器、金属、天然および合成の岩、木材、並びに重合体といったもの)、エラストマーもしくはプラスチック、織物および不織布下地、食品加工に関する表面、医療管理に関する表面等を含む表面を含む。物体はまた、食品(およびその表面)、水域もしくは気体域または水流もしくは気体の流れ(例えば、空気の流れ)、ならびに接客部門および工業部門に用いられる表面および品物を含む。
【0035】
本明細書で使用される「清浄剤」という用語は、公衆衛生上の要件によって判断される安全なレベルまで細菌性汚染物質の数を減少させる薬剤を指す。一実施形態において、本発明における使用のための清浄剤は、少なくとも99.999%の減少(5対数桁の減少)を提供する。これらの減少は、Germicidal and Detergent Sanitizing Action of Disinfectants, Official Methods of Analysis of the Association of Official Analytical Chemists、段落960.09および該当する章、第15版、1990年(EPAガイドライン91−2)で示された手順を使って評価することができる。この参考文献によると、清浄剤は、数個の試験有機体に対して室温、25℃+/−2℃で、30秒以内に99.999%の減少(5対数桁の減少)を提供すべきである。
【0036】
本明細書で使用される「短鎖カルボン酸」という語句は、特徴的な酷い、刺激性のある、または鼻をつく臭気を有するカルボン酸を指す。短鎖カルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、および酪酸が挙げられる。
【0037】
本明細書で使用される「殺胞子剤」という用語は、周囲温度で30分以内に、セレウス菌、アトロフィーウス菌、または枯草菌の胞子といった胞子の個体群の90%超の減少(1対数桁の減少)を引き起こすことができる能力を有する物理的薬剤または化学剤、あるいはプロセスを指す。ある特定の実施形態において、本発明の殺胞子組成物は、周囲温度で30分以内にそのような個体群の99%超の減少(2対数桁の減少)、99.99%超の減少(4対数の減少)、または99.999%超の減少(5対数桁の減少)を提供する。好ましい態様において、そのような個体群の殺胞子減少は、60℃で10秒以内に有効であるのが好ましい。
【0038】
本明細書で使用される「用品」という用語は、食事および調理用具、食器類、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、調理台、窓、鏡、運搬用車両、および床といった他の硬い表面といった品目を指す。本明細書で使用される「用品洗浄」という用語は、用品を洗浄する、浄化する、または漱ぐことを指す。用品はまた、プラスチック製の品物を指す。本発明に従う組成物で浄化され得るプラスチックのタイプは、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物および組成物を使用して浄化され得る別の例示的プラスチックには、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。
【0039】
本明細書において、「水溶性」という用語は、1重量%を超える濃度で、水中で溶解することができる化合物を指す。「若干溶性」または「若干水溶性」という用語は、0.1〜1.0重量%の濃度でのみ水中で溶解することができる化合物を指す。「水不溶性」という用語は、0.1重量%未満の濃度でのみ、水中で溶解することができる化合物を指す。
【0040】
本明細書で使用される「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt−%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語およびそれらの変形は、物質を組成物の総重量で除し、100を乗じた重量としての、物質の濃度を指す。本明細書において使用される「パーセント」、「%」等は、「重量パーセント」、「重量%」等と同義であることが意図されることを理解されたい。
【0041】
本発明の方法および組成物は、本発明の成分および含有物、同様に、本明細書に記載される他の含有物を含んでもよく、それから本質的になり、またそれから成ってもよい。本明細書で使用される、「本質的に成る」という語句は、請求項に係る方法および組成物の基本のおよび新規の特徴を大きく変更しない場合に限り、方法および組成物が、追加のステップ、成分または含有物を含み得ることを意味する。
【0042】
過酸組成物
機構の理解が本発明の実施に必須ではなく、本発明が任意の特定の作用機構に制限されない一方で、一部の実施形態において、エタノールといったアルコールを使用するペルオキシカルボン酸組成物が、従来の過酸に固有の短鎖の悪臭を除去および/またはマスクでき、また、得られるペルオキシカルボン酸組成物に対して可溶化および/または効果的な利益を提供するということが意図される。本発明のさらなる態様において、(アルコールを用いてエステル化反応を引き起こすこととは対照的に)ペルオキシカルボン酸組成物中でのエステルの使用は、同じ利益を提供し得る。
【0043】
当業者が理解するように、過酸組成物は経時的に変化する。ペルオキシカルボン酸組成物に一般に関係する悪臭は、経時的なペルオキシカルボン酸の分解を示す。本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物を用いるある特定の利益および本発明の方法は、アルコールおよび/またはエステルを用いることによる臭気の低減、マスキングおよび/または排除に関与する。例えば、特定の理論に制限されることなく、ペルオキシカルボン酸組成物中でのアルコールの使用(または事前に形成されたペルオキシカルボン酸組成物に直接提供されるエステル)は、水溶性エステルを形成する。これらの利益、ならびに組成物および/またはこれらを用いるための方法のさらなる説明は、本出願と同時に出願された米国特許出願第 号(エコラブ事例第2941USU1)に開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明の一実施形態にしたがって、および特定の理論に制限されることを意図するものではなく、ペルオキシカルボン酸組成物中でのエステルの使用は、水溶性エステルを提供する。水溶性またはわずかに水溶性のエステルのペルオキシカルボン酸組成物への添加は、例えば、ペルオキシカルボン酸の改善されたミクロ効果を含む多数の利益をもたらす。特に、本発明の好ましい実施形態にしたがって、ペルオキシカルボン酸の改善されたミクロ効果は、例えば、セレウス菌、枯草菌、アトロフィーウス菌、クロストリジウムディフィシルを含むバチルスおよびクロストリジウムを含む抵抗性内生胞子形成性病原体に対する抗微生物性作用を提供する。
【0045】
本発明は、ペルオキシカルボン酸およびエステルを含有する改善された抗微生物性組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、得られるペルオキシカルボン酸中にエステルを形成するためのエステル化反応のために、ペルオキシカルボン酸およびアルコールを含有する改善された抗微生物性組成物に関する。
【0046】
本発明のある特定の実施形態において、改善された抗微生物性組成物はさらに、酸性陰イオン界面活性剤および/またはヒドロトロープ界面活性剤を含む。有利に、ペルオキシカルボン酸および過スルホン化オレイン酸であり得る酸性陰イオン界面活性剤は、共に抗微生物剤である。他の態様において、組成物は、ヒドロトロープ界面活性剤といったいかなる界面活性剤も用いないか、あるいは最小量の界面活性剤を用いる。
【0047】
本発明のある特定の好ましい態様において、混合ペルオキシカルボン酸(混合ペルオキシカルボン酸の平衡組成物といったもの)を、約1重量%という少ない、または0.1重量%という少ない、0.01重量%という少ない、またはなおさらに0.001重量%という少ない量の酸性陰イオン界面活性剤としての過スルホン化オレイン酸と混ぜ合わせる。有利に、最小量の過スルホン化オレイン酸は、陰イオン界面活性剤の利益(例えば、発泡プロファイルおよび種々の浄化および/または清浄プロセス中のペルオキシカルボン酸の除去)、ならびに混合過酸組成物の調合から達成された追加のミクロ効果の両方を提供する。
【0048】
驚くべきことに、本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物は、混合および/または単一の過酸組成物に一般に関係する許容し難い臭気を示さない。
【0049】
本発明に従う例示的な組成物が、平衡前および平衡後組成物の両方に関して以下に提供される。
【表1】
【0050】
本発明に従う濃縮組成物中の好適なレベルのアルコールおよびエステルは、本発明に従う濃縮組成物に対して、少なくとも約160:1のアルコールまたはエステル対ペルオキシカルボン酸〜約1:10のアルコールまたはエステル対過酸のモル比を含む。好ましい実施形態において、濃縮組成物に対するアルコールまたはエステル対ペルオキシカルボン酸のモル比は、約120:1〜約1:20、または約100:1〜約1:25である。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0051】
本発明の一実施形態において、濃縮平衡前組成物は、約1〜80重量%のカルボン酸および約0.1〜20重量%のアルコールを含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0052】
本発明に従う使用準備済(RTU)の組成物中の好適なレベルのアルコールは、少なくとも約500:1〜約3:1のペルオキシカルボン酸対アルコールまたはエステルのモル比を含む。好ましい実施形態において、RTU組成物に対するペルオキシカルボン酸対アルコールまたはエステルのモル比は、約500:1〜約10:1、または約1400:1〜約20:1である。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0053】
本発明の一実施形態において、RTU平衡前組成物は、約0.1〜50重量%のカルボン酸および約0.01重量%〜10重量%のアルコールを含む。RTU組成物はさらに、本発明の実施形態に従って希釈されてもよい。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0054】
有利に、本発明の平衡後混合ペルオキシカルボン酸組成物の使用溶液は、通例、無菌浄化および/または無菌充填用途に用いられる単一種の過酸組成物を含む従来の単一種の過酸組成物のより低い使用濃度を有する。本発明の一実施形態において、約4000ppm未満の過酸(例えば、混合過酸活性−総過酸活性)、好ましくは約2000ppm未満、好ましくは約1750ppm未満、およびより好ましくは約1000ppm〜約1700ppmの過酸が、平衡後混合ペルオキシカルボン酸組成物に用いられる。
【0055】
組成物のそれぞれは、本発明の混合ペルオキシカルボン酸組成物を生成するために、平衡前組成物中の列挙した含有物のそれぞれを組み合わせることによって調合することができる。平衡組成物を提供するために、ペルオキシカルボン酸組成物を調合し、過酸は、その対応するカルボン酸および過酸化水素酸化剤との平衡状態で存在する。
【0056】
本発明の組成物は、使用希釈物および/またはRTU調合物において若干水不溶性であってもよい。過酢酸および過オクタン酸を用いる本発明の一例示的実施形態において、濃縮形態の高い酢酸レベルは、オクタン酸およびエステルを可溶化されたままにする。使用希釈物に応じて、溶液中にそれらを保持するのに十分ではない酢酸が存在し、使用溶液の溶解性の低下をもたらす。本発明の追加の態様において、PSOAの含有は、使用溶液において上昇した溶解性を提供することを援助する。有利に、PSOAの使用はさらに、可溶性の低い成分を漱ぎ流す(すなわち、体積しない)ことを補助する。本発明のさらなる有益な態様において、PSOはまた、化学物質が病原体生物群集に浸透するのを可能にすることを補助する。
【0057】
典型的に、平衡混合物のpHは、約1未満または約2であり、水中の平衡混合物の1%の溶液のpHは、1%の溶液の他の成分に応じて約2〜約9であり、使用組成物のpHは、他の成分に応じて約1〜約9であり得る。好ましくは、本発明に従う組成物は、約7未満または約1〜7のpHを有する。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0058】
本発明のペルオキシカルボン酸組成物は、従来の市販のペルオキシカルボン酸組成物と少なくとも同じ安定性を有する。本発明の特定の理論に制限されることなく、エステルを生成するためのアルコール(および/または事前に形成されたペルオキシカルボン酸に添加されるエステル)の使用は、得られるペルオキシカルボン酸組成物のモル濃度の上昇をもたらし、それは組成物の安定性に有益な効果を有し得る。一部の実施形態において、本発明の組成物は、室温で少なくとも約2年間安定している。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、室温で少なくとも約1年間安定している。
【0059】
追加の実施形態において、本発明の改善された混合ペルオキシカルボン酸組成物はまた、冷却安定性組成物と見なされる。本明細書において、「冷却安定性」は、4℃(すなわち、冷蔵温度)で相分離しない組成物を指し、それはその濃縮形態において、組成物の溶解性が最も劣っている条件を表す。有利に、本発明の一態様において、本発明の組成物は、ヒドロトロープを用いない実施形態を含む冷却安定性の混合過酸である。
【0060】
本発明の特定の理論に制限されることなく、C
2−C
4ペルオキシカルボン酸およびC
8−C
12ペルオキシカルボン酸の組み合わせは、十分な溶解性を提供し、また組成物の安定性を促進する。本発明に従う追加の好適な混合ペルオキシカルボン酸組成物が、本明細書に開示される。
【0061】
ペルオキシカルボン酸
様々なペルオキシカルボン酸が、本発明に従う組成物に用いられ得る。本発明の一実施形態にしたがって、好適なペルオキシカルボン酸には、本明細書に記載のエステルペルオキシカルボン酸、アルキルエステルペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、および/またはいくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせが挙げられる。本発明の追加の実施形態にしたがって、1つ以上のカルボン酸もまた、本明細書に開示の組成物に使用することができる。
【0062】
本発明の一態様において、1つを超えるペルオキシカルボン酸の組み合わせが用いられる。一実施形態において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つのスルホカルボン酸およびスルホペルオキシカルボン酸を含む。さらなる実施形態において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つのスルホカルボン酸およびスルホペルオキシカルボン酸、ならびに少なくとも1つの過カルボン酸およびペルオキシカルボン酸を含む。
【0063】
ペルオキシカルボキシル(または過カルボン酸もしくは過酸)は、一般式R(CO
3H)
nを有する酸を同義的に指す。R基は、飽和であっても不飽和であってもよく、ならびに、置換基であっても非置換であってもよい。本明細書に記載されるように、Rは、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、複素環式、またはアルキルエステル基といったエステル基である。Nは、1、2、または3であり、親酸の初めにペルオキシを置くことによって命名される。エステル基は、有機質部分(Rについて先で列挙されるもの等)およびエステル部分を含むR基として定義される。例示的エステル基は、R
1およびR
2のそれぞれが、Rについて上述の脂肪族基、好ましくはアルキル基である、R
1OC(O)R
2といった、脂肪族エステル基を含む。好ましくは、R
1およびR
2はそれぞれ、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基といった独立した小さいアルキル基である。
【0064】
当業者が理解すべきであるように、ペルオキシカルボン酸は、カルボン酸ほどは安定していなく、それらの安定性は概して分子量の増加に伴って上昇する。これらの酸の熱分解は、概して、フリーラジカルおよび非ラジカル経路によって、光分解もしくはラジカル誘導分解によって、または金属イオンもしくは錯体の作用によって、進行させることができる。過カルボン酸は、カルボン酸に対する過酸化水素の直接酸触媒平衡作用によって、アルデヒドの自動酸化によって、あるいは酸クロリド、および水素化物、または水素もしくは過酸化ナトリウムを有するカルボン酸無水物から製造され得る。
【0065】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのペルオキシカルボン酸が用いられる。本発明の組成物において有用な例示的なペルオキシカルボン酸には、ペルオキシギ酸、ペルオキシ酢酸、ペルオキシプロピオン酸、ペルオキシブタン酸(peroxybutanoic)、ペルオキシペンタン酸(peroxypentanoic)、ペルオキシヘキサン酸(peroxyhexanoic)、ペルオキシヘプタン酸(peroxyheptanoic)、ペルオキシオクタン酸(peroxyoctanoic)、ペルオキシノナン酸(peroxynonanoic)、ペルオキシデカン酸(peroxydecanoic)、ペルオキシウンデカン酸(peroxyundecanoic)、ペルオキシドデカン酸(peroxydodecanoic)、ペルオキシ乳酸(peroxylactic)、ペルオキシクエン酸(peroxycitric)、ペルオキシマレイン酸(peroxymaleic)、ペルオキシアスコルビン酸(peroxyascorbic)、ペルオキシヒドロキシ酢酸(peroxyhydroxyacetic)(ペルオキシグリコール酸(peroxyglycolic))、ペルオキシシュウ酸(peroxyoxalic)、ペルオキシマロン酸(peroxymalonic)、ペルオキシコハク酸(peroxysuccinic)、ペルオキシグルタル酸(peroxyglutaric)、ペルオキシアジピン酸(peroxyadipic)、ペルオキシピメリン酸(peroxypimelic)、ペルオキシスベリン酸(peroxysuberic)、およびペルオキシセバシン酸(peroxysebacic acid)、ならびにそれらの混合物が挙げられる。有用なペルオキシカルボン酸はまた、本明細書で説明されるエステルペルオキシカルボン酸、およびそれらのエステルペルオキシカルボン酸を含む本発明の組成物を含む。1つを超えるカルボキシレート部分を有するカルボン酸のペルオキシ形態は、ペルオキシカルボキシル部分として存在するカルボキシル部分のうちの1つ以上を有し得る。これらのペルオキシカルボン酸は、水性混合物中で良い安定性を有する良い抗微生物性作用を提供することが判明している。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、いくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせを利用する。
【0066】
一実施形態において、本発明の組成物は、本発明の改善された抗微生物性利益を提供するために、いくつかの異なるペルオキシカルボン酸の組み合わせを利用する。一実施形態にしたがって、組成物は、1つを超えるC
1−C
22ペルオキシカルボン酸を含む。1つの実施形態にしたがって、組成物は、1つ以上の小さいC
2−C
4ペルオキシカルボン酸、1つ以上の大きいC
8−C
12ペルオキシカルボン酸、1つ以上のエステルペルオキシカルボン酸、1つ以上のアルキルエステルペルオキシカルボン酸、および/または最大12個の炭素原子を有する1つ以上のモノもしくはジペルオキシカルボン酸を含む。さらなる実施形態にしたがって、ペルオキシカルボン酸は、2〜12個の炭素原子を有する。一実施形態にしたがって、ペルオキシカルボン酸は、ペルオキシ酢酸(POAA)(または、式CH
3COOOHを有する過酢酸)、および/またはペルオキシオクタン酸(POOA)(または、例えば、n−ペルオキシオクタン酸の式(CH
3(CH
2)
6COOOHを有するペルオキシオクタン酸)を含む。
【0067】
一実施形態において、本発明の組成物は、エステルペルオキシカルボン酸を含む。本明細書で使用されるように、エステルペルオキシカルボン酸は、式:
【化1】
(式中、R1およびR2は、独立して、多種多様な有機基(例えば、直鎖もしくは環状アルキル、芳香族もしくは飽和アルキル)または置換有機基(例えば、1つ以上のヘテロ原子もしくは有機基を有する)のいずれかであってもよい)を有する分子を指す。エステルペルオキシカルボン酸は、酸化剤、例えば、過酸化水素に対応するエステルカルボン酸のインキュベートといったペルオキシカルボン酸を産生するために典型的に用いられる方法を使用して製造されてもよい。
【0068】
本発明に有用なアルキルエステルペルオキシカルボン酸には、モノメチルモノペルオキシシュウ酸(monoperoxyoxalie acid)、モノメチルモノペルオキシマロン酸(monoperoxymalonic acid)、モノメチルモノペルオキシコハク酸(monoperoxysuccinic acid)、モノメチルモノペルオキシグルタル酸(monoperoxyglutaric acid)、モノメチルモノペルオキシアジピン酸(monoperoxyadipic acid)、モノメチルモノペルオキシピメリン酸(monoperoxypimelic acid)、モノメチルモノペルオキシスベリン酸(monoperoxysuberic acid)、およびモノメチルモノペルオキシセバシン酸(monoperoxysebacic acid)、モノエチルモノペルオキシシュウ酸、モノエチルモノペルオキシマロン酸、モノエチルモノペルオキシコハク酸、モノエチルモノペルオキシグルタル酸、モノエチルモノペルオキシアジピン酸、モノエチルモノペルオキシピメリン酸、モノエチルモノペルオキシスベリン酸、およびモノエチルモノペルオキシセバシン酸、プロピルがn−またはイソプロピルであり得る、モノプロピルモノペルオキシシュウ酸、モノプロピルモノペルオキシマロン酸、モノプロピルモノペルオキシコハク酸、モノプロピルモノペルオキシグルタル酸、モノプロピルモノペルオキシアジピン酸、モノプロピルモノペルオキシピメリン酸、モノプロピルモノペルオキシスベリン酸、およびモノプロピルモノペルオキシセバシン酸、ならびに、ブチルがn−またはイソ−、あるいはt−ブチルであり得る、モノブチルモノペルオキシシュウ酸、モノブチルモノペルオキシマロン酸、モノブチルモノペルオキシコハク酸、モノブチルモノペルオキシグルタル酸、モノブチルモノペルオキシアジピン酸、モノブチルモノペルオキシピメリン酸、モノブチルモノペルオキシスベリン酸、およびモノブチルモノペルオキシセバシン酸が挙げられる。
【0069】
本発明に従う好適なアルキルエステルペルオキシカルボン酸およびエステルペルオキシカルボン酸のさらなる説明は、共に「Peroxycarboxylic Acid Compositions with Reduced Odor」と題される、米国特許第第7,816,555号、および同第7,622,606号に含まれ、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれ、それらの中に含まれるすべての図面および化学構造を制限することなく含む。
【0070】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのスルホペルオキシカルボン酸が用いられる。本明細書においてスルホン化過酸とも称されるスルホペルオキシカルボン酸はまた、本発明に従って使用されてもよく、スルホン化カルボン酸のペルオキシカルボン酸形態を含むと理解される。ペルオキシカルボン酸鎖は、様々な位置でスルホン化されることができる。一部の実施形態において、本発明のスルホン化過酸は、中鎖スルホン化過酸であり、これは、過カルボン酸鎖の炭素主鎖における過カルボン酸基の炭素由来の少なくとも1つの炭素(例えば、3つまたはさらに離れた位置)に付着するスルホン酸塩基を含む過酸化合物を指し、この少なくとも1つの炭素は末端位置にはない。本明細書で使用される「末端位置」という用語は、過カルボキシル基から最も離れた過カルボン酸の炭素主鎖上の炭素を指す。
【0071】
本発明の一実施形態にしたがって、スルホペルオキシカルボン酸は、以下の一般式:
【化2】
(式中、R
1は、水素、または置換もしくは非置換アルキル基であり、R
2は、置換または非置換アルキル基であり、Xは、水素、陽イオン基、もしくはエステル形成部分、またはそれらの塩もしくはエステルである)を有する。
【0072】
一部の実施形態において、R
1は、置換もしくは非置換C
mアルキル基であり、Xは、水素、陽イオン基、またはエステル形成部分であり、R
2は、置換もしくは非置換C
nアルキル基であり、m=1〜10、n=1〜10、およびm+nは18未満であり、またはそれらの塩、エステル、もしくは混合物である。一部の実施形態において、R
1は、水素である。他の実施形態において、R
1は、置換もしくは非置換アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、環状アルキル基を含まない置換もしくは非置換アルキル基である。一部の実施形態において、R
1置換アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、非置換C
1−C
9アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、非置換C
7またはC
8アルキルである。他の実施形態において、R
1は、置換C
8−C
10アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、少なくとも1つ、または少なくとも2つのヒドロキシル基で置換された置換C
8−C
10アルキル基である。なおまた他の実施形態において、R
1は、置換C
1−C
9アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、少なくとも1つのSO
3H基で置換された置換C
1−C
9置換アルキル基である。他の実施形態において、R
1は、C
9−C
10置換アルキル基である。一部の実施形態において、R
1は、置換C
9−C
10アルキル基であり、炭素主鎖上の炭素のうち少なくとも2つが、複素環式基を形成する。一部の実施形態において、複素環式基は、エポキシド基である。
【0073】
さらなる実施形態において、R
2は、置換C
1−C
10アルキル基である。一部の実施形態において、R
2は、置換C
8−C
10アルキルである。一部の実施形態において、R
2は、非置換C
6−C
9アルキルである。他の実施形態において、R
2は、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたC
8−C
10アルキル基である。一部の実施形態において、R
2は、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換されたC
10アルキル基である。他の実施形態において、R
2は、少なくとも1つのSO
3H基で置換されたC
8アルキル基である。一部の実施形態において、R
2は、置換C
9基であり、炭素主鎖上の炭素のうち少なくとも2つが、複素環式基を形成する。一部の実施形態において、複素環式基は、エポキシド基である。一部の実施形態において、R
1は、C
8−C
9置換もしくは非置換アルキルであり、R
2はC
7−C
8置換もしくは非置換アルキルである。
【0074】
本発明の過酸組成物の使用に適した追加のスルホペルオキシカルボン酸には、例えば、以下のもの、ならびに/またはそれらの任意の塩、エステル、および混合物が挙げられる。
【化3】
【0075】
本発明に従う好適なスルホペルオキシカルボン酸およびそれらを製造する方法のさらなる説明は、「Sulfoperoxycarboxylic Acids, Their Preparation and Methods of Use as Bleaching and Antimicrobial Agents」と題される、米国特許出願第13/290,355号、同第12/568,493号、および同第12/413,179号に含まれ、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれ、それらの中に含まれるすべての図面および化学構造を制限することなく含む。
【0076】
本発明の一部の実施形態において、少なくとも1つのカルボン酸が、ペルオキシカルボン酸組成物に用いられる。概して、カルボン酸は、式R−COOH(Rは、脂肪族基、脂環式基、芳香族基、複素環式基、およびアルキルエステル基といったエステル基を含む異なる基のうちの任意の数を表し得、それらすべては飽和であっても不飽和であってもよく、および/または置換基であっても非置換であってもよい)を有する。カルボン酸は、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上のカルボキシル基を有し得る。好ましいエステル基は、R
1OC(O)R
2−−(R
1およびR
2のそれぞれが、Rについて上述の脂肪族基、好ましくはアルキル基である)といった、脂肪族エステル基を含む。好ましくは、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基といった小さいアルキル基である。
【0077】
本発明の組成物は、22個もの数の炭素原子を含有するカルボン酸を用いてもよい。好適なカルボン酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸(グリコール酸)、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリンスベリン酸、およびセバシン酸が挙げられる。好適なアルキルエステルカルボン酸の例には、モノメチルシュウ酸、モノメチルマロン酸、モノメチルコハク酸、モノメチルグルタル酸、モノメチルアジピン酸、モノメチルピメリン酸、モノメチルスベリン酸、およびモノメチルセバシン酸、モノエチルシュウ酸、モノエチルマロン酸、モノエチルコハク酸、モノエチルグルタル酸、モノエチルアジピン酸、モノエチルピメリン酸、モノエチルスベリン酸、およびモノエチルセバシン酸、プロピルがn−またはイソプロピルであり得る、モノプロピルシュウ酸、モノプロピルマロン酸、モノプロピルコハク酸、モノプロピルグルタル酸、モノプロピルアジピン酸、モノプロピルピメリン酸、モノプロピルスベリン酸、およびモノプロピルセバシン酸、ならびに、ブチルがn−またはイソ−、あるいはt−ブチルであり得る、モノブチルシュウ酸、モノブチルマロン酸、モノブチルコハク酸、モノブチルグルタル酸、モノブチルアジピン酸、モノブチルピメリン酸、モノブチルスベリン酸、およびモノブチルセバシン酸が挙げられる。
【0078】
一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C
2−C
12カルボン酸である。一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C
5−C
11カルボン酸である。一部の実施形態において、本発明の組成物に使用するカルボン酸は、C
1−C
4カルボン酸である。好適なカルボン酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、同様にそれらの分枝型異性体、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、ネオペンタン酸、ネオヘプタン酸、ネオデカン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリンスベリン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。概して、有用なカルボン酸は、アルキルエステルカルボン酸といったエステルカルボン酸を含む。
【0079】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、ペルオキシカルボン酸、スルホペルオキシカルボン酸、および/またはカルボン酸の組み合わせを含む。一実施形態にしたがって、本発明の組成物は、少なくとも1つのスルホペルオキシカルボン酸ならびに少なくとも1つのカルボン酸および/または過カルボン酸を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、もしくは少なくとも4つ以上のカルボン酸および/またはペルオキシカルボン酸を含む。
【0080】
ペルオキシカルボン酸を含む本明細書の化学構造は、当技術分野で既知である従来の基準に従って描画される。このため、十分ではない価数を有するように描画される炭素原子といった原子において、水素原子が必ずしも明白に描画されてないにもかかわらず、価数は水素原子によって十分であると仮定される。本発明の一部の化合物の構造は、立体中心炭素原子を含む。特に指示がない限り、かかる非対称(例えば、すべてのエナンチオマーおよびジアステレオマー)から生じる異性体が、本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。つまり、規定されない限り、任意の不斉炭素中心は、(R)−または(S)−立体化学のいずれかであってもよい。かかる異性体は、古典的な分割手法によって、および立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形で取得され得る。さらに、アルケンは、適切な場合には、E−もしくはZ−幾何学のいずれかを含むことができる。加えて、本発明の化合物は、水、THF、エタノール等といった許容できる溶媒による、非溶媒和ならびに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的に対して、非溶媒和形態と同様であると見なされる。
【0081】
使用組成物および濃縮組成物中のペルオキシカルボン酸の量は、ペルオキシカルボン酸が組成物中で溶解または懸濁され得る限界まで及んでもよい。好ましくは、ペルオキシカルボン酸は、約0.01〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約50重量%、約1〜約50重量%、および約10〜約50重量%の濃度で、平衡後組成の(使用組成物または濃縮組成物中に)存在する。好ましくは、カルボン酸は、約0.1〜約80%重量%、好ましくは約0.1〜約50%重量%、約1〜約50%重量%の濃度で、平衡前組成の(使用組成物または濃縮組成物中に)存在する。好ましくは、カルボン酸は、約0.1〜約80%重量%、好ましくは約0.1〜約40%重量%、約1〜約40%重量%の濃度で、平衡後組成の(使用組成物または濃縮組成物中に)存在する。使用組成物は、種々の実施形態に従ってさらに希釈されてもよく、かかる希釈は本発明の範囲に含まれる。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0082】
ペルオキシカルボン酸の製造
ペルオキシカルボン酸を製造するための例示的方法および装置は、共に「Apparatus and Method for Making a Peroxycarboxylic Acid」と題される、米国特許第7,547,421号、および米国特許出願第12/430,523号に開示され、参照によりそれらの全体が本明細書に明示的に組み込まれる。本発明に従う特定のペルオキシカルボン酸および/またはスルホペルオキシカルボン酸を製造するためのこれらと他の既知の方法および装置は、本発明の範囲内に含まれる。
【0083】
一部の実施形態において、組成物のペルオキシカルボン酸の調製の出発物質は、スルホン化脂肪酸をまた含み得る脂肪酸である。一部の実施形態において、本発明の過カルボン酸は、市販の脂肪酸から形成される。一部の実施形態にしたがって、本発明の過カルボン酸は、スルホン化脂肪酸から形成される。他の実施形態において、本発明の化合物は、スルホン化され得る市販の非スルホン化脂肪酸から形成される。一部の実施形態において、出発脂肪酸は、ペルオキシカルボン酸への変換の前にスルホン化される。他の実施形態において、出発脂肪酸は、ペルオキシカルボン酸の形成と同時に、または後にスルホン化される。本発明の化合物の形成における使用に適したスルホン化脂肪酸には、11−スルホウンデカン酸、10,11−ジスルホウンデカン酸、スルホン化オレイン酸、スルホン化リノール酸、スルホン化パルミトレイン酸、およびスルホン化ステアリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
本組成物の混合ペルオキシカルボン酸の調製のための出発脂肪酸に応じて、化合物の混合物が、本発明の組成物中に含まれる。例えば、化学的に純粋ではないためにスルホン化オレイン酸の1つ以上の形態を含有し得るスルホン化オレイン酸出発物質を使用する本発明の実施形態にしたがって、形成されたペルオキシスルホン化オレイン酸は、スルホペルオキシ酸化合物の混合物を含み得る。本発明のこの実施形態にしたがって、スルホペルオキシ酸は、例えば、出発物質に対する過酸化水素の直接酸触媒平衡作用を含む、様々な反応機構を使用して、形成され得る。スルホン化オレイン酸を、次いで酢酸および/またはオクタン酸といった非スルホン化脂肪酸と混ぜ合わせてもよい。
【0085】
一部の態様では、周囲条件で、ペルオキシカルボン酸組成物を製造するための反応が、平衡状態のペルオキシカルボン酸の望ましい濃度に達するのに1週間以上かかり得る。他の態様で条件は、約60分間の間または数時間の間に最大ペルオキシカルボン酸組成物に達するように変更されてもよい。当業者は、特定の時間内で望ましい濃度を取得するために、ペルオキシカルボン酸反応の条件に対する様々な修正を解明するであろう。
【0086】
本発明のある特定の実施形態において、ペルオキシカルボン酸組成物は、ペルオキシカルボン酸の形成後に添加されるアルコールアジュバントを使用するのではなく、むしろ、アルコールの存在下で製造される。
【0087】
本発明の代替の実施形態において、エステル源は、事前形成されたペルオキシカルボン酸組成物に提供される。当業者が理解するように、既に形成されたペルオキシカルボン酸組成物に提供することができる市販のエステルの源が存在する。例えば、ES−1000は、市販のエステル製品である(Ecolab Inc.)。
【0088】
エステル
様々なエステルが、本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物中で使用される。エステルは、好ましくはアルキルエステルである。さらなる態様において、エステルは、好ましくはエチルエステルである。さらなる態様において、エステルは、難溶性のエステルである。エステルの組み合わせはまた、ジメチルエステルといったものを用いてもよい。異なる濃度を有するエステルを、本発明に従って用いてもよい。
【0089】
平衡前ペルオキシカルボン酸組成物中にアルコールおよびカルボン酸を用いるエステル化反応を通してエステルが形成される本発明の一態様において、種々のエステルは、出発物質(例えば、C1−C22カルボン酸およびアルコール)に応じて形成される。本発明の一例示的実施形態において、酢酸エチルおよびオクタン酸エチルが、混合ペルオキシカルボン酸組成物中に形成される。
【0090】
本明細書に開示される任意のエステルはまた、本発明の組成物における使用のために、エステルの混合物中で混ぜ合わせられてもよい。したがって、組成物は、本発明に従って事前形成されたペルオキシカルボン酸組成物中に含むための、エステルの1種類、または2つ以上のエステルの組み合わせを含有することができる。
【0091】
アルコール
本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物中で、様々なアルコールが使用されてもよい。アルコールは、エステル化を通して悪臭の、低分子量カルボン酸を除去することを含む種々の利益を提供する。加えて、アルコールは、可溶化の利益を提供することができる。アルコールは、好ましくはC
2−C
6またはC
2−C
4アルコールといったより低鎖アルコールである。好ましい態様において、アルコールは、tertブチル変性剤エタノールといったSDAエタノール(190プルーフ)である。
【0092】
異なる濃度を有するアルコールが、本発明に従って用いられ得る。アルコールはまた、アルコールの混合物であってもよい。したがって、組成物は、1つのアルコール、または2つ以上のアルコールの混合物を含有してもよい。
【0093】
本発明に従うペルオキシカルボン酸組成物の使用に好適なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ノナノール等を含む。アルコールは、好ましくは、エタノールであり、本発明によって解決される課題に、快適で果実のような臭気および費用効果の高い解決策を提供する。さらなる実施形態にしたがって、エタノールは、有利な毒性プロフィールを有する未反応の残留物を提供する。
【0094】
本発明にしたがって、エタノールといったアルコールを含むペルオキシカルボン酸化合物の調合物は、エタノールおよび/または他のアルコールの添加の数時間以内に調合物に快適なエステル様臭気をもたらす。本発明の特定の理論に従って制限されることを意図するものではないが、アルコールは、様々な短鎖カルボン酸の著しいエステル化、あるいは少なくとも、それら臭気の完全なマスキングのいずれかをもたらす。
【0095】
アルコールは、好ましくは平衡前過酸組成物中に、約0.1重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約10重量%、約1重量%〜約10重量%のアルコール量、またはより好ましくは約1重量%〜約5重量%のアルコール量で存在する。本発明に従う過酸組成物中のアルコールの量は、濃度または使用溶液の調合に応じて変化し得る。ある特定の実施形態において、濃縮組成物は、約16:1〜約1000:1の率で希釈されてもよく、約5ppm〜約1,000ppmのアルコールの使用濃度をもたらす。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0096】
酸化剤
本発明の一部の態様において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つの酸化剤を含む。ペルオキシカルボン酸組成物中に存在するとき、様々な酸化剤のいずれか、例えば、過酸化水素が、用いられてもよい。酸化剤は、カルボン酸またはスルホン化カルボン酸といった脂肪酸を、ペルオキシカルボン酸またはスルホン化ペルオキシカルボン酸に変換するのに有効な量で存在し得る。一部の実施形態において、酸化剤はまた、抗微生物活性を有する。他の実施形態において、酸化剤は、抗微生物活性を示すのに不十分な量で存在する。
【0097】
無機酸化剤の例は、以下のタイプの化合物、もしくはこれら化合物の源、またはこれらのタイプの化合物を含む、またはそれとともに付加物を形成するアルカリ金属塩を含む:過酸化水素、尿素過酸化水素錯体、または以下の過酸化水素供与体:群1(IA)酸化剤、例えば、過酸化リチウム、過酸化ナトリウム;群2(IIA)酸化剤、例えば、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化バリウム;群12(IIB)酸化剤、例えば、過酸化亜鉛;群13(IIIA)酸化剤、例えば、過ホウ酸塩といったホウ素化合物、例えば、式Na
2[B
2(O
2)
2(OH)
4]6H
22Oによって表される過ホウ酸ナトリウム六水和物(過ホウ酸ナトリウム四水和物とも称される);式Na
2B
2(O
2)
2[(OH)
4]4H
2Oによって表されるペルオキシホウ酸ナトリウム四水和物(過ホウ酸ナトリウム三水和物とも称される);式Na
2[B
2(O
2)
2(OH).
4]によって表されるペルオキシホウ酸ナトリウム(過ホウ酸ナトリウム一水和物とも称される);群14(IVA)酸化剤、例えば、過ケイ酸塩(persilicate)およびペルオキシ炭酸塩(peroxycarbonate)、それらはまた、アルカリ金属の過ケイ酸塩もしくはペルオキシ炭酸塩といった過炭酸塩(percarbonate)とも称される;群15(VA)酸化剤、例えば、ペルオキシ亜硝酸およびその塩;ペルオキシリン酸およびそれらの塩、例えば、過リン酸塩(perphosphate);群16(VIA)酸化剤、例えば、ペルオキシモノ硫酸(peroxymonosulfuric)およびペルオキシジ硫酸(peroxydisulfuric acid)といったペルオキシ硫酸およびそれらの塩、ならびに、過硫酸塩、例えば、過硫酸塩ナトリウムといったそれらの塩;ならびに群VIIa酸化剤、例えば、過ヨウ素酸塩ナトリウム、過塩素酸カリウム。他の活性無機酸素化合物は、遷移金属過酸化物、および他のかかる過酸化合物、ならびにそれらの混合物を含むことができる。
【0098】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、先で列挙した無機酸化剤のうちの1つ以上を用いる。好適な無機酸化剤には、オゾン、過酸化水素、過酸化水素付加物、群IIIA酸化剤、もしくは群VIA酸化剤、群VA酸化剤、群VIIA酸化剤の過酸化水素供与体、またはそれらの混合物が挙げられる。このような無機酸化剤の好適な例には、過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0099】
ペルオキシカルボン酸組成物は、好ましくは過酸化水素構成要素を含む。有利に、ペルオキシカルボン酸と組み合わせる過酸化水素は、微生物に対する特定の抗微生物性作用を提供する。加えて、過酸化水素は、それが適用されるあらゆる表面を湿らせることができる発泡作用を提供することができる。過酸化水素は、いったん適用されると、さらに表面を浄化する機械的なフラッシング作用で働く。過酸化水素の追加の利点は、使用および分解の際のこの組成物の食物適合性である。例えば、ペルオキシ酢酸、ペルオキシオクタン酸、および過酸化水素の組み合わせは、分解時に酢酸、オクタン酸、水、および酸素をもたらし、それらすべては食品適合性があり、ペルオキシカルボン酸組成物が適用される装置、操作もしくは処理、または他の表面に悪影響を与えない。
【0100】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、平衡前組成物中に約0.1重量%の酸化剤〜約80重量%の酸化剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約1重量%〜約80重量%の酸化剤を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物は、約10重量%〜約75重量%の酸化剤を含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0101】
界面活性剤
本発明の一部の態様において、ペルオキシカルボン酸組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含む。界面活性剤は、好ましくは、ペルオキシカルボン酸の溶解度を高める、または組成物のpHを保持するために、ペルオキシカルボン酸組成物中に含まれる。本発明の一実施形態にしたがって、界面活性剤は、組成物の相が安定し、単一の高度に活性な水性形態を取りつづけることを保証するために使用できるヒドロトロープカプラーまたは溶解剤である。そのようなヒドロトロープ溶解剤またはカプラーは、相安定性を保持するが、欲しない組成相互作用をもたらさない濃度で使用され得る。
【0102】
本発明の組成物との使用に特に適した界面活性剤は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、および両性イオン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、陰イオン界面活性剤が、本発明の過酸組成物と共に用いられる。使用される例示的な界面活性剤は、多数の供給元から市販されている。界面活性剤の考察は、Kirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、8巻、900〜912ページを参照されたい。
【0103】
本発明の好ましい実施形態にしたがって、界面活性剤は、酸性陰イオン界面活性剤である。さらなる実施形態にしたがって、界面活性剤は、抗微生物剤である。例示的な界面活性剤であるヒドロトロープ溶解剤は、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩、アルキルもしくはアルカンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンもしくはナフタレンスルホン酸塩、第二アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩もしくはスルホン酸塩、アルキルリン酸塩もしくはホスホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル、糖エステル(例えば、ソルビタンエステル)、およびC
8−
10アルキルグルコシドといった陰イオン界面活性剤を含む。追加の実施形態において、界面活性剤は、スルホン化オレイン酸を含み得る。
【0104】
一部の実施形態において、本発明の平衡前組成物は、約0.001重量%〜約20重量%の界面活性剤を含む。他の実施形態において、本発明の組成物は、約0.01重量%〜約5重量%の界面活性剤を含む。追加の実施形態において、本発明の平衡後組成物は、約0.00001重量%〜約10重量%の界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、約10ppm〜約10,000ppmの界面活性剤を含む。さらなる実施形態において、本発明の組成物は、約10ppm〜約100ppmの界面活性剤を含む。これらの範囲および値の間のすべての範囲および値が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0105】
非イオン界面活性剤
本発明の組成物との使用に適した、好適な非イオン界面活性剤には、アルコキシル化界面活性剤が挙げられる。好適なアルコキシル化界面活性剤には、EO/POコポリマー、キャッピングされたEO/POコポリマー、アルコールアルコキシレート、キャッピングされたアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。溶媒としての使用に好適なアルコキシル化界面活性剤には、Pluronicおよび逆Pluronic界面活性剤といったEO/POブロックコポリマー、アルコールアルコキシレート、ならびにPlurafac LF221およびTegoten EC11といったキャッピングされたアルコールアルコキシレート、それらの混合物等が挙げられる。
【0106】
半極性非イオン界面活性剤
半極性型の非イオン表面活性薬剤は、本発明の組成物に有用な別のクラスの非イオン界面活性剤である。半極性非イオン界面活性剤には、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシド、およびそれらのアルコキシル化誘導体が挙げられる。
【0107】
アミンオキシドは、一般式:
【化4】
(式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1、R
2、およびR
3は、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよい)に対応する第3級アミンオキシドである。概して、洗浄剤対象のアミンオキシドに対して、R
1は、約8〜約24個の炭素原子から成るアルキルラジカルであり、R
2およびR
3は、1〜3個の炭素原子のアルキルまたはヒドロキシアルキルまたはそれらの混合物であり、R
2およびR
3は、例えば、酸素または窒素原子を介して環構造を形成するように、互いに結合することができ、R
4は、2〜3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0〜約20の範囲である。アミンオキシドは、対応するアミンおよび過酸化水素といった酸化剤から生成され得る。
【0108】
有用な水溶性のアミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ヤシ油、または獣脂アルキルジ(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体的な例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−ドデコキシ−1−ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル−(2−ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9−トリオクタデシルジメチルアミンオキシド、および3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピルジ(2−ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0109】
陰イオン界面活性剤
本組成物での使用に適した陰イオン硫酸塩界面活性剤には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖および分枝鎖第1級および第2級アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、脂肪族オレイルグリセロール硫酸塩、アルキルフェノール酸化エチレンエーテル硫酸塩、C
5−C
17アシル−N−−(C
1−C
4アルキル)、および−−N−−(C
1−C
2ヒドロキシアルキル)グルカミン硫酸塩、ならびにアルキルポリグルコシドの硫酸塩といったアルキルポリサッカライドの硫酸塩等が挙げられる。同様に含まれるものは、酸化エチレンおよびノニルフェノールの硫酸塩または縮合物(通常、1つの分子につき1〜6個のオキシエチレン基を有する)といったアルキル硫酸塩、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテル硫酸塩、ならびに芳香族ポリ(エチレンオキシ)硫酸塩である。
【0110】
本組成物での使用に適した陰イオンスルホン酸塩界面活性剤にはまた、スルホン酸塩アルキル、直鎖および分枝鎖第1級および第2級スルホン酸塩アルキル、ならびに置換基を有する、もしくは有しない芳香族スルホン酸塩が挙げられる。
【0111】
本組成物での使用に適した陰イオンカルボキシレート界面活性剤には、アルカン酸(および、アルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、アルキルコハク酸)、エーテルカルボン酸等といったカルボン酸(および、塩)が挙げられる。そのようなカルボキシレートには、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が挙げられる。本組成物での使用に有用な第2級カルボキシレートには、第2級炭素に結び付いたカルボキシル単位を含有するものが挙げられる。第2級炭素は、例えば、p−オクチル安息香酸の、またはアルキルで置換されたシクロヘキシルカルボキシレートの環状構造であってもよい。第2級カルボキシレート界面活性剤は、典型的に、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、それらは、典型的に、頭部基(両親媒性部分)の窒素原子を欠いている。好適な第2級石鹸界面活性剤は、典型的に、より多くの炭素原子(例えば、16個まで)が存在することができるが、11〜13個の総炭素原子を含有する。好適なカルボキシレートにはまた、アシルグルタミン酸(acylgluamates)、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N−アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N−アシルタウレートおよびメチルタウリドの脂肪酸アミド)等といったアシルアミノ酸(および塩)も挙げられる。
【0112】
好適な陰イオン界面活性剤は、以下の式:
【化5】
(式中、Rが、C
8−C
22のアルキル基、または、
【化6】
式中、R
1が、C
4−C
16アルキル基であり、nが、1〜20の整数であり、mが、1〜3の整数であり、およびXが、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、または、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンといったアミン塩といった対イオンである)によって表されるアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートを含む。一部の実施形態において、nは、4〜10の整数であり、mは1である。一部の実施形態において、Rは、C
8−C
16アルキル基である。一部の実施形態において、Rは、C
12−C
14アルキル基であり、nは4であり、mは1である。
【0113】
他の実施形態において、Rは、
【化7】
であり、R
1は、C
6−C
12アルキル基である。なおまた他の実施形態において、R
1は、C
9アルキル基であり、nは10であり、mは1である。そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは、市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、典型的に、陰イオンまたは塩形態に容易に変換され得る酸性形態として入手可能である。
【0114】
両性界面活性剤
両性(amphotericまたはampholytic)界面活性剤は、塩基性親水基と酸性親水基の両方、および有機疎水基を含有する。これらのイオン性の実体は、他のタイプの界面活性剤について本明細書で説明される陰イオンまたは陽イオン基のいずれかであってもよい。塩基性窒素と酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性の親水基として用いられる典型的な官能基である。いくつかの界面活性剤において、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、またはリン酸塩は、負電荷を提供する。
【0115】
両性界面活性剤は、脂肪族第2級および第3級アミンの誘導体と大まかに説明することができ、その脂肪族ラジカルは直鎖または分枝鎖であることができ、脂肪族置換基の1つが約8〜18個の炭素原子を含有し、かつ、1つが陰イオン性水溶性化基、例えばカルボキシ、スルホ、硫酸塩、リン酸塩、またはホスホノを含有する。両性界面活性剤は、当業者に既知であり、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる“Surfactant Encyclopedia”Cosmetics&Toiletries、Vol.104(2)69−71(1989年)に記載された2つの主なクラスに細分される。1つ目のクラスは、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)、およびそれらの塩を含む。2つ目のクラスは、N−アルキルアミノ酸およびそれらの塩を含む。一部の両性界面活性剤は、両方のクラスに適合すると考えることができる。
【0116】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法によって合成されることができる。例えば、2−アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、ジアルキルエチレンジアミンを用いた長鎖カルボン酸(または、誘導体)の縮合、および閉環によって合成される。商用の両性界面活性剤は、それに続く加水分解、および、例えば、クロロ酢酸または酢酸エチルを用いたアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって誘導体化される。アルキル化中に、1つまたは2つのカルボキシ−アルキル基が反応して、第3級アミン、および異なる第3級アミンを生じる異なるアルキル化剤とのエーテル結合を形成する。
【0117】
例示的な好適な両性界面活性剤には、しばしばベタインと称されるカルボキシメチル化化合物(グリシン酸)を含む長鎖イミダゾール誘導体が挙げられる。ベタインは、両性イオン界面活性剤と題された節において、本明細書で以下に考察される特別なクラスの両性である。これらおよび他の両性界面活性剤は、「Sulfoperoxycarboxylic Acids, Their Preparation and Methods of Use as Bleaching and Antimicrobial Agents」と題される、米国特許出願第12/568,493号に、さらに記載され、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0118】
本発明に適用される長鎖イミダゾール誘導体は、概して、一般式:
(モノ)酢酸 (ジ)プロピオナート 両性スルホン酸塩
【化8】
中性pH−両性イオン
(式中、Rは、約8〜18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、陰イオンの荷電を中和するための陽イオン、概して、ナトリウムである)を有する。本組成物に用いられ得る商用に有名なイミダゾリンに由来する両性物質には、例えば、ココアンホプロピオナート、ココアンホカルボキシプロピオナート、ココアンホグリシナート、ココアンホカルボキシグリシナート、ココアンホプロピルスルホン酸塩、およびココアンホカルボキシプロピオン酸が挙げられる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから産生されてもよく、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基はアセト酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0119】
本明細書で先に説明されたカルボキシメチル化化合物(グリシン酸)は、しばしばベタインと称される。ベタインは、両性イオン界面活性剤と題された節において、本明細書で以下に考察される特別なクラスの両性である。
【0120】
追加の好適な両性界面活性剤には、RNH
2(式中、R=C
8−C
18直鎖または分枝鎖アルキルである)脂肪族アミンと、ハロゲン化カルボン酸との反応によって、容易に調製される長鎖N−アルキルアミノ酸が挙げられる。アミノ酸の第一アミノ基のアルキル化は、第2級および第3級アミンをもたらす。アルキル置換基は、2つ以上の反応性窒素中心を提供する追加のアミノ基を有することができる。ほとんどの商用のN−アルキルアミン酸が、β−アラニンまたはβ−N(2−カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。本発明に適用される商用のN−アルキルアミノ酸両性電解質の例には、アルキルβ−アミノジプロピオナート、RN(C
2H
4COOM)
2およびRNHC
2H
4COOMが挙げられる。一実施形態において、Rは、約8〜約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であってもよく、Mは、陰イオンの荷電を中和するための陽イオンである。
【0121】
好適な両性界面活性剤には、ヤシ油またはヤシ油脂肪酸といったヤシ油製品由来のものが挙げられる。追加の好適なヤシ油に由来する界面活性剤は、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えばグリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8〜18個(例えば、12個)の炭素原子から成る脂肪族置換基をそれらの構造の一部として含む。そのような界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸と見なすこともできる。これらの両性界面活性剤は、C
12−アルキル−C(O)−NH−CH
2−CH
2−N
+(CH
2−CH
2−CO
2Na)
2−CH
2−CH
2−OHまたはC
12−アルキル−C(O)−N(H)−CH
2−CH
2−N
+(CH
2−CO
2Na)
2−CH
2−CH
2−OHによって表される化学構造を含む。ココアンホジプロピナート二ナトリウムは、好適な両性界面活性剤の1つであり、Rhodia Inc(Cranbury、N.J)から商品名Miranol(商標)FBSで市販されている。(Cranbr、N.J).ココアンホジアセテート二ナトリウムの化学名をもつ別の好適なヤシ油由来両性界面活性剤は、同様にRhodia Incから商品名Mirataine(商標)JCHAで販売されている。
【0122】
これらの界面活性剤の両性のクラスおよび種の典型的な一覧表は、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに交付された米国特許第3,929,678号に与えられており、さらなる例は、「Surface Active Agents and Detergents」(Schwartz、PerryおよびBerchによるI巻およびII巻)に与えられており、それぞれが参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0123】
両性イオン界面活性剤
両性イオン界面活性剤は、両性界面活性剤の一部として考えることができ、そして陰イオン電荷を含んでもよい。両性イオン界面活性剤は、第2級および第3級アミンの誘導体、複素環式第2級および第3級アミンの誘導体、または第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、もしくは第3級スルホニウム化合物の誘導体と大まかに説明することができる。典型的に、両性イオン界面活性剤は、陽性荷電した第4級アンモニウム、または場合によりスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、陰性荷電したカルボキシル基、およびアルキル基を含む。両性イオンは、概して、その分子の等電部位中でほぼ同程度までイオン化し、そして陽性−陰性電荷中心の間で強い「内部塩」吸引力を生み出すことができる陽イオン基および陰イオン基を含む。そのような両性イオン合成界面活性剤の例は、脂肪族第4級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体を含み、脂肪族ラジカルは、直鎖または分枝であってよく、脂肪族置換基の1つが8〜18個の炭素原子を含有し、かつ、1つが陰イオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、もしくはホスホン酸塩を含む。ベタインおよびスルタイン(sultaine)界面活性剤は、本明細書中の使用のための例示的な両性イオン界面活性剤である。
【0124】
これらの化合物についての一般式は:
【化9】
(式中、R
1が、0〜10個の酸化エチレン部分および0〜1個のグリセリル部分を有する8〜18個の炭素原子から成るアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yが、窒素、リン、および硫黄原子から成る群から選択され、R
2が、1〜3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、Yが硫黄原子である時、xが1であり、およびYが窒素またはリン原子である時、xが2であり、R
3が、アルキレンもしくはヒドロキシアルキレン、または1〜4個の炭素原子から成るヒドロキシアルキレンであり、Zが、カルボキシレート、スルホン酸塩、硫酸塩、ホスホン酸塩、およびリン酸塩基から成る群から選択されるラジカルである)である。
【0125】
先で列挙した構造を有する両性イオン界面活性剤の例には、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−N−オクタデシルアンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート、5−[S−3−ヒドロキシプロピル−S−ヘキサデシルスルホニオ]−3−ヒドロキシペンタン−1−硫酸塩、3−[P,P−ジエチル−P−3,6,9−トリオキサテトラコサンホスホニオ]−2−ヒドロキシプロパン−1−リン酸、3−[N,N−ジプロピル−N−3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル−アンモニオ]−プロパン−1−p−ホスホン酸、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−プロパン−1−スルホン酸塩、3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシ−プロパン−1−スルホン酸塩、4−[N,N−ジ(2(2−ヒドロキシエチル)−N(2−ヒドロキシドデシル)アンモニオ]−ブタン−1−カルボキシレート、3−[S−エチル−S−(3−ドデコキシ−2−ヒドロキシプロピル)スルホニオ]−プロパン−1−リン酸塩、3−[P,P−ジメチル−P−ドデシルホスホニオ]−プロパン−1−ホスホン酸塩、およびS[N,N−ジ(3−ヒドロキシプロピル)−N−ヘキサデシルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−ペンタン−1−硫酸塩が挙げられる。該洗浄剤界面活性剤中に含有されるアルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよく、かつ、飽和または不飽和であってもよい。
【0126】
本組成物での使用に適した両性イオン界面活性剤には、一般構造:
【化10】
によって表されるベタインを含む。これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極端なpHにて陽イオンまたは陰イオンの強い特徴を示さず、それらはそれらの等電範囲内で減少した水溶性も示さない。「外付けの」第4級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは陰イオン物質と適合する。好適なベタインの例には、ヤシ油アシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C
12−14アシルアミドプロピルベタイン、C
8−14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4−C
14−16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ−1−カルボキシブタン、C
16−18アシルアミドジメチルベタイン、C
12−16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC
12−16アシルメチルアミドジメチルベタインが挙げられる。
【0127】
本発明に有用なスルタインは、式(R(R
1)
2N
+R
2SO
3−(式中、Rが、C
6−C
18ヒドロカルビル基であり、各R
1が、典型的に、C
1−C
3アルキル、例えば、メチルであり、R
2が、C
1−C
6ヒドロカルビル基、例えば、C
1−C
3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である)を有する化合物を含む。
【0128】
これらの界面活性剤の両性イオンのクラスおよび種の典型的な一覧表は、1975年12月30日にLaughlinおよびHeuringに交付された米国特許第3,929,678号に与えられる。さらなる例は、「Surface Active Agents and Detergents」(Schwartz、PerryおよびBerchによるI巻およびII巻)に与えられる。これらの参考文献それぞれは、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
アジュバント−他の追加の含有物
一部の実施形態において、本発明の組成物は、他の追加の含有物を含むことができる。本発明の組成物との使用に適した追加の含有物には、酸味料(acidulant)、安定化剤、例えば、キレート剤、金属イオン封鎖剤および/または結晶化阻害剤、緩衝剤、洗浄剤、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、発泡剤、過酸化水素還元剤(例えば、カタラーゼ酵素)、固化剤、美観向上剤(aesthetic enhancing agent)(すなわち、着色剤、付臭剤、または香料)、ならびに他の洗剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの追加の含有物は、本発明の組成物と事前に調合されてもよく、または本発明の組成物の添加の前、後、もしくは実質的に同時に系に添加されてもよい。加えて、組成物は、1つ以上の従来の洗剤、例えば、アルカリ性洗浄剤と併用されてもよい。
【0130】
酸味料
一部の実施形態において、本発明の組成物は、酸味料を含む。酸味料は、カルボン酸のペルオキシカルボン酸への変換、またはエステル形成のための触媒として作用することができる。酸味料は、約1以下のpHを有する濃縮組成物の形成に有効であり得る。酸味料は、約5、約5以下、約4、約4以下、約3、約3以下、約2、約2以下等のpHを有する使用組成物の形成に有効であり得る。一部の実施形態において、酸味料は、アルカリ性浄化液のpHを約10、約10以下、約9、約9以下、約8、約8以下、約7、約7以下、約6、または約6以下のpHに下げるために使用され得る。一実施形態において、酸味料は、無機酸を含む。好適な無機酸には、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、硝酸、塩酸が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、酸味料は、有機酸を含む。好適な有機酸には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸、酢酸、モノ、ジ、もしくはトリハロカルボン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、本発明の組成物は亜リン酸系の酸を含まないか、あるいは実質的に含まない。
【0131】
一部の実施形態において、選択された酸味料はまた、安定化剤として機能することもできる。このため、本発明の組成物は、実質的に追加の安定化剤を含んでいなくてもよい。
【0132】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約0.5〜約80重量%の酸味料、約1〜約50重量%、約5〜約30重量%の酸味料、または約7〜約14重量%の酸味料を含む。これらの値および範囲の間のすべての値および範囲が、本発明の組成物によって包含されることを理解されたい。
【0133】
安定化剤
一部の実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の安定化剤を含む。例えば、過酸および過酸化水素を安定させるために、ならびに本発明の組成物中のこの構成要素の早すぎる酸化を防ぐために、安定化剤を使用してもよい。一部の実施形態において、酸性の安定化剤が使用されてもよい。このため、一部の実施形態において、本発明の組成物は、実質的に追加の酸味料を含まなくてもよい。好適な安定化剤には、例えば、キレート剤または金属イオン封鎖剤が挙げられる。好適な金属イオン封鎖剤には、溶液中の金属イオン、特に遷移金属イオンを封鎖する有機キレート化合物が挙げられるが、これらに限定されない。そのような金属イオン封鎖剤には、(酸または可溶性塩の形態のいずれかで)有機アミノまたはヒドロキシポリホスホン酸錯化剤、カルボン酸(例えば、高分子ポリカルボキシレート)、ヒドロキシカルボン酸、アミノカルボン酸、複素環式カルボン酸、例えば、ピリジン−2,6−ジカルボン酸(ジピコリン酸)が挙げられる。
【0134】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、安定化剤としてジピコリン酸を含む。ジピコリン酸を含む組成物は、亜リン酸を含まないか、あるいは実質的に含まないように調合されてもよい。本発明の組成物中のジピコリン酸含有が、他の従来の安定化剤、すなわち1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(CH
3C(PO
3H
2)
2OH)(HEDP)と比較して、組成物の相安定性を達成するのに役立つこともまた報告されている。
【0135】
他の実施形態において、金属イオン封鎖剤は、ホスホン酸またはホスホン酸塩であるか、あるいはそれらを含んでもよい。好適なホスホン酸およびホスホン酸塩には、HEDP、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタキスメチレンホスホン酸(DTPMP)、シクロヘキサン−1,2−テトラメチレンホスホン酸、アミノ[トリ(メチレンホスホン酸)]、(エチレンジアミン[テトラメチレンホスホン酸)]、2−ホスフェンブタン−1,2,4−トリカルボン酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、またはモノ、ジ、もしくはテトラエタノールアミン塩といったアルキロイルアミン塩といったそれらの塩、ピコリン酸、ジピコリン酸、またはそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態において、有機ホスホン酸塩、例えば、HEDPは、本発明の組成物中に含まれる。
【0136】
市販の食品添加物用キレート剤には、例えば、DEQUEST(登録商標)2010としてMonsanto Industrial Chemicals Co.,St.Louis,Mo.から入手可能な1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、DEQUEST(登録商標)2000としてMonsantoから利用可能であるアミノ(トリ(メチレンホスホン酸)、(N[CH
22PO
3H
2]
3)、DEQUEST(登録商標)2041としてMonsantoから入手可能なエチレンジアミン[テトラ(メチレンホスホン酸)]を含む商品名DEQUEST(登録商標)で販売されているホスホン酸塩、およびBayhibit AMとしてMobay Chemical Corporation,Inorganic Chemicals Division,Pittsburgh,Pa.から入手可能な2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸が挙げられる。
【0137】
金属イオン封鎖剤は、アミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤であるか、またはそれを含んでもよい。好適なアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤には、酸またはそれらのアルカリ金属塩、例えば、酢酸アミノおよびそれらの塩が挙げられる。好適なアミノカルボキシレートには、N−ヒドロキシエチルアミノアセト酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、およびアラニン−N,N−アセト酢酸等、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0138】
金属イオン封鎖剤は、ポリカルボキシレートであるか、またはそれを含んでもよい。好適なポリカルボキシレートには、例えば、ポリアクリル酸、マレイン酸/オレフィンコポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマー、ポリメタクリル酸、アクリル酸−メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド−メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル−メタクリロニトリルコポリマー、ポリマレイン酸、ポリフマル酸、アクリル酸およびイタコン酸のコポリマー、ホスフィノポリカルボキシレート、その酸もしくは塩の形態、それらの混合物等が挙げられる。
【0139】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約0.01〜約10重量%の安定化剤、約0.4〜約4重量%の安定化剤、約0.6〜約3重量%の安定化剤、約1〜約2重量%の安定化剤を含む。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0140】
湿潤剤または消泡剤
本発明の組成物において同様に有用なものは、湿潤または消泡剤である。湿潤剤は、本発明の抗微生物性組成物の表面接触または浸透作用を増大するように機能する。本発明の組成物に使用され得る湿潤剤は、本発明の組成物の界面活性を高める当分野内で既知のそれら構成要素のうちのいずれかを含む。
【0141】
概して、本発明に従って使用され得る消泡剤には、シリカおよびシリコーン、脂肪酸またはエステル、アルコール、硫酸塩またはスルホン酸塩、アミンまたはアミド、フルオロクロロ炭化水素といったハロゲン化化合物、植物油、ワックス、および鉱油、ならびにそれらのスルホン化もしくは硫酸化誘導体、脂肪酸、および/もしくはアルカリ、アルカリ土類金属石鹸といったそれらの石鹸、ならびにアルキルおよびアルカリジリン酸塩、特に、リン酸塩トリブチルといったリン酸塩およびリン酸塩エステル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0142】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本発明の方法の適用を前提として食物グレードの品質をもつ泡止め剤または消泡剤を含んでもよい。このために、より有効な泡止め剤の1つはシリコーンを含む。ジメチルシリコーンといったシリコーン、グリコールポリシロキサン、メチルフェノールポリシロキサン、トリアルキルまたはテトラアルキルシラン、疎水性シリカ消泡剤、およびそれらの混合物は、全てが消泡用途に使用されることができる。一般に市販の消泡剤には、シリコーン、例えば、有機乳濁液中に化合されたシリコーンであるArmour Industrial Chemical Company製のArdefoam(登録商標)、シリコーンおよび非シリコーン型の消泡剤、ならびにシリコーンエステルであるKirusable Chemical Companyから市販されているFoam Kill(登録商標)またはKresseo(登録商標)、および両方とも特に食物グレード型のシリコーンであるDow Corning Corporation製のAnti−Foam A(登録商標)およびDC−200が挙げられる。これらの消泡剤は、約0.01重量%〜20重量%、約0.01重量%〜5重量%、または約0.01重量%〜約1重量%の範囲の濃度で存在し得る。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0143】
増粘剤またはゲル化剤
本発明の組成物は、種々の既知の増粘剤のいずれかを含んでもよい。好適な増粘剤には、キサンタンゴム、グアールガム、または植物粘液由来の他のゴムといった天然のゴム、アルギナート、デンプン、およびセルロースポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース)といった多糖類ベースの増粘剤、ポリアクリラート増粘剤、およびペクチンといったハイドロコロイド増粘剤が挙げられる。一実施形態において、増粘剤は、物体の表面上に汚染残留物を残さない。例えば、増粘剤またはゲル化剤は、食物または接触面内の他の傷つきやすい製品に適合し得る。概して、本組成物または方法に用いられる増粘剤の濃度は、最終組成物内の所望の粘度によって決定される。しかし、一般的な指針として、本組成物中の増粘剤の粘度は、約0.1重量%〜約5重量%、約0.1重量%〜約1.0重量%、または約0.1重量%〜約0.5重量%の範囲にわたる。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0144】
固化剤
本組成物は、組成物を固体の形態に保持することに関与し得る固化剤を含んでもよい。一部の実施形態において、固化剤は、組成物を固体に形成および/または保持することができる。他の実施形態において、固化剤は、最終的なスルホン化ペルオキシカルボン酸の解放を許容し難く損ずることなく組成物を固化することができる。固化剤は、例えば、中性の不活性特徴を有するか、あるいは本組成物の機能化、安定化もしくは洗浄化に寄与する有機または無機固体化合物を含み得る。好適な固化剤には、固形のポリエチレングリコール(PEG)、固定のポリプロピレングリコール、固形のEO/POブロックコポリマー、アミド、尿素(カルバミドとしても既知である)、非イオン界面活性剤(カプラーと共に用いられ得る)、陰イオン界面活性剤、水溶性にされたデンプン(例えば、酸またはアルカリ処理プロセスを介して)、水溶性にされたセルロース、無機剤、ポリ(無水マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリメタクリル酸、高い融点をもつ他の一般に機能的であるかまたは不活性な物質、それらの混合物等が挙げられる。
【0145】
好適なグリコール固化剤には、例えば、約1,400〜約30,000の分子量を有し得る固形のポリエチレングリコールまたは固形のポリプロピレングリコールが挙げられる。ある特定の実施形態において、固化剤は、固形のPEG、例えば、PEG1500〜最大PEG20,000を含むか、あるいはそれらである。ある特定の実施形態において、PEGは、PEG1450、PEG3350、PEG4500、PEG8000、PEG20,000等を含む。好適な固形のポリエチレングリコールは、商品名CARBOWAX(商標)でUnion Carbideから市販されている。
【0146】
好適なアミド固化剤には、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ココジエチレンアミド、アルキルアミド、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、本組成物は、グリコール(例えば、PEG)およびアミドを含み得る。
【0147】
好適な非イオン界面活性固化剤には、ノニルフェノールエトキシレート、直鎖アルキルアルコールエトキシレート、酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマー、それらの混合物等が挙げられる。好適な酸化エチレン/酸化プロピレンブロックコポリマーには、商品名Pluronic(例えば、Pluronic108およびPluronic F68)で販売されているもの、ならびにBASF Corporationから市販されているものが挙げられる。一部の実施形態では、非イオン界面活性剤は、室温において、あるいは組成物の保存または使用時の温度において、固体であるように選択され得る。他の実施形態において、非イオン界面活性剤は、カップリング剤との組み合わせで低い水溶解性を有するものが選択され得る。非イオン性界面活性固化剤とともに用いられる好適なカプラーには、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、それらの混合物等が挙げられる。
【0148】
好適な陰イオン界面活性固化剤には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルコール硫酸、アルコールエーテル硫酸、アルファオレフィンスルホン酸塩、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、陰イオン界面活性固化剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩であるか、あるいはそれを含む。一実施形態において、陰イオン界面活性剤は、室温において、あるいは組成物の保存または使用時の温度において、固体であるように選択され得る。
【0149】
好適な無機固化剤には、リン酸塩(例えば、アルカリ金属リン酸塩)、硫酸塩(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、もしくは硫酸水素ナトリウム)、酢酸塩(例えば、無水酢酸ナトリウム)、ホウ酸塩(例えば、ホウ酸ナトリウム)、ケイ酸塩(例えば、沈降形態もしくは煙霧形態(例えば、Degussaから入手可能なSipernat50(登録商標))、炭酸塩(例えば、炭酸カルシウムもしくは炭素ナトリウム、またはそれらの低水和物)、他の既知の水和可能な化合物、それらの混合物等が挙げられる。一実施形態において、無機固化剤は、E形態組成物といった有機ホスホン酸塩化合物および炭酸塩を含んでもよい。
【0150】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、必要な程度の固化を提供する任意の薬剤または組み合わせを含むことができ、水溶解性を本組成物に含むことができる。他の実施形態において、本組成物中での固化剤の濃度の上昇は、組成物の硬度を上昇する傾向がある。さらに他の実施形態において、固化剤の濃度の低下は、濃縮組成物を緩める、または軟化する傾向がある。
【0151】
一部の実施形態において、固化剤は、例えば、水性の環境に設置されるときに、本組成物に固体特徴を与える、および/または本組成物の溶解特徴を制御する任意の有機化合物もしくは無機化合物を含んでもよい。例えば、凝固剤は、組成物中の他の含有物と比較して大きい水溶解度を有する場合、制御された調剤を提供することができる。尿素は、そのような固化剤の1つであり得る。さらなる例として、より低い水溶解度またはより遅い速度の溶解によって利益を得ることができる系に対して、有機非イオンまたはアミド硬化剤が適している場合がある。
【0152】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、本組成物の好都合な処理または製造を提供する固化剤を含んでもよい。例えば、固化剤は、混合が停止し、混合物が混合システムから分注された後約1分間〜約3時間、または約2分間〜約2時間、または約5分間〜約1時間の間に、約30〜約50℃の周囲温度下で固体形態に硬化することができる組成物を形成するように選択されてもよい。
【0153】
本発明の組成物は、任意の有効な量で固化剤を含むことができる。本組成物中に含まれる固化剤の量は、組成物のタイプ、組成物の含有物、組成物の使用用途、使用中経時的に固体組成物に適用される倍液の量、倍液の温度、倍液の硬度、固体組成物の物理的大きさ、他の含有物の濃度、組成物中の洗剤の濃度、および他の同様の要因に従って、変化し得る。好適な量には、約1〜約99重量%、約1.5〜約85重量%、約2〜約80重量%、約10〜約45重量%、約15%〜約40重量%、約20%〜約30重量%、約30%〜約70重量%、約40%〜約60重量%、最大約50重量%、約40%〜約50重量%が含まれ得る。これらの値および範囲内のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0154】
担体
一部の実施形態において、本発明の組成物は、担体を含む。担体は、組成物の他の成分を溶解する、懸濁する、または担持する媒体を提供する。例えば、担体は、スルホン化ペルオキシカルボン酸の可溶化、懸濁化、または産生のための、および平衡混合物を形成するための媒体を提供し得る。担体はまた、物体上で本発明の組成物を供給し、湿らせるように機能し得る。このために、担体は、これらの機能を促進することができる任意の成分(単数または複数)を含有することができる。
【0155】
一部の実施形態において、担体は、溶解性、ならびに反応および平衡のための媒体としての働きを促進することができる水を主に含む。担体は、例えば、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール等の単純アルキルアルコールといった有機溶媒を含んでもよく、または主に有機溶媒であってもよい。グリセロール、ソルビトール等を含むポリオールもまた有用な担体である。
【0156】
好適な担体には、グリコールエーテルが挙げられる。好適なグリコールエーテルには、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールtert−ブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical Co.からDOWANOL EPH(商標)として市販されている)、プロピレングリコールフェニルエーテル(Dow Chemical Co.からDOWANOL PPH(商標)として市販されている)等、またはそれらの混合物が挙げられる。追加の好適な(それらすべてがUnion Carbide Corp.から入手可能である)市販のグリコールエーテルには、ブトキチエチルPROPASOL(商標)、ブチルCARBITOL(商標)アセタート、ブチルCARBITOL(商標)、ブチルCELLOSOLVE(商標)アセタート、ブチルCELLOSOLVE(商標)、ブチルDIPROPASOL(商標)、ブチルPROPASOL(商標)、CARBITOL(商標)PM−600、CARBITOL(商標)低比重、CELLOSOLVE(商標)アセタート、CELLOSOLVE(商標)、エステルEEP(商標)、FILMER IBT(商標)、ヘキシルCARBITOL(商標)、ヘキシルCELLOSOLVE(商標)、メチルCARBITOL(商標)、メチルCELLOSOLVE(商標)アセタート、メチルCELLOSOLVE(商標)、メチルDIPROPASOL(商標)、メチルPROPASOL(商標)アセタート、メチルPROPASOL(商標)、プロピルCARBITOL(商標)、プロピルCELLOSOLVE(商標)、プロピルDIPROPASOL(商標)、およびプロピルPROPASOL(商標)が挙げられる。
【0157】
一部の実施形態において、担体は、本発明の組成物の大部分を構成し、スルホン化ペルオキシカルボン酸、酸化剤、追加の含有物等を別とした組成物のバランスをとることができる。担体の濃度およびタイプは、他の要素の中でも特にスルホン化ペルオキシカルボン酸の濃度を含む全体としての組成物の性質、環境中での保存、および適用方法に依存する。特に、担体は、ペルオキシカルボン酸組成物の効果およびその使用用途、例えば、漂白、清浄、消毒を阻害しない濃度で選択され、使用されるべきである。
【0158】
ある特定の実施形態において、本組成物は、約5〜約90重量%の担体、約10〜約80重量%の担体、約20〜約60重量%の担体、または約30〜約40重量%の担体を含む。これらの値および範囲の間のすべての値および範囲が、本発明によって包含されることを理解されたい。
【0159】
使用組成物
本発明のペルオキシカルボン酸組成物は、濃縮組成物および使用組成物の両方を含む。例えば、濃縮組成物は、例えば、水で希釈されて、使用組成物を形成することができる。一実施形態において、濃縮組成物は、物体への適用前に使用溶液に希釈されてもよい。主に経済的な理由から濃縮物が販売されている場合がり、エンドユーザは濃縮物を水または水性の希釈剤で使用溶液に希釈してもよい。
【0160】
濃縮組成物中の活性成分のレベルは、意図される希釈係数およびスルホン化ペルオキシカルボン酸化合物の所望の活性に依存する。概して、約1液量オンス(約30ミリリットル)の約10ガロン(約38リットル)の水への希釈〜約10液量オンス(約0.3リットル)の約1ガロン(約4リットル)の水への希釈が、本発明の水性組成物に使用される。一部の実施形態において、高い使用温度または(30秒より長い)長い照射時間が用いられ得る場合、より高い使用希釈液を用いることができる。典型的な使用場所において、濃縮液は、水100ガロン(約379リットル)につき約3〜約40オンス(約89ミリリットル〜約1.2リットル)の濃縮液の希釈比率で、一般に利用可能な蛇口を使った大きな割合の水か、または物質を混ぜた用水で希釈される。
【0161】
洗濯用途での使用といった一部の実施形態において、濃縮された組成物は、約0.1g/L〜約100g/Lの濃縮物対希釈剤、約0.5g/L〜約10.0g/Lの濃縮物対希釈剤、約1.0g/L〜約4.0g/Lの濃縮物対希釈剤、または約1.0g/L〜約2.0g/Lの濃縮物対希釈剤の希釈比率で希釈されてもよい。他の実施形態において、使用組成物は、約0.01〜約10重量%の濃縮組成物および約90〜約99.99重量%の希釈剤、または約0.1〜約1重量%の濃縮組成物および約99〜約99.9重量%の希釈剤を含んでもよい。使用組成物中の含有物の量は、濃縮組成物およびこれらの希釈係数について先に列挙した量から計算されてもよい。
【0162】
本発明の開示に基づいて当業者が理解すべきであるように、本発明の臭気低減および改善された抗微生物性組成物は、液体濃縮組成物および/または使用組成物として調合されることができる。本発明の過酸組成物はまた、そのような組成物を含有するゲル、エアロゾル、気体、ワックス、固体、粉末、または溶液もしくは懸濁液として調合されてもよい。
【0163】
過酸組成物を用いる使用方法
本発明は、改善された抗微生物性過酸組成物を用いる方法を含む。本発明の1つの実施形態にしたがって、方法は、過酸の組成物の抗微生物性または漂白作用を用いる。本発明の組成物を、様々な基質および表面、例えば、織物および硬い表面に対する抗微生物性組成物または漂白組成物として使用することができる。本発明の組成物をまた、抗微生物性消毒剤組成物および/または抗微生物性清浄剤組成物として使用してもよい。本発明の組成物をまた、例えば、エポキシドを含むポリマーの産生に対して使用することができる。本発明の組成物をさらに、製造方法に対して改善した臭気を有するパルプおよび紙の漂白方法において使用してもよい。
【0164】
本発明の一態様において、単一の過酸種を用いる改善された抗微生物性過酸組成物は、本発明に従って、エステル化反応にアルコール(および/または事前に形成されたペルオキシカルボン酸に添加されるエステル)を用いない過酸組成物と比較して、少なくとも実質的に類似の浄化性能および/または抗微生物性能を提供する。
【0165】
本発明のさらなる態様において、本発明に従って、1つを超えるペルオキシカルボン酸(すなわち、混合過酸)およびエステルの組み合わせを用いる改善された抗微生物性過酸組成物は、従来の過酸組成物を上回る改良された浄化性能および/または抗微生物性能を提供する。
【0166】
組成物は、様々な用途、例えば、食品接触の清浄、硬い表面の消毒、および織物の消毒に使用され得る。一部の実施形態において、本発明の化合物を含有する組成物は、多目的であり得る。つまり、本発明の組成物は、例えば、抗微生物性および漂白性の両方として作用し得る。本発明の組成物はさらに、消毒、消毒および浄化の組み合わせ、殺ウイルス処理ならびに/または殺菌性処理として作用することができる。
【0167】
本発明の一実施形態にしたがって、様々な表面上で微生物の個体群を減少させるための方法が、提供される。本発明に従う方法は、物体または表面を本発明の改善された抗微生物性過酸組成物と接触させることによって、物体、表面等の上で機能することができる。本発明の開示に基づいて当業者が解明すべきであるように、接触させることは、組成物をスプレーする、物体を組成物中に浸す、組成物を用いて物体を泡もしくはゲルで処理する、あるいはそれらの組み合わせといった、組成物を適用するための多数の方法のいずれかを含むことができる。
【0168】
本発明の過酸組成物は、様々な家庭用または工業用用途に使用することができる。一実施形態において、過酸組成物は、食物および植物種を取り扱っている製造または加工の現場でも使用され得る。さらなる実施形態において、組成物は、食品加工設備もしくは材料の浄化または清浄;有効酸素の送達剤としてを含む食品接触および非食品接触の硬い表面の清浄;無菌およびESLボトル漱ぎ用途;コンベヤー処理;非食品接触表面の泡清浄;部屋の噴霧清浄;非食品接触包装設備;事前に浄化された表面に適用されるときのバクテリオファージ制御;無菌プロセスにおける、製造、充填、および包装設備の殺菌;調剤および化粧に関する表面の消毒;家禽小屋の消毒;農場の施設の消毒;水濾過、逆浸透(RO)、および限外濾過(UF)膜システムの抗微生物性処理;食品加工設備を浄化するためのアルカリ性洗浄剤の効能促進剤;食品加工設備を浄化するための酸性洗浄剤の効能促進剤;種卵、鶏小屋、トラック、木箱(家禽)の清浄;食品貯蔵施設;腐敗防止空気循環システム;食品冷蔵および冷却設備;飲料冷却機および保温機、漂白器、まな板、サードシンク区域、ならびに肉の冷却および熱湯処理機器等に用いられてもよい。
【0169】
一部の態様において、本発明の過酸組成物は、容器の浄化または清浄(無菌技術を含む)、加工施設、または食品サービス産業または食品加工産業における設備に有用である。化合物および組成物は、食品包装材料および設備、ならびに特に冷または熱無菌包装への使用に関して特別な価値を有する。本発明の化合物が用いられ得る加工施設の例には、ミルクライン乳製品製造所、連続的な醸造システム、ポンプを使った食物システムおよび飲料ライン等といった食品加工ラインが挙げられる。食品サービス用品を、本発明の化合物で消毒することができる。例えば、化合物はまた、用品洗浄機、低温用品洗浄機、食器類、ボトルの洗浄機、ボトルの冷却機、保温器、サードシンクの洗浄機、刃物の領域(例えば、水ナイフ、スライサー、カッター、およびのこぎり)、および鶏卵洗浄機の上またはその中で使用され得る。特定の処理可能な表面には、ボール紙、ボトル、フィルム、および樹脂といった包装;コップ、プレート、調理用具、ポット、および鍋といった食器類;用品洗浄機および低温用品洗浄機、シンク、カウンター、テーブル、床、および壁といったむき出しの食物調理領域の表面;タンク、大だる、ライン、ポンプ、およびホース(例えば、ミルク、チーズ、アイスクリーム、および他の乳製品を加工するための乳製品加工設備)といった加工設備;ならびに運搬用車両が挙げられる。容器には、ガラス瓶、PVCもしくはポリオレフィンフィルムの袋、缶、ポリエステル、様々な容量(100ml〜2リットル等)のPENもしくはPETボトル、1ガロン(約4リットル)のミルク容器、板紙製のジュース、またはミルク容器等が挙げられる。
【0170】
本発明の好ましい態様にしたがって、改善された過酸組成物は、一般に無菌浄化用途で見られる、例えば、アトロフィーウス菌、セレウス菌、ミコイデス菌、枯草菌、炭疽菌、およびバチルス・スリンジエンシスといったバチルス種を含む処理が困難な微生物の個体群を減少させるために用いることができる。特定の態様において、改善された過酸組成物は、特に、アトロフィーウス菌に対して有効である。
【0171】
改善された過酸組成物の使用に適した特定の実施形態は、定置洗浄(CIP)システムおよび分解洗浄(COP)システムの両方を含む無菌浄化の分野である。従来の過酸組成物と比較して、改善された過酸組成物は、より低い濃度およびより低い温度におけるその効果から、特に無菌浄化における使用に適している。
【0172】
本明細書において、CIP浄化技術は、典型的に、飲料、ミルク、ジュース等といった液体製品の流れの加工に使用される、タンク、ライン、ポンプ、および他の加工設備の内部要素から汚物を除去することに適している特定の浄化および消毒計画である。定置洗浄浄化は、いかなるシステム要素も分解することなく、浄化溶液をシステムに通すことを含む。最小の定置洗浄技術は、浄化溶液を設備に通し、次いで、通常のプロセスを再開することを含む。代替として、COP浄化技術は、例えば、洗浄タンク、浸漬容器、モップ用バケツ、汚物集合タンク、掃除用シンク、自動車部品洗浄機、不連続バッチ洗浄機およびシステム等のセラミック表面、金属表面、壁といった幅広い様々な部分の内側表面および外側表面から汚物を除去することに適している特定の浄化および消毒計画である。
【0173】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、低温での洗剤、漂白剤および/または抗微生物剤としての使用、好ましくは、0℃〜約80℃以上の温度でのCIPおよび/またはCOPの分野での使用に適している。
【0174】
さらなる実施形態では、過酸組成物は、様々な医療管理、洗濯管理および/または車両管理の環境において用いられ得る。またさらに、過酸組成物の使用に対する実施形態には、そこでその抗微生物性機能およびその酸化性特性の両方が用いられ得る冷却塔の消毒、生物膜の減少、および廃水の処理が含まれる。
【0175】
本過酸組成物は、ヒト、動物等の病原体といった病原微生物の個体群を減少させるために用いられ得る。過酸組成物は、グラム陽性(例えば、リステリア菌、または黄色ブドウ球菌)、およびグラム陰性(例えば、大腸菌または緑膿菌)、細菌、酵母、かび、細菌胞子、ウイルス等を含む様々な病原体、菌類、かび、細菌、胞子(例えば、内生胞子)、ならびにウイルスに対する活性を有する。かかる病原体は、様々な疾患および障害を引き起こし得る。
【0176】
本発明の過酸組成物の活性の結果、それらは、滅菌剤、清浄剤、消毒剤、防腐剤、脱臭剤、防腐剤、殺かび剤、殺菌剤、殺胞子剤、殺ウイルス剤、洗浄剤、漂白剤、硬い表面のクリーナー、および手術前または手術後用スクラブといった生成物として使用される、またはそれらに含まれてもよい。
【0177】
本発明の一実施形態にしたがって、過酸組成物を使用して、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、リステリア菌、大腸菌、酵母、およびかびが挙げられるが、これらに限定されない食品に関係する食物媒介性病原性細菌のうちの1つ以上を死滅させる。さらなる実施形態にしたがって、本発明の過酸組成物を使用して、サルモネラ菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌、サルモネラ菌、シュードモナス菌、エシェリキア属、マイコバクテリア、酵母、およびかびが挙げられるが、これらに限定されない医療管理に関する表面および環境に関係する病原性細菌のうちの1つ以上を死滅させる。本発明のなおさらなる実施形態において、過酸組成物は、食品加工に関する表面上の、食品に関する表面上の、食品の洗浄もしくは加工に使用される水中の、医療管理に関する表面上の、または医療管理に関する環境における多種多様な微生物を死滅させることができる。
【0178】
本発明の過酸組成物の濃縮物または使用濃度は、物体に抗微生物性組成物または浄化組成物を適用するための従来の方法または装置のいずれかによって物体に適用されるか、あるいは物体と接触してもよい。例えば、物体は、過酸組成物または過酸組成物から作られた使用組成物で拭かれるか、それをスプレーされるか、および/またはその中に浸されてもよい。接触は、本発明に従う液体、ゲル、エアゾール、気体、ワックス、固体、もしくは粉末の過酸組成物、またはこれらの組成物を含有する溶液を用い得る手作業あるいは機械によってでもよい。
【0179】
本発明の一実施形態にしたがって、過酸組成物を塗布してすぐに、物体または表面は、機械的な動き、好ましくは撹拌される、擦られる、ブラシをかけられる等で動かされてもよい。攪拌は、圧力下のスプレー溶液の作用を介する、超音波処理を介する物理的なスクラブによって、または他の方法によってであってもよい。攪拌は、おそらく微生物を含有するクレバスまたは小さいコロニーの中への溶液のより良い曝露のために、微生物を死滅させるスプレー溶液の効能を高める。
【0180】
スプレーされた過酸組成物は、適切に微生物の個体群を減少させるのに十分な時間、処理された物体または表面上にそのまま残され、その後、処理された物体または表面から漱がれる、水切りされるか、または留去されてもよい。本方法は、顕著な抗微生物効能の発生のために過酸組成物のある特定の最少接触時間を必要とする。接触時間は、使用組成物の濃度、使用組成物の適用方法、使用組成物の温度、処理された物体または表面上の汚れの量、処理された物体または表面上の微生物数、抗微生物剤のタイプ等によって変化し得る。好ましくは、曝露時間は、少なくとも約5〜約15秒である。
【0181】
液体過酸組成物中への物体または表面の浸漬は、当業者に既知の種々の方法のいずれかによって達成されることができる。例えば、物体は、過酸組成物を含有するタンクまたは浴槽の中に設置されてもよい。あるいは、物体は、過酸組成物の水路中で輸送または加工されてもよい。洗浄溶液は、その溶液の効能、および溶液が物体に付いている微生物を減少させる速度を高めるために好ましくは撹拌される。攪拌は、超音波、溶液を通して空気をバブリングすることによるエアレーションを含む従来の方法によって、濾過器、パドル、ブラシ、ポンプ駆動式液体ジェットといった機械的な方法によって、またはこれらの方法の組み合わせによって得ることができる。洗浄溶液は、微生物を死滅させる溶液の効能を高めるために加熱されてもよい。所望の抗微生物効能のために十分な時間、食品が浸漬された後に、物体は浴槽または水路から除去され、過酸組成物は物体から漱がれるか、水切りされるか、または留去され得る。
【0182】
本発明のさらなる代替の実施形態において、物体または表面は、過酸組成物の発泡バージョンで処理されてもよい。本発明の一実施形態にしたがって、泡は、使用時に発泡性界面活性剤を洗浄溶液と混合することによって調製され得る。発泡性界面活性剤は、性質が非イオン性、陰イオン性、または陽イオン性であってもよい。有用な界面活性剤のタイプの例には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。アルコールエトキシレート、アルコールエトキシレートカルボキシレート、アミンオキシド、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸、スルホン酸塩、第4級アンモニウム化合物、アルキルサルコシン、ベタイン、およびアルキルアミド。発泡性界面活性剤は、典型的に使用時に洗浄溶液と混合される。一実施形態にしたがって、発泡剤の使用溶液レベルは、約50ppm〜約2.0重量%である。適用の方法は、混合物中に注入され、次いで、タンクフォーマーまたは吸気式壁掛けフォーマーといった泡圧着装置を通して物体または表面に適用される圧縮空気の使用を含んでもよい。
【0183】
本発明の別の代替の実施形態において、物体または表面は、過酸組成物の濃厚またはゲル化バージョンで処理されてもよい。濃厚またはゲル化状態において、洗浄溶液は、より長時間、物体または表面との接触を維持し、それにより抗微生物効果を高める。<w0>濃厚またはゲル化溶液はまた、垂直な表面への過酸組成物の接着にも作用する。組成物または洗浄溶液は、キサンタンゴム、高分子増粘剤、セルロース増粘剤等といった既存の技術を使って濃厚化またはゲル化されることができる。増粘剤またはゲル形成剤は、濃縮された生成物中で、または使用時の洗浄溶液との混合のいずれかにおいて使用されることができる。増粘剤またはゲル化剤の典型的な使用レベルは、約100ppm〜約10重量%の範囲である。
【0184】
温度
本発明の方法および組成物は、低下した温度、例えば、約0℃以上〜約80℃以下、好ましくは約40℃以上〜約60℃以下で、より好ましくは約60℃以下、または約50℃以下の温度で使用することができる。本発明の組成物は、これらの温度で使用される従来の単一過酸組成物と比較して、向上した浄化作用、および特に消毒作用を提供する。
【0185】
本発明に従って、低下した温度で、好ましくは約50℃以下で改善された過酸組成物を使用する能力は、上昇した温度を必要とする従来の浄化技術と比較して、エネルギーおよび費用の節約をもたらす。
【0186】
本発明の改善された過酸組成物が、従来の浄化組成物と比較して、浄化および/または消毒の必要性に対して低減された量の化学物質を提供することもまた判明している。一部の実施形態において、本発明の方法は、従来の浄化方法で使用される標準の単一過酸組成物よりも、著しく濃縮されていない組成物(活性成分に基づいて)を使用する。本発明の一態様において、活性化学物質の使用の少なくとも10%の減少、好ましくは少なくとも20%の減少、より好ましくは、活性化学物質の少なくとも50%の減少が存在する。
【0187】
したがって、本発明の方法は、低下した温度の表面において効果的に汚物を除去する、漂白する、および/または消毒することができ、低濃度の化学物質を使用し、エネルギーの節約および浄化ごとに消費される化学物質量の減少の両方を提供する。
【0188】
この明細書中のすべての刊行物および特許出願は、本発明に関連する技術分野の当業者のレベルを示す。すべての刊行物および特許出願は、あたかも各個別の刊行物または特許出願が参照により具体的におよび個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0189】
本発明の実施形態は、以下の非限定的な例においてさらに定義される。これらの例は、本発明の特定の実施形態を示すが、例示のみを目的として与えられることを理解されよう。上記の考察およびこれら例から、当業者は、本発明の必須特性を解明することができ、それらの趣旨および範囲から逸脱することなく、それを様々な用法および条件に適応するために、本発明の実施形態を様々に変更および修正することができる。このため、本発明の実施形態の様々な修正、加えて、本明細書で示され説明されるものは、前述の説明から当業者には明らかである。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲内であると意図される。
【0190】
《例1》
エタノールを用いた表面消毒剤を、本発明のペルオキシカルボン酸組成物に従って調合した。消毒剤(ペルオキシカルボン酸組成物)の基礎式は、表1に記載される。
【表2】
【0191】
以下の表2に記載されるように、エタノールの各種量を、ベースライン調合物に添加した。
【表3】
【0192】
表3は、約40℃で1週間保存され、次いで、室温で1週間保存された2週間後の様々なペルオキシカルボン酸組成物の各調合物におけるペルオキシスルホン化オレイン酸(PSOA)の割合、過酸化水素の割合、および有効酸素の割合を示す。ペルオキシカルボン酸組成物へのエタノールの添加を伴わずに、表1で識別された組成物は、ペルオキシカルボン酸の短鎖カルボン酸への著しい分解を示した。
【表4】
【0193】
表4は、室温で保存された1年後の様々なペルオキシカルボン酸組成物の各調合物におけるペルオキシスルホン化オレイン酸(PSOA)の割合、過酸化水素の割合、および有効酸素の割合を示す。エタノールを含有しない調合物は、著しい過酸分解を示した。調合物EtOH−1からEtOH−5は、少なくとも1年間安定性を示した。
【0194】
表3の有効酸素の割合と比較して、表4の有効酸素の割合は減少し、組成物のペルオキシカルボン酸の分解の増大を示す。
【表5】
【0195】
表3および4の両方は、ペルオキシカルボン酸内容物のエタノールでの置換えを受けて、ペルオキシスルホン化オレイン酸の割合の予期されたわずかな減少を示した。しかし、室温での保存の最長1年後にペルオキシカルボン酸内容物の著しい分解がないことは、組成物の保存可能期間の予期せぬ増大を示す。過酸部分のわずかな損失は、予想より著しく低かった。
【0196】
《例2》
混合ペルオキシカルボン酸組成物の調合物を、ミクロ効果を判定するために分析した。ミクロ効果を犠牲にすることなくコストを改善するためのヒドロトロープを含む従来のカップリング剤を減少させる、または除去すると同時に、抗微生物効果の改善が得られ得るかどうかを判定するために、過スルホン化オレイン酸(PSOA)、オクタン酸、および酢酸を含有する混合ペルオキシカルボン酸組成物を分析した。オクタン酸を可溶化する酢酸およびエタノールを含む他の薬剤の能力を分析した。
【0197】
混合ペルオキシカルボン酸組成物へのエタノールの添加は、オクタン酸を可溶化した。加えて、エタノールは、オクタン、ならびに他の処方成分を用いてエステルを形成した。有利に、および予想外に、混合ペルオキシカルボン酸組成物の臭気プロファイルは、形成されたエステルの結果著しく改良された。組成物の所見は、許容できる臭気だけでなく、非常に快適な、甘い、そして果実のような特徴を含んだ。
【0198】
表5に列挙される以下の化学組成物を試験した:
組成物A(2000ppmの過酢酸を含有し、業界標準に対する比較に使用される市販のベンチマーク)、試験された他の調合物すべてを、組成物Aと比較して費用効果のよい調合法(例えば、費用効果のよい希釈物)に基づいて希釈した。
組成物B(エステルを含まない(すなわち、アルコールを含まない)調合物)
組成物C(本発明に従うエステル過酸調合物)
組成物D(実験用のエステルを含まない(すなわち、アルコールを含まない)調合物)
組成物E(実験用のエステルを含まない(すなわち、アルコールを含まない)調合物)
【表6】
【0199】
以下のボトル漱ぎ試験手順に従って、アトロフィーウス菌に対するエタノールを含有する本発明に従って混合ペルオキシカルボン酸組成物上で、微生物学的試験を行った。
【0200】
培養調製:アトロフィーウス菌胞子群:
1.10mLの栄養ブイヨンを植付け、35℃で24時間培養する。
2.この培養を使用して、6プレートの補正された寒天培地を植え付ける。
500uLで植え付け、プレートの表面に広げる。
3.35℃で12日間、反転して培養する。
4.10mLの冷たい滅菌水で漱ぎ、各プレートを採取する。
5.管を遠心分離機にかけ、冷たい滅菌水中でペレットを再懸濁する。4回繰り返す。
6.プレート毎に、最終量10mLの滅菌水で再懸濁する。
7.使用準備ができるまで、2〜8℃で保存する。
8.使用直前に培養を1:50で希釈する。
【0201】
ボトルをフードに植え付け、旅行用サイズのヘアスプレーボトルを使用してボトル内に培養のスプレーを1回適用した。一晩、送風機なしでボトルをフードに残し、胞子が乾燥できるようにした。
【0202】
実際の無菌包装技術を想定してボトルを処理し、試料用にミクロに戻した。3つのボトルを以下のベンチマーク組成物のそれぞれで処理した。50℃で10秒間滅菌剤をスプレーし、続いて2秒間水切りし、続いて40℃で5秒間漱ぎ、続いて5秒間水切りする。2000ppmのPOAA。および様々なレベルだが、同じ温度および接触時間で使用するエステル過酸組成物。100mLのPBDWを各ボトルに添加し、1分間振盪した。次いで、各ボトルから1.0および0.1mLをプレートに撒いた。内容物をプレウェット分析濾過機および真空濾過機に注入した。濾過機を取り外し、トリプシン性大豆寒天培地の50mmペトリ皿に設置し、35℃で48〜72時間培養した。
【0203】
100mLのPBDWを、植え付けられたが未処理のボトルに注入し1分間振盪することによって、研究のための対照を実施した。それを次いで、順次希釈し、プレートに撒いた。
【0204】
ベンチマーク化学物質より優れていない場合でも、ベンチマーク化学物質より低い使用濃度で、同様に本発明に従ってペルオキシカルボン酸の調合を行った。過酸調合物中にエステルを形成することができるアルコールを有する本発明に従う調合物は、改善したミクロ効果を示した。
【0205】
表6Aおよび7Aに示されるように、5.7ログ(+/−0.5ログ減少の誤差範囲内で報告された対数減少)の平均接種材料レベルでアトロフィーウス菌に対して、化学物質を試験した。組成物Cは、すべての他の化学物質と共にベンチマークよりも優れていた。ベンチマーク化学物質(組成物A)である過酢酸のみの化学物質を、POAAとして2000ppmの中域の業界標準で使用した。表6Bおよび7Bに示されるように、対照ボトルは処理を受けず、どこで接種材料レベルが始まったかを示さなかった。(*「数えきれないほど」を意味する)
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0206】
《例3》
追加のミクロ効果データを、例2の手法を使用して評価した。本発明の平衡後組成物を使用して抗微生物効果の改善が得られたかどうかを判定するために、エステル化のためのアルコール、過スルホン化オレイン酸(PSOA)、オクタン酸、および酢酸を含有する混合ペルオキシカルボン酸組成物を、酢酸を含有する市販の対照製品に対して分析した。
【0207】
表8、9および
図1に示されるように、アトロフィーウス菌に対して、列挙されたppmの活性過酸で化学反応を試験した。
【表11-1】
【表11-2】
【表12】
【0208】
示されるように、本発明に従うエステル過酸組成物の使用は、著しく低下した濃度のppmの活性過酸の使用を伴う有効なミクロ効果を提供する。有利に、2000ppm未満の過酸の使用は、アトロフィーウス菌を含む死滅が困難な微生物に対する無菌効果を提供する。
【0209】
《例4》
無菌ボトル漱ぎに使用される業界標準の単一過酸化学物質と比較して、本発明に従って混合エステル過酸組成物を用いる例3の過酸組成物を使用するミクロ効果試験を実施した。対照は、同じ市販の過酢酸組成物(すなわち、単一過酸種)であった。ミクロ効果を、当業界で死滅が困難な微生物を象徴する内生胞子形成性病原細菌である、アトロフィーウス菌上で実施した。無菌浄化は、微生物の個体群の5ログの減少を達成する効果的な殺胞子剤を必要とする。
【0210】
試験は、10秒間の滅菌溶液の接触時間を用い、それは50℃、3バールで送達された。総接触時間は、3バールの圧力で、40℃の滅菌剤のスプレー後および滅菌水のスプレー前に2秒間の滞留時間を含む12秒間であった。次いで、ボトルを5秒間水切りしてから、それらをキャッピングし、ミクロ効果を数値化した。
【0211】
試験状態は、無菌手法で現在用いられる60℃とは対照的に、より低い温度の50℃の滅菌溶液で組成物を供給することを除いて、無菌ボトル充填における業界の慣行と類似していた。
【0212】
同じ接触時間を使用して50℃のより低い使用温度でアトロフィーウス菌の5ログの死滅に必要とされる濃度を、本発明の実施形態に従う過酸組成物および対照に対して評価した。
図2に示されるように、本発明の混合エステル過酸組成物(組成物C)の濃度は、業界標準から著しく低下されることができ、同様に供給温度を10℃低下し、滅菌手法に対して追加の利益を提供する。
【0213】
本発明は説明されたように、同等物が様々に変更されてもよいことが明らかである。そのような変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱するとは見なされず、すべてのそのような変更は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[20]に記載する。
[1]
低下した濃度および温度で使用するための改善されたペルオキシカルボン酸組成物であって、
少なくとも1つのC1−C22カルボン酸と、
少なくとも1つのC1−C22過カルボン酸と、
過酸化水素と、
界面活性剤またはスルホン化カルボン酸および対応するスルホン化過カルボン酸と、
アルコールと、を含み、前記ペルオキシカルボン酸の濃度が、約2000ppm未満であり、約50℃以下の温度でバチルス種に対して有効である、組成物。
[2]
エステルがアルキルエステルである、項目1に記載の組成物。
[3]
前記過カルボン酸が、アルキルペルオキシカルボン酸、C2−C4ペルオキシカルボン酸、C8−C12ペルオキシカルボン酸、エステルペルオキシカルボン酸、アルキルエステルペルオキシカルボン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択され、前記スルホン化過カルボン酸が、過スルホン化オレイン酸である、項目1に記載の組成物。
[4]
前記組成物が、約0.01重量%〜約50重量%の過カルボン酸、約0.1重量%〜約40重量%のカルボン酸、および約0.1重量%〜約80重量%の過酸化水素を含む、項目1に記載の組成物。
[5]
前記アルコールが、約0.01重量%〜約20重量%の前記組成物を含むエステルにエステル化される、項目4に記載の組成物。
[6]
前記組成物が、前記ペルオキシカルボン酸組成物に関係する悪臭の検出をもたらさない、項目1に記載の組成物。
[7]
前記組成物が、悪臭の発生を伴わずに少なくとも1年間室温で安定している、項目1に記載の組成物。
[8]
前記組成物が、界面活性剤および/または安定化剤をさらに含む、項目1に記載の組成物。
[9]
前記組成物が、冷却安定性である、項目1に記載の組成物。
[10]
低下した濃度および温度で使用するための改善されたペルオキシカルボン酸組成物であって、
酢酸、オクタン酸、スルホン化オレイン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのC1−C22カルボン酸と、
過酢酸、過オクタン酸、過スルホン化オレイン酸、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのC1−C22過カルボン酸と、
過酸化水素と、
アルコールと、を含み、
前記組成物が、使用溶液において若干水不溶性であり、
前記組成物が、約2000ppm未満の濃度の前記C1−C22過カルボン酸を提供し、
前記組成物が、約50℃以下の温度でバチルス種に対して有効であり、
前記アルコールが、前記過カルボン酸およびカルボン酸に関係する前記悪臭をマスキングおよび/または誘導体化する快い香りを提供するエステル種を生成する、組成物。
[11]
前記アルコールが、アルキルエステルを生成するために提供された短鎖アルコールである、項目10に記載の組成物。
[12]
前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノナノール、ベンジルアルコール、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目11に記載の組成物。
[13]
前記アルコールが、エタノールであり、前記過カルボン酸濃度が、約1750ppm未満である、項目11に記載の組成物。
[14]
前記組成物が、ヒドロトロープ界面活性剤を含まない、項目11に記載の組成物。
[15]
低下した温度および濃度で物体上の微生物の個体群を減少させる方法であって、
項目1に記載の混合過カルボン酸組成物を提供することと、
前記混合過カルボン酸組成物に関係する悪臭を検出することなく、約50℃以下の温度で物体を前記混合過カルボン酸組成物と接触させることと、を含む、方法。
[16]
前記物体が、食品加工もしくは製造に関する表面、食物組織、食品包装、医療管理に関する表面、医療もしくは手術機器、織物、水域もしくは水流、気体域もしくは気体の流れ、接客部門に関する表面、工業部門に関する表面、農業に関する表面、獣医学に関する表面、建築に関する表面、食卓用食器、硬い表面包装、またはそれらの組み合わせを含む、項目15に記載の方法。
[17]
前記混合過カルボン酸組成物が、微生物の優れた減少を提供し、約60℃を超える温度で少なくとも2000ppmを超える活性濃度を有する単一の過カルボン酸組成物と比べて低減された蒸気圧を有する、項目15に記載の方法。
[18]
前記エステルが、過カルボン酸組成物に関係する短鎖の悪臭を除去および/またはマスキングすることができるアルキルエステルである、項目15に記載の方法。
[19]
前記過カルボン酸組成物が、微生物の個体群の少なくとも5対数桁の減少に有効な量で存在し、前記微生物は、胞子、細菌、かび、酵母、ウイルス、およびそれらの混合物から成る群から選択され、および前記微生物は、セレウス菌、枯草菌、アトロフィーウス菌(B.atrophaeus)、クロストリジウムディフィシル、クロストリジウムスポロゲネス、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌、大腸菌、およびそれらの混合物から成る群から選択される、項目15に記載の方法。
[20]
微生物の少なくとも5ログの減少を得ることをさらに含む、項目15に記載の方法。