特許第6603410号(P6603410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603410
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】3次元身体矯正装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20191028BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   A61F5/01 E
   A61F5/02 G
   A61F5/01 G
   A61F5/02 D
   A61F5/02 K
   A61F5/01 K
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-521810(P2018-521810)
(86)(22)【出願日】2016年7月13日
(65)【公表番号】特表2018-529485(P2018-529485A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】KR2016007584
(87)【国際公開番号】WO2017010797
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2018年1月12日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0099604
(32)【優先日】2015年7月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518013523
【氏名又は名称】パク ユン ミ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ユン ミ
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特表平09−507133(JP,A)
【文献】 特開2011−062245(JP,A)
【文献】 特開2002−065710(JP,A)
【文献】 特開平08−322865(JP,A)
【文献】 特開平11−104159(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0303535(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2015−0005892(KR,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2008−0004855(KR,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0000899(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の左右両側端のうち正常状態に比べて変位した高点部を支持する高点支持部と、
少なくとも一部がベルトからなり、前記高点支持から下方に斜めに延長され、前記高点支持部に対して、前記高点部の回転変位に反対する方向に張力が作用する傾斜ベルト部と、
少なくとも一部がベルトからなり、前記傾斜ベルト部の下端部と部分的に重なるように身体を水平方向に囲んで圧迫する水平ベルト部と、
前記傾斜ベルト部の下端部と前記水平ベルト部が接する境界をなし、前記水平ベルト部の少なくとも一部によって身体の一側に圧迫されて身体に対して滑らないように支持される重畳支持部と、を含み、
前記高点支持部は、前記高点部を囲むバンドを含み、前記バンド前記高点部に一方で前記傾斜ベルト部と連結されたことを特徴とする3次元身体矯正装置。
【請求項2】
前記高点支持部は、一方に突出した肩甲骨に対応する位置に配置され、前記バンドと前記傾斜ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される肩甲骨パッドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項3】
前記水平ベルト部と重なるように配置されたもので、突出した肋骨部位に対応する位置に配置されて前記水平ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される肋骨パッドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項4】
前記高点支持部は、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がった側の腸骨陵部位に対応する骨盤支持部を含み、前記水平ベルト部と身体の間に両側の股関節部位にそれぞれ対応するように配置された1対の股関節パッドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項5】
前記水平ベルト部の少なくとも一部によって身体の一側に加圧されて身体の一部を圧迫する少なくとも1つのクッションパッドと、
前記傾斜ベルト部及び前記水平ベルト部の一側に配置され、前記傾斜ベルト部、前記水平ベルト部及び前記少なくとも1つのクッションパッドの相対的な位置を定義するスキンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのクッションパッドは、前記スキン内のある位置に固定され、前記傾斜ベルト部及び前記水平ベルト部の少なくとも一部分が前記スキンによって支持されることを特徴とする請求項5に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項7】
前記スキンは、前記水平ベルト部と重なる部分が着用者の変位した身体部分を囲んでその両端部が互いに付着されるように形成され、前記スキン一側面の一部に前記傾斜ベルト部及び前記水平ベルト部が張力の印加された状態で付着されるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項8】
前記高点支持部は、身体の一部を加圧するように一側に突出した高点加圧パッドを含むことを特徴とする請求項5に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項9】
前記高点加圧パッドは、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がった側の腸骨陵部位に対応する骨盤パッドであり、
前記少なくとも1つのクッションパッドは、着用者の両側の股関節部位にそれぞれ対応する位置に固定された1対の股関節パッドであり、
前記傾斜ベルト部は、前記骨盤パッドから着用者の他方側に延長された他方の傾斜ベルトと、着用者の一方側に延長された一方の傾斜ベルトを含み、
前記他方の傾斜ベルトと前記一方の傾斜ベルトはそれぞれ前記スキン一側面に付着されるように形成されたことを特徴とする請求項8に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項10】
前記骨盤パッドの両側から延長され、着用者の身体の一部によって支持されて前記骨盤パッドを下方に引っ張る力を加える補助ベルトをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項11】
前記水平ベルト部は、前記少なくとも1つのクッションパッドのうち前記高点支持部に相対的に近いクッションパッドから着用者の他方側に延長された他方の水平ベルトと、着用者の一方側に延長された一方の水平ベルトを含み、前記他方の水平ベルトと前記一方の水平ベルトは、それぞれ前記スキン一側面に付着されるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項12】
前記水平ベルト部は動滑車型ベルト引張構造を含むことを特徴とする請求項5に記載の3次元身体矯正装置。
【請求項13】
上半身型3次元身体矯正装置と、
下半身型3次元身体矯正装置と、を含み、
前記上半身型3次元身体矯正装置は、
着用者の肩のうち正常状態に比べて変位した片方の肩の周りを環状に囲むバンドと、
少なくとも一部がベルトからなり、前記バンド一方から下方に斜めに延長され、前記片方の肩の変位に反対する方向に張力が作用する第1傾斜ベルト部と、
少なくとも一部がベルトからなり、着用者の身体を水平方向に囲んで圧迫し、前記第1傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第1水平ベルト部と、を含み、
前記下半身型3次元身体矯正装置は、
着用者の骨盤のうち正常状態に比べて変位した側の腸骨陵部位を支持する骨盤支持部と、
前記骨盤支持部の両側から下方に斜めに延長され、その回転変位に反対する方向に張力が作用する第2傾斜ベルト部と、
少なくとも一部がベルトからなり、着用者の身体を水平方向に囲んで圧迫し、前記第2傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第2水平ベルト部と、を含むことを特徴とする全身の3次元身体矯正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先天または後天的に変形した身体を矯正する身体矯正器具に関し、より詳細には、脊柱側弯症(scoliosis)の矯正に適したベルト型矯正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
脊柱側弯症は脊柱が異常に変形したもので、一般的には脊椎が正面からみて横に曲がったことを指すが、実際には単純な2次元的な奇形ではなく、椎体自体の回転変形が伴って横からみても正常的な湾曲状態ではない3次元的な変形を示す状態である。
【0003】
図1には、脊柱側弯症患者の骨格の形態を示した。示されているように、患者の後方からみて、胸椎部分が右側に湾曲されている。胸椎の中央部は、患者の頭上から見下ろす方向を基準として、時計回りに回転して右側の肋骨が後方に突出している。しかし、脊椎は頸椎側に向かう程、徐々に反時計回りに曲がって、右側の肩は相対的に上に上がるとともに前方に向かっている。また、骨盤は時計回りに歪んで左側の腸骨が上に上がるとともに前方に向かっている。
【0004】
図2には、脊柱側弯症患者の身体変形を模式的に示した。図1のように脊椎の中心線SPの中央部、即ち、胸椎部分が右側に湾曲されている。その結果、肩の線SHは右側が上に上がっるとともに、反時計回りに歪んでおり、右側の肩甲骨の内側の部分が後方に突出している。胸の線CHも右側が上に上がるとともに時計回りに歪んでおり、骨盤の線PEは左側が他場や高く、時計回りに歪んでいる。このように、脊柱側弯症による身体変形は3次元的に起こる。また、脊椎の回転変形によって、肋骨は右側の後方と左側の前方に突出し、左側の後方は内側に陥入した状態である。このような変形は継続的に行われる傾向があるが、胸腔の変形が酷くなると、肺活量が減って呼吸困難が起こるなど臓器の機能が低下することもある。
【0005】
医療補助器具の分野では、脊柱側弯症による不便さと危険を軽減すべく、様々な矯正器具が提案されている。例えば、特許文献1の「脊柱側弯症補助機」と特許文献2の「身体矯正のための矯正ベルト」などがあるが、これらは構造が複雑であるため、着用しにくく、脊椎の回転変形を含む3次元的な変形を矯正することができないという問題がある。一方、本出願人は、このような問題点を解決するための1つの方案として特許文献3の「ベルト型脊柱側弯症矯正機」を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10−2010−89953号
【特許文献2】韓国公開実用新案公報第20−2010−5951号
【特許文献3】韓国登録特許公報第10−1508579号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するために提案されたもので、脊椎の中心線が横に曲がる2次元的な変形だけでなく、脊椎の回転を伴う3次元的な変形を矯正することができる3次元身体矯正ベルトを提供することにその目的がある。
【0008】
また、腰と骨盤及び股関節部分の変形だけでなく、肩と肋骨を含む胸椎部分の変形まで効果的に矯正できる3次元身体矯正ベルトを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すべく、本発明による3次元身体矯正装置は、身体の左右両側端のうち正常状態に比べて変位した高点部を支持する高点支持部と、少なくとも一部がベルトからなり、上記高点支持から下方に斜めに延長され、上記高点支持部に対して、上記高点部の回転変位に反対する方向に張力が作用する傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、上記傾斜ベルト部の下端部と部分的に重なるように身体を水平方向に囲んで圧迫する水平ベルト部と、上記傾斜ベルト部の下端部と上記水平ベルト部が接する境界をなし、上記水平ベルト部の少なくとも一部によって身体の一側に圧迫されて身体に対して滑らないように支持される重畳支持部と、を含み、上記高点支持部は、片方の肩の周りを環状に囲むバンドを含み、上記バンドは肩の一方で上記傾斜ベルト部と連結される。なお、本明細書において、ベルトは弾性ベルトであることができ、また、バンドは環状肩バンドであることができる。
【0010】
上記高点支持部は、一方に突出した肩甲骨に対応する位置に配置され、上記肩バンドと上記傾斜ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される肩甲骨パッドをさらに含んでもよい。
【0011】
また、上述した3次元身体矯正装置は、上記水平ベルト部と重なるように配置されたもので、突出した肋骨部位に対応する位置に配置されて上記水平ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される肋骨パッドをさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の一側面による3次元身体矯正装置は、身体の左右両側端のうち正常状態に比べ
て変位した高点部を支持する高点支持部と、少なくとも一部がベルトからなり、上記高点支持から下方に斜めに延長され、上記高点支持部に対して、上記高点部の回転変位に反対する方向に張力が作用する傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、上記傾斜ベルト部の下端部と部分的に重なるように身体を水平方向に囲んで圧迫する水平ベルト部と、上記傾斜ベルト部の下端部と上記水平ベルト部が接する境界をなし、上記水平ベルト部の少なくとも一部によって身体の一側に圧迫されて身体に対して滑らないように支持される重畳支持部と、を含み、上記高点支持部は、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がった側の腸骨陵部位に対応する骨盤支持部を含み、上記水平ベルト部と身体の間に両側の股関節部位にそれぞれ対応するように配置された1対の股関節パッドをさらに含む。
【0013】
本発明の一側面による3次元身体矯正装置は、身体の左右両側端のうち正常状態に比べて変位した高点部を支持する高点支持部と、少なくとも一部がベルトからなり、上記高点支持から下方に斜めに延長され、上記高点支持部に対して、上記高点部の回転変位に反対する方向に張力が作用する傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、身体を水平方向に囲んで圧迫する水平ベルト部と、上記水平ベルト部の少なくとも一部によって身体の一側に加圧されて身体の一部を圧迫する少なくとも1つのクッションパッドと、着用者の身体と接触するように上記傾斜ベルト部及び上記水平ベルト部の一側に配置され、上記傾斜ベルト部、上記水平ベルト部及び上記少なくとも1つのクッションパッドの相対的な位置を定義するスキンと、を含む。なお、本明細書において、スキンは柔軟性スキンであることができる。
【0014】
ここで、上記少なくとも1つのクッションパッドは、上記スキン内のある位置に固定され、上記傾斜ベルト部及び上記水平ベルト部の少なくとも一部分が上記スキンによって支持されることにより、これらの相対的な位置が定義されることができる。
【0015】
上記スキンは、上記水平ベルト部と重なる部分が着用者の変位した身体部分を囲んでその両端部が互いに付着されるように形成され、上記スキン一側面の一部に上記傾斜ベルト部及び上記水平ベルト部が張力の印加された状態で付着されるように形成されてもよい。張力が印加された状態で付着されるとは、例えば、上記傾斜ベルト部及び上記水平ベルト部の少なくとも一部を構成するベルト部材が引張された状態で、その端部が上記スキン一側面に付着されることを意味する。
【0016】
上記高点支持部は、身体の一部を加圧するように一側に突出した高点加圧パッドを含んでもよい。
【0017】
この場合、上記高点加圧パッドは、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がった側の腸骨陵部位に対応する骨盤パッドであり、上記少なくとも1つのクッションパッドは、着用者の両側の股関節部位にそれぞれ対応する位置に固定された1対の股関節パッドであり、上記傾斜ベルト部は、上記骨盤パッドから着用者の他方側に延長された他方の傾斜ベルトと、着用者の一方側に延長された一方の傾斜ベルトを含み、上記他方の傾斜ベルトと上記一方の傾斜ベルトは、それぞれ上記スキン一側面に付着されるように形成されてもよい。このとき、上記骨盤パッドの両側から延長され、着用者の身体の一部によって支持されて上記骨盤パッドを下方に引っ張る力を加える補助ベルトをさらに含んでもよい。なお、本明細書において、一方の傾斜ベルトは後方傾斜ベルトであることができ、また、他方の傾斜ベルトは前方傾斜ベルトであることができる。
【0018】
上記高点支持部は、他方に歪んだ片方の肩の周りを環状に囲むバンドを含み、上記バンドは、肩の一方で上記傾斜ベルト部と連結されてもよい。
【0019】
この場合、上記高点支持部は、一方に突出した肩甲骨に対応する位置に配置され、上記バンドと上記傾斜ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される肩甲骨パッドをさらに含んでもよい。
【0020】
一方、上記水平ベルト部は、上記少なくとも1つのクッションパッドのうち上記高点支持部に相対的に近いクッションパッドから着用者の他方側に延長された他方の水平ベルトと、着用者の一方側に延長された一方の水平ベルトを含み、上記他方の水平ベルトと上記一方の水平ベルトは、それぞれ上記スキン一側面に付着されるように形成されてもよい。なお、本明細書において、一方の水平ベルトは後方水平ベルトであることができ、また、他方の水平ベルトは前方水平ベルトであることができる。
【0021】
一方、上記水平ベルト部は動滑車型ベルト引張構造を含んでもよい。
【0022】
本発明の一側面による全身の3次元身体矯正装置は、上半身型3次元身体矯正装置と、下半身型3次元身体矯正装置と、を含み、上記上半身型3次元身体矯正装置は、着用者の肩のうち正常状態に比べて変位した片方の肩の周りを環状に囲むバンドと、少なくとも一部がベルトからなり、上記バンド一方から下方に斜めに延長され、上記片方の肩の変位に反対する方向に張力が作用する第1傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、着用者の身体を水平方向に囲んで圧迫し、上記第1傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第1水平ベルト部と、を含み、上記下半身型3次元身体矯正装置は、着用者の骨盤のうち正常状態に比べて変位した側の腸骨陵部位を支持する骨盤支持部と、上記骨盤支持部の両側から下方に斜めに延長され、その回転変位に反対する方向に張力が作用する第2傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、着用者の身体を水平方向に囲んで圧迫し、上記第2傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第2水平ベルト部と、を含む。
【0023】
ここで、第1水平ベルト部及び第2水平ベルト部が第1傾斜ベルト部及び第2傾斜ベルト部のそれぞれの下端部を直接または間接的に支持するとは、直接接触するか、互いに連結されて支持する構成だけでなく、他の部材を介して間接的に力を伝達して支持する構成を含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明による3次元身体矯正装置は、脊椎の湾曲と回転を含む3次元的な変形を矯正することができながらも、比較的単純で直観的な形態を有し、身体変形の程度に応じた調整が容易である。
【0025】
また、本発明による3次元身体矯正装置は、腰と骨盤及び股関節部分はもちろん、肩と肋骨の変形を伴う胸椎部分の変形まで矯正することができる。これにより、上半身と下半身の中心がずれて歪むことで上半身の中心が崩れる現象を防止し、これを効果的に矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】脊柱側弯症患者の骨格の形態を示した。
図2】脊柱側弯症患者の身体の変形を模式的に示した。
図3】本発明の一実施例による上半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示した。
図4】上記図3の実施例による上半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
図5】上記図4のV−V’断面を示した。
図6】上記図4のVI−VI’断面を示した。
図7】本発明の一実施例による下半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示した。
図8】上記図7の実施例による下半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
図9】上記図8における重畳支持部の付近を部分拡大して示した。
図10】本発明の一実施例による上半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示した。
図11】上記図10の実施例による上半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
図12】上記図11の実施例における動滑車型ベルト引張構造の作動原理を示した。
図13】本発明の一実施例による下半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示した。
図14】上記図13の実施例による下半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
図15】上記図14の実施例における動滑車型ベルト引張構造の作動原理を示した。
図16】上記図13の実施例に対する一変形例を示した。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付した図面を参照して本発明の実施例を説明する。以下で説明する実施例は、様々な形態に変形でき、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。本発明の実施例は、当該分野で通常の知識を有する者に発明の技術的思想を明確に伝えるために提供される。
【0028】
本発明による3次元身体矯正装置は、身体の左右両側端のうち正常状態より上に上がっているとともに、前後側に回転変位した歪み部分がある場合、その矯正のために使用することができる。代表的に、肩と肋骨部位の傾きと歪みを含む胸椎部位の変形に対する矯正と、脊柱と連結された骨盤の傾きと歪み等を含む骨盤部位の変形に対する矯正などに適用することができる。以下では、便宜上、前者の場合により好適な実施例を上半身型3次元身体矯正装置とし、後者の場合により好適な実施例を下半身型3次元身体矯正装置とする。
【0029】
図3には、本発明の一実施例による上半身型3次元身体矯正装置の着用状態を着用者の後方からみた様子を示した。図4には、上記図3の実施例による上半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
【0030】
本実施例による上半身型3次元身体矯正装置は、大きく傾斜ベルト部10と水平ベルト部20からなる。傾斜ベルト部10の上端部には、着用者の両側の肩のうち相対的に上に上がって他方に歪んだ肩を囲む肩バンド11が備えられる。上記肩バンド11は、身体の左右両側のうち正常状態より上に上がっているとともに前後側に回転変位した、歪んだ高点部を支持する高点支持部の一例であって、肩の歪みと逆方向である後下方に斜めに延長された傾斜ベルト12と連結される。上記傾斜ベルト12は弾力のあるベルト部材からなり、上記肩バンド11に張力が作用する。上記肩バンド11もベルト部材からなってもよいことは言うまでもない。一方、上記肩バンド11と上記傾斜ベルト12が接する部分には、一方に突出した肩甲骨をベルト部材の張力で圧迫する肩甲骨パッド13が備えられてもよい。
【0031】
上記傾斜ベルト12の下端部は水平ベルト部20に繋がるが、これらが接する境界にはループ状で身体を囲んで一側に圧迫する水平ベルト部20の一部分と重なり、その圧迫する力によって身体に対して滑らないように支持される重畳支持部が形成される。上記重畳支持部は、例えば、前方肋骨パッド15を含んで構成されてもよい。上記前方肋骨パッド15は、着用者の前方の一側に突出した肋骨部位に対応する位置に配置されるが、大体、上述した肩甲骨パッド13の対角線の反対側に位置する。上記前方肋骨パッド15の一側は上述した傾斜ベルト12と連結され、他側は水平ベルト21と連結される。
【0032】
上記傾斜ベルト12と上記前方肋骨パッド15は、長さ調節部を介して連結される。上記長さ調節部は、着用者の身体サイズに合わせて上記傾斜ベルト12の長さを調節する役割だけでなく、着用者の身体の変形程度に応じて上記傾斜ベルト12にかかる張力を調節する役割もする。上記前方肋骨パッド15として例示された重畳支持部は、着用者の身体に対して滑らないように支持されるため、上記傾斜ベルト12の長さが短くなるほど、上記肩バンド11に及ぼす張力が強くなる。
【0033】
上記前方肋骨パッド15から始まった水平ベルト21は、着用者の胸部をループ状に囲んで再び上記前方肋骨パッド15に戻ってその一側面の少なくとも一部と重なり、固定部24によって上記水平ベルト21の一側面の一部に固定されてもよい。上記固定部24は、例えば、ベルクロのように固定するとともに上記水平ベルト21のうち身体を囲む部分の長さを調節することができるように構成されてもよい。但し、これに限定されず、フックやバックルなど様々な固定方法で実現されてもよい。
【0034】
一方、上記水平ベルト21が通る区間のうち着用者の一方に突出した肋骨部位に対応する位置には、上記水平ベルト21の張力によって身体の一側に圧迫される後方肋骨パッド22が備えられてもよい。また、着用者の身体状態に応じて追加部位に対する圧力が必要な場合、該当位置に補助圧迫パッド23をさらに備えてもよい。これらは上記水平ベルト21の長さ方向に沿って位置が移動できるように設けられてもよい。
【0035】
上記水平ベルト部20は、このようにベルト部材からなる水平ベルト21を利用して身体の両側端を連結する横軸に対して、歪んだ方向に突出した胸部を身体の一側に圧迫して矯正する役割をするが、前方肋骨パッド15と後方肋骨パッド22などを含んで異常に突出した部分を集中的に圧迫し、変形によって相対的に陥入した部分に圧迫が加わらないようにする機能を行う。上記前方及び後方肋骨パッド15、22を含む部分についてより詳細に説明すると、以下の通りである。
【0036】
図5には上記図4のV−V’断面を示し、図6には上記図4のVI−VI’断面を示した。
【0037】
まず、図5を参照すると、傾斜ベルト12の下端部が長さ調節部152を介して上記前方肋骨パッド15に連結され、その反対側に水平ベルトの前端部21Aが連結される。上記前方肋骨パッド15と上記水平ベルトの前端部21Aも長さ調節部153を介して連結されてもよいが、上記水平ベルトの長さは上述した固定部などにより調節されてもよいため、その必要性が大きくない。上記前方肋骨パッド15における身体Bと接触する部分には、等しい圧迫と摩擦力の増加のためにクッション部材151が配置されてもよい。上記前方肋骨パッド15の両側に連結された上記傾斜ベルト12にかかる張力T1と水平ベルト21にかかる張力T2は、その大きさが異なってもよく、例えば、T1>T2の関係であってもよい。このような場合にも、上記前方肋骨パッド15のような重畳支持部は、身体Bに対して滑らないように支持され、一側への圧迫力を伝達することができる。
【0038】
また、上記前方肋骨パッド15の胴体155の一側には、例えば、リングのような形状の締結口154が形成され、胸部を一回巻いた水平ベルトの後端部21Bと締結されてもよい。本実施例によると、上記水平ベルトの後端部21Bは上記締結口154にかけてから反対に折り曲がり、その折り曲がった水平ベルトの固定端部21Cは、その一側に設けられたベルクロ21Vにより上記水平ベルトの後端部21Bに固定されてもよい。このような締結構造は、長さ調節を容易にしながらも水平ベルト部20の圧迫力を強くすることができる点で有利であるが、これに限定されるものではない。
【0039】
次いで、図6を参照すると、上述した後方肋骨パッド22が水平ベルト21の張力T2によって身体Bの一部を圧迫する様子を見ることができる。ここで、後方肋骨パッド22もクッション部材を含んで構成されてもよく、水平ベルト21が上記後方肋骨パッド22の一側面に設けられたリングを通過する方式で設けられることにより、上記後方肋骨パッド22が上記水平ベルト21の長さ方向に沿って移動できるようにすることができる。
【0040】
図7には、本発明の一実施例による下半身型3次元身体矯正装置の着用状態を着用者の後方から見た様子を示し、図8には、上記図7の実施例による下半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。図9には、上記図8における重畳支持部の付近を部分拡大して示した。
【0041】
本実施例による下半身型3次元身体矯正装置は、1つのループ状をなす傾斜ベルト部30ともう1つのループ状をなす水平ベルト部40からなる。傾斜ベルト部30の上端部には、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がって他方に歪んだ側の腸骨陵部位を囲む骨盤支持部31が備えられる。上記骨盤支持部31は上述した高点支持部の一例であって、骨盤の歪みと反対方向ある後下方に斜めに延長された傾斜ベルト32と連結される。上記傾斜ベルト32は、弾力のあるベルト部材からなり、上記骨盤支持部31の後下方に集中した張力が作用する。上記骨盤支持部31の他方他方の傾斜ベルト32Aが連結され、その一方一方の傾斜ベルト32Bが連結されるが、これらにかかる張力は互いに異なる。示されたように、一方の傾斜ベルト32Bにかかる張力が相対的に大きい場合、上記骨盤支持部31には上に上がり他方に歪んだ側の骨盤を下に引き下ろしながら、歪んだ反対方向に回転させる力が作用するようになる。
【0042】
上記傾斜ベルト32の下端部は水平ベルト部40に繋がるが、これらが接する境界には、ループ状で身体を囲んで一側に圧迫する水平ベルト部40の一部分と重なりながら、その圧迫する力によって身体に対して滑らないように支持される重畳支持部35が形成される。上記重畳支持部35は、例えば、第1クッションパッド351を含んで構成されてもよい。上記第1クッションパッド351は、着用者の他方の一側において、上述した他方の傾斜ベルト32Aの前端部及び一方の傾斜ベルト32Bの後端部と着用者の身体との間に配置されて圧力を分散させ、摩擦力を増加させることができる。上述した上半身型3次元身体矯正装置における他方肋骨パッドもこのような第1クッションパッドの一種とみることができる。上記第1クッションパッド351は、一方の傾斜ベルト32Bの後端部と連結された他方の水平ベルト41Aの前端部により身体の一側に加圧されて支持される。
【0043】
上記一方の傾斜ベルト32Bの後端部と上記他方の水平ベルト41Aの前端部は同じベルト部材で連続的に形成されてもよいが、この場合、これらが重なった部分324Aに作用する摩擦力によって上記他方の傾斜ベルト32Aの前端部が支持されるため、上記骨盤支持部31の両側に異なる張力T3、T4が印加されることができる。一方、上記他方の水平ベルト41Aの前端部から着用者の股関節部位の周りを一回巻いた一方の水平ベルト41Bの端部41Cは、上記他方の傾斜ベルト32Aの前段に設けられたリング状の締結口354にかかって反対方向に折り曲がって、ベルクロ41Vのような固定部により固定されてもよい。このような構造は、股関節部位を囲んで圧迫する水平ベルト部40の長さと張力の強さが容易に調節できるようにする。
【0044】
一方、このような形態の重畳支持部35は、傾斜ベルト部30の長さを調節する機能も
兼ねることができる。これは、上記一方の傾斜ベルト32Bが上述したリング状の締結口354の付近を通るとき、その一側面324Bを上記一方の水平ベルト41Bの後端部が圧迫することにより、上記骨盤支持部31から上記リング状の締結口354を通過する前までの上記一方の傾斜ベルト32Bの長さが着用時に調節された状態に保持できるからである。
【0045】
一方、上記水平ベルト部40が通る区間のうち上記骨盤支持部31の下部の股関節に対応する位置には、上記水平ベルト41の張力によって身体の一側に圧迫される股関節パッド42が備えられてもよい。上記股関節パッド42は、上記水平ベルト41の長さ方向に沿って位置が移動できるように設けられてもよく、上記股関節パッド42の位置は上述した他方の水平ベルト41Aと一方の水平ベルト41Bの境界に該当し、実際、これらは互いに連続的に連結されたものであってもよい。上記股関節パッド42は、重畳支持部の反対側に配置され水平ベルト部の張力によって身体の一側に圧迫される第2クッションパッドの一例に該当するもので、上述した上半身型3次元身体矯正装置における後方肋骨パッドも第2クッションパッドに該当する。
【0046】
上記水平ベルト部40は、このようにベルト部材からなる水平ベルト41及び股関節パッド42を利用して、骨盤の歪みにより緩く開いた股関節を身体の一側に圧迫して矯正する役割をする。
【0047】
図10には、本発明の一実施例による上半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示し、図11には、上記図10の実施例による上半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
【0048】
本実施例による3次元身体矯正装置201は、上述した実施例と同様に、高点支持部、傾斜ベルト部、及び水平ベルト部を含む。そして、さらにスキン205を含む。上記スキン205は、上記水平ベルト部と重なる部分が着用者の胸部を囲み、その両端部2051、2052が互いに付着するように形成される。両端部の付着は、例えば、ベルクロ部材からなってもよく、他の例として、フックやバックルなど様々な形態に変形もできる。一方、上記スキン205の一側面の一部、特に、着用時に上記傾斜ベルト部を構成する傾斜ベルト212の下端部や水平ベルト部を構成する水平ベルト221の両側端部と重なる部分にも、ベルクロなどを利用して、上記傾斜ベルト212及び水平ベルト221が傾斜方向または水平方向に引っ張られて張力が印加された状態で付着されるように形成されてもよい。
【0049】
本実施例による3次元身体矯正装置201は、胸部に着用される上半身型であって、上
記高点支持部は、他方に歪んだ片方の肩の周りを環状に囲むバンド211を含み、上記バンド211は、肩の一方で上記傾斜ベルト212と連結されるように構成されてもよい。この時、高点加圧パッドの一例として、一方に突出した肩甲骨に対応する位置に配置され、上記バンド211と上記傾斜ベルト212の張力によって身体の内側に圧迫される肩甲骨パッド213を備えてもよい。上記肩甲骨パッド213は、上記スキン205の上部、即ち、水平ベルト部と重なる部分から上側に拡張された部分に配置されてもよい。
【0050】
上記スキン205は、柔軟性のある(flexible)繊維またはメッシュ(mesh)素材をベースにして形成されてもよく、伸縮性、通気性または着用感などを向上させるために、様々な複合材料で形成されてもよいことは言うまでもない。上記スキン205は、上述した高点加圧パッドの一例としての肩甲骨パッド213、及び上述したクッションパッドの一例としての後方肋骨パッド222の相対的な位置を定義する。即ち、上記肩甲骨パッド213及び上記後方肋骨パッド222は、上記スキン205の一側の一部分にそれぞれ固定される。従って、3次元身体矯正装置201を着用する者がこれらのいずれか1つを身体の対応部位に位置させると、残りのパッドも簡単に定位置になる。このような点は、着用者の便宜性を向上させ、正確な着用を可能にして身体矯正の効果を向上させるのに役立つ。着用者の身体サイズと装置のサイズに応じて、それぞれの位置に若干のずれはあり得るが、これは上記スキン205の素材の特性上、簡単に調整できる。
【0051】
上記スキン205は、上で例示したように、複数のパッド213、222の相対的な位置を定義するだけでなく、上述した少なくとも1つのクッションパッドと傾斜ベルト部及び水平ベルト部の相対的な位置を定義する。上記傾斜ベルト部及び上記水平ベルト部は、その一部分が上記スキン205上のある位置に固定されるか、上記スキン205上に設けられた固定構造物、例えば、ベルトの進行方向をガイドするリングや穴などの構造物を介してこれらの少なくとも一部を支持することにより、その相対的な位置を定義することができる。
【0052】
一方、上記水平ベルト部は、上記肩甲骨パッド213に相対的に近いクッションパッド、例えば、後方肋骨パッド222から着用者の他方側に延長された他方の水平ベルト2212と、着用者の一方側に延長された一方の水平ベルト2211、2213を含んで構成されてもよい。上記他方の水平ベルト2212と上記一方の水平ベルト2211、2213のうち端部パート2211は、上述したように、それぞれ上記スキン205の一側面に付着されるように形成されてもよい。このように他方の水平ベルト一方の水平ベルトが互いに分離された形態は、それぞれが上記一方肋骨パッド222に作用する張力を異ならせて肋骨の回転変位を正すのに役立つことができる。
【0053】
また、上記水平ベルト221は、少なくとも一部にベルト部材を含むもので、示されたように、動滑車型ベルト引張構造224を含んでもよい。図11に示された実施例では、動滑車の役割をする2つの滑車リング224A、224Bを含み、これらの間に上記水平ベルト221の中間パート2213が配置された2重動滑車構造が適用された。このような動滑車型ベルト引張構造224の機能及び作動原理については、以下で別途の図面を参照して説明する。
【0054】
図12には、上記図11の実施例における動滑車型ベルト引張構造の作動原理を示した。
【0055】
本実施例は、2重動滑車構造が適用されたもので、上述したように水平ベルト221が他方の水平ベルト2212と一方の水平ベルトを含んで構成され、上記一方の水平ベルトは末端パート2211及び中間パート2213を含んで構成される。上記他方の水平ベルト2212の一端部と上記中間パート2213の中間部分の間には第1滑車リング224Aが配置され、上記中間パート2213の一端部と上記末端パート2211の中間部分の間には第2滑車リング224Bが配置される。一方、上記一方の水平ベルトを構成する上記末端パート2211の一側端部と上記中間パート2213の一側端部は、上述したスキンのある位置に固定される。
【0056】
このような構成により、着用者が上記末端パート2211をFの力で引っ張ると、上記第2滑車リング224Bはその力と同じ方向の2Fの力で引っ張られ、このような原理で上記第1滑車リング224Aは4Fの力で引っ張られるにようになる。その結果、上述した図11の後方肋骨パッド222は、上記一方の水平ベルトが延長された方向に4Fの力を受けるようになる。一方、本実施例は、2重動滑車構造が適用された場合であるが、上記のような原理で単一動滑車構造が適用された場合には、上述した後方肋骨パッド222に2Fの力がかかるようになる。
【0057】
以上で説明したように、動滑車型ベルト引張構造は着用者が小さな力でも、上記水平ベルトに大きな張力を印加することができるようして身体矯正効果を極大化させる。
【0058】
図13には、本発明の一実施例による下半身型3次元身体矯正装置の着用状態を示し、図14には、上記図13の実施例による下半身型3次元身体矯正装置の構成をより詳細に示した。
【0059】
本実施例による3次元身体矯正装置202は、上述した図10図12の実施例と同様に、高点支持部、傾斜ベルト部、水平ベルト部、及びスキン206を含む。但し、高点支持部の上側に変位した骨盤部位を支持するという点などに差がある。より具体的には、本実施例では、上記高点支持部を構成する高点加圧パッドは、着用者の骨盤のうち相対的に上に上がった側の腸骨陵部位に対応する骨盤パッド231である。上述した傾斜ベルト部を構成するもので、少なくとも一部のベルト部材を含む傾斜ベルト232は、上記骨盤パッド231から着用者の他方側に延長された他方の傾斜ベルト232Aと、着用者の一方側に延長された一方の傾斜ベルト232Bと、からなってもよい。
【0060】
水平ベルト部と重なって配置される少なくとも1つのクッションパッドは、着用者の両側の股関節部位にそれぞれ対応する位置に固定された1対の股関節パッド242A、242Bであり、これらは上記骨盤パッド231とともに上記スキン206上の所定位置に固定される。そのため、それらの相対的な位置が定義される。一方、上記スキン206は、水平ベルト部と重なる部分が着用者の臀部を囲んだ状態でその両側端部2061、2062が互いに付着されるように形成される。
【0061】
また、上記他方の傾斜ベルト232Aと上記一方の傾斜ベルト232Bは、それぞれ上記スキン206の一側面に付着されるように形成されてもよい。付着はベルクロなどの部材により実現されてもよい。
【0062】
一方、本実施例による下半身型3次元身体矯正装置202における水平ベルト241は、図14に示したように、1対の股関節パッド242A、242Bのうち上記骨盤パッド231に相対的に近い左側の股関節パッド242Aから着用者の他方側に延長された他方の水平ベルト241Aと、その反対側に延長された一方の水平ベルト241Bとに分けられる。これらは、上述した他方の傾斜ベルト232A及び一方の傾斜ベルト232Bと同様に、他方ベルトと一方ベルトに異なる張力が印加されて一方向に回転変位した着用者の骨盤を復元させる方向に回転力が加えられるようにする。
【0063】
図15には、上記図14の実施例における動滑車型ベルト引張構造の作動原理を示した。
【0064】
図13図15をともに参照すると、上述した水平ベルト241を構成する他方の水平ベルト241Aと一方の水平ベルト241Bのうち少なくとも何れか1つには、動滑車型ベルト引張構造244が適用されてもよい。図14及び図15の実施例による3次元身体矯正装置206には、上記他方の水平ベルト241Aと上記一方の水平ベルト241Bのそれぞれに2重動滑車型ベルト引張構造が適用された。
【0065】
上記水平ベルト241のうち上記左側の股関節パッド242Aに重なる中心パート2411を基準として図面上の左側の他方の水平ベルト241Aにも2つの滑車リング2441A、2442Aが配置され、これらを媒介に他方の水平ベルト241Aの末端パート2413Aと中間パート2412A、そして中心パート2411Aが互いに連結される。また、上記中心パート2411を基準として図面上の右側の一方の水平ベルト241Bにも、2つの滑車リングとともに一方の水平ベルト241Bの末端パート2413B、中間パート2412B、そして上記中心パート2411Bが互いに連結されるように配置される。
【0066】
このような2重動滑車型ベルト引張構造において、着用者が他方の水平ベルト241Aの末端パート2413Aと一方の水平ベルト241Bの末端パート2413BをそれぞれF1とF2の強さの力で引っ張ると、上述した左側の股関節パッド242Aの部分に対して、他方側には4F1の力が作用し、一方側には4F2の力が作用して、その力の差分だけ着用者の骨盤に回転力を与えることができる。
【0067】
図16には、上記図13の実施例に対する一変形例を示した。
【0068】
本変形例は、上述した図13の実施例と比較して、上記骨盤パッド231の一側から着用者の股を通って上記骨盤パッド231の他側に連結され、上記骨盤パッド231を下方に引っ張る力を加える補助ベルト250をさらに備える点に差がある。残りの部分は同一であるため、ここでは説明を省略する。
【0069】
一方、本発明の一側面による全身の身体矯正装置は、上半身型3次元身体矯正装置と下半身型3次元身体矯正装置を含んでもよい。上記上半身型3次元身体矯正装置は、上述した図3図4の実施例によるもの、または上述した図10図11の実施例によるものであってもよい。また、上記下半身型3次元身体矯正装置も、上述した図7図8の実施例によるもの、または上述した図13図14または図16の実施例によるものであってもよい。このように、上半身型と下半身型の装置の様々な組み合わせにより全身の身体矯正装置を構成することができる。
【0070】
ここで、上記上半身型3次元身体矯正装置は、着用者の肩のうち正常状態より他方に回転変位した片方の肩の周りを環状に囲むバンドと、少なくとも一部がベルトからなり、上記バンド一方から下方に斜めに延長され、上記片方の肩の変位に反対する方向に張力が作用する第1傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、着用者の胸部を水平方向に囲んで圧迫し、上記第1傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第1水平ベルト部と、を含むことが好ましい。
【0071】
また、上記下半身型3次元身体矯正装置は、着用者の骨盤のうち正常状態より上に上がって回転変位した側の腸骨陵部位を支持する骨盤支持部と、上記骨盤支持部の両側から下方に斜めに延長され、その回転変位に反対する方向に張力が作用する第2傾斜ベルト部と、少なくとも一部がベルトからなり、着用者の臀部を水平方向に囲んで圧迫し、上記第2傾斜ベルト部の下端部を直接または間接的に支持する第2水平ベルト部と、を含むことが好ましい。
【0072】
以上において、他方一方はそれぞれ着用者の身体の前側と後ろ側を指す意味で使用された。一方、上述したベルト部材は、いわゆるソファベルトまたは弾性ウェビングストラップと呼ばれる弾性的に伸びる帯状の部材のことであるが、例示された部材に限定されるものではない。パッド類を構成するクッション部材も圧縮スポンジやウレタンフォーム、シリコンラバーなどの様々な素材からなるものを採択することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、先天または後天的に変形した身体を矯正する身体矯正器具に関するもので、医療補助器具産業に利用されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16