(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガイド板を備えたガイド部と、シールテープを保持するテープホルダと、前記シールテープを隣接する下地部材の突合せ部付近の両上面に押し付ける圧着部と、前記ガイド部と前記テープホルダと前記圧着部を支持するフレームとを備え、前記ガイド板は隣接する前記下地部材の前記突合せ部に挿入されつつ前記ガイド部が前記突合せ部の延在方向に沿って案内すると共に、前記テープホルダに保持された前記シールテープは、前記フレームの移動と共に前記圧着部によって前記下地部材の前記突合せ部付近に押し付けられる構成とし、前記フレームには前記シールテープの幅方向におけるズレを規制するズレ規制部を前記圧着部の前方に位置するように設け、前記ズレ規制部は、前記シールテープの幅寸法に対応するように2個設け、幅寸法の大きい前記シールテープに対応する前記ズレ規制部を、小さい幅の前記シールテープに対応する前記ズレ規制部よりも前記フレームの後方側に位置してなることを特徴とするシールテープ貼着機。
請求項1に記載のシールテープ貼着機において、前記ガイド部は、回転自在な円筒形状のガイドロールとし、前記ガイド板は円板状とし、前記ガイドロールと前記ガイド板とは軸心が一致する構成としてなることを特徴とするシールテープ貼着機。
請求項1又は2に記載のシールテープ貼着機において、前記ガイド部の前記ガイド板は、前フレームの幅方向中心位置に設置してなることを特徴とするシールテープ貼着機。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の屋根として、シート状の建材を屋根下地状に貼合わせるようにして施工するタイプの屋根が存在する。上記シート状の建材には合成樹脂製や金属製のものが多く存在する。そして、何れの屋根用建材においても、屋根材や屋根材の下地を構成するものとして下地部材が使用される。該下地部材は、断熱ボード(断熱材と称することもある)で且つ防水性を有するものが使用されることが多い。この下地部材は、硬質ウレタン製又はイソシアヌレート製の板状部材の表面に防水性を備えた薄膜材が貼着されており、単体としての防水性を備えている。しかし、屋根を施工する際には、屋根施工箇所の下地として、多数の下地部材が設置される。このとき、防水シートは並列状に配置されることが一般的である。
【0003】
しがたって、並列状に配置された下地部材において、それぞれの隣接する断熱シート同士の継ぎ目である突合せ部は、そのままの状態では防水性が施されていないことになる。このため、下地部材によって構成される屋根下地に、屋根用建材を施工完了する前に雨が降ると、建築物内部に雨水が漏れることになる。また、屋根施工が完了した後であっても、屋根からの雨漏りが生じると、漏れ水が下地を通過して雨漏りが発生する原因となる。
【0004】
また、下地を施工するときにおいて、屋根施工箇所に下地部材を配置しておくだけでは、強風等によって吹き飛ばされるおそれも十分にある。さらに、下地部材を設置している工事期間に、気温の変化が生じて、下地部材に熱伸が生じることにより、隣接する下地部材同士の突合せ部に大きな隙間が形成されることもあり、これが雨漏りの原因となる。
【0005】
以上述べた不都合を解消するために、下地を施工するために並列に配置された下地部材のそれぞれの隣接部分に防水性を有するシールテープを貼着することが一般的に行われている。これによって、隣接する下地部材同士の突合せ部の防水性を高めることができる。このように、突合せ部に沿ってシールテープが貼る作業は、従来では作業員の人手により行われている。
【0006】
しかし、大型建築物においては、その屋根の下地を構成するための下地部材の突合せ部は、直線状に数十メートルに及ぶことが多い。そのため、防水テープを貼る作業は、極めて面倒であり、且つ直線状の突合せ部に沿って曲がることなく、直線状且つ正確にシールテープを貼着することは多大な労力を要する作業であり、作業員に対して大きな負担が係るものである。
【0007】
そのために、下地とした構成される下地部材の突合せ部箇所にシールテープを貼着するためのテープ貼付け装置が開発され、この種の物が特許文献1に開示されている。この特許文献1では、テープ繰り出しリール(13Aと13B)に保持されているテープを適宜繰り出しながら、テープ押さえローラー(14)でテープを対象物へ押しつけるものである。なお、符号は特許文献1のものを括弧付としてそのまま使用した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示された装置は、テープの繰り出しと、対象物へのテープの押し付けとを行う機構を有している。ここで、前述したように、テープ繰り出しリール(13Aと13B)によって繰り出されたシールテープは、最終的にテープ押さえローラー(14)によって対象物へ押しつけるものであるが、該テープ押さえローラー(14)は、単に円筒形状のローラであり、この装置を、直線状に走行させることは、作業員の技量に係ることになる。
【0010】
そのため、作業経験の少ない作業員では、装置を突合せ部に沿って直線状に走行させることは困難であり、その仕上がりも十分且つ確実な防水性能を得ることができないおそれもある。本発明の目的、すなわち解決しようとする技術的課題は、建築物の屋根を施工するための屋根下地を構成する並列された下地部材における隣接する下地部材の直線状の突合せ部箇所に対して、位置ズレを防止しつつ、正確な直線状にシールテープを貼着することができるシールテープ貼着機を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ガイド板を備えたガイド部と、シールテープを保持するテープホルダと、前記シールテープを隣接する下地部材の突合せ部付近の両上面に押し付ける圧着部と、前記ガイド部と前記テープホルダと前記圧着部を支持するフレームとを備え、前記ガイド板は隣接する前記下地部材の前記突合せ部に挿入されつつ前記ガイド部が前記突合せ部の延在方向に沿って案内すると共に、前記テープホルダに保持された前記シールテープは、前記フレームの移動と共に前記圧着部によって前記下地部材の前記突合せ部付近に押し付けられる構成とし、前記フレームには前記シールテープの幅方向におけるズレを規制するズレ規制部を前記圧着部の前方に位置するように設け、前記ズレ規制部は、前記シールテープの幅寸法に対応するように2個設け、幅寸法の大きい前記シールテープに対応する前記ズレ規制部を、小さい幅の前記シールテープに対応する前記ズレ規制部よりも前記フレームの後方側に位置してなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。
【0012】
請求項2の発明を、請求項1に記載のシールテープ貼着機において、前記ガイド部は、回転自在な円筒形状のガイドロールとし、前記ガイド板は円板状とし、前記ガイドロールと前記ガイド板とは軸心が一致する構成としてなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2に記載のシールテープ貼着機において、前記ガイド部の前記ガイド板は、前フレームの幅方向中心位置に設置してなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。
【0013】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3の何れか1項に記載のシールテープ貼着機において、前記圧着部は、回転自在な圧着ロールとしてなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。
【0014】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4に記載のシールテープ貼着機において、前記ズレ規制部は、前記フレームの前後方向に直交し且つ幅方向に沿う規制軸部と、前記シールテープの幅寸法に応じた間隔を有して設けられた軸方向に対向する規制側面部からなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5のいずれか1項に記載のシールテープ貼着機において、前記フレームには手押し部が設けられてなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。請求項7の発明では、請求項1,2,3,4,5又は6のいずれか1項に記載のシールテープ貼着機において、前記テープホルダは、前記フレームと着脱自在なる構成としてなるシールテープ貼着機としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、建築物の屋根を施工するときの屋根下地部を構成する並列に配置された下地部材の隣接する突合せ部に対して、シールテープを極めて正確且つ迅速に貼着することができ、この作業における作業効率を格段に向上させることができる。請求項2の発明では、前記ガイド部は、回転自在な円筒形状のガイドロールとし、前記ガイド板は円板状とし、前記ガイドロールと前記ガイド板とは軸心が一致する構成としたことにより、本発明のシールテープ貼着機の走行性を極めて良好にすることができる。
【0018】
さらに、請求項1の発明では、前記フレームには前記シールテープの幅方向におけるズレを規制するズレ規制部を前記圧着部の前方に位置するように設けたことにより、テープホルダから引き出されるシールテープを圧着部が隣接する下地部材の突合せ部に貼着完了するまで、常時安定した送り出しをすることができる。さらに、前記ズレ規制部は、前記シールテープの大小の2種類の幅に対応するように2個設け、大幅の前記シールテープに対応する前記ズレ規制部を、小幅の前記シールテープに対応する前記ズレ規制部よりも前記フレームの後方側に位置してなる構成としたことにより、幅方向寸法が異なる大小二つの幅のシールテープが簡単に交換可能で、且つ大小異なる二種類のシールテープの幅方向におけるズレ規制を行うことができる。
【0019】
請求項2の発明では、前記ガイド部は、回転自在な円筒形状のガイドロールとし、前記ガイド板は円板状とし、前記ガイドロールと前記ガイド板とは軸心が一致する構成としたことにより、本発明のシールテープ貼着機の走行性を極めて良好にすることができる。請求項3の発明では、前記ガイド部の前記ガイド板は、前フレームの幅方向中心位置に設置したことにより、屋根下地部の隣接する下地部材同士の突合せ部の延在する直線状の延長線上に対してフレームの幅方向中心位置を常時一致させながら本発明のシールテープ貼着機を正確に走行させることができ、シールテープを所定位置に極めて正確に貼着できる。請求項4の発明では、前記圧着部は、回転自在な圧着ロールとしたことにより、シールテープの隣接する下地部材同士の突合せ部に極めて均一な押圧力にて貼着でき、仕上げを良好にできる。
【0020】
請求項5の発明では、前記フレームには前記シールテープの幅方向におけるズレを規制するズレ規制部を前記圧着部の前方に位置するように設けたことにより、テープホルダから引き出されるシールテープを圧着部が隣接する下地部材の突合せ部に貼着完了するまで、常時安定した送り出しをすることができる。
【0022】
請求項6の発明では、前記フレームには手押し部が設けられる構成により、本発明のシールテープ貼着機は作業員にとってより一層操作し易いものにできる。請求項7の発明では、前記テープホルダは、前記フレームと着脱自在なる構成としたことにより、シールテープのフレームへの装着及びシールテープ交換の作業がより一層行い易くできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、建築構造物において屋根における屋根下地部Bを構成する多数の下地部材B1,B1…が並列に配置され、それぞれ隣接する下地部材B1,B1同士の突合せ部Tの延在方向に沿って、シールテープ8を直線状に貼着するための機器である(
図3,
図4等参照)。本発明には、複数の実施形態が存在する。まず、本発明の第1実施形態を説明する。本発明では、第1実施形態及びその他の実施形態で、フレーム1,ガイド部2,テープホルダ4,圧着部5は、共通する主要な構成要素である(
図1,
図2参照)。図中符号B2は、デッキプレートである。
【0025】
まず、本発明の第1実施形態を
図1乃至
図5に基づいて説明する。本発明のシールテープ貼着機Aでは、シールテープ8を隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tに貼着しながら移動する方向を前方側とし、その反対側を後方側とする。また、本発明のシールテープ貼着機Aを平面に見て前後方向に直交する方向を左右方向とする。
【0026】
第1実施形態におけるシールテープ貼着機Aは、フレーム1は、幅方向両側に2つの側板11,11が平行且つ対向するように設けられている〔
図1(A),(B),
図2等参照〕。該側板11は、前後方向が上下方向よりもくした長円形状に形成されたものである〔
図1(C)参照〕。両側板11,11間に後述するガイド部2及び圧着部5が配置される〔
図1(A),(B)参照〕。
【0027】
さらに、両側板11,11には、前支柱12と後支柱13が設けられ、これらは上方で1つに結合している〔
図1(A),参照〕。この結合部には上部連結軸15が水平状に設けられ、該上部連結軸15に、前支柱12と後支柱13の上端部分がジョイント部材17を介して連結されている。ジョイント部材17は、複数の管をT字状に連結する部材が好適である。前記上部連結軸15の軸方向両端には握り易い形状の手押し部7が設けられている〔
図1(A),(B),
図2(A)等参照〕。
【0028】
前支柱12は、フレーム1の幅方向において左右2本の円柱として設けられ、2つの両側板11の外面側にボルト31で固定されている。一方、後支柱13については、フレーム1の両側板11,11間で且つ後方側上端付近に水平状の下部連結軸16がボルト・ナット等の固着具32によって装着されており、前記後支柱13の下端が下部連結軸16にジョイント部材17を介して連結されている(
図1参照)。
【0029】
前記側板11は、金属板,合成樹脂板等によって形成されている。また、合成樹脂板では、透明のアクリル板が使用されることもある。特に、側板11を透明板とすることにより、フレーム1内部の状況を視認することができる。これによって、屋根下地部Bを構成する下地部材B1,B1の突合せ部Tにシールテープ8を貼着する段取り等を効率的に行えるし、また本発明のシールテープ貼着機Aのメインテナンスが行い易くできる。
【0030】
さらに、後述するテープホルダ4等をフレーム1の所定位置に設置する際の作業も行い易くなり、また仮に、作業中においてフレーム1内でシールテープ8が絡んでしまっても、その状況を視認でき、シールテープ8の引出し部8aの絡み等の不具合を修正することができる。
【0031】
2つの前支柱12,12と、2つの側板11,11との間にガイド部2が設けられている〔
図1(A),(B),
図2参照〕。ガイド部2は、ガイド板21と前方軸22とガイドロール23とから構成される。ガイドロール23は、フレーム1によって前後方向に直交する左右両側から支持される水平な前方軸22を中心に前後方向に回転可能な略円柱形である。
【0032】
円柱形としたガイドロール23の軸方向中心位置には、該ガイドロール23よりも径の大きな円周をもつガイド板21が設けられている〔
図1,
図3(C)参照〕。ガイド板21とガイドロール23とは回転軸の軸心は一致する。つまり、ガイド板21とガイドロール23とは回転を共にし、回転中に振れることがない。
【0033】
ガイド部2の具体的な構成として、ガイドロール23は、2つの円柱形ローラ231,231によって構成される。また、ガイド板21は、これらの円柱形ローラ231,231よりも直径の大きな円板とする。そして、ガイド板21は、その両面を2つの円柱形ローラ231,231によって挟持する構成となっている〔
図4(C)参照〕。ガイド板21の厚さは、屋根下地部Bの隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tに生じる隙間に挿入可能に押しこめる程度の厚さを有している。その厚さとは、例えば数百ミクロンメートルから3ミリ程度であり、好ましくは約1ミリメートル程度である。
【0034】
さらに、ガイド板21のガイドロール23(前記円柱形ローラ231,231)の外周からの突出量は、隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tに挿入した状態で該突合せ部Tから脱輪し難くいものであることが好ましいが、下地部材B1の厚さ寸法よりは小さく設
定されていることが好ましい。また、特に図示しないがガイド部2のガイド板21とガイドロール23とは一体形状とすることもあり、この場合には円柱形ローラ231,231は存在しない。一体形状としたものでは金属によって形成されることが強度上好ましい。
【0035】
ガイド板21及びガイドロール23は前方軸22によって、両側板11,11間に回動自在に装着されている。ガイド部2は、ガイドロール23によって、走行の案内輪としての役目と、本発明のシールテープ貼着機Aの前輪としての役目をなしている〔
図3(A),(C),
図4(A)参照〕。
【0036】
このように、フレーム1に支持されたガイド部2のガイド板21が、屋根下地部Bを構成する隣接の下地部材B1,B1の突合せ部Tに挿入されることにより、本発明のシールテープ貼着機Aが作業員の手押しによって走行するときには、ガイド部2が突合せ部Tの延在方向に沿って移動することができる〔
図4(A)乃至(C),
図5等参照〕。つまり、突合せ部Tは、本発明のシールテープ貼着機Aのガイド部2のレールとしての役目をなすものである。
【0037】
そして、ガイド部2のガイド板21が、隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tに挿入されることにより、本発明のシールテープ貼着機Aは、突合せ部Tの延在方向に正確に沿って直線状に移動することができる。さらに、ロール状のシールテープ8をテープホルダ4に取り付け、該テープホルダ4はフレーム1に装着される。テープホルダ4は、円柱状軸41と円柱形状のコア受け部42とから構成されている〔
図1(D)参照〕。そして、シールテープ8は、コア受け部42に装着されている。
【0038】
フレーム1の両側板11のそれぞれの上部には、切欠き形状であるシールテープ受部14が設けられている〔
図1(C),
図3(A),(C)参照〕。該シールテープ受部14は、両側板11,11に形成され、上端が開放されるU字形状の切欠き溝状として形成されたものである。
【0039】
また、シールテープ受部14は、傾斜状に形成され、具体的には、上端よりも下端が本発明のシールテープ貼着機Aの前方側に向かうように傾斜状に形成されている〔
図1(C),
図2(C)参照〕。両側板11,11に形成された両シールテープ受部14,14にはテープホルダ4の円柱状軸41が着脱可能に装着される。
【0040】
圧着部5は、圧着ロール51と後方軸52とから構成される。圧着ロール51は、後方軸52に軸支され、該後方軸52は両側板11,11の後方側に装着される〔
図1(C),
図3(A),(B)参照〕。圧着ロール51は、ローラ形状をなしている。圧着部5の圧着ロール51は、ガイド部2のガイドロール23と共にシールテープ貼着機Aを走行させるときの後輪としての役目をなす。
【0041】
そして、テープホルダ4に装着されたシールテープ8から引き出された引出し部8aの粘着側を隣接する下地部材B1,B1の突合せ部T側に面するようにして、圧着ロール51にてシールテープ8を押圧する。次いで、シールテープ貼着機Aを前記突合せ部Tの延在方向に沿って前方側に移動させることにより、隣接する下地部材B1,B1にシールテープ8の引出し部8aを貼着することができる〔
図4(A),(D),
図5参照〕。
【0042】
圧着ロール51は、合成樹脂製であり、前記ガイド部2のガイドロール23と同等幅を有している。さらに、圧着ロール51の外周にはクッション材53が装着されることもある〔
図1(C)参照〕。該クッション材53は、厚さ約4mm乃至5mm程度のものであり、スポンジ,ウレタン,ゴム材等の弾性を有する材質のものが使用される。
【0043】
クッション材53は、隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tにシールテープ8を均一な押圧力にて貼着する役目、或いは貼着される面に多少の凹凸があっても、シールテープ8を密着状態に貼着する役目をなす。また、クッション材53は、シールテープ8の貼着作業時に滑りを防止する役目もなし、さらには、突合せ部Tが不陸の場合でも、円滑にシールテープ8を貼着することができるものである。
【0044】
フレーム1の両側板11,11には、ガイド部2と圧着部5との間で且つテープホルダ4の装着位置よりも下方となる位置に、ズレ規制部6が設けられている〔
図1(C),
図2(B),(C)参照〕。該ズレ規制部6は、フレーム1の前後方向に直交し且つ幅方向に沿う規制軸部61と、シールテープ8の幅寸法に応じた間隔を有して設けられた軸方向に対向する一対の規制側面部62,62から構成されている。両規制側面部62,62の間には、回転自在なカラー部63が設けられており、ズレ規制部6を経由するシールテープ8の引出し部分がカラー部63によって円滑に移動できるようになっている。
【0045】
ズレ規制部6の一対の規制側面部62,62は、シールテープ8の幅方向寸法によって異なる種類としたものに対応して、シールテープ8が貼着作業中にズレを無くすようにしたものである。シールテープ8は、その幅方向寸法により複数の種類が存在し、中程度の幅で例えば70〜80ミリメートルであり、具体的には75ミリメートル幅のテープが収まる間隔で一対の両規制側面部62,62が設けられている。
【0046】
ズレ規制部6は、シールテープ貼着機Aに装着されるシールテープ8の幅方向サイズによって複数設けられている〔
図1(C),
図2(B),(C)参照〕。ズレ規制部6は、具体的には2個設けられる。そして、大きい幅寸法のシールテープ8に対応するズレ規制部6は、小さい幅のシールテープ8に対応するズレ規制部6よりもフレーム1の後方側に位置している〔
図2(C)参照〕。
【0047】
ここで前方側に位置する規制幅の小さいズレ規制部6を前方ズレ規制部6fと称し、後方側に位置する規制幅の大きいズレ規制部6を後方ズレ規制部6rと称する〔
図2(B)参照〕。なお、ズレ規制部6の規制幅は、前記規制側面部62,62によって決定される。大幅のシールテープ8を使用するときには、前方ズレ規制部6fを経由させないで、後方ズレ規制部6rにのみ経由させる〔
図3(A),(B)参照〕。大幅のシールテープ8は前方ズレ規制部6fを経由しないので、該前方ズレ規制部6fに干渉されず、後方ズレ規制部6rに適正に案内されながら圧着部5の圧着ロール51に到達することができる。
【0048】
また、小幅のシールテープ8を使用するときには、前方ズレ規制部6fを介して経由させる〔
図3(C)参照〕。ここで、
図3(C)では、前方ズレ規制部6fを経由するシールテープ8の引出し部8aは二点鎖線の想像線にて示されている。小幅のシールテープ8は、前方ズレ規制部6fによってズレが規制されると共に後方ズレ規制部6rをそのまま経由し、そこで接触しても規制幅の大きい後方ズレ規制部6rに干渉されることなく自由に経由し、圧着部5の圧着ロール51に到達する。
【0049】
さらに、ズレ規制部6の別の実施形態として、両側板11,11の内方側に突起状部を設けた突起状ズレ規制部6m,6mが存在する。該突起状ズレ規制部6mの具体的構成は、両側板11,11にボルト頭部がフレーム1の内方側で対向するように装着するものである。これによって両側板11,11の内方側にボルト頭部による突起が形成される。両側板11,11の対向する内方側のボルト頭部同士による突起状ズレ規制部6m,6mがフレーム1に装着されたシールテープ8の幅方向両側に近接し、該シールテープ8の適正位置からのズレを防止するものである。これは、前述した、大幅のシールテープ8よりも大きい特大幅のシールテープ8に好適である。
【0050】
また、シールテープ8の小幅のものは、50ミリメートル程度である。さらに大幅のものは100ミリメートルのものがある。また、シールテープ8の厚さについては一般的に、約155μm乃至180μmのものが使用される。本発明のシールテープ貼着機Aでは、全ての種類のものを幅方向にずれることなく使用できる。
【0051】
次に、本発明におけるシールテープ貼着機Aの使用について、
図3乃至
図5に基づいて説明する。シールテープ貼着機Aは、第1実施形態のものが使用されるものとして説明するが、他の実施形態のものでも使用については略同じである。まず、作業の最初の段取りとして、本発明のシールテープ貼着機Aを、隣接する下地部材B1,B1の突合せ部T箇所に載置し〔
図3(A),
図5(A)参照〕、ガイド部2のガイド板21を前記突合せ部T箇所に挿入する〔
図4(B)参照〕。
【0052】
そして、テープホルダ4からシールテープ8を引き出す。次いで、シールテープ8のロールから引き出された引出し部8aを、テープ幅に対応するズレ規制部6に経由させ、隣接する下地部材B1,B1の突合せ部Tに、引出し部8aの粘着面を貼着する。前記突合せ部Tにおけるシールテープ8の引出し部8aを最初に貼着するスタート地点を、貼着開始位置Sと称する〔
図4(A),
図5参照〕。
【0053】
シールテープ貼着機Aを手押し部7によって押しつつ前へ移動させる。既にシールテープ8が貼着されている部分の上に圧着部5が載って、シールテープ8を上から押し付けて圧着することとなる〔
図3(A),(B)参照〕。このとき、シールテープ8の非巻付部分と貼着開始位置Sに貼着されている部分に位置するシールテープ8は、テープ幅方向ズレ規制部6を経由するのでズレが生じることを防止できる。
【0054】
そして、
図4(A)に示すように、作業者がフレーム1の上部に設けられた手押し部7を後方から前方へ押してフレーム1を前方へ移動させる。このようにして、フレーム1に支持されている圧着部5の圧着ロール51が、シールテープ8の引出し部8aを突合せ部Tに押し付けながら、シールテープ貼着機Aが前方側に移動する。シールテープ8の引出し部8aが既に突合せ部Tに貼着されている部分から離れる向きへ移動することにより、さらに、シールテープ8の引出し部8aが貼着される部分が延びていくこととなる。
【0055】
このとき、ガイド部2のガイド板21は、突合せ部Tの隙間に挿入しつつ、シールテープ貼着機Aが走行するのでフレーム1は、正確に突合せ部Tの延在する方向に沿って正確に移動することができ、その結果、長尺な突合せ部Tに対して、長尺なシールテープ8の引出し部8aが左右に偏ることなく正確に貼着される〔
図5(B)参照〕。
【0056】
図6(A)は本発明の第2実施形態におけるシールテープ貼着機Aである。これは第1実施形態に係るシールテープ貼着機Aからテープ幅方向ズレ規制部6を省略したものである。シールテープ8の幅が、2つの側板11同士の間隔とほぼ一致する場合にはこのようにテープ幅方向ズレ規制部6を省略した装置でも、左右にズレが生じることなく良好に動作させることができる。
【0057】
図6(B)は、本発明の第3実施形態におけるシールテープ貼着機Aである。この実施形態では、シールテープ貼着機Aのフレーム1の両側板11,11の前方寄りの部分に、シールテープ8のテープホルダ4を保持するシールテープ受部14が設けられている。そして、この実施形態では、フレーム3の前方側の位置にシールテープ8が備えられる。
【0058】
図6(C)は、本発明の第4実施形態におけるシールテープ貼着機Aである。この実施形態では、シールテープ貼着機Aのフレーム1の両側板11,11の後方寄りの部分に、シールテープ8のテープホルダ4を保持するシールテープ受部14が設けられている。そして、この実施形態では、フレーム3の後方側の位置にシールテープ8が備えられる。上記第3及び第4実施形態では、テープホルダ4のフレーム1への着脱を簡単にすることができる。
【0059】
図6(D)は本発明の第5実施例におけるシールテープ貼着機Aの図である。シールテープ貼着機Aは矩形のフレーム1を有し、これにガイドロール23と圧着部5とが回転可能に軸止めされている。また、フレーム1の内側には水平部材17が渡され、該水平部材17にテープホルダ4が保持されるシールテープ受部14が形成される。このような大きく開口したフレーム1内で保持されるシールテープ8は補充の際に便利である。