【文献】
伊藤 康佑,日本のポピュラー音楽におけるジャンル推定モデルの構築,情報処理学会 研究報告 音楽情報科学(MUS) 2015−MUS−107,日本,情報処理学会,2015年 5月16日,No.51,pp.1-6,ISSN:2188-8752
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部は、前記参照情報と前記グループ特性情報のそれぞれとの類似度を算出し、前記類似度に基づいて前記参照情報に類似すると評価されたグループ特性情報を除外することにより、前記複数のグループのグループ特性情報のうちから、前記少なくとも1つのグループ特性情報を選択する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
前記生成部は、前記第2の地域における複数の楽曲のそれぞれの楽曲特性情報に基づいて、前記第2の地域における複数の楽曲を、複数のグループに分類してグループ毎の特性を示す参照用グループ特性情報を生成し、
前記選択部は、前記参照用グループ特性情報のそれぞれと、前記グループ特性情報のそれぞれとを比較し、前記参照用グループ特性情報のいずれとも類似していないと評価されたグループ特性情報を、前記少なくとも1つのグループ特性情報に選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
前記生成部は、前記楽曲特性情報に基づいて、前記楽曲情報をクラスタ分析し、前記第1の地域を示す地域情報を有する複数の楽曲情報を前記複数のグループに分類する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
前記第1の地域に特有のグループ特性情報及び前記指定地域情報に基づいて、前記音響装置に設定される設定更新情報を導出する導出部を更に備える、ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、
図2〜
図11を参照して説明する。
【0018】
<構成>
図2には、一実施形態に係る情報処理装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。また、
図2には、音響装置200の概略的な構成がブロック図にて示されている。第1実施形態では、情報処理装置100Aは、例えば、建屋内の固定的な位置に配置されている。また、音響装置200は、例えば、車両内に配置されている。そして、情報処理装置100Aと音響装置200とは、ネットワークを介して、通信可能となっている。また、情報処理装置100Aと楽曲コンテンツサーバ300とは、ネットワークを介して、通信可能となっている。
【0019】
なお、情報処理装置100Aは、音響装置200と同様に構成された他の音響装置とも通信可能となっているが、
図2においては、音響装置200のみが代表的に示されている。
【0020】
《情報処理装置100Aの構成》
上記の情報処理装置100Aの構成について、説明する。
【0021】
情報処理装置100Aは、
図2に示されるように、送受信部110と、記憶部120とを備えている。また、情報処理装置100Aは、処理制御部130Aを備えている。
【0022】
上記の送受信部110は、ネットワークを介して、楽曲コンテンツサーバ300から解析用の楽曲コンテンツMUI#p(p=1,…)、及び、当該楽曲コンテンツMUI#pに対応付けられた楽曲属性情報PPM#pを定期的に受信する。そして、送受信部110は、当該楽曲コンテンツMUI#p及び楽曲属性情報PPM#pを、処理制御部130Aへ送る。第1実施形態では、「楽曲属性情報PPM#p」には、楽曲コンテンツMUI#pに対応する地域に関する情報、及び、楽曲コンテンツMUI#pの作製年情報が含まれている。
【0023】
また、送受信部110は、音響装置200から、ネットワークを介して、指定属性情報PPDを受信する。そして、送受信部110は、当該指定属性情報PPDを処理制御部130Aへ送る。第1実施形態では、「指定属性情報PPD」には、音響装置200において再生される楽曲に対応する地域(指定地域)に関する情報(指定地域情報)、及び、当該楽曲の作製年情報が含まれている。
【0024】
また、送受信部110は、処理制御部130Aから送られた設定更新情報SEIを受ける。そして、送受信部110は、当該設定更新情報SEIを、ネットワークを介して、音響装置200へ送信する。すなわち、送受信部110は、第2取得部の機能を果たすようになっている。
【0025】
上記の記憶部120は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成されている。記憶部120には、情報処理装置100Aで利用される様々な情報データが記憶されている。こうした情報データには、解析情報ANI及び調整情報TUIが含まれている。この記憶部120には、処理制御部130Aがアクセス可能となっている。
【0026】
解析情報ANIには、
図3に示されるように、楽曲コンテンツMUI#pに対応する楽曲の解析結果である楽曲解析情報(楽曲情報)MAI#p(p=1,…)が含まれている。当該楽曲解析情報MAI#pには、楽曲属性情報PPM#pとともに、オクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pが含まれている。ここで、オクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pは、楽曲特性情報に対応している。この解析情報ANIは、処理制御部130Aが生成し、記憶部120内に格納する。
【0027】
ここで、オクターブバンド情報OCB#pは、楽曲コンテンツMUI#pに対応する楽曲について1/3オクターブバンド解析を行った結果であり、周波数特性に関する情報となっている。第1実施形態では、オクターブバンド情報OCB#pは、
図1(A),(B)に示したオクターブバンド情報と同様に、1000[Hz]におけるレベルを基準とする9個の周波数帯での相対レベル[dB]で表現される情報となっている。
【0028】
また、L/R位相差情報PHD#pは、楽曲コンテンツMUI#pに対応する楽曲について、左音声信号及び右音声信号の位相差解析を行った結果であり、左音声信号と右音声信号との位相差に関する情報になっている。第1実施形態では、L/R位相差情報PHD#pは、9個の周波数帯ごとに解析した左音声信号と右音声信号との位相差となっている。
【0029】
調整情報TUIには、
図4に示されるように、地域AR
j(j=1,…)と当該地域AR
jに対応付けられた楽曲の作製年YR
k(k=1,…)との組み合せのオクターブバンド情報OCB
j,k及びL/R位相差情報PHD
j,kが含まれている。この調整情報TUIは、処理制御部130Aが生成し、記憶部120内に格納する。
【0030】
(処理制御部130Aの構成)
図2に戻り、上記の処理制御部130Aは、様々な処理を行うとともに、情報処理装置100Aの全体の動作を制御する。処理制御部130Aの構成について、説明する。
【0031】
処理制御部130Aは、
図5に示されるように、解析部131と、楽曲情報取得部132を備えている。また、処理制御部130Aは、生成部133Aと、選択部134Aと、導出部135とを備えている。
【0032】
上記の解析部131は、送受信部110から送られた楽曲コンテンツMUI#p(p=1,…)及び楽曲属性情報PPM#pを定期的に受ける。当該楽曲コンテンツMUI#p及び楽曲属性情報PPM#pを受けると、解析部131は、楽曲コンテンツMUI#pに対応する楽曲の解析処理を行い、上述したオクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pを生成する。そして、解析部131は、当該生成されたオクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pを、楽曲属性情報PPM#pとともに、楽曲解析情報MAI#pとして、記憶部120内の解析情報ANIの記憶領域に格納する。こうして楽曲解析情報MAI#pを解析情報ANIの記憶領域に格納すると、解析部131は、格納報告を楽曲情報取得部132へ送る。
【0033】
上記の楽曲情報取得部132は、定期的に解析部131から送られた格納報告を受けると、記憶部120の解析情報ANIにアクセスして、楽曲解析情報MAI#pのオクターブバンド情報OCB#p及び楽曲属性情報PPM#pを読み取る。引き続き、楽曲情報取得部132は、オクターブバンド情報OCB#p(p=1,…)の中から、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)を抽出する。こうして抽出された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#qは、生成部133Aへ送られる。なお、第1実施形態では、オクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)には、ヨーロッパにおいて作製された楽曲のオクターブバンド情報は、含まれていないものとする。
【0034】
また、楽曲情報取得部132は、オクターブバンド情報OCB#p(p=1,…)の中から、地域AR
E(ヨーロッパ:第2の地域)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)を抽出する。そして、楽曲情報取得部132は、地域AR
E(ヨーロッパ)で作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#rを、生成部133Aへ送る。
【0035】
また、楽曲情報取得部132は、解析情報ANIから、楽曲解析情報MAI#pのL/R位相差情報PHD#pを読み取る。そして、楽曲情報取得部132は、L/R位相差情報PHD#p(p=1,…)の中から、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を抽出する。こうして抽出された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#qは、生成部133Aへ送られる。なお、第1実施形態では、L/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)には、ヨーロッパにおいて作製された楽曲のL/R位相差情報は、含まれていないものとする。
【0036】
また、楽曲情報取得部132は、L/R位相差情報PHD#p(p=1,…)の中から、地域AR
E(ヨーロッパ)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を抽出する。そして、楽曲情報取得部132は、地域AR
E(ヨーロッパ)で作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#rを、生成部133Aへ送る。すなわち、楽曲情報取得部132は、第1取得部の機能を果たすようになっている。
【0037】
上記の生成部133Aは、楽曲情報取得部132から送られた複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)を受ける。そして、生成部133Aは、オクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、オクターブバンド情報OCB
j,k#qを複数のグループに分類し、グループごとのグループオクターブバンド情報(グループ特性情報)GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。こうして生成されたグループオクターブバンド情報GOCB
j,k#clは、選択部134Aへ送られる。
【0038】
第1実施形態では、生成部133Aは、非階層型クラスタリングのアルゴリズムの一つであるk−平均法を用いて、クラスタ分析を行うようになっている。そして、オクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析するに際して、生成部133Aは、オクターブバンド情報における9個の周波数帯ごとの相対レベルをパラメータに採用している。
【0039】
また、生成部133Aは、楽曲情報取得部132から送られた地域AR
Eで作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)を受ける。そして、生成部133Aは、当該オクターブバンド情報OCB
E,k#rを平均して、参照オクターブバンド情報ROCB
E,k(参照情報)を生成する。こうして生成された参照オクターブバンド情報ROCB
E,kは、選択部134Aへ送られる。
【0040】
また、生成部133Aは、楽曲情報取得部132から送られた複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を受ける。そして、生成部133Aは、L/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、L/R位相差情報PHD
j,k#qを複数のグループに分類し、グループごとのグループL/R位相差情報(グループ特性情報)GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。こうして生成されたグループL/R位相差情報GPHD
j,k#clは、選択部134Aへ送られる。
【0041】
第1実施形態では、生成部133Aは、k−平均法を用いてL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析するようになっている。そして、クラスタ分析を行うに際して、生成部133Aは、9個の周波数帯ごとのL/R位相差情報をパラメータに採用している。
【0042】
また、生成部133Aは、楽曲情報取得部132から送られた地域AR
Eで作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を受ける。そして、生成部133Aは、当該L/R位相差情報PHD
E,k#rを平均して、参照L/R位相差情報RPHD
E,k(参照情報)を生成する。こうして生成された参照L/R位相差情報RPHD
E,kは、選択部134Aへ送られる。
【0043】
上記の選択部134Aは、生成部133Aから送られた参照オクターブバンド情報ROCB
E,kを受ける。また、選択部134Aは、生成部133Aから送られた複数のグループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)を受ける。そして、選択部134Aは、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kと、複数のグループオクターブバンド情報GOCB
j,k#clのそれぞれとの類似度を算出する。
【0044】
かかる類似度を算出するに際して、選択部134Aは、9個の周波数帯ごとに、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kにおけるレベルと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…)におけるレベルとの差の絶対値を算出する。次いで、選択部134Aは、9個の絶対値の総和を算出する。そして、選択部134Aは、当該算出された絶対値の和が小さいほど、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kとグループオクターブバンド情報との類似度が高いと評価し、当該算出された絶対値の和が大きいほど、参照オクターブバンド情報とグループオクターブバンド情報との類似度が低いと評価する。
【0045】
次いで、選択部134Aは、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kとの類似度が最も小さい(算出された絶対値の和が最大となる)グループオクターブバンド情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループオクターブバンド情報に含まれるオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。
【0046】
また、選択部134Aは、生成部133Aから送られた参照L/R位相差情報RPHD
E,kを受ける。また、選択部134Aは、生成部133Aから送られた複数のグループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)を受ける。そして、選択部134Aは、参照L/R位相差情報RPHD
E,kと、複数のグループL/R位相差情報GPHD
j,k#clのそれぞれとの類似度を算出する。
【0047】
かかる類似度を算出するに際して、選択部134Aは、9個の周波数帯ごとに、参照L/R位相差情報RPHD
E,kにおける位相差と、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…)における位相差との差の絶対値を算出する。次いで、選択部134Aは、9個の絶対値についての総和を算出する。そして、選択部134Aは、当該算出された絶対値の和が小さいほど、参照L/R位相差情報RPHD
E,kとグループL/R位相差情報との類似度が高いと評価し、当該算出された絶対値の和が大きいほど、参照L/R位相差情報RPHD
E,kとグループL/R位相差情報との類似度が低いと評価する。
【0048】
次いで、選択部134Aは、参照L/R位相差情報RPHD
E,kとの類似度が最も小さい(算出された絶対値の和が最大となる)グループL/R位相差情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループL/R位相差情報に含まれるL/R位相差情報を平均して、L/R位相差情報PHD
E,kを生成する。
【0049】
引き続き、選択部134Aは、当該生成されたオクターブバンド情報OCB
j,k及びL/R位相差情報PHD
j,kを含んだ調整情報TUIを生成する。そして、選択部134Aは、調整情報TUIを記憶部120内に格納する。
【0050】
上記の導出部135は、送受信部110から送られた指定属性情報PPDを受ける。当該指定属性情報PPDを受けると、導出部135は、記憶部120にアクセスして、調整情報TUIから、指定属性情報PPDに対応するオクターブバンド情報(以下、「設定用オクターブバンド情報OCB」とも記す)及びL/R位相差情報(以下、「設定用L/R位相差情報PHD」とも記す)を読み取る。
【0051】
これらの情報を読み取ると、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性を音質調整設定値に特定する。
【0052】
また、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性の所定低音域のレベルが所定レベル値以上のときには、サブウーハスピーカの使用を「ON」にするスピーカ設定を生成する。一方、導出部135は、当該所定低音域のレベルが所定レベル値より小さいときには、サブウーハスピーカの使用を「OFF」にするスピーカ設定を生成する。ここで、所定低音域の範囲及び所定レベル値は、低音域の音を適切に楽しむとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0053】
また、導出部135は、設定用L/R位相差情報PHDから、左音声信号と右音声信号との位相差が所定位相差より小さいときには、リバーブ処理を行う旨の信号加工設定を生成する。一方、導出部135は、当該位相差が所定位相差以上のときには、リバーブ処理を行わない旨の信号加工設定を生成する。ここで、所定位相差は、そのままの左音声と右音声とではモノラル感が強いときには、拡がり感を与えるとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0054】
そして、導出部135は、音質調整設定値に関する音質調整設定更新情報、スピーカ設定に関するスピーカ設定更新情報、及び、信号加工設定に関する信号加工設定更新情報を、設定更新情報SEIとして送受信部110へ送る。
【0055】
《音響装置200の構成》
上記の音響装置200の構成について、説明する。
【0056】
音響装置200は、
図2に示されるように、楽曲情報供給部220と、調整設定部230と、音出力部250とを備えている。また、音響装置200は、入力部260と、属性情報取得部270と、送受信部280とを備えている。
【0057】
上記の楽曲情報供給部220は、再生用の楽曲コンテンツデータに基づいて、楽曲信号MUDを生成する。そして、楽曲情報供給部220は、生成された楽曲信号MUDを、調整設定部230へ送る。ここで、楽曲情報供給部220は、属性情報取得部270又は調整設定部230から送られた供給指示を受けたときに、楽曲信号MUDを調整設定部230へ送るようになっている。
【0058】
また、楽曲情報供給部220は、楽曲コンテンツデータから、当該楽曲コンテンツデータの楽曲に対応する地域及び楽曲の作製年を読み取る。こうして読み取られた楽曲に対応する地域に関する情報及び楽曲の作製年情報は、再生楽曲属性情報として属性情報取得部270へ送られる。
【0059】
上記の調整設定部230は、情報処理装置100Aから送信された設定更新情報SEIを、送受信部280を介して受信し、当該設定更新情報SEIに基づいて音響処理に関する設定更新を行う。そして、調整設定部230は、楽曲情報供給部220から送られた楽曲信号MUDを受けると、楽曲信号MUDに対して音響処理を施して、音出力部250へ送る再生音声信号を生成する。調整設定部230の構成の詳細については、後述する。
【0060】
上記の音出力部250は、第1実施形態では、高音用スピーカであるツイータスピーカSP
TW、中音用スピーカであるミッドレンジスピーカSP
MR、超低音用スピーカであるサブウーハスピーカSP
SWを備えて構成されている。音出力部250は、調整設定部230から送られた再生音声信号を受ける。そして、音出力部250は、再生音声信号に従った楽曲音をスピーカSP
TW,SP
MR,SP
SWから出力する。
【0061】
上記の入力部260は、音響装置200に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成されている。この入力部260をユーザが操作することにより、音響装置200の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、楽曲コンテンツの再生指定等を、ユーザが入力部260を利用して行う。
【0062】
上記の属性情報取得部270は、楽曲情報供給部220から送られた再生楽曲属性情報を受ける。属性情報取得部270は、保持用属性情報を内部に保持していないときには、取得した再生楽曲属性情報を保持用属性情報として保持する。そして、属性情報取得部270は、再生楽曲属性情報を指定属性情報PPDとして送受信部280へ送る。
【0063】
また、属性情報取得部270は、保持用属性情報を内部に保持しているときには、再生楽曲属性情報を受けるごとに、保持用属性情報と今回取得した再生楽曲属性情報とが同一であるか否かの同一性判定を行う。当該同一性判定の結果が肯定的であった場合には、属性情報取得部270は、供給指示を楽曲情報供給部220へ送る。
【0064】
一方、当該同一性判定の結果が否定的であった場合には、属性情報取得部270は、供給待機指示を楽曲情報供給部220へ送るとともに、再生楽曲属性情報を指定属性情報PPDとして送受信部280へ送る。そして、属性情報取得部270は、今回取得した再生楽曲属性情報を保持用属性情報として内部に保持する。
【0065】
上記の送受信部280は、属性情報取得部270から送られた指定属性情報PPDを受ける。そして、送受信部280は、当該指定属性情報PPDを、ネットワークを介して、情報処理装置100Aへ送信する。
【0066】
また、送受信部280は、情報処理装置100Aから、ネットワークを介して、設定更新情報SEIを受信する。そして、送受信部280は、当該設定更新情報SEIを調整設定部230へ送る。
【0067】
(調整設定部230の構成)
調整設定部230の構成について、説明する。
【0068】
調整設定部230は、
図6に示されるように、音質調整部231と、残響音信号生成部232と、加算部233とを備えている。また、調整設定部230は、スピーカ設定部234と、制御部239とを備えている。
【0069】
上記の音質調整部231は、制御部239から送られた音質調整設定更新情報を受ける。そして、音質調整部231は、当該音質調整設定更新情報により示される値を、音質調整設定値EQに設定する。こうして音質調整設定値EQが設定されると、音質調整部231は、楽曲情報供給部220から送られた楽曲信号MUDに音質調整処理を施して、音質調整信号AFDを生成する。こうして生成された音質調整信号AFDは、残響音信号生成部232及び加算部233へ送られる。
【0070】
上記の残響音信号生成部232は、音質調整部231から送られた音質調整信号AFDを受ける。そして、残響音信号生成部232は、音質調整信号AFDに対して、例えば、コムフィルタ及びオールパスフィルタを使用した残響音信号の生成処理等の所定の処理を施して、残響音信号RVDを生成する。こうして生成された残響音信号RVDは、加算部233へ送られる。
【0071】
上記の加算部233は、音質調整部231から送られた音質調整信号AFDを受けるとともに、残響音信号生成部232から送られた残響音信号RVDを受ける。また、加算部233は、制御部239から送られた信号加工設定更新情報を受ける。そして、加算部233は、信号加工設定更新情報の内容がリバーブ処理を行うものであるときには、音質調整信号AFD及び残響音信号RVDを加算した加工信号PRDを生成して、スピーカ設定部234へ送る。一方、加算部233は、信号加工設定更新情報の内容がリバーブ処理を行わないものであるときには、音質調整信号AFDを加工信号PRDとして、スピーカ設定部234へ送る。
【0072】
上記のスピーカ設定部234は、加算部233から送られた加工信号PRDを受ける。また、スピーカ設定部234は、制御部239から送られたスピーカ設定更新情報を受ける。そして、スピーカ設定部234は、スピーカ設定更新情報の内容がサブウーハスピーカの使用を「ON」にするものであるときには、すべてのスピーカから楽曲音を出力すべき再生音声信号を、音出力部250へ送る。一方、スピーカ設定部234は、スピーカ設定更新情報の内容がサブウーハスピーカの使用を「OFF」にするものであるときには、サブウーハスピーカSP
SW以外のスピーカから楽曲音を出力すべき再生音声信号を、音出力部250へ送る。
【0073】
上記の制御部239は、楽曲コンテンツデータに基づく楽曲音の再生を制御する。この制御部239は、送受信部280から送られた設定更新情報SEIを受ける。そして、当該設定更新情報SEIを受けると、制御部239は、設定更新情報SEIに含まれる音質調整設定更新情報を音質調整部231へ送る。また、制御部239は、設定更新情報SEIに含まれる信号加工設定更新情報を加算部233へ送るとともに、設定更新情報SEIに含まれるスピーカ設定更新情報をスピーカ設定部234へ送る。
【0074】
こうして情報処理装置100Aから送信された設定更新情報SEIの設定更新が完了すると、制御部239は、供給指示を楽曲情報供給部220へ送る。
【0075】
<動作>
以上のようにして構成された情報処理装置100A及び音響装置200が協働して実行する動作について、情報処理装置100Aによる調整情報TUIの生成処理、音響装置200による楽曲再生処理及び情報処理装置100Aによる音響調整管理処理(設定更新情報の導出処理)に主に着目して説明する。
【0076】
《情報処理装置100Aによる調整情報TUIの生成処理》
まず、情報処理装置100Aによる調整情報TUIの生成処理について、説明する。第1実施形態では、調整情報TUIの生成処理は、新たな楽曲解析情報MAI#pが記憶部120内の解析情報ANIの記憶領域に格納されたときに、定期的に行われるようになっている。
【0077】
情報処理装置100Aによる調整情報TUIの生成処理については、
図7に示されるように、まず、ステップS11において、楽曲情報取得部132が、記憶部120の解析情報ANIにアクセスして、楽曲解析情報MAI#pに含まれる楽曲属性情報PPM#p、オクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pを読み取る。こうして楽曲解析情報MAI#pを取得すると、楽曲情報取得部132は、楽曲解析情報MAI#p(p=1,…)から、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)及びL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を抽出して、生成部133Aへ送る。また、楽曲情報取得部132は、楽曲解析情報MAI#p(p=1,…)から、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)及びL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を抽出して、生成部133Aへ送る。この後、処理はステップS12へ進む。
【0078】
ステップS12では、生成部133Aが、オクターブバンド情報OCB
E,k#rを平均して、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kを生成する。また、生成部133Aは、L/R位相差情報PHD
E,k#rを平均して、参照L/R位相差情報RPHD
E,kを生成する。そして、生成部133Aは、生成された参照オクターブバンド情報ROCB
E,k及び参照L/R位相差情報RPHD
E,kを、選択部134Aへ送る。
【0079】
引き続き、ステップS13において、生成部133Aが、オクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。また、生成部133Aは、L/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。そして、生成部133Aは、生成されたグループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl及びグループL/R位相差情報GPHD
j,k#clを、選択部134Aへ送る。この後、処理はステップS14へ進む。
【0080】
ステップS14では、選択部134Aが、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。また、選択部134Aは、参照L/R位相差情報RPHD
E,kと、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。
【0081】
引き続き、ステップS15において、選択部134Aが、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kとの類似度が最も小さいグループオクターブバンド情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループオクターブバンド情報に含まれるオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。また、選択部134Aは、参照L/R位相差情報RPHD
E,kとの類似度が最も小さいグループL/R位相差情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループL/R位相差情報に含まれるL/R位相差情報を平均して、L/R位相差情報PHD
j,kを生成する。
【0082】
引き続き、ステップS16において、選択部134Aは、当該生成されたオクターブバンド情報OCB
j,k及びL/R位相差情報PHD
j,kを含んだ調整情報TUIを生成し、調整情報TUIを記憶部120内に格納する。こうして調整情報TUIが記憶部120内に格納されると、調整情報TUIの生成処理が終了する。
【0083】
ここで、第1実施形態におけるクラスタ分析を用いたオクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理の例について、
図8、
図9を参照して説明する。
【0084】
図8には、地域AR
E(ヨーロッパ:第2の地域)で作製年YR
Yに作製された複数の楽曲から求めた参照オクターブバンド情報ROCB
E,Yの例が示されている。また、
図9(A)には、作製年YR
Yに地域AR
L(第1の地域)で作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
L,Y#q(q=1,…)を平均したオクターブバンド情報の例が示されている。この
図9(A)に示されるオクターブバンド情報OCB
L,Y#q(q=1,…)をk(=2)−平均法を用いてクラスタ分析し、当該分析により得られたグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#cl(cl=1,2)を平均化した例が、それぞれ、
図9(B),(C)に示されている。
【0085】
この場合には、
図8に示される参照オクターブバンド情報ROCB
E,Yと、
図9(B)、(C)のそれぞれに示されるグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#1,#2とを比較すると、グループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#2の方が、参照オクターブバンド情報ROCB
E,Yに類似していないと評価することができる。したがって、この例では、グループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#2に含まれるオクターブバンド情報を平均したものが、調整情報TUIに登録されるグループオクターブバンド情報OCB
L,Yとなる。
【0086】
《音響装置200による楽曲再生処理》
次に、音響装置200による楽曲再生処理について、説明する。前提として、情報処理装置100Aが、調整情報TUIを生成し、記憶部120内に格納しているものとする。
【0087】
音響装置200による楽曲再生処理については、
図10に示されるように、まず、ステップS21において、属性情報取得部270が、新たな楽曲の再生に際して、楽曲情報供給部220から送られた再生楽曲属性情報を受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0088】
ステップS21の繰り返し中に、属性情報取得部270が新たな再生楽曲属性情報を取得し、ステップS21における判定の結果が肯定的になると(ステップS21:Y)、処理はステップS22へ進む。ステップS22では、属性情報取得部270が、新たに受けた再生楽曲属性情報と、内部に保持している保持用属性情報とが同一であるか否かを判定する。なお、属性情報取得部270は、保持用属性情報を内部に保持していないときには、ステップS22において、否定的な判定を行うようになっている。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS22:Y)には、属性情報取得部270は、供給指示を楽曲情報供給部220へ送る。そして、処理は、後述するステップS26へ進む。
【0089】
ステップS22における判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS23へ進む。ステップS23では、楽曲情報供給部220が、再生楽曲属性情報を指定属性情報PPDとして送受信部280へ送る。また、楽曲情報供給部220は、今回取得した再生楽曲属性情報を保持用属性情報として内部に保持する。そして、送受信部280が、当該指定属性情報PPDを、ネットワークを介して、情報処理装置100Aへ送信する。
【0090】
引き続き、ステップS24において、制御部239が、設定更新情報SEIを受信したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS24:N)には、ステップS24の処理が繰り返される。
【0091】
なお、ステップS23において音響装置200から送信された指定属性情報PPDを、情報処理装置100Aが受信すると、情報処理装置100Aにおいて、後述する「設定更新情報の導出処理」が実行される。そして、設定更新情報SEIが導出されると、情報処理装置100Aは、設定更新情報SEI、ネットワークを介して、音響装置200へ送信する。
【0092】
設定更新情報SEIを受信し、ステップS24における判定の結果が肯定的になると(ステップS24:Y)、処理はステップS25へ進む。ステップS25では、制御部239が、当該設定更新情報SEIに含まれる音質調整設定更新情報を音質調整部231へ送る。また、制御部239は、設定更新情報SEIに含まれる信号加工設定更新情報を加算部233へ送るとともに、設定更新情報SEIに含まれるスピーカ設定更新情報をスピーカ設定部234へ送る。次いで、制御部239は、供給指示を楽曲情報供給部220へ送る。
【0093】
引き続き、ステップS26において、楽曲情報供給部220が、調整設定部230の音質調整部231への楽曲信号MUDの供給を開始する。この後、処理はステップS21へ戻る。
【0094】
こうして楽曲信号MUDが音質調整部231に供給されると、音質調整部231が、更新された音質調整設定値EQに基づき、楽曲信号MUDに音質調整処理を施して音質調整信号AFDを生成する。そして、音質調整部231は、生成された音質調整信号AFDを、残響音信号生成部232及び加算部233へ送る。音質調整信号AFDを受けた残響音信号生成部232は、音質調整信号AFDの残響音信号RVDを生成し、加算部233へ送る。
【0095】
次いで、加算部233が、信号加工設定更新情報に従って、音質調整信号AFDに残響音信号RVDを加算した信号、又は、音質調整信号AFDそのものを、加工信号PRDとしてスピーカ設定部234へ送る。引き続き、スピーカ設定部234が、スピーカ設定更新情報に従って再生音声信号を生成し、音出力部250へ送る。この結果、音出力部250の選択されたスピーカから、楽曲に対応する地域及び作製年の調整設定に適合した楽曲音が出力される。
【0096】
以後、新たな楽曲の再生が行われるごとに、上述したステップS21〜S26の処理が実行される。
【0097】
《情報処理装置100Aによる設定更新情報の導出処理》
次いで、情報処理装置100Aによる設定更新情報の導出処理について、説明する。
【0098】
情報処理装置100Aによる設定更新情報の導出処理については、
図11に示されるように、まず、ステップS31におけて、導出部135が、音響装置200から送信される指定属性情報PPDを受信したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
【0099】
ステップS31の繰り返し中に、導出部135が新たな指定属性情報PPDを受信し、ステップS31における判定の結果が肯定的になると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。ステップS32では、導出部135が、記憶部120にアクセスして、調整情報TUIから、指定属性情報PPDに対応する設定用オクターブバンド情報OCB及び設定用L/R位相差情報PHDを読み取る。この後、処理はステップS33へ進む。
【0100】
ステップS33では、導出部135が、音質調整設定の更新情報を生成する。かかる音質調整設定の更新情報の生成に際して、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性を音質調整設定値に特定する。
【0101】
引き続き、ステップS34において、導出部135が、スピーカ設定の更新情報を生成する。かかるスピーカ設定の更新情報の生成に際して、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性の所定低音域のレベルが所定レベル値以上のときには、サブウーハスピーカの使用を「ON」にするスピーカ設定を生成する。一方、導出部135は、当該所定低音域のレベルが所定レベル値より小さいときには、サブウーハスピーカの使用を「OFF」にするスピーカ設定を生成する。
【0102】
次いで、ステップS35において、導出部135が、信号加工設定の更新情報を生成する。かかる信号加工設定の更新情報の生成に際して、導出部135は、設定用L/R位相差情報PHDから、左音声信号と右音声信号との位相差が所定位相差より小さいときには、リバーブ処理を行う旨の信号加工設定を生成する。一方、導出部135は、当該位相差が所定位相差以上のときには、リバーブ処理を行わない旨の信号加工設定を生成する。この後、処理はステップS36へ進む。
【0103】
引き続き、ステップS36において、導出部135が、音質調整設定値の更新情報、スピーカ設定の更新情報及び信号加工設定の更新情報を、設定更新情報SEIとして送受信部110へ送る。そして、送受信部110が、当該設定更新情報SEIを、ネットワークを介して、音響装置200へ送信する。この後、処理はステップS31へ戻る。以後、ステップS31〜S36の処理が繰り返される。
【0104】
以上説明したように、第1実施形態では、音響装置200に設定される設定更新情報SEIの導出に用いられる調整情報TUIの生成に際して、生成部133Aは、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)を平均して、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kを生成する。また、生成部133Aは、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。
【0105】
次いで、選択部134Aが、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。引き続き、選択部134Aが、参照オクターブバンド情報ROCB
E,kとの類似度が最も小さいグループオクターブバンド情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループオクターブバンド情報に含まれるオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。
【0106】
このため、ヨーロッパの楽曲の影響を受けていると考えられる楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)を取り除き、地域AR
jに特有のオクターブバンド情報OCB
j,kを生成することができる。
【0107】
また、第1実施形態では、調整情報TUIの生成に際して、生成部133Aは、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を平均することにより、参照L/R位相差情報RPHD
E,kを生成する。また、生成部133Aは、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。
【0108】
次いで、選択部134Aが、参照L/R位相差情報RPHD
E,kと、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出し、参照L/R位相差情報RPHD
E,kとの類似度が最も小さいグループL/R位相差情報を選択する。そして、選択部134Aは、選択されたグループL/R位相差情報に含まれるL/R位相差情報を平均化して、L/R位相差情報PHD
j,kを生成する。
【0109】
このため、ヨーロッパの楽曲の影響を受けていると考えられる楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を取り除き、地域AR
jに特有のL/R位相差情報PHD
j,kを生成することができる。
【0110】
また、第1実施形態では、楽曲の再生出力に際して、情報処理装置100Aが、指定属性情報PPDを受信すると、導出部135が、記憶部120の調整情報TUIから、指定属性情報PPDに対応する設定用オクターブバンド情報OCB及び設定用L/R位相差情報PHDを取得する。引き続き、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性を音質調整設定値に特定する。
【0111】
また、導出部135は、設定用オクターブバンド情報OCBにより示される周波数特性の所定低音域のレベルに基づき、サブウーハスピーカの「ON/OFF」を指定したスピーカ設定を生成する。また、導出部135は、設定用L/R位相差情報PHDに基づき、リバーブ処理の実行又は非実行を指定した信号加工設定を生成する。そして、導出部135は、音質調整設定値の更新情報、スピーカ設定の更新情報及び信号加工設定の更新情報を、設定更新情報SEIとして音響装置200へ送信する。
【0112】
このため、第1実施形態では、再生出力される楽曲に対応する地域及び作製年の音質特徴に合わせた音質調整設定を、音響装置200に対して設定することができる。
【0113】
したがって、第1実施形態によれば、様々な国や地域に特有の楽曲の特徴に合った音声調整処理を行うことができる。
【0114】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、
図12〜
図17を参照して説明する。
【0115】
<構成>
第2実施形態に係る情報処理装置は、上述した第1実施形態の情報処理装置100Aと比べて、処理制御部130Aに代えて、
図12に示される構成の処理制御部130Bを備える点が異なっている。なお、以下の説明においては、第2実施形態の情報処理装置を「情報処理装置100B」と記す。
【0116】
図12に示されるように、処理制御部130Bは、上述した処理制御部130Aと比べて、生成部133Aに代えて生成部133Bを備える点、選択部134Aに代えて選択部134Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0117】
上記の生成部133Bは、楽曲情報取得部132から送られた地域AR
Eで作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)を受ける。次いで、生成部133Bは、オクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、オクターブバンド情報OCB
E,k#rを複数のグループに分類し、グループごとの参照用グループオクターブバンド情報(参照用グループ特性情報)GOCB
E,k#ce(ce=1,…,CE)(CE:クラスタ数)を生成する。そして、生成部133Bは、生成された参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ceを、選択部134Bへ送る。
【0118】
また、生成部133Bは、楽曲情報取得部132から送られた地域AR
Eで作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を受ける。次いで、生成部133Bは、L/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、L/R位相差情報PHD
E,k#rを複数のグループに分類し、グループごとの参照用グループL/R位相差情報(参照用グループ特性情報)GPHD
E,k#ce(ce=1,…,CE)(CE:クラスタ数)を生成する。そして、生成部133Bは、生成された参照用グループL/R位相差情報GPHD
j,k#ceを、選択部134Bへ送る。
【0119】
また、生成部133Bは、楽曲情報取得部132から送られた複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)を受ける。そして、生成部133Bは、上述した生成部133Aと同様に、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)を生成して、選択部134Bへ送る。
【0120】
また、生成部133Bは、楽曲情報取得部132から送られた複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を受ける。そして、生成部133Bは、上述した生成部133Aと同様に、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)を生成して、選択部134Bへ送る。
【0121】
上記の選択部134Bは、生成部133Bから送られた参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ce(ce=1,…,CE)、及び、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)を受ける。そして、選択部134Bは、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ceのそれぞれと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#clのそれぞれとを比較して、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ceのいずれとも類似していないと評価されたグループオクターブバンド情報を選択する。そして、選択部134Bは、選択されたグループオクターブバンド情報に含まれるオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。
【0122】
また、選択部134Bは、生成部133Bから送られた参照用グループL/R位相差情報GPHD
j,k#ce(ce=1,…,CE)、及び、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)を受ける。そして、選択部134Bは、参照用グループL/R位相差情報GPHD
j,k#ceのそれぞれと、L/R位相差情報GPHD
j,k#clのそれぞれとを比較して、参照用グループL/R位相差情報GPHD
j,k#ceのいずれとも類似していないと評価されたグループL/R位相差情報を選択する。そして、選択部134Bは、選択されたグループL/R位相差情報に含まれるL/R位相差情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。
【0123】
<動作>
以上のようにして構成された情報処理装置100Bの動作について、情報処理装置100Bによる調整情報TUIの生成処理に主に着目して説明する。なお、音響装置200による楽曲再生処理及び情報処理装置100Bによる音響調整管理処理については、上述した第1実施形態の場合と同様の処理が行われる。
【0124】
《情報処理装置100Bによる調整情報TUIの生成処理》
情報処理装置100Bによる調整情報TUIの生成処理については、
図13に示されるように、まず、ステップS41において、楽曲情報取得部132が、上述した第1実施形態の場合と同様に、記憶部120の解析情報ANIにアクセスして、楽曲解析情報MAI#pの楽曲属性情報PPM#p、オクターブバンド情報OCB#p及びL/R位相差情報PHD#pを読み取る。
【0125】
こうして楽曲解析情報MAI#pを取得すると、楽曲情報取得部132は、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)及びL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を抽出して、生成部133Bへ送る。また、楽曲情報取得部132は、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)及びL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)を抽出して、生成部133Bへ送る。この後、処理はステップS42へ進む。
【0126】
ステップS42では、生成部133Bが、オクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ce(ce=1,…,CE)(CE:クラスタ数)を生成する。また、生成部133Bは、L/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#ce(ce=1,…,CE)(CE:クラスタ数)を生成する。そして、生成部133Bは、生成された参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ce及び参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#ceを、選択部134Bへ送る。
【0127】
引き続き、ステップS43において、生成部133Bが、上述した第1実施形態の場合と同様に、オクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。また、生成部133Bは、L/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。そして、生成部133Bは、生成されたグループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl及びグループL/R位相差情報GPHD
j,k#clを、選択部134Bへ送る。この後、処理はステップS44へ進む。なお、第2実施形態では、クラスタ数CLとクラスタ数CEとの関係は、CL=CE+1となっている。
【0128】
ステップS44では、選択部134Bが、「オクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理」を行う。かかるステップS44の処理の詳細については、後述する。そして、ステップS44の処理が終了すると、ステップS45へ進む。
【0129】
ステップS45では、選択部134Bが、「L/R位相差情報PHD
j,kの生成処理」を行う。かかるステップS45の処理の詳細については、後述する。そして、ステップS45の処理が終了すると、ステップS46へ進む。
【0130】
引き続き、ステップS46において、選択部134Bは、当該生成されたオクターブバンド情報OCB
j,k及びL/R位相差情報PHD
j,kを含んだ調整情報TUIを生成し、調整情報TUIを記憶部120内に格納する。こうして調整情報TUIが記憶部120内に格納されると、調整情報TUIの生成処理が終了する。
【0131】
(オクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理)
上述したステップS44における「オクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理」について、説明する。
【0132】
この「オクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理」は、
図14に示されるように、まず、ステップS51において、選択部134Bが、変数Nを「1」にセットする。引き続き、ステップS52において、選択部134Bが、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#Nと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。
【0133】
次に、ステップS53において、選択部134Bが、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#Nに最も類似していると評価されるグループオクターブバンド情報を、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)から除外する。次いで、ステップS54において、「N」にインクリメントするとともに、「CL」をデクリメントする。この後、処理はステップS55へ進む。
【0134】
ステップS55では、選択部134Bが、「N」が参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ceのクラスタ数CEより大きいか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS55:N)には、処理はステップS52へ戻る。一方、ステップS55における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS55:Y)には、処理はステップS56へ進む。
【0135】
ステップS56では、選択部134Bが、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)から除外されずに残ったグループオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。こうしてオクターブバンド情報OCB
j,kが生成されると、ステップS44の処理が終了する。そして、処理は上述した
図13のステップS45へ進む。
【0136】
(L/R位相差情報PHD
j,kの生成処理)
上述したステップS45における「L/R位相差情報PHD
j,kの生成処理」について、説明する。
【0137】
この「L/R位相差情報PHD
j,kの生成処理」は、
図15に示されるように、まず、ステップS61において、選択部134Bが、Nを「1」にセットする。引き続き、ステップS62において、選択部134Bが、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#Nと、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。
【0138】
次に、ステップS63において、選択部134Bが、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#Nに最も類似していると評価されるグループL/R位相差情報を、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)から除外する。次いで、ステップS64において、「N」にインクリメントし、「CL」をデクリメントする。この後、処理はステップS65へ進む。
【0139】
ステップS65では、選択部134Bが、「N」が参照用グループL/R位相差情報(参照用グループ特性情報)GPHD
E,k#ceのクラスタ数CEより大きいか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS65:N)には、処理はステップS62へ戻る。一方、ステップS65における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS65:Y)には、処理はステップS66へ進む。
【0140】
ステップS66では、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)から除外されずに残ったグループL/R位相差情報を平均して、L/R位相差情報PHD
j,kを生成する。こうしてL/R位相差情報PHD
j,kが生成されると、ステップS45の処理が終了する。そして、処理は上述した
図13のステップS46へ進む。
【0141】
ここで、第2実施形態におけるクラスタ分析を用いたオクターブバンド情報OCB
j,kの生成処理の例について、
図16、
図17を参照して説明する。
【0142】
図16(A)には、地域AR
E(ヨーロッパ:第2の地域)で作製年YR
Yに作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,Y#r(r=1,…)を平均したオクターブバンド情報の例が示されている。この
図16(A)に示されるオクターブバンド情報OCB
E,Y#r(r=1,…)をk(=2)−平均法を用いてクラスタ分析し、当該分析により得られた参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,Y#ce(ce=1,2)を平均した例が、それぞれ、
図16(B),(C)に示されている。
【0143】
また、
図17(A)には、作製年YR
Yに地域AR
L(第1の地域)で作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
L,Y#q(q=1,…)を平均したオクターブバンド情報の例が示されている。この
図17(A)に示されるオクターブバンド情報OCB
L,Y#q(q=1,…)をk(=3)−平均法を用いてクラスタ分析し、当該分析により得られたグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#cl(cl=1,2,3)を平均化した例が、それぞれ、
図17(B),(C),(D)に示されている。
【0144】
この場合には、
図16(B),(C)に示される参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,Y#1,#2と、
図17(B)、(C),(D)のそれぞれに示されるグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#1,#2,#3とを比較すると、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,Y#1とグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#1とが類似し、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,Y#2とグループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#2とが類似していると評価することができる。したがって、この例では、グループオクターブバンド情報GOCB
L,Y#3に含まれるオクターブバンド情報を平均したものが、調整情報TUIに登録されるグループオクターブバンド情報OCB
L,Yとなる。
【0145】
以上説明したように、第2実施形態では、音響装置200に設定される設定更新情報SEIの導出に用いられる調整情報TUIの生成に際して、生成部133Bは、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ce(ce=1,…,CE)を生成する。また、生成部133Bは、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。
【0146】
次いで、選択部134Bが、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ce(ce=1,…,CE)のそれぞれと、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出する。引き続き、選択部134Bが、グループオクターブバンド情報GOCB
j,k#clのうちから、参照用グループオクターブバンド情報GOCB
E,k#ceに類似していないと評価されるグループオクターブバンド情報を選択する。そして、選択部134Bは、選択されたグループオクターブバンド情報に含まれるオクターブバンド情報を平均して、オクターブバンド情報OCB
j,kを生成する。
【0147】
このため、ヨーロッパの楽曲の影響を受けていると考えられる楽曲のオクターブバンド情報OCB
j,k#q(q=1,…)を取り除き、地域AR
jに特有のオクターブバンド情報OCB
j,kを生成することができる。
【0148】
また、第2実施形態では、調整情報TUIの生成に際して、生成部133Bは、地域AR
Eにおいて作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
E,k#r(r=1,…)をクラスタ分析して、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#ce(ce=1,…,CE)を生成する。また、生成部133Bは、地域AR
j(j=1,…)において作製年YR
k(k=1,…)に作製された複数の楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)をクラスタ分析して、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)(CL:クラスタ数)を生成する。
【0149】
次いで、選択部134Bが、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#ce(ce=1,…,CE)のそれぞれと、グループL/R位相差情報GPHD
j,k#cl(cl=1,…,CL)のそれぞれとの類似度を算出し、参照用グループL/R位相差情報GPHD
E,k#ceに類似していないと評価されるグループL/R位相差情報を選択する。そして、選択部134Bは、選択されたグループL/R位相差情報に含まれるL/R位相差情報を平均して、L/R位相差情報PHD
j,kを生成する。
【0150】
このため、ヨーロッパの楽曲の影響を受けていると考えられる楽曲のL/R位相差情報PHD
j,k#q(q=1,…)を取り除き、地域AR
jに特有のL/R位相差情報PHD
j,kを生成することができる。
【0151】
また、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同様に、再生出力される楽曲に対応する地域及び作製年の音質特徴に合わせた音質調整設定を、音響装置200に対して設定することができる。
【0152】
したがって、第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、様々な国や地域に特有の楽曲の特徴に合った音声調整処理を行うことができる。
【0153】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0154】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、楽曲属性情報には、楽曲コンテンツに対応する地域に関する情報、及び、楽曲コンテンツの作製年情報が含まれることとした。これに対して、楽曲属性情報に、楽曲コンテンツに対応する楽曲のジャンル情報を含めるようにしてもよい。
【0155】
この場合には、調整情報を、地域ごと及び当該地域に対応付けられた楽曲の作製年及び楽曲のジャンルごとの情報とすることができる。
【0156】
また、楽曲属性情報に、楽曲コンテンツに対応する楽曲のインターネットを介したダウンロード回数等の楽曲の聴取回数に関する情報を含めるようにしてもよい。この場合には、聴取回数が低い楽曲については、調整情報の生成に利用しないようにすることで、より地域に特有のオクターブバンド情報、L/R位相差情報を生成することができる。
【0157】
また、第1及び第2実施形態では、調整情報を生成するに際して、クラスタ分析されたグループを構成するオクターブバンド情報のサンプル数、L/R位相差情報の要素数を考慮しないことにした。これに対して、グループを構成するオクターブバンド情報の要素数、L/R位相差情報の要素数に基づいてグループ情報の信頼性を評価し、当該信頼性が低いと評価されたグループについては、調整情報を生成に際して使用しないようにすることができる。
【0158】
また、上記の第1及び第2実施形態では、調整情報を生成するに際して、選択部は、1つのグループオクターブバンド情報及び1つのグループL/R位相差情報を選択した。これに対して、調整情報を生成するに際して、選択部が、複数のグループオクターブバンド情報及び複数のグループL/R位相差情報を選択するようにしてもよい。
【0159】
そして、この場合には、再生対象の楽曲のジャンル等に基づいて、ジャンルが一致するグループオクターブバンド情報及びグループL/R位相差情報と調整情報に決定するようにしてもよい。また、ユーザが、複数のグループオクターブバンド情報及び複数のグループL/R位相差情報のうちから、ユーザの嗜好に合う楽曲特性情報を選べるようにしてもよい。
【0160】
また、上記の第1及び第2実施形態では、複数のオクターブバンド情報又は複数のL/R位相差情報をクラスタ分析する際にk−平均法を用いたが、他の手法を用いてクラスタ分析を行うようにしてもよい。
【0161】
また、上記の第1及び第2実施形態では、周波数帯ごとに、参照オクターブバンド情報におけるレベルと、グループオクターブバンド情報におけるレベルとの差の絶対値を算出し、当該絶対値の総和を算出して、類似度を算出した。これに対して、周波数帯ごとの参照オクターブバンド情報におけるレベルとグループオクターブバンド情報におけるレベルについての二乗平均平方根を計算して、類似度を算出するようにしてもよい。
【0162】
また、上記の第1及び第2実施形態では、周波数帯ごとに、参照L/R位相差情報における位相差と、グループL/R位相差情報における位相差との差の絶対値を算出し、当該絶対値の総和を算出して、類似度を算出した。これに対して、周波数帯ごとの参照L/R位相差情報における位相差とグループオクターブバンド情報における位相差についての二乗平均平方根を計算して、類似度を算出するようにしてもよい。
【0163】
また、上記の第1及び第2実施形態では、第2の地域をヨーロッパとした。これに対して、第2の地域をアメリカ等の他の国や地域としてもよいことは勿論である。
【0164】
また、上記の第1及び第2実施形態では、情報処理装置に記憶される調整情報は、地域ごと及び当該地域に対応付けられた楽曲の作製年ごとの情報とした。これに対して、調整情報を、地域ごと及び当該地域に対応付けられた楽曲の作製年及び楽曲のジャンルごとの情報としてもよい。
【0165】
この場合には、指定属性情報には、再生する楽曲に対応する地域に関する情報に対応付けられた楽曲の作製年情報及び楽曲のジャンル情報が含まれるようにすることができる。
【0166】
また、記憶部の調整情報を、地域ごと及び当該地域に対応付けられた楽曲のジャンルごとの情報としてもよい。この場合には、指定属性情報には、楽曲に対応する地域に関する情報に対応付けられた楽曲のジャンル情報が含まれるようにすることができる。
【0167】
また、記憶部の調整情報を、地域ごとに対応付けられた情報としてもよい。この場合には、指定属性情報は楽曲に対応する地域に関する情報から成るようにすることができる。
【0168】
また、上記の第1及び第2実施形態では、音響装置の設定更新を行うに際して、「音質調整設定の更新」、「信号加工設定の更新」及び「スピーカ設定の更新」を行うようにした。これに対して、これら3つのうちの任意の1つ設定更新又は任意の組み合せの2つの設定更新を行うようにしてもよい。
【0169】
また、上記の第1及び第2実施形態では、楽曲特性情報として、オクターブバンド情報及びL/R位相差情報を採用した。これに対して、楽曲特性情報をオクターブバンド情報としてもよいし、又、楽曲特性情報をL/R位相差情報としてもよい。また、楽器の再生音の出現頻度や声質(歌唱法)の出現頻度を解析して、当該解析結果等を楽曲特性情報に含めるようにしてもよい。
【0170】
また、上記の第1及び第2実施形態では、スピーカ設定の更新情報の内容を、サブウーハスピーカの使用の「ON」又は「OFF」とした。これに対して、設定用オクターブバンド情報により示される周波数特性から、高音域の音を強調するか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、ツイータスピーカの使用の「ON」又は「OFF」を設定するようにしてもよい。
【0171】
さらに、設定用オクターブバンド情報により示される周波数特性から、低音域及び高音域の音を強調するか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて、サブウーハスピーカの使用の「ON」又は「OFF」、及び、ツイータスピーカの使用の「ON」又は「OFF」の組み合せを決定し、当該決定結果をスピーカ設定の更新情報の内容とするようにしてもよい。
【0172】
また、設定用オクターブバンド情報により示される周波数特性の全帯域のバランスから、スピーカシステムにおけるネットワークのクロスオーバー周波数を決定し、当該決定結果を音響装置の設定に反映させるようにしてもよい。
【0173】
また、第1及び第2実施形態では、記憶部が情報処理装置に備えられ、情報処理装置が調整情報を生成して記憶部に格納するようにした。これに対して、音響装置が、記憶部を備え、音響装置が調整情報を生成して、当該調整情報を記憶部に格納するようにしてもよい。
【0174】
また、上記の第1及び第2実施形態では、指定属性情報の内容を、再生する楽曲に関する情報とした。これに対して、指定属性情報の内容を、ユーザの国籍や居住する国や地域等の属性としてもよい。この場合には、当該ユーザの国籍や居住する国や地域等の属性に合った音声調整処理を行うことができる。
【0175】
また、上記の第1及び第2実施形態においては、車両に配置される音響装置に本発明を適用したが、車両以外の他の移動体に配置される音響装置にも本発明を適用することもできる。また、家庭内に配置される音響装置にも本発明を適用することができる。
【0176】
上記の情報処理装置の一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における情報処理装置の機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。