【実施例】
【0063】
実施例1:固体プロセスによる、本発明による顔料組成物の調製(PG1からPG16)
【0064】
エタノールの存在下で、酸化物を粉末形態で、表1に示す割合で(求める式(I)の化合物の化学量論と一致させて)機械的粉砕機に入れる。
【0065】
粉砕を、使用する酸化物粉末の粒径に依存し、平均凝集体粒径が約2μmの分散液を得るのに十分長い継続時間にわたって行なう。
【0066】
分散液を、るつぼに注ぎ込み、乾燥させて、エタノールを除去し、次いで約2℃/分の速度で加熱することにより1350℃にする。
【0067】
得られたそれぞれの粉末(PG1からPG16)を、1350℃で6時間保持して、固体プロセスによる酸化物の相互拡散によって式(I)の化合物を生成する。
【0068】
得られたそれぞれの粉末(PG1からPG16)は、約2μmの平均粒径を有する。
【0069】
得られたそれぞれの粉末(PG1からPG16)の組成を、次いでX線回折(XRD)測定を用いて分析し、表1に報告する。
【0070】
得られたそれぞれの粉末(PG1からPG16)中の式(I)の化合物の質量による含有量は、95%以上である。
【0071】
これらの粉末(PG1からPG16)はそれぞれ、表1に示す比色特性の可逆変化を示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
実施例2:本発明による顔料組成物のゾル−ゲルプロセスによる調製(PG17からPG20)
【0075】
表2に示す割合で、硝酸塩、脱イオン水およびクエン酸を一緒に混合することによって水溶液を調製する(硝酸塩については、求める式(I)の化合物の化学量論と一致させる)。
【0076】
25%アンモニア溶液を加えることによって溶液のpHを2に調節する。
【0077】
溶液を120℃まで徐々に加熱して、水を除去し、ゲルを得る。
【0078】
乾燥を30分間行なって、ほぼ全ての水を確実に除去する。
【0079】
ゲルを550℃で1時間焼成し、次いで900℃で6時間再焼成する。
【0080】
得られたそれぞれの粉末(PG17からPG20)は、約2μmの平均粒径を有する。
【0081】
得られたそれぞれの粉末(PG17からPG20)の組成を、X線回折(XRD)測定を用いて分析し、以下の表2に報告する。
【0082】
得られたそれぞれの粉末中の式(I)の化合物の質量による含有量は、95%以上である。
【0083】
これらの粉末(PG17からPG20)はそれぞれ、以下の表2に示す可逆的な比色変化を有する。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例3:結合剤を含まない装飾層組成物の調製(SGD1)
【0086】
以下の成分を粉砕機に加え、次いで粉砕し、撹拌して、装飾層組成物を生成する。
【0087】
【表4】
【0088】
実施例4:装飾層ゾル−ゲル組成物の調製(SGD2)
【0089】
パートAの化合物を粉砕機に加え、次いで粉砕し、撹拌して、ペーストを生成する。
【0090】
パートBの化合物を単に一緒に混合して合わせる。
【0091】
別々の形態では、パートAおよびBを数週間保存することができる。
【0092】
使用する前に、パートAおよびBを合わせる。
【0093】
混合物を少なくとも6時間置いておいて、装飾層ゾル−ゲル組成物を生成する。この形態では、ゾル−ゲル組成物は、数日間保存することができる。
【0094】
【表5】
【0095】
実施例5:表面層ゾル−ゲル組成物の調製(SGS)
【0096】
パートAの化合物をミキサーに加え、撹拌する。
【0097】
パートBおよびCのそれぞれについても同じ手順に従う。
【0098】
別々の形態では、パートA、BおよびCは、数カ月間保存することができる。
【0099】
使用する前に、パートA、BおよびCを合わせる。
【0100】
混合物を少なくとも6時間置いておいて、表面層ゾル−ゲル組成物を生成する。この形態では、ゾル−ゲル組成物は、数日間保存することができる。
【0101】
【表6】
【0102】
実施例6:底層ゾル−ゲル組成物の調製(SGF)
【0103】
パートAの化合物を粉砕機に加え、次いで粉砕し、撹拌して、ペーストを生成する。
【0104】
パートBの化合物を単に一緒に混合して合わせる。別々の形態では、パートAおよびBを数週間保存することができる。
【0105】
使用する前に、パートAおよびBを合わせる。
【0106】
混合物を少なくとも6時間置いておいて、底層ゾル−ゲル組成物を生成する。この形態では、ゾル−ゲル組成物は、数日間保存することができる。
【0107】
【表7】
【0108】
実施例7:結合剤を含まない装飾層組成物の調製(FFD1)
【0109】
以下の化合物を粉砕機に加え、次いで粉砕し、撹拌して、装飾層組成物を生成する。この装飾層はそのまま使用でき、数時間保存することができる。
【0110】
【表8】
【0111】
実施例8:装飾層フッ素化組成物の調製(FFD2)
【0112】
異なる化合物を単に一緒に混合することによって組成物を得る。そのまま、組成物を数日間保存することができる。
【0113】
【表9】
【0114】
実施例9:装飾層フッ素化組成物の調製(FFD3)
【0115】
異なる化合物を単に一緒に混合することによって組成物を得る。そのまま、組成物を数日間保存することができる。
【0116】
【表10】
【0117】
実施例10:底層フッ素化組成物の調製(FFF)
【0118】
異なる化合物を単に一緒に混合することによって組成物を得る。そのまま、組成物を数日間保存することができる。
【0119】
【表11】
【0120】
実施例11:表面層フッ素化組成物の調製(FFS)
【0121】
異なる化合物を単に一緒に混合することによって組成物を得る。そのまま、組成物を数日間保存することができる。
【0122】
【表12】
【0123】
実施例12:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0124】
アルミニウム合金ディスクを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0125】
顔料組成物PG1を用いて調製した装飾層フッ素化組成物(FFD3)を、ディスクの表面の1つにセリグラフィーによって塗布する。
【0126】
乾燥後、コーティングされたディスクを415℃で7分間焼成して、単層フッ素化粘着防止コーティングを含むディスクを得る。
【0127】
次いでディスクを型押しして、その内面がコーティングされたドームを形成する。
【0128】
得られたコーティングは、室温(20℃)で色が緑色である。
【0129】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の緑色から赤色まで、コーティングのゆるやかな色の変化が加熱中に観察される。
【0130】
ドームを室温まで冷まし、赤色から最初の緑色まで、コーティングのゆるやかな色の変化が冷却中に観察される。
【0131】
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、コーティングは、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0132】
実施例13:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
アルミニウム合金ディスクを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0133】
底層フッ素化組成物(FFF)を、セリグラフィーによってディスクの表面の1つに塗布し、次いで乾燥させる。
【0134】
顔料組成物PG15から調製した装飾層フッ素化組成物(FFD1)を、底層でコーティングされたディスクの表面の一部にタンポグラフィーによって塗布する(直径が50mmある円形インプリント)。次いで装飾層を乾燥させる。
【0135】
次いで表面層フッ素化組成物(FFS)を、底層および装飾層でコーティングされたディスクの表面にセリグラフィーによって塗布し、次いで乾燥させる。
【0136】
コーティングされたディスクを415℃で7分間焼成して、多層フッ素化粘着防止コーティングを含むディスクを得る。次いでディスクを型押しして、その内面がコーティングされたドームを形成する。
【0137】
得られたコーティングは、黒色背板(background)(底層に相当する)上に室温(20℃)で色が緑色である装飾を示す。
【0138】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の緑色から茶緑色まで、装飾層のゆるやかな色の変化が加熱中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0139】
ドームを室温まで冷まし、茶緑色から最初の緑色まで、装飾のゆるやかな色の変化が冷却中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0140】
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、装飾は、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0141】
実施例14:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0142】
アルミニウム合金ディスクを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0143】
底層フッ素化組成物(FFF)を、セリグラフィーによってディスクの表面の1つに塗布し、次いで乾燥させる。
【0144】
顔料組成物PG16から調製した装飾層フッ素化組成物(FFD1)を、底層でコーティングされたディスクの表面の一部にタンポグラフィーによって塗布する(直径が50mmある円形インプリント)。次いで装飾層を乾燥させる。
【0145】
次いで表面層フッ素化組成物(FFS)を、底層および装飾層でコーティングされたディスクの表面にセリグラフィーによって塗布し、次いで乾燥させる。
【0146】
コーティングされたディスクを415℃で7分間焼成して、多層フッ素化粘着防止コーティングを含むディスクを得る。次いでディスクを型押しして、その内面がコーティングされたドームを形成する。
【0147】
得られたコーティングは、黒色背板(底層に相当する)上に室温(20℃)で薄緑色の装飾を示す。
【0148】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の薄緑色から暗緑色まで、装飾のゆるやかな色の変化が加熱中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0149】
ドームを室温まで冷まし、暗緑色から最初の薄緑色まで、装飾のゆるやかな色の変化が冷却中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0150】
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、装飾は、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0151】
実施例15:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0152】
アルミニウム合金ディスクを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0153】
底層フッ素化組成物(FFF)を、セリグラフィーによってディスクの表面の1つに塗布し、次いで乾燥させる。
【0154】
顔料組成物PG18から調製した装飾層フッ素化組成物(FFD2)を、底層でコーティングされたディスクの表面にセリグラフィーによって塗布して、一辺が4mmある正方形のチェッカーボードパターンを生成する。次いで装飾層を乾燥させる。
【0155】
次いで表面層フッ素化組成物(FFS)を、底層および装飾層でコーティングされたディスクの表面にセリグラフィーによって塗布し、次いで乾燥させる。
【0156】
コーティングされたディスクを415℃で7分間焼成して、多層フッ素化粘着防止コーティングを含むディスクを得る。
【0157】
次いでディスクを型押しして、その内面がコーティングされたドームを形成する。
【0158】
得られたコーティングは、黒色背板(底層に相当する)上に室温(20℃)で色が緑色である装飾を示す。
【0159】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の緑色から赤色まで、装飾のゆるやかな色の変化が加熱中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0160】
ドームを室温まで冷まし、赤色から最初の緑色まで、装飾のゆるやかな色の変化が冷却中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、装飾は、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0161】
実施例16:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0162】
ステンレス鋼ドームを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0163】
顔料組成物PG1を用いて調製した装飾層ゾル−ゲル組成物(SGD2)をドームの内面にスプレーによって塗布する。
【0164】
次いで装飾層を乾燥させ、280℃で15分間焼成する。
【0165】
得られたコーティングは、室温(20℃)で色が緑色である。コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の緑色から赤色まで、コーティングのゆるやかな色の変化が加熱中に観察される。
【0166】
ドームを室温まで冷まし、赤色から最初の緑色まで、コーティングのゆるやかな色の変化が冷却中に観察される。
【0167】
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、コーティングは、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0168】
実施例17:本発明による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0169】
アルミニウムドームを脱脂、ブラシをかけて、ドームの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0170】
底層ゾル−ゲル組成物(SGF)をドームの内面にスプレーによって塗布し、次いで乾燥させる。
【0171】
顔料組成物PG19を用いて調製した装飾層ゾル−ゲル組成物(SGD1)を、底層でコーティングされたディスクの表面の一部にタンポグラフィーによって塗布する(直径が50mmある円形インプリント)。
【0172】
次いで表面層ゾル−ゲル組成物(SGS)を、底層および装飾層でコーティングされたディスクの表面にスプレーによって塗布し、次いで乾燥させ、最後に280℃で20分間焼成する。
【0173】
得られたコーティングは、灰色背板(底層に相当する)上に室温(20℃)で緑色の装飾を有する。
【0174】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の緑色から赤色まで、装飾のゆるやかな色の変化が加熱中に観察されるが、灰色背板の比色特性は変化しない。
【0175】
ドームを室温まで冷まし、赤色から最初の緑色まで、装飾のゆるやかな色の変化が冷却中に観察されるが、灰色背板の比色特性は変化しない。
【0176】
上述のように、一連の10回の加熱および冷却サイクルを行ない、装飾は、毎回同じ比色特性の変化を示す。
【0177】
実施例18:先行技術による装飾層を組み込んだ物品の調製
【0178】
アルミニウム合金ディスクを脱脂し、ブラシをかけて、ディスクの表面から任意の油脂状の表面物質および酸化物を除去する。
【0179】
底層フッ素化組成物(FFF)を、セリグラフィーによってディスクの表面の1つに塗布し、次いで乾燥させる。
【0180】
以下に記載されている化合物を粉砕機に加え、次いでそれらを粉砕し、撹拌することによって装飾層組成物を調製する。
【0181】
【表13】
【0182】
装飾層組成物を、底層でコーティングされたディスクの表面の一部にタンポグラフィーによって塗布する(直径が50mmある円形インプリント)。次いで装飾層を乾燥させる。
【0183】
次いで表面層フッ素化組成物(FFS)を、底層および装飾層でコーティングされたディスクの表面にセリグラフィーによって塗布し、次いで乾燥させる。
【0184】
コーティングされたディスクを415℃で7分間焼成して、多層フッ素化粘着防止コーティングを含むディスクを得る。
【0185】
次いでディスクを型押しして、その内面がコーティングされたドームを形成する。
【0186】
得られたコーティングは、黒色背板(底層に相当する)上に室温(20℃)で色が茶赤色である装飾を示す。
【0187】
コーティングされたドームを220℃まで加熱し、最初の茶赤色からやや暗い茶赤色まで、装飾のゆるやかな色の変化が加熱中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0188】
ドームを室温まで冷まし、やや暗い茶赤色から最初の茶赤色まで、装飾のゆるやかな色の変化が冷却中に観察されるが、黒色背板の比色特性は変化しない。
【0189】
基準色がなければ、高温に達していることを見ることができない。したがって、フライパンが熱いかまたは冷たいかどうかを一目で識別することは不可能であり、したがって安全性の問題が生じる。