(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0003】
本明細書では、分光顕微鏡に対する複数の装置及び方法について記載する。分光顕微鏡の1つの例は、フローサイトメータとすることができる。従来のフローサイトメータは、スペクトル解析機能を提供するために光学部品の組合せを使用する必要がある場合がある。例えば、従来のフローサイトメータは、複雑な及び/又は精密なアライメント構成を有する特別な回折格子及び/又はプリズム等の光学部品を必要とする場合がある。さらに、従来のフローサイトメータは、高価である可能性がある大型機器である場合がある。光学部品のサイズ、コスト及び複雑な及び/又は精密なアライメントにより、ポイントオブケア医療用途等、幾つかの機能に対して従来のフローサイトメータは不適当となる可能性がある。
【0004】
本明細書において用いられるとき、分光顕微鏡は、複雑かつ精密な光学部品アライメントを必要とすることなく、撮像とともにスペクトル検出を可能にすることができる装置を指すことができる。すなわち、分光顕微鏡が、平面レンズを備えた基板であって、この平面レンズは、軸方向焦点及び傾斜焦点を含む位相プロファイルを含む、基板と、複数の粒子の間の1つの粒子のシグナルを励起する光源と、平面レンズの軸方向焦点から、光源から発生する光を受け取り、平面レンズの傾斜焦点から粒子の励起されたシグナルのスペクトル色成分を受け取る、検出器とを備えることができる。
【0005】
図1は、本開示と整合する分光顕微鏡100の一例の図を示す。分光顕微鏡100は、透明チップ104、流路(channel)102、粒子101、基板110、平面回折レンズ112、光源108及び検出器114を備えることができる。検出器114は、軸方向位置116及び傾斜位置118−1、118−2、118−3を含むことができる。
【0006】
本明細書において用いられるとき、分光顕微鏡は、粒子(例えば、粒子101)を含む流体に検出装置の傍を通過させることによる、粒子の計数、撮像、選別及び/又は検出のための装置とすることができる。本明細書において用いられるとき、粒子は、蛍光化学化合物を含む微小な量の物質とすることができる。例えば、計数、撮像、選別及び/又は検出される粒子は、0.6マイクロメートル(μm)〜20.0μmのサイズの範囲とすることができるが、本開示の実施形態はそのように限定されない。
【0007】
分光顕微鏡100は、粒子の計数、撮像、選別及び/又は検出用の装置として記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、分光顕微鏡100は、粒子に関連する他の機能を行うことができる。さらに、分光顕微鏡100は、流体を伴う粒子に関連しない他の機能を行うことができる。例えば、分光顕微鏡100は、数ある機能の中でも、表面増強ラマン分光基板の撮像、カウンティングチャンバ内の細胞の計数、及び/又は空気中の粒子の計数/解析(例えば、マイクロアレイ、スライド上に固定された細胞等)に使用することができる。
【0008】
分光顕微鏡100は、透明チップ104内に位置する流路102を備えることができ、流路102は、複数の粒子(例えば、粒子101)を含むことができる。粒子101は、流体内に懸濁する複数の粒子の間の1つの粒子とすることができる。例えば、粒子101は、流体内に懸濁する数あるタイプの粒子の中でも、蛍光染色された赤血球又は白血球、たんぱく質及び/又は核酸とすることができる。流路102は、透明チップ104内に位置するマイクロ流体流路とすることができる。
【0009】
粒子101は、流体内に懸濁しているものとして記載するが、本開示の実施形態はそのように限定されない。例えば、粒子101は、流体内に懸濁していない粒子とすることができる。
【0010】
透明チップ104は、本明細書において更に記載するように、光源(例えば、光源108)からの光が透明チップ104を通って伝播するのを可能にする透明材料とすることができる。例えば、透明チップ104は、溶融シリカ(fused silica)とすることができる。別の例として、透明チップ104は、溶融石英(fused quartz)とすることができる。
【0011】
透明チップ104は、溶融シリカ又は溶融石英等の透明材料であるものとして記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、透明チップ104は、或る種のガラス、透明ポリマー、又は光源108からの光が透明チップ104を通って伝播するのを可能にする他の任意のタイプの透明材料とすることができる。
【0012】
図1に示すように、分光顕微鏡100は、平面回折レンズ112を備えた基板110を備えることができる。平面回折レンズ112は、軸方向焦点及び傾斜焦点を含む位相プロファイルを含むことができる。平面回折レンズ112は、2つの焦点(例えば、軸方向焦点及び傾斜焦点)を有する高開口数回折レンズとすることができる。例えば、平面回折レンズ112の開口数は、0.2〜0.6とすることができるが、本開示の例はそのように限定されない。更なる例として、平面回折レンズ112の開口数は0.45とすることができる。本明細書において更に記載するように、平面回折レンズ112の軸方向焦点は、撮像に使用することができ、平面回折レンズ112の傾斜焦点は、スペクトル検出に使用することができる。
【0013】
平面回折レンズ112の位相プロファイルは、軸方向位相プロファイルを含むことができる。平面回折レンズ112の軸方向位相プロファイルは、光を軸方向に集束させることができ、これは、平面回折レンズ112の軸方向焦点と呼ぶことができる。例えば、特定の波長の光は、軸方向位相プロファイルによって、検出器の焦点面上の位置(例えば、本明細書において更に記載するように、検出器108の軸方向位置116)に軸方向に集束させることができる。本明細書において用いられるとき、検出器(例えば、本明細書において更に記載するように、検出器108)の焦点面は、平面回折レンズ112の軸に対して垂直でありかつ平面回折レンズ112の焦点を通過する平面とすることができる。
【0014】
平面回折レンズ112の位相プロファイルは、傾斜位相プロファイルを含むことができる。平面回折レンズ112の傾斜位相プロファイルにより、光を傾斜して集束させることができ、それは、平面回折レンズ112の傾斜焦点と呼ぶことができる。例えば、様々な波長の光を、傾斜位相プロファイルにより、検出器の焦点面における様々な位置(例えば、本明細書において更に記載するように、検出器108の傾斜位置118−1、118−2、118−3)に傾斜して集束させることができる。
【0015】
幾つかの例では、平面回折レンズ112は、基板110の上に位置することができる。例えば、平面回折レンズ112は、基板110の上にパターニングされたレンズとすることができる。平面回折レンズ112は、リソグラフィによって基板110の上にパターニングすることができる。本明細書において用いられるとき、リソグラフィは、微細加工又はナノ加工においてウェハ(例えば、基板110)の上にパターンを形成するために堆積した材料を成形及び/又は変更するために使用されるプロセスとすることができる。ウェハは、フォトレジスト又は電子ビーム(e−ビーム)レジスト等の化学物質でコーティングすることができ、その後、ウェハを、マスクを介して短波長光又は電子のビームに露光することができる。露光領域は、溶液によって洗浄することができる。別の例として、ナノインプリントリソグラフィを用いて、基板110の上に平面回折レンズ112をパターニングすることができる。本明細書において用いられるとき、ナノインプリントリソグラフィは、インプリントレジストの機械的変形によってパターンが生成されるプロセスとすることができる。
【0016】
基板110上に平面回折レンズ112をパターニングすることは、基板110の上に軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルをパターニングすることを含むことができる。例えば、平面回折レンズ112の位相プロファイルは、軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルの組合せのバイナリ近似として軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルを含むことができる。軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルは、リソグラフィの単一ステップによって基板110の上にパターニングすることができる。すなわち、位相プロファイルは、基板110上における軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルの単一パターン近似とすることができる。
【0017】
平面回折レンズ112の位相プロファイルは、軸方向位相プロファイルと傾斜位相プロファイルとを組み合わせることによって定義することができる。例えば、軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルに対して、正弦波格子を求めることができ、軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルを加えることにより、平面回折レンズ112の位相プロファイルがもたらされる。
【0018】
幾つかの例では、平面回折レンズ112の位相プロファイルは、反復数値最適化によって定義することができる。例えば、焦点面における位相は、自由パラメータとして使用することができ、目的関数は、対象波長に対して所望の位置(例えば、軸方向位置及び/又は傾斜位置)における最大集束強度として定義することができる。
【0019】
幾つかの例では、平面回折レンズ112は離散的な空間ゾーンに分割することができる。例えば、1つの空間ゾーンは、軸方向位相プロファイルを含むことができ、他の空間ゾーンは、傾斜位相プロファイルを含むことができる。そして、平面回折レンズ112の位相プロファイルは、ラッピングされ、基板110における離散的なエッチング深さに対応する離散的な数の位相レベルによって近似される。
【0020】
平面回折レンズ112を備えた基板110は、透明チップ104に隣接して位置することができる。例えば、本明細書において更に記載するように、基板110は、光源108からの光が、透明チップ104を通り、基板110を通り、最終的に平面回折レンズ112を通って伝播するように、位置することができる。
【0021】
基板110は、光源(例えば、光源108)からの光が基板110を通って伝播することができるように透明な材料とすることができる。本明細書において更に記載するように、光源108の動作波長に従って、基板110を選択することができる。例えば、基板110は、ガラス、グレード(graded)溶融シリカ、石英又はフッ化カルシウムとすることができる。ガラス、グレード溶融シリカ、石英及びフッ化カルシウムは、紫外(UV)及び近赤外スペクトルにおける光の伝播をより容易に可能にするため、光に対する材料損失を低減させながら、光源108によって発生した光の基板110を通る伝播を可能にすることができる。
【0022】
基板110は、ガラス、グレード溶融シリカ、石英又はフッ化カルシウムであるものとして記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、基板110は、光が基板110を通って伝播する際に光に対する著しい材料損失なしに、光源108によって発生する光の伝播を可能にする、任意の材料とすることができる。
【0023】
図1には示さないが、幾つかの例では、平面回折レンズ112は、透明チップ104の上に直接位置することができる。例えば、平面回折レンズ112は、透明チップ104の上にパターニングされたレンズとすることができる。平面回折レンズ112は、リソグラフィによって透明チップ104の上にパターニングすることができる。透明回折レンズ112は、代替的に、基板の上にスピンされてパターニングされたe−ビーム、フォトレジスト又はインプリントレジストの層とすることができる。
【0024】
図1には示さないが、幾つかの例では、検出器114は、基板110に隣接して位置することができ、平面回折レンズ112は、基板110と透明チップ104との間にかつそれらに隣接して位置することができる。例えば、平面回折レンズ112は透明チップ104に隣接することができ、基板110は、検出器114用の窓として作用することができる。
【0025】
透明チップ104の上で平面回折レンズ112をパターニングすることは、リソグラフィによって透明チップ104の上に軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルをパターニングすることを含むことができる。例えば、平面回折レンズ112の位相プロファイルは、軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルの組合せのバイナリ近似として、軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルを含むことができる。軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルは、リソグラフィの単一ステップによって透明チップ104の上にパターニングすることができる。すなわち、位相プロファイルは、基板110上の軸方向位相プロファイル及び傾斜位相プロファイルの単一パターン近似とすることができる。
【0026】
分光顕微鏡100は、複数の粒子の間で粒子101のシグナルを励起する光源108を含むことができる。本明細書において用いられるとき、シグナルは、粒子(例えば、粒子101)が、光源(例えば、本明細書において更に記載するように、光源108)からの光(例えば、電磁放射線)を(例えば、光源108から)吸収し、励起される結果としての、粒子からの蛍光シグナル(例えば、放出される光)とすることができる。
【0027】
光源108は、発光ダイオード(LED)とすることができる。本明細書において用いられるとき、LEDは、活性化されると光を放出する半導体光源とすることができる。例えば、光源108は、本明細書において更に記載するように、流路102内の粒子101に向けられる光を放出するLEDとすることができる。LEDは、可視領域(例えば、400nm〜700nm)、紫外(UV)領域(例えば、10nm〜400nm)及び/又は赤外領域(例えば、1mm〜700nm)にわたって動作することができる。
【0028】
光源108は、レーザとすることができる。本明細書において用いられるとき、レーザは、電磁放射線の放出に基づいて光増幅を通して光を放出するデバイスであり得る。例えば、光源108は、本明細書において更に記載するように、流路102内の粒子101に向けられる光を放出するレーザとすることができる。レーザは、可視領域(例えば、400nm〜700nm)、紫外(UV)領域(例えば、10nm〜400nm)及び/又は赤外領域(例えば、1mm〜700nm)にわたって動作することができる。
【0029】
光源108は、検出器(例えば、検出器114)によって検出される粒子101の蛍光シグナルの蛍光励起を生成するのに十分強力な光強度を有することができる。例えば、光源108は、100ミリワット(mW)の出力を有するLEDとすることができる。別の例として、光源108は、1mWの出力を有するレーザとすることができる。本明細書において用いられるとき、蛍光励起は、特定の波長で光を受け取り、その後、別の波長で光を放出する粒子を指すことができる。
【0030】
光源108は、100mWの出力を有するLED又は1mWの出力を有するレーザとして記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、光源108は、それより高いか又は低い出力を有するLED又はレーザとすることができる。明確にするためにかつ本開示の実施形態を不明瞭にしないように、
図1には示さないが、光源108から発生する光は、外部レンズによって流路102に集束させることができる。
【0031】
光源108に光強度は、複数の要素に応じて選択することができる。例えば、流路102内の流体のタイプ、粒子101のタイプ、平面回折レンズ112の効率、透明チップ104及び基板110の材料のタイプ、並びに検出器114の感度は、全て、光源108の光強度に影響を与える可能性がある。例えば、光源108の光強度は、LED光源の場合、粒子101が、蛍光色素が選択的に付着した赤血球である場合、1mWである可能性があり、粒子101が、異なる蛍光色素が選択的に付着した赤血球である場合、2mWである可能性があるが、本開示の例はそのように限定されない。本明細書において用いられるとき、蛍光色素は、光励起時に光を再放出することができる蛍光化学化合物とすることができ、蛍光色素は、マーカとして機能するように幾つかの粒子に付着することができる。
【0032】
分光顕微鏡100は検出器114を備えることができる。検出器114は、平面回折レンズ112の軸方向焦点から、光源108から発生する光を受け取り、平面回折レンズ112の傾斜焦点から粒子101の蛍光シグナルのスペクトル色成分を受け取ることができる。
【0033】
検出器114は、軸方向位置116において平面回折レンズ112の軸方向焦点から、光源108から発生する光を受け取ることができる。例えば、平面回折レンズ112の軸方向位相プロファイルにより、光源108からの光は、検出器114の焦点面における軸方向位置116に、軸方向に集束させることができる。本明細書において更に記載するように、検出器114の軸方向位置116において受け取られる光を用いて粒子101を撮像することができる。
【0034】
検出器114は、平面回折レンズ112の傾斜焦点から、粒子101の蛍光シグナルのスペクトル色成分を受け取ることができる。例えば、平面回折レンズ112の傾斜位相プロファイルにより、光源108からの光は、検出器114の焦点面の様々な傾斜位置118−1、118−2、118−3に傾斜して集束させることができる。
図1には示さないが、平面回折レンズ112と検出器114の粒子101のスペクトル色成分を受け取る部分との間に、カラーフィルタを配置することができる。カラーフィルタは、粒子101の蛍光シグナルの検出を促進するように、光源108からの光を遮断するように選択することができる。
【0035】
検出器114の傾斜位置118−1、118−2、118−3において受け取られる光を用いて、粒子101の蛍光シグナルの波長を検出することができる。検出器114は、光源108からの光のスペクトル色成分がいずれの傾斜位置118−1、118−2、118−3で受け取られるかを判断することにより、粒子101の蛍光シグナルの波長を求めることができる。
【0036】
検出器114の傾斜位置118−1、118−2、118−3は、異なるスペクトル色成分に対応することができる。例えば、傾斜位置118−1は、第1のスペクトル色成分に対応することができ、傾斜位置118−2は、第2のスペクトル色成分に対応することができ、傾斜位置118−3は、第3のスペクトル色成分に対応することができる。
【0037】
傾斜焦点のスペクトル色成分は、粒子101の励起された(例えば、蛍光)シグナルの波長に対応することができる。例えば、傾斜位置118−1に対応する第1のスペクトル色成分は、粒子101の蛍光シグナルに対応する波長に対応することができる。すなわち、粒子101は、或る特定の波長に対応する第1のスペクトル色成分の蛍光シグナルを有することができ、第1のスペクトル色成分は、検出器114において傾斜位置118−1で受け取られる。
【0038】
別の例として、傾斜位置118−2に対応する第2のスペクトル色成分は、流路102内の複数の粒子の異なる粒子に対応する波長に対応することができる。すなわち、異なる粒子は、粒子101の波長とは異なる波長に対応する第2のスペクトル色成分の蛍光シグナルを有することができ、第2のスペクトル色成分は、検出器114において傾斜位置118−2で受け取られる。
【0039】
別の例として、傾斜位置118−3に対応する第3のスペクトル色成分は、流路102内の複数の粒子の更に異なる粒子に対応する波長に対応することができる。すなわち、更に異なる粒子は、粒子101及び異なる粒子の波長とは異なる波長に対応する第3のスペクトル色成分の蛍光シグナルを有することができ、更に異なる粒子は、検出器114において傾斜位置118−3で受け取られる。
【0040】
図1では、検出器114は、3つの傾斜位置118−1、118−2、118−3を有するものとして示すが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、検出器114は、4つ以上の傾斜位置又は3つ未満の傾斜位置を有し、スペクトル分解能での多くのスペクトル成分の検出を可能にすることができる。
【0041】
幾つかの例では、検出器114は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサとすることができる。本明細書において用いられるとき、CMOSセンサは、情報を記憶する半導体チップとすることができる。例えば、CMOSセンサを利用して、粒子101の蛍光シグナルの波長を求めることができる。
【0042】
幾つかの例では、検出器114は電荷結合素子(CCD)とすることができる。本明細書において用いられるとき、CCDは、光検出に使用するために電荷を移動させる素子であり得る。例えば、CCDを利用して、粒子101の蛍光シグナルの波長を求めることができる。
【0043】
明確にするためにかつ本開示の例を不明瞭にしないように
図1には示さないが、分光顕微鏡100は、透明チップ104内に複数の流路を備えることができる。複数の流路の各々は流体を含むことができ、各流体は複数の粒子を含むことができるが、本開示の実施形態はそのように限定されない。例えば、複数の流路は、流体内に懸濁していない複数の粒子を含むことができる。複数の流路は、平行流路とすることができる。
【0044】
幾つかの例では、複数の流路の各々は同じ流体を含むことができる。例えば、複数の流路の各々における流体、及び各それぞれの流体内の複数の粒子は同じである。
【0045】
幾つかの例では、複数の流路の各々は異なる流体を含むことができる。例えば、1つの流路は、複数の第1の粒子を含む第1のタイプの流体を含むことができ、第2の流路は、複数の第2の粒子を含む第2のタイプの流体を含むことができる。
【0046】
基板110は、複数の平面回折レンズを備えることができる。平面回折レンズの数は、流路の数に対応することができる。例えば、分光顕微鏡100は、3つの流路及び3つの平面回折レンズを備えることができる。複数の平面回折レンズの各々は、軸方向焦点及び傾斜焦点を含むことができる。
【0047】
複数の平面回折レンズの各々は、それぞれの位相プロファイルを含むことができる。すなわち、複数の平面回折レンズの各々は、レンズの軸方向焦点に対応する軸方向位相プロファイルと、レンズの傾斜焦点に対応する傾斜位相プロファイルとを含むことができる。
【0048】
幾つかの例では、複数の平面回折レンズの各々は、同じ位相プロファイルを含むことができる。例えば、複数の流路の各々が、各それぞれの流体内に、同定される同じタイプの粒子を有する同じ流体を含む場合、複数の平面回折レンズの各々は、同じ位相プロファイルを有することができる。
【0049】
複数の平面回折レンズのそれぞれの位相プロファイルの各々は、検出される粒子のタイプに基づいて決定することができる。例えば、1つの流路が、検出される複数の第1の粒子を有する第1のタイプの流体を含み、第2の流路が、検出される複数の第2の粒子を有する第2のタイプの流体を含み、複数の第1の粒子が複数の第2の粒子とは異なる場合、第1のタイプの流体を含む流路に対応する第1の平面回折レンズは、第2のタイプの流体を含む流路に対応する第2の平面回折レンズの位相プロファイルとは異なる位相プロファイルを有することができる。
【0050】
光源は、複数の流路の流体の各々に含まれる複数の粒子の蛍光シグナルを励起する励起光を発生させることができる。例えば、光源(例えば、LED又はレーザ)は、2つの異なる流路内の2つの異なる流体の複数の粒子の蛍光シグナルを励起するように励起光を発生させることができる。別の例として、光源(例えば、LED又はレーザ)は、2つの異なる流路内の2つの流体の複数の粒子の蛍光シグナルを励起する励起光を発生させることができ、2つの流体は同じ流体である。本明細書において用いられるとき、励起光は、特定の粒子の蛍光シグナルを生成することができる波長で光源によって発生する光とすることができる。
【0051】
幾つかの例では、2つ以上の光源が、複数の流路の流体の各々に含まれる複数の粒子の蛍光シグナルを励起する励起光を発生させることができる。例えば、2つの光源(例えば、2つのLED又は2つのレーザ)が、2つの異なる流路内の2つの異なる流体の複数の粒子の蛍光シグナルを励起するように励起光を発生させることができ、各光源はそれぞれの流路に対応する。
【0052】
幾つかの例では、2つの光源は異なる光強度を有することができる。例えば、第1のLEDは100mWの光強度を有することができ、第2のLEDは25mWの光強度を有することができる。
【0053】
複数の検出器は、複数の流路及び複数の平面回折レンズに対応することができる。複数の検出器は、平面回折レンズの各々に対してそれぞれの軸方向焦点の各々から励起光の各それぞれを受け取ることができる。さらに、複数の検出器は、複数の平面回折レンズの各々のそれぞれの傾斜焦点の各々から、複数の粒子のそれぞれの蛍光シグナルの各々のスペクトル色成分を受け取ることができる。すなわち、各検出器は、各それぞれの平面回折レンズの各それぞれの軸方向焦点から励起光を受け取ることができる。さらに、各検出器は、各それぞれの平面回折レンズの各それぞれの傾斜焦点からスペクトル色成分を受け取ることができる。
【0054】
幾つかの例では、検出器は、複数の流路及び複数の回折レンズに対応することができる。検出器は、平面回折レンズの各々に対して軸方向焦点の各々から励起光の各々を受け取ることができる。さらに、検出器は、複数の平面回折レンズの各々のそれぞれの傾斜焦点の各々から、複数の粒子のそれぞれの蛍光シグナルの各々のスペクトル色成分を受け取ることができる。すなわち、検出器は、各それぞれの平面回折レンズの各それぞれの軸方向焦点から励起光を受け取ることができる。さらに、検出器は、各それぞれの平面回折レンズの各それぞれの傾斜焦点からスペクトル色成分を受け取ることができる。
【0055】
本明細書に記載するように、分光顕微鏡は、透明チップ内に流路を備えることができ、流路は複数の粒子を含む。光源は、複数の粒子の間の1つの粒子の蛍光シグナルを励起することができ、蛍光シグナルは、平面回折レンズを通して伝播する。検出器は、粒子を撮像するために、平面回折レンズの軸方向焦点から、光源から発生する光を受け取り、粒子の波長を識別するために、平面回折レンズの傾斜焦点からスペクトル色成分を受け取ることができる。本開示と整合する例は、分光顕微鏡のサイズ及びコストを低減させることができ、ポイントオブケア医療検査及び診断等の応用での使用を可能にする。さらに、本開示と整合する分光顕微鏡は、既存のマイクロ流体流路デバイスとの使用に対して容易に適合させかつ組み込むことができるが、本開示の実施形態はそのように限定されない。
【0056】
図2は、本開示と整合する分光顕微鏡238の一例の図を示す。分光顕微鏡238は、透明チップ204、流路202、粒子201、基板242、平面反射レンズ244、光源240及び検出器246を備えることができる。検出器246は、軸方向位置247及び傾斜位置248−1、248−2、248−3を含むことができる。
【0057】
図1に示す分光顕微鏡(例えば、分光顕微鏡100)と同様に、分光顕微鏡238は、流路202を備える透明チップ204を備えることができる。透明チップ204は、本明細書において更に記載するように、光源(例えば、光源108)からの光が透明チップ204を通って伝播するのを可能にする透明材料とすることができる。例えば、透明チップ204は、溶融シリカとすることができる。別の例として、透明チップは、溶融石英又はガラスとすることができる。
【0058】
図2に示すように、分光顕微鏡238は、平面反射レンズ244を備えた基板242を備えることができる。平面反射レンズは、部分反射レンズとすることができる。本明細書において用いられるとき、部分反射レンズは、光が部分的に透過され部分的に反射されるのを可能にするレンズとすることができる。平面反射レンズ244は、軸方向焦点及び傾斜焦点を含む位相プロファイルを含むことができる。平面反射レンズ244は、2つの焦点(例えば、軸方向焦点及び傾斜焦点)を有する高開口数反射レンズとすることができる。本明細書において更に記載するように、平面反射レンズ244の軸方向焦点は、励起を集束させるために使用することができ、平面反射レンズ244の傾斜焦点は、スペクトル検出に使用することができる。
【0059】
図1に記載した例と同様に、平面反射レンズ244は、基板242の上に位置することができる。例えば、平面反射レンズ244は、基板242の上にパターニングされたレンズとすることができる。平面反射レンズ244は、平面反射レンズ244を生成するようにリソグラフィによって基板242の上にパターニングすることができる。
【0060】
基板242は、光源(例えば、光源240)からの光が基板242を通って伝播することができるように透明な材料とすることができる。光源240の動作波長に従って、基板242を選択することができる。例えば、基板242は、ガラス、グレード溶融シリカ、石英又はフッ化カルシウムとすることができるが、本開示の例はそのように限定されない。
【0061】
図1に記載した例と同様に、分光顕微鏡238は、複数の粒子の間の粒子201の蛍光シグナルを励起する光源240を備えることができる。粒子201は、蛍光シグナルと蛍光シグナルに対応する波長とを含むことができる。光源240は、LED又はレーザとすることができる。
【0062】
分光顕微鏡238は、検出器246を備えることができる。検出器246は、平面反射レンズ244の軸方向焦点から、光源240から発生する光を受け取ることができ、粒子201の蛍光シグナルのスペクトル色成分は、平面反射レンズ244の傾斜焦点から反射することができる。
図2に示すように、検出器246は、透明チップ204の一部であり、流路202に隣接して位置することができる。
【0063】
検出器246は、軸方向位置247において平面反射レンズ244の軸方向焦点から、光源240から発生する光を受け取ることができる。例えば、平面反射レンズ244の軸方向位相プロファイルにより、光源240からの光は、検出器246の焦点面における軸方向位置247に、軸方向に集束させることができる。検出器246の軸方向位置247において受け取られる光を用いて粒子201を撮像することができる。
【0064】
粒子201からの蛍光シグナルは、検出器246において傾斜位置248−1、248−2、248−3で受け取ることができる。例えば、光源240によって発生する光は、基板242を通り、透明チップ204を通り、粒子201を通って伝播し、平面反射レンズ244の軸方向位相プロファイルによって収集される蛍光シグナルを励起することができ、平面回折レンズの軸方向位相プロファイルは、検出器246において軸方向位置247に光を向ける(例えば、反射する)。
【0065】
検出器246の傾斜位置248−1、248−2、248−3において受け取られる光を用いて、粒子201の蛍光シグナルの波長を検出することができる。検出器246は、光源240からの光がいずれの傾斜位置248−1、248−2、248−3で受け取られるかを判断することにより、粒子201の蛍光シグナルの波長を求めることができる。検出器246の傾斜位置248−1、248−2、248−3は、異なるスペクトル色成分に対応することができる。例えば、傾斜位置248−1は、第1のスペクトル色成分に対応することができ、傾斜位置248−2は、第2のスペクトル色成分に対応することができ、傾斜位置248−3は、第3のスペクトル色成分に対応することができる。
【0066】
スペクトル色成分は、平面反射レンズ244の傾斜位相プロファイルから、検出器246において傾斜位置248−1、248−2、248−3で受け取ることができる。例えば、光源240によって発生する光は、基板242を通って伝播し、粒子201の蛍光シグナルを励起し、透明チップ204から平面反射レンズ244の傾斜位相プロファイルに反射することができる。平面反射レンズ244の傾斜位相プロファイルは、検出器246においてそれぞれの傾斜位置248−1、248−2、248−3にスペクトル色成分を向ける(例えば、反射する)。
【0067】
図3は、本開示と整合する分光顕微鏡(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した分光顕微鏡100、238)の方法320例のフローチャートを示す。例えば、方法320は、検出器(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した検出器114、247)によって、複数の蛍光シグナルの波長を求めるように行うことができる。
【0068】
322に示すように、方法320は、光源(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した光源108、240)によって、流体の複数の粒子の複数の蛍光シグナルを励起するように励起光を発生させることを含むことができ、流体は、流路(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した流路102、202)内に位置する。励起光は、検出器によって検出することができる複数の粒子の蛍光シグナルの蛍光励起を発生させるために十分な光出力で発生させることができる。
【0069】
幾つかの例では、励起光は、光源から、透明チップ(例えば、
図1に関連して記載した透明チップ104)を通り、複数の粒子を有する流体を含む流路を更に通って伝播することができる。励起光は、流路内の流体の複数の粒子の間の1つの粒子(例えば、
図1に関連して上述した粒子101)を照明することができる。そして、励起光は、透明チップ(例えば、
図1に関連して上述した透明チップ104)を通り、平面回折レンズ(例えば、
図1に関連して上述した平面回折レンズ112)を通って伝播することができる。
【0070】
幾つかの例では、励起光は、基板(例えば、
図2に関連して記載した基板242)を通り、透明チップ(
図2に関連して記載した透明チップ204)を更に通り、複数の粒子を有する流体を含む流路を更に通って伝播することができる。励起光は、流路内の流体の複数の粒子の間の1つの粒子(例えば、
図2に関連して記載した粒子201)を照明することができる。励起光は、この場合もまた、平面反射レンズから反射される。
【0071】
324に示すように、方法320は、検出器において、平面回折レンズの軸方向焦点から励起光を受け取ることを含むことができる。例えば、平面回折レンズを通って伝播した後、励起光は、検出器において、軸方向位置(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した軸方向位置116、247)で受け取ることができる。
【0072】
励起光は、検出器において、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向位相プロファイルから軸方向位置で受け取ることができる。例えば、励起光は、平面回折レンズの軸方向位相プロファイルを通って伝播するか、又は平面反射レンズから反射することができ、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向位相プロファイルは、励起光を検出器の軸方向位置に向ける。
【0073】
平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向焦点から受け取られる励起光は、粒子を撮像するために用いることができる。例えば、粒子を撮像することは、粒子のサイズ及び/又は形状を求めることを含むことができる。粒子のサイズ及び/又は形状は、分光顕微鏡を用いて行われる診断測定に対して有用である可能性がある。
【0074】
粒子を撮像することは、粒子のサイズ及び/又は形状を求めることとして記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、粒子を撮像することは、粒子の他の物理的特徴を求めることを含むことができる。
【0075】
326に示すように、方法320は、検出器において、平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜焦点から、検出器の複数の位置で複数の蛍光シグナルの複数のスペクトル色成分を受け取ることを含むことができる。例えば、平面回折レンズを通って伝播するか又は平面反射レンズから反射した後、複数の粒子の間の1つの粒子の蛍光シグナルのスペクトル色成分は、検出器において、傾斜位置(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した傾斜位置118−1、118−2、118−3、248−1、248−2、248−3)で受け取ることができる。
【0076】
スペクトル色成分は、検出器において、平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜位相プロファイルから傾斜位置で受け取ることができる。例えば、励起光は、粒子の蛍光シグナルを照明した(例えば、励起した)後、平面回折レンズの傾斜位相プロファイルを通って伝播するか、又は平面反射レンズの傾斜位相プロファイルから反射することができる。平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜位相プロファイルは、スペクトル色成分を検出器の傾斜位置に向ける。
【0077】
検出器において複数のスペクトル色成分を受け取ることは、検出器の異なる位置で複数のスペクトル色成分の異なるスペクトル色成分を受け取ることを含むことができる。異なる粒子は、一意のスペクトル色成分に対応することができる異なる蛍光シグナルを有することができる。例えば、第1のスペクトル色成分を有する第1の粒子は、第2のスペクトル色成分を有する第2の粒子とは異なる蛍光シグナルを有することができる。第1の粒子の第1のスペクトル色成分は、検出器において第1の傾斜位置で受け取られ、第2の粒子の第2のスペクトル色成分は、検出器において第2の傾斜位置で受け取られ、検出器における第1の傾斜位置は、検出器における第2の傾斜位置とは異なる。
【0078】
検出器における異なる位置は、複数の蛍光シグナルの異なる波長に対応することができる。例えば、第1の傾斜位置で受け取られる第1の粒子の第1のスペクトル色成分は、635ナノメートル(nm)の波長に対応することができる。第2の傾斜位置で受け取られる第2の粒子の第2のスペクトル色成分は、645nmの波長に対応することができる。
【0079】
検出器の第1の傾斜位置と検出器の第2の傾斜位置とは、それぞれ635nm及び645nmの波長に対応するものとして記載するが、本開示の例はそのように限定されない。例えば、検出器の異なる位置は、他の任意の波長に対応することができる。
【0080】
328に示すように、方法320は、検出器により、複数の蛍光シグナルの波長を求めることを含むことができる。複数の蛍光シグナルの波長は、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向焦点から受け取られる励起光と、複数のスペクトル色成分の各々が平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜焦点から受け取られる検出器のそれぞれの位置とを用いて求めることができる。
【0081】
粒子の蛍光シグナルの波長は、粒子の蛍光シグナルのスペクトル色成分が検出器において受け取られる位置を判断することによって求めることができる。例えば、粒子のスペクトル色成分が、黄色のスペクトル色成分に対応する検出器の傾斜位置で受け取られ、黄色のスペクトル色成分に対応する検出器の傾斜位置が、635nmの波長に対応する場合、検出器は、粒子の蛍光シグナルの波長が635nmであると判断することができる。別の例として、粒子のスペクトル色成分が、青色のスペクトル色成分に対応する検出器の傾斜位置で受け取られ、青色のスペクトル色成分に対応する検出器の傾斜位置が645nmの波長に対応する場合、検出器は、粒子の蛍光シグナルの波長が645nmであると判断することができる。
【0082】
幾つかの例では、検出器は、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向焦点から受け取られる励起光を利用して、粒子の位置の横方向シフトを補正することができる。例えば、マイクロ流体流路の中心に対して横方向シフトを有する粒子からのスペクトル光は、予期されない検出器の傾斜位置で受け取られる可能性がある。検出器は、軸方向焦点からの励起光を利用して、スペクトル色成分のシフトを補正することができる。
【0083】
流体が流路を通って流れる際に、複数の粒子の複数の蛍光シグナルの波長を求めることができる。例えば、光源からの励起光が複数の粒子の蛍光シグナルを励起している間、複数の粒子を含む流体は流路を通って流れることができる。
【0084】
検出器が透明チップを通過して移動する際、複数の粒子の複数の蛍光シグナルの波長を求めることができる。例えば、検出器及び光源が透明チップを通過して移動して、光源からの励起光が複数の粒子の蛍光シグナルを励起する間、透明チップを固定することができる。
【0085】
本明細書に記載するように、方法は、複数の粒子の複数の蛍光シグナルを励起するように、光源によって励起光を発生させることを含むことができる。検出器は、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向焦点から励起光を受け取り、平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜焦点から複数の蛍光シグナルの複数のスペクトル色成分を受け取ることができる。検出器は、平面回折レンズ又は平面反射レンズの軸方向焦点から受け取られる励起光と、複数のスペクトル色成分の各々が平面回折レンズ又は平面反射レンズの傾斜焦点から受け取られる検出器のそれぞれの位置とに基づいて、複数の蛍光シグナルの波長を更に求めることができる。この方法を利用することにより、小型の分光顕微鏡において統合された構成要素を用いて、複雑な及び/又は精密なアライメント構成を有する大型の光学部品を備えたシステムを不要として、粒子の撮像及び検出を可能にすることができる。
【0086】
図4は、本開示と整合する分光顕微鏡(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した分光顕微鏡100、238)に対する検出器431(例えば、
図1及び
図2にそれぞれ関連して記載した検出器114、247)の一例の図を示す。検出器431は、メモリリソース432及び処理リソース436を含むことができる。
【0087】
検出器431は、
図1〜
図3に関連して記載した要素を実行するために、ハードウェア、非一時的機械可読媒体上の機械可読命令、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0088】
ハードウェアは、例えば、処理リソース436及び/又はメモリリソース432(例えば、コンピュータ可読媒体(CRM)、機械可読媒体(MRM)、データベース等)を含むことができる。本明細書において用いられるとき、処理リソース436は、メモリリソース432によって記憶された命令を実行することができる任意の数のプロセッサを含むことができる。処理リソース436は、単一のデバイスに実装するか又は複数のデバイスにわたって分散させることができる。機械可読命令(例えば、コンピュータ可読命令(CRI))は、メモリリソース432に記憶され、かつ処理リソース436によって所望の要素(例えば、平面レンズの軸方向焦点から受け取られた励起光と、複数のスペクトル色成分の各々が平面レンズの傾斜焦点から受け取られる検出器431におけるそれぞれの位置とに基づいて、複数の蛍光シグナルの波長を求める検出器431等)を実施するために実行可能な、命令を含むことができる。
【0089】
メモリリソース432は、処理リソース436と通信することができる。本明細書において用いられるとき、メモリリソース432は、処理リソース436によって実行することができる命令を記憶することができる任意の数のメモリコンポーネントを含むことができる。こうしたメモリリソース432は、非一時的CRM又はMRMとすることができる。メモリリソース432は、単一デバイスに組み込むか又は複数のデバイスにわたって分散させることができる。さらに、メモリリソース432は、処理リソース436と同じデバイスに完全に若しくは部分的に組み込むことができるか、又は、別個であるが、それらのデバイス及び処理リソース436がアクセス可能とすることができる。したがって、検出器431は、参加者デバイスで、サーバデバイスで、サーバデバイスの集まりで、及び/又は参加者デバイス及びサーバデバイスの組合せで実装することができることが留意される。
【0090】
メモリリソース432は、通信リンク(例えば、経路)434を介して処理リソース436と通信することができる。通信リンク434は、処理リソース436に関連する機械(例えば、検出器431)に対してローカル又はリモートとすることができる。ローカル通信リンク434の例としては、機械(例えば、検出器)の内部の電子バスを挙げることができ、そこでは、メモリリソース432は、電子バスを介して処理リソース436と通信する、揮発性、不揮発性、固定及び/又は取外し可能な記憶媒体のうちの1つである。
【0091】
本明細書において用いられるとき、「ロジック」は、本明細書に記載した特定の動作及び/又は要素を実行する代替的な又は追加の処理リソースである。ロジックは、ハードウェアを含むことができる。ハードウェアは、機械可読媒体上の機械可読命令とは別個である、回路等の処理リソースを含むことができる。さらに、本明細書において用いられるとき、「1つの(a)」又は「複数の」何かは、1つ以上のそうしたものを指すことができる。例えば、「複数のウィジェット」は、1つ以上のウィジェットを指すことができる。
【0092】
上記明細書、例及びデータは、本開示の方法及び応用、並びにシステム及び方法の使用の説明を提供する。本開示のシステム及び方法の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの例を作成することができるため、本明細書は、単に、多くのあり得る例示的な構成及び実施態様のうちの幾つかを示すにすぎない。