【実施例】
【0013】
以下、検出ユニット1として図2に示すものを用いて、脈拍数及び心拍数の検出を行う検証例について説明した後、本発明の身体情報検出装置Dの構成を示すものとする。
図中、符号Dで示すもの
が身体情報検出装置であり、このものは、身体を緩保持するベルト周辺に対して検出ユニット1を装着し、ベルト着用者の少なくとも脈拍、呼吸の状態を検出する装置である。
そして前記検出ユニット1におけるプローブ11は、一方の端部が閉鎖された中空チューブであり、他の開放された端部に圧力センサを接続し、これによりベルト着用者の心拍・呼吸に伴う脈動による中空チューブの空間容積変化を圧力変化として検出し、脈拍数・呼吸数を少なくとも視覚表示できるように構成されている。
【0014】
なおこの
検証例では
図1に示すように、前記検出ユニット1が装着されるベルトは自動車のシートベルト5であり、検出ユニット1の装着位置はシートベルト5の着用者の胸部(厳密には上腹部から肩にかけての範囲)とされるものである。
【0015】
以下、身体情報検出装置Dの構成要素について具体的に説明する。
まず
図2に示すように前記検出ユニット1には、一例としてシリコンを素材としたチューブが適用されるプローブ11と、適宜の剛性を有する素材によって形成されたプローブホルダ12とを具えて構成され、このプローブホルダ12内にプローブ11が密着状態に収容される。
【0016】
前記プローブ11は
図2(a)に示すように、平面視において矩形状のプローブホルダ12の略全域に位置させるように幅狭のU字状に形成される。このような形態とされることにより、検出ユニット1が
図2(b)に示すようにシートベルト本体50に装着された際に、このシートベルト本体50の長手方向に沿ってU字状に対峙することとなる。
なおプローブホルダ12に対するプローブ11の設置態様としては、上記U字状以外にも、素材の柔軟性等により可能であればW字状、M字状等としてもよい。
【0017】
ここで前記前記プローブ11の好ましい断面寸法は、素材によって異なってくるものであるが、外径2〜4mm、内径1〜3mm程度とされるものであり、一例として
図2に示した
検証例では、シリコンを素材とし、外径3mm、内径2mmとし、また全長450mmとした。
【0018】
また前記プローブホルダ12は、一例として塩化ビニル、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリスチレン等、適宜の剛性を有する合成樹脂素材によって形成されるものである。そしてプローブホルダ12の形態は、上下に対向する二枚の板材12a、12bによってプローブ11を挟持し、この状態を維持するように板材12a、12bを粘着テープ等で固定されるものである。
【0019】
次に前記カバー体2について説明する。このものは
図2(b)に示すように展開状態で矩形状に形成された部材であり、通気性を有する布材等によって形成される。
そしてカバー体2は
図2(c)に示すように、短辺の中心からずれた個所で二つ折りとされるものであり、この際、重なりが生じない部位がフラップ21とされ、このフラップ21が更に折り込まれる。そしてこの状態でフラップ21とその対向する部位には、面ファスナ22、23が具えられており、これらが互いに係合することにより、上記折り込み状態が維持される。
この
検証例では、
図2(c)に示す状態のカバー体2の寸法を、一例として52mm×256mmとした。
【0020】
次に前記検出ユニット1に接続されるセンサモジュール3について説明する。
このものは、前記プローブ11たる中空チューブ内の圧力を検知するための圧力センサたるセンサエレメント30と、このセンサエレメント30の出力信号を解析するためのデータ処理部31と、このデータ処理部31から出力されるデータを外部に送信するための無線部32及びこれらを駆動するための電源を具えて構成されたものである。
【0021】
前記センサエレメント30は、プローブ11内の空間容積変化を圧力変化として検出するものであり、一例として焦電センサが適用されるものであり、空気は微小な圧力変化で温度変化を生じることを利用して、検出された微小な温度変化から圧力変化を導出するような処理が行われるものとした。
ここで焦電センサに用いられている焦電素子について説明すると、誘電体の一種に焦電体(チタン酸ジルコン酸鉛等)というものがあり、この焦電体は赤外線を受けると、熱エネルギーを吸収して自発分極に変化が生じ、その変化量に比例して表面に電荷が誘起されることとなる(焦電効果)。この特性を利用して赤外線を含む光を感知する(変化を見る)ものが焦電センサである。
またこの
検証例では一例として、前記センサエレメント30として富士セラミック社製、FKS−HM02を適用した。因みにこの
検証例で示されるセンサモジュール3は、1パスカル(1/101325気圧)単位での極微小な気圧変動を検出することのできるものである。
【0022】
また前記データ処理部31は、前記センサエレメント30によって検出された圧力変化を解析し、脈拍数・呼吸数を導出するためのアルゴリズムにしたがったプログラムが記憶されたプロセッサ等を具えて成るものである。
なお前記脈拍数・呼吸数の導出を外部機器に担わせるようにしてもよく、この場合にデータ処理部31は、センサエレメント30の出力信号の増幅、フィルタリング等を行うものとして構成される。
【0023】
また前記無線部32は、データ処理部31から出力される信号を外部機器に無線送信するための部位であり、Wi−Fi、Bulutooth等の無線通信規格による通信を実現するための電子回路が具えられるものである。
なお無線部32に代えて有線によって信号の送信を行う機器を採用することもできる。
【0024】
次に前記センサモジュール3に接続される表示装置4について説明する。このものは無線部32との間で通信を行うための電子回路と、受信された信号を例えばグラフで表示させるためのプロセッサと、このグラフを表示するための表示部とを具えてなるものである。
なお表示装置4として、例えばカーナビゲーションシステム、スマートホン等にその機能を担わせるようにしてもよい。
【0025】
次に前記シートベルト5について説明すると、このものは例えば運転席に具えられるものの場合、まずシートの右側下部側方に、帯状のシートベルト本体50が巻き取られるリトラクタ51が配される。そしてリトラクタ51から送り出されるシートベルト本体50の進出端は、リトラクタ51の上方に固定された上部ガイド52におけるスリット状のターン案内部52aに通され、更にタングプレート53におけるターン案内部53aに通された後、シートの右側下部側方のフロア付近に固定される。
このような構成が採られることにより、シートベルト本体50にはリトラクタ51によって常時巻き取り張力が作用するため、タングプレート53をシート左側に引くことにより、シートベルト本体50の進出長を調節することが可能となる。
そしてシートに着座したドライバーが、タングプレート53をシート左側に引くとともに、シートの左側下部付近に固定されたバックル55にタングプレート53を結合させることにより、シートベルト5による身体の緩保持が図られるものである。
【0026】
身体情報検出装置Dは、一例として上述したように構成されるものであり、シートに着座したドライバーの胸部付近(厳密には上腹部から肩にかけての範囲)に検出ユニット1が装着され、脈拍数、呼吸数を検出するものである。以下、身体情報検出装置Dの作動態様について説明する。
【0027】
まず検出ユニット1をシートベルト本体50に装着するものであり、展開状態のカバー体2の上面(折り込まれる際の内側面)にプローブホルダ12を位置させる。
次いでこのプローブホルダ12上にシートベルト本体50を密接させ、カバー体2を二つ折りにし、更にフラップ21を折り込むとともに面ファスナ22、23を互いに係合することにより、カバー体2によりシートベルト本体50を包み込むようする(
図2(c))。
このようにしてカバー体2をシートベルト本体50に組み付けることにより、プローブ11が具えられた検出ユニット1のセッティングを容易に行うことができる。
なお上述の様に二つ折り状態とされるカバー体2の内側面に、前記プローブホルダ12を予め固定しておくようにしてもよい。
またこの
検証例では
図1に示すように、シートベルト本体50に組み付けられたカバー体2の表面に対してセンサモジュール3を組付けるようにした。
【0028】
次いでドライバーはシートに着座し、タングプレート53をシート左側に引くとともに、シートの左側下部付近に固定されたバックル55にタングプレート53を結合させることにより、シートベルト5による身体の緩保持を図るものでありり、プローブ11を各別意識することなく、シートベルト5を装着する通常の動作によってプローブ11を胸部に密接させた状態とすることができる。
【0029】
この状態でセンサモジュール3及び表示装置4の電源をオンにし、両者の間での無線通信が可能な状態とする。
そしてドライバーの心拍・呼吸に伴う脈動が、カバー体2、プローブホルダ12を通じてプローブ11に伝達されるものであり、この脈動によってプローブ11たる中空チューブ内の圧力が変動する。
この圧力変動はセンサエレメント30に伝わり、データ処理部31により圧力変化が解析され、脈拍数・呼吸数が導出される。
なおプローブ11内の圧力変動には、車輌走行の振動によるもの、エンジンの振動によるもの、オーディオ機器による空気振動によるもの等も含まれるが、データ処理部31による解析では、これらの成分を除去して正確な脈拍数・呼吸数が導出される。
【0030】
次いでデータ処理部31から出力される信号は、無線部32によって表示装置4に伝送され、一例として
図4に示すようなグラフとして表示される。
なお
図4(a)に示すグラフは、停車中のドライバーの呼吸動・脈拍動を示すものであり、(b)に示すグラフは、時速50Kmで走行中のドライバーの呼吸動・脈拍動を示すものである。
また
図4に示す
検証例では、体動状態(リアルタイム)も表示するようにした。
【0031】
本発明は上述した
検証例を基本
形態とするものであ
り、更に図3(a)に示すように、シートベルト5の上部ガイド52のターン案内部52aに沿ってプローブ11が設けられた形態とす
る。
また検出ユニット1の形態を、
図3(b)に示すように、シートベルト5のタングプレート53のターン案内部53aに沿ってプローブ11が設けられた形態とすることもできるものである。
なおこれらの形態は、ドライバーの身体に検出ユニット1が触れないため圧迫感を生じさせることがなく、例えば妊婦等がドライバーとなる場合に好ましい形態である。
【0032】
なお図
3に示すように、プローブ11はターン案内部52a、53aの長手方向に沿って両面に亘り連続して平面視細U字状に設けられるものであり、このような構成が採られることにより、ドライバーの身体に密接したシートベルト本体50を、プローブ11に密接させることができる。このため、ドライバーの呼吸動・脈拍動をシートベルト本体50を通じてプローブ11に伝達することができる。
なおシートベルト本体50を通じてプローブ11に伝達される呼吸動・脈拍動は微小なものであるが、本発明の身体情報検出装置Dにおけるセンサエレメント30は1パスカル(1/101325気圧)単位での極微小な気圧変動を検出することのできるものであるため、その検出が可能となるものである。
【0033】
また上述した実施例では、本発明の身体情報検出装置Dにおける検出ユニット1を、身体を緩保持するベルトとしての自動車のシートベルト5に装着する形態を採ったが、身体を緩保持するベルトとしては、航空機、船舶、鉄道車両等のシートベルトであってもよい。