(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の方法において、前記周波数応答要求が、周波数依存型リターンロスと、挿入ロスと、阻止率と、直線性のうちの一またはそれ以上を具えることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも一の音響共振器モデル(122)が、それぞれ少なくとも一のButterworth−Van Dyke(BVD)モデルであることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも一の共振エレメント(114)が、複数の共振エレメントを具え、前記少なくとも一のリアクタンス回路エレメント(116−120)が複数のリアクタンス回路エレメントを具え、前記少なくとも一の音響共振器モデルが複数の共振器モデル(122)を具えることを特徴とする方法。
請求項15に記載の方法が更に、前記初期フィルタ回路設計を複数のサブセット回路設計(130a,130b)に分割するステップを具え、当該サブセット回路設計(130a,130b)の各々が、前記共振エレメント(114)の一つと前記複数のリアクタンス回路エレメント(116−120)のうちの一またはそれ以上を具え、各サブセット回路設計(130a,130b)について、前記一の共振エレメント(114)と前記一またはそれ以上のリアクタンス回路エレメント(116−120)が、それぞれ前記音響共振器モデル(122)の一つに変換されることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法が更に、表面音響波(SAW)共振器と、バルク音響波(BAW)共振器と、フィルムバルク音響共振器(FBAR)と、マイクロ電気機械システム(MEMS)共振器から前記少なくとも一の共振エレメントのタイプを選択するステップ(ステップ54)を具えることを特徴とする方法。
請求項19に記載の方法において、予め最適化したフィルタ回路設計の前記複数の共振エレメント(114)が複数のフィルタソリューションを作成するために信号伝送路に沿って配置されている、オーダを変更するステップと;
前記フィルタソリューションのそれぞれについてパフォーマンスパラメータを計算するステップと;
このパフォーマンスパラメータを互いに比較するステップと;
前記計算したパフォーマンスパラメータの比較に基づいて、前記フィルタソリューションのうちの一つを前記フィルタ回路設計として選択するステップと;を具えることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法が更に、最終フィルタ回路設計を作成するために、フィルタ回路設計のエレメントを除去する最適化を行うステップ(ステップ70)を具えることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、前記最終フィルタ回路設計が、複数の音響共振器(Res1−Res8)を具え、前記最終フィルタ回路設計の複数の音響共振器(Res1−Res8)の最小共振周波数と最大共振周波数との差が、前記複数の音響共振器(Res1−Res8)の中の単一共振器の最大周波数分離の少なくとも1倍であることを特徴とする方法。
請求項22に記載の方法において、前記最終フィルタ回路設計における複数の共振器(Res1−Res8)の最小共振周波数と最大共振周波数間の差が、前記複数の共振器(Res1−Res8)の中の単一共振器の最大周波数分離の少なくとも2倍であることを特徴とする方法。
請求項22に記載の方法において、前記最終フィルタ回路設計における複数の共振器(Res1−Res8)の最小共振周波数と最大共振周波数間の差が、前記複数の共振器(Res1−Res8)の中の単一共振器の最大周波数分離の少なくとも3倍であることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法において、フィルタ回路設計を最適化するステップが、前記最終フィルタ回路設計を作成するために、フィルタ回路設計をフィルタオプティマイザに入力するステップを具えることを特徴とする方法。
請求項1に記載の方法が更に、予め最適化したフィルタ回路設計を作成するために、前記音響フィルタ回路設計に寄生効果を加えるステップ(ステップ68)を具え、前記最終フィルタ回路設計を作成するために、予め最適化した音響フィルタ回路設計がコンピュータ化したフィルタオプティマイザを使用して最適化されることを特徴とする方法。
【背景技術】
【0002】
ロスが小さく、周波数選択性通信アプリケーション用電気信号は、1910年頃から電信電話技術用、特に、長距離ケーブルとワイヤレスリンクに載せた通信信号チャネルの多重化と逆多重化用に開発された。「イメージ」又は「イメージパラメータ」と呼ばれるフィルタの設計法は、Bell Laboratories、とりわけ、Geroge A.Campbell,“Physical Theory of the Electric Wave Filter”,The Bell System Technical Journal,Volume I,No.2(November 1922);Otto J.Zobel,“Theory and Design of Uniform and Composite Electric Wave−Filters”,The Bell System Thechnical Journal,Volume II,No.1(January 1923)によって開発された。これらのフィルタ回路は、インダクタ、キャパシタ、及びトランスフォーマを含む回路エレメントを使用している。
【0003】
1920年代には、音響波(AW)共振回路、特に、クオーツバルク音響波(BAW)共振回路がいくつかの電気回路フィルタで使用され始めた。AW共振回路の等価回路は、共振振動数と反共振振動数と呼ばれる間隔の狭い二つの周波数を有する。(K.S.Van Dyke,“Piezo−Electric Resonztor and its Equivalent Network”Proc.IRE,Vol.16,1928,pp.742−764参照)。このイメージフィルタ設計法は、これらのクオーツ共振回路を用いるフィルタ回路に適用され、「ラダー」と「ラティス」AWフィルタ設計という二つのタイプのAWフィルタ回路となった(L.Espenschied,Electrical Wave Filter,米国特許第1,795,204号;および、W.P.Mason,“Electrical Wave Filters Employing Quartz Crystals as Elements”,The Bell System Technical Journal(1934)参照)。
【0004】
1920年代及び1930年代には、通信アプリケーション用の周波数選択性電気信号フィルタの設計用に、「ネットワーク合成」と呼ばれるようになった、別のアプローチが開発された。この新規なフィルタ回路設計法は、米国のFosterとDarlington(Ronald M.Foster,“A Reactance Theorem,”Bell Syst.Tech.J.,Vol 3,2924,pp.259−267及びS.Darlington,“Synthesis of Reactance 4−poles which produce prescribed insertion loss characteristics”,J.Math Phys,Vol 18,1939,pp.257−353参照)、及び、とりわけドイツのCauer(W.Cauer,米国特許第1,989,545号、1935)によって開発された。
【0005】
「ネットワーク合成」では、回路エレメントのタイプと、これらエレメントを相互接続する方法を含む最初の回路構成を選択した後、所望のロスが少ないフィルタ応答を例えばS21とS11といった散乱パラメータなどの複素数周波数依存型回路応答パラメータの形で複素多項式比に変換する。S21散乱パラメータは、以下の式で表す:
ここで、N(s)は分子多項式、D(s)は分母多項式、z
i’sは式N(s)=0のルート(伝送ゼロ点)、p
i’sは式D(s)=0のルート(反射ゼロ点)、mは伝送ゼロ点の数、nは反射ゼロ点の数、Kは倍率である。(ロスが少ない場合は、伝送ゼロ点は、S21のゼロ点であり、反射ゼロ点は、S11のゼロ点である。小さいが無限大の実損が後に回路設計プロセスに加えられると、これらゼロ点が小さくなるが、正確にはゼロではなくなり、最終フィルタの固有振動周波数に対応する。)次いで、複素多項式比からフィルタ回路エレメントの値を、ロスが少ない場合において正確に「合成」(計算)する。実際は小さく保たれているロスを無視すると、「合成した」回路の応答は、所望の応答関数に合致する。
【0006】
1950年代と1960年代には、通信及びその他のアプリケーション用マイクロ波フィルタの設計にネットワーク合成が成功裏に適用された。これらの新しいフィルタは、高Q値(低ロス)電磁共振器と、これらの共振器間の電磁カップリングを回路エレメントとして使用した(George L.Matthaei el al.,Microwave Filters,Impedance−Matching Networks,及びCoupling Structures,McGraw−Hill Book Company,pp.95−97,438−440(1964);及びRichard J.Cameron et al.,Microwave Filters for Communication Systems:Fundamentals,Design and Applications,Wiley−Interscience 2007)参照)。ネットワーク合成は、1960年代の初めには通信及びその他のアプリケーション用の音響波フィルタ設計にも提供された。(Anatol I.Zverev,Handbook of Filter Synthesis,John Wiley & Sons,pp.414−498(1967);及びRobert G.Kinsman,Crystal Filters:Design,Manufacture,and Application,John Wiley & Sons,pp.37−105 and 117−155(1987)参照。)この研究では、音響波共振器の共振のみが初期回路構造に含まれている。反共振は、初期回路のエレメント値をネットワーク合成法によって計算した後に回路に加えられた寄生効果として扱われていた。
【0007】
1992年ごろの初めに、薄膜表面音響波(SAW)共振器と薄膜BAW共振器が開発され、マイクロ波周波数(>500MHz)で使用され始めた。Espenschiedタイプのラダー型音響波フィルタ設計の一例であるAWインピーダンスエレメントフィルタ(IEF)設計が用いられた。(O.Ikata,et al.,“Development of Low−Loss Bandpass Filters Using Saw Resonators for Portable Telephones”,1992 Ultrasonics Symposium,pp.111−115;及びKenya Hashimoto,Surface Acoustic Wave Devices in Telecommunications:Modeling and Simulation,Springer(2000),pp.149−161参照)。SAWやBAW実装におけるイメージ設計AW IEFバンドパスフィルターが、モバイル通信装置の無線周波数(RF)フロントエンドにおけるマイクロ波フィルタリングアプリケーションにしばしば使用されている。モバイル通信工業において最も重要なことは、約500−3,500MHzの周波数レンジである。米国では、セルラ通信用の多くの標準周波数帯がある。これらは、帯域2(〜1800−1900MHz)、帯域4(〜1700−2100MHz)、帯域5(〜800−900MHz)、帯域13(〜700−800MHz)、及び帯域17(〜700−800MHz)を含み、その他の新たな帯域を含む。
【0008】
特殊なフィルタであるデュプレクサは、モバイル装置のフロントエンドにおける重要な部品である。モデムモバイル通信装置は、同時に送受信を行う(Code Division Multiple Access(CDMA)、Wide−Band Code Division Multiple Access(WCDMA),又は、Long Term Evolution(LTE)を使い、同じアンテナを使って)。デュプレクサは、ピコワットと同じくらい小さい受信信号から最大パワー0.5Wの送信信号を、分離する。この送信及び受信信号は、搬送波上で異なる周波数で変調され、デュプレクサはこれを選択することができる。そうであっても、デュプレクサは挿入損失が低く、選択性が高く、回路面積が小さく、高パワー処理であり、直線性が高く、低コストでなくてはならない。イメージ設計されたバンドパスAW IEFフィルタは、これらの条件を満たしており、タップ遅延ライン(ロスが大きい)や共振単向性トランスデューサ(SPUDT)フィルタ(マイクロ波周波数へのスケーリングを防止するのに細線が必要である)のような代替物より良好であり、一般的にデュプレクサでの使用が好まれている。二重モードSAW(DMS)(縦に結合した共振器(LCR)とも呼ばれる)フィルタは、出力のバランスが取れており、阻止率が改善されているため、デュプレクサで受信フィルタとして使用されることがある。(David Morgan,Surface Acoustic Wave Filters With Applications to Electronic Communications and Signal Processing,pp.335−339,352−354(2007)参照)。
【0009】
これらの従来のAW IEFフィルタ設計の軽微な変形もこれらのアプリケーションに考えられており(例えば、米国特許第8,026,776号及び米国特許第8,063,717号)、これらは通常、一又はそれ以上の回路エレメント(例えば、キャパシタ、インダクタ、又はAW共振器)をIEF設計に加えて、特定の回路特性を強化又は追加している。これは、AW IEF回路への影響が、現在使用しているコンピュータの最適化ツールが、最適化したIEFと比較したときに追加エレメントを加えた後に設計を改良するのに十分小さい場合に行うことができる。このことは、隣接した共振器と反共振器を持つAW共振器を含むあらゆる回路における厳しい条件であり、従って、AW IEFの基本的な設計と機能に対しては非常にわずかな変形のみが許される。
【0010】
パフォーマンスを上げ、サイズの小型化、低コスト化を図り、同調性を持たせるために、改良したマイクロ音響波フィルタが求められている。音響波共振器の合成特性が直接的にネットワーク合成に組み込まれている経路を提供するネットワーク合成が、本発明の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図面は、本発明の好ましい実施例の設計と有用性を示しており、図中、同じ要素には共通の符号が付されている。本発明の上述の及びその他の利点と目的がどのように得られるかをよりわかりやすくするために、上記の本発明のより詳細な説明は、貼付図面に記載されている特定の実施例を参照して行う。これらの図面が本発明の典型的な実施例のみを示すものであり、発明の範囲を限定すると考えるべきでないと考えられ、本発明は、貼付図面の使用を通じて追加の特性及び詳細を用いて説明する。
【0020】
【
図1】
図1は、無線遠隔通信システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一方法による音響フィルタの設計に用いたネットワーク合成技術を示すフロー図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すネットワーク合成技術に用いる初期フィルタ回路構造として使用するインライン非共振ノードフィルタを示す概略図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す初期フィルタ回路構造の並列L−C共振器組合せを示す概略図である。
【
図5】
図5は、Butterworth−Van Dyke(BVD)音響は共振器モデルの等価回路を示す概略図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すネットワーク合成技術によって、
図3に示す初期フィルタ回路構造(設計)から得た、サブセット回路設計であって、インライン音響共振器が
図3の初期フィルタ回路設計に組み込まれている。
【
図7】
図7は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図6のサブセット回路設計とシーケンシャルに作った回路変換である。
【
図8】
図8は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図6のサブセット回路設計とシーケンシャルに作った回路変換である。
【
図9】
図9は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図6のサブセット回路設計とシーケンシャルに作った回路変換である。
【
図10】
図10は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて
図3の初期フィルタ回路構造からとった別のサブセット回路設計である。
【
図11】
図11は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて
図10のサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図12】
図12は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて
図10のサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図13】
図13は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて
図10のサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図14】
図14は、
図2のネットワーク合成技術に応じて
図9及び13に示すサブセット音響回路設計から作った音響フィルタ回路設計の概略図である。
【
図15】
図15は、
図2のネットワーク合成技術に応じて、
図14に示す音響フィルタ回路設計から実現させた予め最適化したフィルタ回路設計を示す概略図である。
【
図16】
図16は、
図15に示す予め最適化したフィルタ回路設計のエレメント値を示す表である。
【
図17】
図17は、
図15に示す予め最適化したフィルタ回路設計のS21周波数応答プロットである。
【
図18】
図18は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、予め最適化したフィルタ回路設計をコンピュータ化したフィルタオプティマイザに入力し、エレメント除去設計技術を実行することによって作成した、最適化したフィルタ回路設計の概略図である。
【
図20】
図20は、
図18に示す最適化したフィルタ回路設計のS21周波数応答プロットである。
【
図21】
図21a及び21bは、
図18に示す最適化したフィルタ回路設計のS11周波数応答プロットである。
【
図22】
図22は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図10に示すサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図23】
図23は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図10に示すサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図24】
図24は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図10に示すサブセット回路設計にシーケンシャルになされた回路変換であり、
図3に示す初期フィルタ回路構造に内部シャント音響共振器が組み込まれている。
【
図25】
図25は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図24に示すサブセット音響回路設計から作った音響フィルタ回路設計を示す概略図である。
【
図26】
図26は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて、
図25に示す音響フィルタ回路構造から実現した別の予め最適化したフィルタ回路設計の概略図である。
【
図27】
図27は、
図26に示す予め最適化したフィルタ回路設計のエレメント値を示す表である。
【
図28】
図28は、最適化を行った後の
図25に示すフィルタ回路設計のS21帯域5の周波数応答プロットである。
【
図29】
図29は、最適化を行った後の
図25に示すフィルタ回路設計のS21帯域8の周波数応答プロットである。
【
図30】
図30は、
図2に示すネットワーク合成技術に応じて作成した、さらに別の予め最適化したフィルタ回路設計を示す概略図である。
【
図31】
図31は、最適化を行った後の
図30に示すフィルタ回路設計のS21帯域5の周波数応答プロットである。
【
図32】
図32は、最適化を行った後の
図30に示すフィルタ回路設計のS21帯域8の周波数応答プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、音響波(AW)マイクロ波フィルタ(表面音響波(SAW)、バルク音響波(BAW)、膜バルク音響共振器(FBAR)、マイクロ電気機械システム(MEMS)フィルタ、など)を設計するネットワーク合成技術を記載している。このネットワーク合成技術は、以前のAWマイクロ波フィルタ(設計法を超えて、より良好なパフォーマンス、及び/又は、より低コストのAWマイクロ波フィルタ(すなわち、500MHzより大きい周波数)を作る。このようなAWマイクロ波フィルタは固定周波数であっても、及び/又は、調整可能なフィルタ(周波数及び/又は帯域及び/又は入力インピーダンス及び/又は出力インピーダンスが調整可能)であってもよく、単帯域又は複数帯域バンドパスフィルタリング及び/又はバンドストップ用に使用できる。このようなAWマイクロ波フィルタは、セルホン、スマートホン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、その他を含むモバイル通信装置の無線周波数(RF)フロントエンド、または、M2Mデバイス、無線ベース基地、衛星通信システム、その他を含む固定通信装置のRFフロントエンドに見られるような、電気的及び/又は環境的パフォーマンス条件及び/又はコスト/サイズに厳しい制限が要求されるアプリケーションにおいて有利である。
【0022】
ここに述べた例示のAWマイクロはフィルタ(例えば、
図28−29)は、単通過帯域及び単阻止帯域をもつ周波数応答を示しており、これは、阻止帯域が近接した通過帯域が求められる通信システムデュプレクサに特に有用である。例えば、
図1を参照すると、モバイル通信装置に用いる通信システム10は、無線信号を送受信できるトランシーバ12と、トランシーバ12の機能を制御できるコントローラ/プロセッサ14を具える。トランシーバ12は、一般的に、広帯域アンテナ16、送信フィルタ24と受信フィルタ26を有するデュプレクサ18、デュプレクサ18の送信フィルタ24を介してアンテナ16に接続されているトランスミッタ20、及びデュプレクサ18の受信フィルタ26を介してアンテナ16に接続されているレシーバ22、を具える。
【0023】
トランスミッタ20は、コントローラ/プロセッサ14によって提供されるベースバンド信号を無線(RF)信号に変換するように構成したアップコンバータ28と、このRF信号を増幅するように構成された可変利得増幅器(VGA)30と、このRF信号をコントローラ/プロセッサ14によって選択された動作周波数で出力するように構成したバンドパスフィルタ32と、次いでフィルタにかけてデュプレクサ18の送信フィルタ24を介してアンテナ16に提供されるRF信号を増幅するように構成した電力増幅器34を具える。
【0024】
受信器22は、受信フィルタ26を介してアンテナ16から入力したRF信号からの送信信号干渉を阻止するよう構成したノッチ又は阻止帯域フィルタ36と、比較的ノイズが低い阻止帯域フィルタ36からのRF信号を増幅するように構成した低ノイズ増幅器(LNA)38と、増幅したRF信号をコントローラ/プロセッサ14によって選択された周波数で出力するように構成したバンドパスフィルタ40と、RF信号をコントローラ/プロセッサ14に提供されるベースバンド信号にダウンコンバートするように構成されたダウンコンバータ42と、を具える。代替的に、阻止帯域フィルタ36によって実行される送信信号干渉を阻止する機能は、デュプレクサ18によって代わりに行うことができる。あるいは、トランスミッタ20の電力増幅器34は、送信信号干渉を低減するように設計することができる。
【0025】
図1のブロック図は、自然に機能しており、いくつかの機能を一の電子部品で実行できる、又は一の機能をいくつかの電子部品で実行できることは自明である。例えば、アップコンバータ28、VAG30、バンドパスフィルタ40、ダウンコンバータ42、及びコントローラ/プロセッサ14によって実行される機能は、単一のトランシーバチップで実行されることがある。バンドパスフィルタ32の機能は、電力増幅器34とデュプレクサ18の送信フィルタ24によって実行することができる。
【0026】
本明細書に記載の例示的なネットワーク合成技術は、遠隔通信システム10のフロントエンド用音響マイクロ波フィルタ、特にデュプレクサ18の送信フィルタ24を設計するのに使用されるが、同じ技術を、デュプレクサ18の受信フィルタ26及びその他のRFフィルタの音響マイクロ波フィルタを設計するのに使用することができる。
【0027】
ここで、
図2を参照して、AWマイクロ波フィルタを設計する一例示的ネットワーク合成技術を説明する。まず、周波数応答要求(通過帯域、リターンロス、挿入ロス、阻止率、直線性、ノイズ指数、入力及び出力インピーダンス、その他を含む)、並びにサイズ及びコスト要求、及び、動作温度範囲、振動、欠陥率、その他といった環境要求を含む、フィルタ条件が、フィルタのアプリケーションによって設定される(ステップ52)。図に示す実施例では、この設計は、以下の条件:最大挿入ロス要求が2dBの1850MHz乃至1910MHzまでの一の通過帯域と、最小阻止率が44dBの1930MHzから1990MHzまでの第1の阻止帯域と、最小阻止率が20dBの2010MHzから2025MHzまでの第2の阻止帯域と、最小阻止率が45dBの2110MHzから2155MHzまでの第3の阻止帯域である3つの阻止帯域、をターゲットにしている。
【0028】
次いで、AWフィルタに使用している回路エレメントの構造タイプを選択する。例えば、共振器の構造タイプ(SAW、BAW、FBAR、MEMS、その他)と、インダクタ、キャパシタ、及びスイッチのタイプ、及びこれらの回路エレメントの製造に使用する、パッケージを含む材料、及びフィルタを製造する組み立て技術、を選択する(ステップ54)。この明細書に記載した特定の例での回路エレメントタイプの選択は、42度XY−カットLiTaO3でできた基体上に構成したSAW共振器とキャパシタである。
【0029】
次いで、インライン非共振ノード、又はインライン、又はクロスカップリングを有するインライン、又はクロスカップリングを有するインライン非共振ノード、といった初期回路構造を、周波数応答要求から得られる通過帯域及び/又は阻止帯域に基づいて選択する(ステップ56)。図に示す実施例では、選択した初期回路構造が、米国特許第7,719,382号、7,639,101号、7,863,999号、7,924,114号、8,063,714号や、米国暫定特許出願第61/802,114号の「マイクロ波フィルタにおけるエレメント除去設計」に記載されているような、インライン非共振ノード構造である。本明細書の目的では、用語「構造」とは、エレメントの値には関係なく、エレメントタイプとその内部接続を意味する。
【0030】
図3を参照すると、インライン非共振ノードタイプの初期フィルタ回路構造100の一実施例は一般的に、入力104(ノードSで示す)と出力106(ノードLで示す)を有する信号伝送路102と、この信号伝送路102に沿って配置した複数のノード(ノードS,1、2、・・・nで示す)108と、ノード108をそれぞれ接地している複数の共振ブランチ110と、共振ブランチ110に並列にノード108をそれぞれ設置している複数の非共振ブランチ112と、を具える。
【0031】
初期フィルタ回路構造100は更に、それぞれ共振ブランチ110に配置した複数の内部シャント共振エレメント114(サセプタンスB
R1,B
R2,・・・B
Rnで示す)と、共振エレメント114と直列に接続した複数の内部シャント非共振エレメント116(アドミッタンスインバータJ
11,J
22,・・・J
nnで示す)とを具える。初期フィルタ回路構造100は更に、複数の内部シャント非共振エレメント118を具え、このうちの二つがノードSとノードLを接地しており(それぞれ、サセプタンスB
NSとB
NLで示す)、4つはそれぞれ非共振ブランチ110に位置している(B
N1,B
N2,・・・B
Nnで示す)。初期フィルタ回路構造100は更に、それぞれ、ノードS、1、2・・・n、Lを互いに接続している、複数のインライン非共振エレメント120(アドミッタンスインバータJ
S1、J
12、J
23・・・J
n−1、J
n、J
nLで示す)を具える。
【0032】
初期フィルタ回路構造100は更に、共振エレメント114の周波数、及び/又は非共振エレメント120の値を調整する複数の調整エレメント(図示せず)と、初期フィルタ回路構造100を、非共振エレメント116−120の選択した周波数レンジを変化させて所望の周波数レンジ内で選択した狭帯域に調整するように構成した電気コントローラ(図示せず)を具えていてもよい。このように、初期フィルタ回路構造100は、サスセプタンスB
Rの値を実現するのに使用した高Qファクタ共振エレメント114が、
図4に示すように、並列L−C共振器組み合わせ、すなわちタンク回路によって特徴づけられるのであれば、再構成可能なバンドパスフィルタのネットワーク合成用に有益である。
【0033】
高Qファクタ共振エレメント114は、
図5に示すButterworth−Van Dyke(BVD)モデル122を用いて説明できる。BVDモデル122は、SAW共振器を説明でき、この共振器は、クリスタルクォーツ、リチウムニオベート(LiNbO3)、リチウムタンタレート(LiTaO
3)クリスタルといった圧電基体上に櫛形変換器(iDTs)、あるいは、クォーツ又は窒化アルミニウムといった物質に作ったBAW(FBARを含む)共振器、又はMEMS共振器を配置することによって作成できる。BVDモデル122は、直列容量C
m124と、静電容量C
0126と、直列インダクタンスL
m128を具える。直列容量C
m124と直列インダクタンスL
m128は、電気的及び音響的挙動の相互作用の結果であり、従って、BVDモデル122の動作アームと呼ばれる。静電容量Co126は、その構造単独(コンダクタ、誘電体及びギャップ)の電気的挙動から生じるため、BVDモデル122の静電(非モーショナル)容量と呼ばれる。パラメータは以下の式による。
ここで、ω
Rとω
Aは、それぞれ所定の音響共振器についての共振周波数と非共振周波数であり、γは、材料の特性により、更に
によって規定される。
典型的なγ値は、42度XYカットL
iT
aO
3について、約12から約18の範囲である。音響共振器の周波数分離は、共振周波数と非共振周波数間の差を意味する。音響波共振器のパーセンテージ分離は、共振周波数と非共振周波数間のパーセンテージ周波数分離であり、以下の式で計算できる。
ここで、γは、共振器の直列容量に対する静電容量の比(式(4))であり、圧電材料の材料特性によって決まると共に、デバイスのジオメトリによって変化する。
【0034】
音響共振器の共振周波数ω
Rは、インピーダンスの大きさが極小になり、インピーダンスの位相がゼロ交差する周波数を意味する。音響共振器の非共振周波数ω
Aは、インピーダンスの大きさが極大になり、インピーダンスの位相がゼロ交差する周波数を意味する。
【0035】
式(1)より、各音響共振器の共振周波数がBVDモデル122の動作アームに依存しており、一方で、フィルタ特性(例えば、帯域幅)は、式(2)のγによって強く影響を受けることが明らかである。音響共振器122の品質係数(Q)は、フィルタ内のエレメントのロスに関連して、音響フィルタ設計における利点の重要な特徴である。回路エレメントのQは、サイクルごとに保存されるエネルギィと、サイクルごとに消えるエネルギィとの比率を表す。Q因子は、各音響共振器中の実際のロスをモデルにし、音響共振器中のロスを述べるのには、一般的に一以上のQファクタが必要である。Qファクタは、フィルタの実施例について以下のように規定することができる。直列キャパシタンスCm124は、Q
cm=10
8と規定される関連するQを有していてもよく、静電容量C
o126は、Q
c0=200で規定される関連するQを有していてもよく、直列インダクタンスL
m128は、Q
Lm=1000で規定された関連するQを有する。(ここで、明確化のために、直列共振におけるロスは、直列インダクタンスにまとめられ、直列容量は、実質的にロスがないと考えられる。回路設計者は、通常、SAW共振器を、共振周波数ω
R、静電容量C
0、γ、及び品質ファクタQL
mによって特徴づける。市販のアプリケーション用には、QL
mがSAW共振器については約1000、SAW共振器については、約1000、BAW共振器については約3000である。
【0036】
図2を参照すると、周波数応答要求を次いで、正規化設計スペースにマッピングする(ステップ58)。このマッピングは、平方二乗根/二次マッピング技術(Geroge L.Matthaei,Microwave Filgers,Impedance−Matching Networks,and Coupling Strucutres,McGraw−Hill Book Company,pp.95−97,437−440(1964)参照)、又は、音響波共振器により適している、対数/指数マッピング技術など、適切なアルゴリズムを使用して行う。
【0037】
好ましい対数マッピング技術の一つに、以下の式を使用する。
ここで、ω
ρ/2πは、通過帯域又は阻止帯域の幾何学的中心周波数であり、ω/2πは、実際の周波数であり、Ωはマッピングした周波数であり、γは、共振器の静電容量と直列容量の非であり、Ω
Rは、共振器のマッピングした共振周波数であり、Ω
Aは、共振器のマッピングした非共振周波数である。
【0038】
次いで、ロスの内回路応答変数が、式(1)にあるように、スケールファクタを乗じた、伝達ゼロ点を規定する分子多項式と反射ゼロ点を規定する分母多項式の比の形式で提供される(ステップ60)。一般的に、伝達ゼロ点の総数が、反射ゼロ点の総数と同じかそれ以上であり、しばしば一またはそれ以上の反射ゼロ点がフィルタの通過帯域外にある。
【0039】
次いで、カップリングマトリックス又はパラメータ抽出法あるいは同等の回路合成技術を用いて、初期フィルタ回路構造100のマッピングして正規化した回路エレメント値をこれらの多項式から計算し(ステップ62)、初期ロスレス回路設計を作成する。この明細書の目的では、「回路設計」とは、回路構造を作り上げるエレメントの値を考慮した回路構造を意味する。
【0040】
次いで、等価回路変換を行って、回路エレメント数を減らす、あるいは、回路エレメントのタイプ、回路のサイズ、あるいは個々の回路エレメントの実現可能性を変更して、音響フィルタ回路設計を作成する(ステップ64)。これらの変換は、初期のロスレス回路設計の応答性を実質的に変更するものではなく、Jインバータを等価容量性又は導電性Pl−又はT−ネットワークに透過するといった、等価回路変換を用いることができる。例えば、シャント共振器/2つのJインバータ組み合わせは、単一の直列共振器に変換でき、単一の共振器/二つのJ−インバータ組み合わせは、単一のシャント共振器に変換でき、多重並列キャパシタンスは、単一のキャパシタに組み合わせることができ、あるいは、キャパシタを減らすために、正の並列キャパシタと組み合わせて負キャパシタを外し、単一の正キャパシタとしてもよく、複数の直列インダクタは、組み合わせて単一のインダクタにするか、あるいは、インダクタを減らすために、正の直列インダクタと組み合わせることによって負のインダクタを外し、単一の正インダクタとする、または、その他の等価回路変換を行って、初期ロスレス回路設計より、より小さく、コストがより低く、及び/又は、より実現可能性が高いが、目的の回路応答を有するロスのない回路を得ることができる。
【0041】
音響共鳴エレメントB
Rは、
図5に示すBVDモデル122によって詳しく説明されているが、BVDモデル122は、追加の静電容量C
0があるため、
図4に示すL−C等価初期フィルタ回路設計100に直接組み込むことができないという問題がある。特定タイプの回路変換には、初期フィルタ回路設計100を、音響共振器モデルと、この場合はBVDモデル122を組み込むことができる適宜の構造に変換するステップが含まれる。この回路変換は、初期フィルタ回路設計100を共振エレメント114の数に等しい複数のサブセットに分けることによって最もよく実行される。各サブセットは、各ノードに接続された回路エレメントを具えており、このノードは共振ブランチ110と非共振ブランチ112が接続されている。各サブセットの性質は、シャント音響共振器が必要か、又はインライン音響共振器が必要かによって決まる。
【0042】
例えば、インライン音響共振器を初期フィルタ回路設計100に組み入れている変換技術では、特定のサブセット回路設計が、各ノード108から接地された共振エレメント114(サスセプタンスB
R)、この共振エレメント114と直列に接続された非共振エレメント116(アドミッタンスインバータJ)、各ノード108から共振エレメント(サスセプタンスB
R)と並列に接地された非共振エレメント118(サスセプタンスB
N)と、各ノード108にインラインで接続された二つの非共振エレメント120(アドミッタンスインバータJ)を具える。例えば、
図6に示すように、サブセット130aはノード1を具えており、従って、共振エレメントB
R1は各ノード108からグラウンドに接続されており、アドミッタンスインバータエレメントJ
11は、共振エレメントB
R1に直列に接続されており、非共振エレメントB
N1は、各ノード108から共振エレメントB
R1と並列にグラウンドに接続されており、二つのアドミッタンスインバータJ
S1とJ
12が、各ノード108とインラインで接続されている。
【0043】
図7に示すように、アドミッタンスインバータJ
11は、容量性PI−ネットワーク(キャパシタ−C
11、C
11、及び−C
11)と入れ替わっており、共振エレメントB
1Rは、インダクタンス(インダクタL
R1)とキャパシタンス(キャパシタC
R1)の並列L−C共振器組合せで置き換えられている。キャパシタ−C
11、C
11及び−C
11からなるPI−ネットワークと、インダクタL
R1とキャパシタC
R1の並列L−C共振器組合せで表される回路サブ構造132は、インダクタンス(インダクタL
R1)とキャパシタンス(キャパシタC
R1)でできた直列L−C共振器組合せに変換できる。重要なことに、この直列L−C組み合わせ134が、BVDモデル122の直列共振レッグによって実現でき、従って、回路サブ構造132により良好に組み入れることができる。
【0044】
BVDモデル122を回路サブ構造132に組み入れるためには、BVDモデル122の静電容量C
0が対応していなければならない。これは、
図8に示すように、並列サスセプタンスB
1Nをキャパシタンス(C
0R1’とサスセプタンスB
N1’)で置き換えることによって対応する。C
0R1’は、BVDモデル122の静電容量であり、B
N1’は、B
N1−ω(C
0R1)の関係式で与えられる。サスセプタンスB
N1’と、二つのインラインアドミッタンスインバータJ
S1及びJ
12と、シャント音響共振器122は、
図9に示すように、インライン音響共鳴器122aと直列リアクタンス136(X
1で示す)に変換できる。
【0045】
内部シャント音響共鳴器を初期フィルタ回路設計100に組み入れる変換技術では、特定のサブセットが、各ノード108から接地している共振エレメント114(サスセプタンスB
R)と、共振エレメント114に直列に接続している非共振エレメント116(アドミッタンスインバータJ)と、各ノード108から、共振エレメント114(サスセプタンスB
R)と並列に接地している非共振エレメント118(サスセプタンスB
N)を具える。例えば、
図10に示すように、サブセット130bは、ノード2を具え、従って、共振エレメントB
R2は、各ノード108から接地されており、アドミッタンスインバータJ
2は、各ノード108から接地されており、アドミッタンスインバータエレメントJ
2は、共振エレメントB
R2と直列に接続されており、非共振エレメントB
N2は、各ノード108から共振エレメントB
R2と並列に接地されている。
【0046】
図11に示すように、アドミッタンスインバータJ
22は、容量性PI−ネットワーク(キャパシタ−C
22、C
22、及び−C
22)に交換されており、共振エレメントB
R2は、インダクタンス(インダクタL
R2)とキャパシタンス(キャパシタC
R2)の並列L−C共振器組合せに交換されている。キャパシタ−C
22、C
22及び−C
22からなるPI−ネットワークで表される回路サブ構造132と、インダクタL
R2とキャパシタC
R2の並列L−C共振器組合せは、インダクタンス(インダクタL
R2’)とキャパシタンス(キャパシタC
R2’)の直列L−C組み合わせ134に変換できる。重要なことは、直列L−C組み合わせ134は、BVDモデル122の直列共振レッグで実現でき、従って、回路サブ構造132により良好に組み込むことができる。
【0047】
BVDモデル122を回路サブ構造132に組み入れるためには、BVDモデル122の静電容量C
0に対応していなくてはならない。これは、
図12に示すように、並列サスセプタンスB
2Nをキャパシタンス(C
0R1’とサスセプタンスB
N1’)で置き換えることによって対応する。C
0R2’は、BVDモデル122の静電容量であり、B
N2’は、B
N2−ω(C
0R2)の関係式で与えられる。このように、内部シャント音響共振器122bは、
図13に示すようにして実現できる。
【0048】
初期フィルタ回路設計100を、代替のサブセット130aと130bに分割することができ、代替のインライン音響共振器122aと内部シャント共振器122bを有するフィルタ回路設計100ができることは、自明である。例えば、9個の共振器B
Rを有する初期フィルタ回路設計100は、
図14に示すように、代替の態様に設置された5個のインライン音響共振器122aと4個の内部シャント音響共振器122bを有する音響フィルタ回路構造150aに変換できる。
【0049】
回路変換ステップは、初期フィルタ回路設計上で実行できる(すなわち、マッピングし、正規化した回路エレメント値を計算した後)として説明したが、この回路変換ステップが初期フィルタ回路構造(すなわち、マッピングし、正規化した回路エレメント値を計算する前)上で実行して、音響回路構造を作ることができることは明らかである。この場合、音響フィルタ回路構造についてマッピングして正規化した回路エレメント値を計算して、音響フィルタ回路設計を行うことができる。
【0050】
図2に戻ると、音響フィルタ回路設計150aの回路エレメントは、正規化した設計スペースにマッピングするのに初期に使用したマッピング技術の逆となり、実際の設計スペース(すなわち、実周波数をもつロスのない回路エレメント(L’及びC’)にマッピングされていない(ステップ66)。例えば、式(5)の対数マッピング技術を用いて、周波数応答要求を正規化したスペースにマッピングして、以下の対数アンマッピング式を用いて、正規化した回路エレメント値を実際の設計スペースにアンマッピングすることができる。
特に、Bの値は、Bのサインに応じてL又はCのいずれによっても実現できる。正規化した回路値のアンマッピングは、
図16に示す共振周波数ω
Rの値及び各共振器の静電容量C
0、及びキャパシタ及びインダクタのキャパシタンスとインダクタンスと共に、
図15に示す現実の回路を作る。これは、シミュレーションを行ったときに、
図17に示す周波数応答となる。(インダクタL1とキャパシタC1を、極性抽出によって合成の最後に加え、ネットワークの等価入力及び出力インピーダンスを提供する)。
【0051】
次いで、Sonnet(登録商標)ソフトウエアなどの電磁シミュレータを用い、予め最適化したフィルタ回路設計に到達する母線(相互接続)ロスを加えて、寄生効果を音響フィルタ回路設計150aに加える(ステップ68)。音響共振器のロスは、各回路エレメントのQファクタを関連させることによって含めることができる。この実施例では、等価直列容量C
m124は、Q
cm=10
8で規定される関連するQファクタを有しており;静電容量C
0126は、Q
c0=200で規定される関連するQファクタを:及び、等価直列インダクタンスL
m128はQ
Lm=1000で規定される関連するQファクタを有している。残りのインダクタは、Q
U=60で規定される関連するQファクタを有し、残りのキャパシタは、Q
U=200で規定される関連するQファクタを有する。RS=0.5オームの母線(相互接続)抵抗も、各音響共振器に加わる。
【0052】
予め最適化したフィルタ回路設計を、次いで、電子化したフィルタオプティマイザに入れて、最終フィルタ回路設計を作る(ステップ70)。選択的方法では、最適化の間にエレメント除去最適化(ERO)技術を実装する。ここでは、不必要なあるいは「消えてゆく」回路エレメントを除去し、あるいは、少なくし、より簡素な回路エレメントとすることで、
図18に示す最終フィルタ回路設計となる。ERO技術は、米国暫定特許出願第61/802,114号の“Element Removal Design in Microwave Filters”に記載されている。最適化及びERO技術によって、
図19に示すような、各共振器について、共振周波数ωRと静電容量C
0となり、
図19に示すように、キャパシタの容量は、シミュレーションを行った場合に、
図20に示す周波数応答となる。これは、目的の周波数応答要求に合致する。
【0053】
特に、
図2に示すネットワーク合成技術によって設計したマルチバンドフィルタは、従来の設計技術及びその簡単な拡張機能に応じて設計したマイクロ波音響フィルタとは逆に、比較的大きな共振周波数レンジを有する共振及び共振器を有することになる。
【0054】
例えば、フィルタ又はその共振器の共振周波数のスパンを比較できる一手段は、最高の共振周波数を有するフィルタの共振器の周波数分離である。42度XY−cut LiTaO3基板では、γが約12以上である。音響共振器の実現による寄生容量は、γを増やし、従って、パーセンテージ分離を小さくするが、規制インダクタンスはγを効果的に減らす。この例では、γ=12に対して、パーセンテージ分離は4.0833%であり、従って、最も高い共振周波数を有する共振器の分離は、約88.1MHzである(すなわち、2151.57MHzの共振周波数×パーセンテージ分離4.0833%)。フィルタ又はその共振器の共振周波数のスパンを比較する別の方法は、共振器の平均集は酢分離であり、この場合は、77.32MHzである。
【0055】
音響共振器の周波数分離と対照的に、二つの音響共振器間の「周波数差」は、二つの共振器の共振周波数間の全体周波数差を意味し、フィルタの二つの周波数間の周波数差は、二つの共振器間の絶対周波数差である。
図21(a)及び21(b)は、
図18−19に規定するフィルタのリターンロス(S11)を示す。リターンロス最小は、フィルタ回路の共振に対応し、また、初期フィルタ設計の反射ゼロ点に対応する。
図21(a)は、フィルタ通過帯域N1からN7の形成を主に担うフィルタの共振を示す。
図21(a)に示す最高及び最低の共振間の周波数差は、102MHzであり、又は共振器の平均周波数分離の約1.32倍である。更に、組み合わせた
図21(a)及び21(b)の最高及び最低の共振間の周波数差は、349MHz(2173−1824MHz)であり、又は共振器の平均周波数分離の約4.51倍である。一方、フィルタ内の最高及び最低の共振間の周波数差は、459.37MHz(2151.57−1892.2MHz)であり、又は共振器の平均周波数分離の5.94倍である。
【0056】
このように、最終フィルタ回路設計における通過帯域共振の最低共振周波数と最高共振周波数との間の差異は、共振器の平均分離の1.25倍になると考えられる。
【0057】
図2に示すネットワーク合成技術に従って設計したマルチバンドフィルタは、従来技術のイメージ設計技術に従って設計したフィルタと対照的に、通過帯域から比較的離れたところにある反射ゼロ点に対応する共振器並びに共振を有すると考えらえる。従来の技術では、反射ゼロ点に対応する共振器及び共振は、通過帯域内にあるか、あるいはこれに非常に近い。
【0058】
特に、反射ゼロ点に対応する共振は、局所リターンロス(及び/又はS11)最小及び局所挿入ロス(及び/又はS21)最大が、最大周波数分離の約5パーセント以内に合致している周波数、この例では、約4.405MHz以下で生じる。代替的に、反射ゼロ点に対応する共振は、S11の遅延(図示せず)の局所最小値及び最大値で生じる。
図21bに見られるように、反射ゼロ点に対応するいくつかの共振(特に、マーカN1、N2及びN6−N9に対応する共振)は、通過帯域(1850MHz乃至1910MHz)の外でこの帯域から遠くに位置している。反射ゼロ点に対応する共振と最も近い通過帯域エッジ間の周波数差は、最大周波数分離(この例では約88.1MHz)の1倍以上、おそらく1.25倍より大きく、おそらく2倍以上である。この特定の例では、反射ゼロ点が、通過帯域のエッジから、最大で平均共振器分離(77.32MHz)の3.40倍に位置している。通過帯域幅(60MHz)に対して、反射ゼロ点N1、N2は、通過帯域の下側エッジの下43.33%と28.33%であり、反射ゼロ点N6、N7は、通過帯域上側エッジの上13.33%及び26.67%である。反射ゼロ点N1、N2、N6及びN7は、互いに近接している。通過帯域反射ゼロ点N1、N2、N6及びN7に近接していない反射ゼロ点N8、N9は、通過帯域の上側エッジの上311.67%と438.33%である。最終フィルタ回路設計の挿入ロスは、好ましくは3dBより小さく、より好ましくは2dBより小さい。
【0059】
図2を参照すると、最終フィルタ回路設計が達成されると、実際のマイクロ波フィルタが最終フィルタ回路設計に基づいて構築される(ステップ72)。好ましくは、実際のマイクロ波フィルタの回路エレメント値が、最終フィルタ回路設計の対応する回路エレメント値に合致する。
【0060】
特に、異なる周波数応答の測定は、ネットワーク合成技術50の様々なポイントで分析され、比較される。一の実施例では、異なる周波数応答の測定が、ステップ68で生成した音響フィルタ回路設計150aの様々なバージョンに基づいて分析及び比較され、コンピュータ化したフィルタオプティマイザへ入力される予め最適化した回路設計に到達して、ステップ70において最終フィルタ回路設計を作る。例えば、入力と出力間で異なる音響共振器周波数の注文を実施できる。特に、音響共振器が信号伝送路に沿って配置されているオーダは、変更して複数フィルタソリューションを作ることができ、一またはそれ以上のパフォーマンスパラメータを、各フィルタソリューションについて計算することができ、異なるフィルタソリューションについてのパフォーマンスパラメータを互いに比較して、最も良好なフィルタソリューション(及び、したがって、共振器のオーダー)をこの比較に基づいて選択することができる。パフォーマンスパラメータは、例えば、フィルタ要求における所望のパフォーマンス特性に対する各回路応答を評価するための、特定の周波数あるいは複数の周波数の何れかにおける、挿入ロス、リターンロス、阻止率、グループ遅延、ノード電圧、ブランチ電流、の一つ又はそれ以上である。
【0061】
その他の実施例では、調査プロセスが共振器の静電容量C
0の実現可能な値、J−インバータの正(誘電性)及び負(容量性)の値(パリティ)の配列、及びその応答機能を変更しないが、実現可能な低ロス回路の応答を変更する、ロスレス設計において可変であるその他のパラメータに取り組むものである。共振周波数を再配列する調査プロセスについての更なる詳細は、米国特許第7,924,114号に開示されている。
【0062】
固定通過帯域と阻止帯域を規定するフィルタ条件についてこの実施例で述べたが、フィルタ条件が複数の再構築できる通過帯域及び/又は阻止帯域を規定できることは自明である。例えば、一実施例では、この設計が二つの状態間で再構築可能である。第1の状態(帯域5と呼ぶ)は、824MHzと849MHz間の周波数を3.5dBより小さい挿入ロスで通過させ、869MHzと894MHz間の周波数を少なくとも40dBで阻止し、第2の状態(帯域8と呼ぶ)は、880MHzと915MHzの間の周波数を3.5dBより小さい挿入ロスで通過させ、925MHzと960MHz間の周波数を少なくとも40dBで阻止する(ステップ52)。回路エレメントタイプは、15度Y−cut LiTaO3基板上に構築したSAW共振器と、15度Y−cut LiTaO3基板上に集積したキャパシタとして選択される(ステップ54)。
【0063】
次いで、
図3に示す初期フィルタ回路構造100が、周波数応答要求から得られる通過帯域及び/又は阻止帯域に基づいて選択される(ステップ56)。この場合、共振器の数は6個である。次いで、周波数要求を正規化したスペースにマッピングして(ステップ58)、ロスレス回路応答が多項比の形で選択され(ステップ60)、初期フィルタ回路構造100のマッピングして正規化した回路エレメント値を、結合マトリックス又はパラメータ抽出法を用いて、あるいは等価回路合成技術を用いてこれらの多項式から計算して、初期フィルタ回路設計を作成する(ステップ62)。
【0064】
次いで、等価回路変換を初期フィルタ回路設計100に行って、音響共振器を適応させる(ステップ64)。同様に、回路変換を行って、初期フィルタ回路石器100を、共振エレメント114の数(この場合は、6個)と同じ複数のサブセット回路設計に分割して、6個のシャント音響共振器を得る。
【0065】
内部シャント音響共振器を初期フィルタ回路設計100に組み入れた一の変換技術においては、
図6に示すサブセット130は、
図22に示すように、アドミッタンスインバータJ
S1を容量性PI−ネットワーク(キャパシタ−C
S1、C
S1及び−C
S1)で、アドミッタンスインバータJ
12を容量性PI−ネットワーク(キャパシタ−C
12、C
12及び−C
12)で、アドミッタンスインバータJ
11を容量性PI−ネットワーク(キャパシタ−C
11、C
11及び−C
11)で、及び共振エレメントB
1Rを、インダクタンス(インダクタL
R1)とキャパシタンス(キャパシタC
R1)の並列L−C共振器組合せで置き換えることによって、変換できる。同様に、
図7について述べたとおり、キャパシタ−C
11、C
11及び−C
11からなるPI−ネットワークと、インダクタL
R1とキャパシタC
R1の並列L−C共振器組合せで表す回路サブ構造132は、インダクタンス(インダクタL
R1’)とキャパシタンス(キャパシタC
R1’)でできた直列L−C組み合わせ134に変換できるBVDモデル122の静電容量C
0を適用するためには、
図23に示すように3つの隣接した並列キャパシタンスとサスセプタンス(−C
S1,−C
12、及びB
1N)を、キャパシタンス(C
0R1’)とサスセプタンス(B
1N’)で置き換える。C
0R1’は、BVDモデル122の静電容量を表し、B
N1’は、B
N1−ω(C
S1+C
12+C
0R1)の関係式で与えられる。このように、
図24に示すように、内部シャント音響共振器122が実現できる。初期フィルタ回路設計100のその他のサブセット130も、同様にして変換し、
図25に示すような、6個の内部シャント音響共振器122を有する音響フィルタ回路構造150bが得られる。
【0066】
音響フィルタ回路構造150bの回路構造は、次いで実スペースにアンマッピングされ(ステップ66)、音響フィルタ回路構造150bに寄生効果を加えて、予め最適化した回路設計とする(ステップ68)。上述した通り、回路エレメントのロスを、各回路エレメントのQファクタを関連させることによって含めることができる。この実施例では、直列キャパシタンスC
mは、Q
cm=10
8で規定される関連するQを有し、静電キャパシタンスC
0は、Q
c0−140で規定される関連するQを有し、直列インダクタンスL
mがQL
m=3000で規定される関連するQを有する。残りのインダクタは、Q
U=60で規定される関連するQを有し、残りのキャパシタは、Q
U=200で規定される関連するQを有する。母線(内部接続)抵抗R
S=0.5オームも各音響共振器に加わる。この実施例では、3pF/(mmゲート幅)と1.0オーム
*(mmゲート幅)のスイッチングパラサイトも加えられる。
【0067】
次いで、予め最適化されたフィルタ回路設計を、光ERO技術を用いてコンピュータフィルタオプティマイザに入力して、最終回路設計を作成する(ステップ70)。最適化の前に、
図26に示すように、二つの帯域間でインピーダンスが異なる各ブランチにスイッチを加えて、最適化するべき二つの別の設計から単一回路を作成する。各スイッチのゲート幅、インダクタ又はキャパシタ(必要であれば)の値、及びこのブランチの回路構成を選択して、所定のブランチのインピーダンスが、一方のスイッチ状態で所望の帯域5のインピーダンスになり、他方のスイッチ状態で所望の帯域8のインピーダンスになるようにする。ついで、組み合わせた回路上でERO技術を繰り返す。最適化プロセスによって、各共振器について共振周波数ω
Rと静電キャパシタンスC
0となり、
図27に示すようなこのキャパシタとインダクタのキャパシタンスとインダクタンスとなる。これらは、シミュレーションを行ったときに、
図28に示す帯域5の周波数応答と、
図29に示す帯域8の周波数応答となる。
【0068】
上述した通り、異なる周波数応答の調査を、ネットワーク合成技術50における様々なポイントで分析し、比較する。一実施例では、異なる周波数応答の調査を、ステップ68で作成した音響フィルタ回路設計150aの異なるバージョンに基づいて分析し、比較して、コンピュータ化したフィルタオプチマイザに入力し、ステップ70において予め最適化した回路設計を作成した。例えば、回路対(一の帯域5と一の帯域8)を、共振器周波数の各オーダリングと、Jインバータ(インダクタ又はキャパシタ)の各パリティと、共振器の静電容量C
0の値の選択とによって生成する。この調査プロセスにおいては、共振周波数のオーダリングの可能な配列全て、可能なパリティすべて、実際の静電容量C
0の値の範囲である、0.95、1.9、3.8、及び7.6pFを用いて、各設計について通過帯域中心周波数における挿入ロスを計算する。一の設計対(共振器のオーダと静電容量C
0の値が同じである一の帯域5と一の帯域8)を選択する。
【0069】
これまでに述べた実施例は、動的に再構築可能である通過帯域及び/又は阻止帯域を具えるが、ネットワーク合成技術に従って構築したフィルタが、フィルタが最終的に完成する前に再構築可能であるが、フィルタの完成後は固定されている固定通過帯域及び/又は阻止帯域を有していてもよいことは自明である。例えば、
図30に示す一実施例では、ロスレス回路モデルを実現でき、中心周波数が836.5MHz(帯域5)又は897.5MHz(帯域8)の通過帯域を有するフィルタができる。このロスレス回路は、SAW共振器を用いて
図3に示す初期フィルタ回路設計100を変換することによって作った。
【0070】
3つの内部シャント音響共振器を初期フィルタ回路設計100に組み込んだ変換技術では、
図10−13に示す変換技術を用いて、回路サブセット(各々、各ノード108から設置した共振エレメント114(サスセプタンスB
R)と、共振エレメント114に直列に接続した非共振エレメント116(アドミッタンスインバータJ)と、各ノード108から共振エレメント114(サスセプタンスB
R)に並列に設置した非共振エレメント118(サスセプタンスB
N)を具える)を、3個の内部シャント音響共振器に変換できる。この回路エレメントタイプは、42度Y−cut LiTaO3基板上に構築したSAW共振器と、42度Y−cut LiTaO3基板に集積したキャパシタとして選択される。
【0071】
フィルタは、共振器(この場合、C
S1,C
12、C
23、C
3L)と非共振シャントエレメント(この場合、L
S,L
1,L
2,L
3,L
L)間の直列エレメントの値を変えることによって完成前に再構築できる。次いで、フィルタは、帯域5についての非共振エレメントの値か、帯域8についての非共振エレメントの値を用いて、構築できる。最適化プロセスにより、各共振器に静電容量C
0が生まれ、キャパシタとインダクタのキャパシタンス及びインダクタンスは、
図30に示すように、シミュレーションをしたときに、
図31に示す帯域5の周波数応答及び
図32に示す帯域8の周波数応答になる。
【0072】
本発明の特定の実施例を説明したが、上述の説明は本発明をこれらの実施例に限定するものではない。当業者には、本発明の精神と範囲から外れることなく、様々な変更及び変形ができることは自明である。例えば、本発明は単入力及び単出力のフィルタをはるかに超えており、本発明の特定の実施例は、デュプレクサ、マルチプレクサ、チャネライザ、リアクティブスイッチ、その他といった、低ロス選択制回路を使用できるものを形成するのに使用できる。従って、本発明は、特許請求の範囲に規定した本発明の精神及び範囲内にある、代替、変形及び均等物をカバーすることを意図している。