【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ネコアレルゲン、Fel d1に特異的に結合する完全なヒトモノクローナル抗体(mAb)およびその抗原結合性断片を提供する。係る抗体は、ネコアレルゲンへと感作患者を曝露した後のin vivoにおけるFel d1アレルゲンの結合に有用となることができ、そのようなものとして、Fel d1のクリアランスを促進するよう、あるいはマスト細胞または好塩基球の表面における予め形成されたIgEへのアレルゲンの結合を遮断するよう作用することができる。そうすることにより、本発明の抗体は、マスト細胞または好塩基球からのヒスタミンまたは他の炎症性メディエーターの放出を防止し、これにより、ネコアレルゲンに対し感作された患者において観察される有害な効果を防止または減弱化することができる。ある特定の実施形態では、抗体は、くしゃみ、うっ血、鼻詰まり(nasal blockage)、咳嗽、喘鳴、気管支収縮、鼻炎または結膜炎等、Fel d1ネコアレルゲンに対し感受性の患者における少なくとも1種の症状を低下、最小化または防止することができ得る。ある特定の実施形態では、抗体は、喘息反応、アナフィラキシー、さらには死亡等、感作個体におけるネコアレルゲンへの曝露に伴うさらにより重篤なin vivo合併症を防止することができ得る。
【0010】
本発明の抗体は、全長(例えば、IgG1またはIgG4抗体)であっても、あるいは抗原結合ポーション(例えば、Fab、F(ab’)
2またはscFv断片)のみを含んでいてもよく、機能性に影響を及ぼすよう、例えば、残存エフェクター機能を排除するよう修飾されていてもよい(Reddyら、(2000年)、J. Immunol.164巻:1925〜1933頁)。
【0011】
本発明の第1の態様は、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0012】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、IgAアイソタイプ以外のアイソタイプである。
【0013】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、IgG1、IgG2およびIgG4からなる群より選択されるアイソタイプを有する。
【0014】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、10
−6M以下のK
DでFel d1に特異的に結合する。一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、1.8nM以下のK
DでFel d1に特異的に結合する。
【0015】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354、370および460からなる群より選択される重鎖可変領域(HCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択される軽鎖可変領域(LCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む。HCVRおよびLCVRアミノ酸配列内のCDRを同定するための方法および技法は、本技術分野において周知のものであり、本明細書に開示されている規定のHCVRおよび/またはLCVRアミノ酸配列内のCDRの同定に使用することができる。CDRの境界の同定に使用することのできる例示的な慣例として、例えば、Kabat定義、Chothia定義およびAbM定義が挙げられる。一般用語において、Kabat定義は、配列可変性に基づき、Chothia定義は、構造的ループ領域の位置に基づき、AbM定義は、KabatとChothiaアプローチの折衷である。例えば、Kabat、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institutes
of Health, Bethesda, Md.(1991年);Al−Lazikaniら、(1997年)、J. Mol. Biol.273巻:927〜948頁;およびMartinら、(1989年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86巻:9268〜9272頁を参照されたい。抗体内のCDR配列を同定するために、公開データベースを利用することもできる。
【0016】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択される重鎖可変領域(HCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号26、74、138、170、250、314、330、378および468からなる群より選択される軽鎖可変領域(LCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む。
【0017】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRを含む。
【0018】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRを含む。
【0019】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRを含む。
【0020】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号26、74、138、170、250、314、330、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRを含む。
【0021】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、(a)配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRと、(b)配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRとを含む。
【0022】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、(a)配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRと、(b)配列番号26、74、138、170、250、314、330、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRとを含む。
【0023】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、
(a)配列番号4、20、36、52、68、84、100、116、132、148、164、180、196、212、228、244、260、276、292、308、324、340、356、372および462からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR1ドメインと、
(b)配列番号6、22、38、54、70、86、102、118、134、150、166、182、198、214、230、246、262、278、294、310、326、342、358、374および464からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR2ドメインと、
(c)配列番号8、24、40、56、72、88、104、120、136、152、168、184、200、216、232,248、264、280、296、312、328、344、360、376および466からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR3ドメインと、
(d)配列番号12、28、44、60、76、92、108、124、140、156、172、188、204、220、236、252、268、284、300、316、332、348、364、380および470からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR1ドメインと、
(e)配列番号14、30、46、62、78、94、110、126、142、158、174、190、206、222、238、254、270、286、302、318、334、350、366、382および472からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR2ドメインと、
(f)配列番号16、32、48、64、80、96、112、128、144、160、176、192、208、224、240、256、272、288、304、320、336、352、368、384および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR3ドメインと
を含む。
【0024】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、
(a)配列番号20、68、132、164、244、308、324、372および462からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR1ドメインと、
(b)配列番号22、70、134、166、246、310、326、374および464からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR2ドメインと、
(c)配列番号24、72、136、168、248、312、328、376および466からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR3ドメインと、
(d)配列番号28、76、140、172、252、316、332、380および470からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR1ドメインと、
(e)配列番号30、78、142、174、254、318、334、382および472からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR2ドメインと、
(f)配列番号32、80、144、176、256、320、336、384および474からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR3ドメインと
を含む。
【0025】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号2/10、18/26、34/42、50/58、66/74、82/90、98/106、114/122、130/138、146/154、162/170、178/186、194/202、210/218、226/234、242/250、258/266、274/282、290/298、306/314、322/330、338/346、354/362、370/378および460/468からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0026】
一実施形態では、単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26、66/74、130/138、162/170、242/250、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0027】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26、66/74、130/138および162/170からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0028】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26および322/330からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0029】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26および306/314からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0030】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26および370/378からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0031】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号242/250および306/314からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0032】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号242/250および322/330からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0033】
一実施形態では、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号396の約15位〜約24位に及ぶアミノ酸残基;配列番号396の約85位〜約103位に及ぶアミノ酸残基;配列番号396の約85位〜約104位に及ぶアミノ酸残基;および配列番号396の約113位〜約116位に及ぶアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸配列と相互作用する。
【0034】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号396の約15位〜約24位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する。
【0035】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号396の約85位〜約103位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する。
【0036】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号396の約85位〜約104位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する。
【0037】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号396の約113位〜約116位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する。
【0038】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号402、403、404および412からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸配列と相互作用する。
【0039】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号402と相互作用する。
【0040】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号403と相互作用する。
【0041】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号404と相互作用する。
【0042】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号426と相互作用する。
【0043】
一実施形態では、Fel d1に結合する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号412と相互作用する。
【0044】
一実施形態では、配列番号402、403、404および/または426と相互作用する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18の重鎖可変領域に含有される3種のHCDRと、配列番号26の軽鎖可変領域に含有される3種のLCDRを含む。
【0045】
一実施形態では、配列番号402、403、404および/または426と相互作用する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号20のHCDR1;配列番号22のHCDR2;配列番号24のHCDR3;配列番号28のLCDR1;配列番号30のLCDR2および配列番号32のLCDR3を含む。
【0046】
一実施形態では、配列番号412と相互作用する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号306の重鎖可変領域に含有される3種のHCDRと、配列番号314の軽鎖可変領域に含有される3種のLCDRを含む。
【0047】
一実施形態では、配列番号412と相互作用する単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号308のHCDR1;配列番号310のHCDR2;配列番号312のHCDR3;配列番号316のLCDR1;配列番号318のLCDR2および配列番号320のLCDR3を含む。
【0048】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号20、22および24のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号28、30および32のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0049】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号68、70および72のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号76,78および80のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0050】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号132、134および136のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号140、142および144のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0051】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号164、166および168のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号172、174および176のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0052】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号244、246および248のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号252、254および256のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0053】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号308、310および312のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号316、318および320のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0054】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号324、326および328のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号332、334および336のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0055】
一実施形態では、Fel d1に結合するヒト抗体またはその抗原結合性断片は、それぞれ配列番号372、374および376のHCDR1、HCDR2およびHCDR3アミノ酸配列と、それぞれ配列番号380、382および384のLCDR1、LCDR2およびLCDR3アミノ酸配列とを含む。
【0056】
一実施形態では、本発明は、次の特徴のうち1種または複数を示す、Fel d1に結合する完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する:(i)配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するHCVRを含む;(ii)配列番号26、74、138、170、250、314、330、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するLCVRを含む;(iii)配列番号24、72、136、168、248、312、328、376および466からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するHCDR3ドメイン;ならびに配列番号32、80、144、176、256、320、336、384および474からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するLCDR3ドメインを含む;(iv)配列番号20、68、132、164、244、308、324、372および462からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するHCDR1ドメイン;配列番号22、70、134、166、246、310、326、374および464からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するHCDR2ドメイン;配列番号28、76、140、172、252、316、332、380および470からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するLCDR1ドメイン;ならびに配列番号30、78、142、174、254、318、334、382および472からなる群より選択されるアミノ酸配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有するLCDR2ドメインを含む;(v)10
−6以下、好ましくは、10
−9以下のK
DでFel d1に結合する;(vi)アナフィラキシーまたは炎症の少なくとも1種の動物モデルにおける有効性を示す;あるいは(vii)Fel d1との結合に関して参照抗体と競合する。
【0057】
一実施形態では、「参照抗体」は、例えば、18/26、66/74、130/138、162/170、242/250、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択される重鎖および軽鎖アミノ酸配列ペアの組み合わせを有する抗体を含むことができる。
【0058】
一実施形態では、Fel d1に結合する完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片は、式X
1−X
2−X
3−X
4−X
5−X
6−X
7−X
8(配列番号386)(式中、X
1はGlyであり、X
2はPhe、TyrまたはGlyであり、X
3はThrまたはSerであり、X
4はPheまたはIleであり、X
5はSer、Arg、ThrまたはAsnであり、X
6はAsn、Thr、AspまたはSerであり、X
7はTyrであり、X
8はAsn、TyrまたはAlaである)を含むHCDR1配列と;式X
1−X
2−X
3−X
4−X
5−X
6−X
7−X
8(配列番号387)(式中、X
1はIleであり、X
2はTyr、SerまたはAsnであり、X
3はTyr、Ser、Gly、ProまたはAspであり、X
4はAsp、ArgまたはSerであり、X
5はGly、ValまたはSerであり、X
6はSer、Gly、ArgまたはTyrであり、X
7はTyr、Arg、Thr、SerまたはAsnであり、X
8はIle、Thr、Ala、Serまたは非存在である)を含むHCDR2配列と;式X
1−X
2−X
3−X
4−X
5−X
6−X
7−X
8−X
9−X
10−X
11−X
12−X
13−X
14−X
15−X
16(配列番号388)(式中、X
1はAlaであり、X
2はLysまたはArgであり、X
3はArg、Gly、His、Ser、Asp、LeuまたはThrであり、X
4はThr、Pro、Arg、GlyまたはGluであり、X
5はLeu、Val、Gly、Lys、TyrまたはAsnであり、X
6はSer、Arg、Thr、Ala、Tyr、PheまたはTrpであり、X
7はTyr、Gly、Arg、Ala、Asn、Asp、HisまたはAsnであり、X
8はTyr、Thr、SerまたはHisであり、X
9はVal、Ser、Ala、Phe、Proまたは非存在であり、X
10はMet、Gly、Asp、Pro、Valまたは非存在であり、X
11はAsp、Tyr、Ser、Gly、Pheまたは非存在であり、X
12はVal、Asp、Pheまたは非存在であり、X
13はPhe、Aspまたは非存在であり、X
14はPhe、Tyrまたは非存在であり、X
15はAspまたは非存在であり、X
16はTyrまたは非存在である)を含むHCDR3配列と;式X
1−X
2−X
3−X
4−X
5−X
6−X
7−X
8−X
9−X
10−X
11−X
12(配列番号389)(式中、X
1はGlnであり、X
2はGly、SerまたはAspであり、X
3はIleまたはValであり、X
4はSer、Leu、AsnまたはGlyであり、X
5はAsn、Tyr、GlyまたはSerであり、X
6はTyr、Ser、PheまたはTrpであり、X
7はSerまたは非存在であり、X
8はAsnまたは非存在であり、X
9はAsnまたは非存在であり、X
10はLysまたは非存在であり、X
11はGlnまたは非存在であり、X
12はTyrまたは非存在である)を含むLCDR1配列と;式X
1−X
2−X
3(配列番号390)(式中、X
1はAla、Trp、Asp、Tyr、Lys、GlyまたはSerであり、X
2はAlaまたはThrであり、X
3はSerである)を含むLCDR2配列と;式X
1−X
2−X
3−X
4−X
5−X
6−X
7−X
8−X
9(配列番号391)(式中、X
1はGln、LeuまたはHisであり、X
2はLys、GlnまたはHisであり、X
3はTyr、SerまたはLeuであり、X
4はTyr、Asn、Gly、AspまたはSerであり、X
5はSer、AspまたはAsnであり、X
6はLeu、Ala、Tyr、ThrまたはPheであり、X
7はProまたはArgであり、X
8はLeu、Phe、TyrまたはThrであり、X
9はThrまたは非存在である)を含むLCDR3配列とを含む。
【0059】
一実施形態では、本発明は、表2に示す組み合わせによる、V
H、D
HおよびJ
H生殖系列配列に由来するヌクレオチド配列セグメントにコードされるHCVRと、V
KおよびJ
K生殖系列配列に由来するヌクレオチド配列セグメントにコードされるLCVRを含む、Fel d1に特異的なヒト抗体または抗原結合性断片を特色とする。
【0060】
本発明は、修飾されたグリコシル化パターンを有する抗体を包含する。一部の適用では、望ましくないグリコシル化部位を除去するための修飾、例えば、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)機能を増加させるためのフコース部分の除去が有用となり得る(Shieldら、(2002年)、JBC 277巻:26733頁を参照)。他の適用では、補体依存性細胞傷害(CDC)を修飾するために、ガラクトシル化の修飾を行うことができる。
【0061】
第2の態様は、Fel d1への特異的結合に関して、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0062】
一実施形態は、Fel d1への特異的結合に関して、配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号26、74、138、170、250、314、330、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0063】
関連する実施形態では、本発明は、Fel d1への特異的結合に関して、配列番号18/26、66/74、130/138、162/170、242/250、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択される重および軽鎖配列ペア内に含有される重および軽鎖CDRを含む抗体または抗原結合性断片と競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0064】
第3の態様は、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と同じFeld 1上のエピトープに結合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0065】
一実施形態は、配列番号18、66、130、162、242、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と同じFel d1上のエピトープに結合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0066】
関連する実施形態では、本発明は、配列番号18/26、66/74、130/138、162/170、242/250、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択される重および軽鎖配列ペア内に含有される重および軽鎖CDRを含む抗体または抗原結合性断片と同じFel d1上のエピトープに結合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0067】
第4の態様は、本明細書に記載されているいずれか2種以上の抗体由来のHCVRアミノ酸配列およびLCVRアミノ酸配列を含む2個の抗原結合ドメイン(2本の腕)を含む、Fel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子を提供する。
【0068】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、配列番号370に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号378に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第1の抗原結合ドメインと、配列番号18に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号378に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第2の抗原結合ドメインとを含む。
【0069】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、それぞれ配列番号372、374および376に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)ならびにそれぞれ配列番号380、382および384に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む第1の抗原結合ドメインと、それぞれ配列番号20、22および24に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)ならびにそれぞれ配列番号380、382および384に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む第2の抗原結合ドメインとを含む。
【0070】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、配列番号306に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号314に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第1の抗原結合ドメインと、配列番号18に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号314に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第2の抗原結合ドメインとを含む。
【0071】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、それぞれ配列番号308、310および312に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)ならびにそれぞれ配列番号316、318および320に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)と、それぞれ配列番号20、22および24に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)ならびにそれぞれ配列番号316、318および320に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む第2の抗原結合ドメインとを含む。
【0072】
一実施形態では、本発明は、Fel d1への結合に関して、本発明の二重特異的抗原結合分子のうちいずれか1種と競合する、Fel d1に特異的な単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0073】
一実施形態では、本発明は、本発明の二重特異的抗原結合分子のうちいずれかと同じFel d1上のエピトープに結合する、Fel d1に特異的な単離された抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0074】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体である。
【0075】
一実施形態では、二重特異的抗原結合分子は、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体であり、前記ヒトモノクローナル抗体は、単一特異的抗体または二重特異的抗体である。
【0076】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている少なくとも1種の二重特異的抗原結合分子と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む薬学的組成物を提供する。
【0077】
一実施形態では、本発明は、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者を処置するため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症を処置するための方法であって、本発明の二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の有効量または本発明の二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の有効量を含む薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含み、本発明の二重特異的抗原結合分子または二重特異的抗原結合分子を含む組成物の投与後に、前記患者が、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性の低下またはアレルギー反応の減弱化を示す、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対するいかなる感受性またはアレルギー反応も経験しない、あるいは前記患者が、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症の低下、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症の頻度および/または持続時間の低下を示す方法を提供する。
【0078】
一実施形態では、本発明は、ネコ、ネコのフケまたはFel d1タンパク質に対するアレルギー反応の減弱化に有用な、本発明の少なくとも1種の二重特異的抗原結合分子に加えて有効量の第2の治療剤の投与を提供する。第2の治療剤は、コルチコステロイド、気管支拡張物質、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、コルチコステロイド、Fel d1に対する別の異なる抗体およびペプチドワクチンからなる群より選択され得る。
【0079】
一実施形態では、本発明の1種または複数の二重特異的抗原結合分子の単独または第2の治療剤と組み合わせた処置は、ネコ、ネコのフケまたはFel d1タンパク質へと患者を曝露した後に、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息またはアナフィラキシー応答の低下をもたらし得る。
【0080】
第5の態様では、本発明は、Fel d1抗体またはその断片をコードする核酸分子を提供する。本発明の核酸を保有する組換え発現ベクターと、係るベクターが導入された宿主細胞もまた、本発明によって包含されており、抗体の産生を可能にする条件下で該宿主細胞を培養し、産生された抗体を回収することにより抗体を産生する方法も同様である。
【0081】
一実施形態では、本発明は、配列番号1、17、33、49、65、81、97、113、129、145、161、177、193、209、225、241、257、273、289、305、321、337、353、369および459からなる群より選択される核酸配列またはその少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%相同性を有する実質的に同一の配列にコードされるHCVRを含む抗体またはその断片を提供する。
【0082】
一実施形態では、HCVRは、配列番号17、65、129、161、241、305、321、369および459からなる群より選択される核酸配列にコードされる。
【0083】
一実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号9、25、41、57、73、89、105、121、137、153、169、185、201、217、233、249、265、281、297、313、329、345、361、377および467からなる群より選択される核酸配列またはその少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%相同性を有する実質的に同一の配列にコードされるLCVRをさらに含む。
【0084】
一実施形態では、LCVRは、配列番号25、73、137、169、249、313、329、377および467からなる群より選択される核酸配列にコードされる。
【0085】
一実施形態では、本発明はまた、配列番号7、23、39、55、71、87、103、119、135、151、167、183、199、215、231、247、263、279、295、311、327、343、359、375および465からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるHCDR3ドメインと、配列番号15、31、47、63、79、95、111、127、143、159、175、191、207、223、239、255、271、287、303、319、335、351、367、383および473からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるLCDR3ドメインとを含む、抗体または抗体の抗原結合性断片を提供する。
【0086】
一実施形態では、本発明は、配列番号3、19、35、51、67、83、99、115、131、147、163、179、195、211、227、243、259、275、291、307、323、339、355、371および461からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるHCDR1ドメインと、配列番号5、21、37、53、69、85、101、117、133、149、165、181、197、213、229、245、261、277、293、309、325、341、357、373および463からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるHCDR2ドメインと、配列番号11、27、43、59、75、91、107、123、139、155、171、187、203、219、235、251、267、283、299、315、331、347、363、379および469からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるLCDR1ドメインと、配列番号13、29、45、61、77、93、109、125、141、157、173、189、205、221、237、253、269、285、301、317、333、349、365、381および471からなる群より選択されるヌクレオチド配列または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列にコードされるLCDR2ドメインとをさらに含む、抗体またはその断片を提供する。
【0087】
第6の態様は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に、Fel d1に特異的に結合する1種または複数の単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片の治療有効量を含む薬学的組成物を提供する。
【0088】
一実施形態では、薬学的組成物は、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に、Fel d1に特異的に結合する2種以上の単離されたヒト抗体またはその抗原結合性断片の治療有効量を含む。
【0089】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18に表記されているアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号26に表記されているアミノ酸配列を有するLCVRを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第1の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号66、130、162、306、322、370および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRならびに配列番号74、138、170、314、330、378および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0090】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号242に表記されているアミノ酸配列を有するHCVRおよび配列番号250に表記されているアミノ酸配列を有するLCVRを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第1の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号306、322および460からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRならびに配列番号314、330および468からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0091】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel
d1に特異的に結合する単離された第1の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号66/74、130/138、162/170、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0092】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel
d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号130/138からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0093】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel
d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号322/330からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0094】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel
d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号306/314からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0095】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel
d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号370/378からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0096】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第1の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号306/314および322/330からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2の完全なヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0097】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号306/314からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0098】
一実施形態では、薬学的組成物は、
a)配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、
b)配列番号322/330からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と
を含む。
【0099】
一実施形態では、薬学的組成物は、配列番号18/26、66/74、130/138、162/170、242/250、306/314、322/330、370/378および460/468からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、Fel d1に特異的に結合する2種以上の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0100】
一実施形態では、薬学的組成物は、Fel d1に特異的に結合する4種の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号18/26、66/74、130/138および162/170のHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む。
【0101】
一実施形態では、本発明は、治療有効量の1種または複数の本発明の抗Fel d1抗体またはその抗原結合性断片と、治療有効量の第2の治療剤との組み合わせである組成物を特色とする。
【0102】
第2の治療剤は、小分子薬、タンパク質/ポリペプチド、抗体、アンチセンス分子またはsiRNA等の核酸分子となり得る。第2の治療剤は、合成であっても天然由来であってもよい。
【0103】
第2の治療剤は、本発明の抗体またはその断片と有利に組み合わされるいかなる薬剤であってもよく、例えば、マスト細胞または好塩基球上に存在するIgEへのFel d1の結合を遮断することのできる、本明細書に記載されている抗体以外の第2の抗体となり得る。第2の治療剤はまた、いずれかのアレルゲンに対するアレルギー応答の処置において標準治療として使用されるいかなる薬剤であってもよい。係る第2の治療剤は、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、コルチコステロイドまたはペプチドワクチンとなり得る。
【0104】
ある特定の実施形態では、第2の治療剤は、本発明の抗体または抗体の抗原結合性断片に伴ういずれかの可能な副作用(複数可)が生じ得る場合、係る副作用(複数可)の相殺または低下に役立つ薬剤となり得る。
【0105】
本発明の抗体および薬学的に許容される組成物を併用療法において用いてよいこと、すなわち、抗体および薬学的に許容される組成物は、1種または複数の他の所望の治療薬または医学的手順と同時発生的に、その前に、あるいはその後に投与することができることも認められよう。併用レジメンにおいて用いるための療法(治療薬または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療薬および/または手順の適合性ならびに達成されるべき所望の治療効果を考慮に入れるであろう。用いられている療法が、同じ障害に対する所望の効果を達成することができる(例えば、抗体は、同じ障害の処置に使用されている別の薬剤と同時発生的に投与することができる)、あるいは異なる効果を達成することができる(例えば、いずれかの有害効果の制御)ことも認められよう。本明細書において、特定の疾患または状態の処置または防止に通常投与される追加的な治療剤は、処置されている疾患または状態に適切である。
【0106】
関連技術分野において認識されている通り、複数の治療薬が同時投与される場合、それと相応に投薬量を調整することができる。
【0107】
第7の態様は、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者を処置するため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症を処置するための方法であって、Fel d1に特異的に結合する1種または複数の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片の有効量を、あるいはFel d1に特異的に結合する1種または複数の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその断片の有効量を含む薬学的組成物を、あるいはFel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の有効量を、あるいはFel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の有効量を含む薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含み、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体またはその断片のうち1種または複数の投与後に、あるいはFel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の投与後に、あるいは前述の抗体または二重特異的抗原結合分子のうちいずれか1種または複数を含む組成物の投与後に、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される方法を提供する。
【0108】
一実施形態では、本発明は、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者の処置における使用のため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症を処置するための、Fel d1に特異的に結合する本発明の抗体のうち1種もしくは複数または二重特異的抗原結合分子のうち1種もしくは複数を含む薬学的組成物であって、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される薬学的組成物を提供する。
【0109】
一実施形態では、本発明は、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者の処置における使用のため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症を処置するための医薬の製造における、Fel d1に特異的に結合する本発明の抗体のうち1種もしくは複数または二重特異的抗原結合分子のうち1種もしくは複数を含む薬学的組成物の使用であって、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される使用を提供する。
【0110】
一実施形態では、本発明は、上に記載されている薬学的組成物の使用であって、組成物が、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛抽出物またはFel d1タンパク質に対するアレルギー反応の減弱化に有用な第2の治療剤と組み合わせて投与される使用を提供する。一実施形態では、本発明は、上に記載されている薬学的組成物の使用であって、第2の治療剤が、コルチコステロイド、気管支拡張物質、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、Fel d1に対する別の異なる抗体およびペプチドワクチンから選択される使用を提供する。
【0111】
ある特定の実施形態では、Fel d1に特異的に結合する本発明の抗体または二重特異的抗原結合分子は、くしゃみ、うっ血、鼻詰まり、咳嗽、喘鳴、気管支収縮、鼻炎または結膜炎等、Fel d1ネコアレルゲンに対し感受性の患者における少なくとも1種の症状を低下、最小化または防止することができ得る。
【0112】
一実施形態では、Fel d1に特異的に結合する本発明の抗体または二重特異的抗原結合分子、あるいはFel d1に特異的に結合する本発明の1種または複数の抗体または抗原結合分子のうち1種または複数を含む組成物は、喘息反応、アナフィラキシーショックまたはさらにはアナフィラキシーに起因する死亡を含む、Fel d1に対するアレルギーに関連するより重篤なin vivo合併症の防止に使用することができる。
【0113】
一実施形態では、薬学的組成物は、第2の治療剤と組み合わせて患者に投与される。
【0114】
別の実施形態では、第2の治療剤は、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、コルチコステロイド、Fel d1に対する別の異なる抗体、ペプチドワクチン、およびアレルギー反応の重症度の低下またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状の改善に有用な他のいずれかの対症療法からなる群より選択される。
【0115】
他の実施形態は、次の詳細な説明の総説から明らかになるであろう。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
IgAアイソタイプ以外のアイソタイプである、Fel d1に特異的に結合する単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目2)
IgG1、IgG2およびIgG4からなる群より選択されるアイソタイプを有する、項目1に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目3)
表面プラズモン共鳴法によって測定される10
−6M以下のK
Dで、Fel d1に特異的に結合する、項目1または2に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目4)
前記抗体が、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354および370からなる群より選択される重鎖可変領域(HCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362および378からなる群より選択される軽鎖可変領域(LCVR)配列のいずれか1種の内に含有される3種の軽鎖CDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む、項目1〜3のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目5)
配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354および370からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRを含む、項目1〜4のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目6)
配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362および378からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRを含む、項目1〜5のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目7)
(a)配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354および370からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRと、(b)配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362および378からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、項目1〜6のいずれか一項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目8)
(a)配列番号4、20、36、52、68、84、100、116、132、148、164、180、196、212、228、244、260、276、292、308、324、340、356および372からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR1ドメインと、
(b)配列番号6、22、38、54、70、86、102、118、134、150、166、182、198、214、230、246、262、278、294、310、326、342、358および374からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR2ドメインと、
(c)配列番号8、24、40、56、72、88、104、120、136、152、168、184、200、216、232,248、264、280、296、312、328、344、360および376からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCDR3ドメインと、
(d)配列番号12、28、44、60、76、92、108、124、140、156、172、188、204、220、236、252、268、284、300、316、332、348、364および380からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR1ドメインと、
(e)配列番号14、30、46、62、78、94、110、126、142、158、174、190、206、222、238、254、270、286、302、318、334、350、366および382からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR2ドメインと、
(f)配列番号16、32、48、64、80、96、112、128、144、160、176、192、208、224、240、256、272、288、304、320、336、352、368および384からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCDR3ドメインとを含む、項目1〜7のいずれか一項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目9)
配列番号2/10、18/26、34/42、50/58、66/74、82/90、98/106、114/122、130/138、146/154、162/170、178/186、194/202、210/218、226/234、242/250、258/266、274/282、290/298、306/314、322/330、338/346、354/362および370/378からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、項目1〜8のいずれか一項に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体または抗原結合性断片。
(項目10)
配列番号396の約15位〜約24位に及ぶアミノ酸残基、配列番号396の約85位〜約103位に及ぶアミノ酸残基、配列番号396の約85位〜約104位に及ぶアミノ酸残基および配列番号396の約113位〜約127位に及ぶアミノ酸残基からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸配列と相互作用する、項目1〜9のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目11)
配列番号396の約15位〜約24位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する、項目10に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目12)
配列番号396の約85位〜約103位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する、項目10に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目13)
配列番号396の約85位〜約104位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する、項目10に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目14)
配列番号396の約113位〜約127位に及ぶアミノ酸残基と相互作用する、項目10に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目15)
配列番号402、403、404および412からなる群より選択される少なくとも1種のアミノ酸配列と相互作用する、項目1〜10のいずれかに記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目16)
配列番号402と相互作用する、項目15に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目17)
配列番号403と相互作用する、項目15に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目18)
配列番号404と相互作用する、項目15に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目19)
配列番号412と相互作用する、項目15に記載の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片。
(項目20)
1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に、Fel d1に特異的に結合する、項目1〜19のいずれかに記載の、治療有効量の1種または複数の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含む薬学的組成物。
(項目21)
1種または複数の薬学的に許容される賦形剤と共に、項目1〜19のいずれかに記載の、治療有効量のFel d1に特異的に結合する第1の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片と、Fel d1に特異的に結合する第2の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片とを含む薬学的組成物。
(項目22)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18に表記されているアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号26に表記されているアミノ酸配列を有するLCVRとを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号66、130、162、306、322および370からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号74、138、170、314、330および378からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目23)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号242に表記されているアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号250に表記されているアミノ酸配列を有するLCVRとを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号306および322からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するHCVRと、配列番号314および330からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するLCVRとを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目24)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号66/74、130/138、162/170、306/314、322/330および370/378からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目25)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号130/138からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目26)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号322/330からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目27)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号306/314からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目28)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号370/378からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目29)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号306/314および322/330からなる群より選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目30)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号306/314からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目31)
a)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第1のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号242/250からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含み、かつ
b)Fel d1に特異的に結合する前記単離された第2のヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号322/330からなるHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、
項目21に記載の薬学的組成物。
(項目32)
Fel d1に特異的に結合する4種の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含み、前記ヒト抗体またはその抗原結合性断片が、配列番号18/26、66/74、130/138および162/170のHCVR/LCVRアミノ酸配列ペアを含む、項目20に記載の薬学的組成物。
(項目33)
Fel d1への特異的結合に関して、配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354および370からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362および378からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と競合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片。
(項目34)
配列番号2、18、34、50、66、82、98、114、130、146、162、178、194、210、226、242、258、274、290、306、322、338、354および370からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域(HCVR)の相補性決定領域(CDR)と、配列番号10、26、42、58、74、90、106、122、138、154、170、186、202、218、234、250、266、282、298、314、330、346、362および378からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(LCVR)のCDRとを含む抗体または抗原結合性断片と同じFel d1上のエピトープに結合する、単離された抗体またはその抗原結合性断片。
(項目35)
項目1〜19または項目33〜34のいずれか一項に記載のFel d1に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸分子。
(項目36)
項目35に記載のFel d1に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体またはその断片をコードする核酸分子を含む発現ベクター。
(項目37)
項目36に記載の発現ベクターを含有する宿主細胞。
(項目38)
配列番号370に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号378に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第1の抗原結合ドメインと、配列番号18に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号378に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第2の抗原結合ドメインとを含む、Fel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子。
(項目39)
前記第1の抗原結合ドメインが、それぞれ配列番号372、374および376に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、それぞれ配列番号380、382および384に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、それぞれ配列番号20、22および24に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、それぞれ配列番号380、382および384に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む、項目38に記載の二重特異的抗原結合分子。
(項目40)
配列番号306に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号314に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第1の抗原結合ドメインと、配列番号18に表記されているHCVRアミノ酸配列および配列番号314に表記されているLCVRアミノ酸配列を含む第2の抗原結合ドメインとを含む、Fel d1に特異的に結合する二重特異的抗原結合分子。
(項目41)
前記第1の抗原結合ドメインが、それぞれ配列番号308、310および312に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、それぞれ配列番号316、318および320に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含み、前記第2の抗原結合ドメインが、それぞれ配列番号20、22および24に表記されているアミノ酸配列からなる3種の重鎖相補性決定領域(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)と、それぞれ配列番号316、318および320に表記されているアミノ酸配列からなる3種の軽鎖相補性決定領域(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)とを含む、項目40に記載の二重特異的抗原結合分子。
(項目42)
Fel d1への結合に関して、項目38〜41のいずれかに記載の二重特異的抗原結合分子と競合する、Fel d1に特異的な単離された抗体またはその抗原結合性断片。(項目43)
項目38〜41のいずれかに記載の二重特異的抗原結合分子と同じFel d1上のエピトープに結合する、Fel d1に特異的な単離された抗体またはその抗原結合性断片。
(項目44)
単一特異的抗体または二重特異的抗体である、項目42または43のいずれかに記載の単離された抗体。
(項目45)
項目38〜41のいずれか一項に記載の二重特異的抗原結合分子と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む薬学的組成物。
(項目46)
ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者を処置するため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症を処置するための方法であって、前記方法は、項目1〜19または33〜34のいずれかに記載のFel d1に特異的に結合する、有効量の1種または複数の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片、あるいは有効量の項目20〜32のいずれかに記載のFel d1に特異的に結合する1種または複数の単離されたヒトモノクローナル抗体またはその断片を含む薬学的組成物、あるいは有効量の項目38〜41のいずれか一項に記載の二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数、あるいは有効量の項目38〜41のいずれか一項に記載の二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数を含む薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含み、Fel d1に特異的に結合する前記単離されたヒトモノクローナル抗体またはその断片のうち1種または複数の投与後に、あるいはFel d1に特異的に結合する前記二重特異的抗原結合分子のうち1種または複数の投与後に、あるいは前述の抗体または二重特異的抗原結合分子のうちいずれか1種または複数を含む組成物の投与後に、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される、方法。
(項目47)
ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対するアレルギー反応の減弱化に有用な、有効量の第2の治療剤を投与するステップをさらに含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
前記第2の治療剤が、コルチコステロイド、気管支拡張物質、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、Fel d1に対する別の異なる抗体およびペプチドワクチンからなる群より選択される、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記処置が、前記患者をネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に曝露した後に、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性喘息またはアナフィラキシー応答の低下をもたらす、項目46〜48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者の処置における使用のための、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症の処置のための項目20〜32または45のいずれかに記載の薬学的組成物であって、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される、薬学的組成物。
(項目51)
ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応を示す患者の処置における使用のため、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症の処置のための医薬の製造における項目20〜32または45のいずれか一項に記載の薬学的組成物の使用であって、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応が防止される、または重症度および/または持続時間が低減される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応に関連する少なくとも1種の症状または合併症が防止または改善される、あるいはネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対する前記感受性またはアレルギー反応の頻度および/または持続時間、またはその重症度が低下される、使用。
(項目52)
前記組成物が、ネコ、ネコのフケ、ネコの毛もしくはこれらの抽出物またはFel d1タンパク質に対するアレルギー反応の減弱化に有用な第2の治療剤と組み合わせて投与される、項目20〜32または45のいずれかに記載の薬学的組成物の使用。
(項目53)
前記第2の治療剤が、コルチコステロイド、気管支拡張物質、抗ヒスタミン薬、エピネフリン、うっ血除去薬、Fel d1に対する別の異なる抗体およびペプチドワクチンから選択される、項目52に記載の薬学的組成物の使用。