(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6603417
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20191028BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
B25J15/00 D
B25J15/08 C
B25J15/08 P
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-534651(P2018-534651)
(86)(22)【出願日】2017年10月31日
(86)【国際出願番号】CN2017108821
(87)【国際公開番号】WO2019061668
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2018年6月26日
(31)【優先権主張番号】201710903260.3
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518227946
【氏名又は名称】安徽理工大学
【氏名又は名称原語表記】Anhui University of Science and Technology
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】郭 永存
(72)【発明者】
【氏名】王 成軍
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲ちゅー▼ 志偉
(72)【発明者】
【氏名】沈 豫浙
(72)【発明者】
【氏名】任 潤潤
(72)【発明者】
【氏名】徐 成克
【審査官】
田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−080125(JP,A)
【文献】
実開平05−063733(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0081134(US,A1)
【文献】
国際公開第2017/027909(WO,A1)
【文献】
特開2007−314261(JP,A)
【文献】
特開2001−334484(JP,A)
【文献】
中国実用新案第204433814(CN,U)
【文献】
中国特許出願公開第103086159(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103568018(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続ベース、円弧状ホルダー、取付ベース、縦方向クランプ、横方向調整手段及び横方向反転可能な挟持手段を備える鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパーであって、
前記接続ベースの上下両端に対称的に設置された接続タグが設けられ、前記接続ベースの左右両側に同軸で且つ対称的に設置された連結ピン軸又はピン軸孔が設けられ、前記接続ベースの中央位置に円形補助孔が設けられ、前記円弧状ホルダーは、上端が接続ベースに固定して接続されて、下端が取付ベースに固定して接続され、前記取付ベースの前後両側にガイドレールが設けられ、且つ2本のガイドレールの間に長円補助孔が設けられ、取付ベースの左右両端にそれぞれ横方向案内孔が設けられ、前記縦方向クランプは取付ベースに取り付けられ、且つ横方向調整手段によって取付ベースに接続され、前記横方向調整手段は縦方向クランプの両端に取り付けられ、前記横方向反転可能な挟持手段は取付ベースの左右両端に対称的に取り付けられ、
前記縦方向クランプは、縦方向クランプシリンダ、クランプスリーブ、スライダー、縦方向チャック及びチャック伸縮シリンダを含み、前記縦方向クランプシリンダの両端は横方向調整手段によって取付ベースに固定して取り付けられ、且つヒンジを介してクランプスリーブのいずれの頂部にも接続され、前記スライダーの頂部に取付孔が設けられ、スライダーの上端に垂直案内孔がさらに設けられ、スライダーの下端に縦方向案内孔が設けられ、スライダーの内側にガイドレールスライド溝が設けられ、前記スライダーは、取付孔を介して縦方向クランプシリンダのピストンロッドに套設され、前記スライダーはまたガイドレールスライド溝を介して取付ベースのガイドレールに套設され、前記スライダーと取付ベースは横方向調整手段によって接続され、前記クランプスリーブの断面が「回」字形をしており、前記クランプスリーブの上端の内側に縦方向案内軸が設けられ、前記縦方向案内軸はスライダーの縦方向案内孔に取り付けられ且つ直線軸受又は滑り軸受によりスライダーに接続され、前記縦方向チャックの中上部分の断面が長方形をしており、前記縦方向チャックはクランプスリーブの内部に套設され、前記縦方向チャックの下端に滑り止めゴム層が設けられ、前記縦方向チャックの最下端に離脱防止フックが設けられ、前記チャック伸縮シリンダは、上端がヒンジによってクランプスリーブに接続されて、下端がヒンジによって縦方向チャックに接続され、
前記横方向調整手段は、ラック、滑り止め制限板、握持リング及び引張コイルバネを含み、前記ラックは2本あり、且つ取付ベースの前後両端の頂部に平行に配置され、前記滑り止め制限板は、一端の下方に制限歯が設けられて、他端に円形フック孔とスライダーの垂直案内孔に設置される垂直案内コラムが設けられ、滑り止め制限板はラックと噛み合い、前記滑り止め制限板と縦方向クランプのスライダーは2つの引張コイルバネを介して接続され、前記握持リングは、滑り止め制限板の一側に位置し、滑り止め制限板に固定して接続され、2つの引張コイルバネはスライダーの外側面に対称的に配置され、前記引張コイルバネは、上端が滑り止め制限板に接続されて、下端がスライダーに接続される、ことを特徴とする鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項2】
前記横方向反転可能な挟持手段は、横方向挟持板、横方向クランプシリンダ、横方向案内軸、反転シリンダ、歯車キャリア、主動歯車、従動歯車、横方向クランプディスク及び反転軸を含み、前記横方向クランプシリンダは、内側端が取付ベースの下方に固定して取り付けられ、外側端がヒンジによって横方向挟持板に接続され、前記横方向案内軸は2本あり、且つ取付ベースの頂部に平行に配置され、横方向案内軸の内側端が取付ベースの横方向案内孔に配置され、且つ直線軸受又は滑り軸受によって横方向案内孔に接続され、横方向案内軸の外側端が横方向挟持板に固定して接続され、前記反転シリンダは、上端がヒンジによって横方向挟持板の上端に接続されて、下端が歯車キャリアによって主動歯車に接続され、反転シリンダの下端に反転ラックが設けられ、且つ前記反転ラックは主動歯車と噛み合い、前記歯車キャリアは、主動歯車に套設され、且つヒンジによって主動歯車に接続され、前記主動歯車は、軸受台で横方向挟持板に取り付けられ、且つ従動歯車と外歯で噛み合い、前記反転軸は軸受で横方向挟持板に接続され、外側端がフラットキーによって従動歯車に接続され、内側端が横方向クランプディスクに固定して接続され、前記横方向クランプディスクの作動表面に滑り止めボスが設けられることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項3】
前記縦方向クランプシリンダ、チャック伸縮シリンダ、横方向クランプシリンダ及び反転シリンダとしては、複動式シリンダ又は複動式油圧シリンダ又はリニアアクチュエータが使用されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項4】
前記取付ベースの頂部に電磁切換え弁と安全弁が設けられることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項5】
前記歯車キャリアは、U字型フレーム、バネガイドコラム及び引張バネを含み、前記U字型フレームは主動歯車に取り付けられ、且つヒンジによって主動歯車に接続され、前記バネガイドコラムは2本あり、且つU字型フレームの外側端に平行に配置され、内側端が円柱対偶でU字型フレームに接続され、且つ内側末端が反転シリンダの反転ラックに接触しており、前記引張バネはバネガイドコラムに套設され、一端がU字型フレームに接続されて、他端がバネガイドコラムの外側端に接続されることを特徴とする請求項2に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項6】
前記縦方向クランプの数が4−10個であり、且つそれぞれの縦方向クランプと取付ベースは2つの横方向調整手段で独立に接続されて制御されることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項7】
前記滑り止めゴム層の作動表面が波状にされるか、又は滑り止めゴム層の作動表面に十字型滑り止め溝が設けられることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【請求項8】
前記取付ベースの底部にさらに、2自由度雲台で取付ベースに接続されるカメラが2つ設けられることを特徴とする請求項1に記載の鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボット装置の技術分野に属し、特に鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットは、高い柔軟性を有するため、環境保全が求められた現代の鋳造生産による各種の特殊な要件を満足でき、鋳造生産へのロボットの使用は、労働者を重度の単調な手作業から解放して、労力を節約できるだけではなく、鋳物の生産効率、製造精度や品質を向上させ、鋳造生産の機械化、自動化及び文明化を実現するための重要な手段である。現在、先進的な使用可能な新鋳造技術を採用して、鋳造装置の自動化を向上させ、特にモバイルロボット技術を使用することは、鋳造企業が環境を考慮に入れて鋳造生産を実施して、持続可能な発展を可能にするための重要な対策である。鋳造には高温、高粉塵、振動、油汚れ、ノイズ及び電磁干渉のような過酷な環境が発生し、且つ鋳物の重量が巨大であるため、一般的な産業用ロボットは生産による要件に対応できない。鋳造ロボットがこのような作動環境にも正常に作動するには、多数の重要な技術についての研究や突破が期待される。鋳造ロボットは、ダイカスト、精密鋳造生産において鋳物搬送と移送に用いられ得るだけでなく、砂型鋳造の造型、中子製造、中子入れ、鋳込み、整理及びテスト等の工程にも用いられ得る。特に中・大型鋳物を生産するときに、砂中子と鋳物の寸法も重量も大きく、中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送作業が実施しにくく、要求が高まる。鋳物生産における中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送等の作業によるニーズを満たす高柔軟性、重負荷タイプの鋳造ロボットが求められている。鋳造ロボットにより中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送等の作業タスクを実施するとき、ロボット本体以外、末端アクチュエータとしてのロボットグリッパーは重要な装置となっている。
【0003】
従来、鋳物又は中子を把持するロボットグリッパーは、単一規格又は規則的な形状をしている鋳物又は中子しか連続的に把持することができず、鋳物又は中子の寸法規格又は形状が変わると、シャットダウンして手動でグリッパーを調整したり交換したりしなければならず、自動的に調整できず、操作者がロボットの作動領域で調整する必要があるから、操作者の安全上のリスクを高めて、ロボットの作業効率を低下させる。また、1台のロボットで異なる規格のワークについて連続的に作動できず、すなわち、複数の用途を一体化させるような柔軟性作動を実現できない。
【0004】
鋳物を把持するときに存在する問題に対して、従来の特許文献にも、いくつかの解決案が開示されている。出願番号201210051811.5の中国特許において、パーム、複数の指、モータ減速器及びコード等を備えるロボットハンドが開示され、パームと指の部分を制御してワークを把持するが、ハンドの角度しか調整できず、汎用性が悪く、作動空間が小さく、大型鋳物や形状が複雑な鋳物の把持に適用できない。出願番号201710029023.9の中国特許において、ベース、爪アーム、シリンダ、反転支持板、連動板及びコントローラを備える多目的ロボットアーム・ハンド構造が開示され、構成が簡単であるものの、爪アームの長さを鋳物の大きさに応じて調整できず、鋳物を把持するときの安定性が悪く、且つ作動空間が小さく、構造が複雑な鋳物の把持に適用できない。出願番号201510570943.2の中国特許において、接続板、マルチハンド及びマルチシリンダを備えるスピンドルを把持するための多指型ロボットハンドが開示され、形状や構成が簡単なワークを把持することができるものの、適応性が悪く、ハンドの長さが一定であり、安定性が悪く、複雑な鋳物に対する作業要件を満足できない。出願番号201410281605.2の中国特許において、モータ駆動部、真空吸盤及びマニピュレータから構成される多機能ロボットハンドが開示されるが、真空吸盤は表面が複雑な大型鋳物に適用できず、マニピュレータの作動空間が小さく、作業効率は低い。出願番号201110297466.9の中国特許において、スライド機構を用いてグリッパーを連動してスライドさせて、把持位置を調整することで、位置決め精度が高い反面、ハンド自体が調整できないため、把持過程に最適な把持位置を特定できず、異形鋳物による作業要件を満足できないロボットハンド装置が提供されている。出願番号201010605168.7の中国特許において、シリンダブロック、二方向シリンダ、位置決めピン及び把持鉗子を備えるロボットハンドが開示されるが、このようなハンドは、作業を実施するときに以下の欠点がある。1)柔軟性が低く、適応性に限りがある。2)把持安定性が悪い。3)断面が複雑な異形鋳物による作業要件を満足できない。出願番号201410689752.3の中国特許において、マニピュレータ、スライダー、リフティング部材、取付板及び引張部材を備えるロボットハンド装置が開示され、ワークの把持とリフティングを実施できるが、ハンドの作動空間が制限されるとともに、ハンドの柔軟性が低く、作業効率が低く、構造が複雑な鋳物の把持に適用できない。出願番号201510792769.6の中国特許において、取り付けフランジ、ハンドホルダー、ハンドユニット及びハンド調整手段を備える適応型ロボットダブルハンド装置が提供され、ダブルハンドはワークを把握できるが、作動空間が小さく、大型鋳物を把持することができない上、ダブルハンドの柔軟性が低く、安定性が悪く、表面が複雑な鋳物による作業要件を満足できない。
【0005】
鋳造技術レベルの発展及び向上に伴い、中・大型鋳物の生産と鋳物の把持の自動化への要求が高まりつつある。従来の技術案によれば、普通のハンドは大重量、大体積や複雑な表面構造の鋳物を把持する作業による要件に対応できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点に対して、鋳造ロボットが中・大型鋳物の鋳造成形過程において中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送等の作業タスクを実施することを可能にし、鋳造生産の作業効率、安定性及び安全性を向上させて、作業負荷を軽減させて、生産コストを削減させ、従来技術の欠点を克服できる、鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的問題は、以下の技術案によって達成させる。
【0008】
接続ベース、円弧状ホルダー、取付ベース、縦方向クランプ、横方向調整手段及び横方向反転可能な挟持手段を備える鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパー。前記接続ベースに鋳造ロボットの末端アクチュエータのインターフェースに接続された接続タグ、連結ピン軸又はピン軸孔が設けられ、前記接続タグは接続ベースの上下両端に対称的に配置され、2つの連結ピン軸又はピン軸孔は同軸であり、且つ接続ベースの左右両側に対称的に配置され、前記接続ベースの中央位置に接続ベースの重量軽減のための円形補助孔が設けられる。前記円弧状ホルダーは取付ベースと接続ベースを接続するものであり、前記円弧状ホルダーの上下両端はそれぞれ接続ベース、取付ベースに固定して接続される。前記取付ベースの前後両側に縦方向クランプを取り付けるためのガイドレールが設けられ、且つ2本のガイドレール間にさらに長円補助孔が設けられ、取付ベースの左右両端に横方向反転可能な挟持手段を取り付けるための横方向案内孔がそれぞれ設けられる。前記縦方向クランプは、取付ベースに取り付けられ、鋳物又は中子を縦方向に締め付け、前記縦方向クランプと取付ベースは横方向調整手段で接続され、前記横方向調整手段は縦方向クランプの両端に取り付けられて、縦方向クランプの取付ベースでの位置及び隣接する2つの縦方向クランプ間の距離を調整し、前記横方向反転可能な挟持手段は、取付ベースの左右両端に対称的に取り付けられ、鋳物又は中子を横方向に締め付けたり、鋳物又は中子反転させたりするものである。
【0009】
前記縦方向クランプは、縦方向クランプシリンダ、クランプスリーブ、スライダー、縦方向チャック及びチャック伸縮シリンダを含む。前記縦方向クランプシリンダの両端は、横方向調整手段で取付ベースに固定して取り付けられ、縦方向チャックの縦方向運動のために動力を提供し、且つ前記縦方向クランプシリンダの両端はヒンジによってクランプスリーブのいずれの頂部にも接続され、前記スライダーの頂部に取付孔が設けられ、スライダーの上端に垂直案内孔がさらに設けられ、スライダーの下端に縦方向案内孔が設けられ、スライダーの内側にガイドレールスライド溝が設けられ、前記スライダーは、取付孔を介して縦方向クランプシリンダのピストンロッドに套設され、前記スライダーはまたガイドレールスライド溝を介して取付ベースのガイドレールに套設され、縦方向クランプスリーブを取り付けて支持し、前記スライダーと取付ベースは横方向調整手段によって接続され、前記クランプスリーブの断面が「回」字形をしており、前記クランプスリーブの上端の内側に縦方向案内軸が設けられ、前記縦方向案内軸はスライダーの縦方向案内孔に取り付けられ且つ直線軸受又は滑り軸受によりスライダーに接続され、前記縦方向チャックの中上部分の断面が長方形をしており、前記縦方向チャックはクランプスリーブの内部に套設され、前記縦方向チャックの下端に滑り止めゴム層が設けられ、前記縦方向チャックの最下端に離脱防止フックが設けられ、鋳物又は中子の作業中の離脱を防止でき、前記チャック伸縮シリンダは、縦方向チャックのクランプスリーブの内部での伸縮のために動力を提供するものであり、上端がヒンジによってクランプスリーブに接続され、下端がヒンジによって縦方向チャックに接続される。
【0010】
前記横方向調整手段は、ラック、滑り止め制限板、握持リング及び引張コイルバネを含む。前記ラックは2本あり、且つ取付ベースの前後両端の頂部に平行に配置される。前記滑り止め制限板は、一端の下方に制限歯が設けられて、他端に引張コイルバネを取り付けるための円形フック孔とスライダーの垂直案内孔に配置される垂直案内コラムが設けられ、滑り止め制限板は、ラックと噛み合い、縦方向クランプの取付ベースでの横方向移動を制限し、前記滑り止め制限板と縦方向クランプのスライダーは2つの引張コイルバネを介して接続される。前記握持リングは、滑り止め制限板の一側に位置し、滑り止め制限板に固定して接続され、滑り止め制限板を調整するものである。2つの引張コイルバネはスライダーの外側面に対称的に配置されるものであり、滑り止め制限板をラックに押し締め、前記引張コイルバネは、上端が滑り止め制限板に接続されて、下端がスライダーに接続される。
【0011】
前記横方向反転可能な挟持手段は、横方向挟持板、横方向クランプシリンダ、横方向案内軸、反転シリンダ、歯車キャリア、主動歯車、従動歯車、横方向クランプディスク及び反転軸を含む。前記横方向クランプシリンダは、内側端が取付ベースの下方に固定して取り付けられ、外側端がヒンジによって横方向挟持板に接続され、横方向挟持板の横方向運動のために動力を提供する。前記横方向案内軸は2本あり、且つ取付ベースの頂部に平行に配置され、横方向案内軸の内側端が取付ベースの横方向案内孔に配置され、且つ直線軸受又は滑り軸受によって横方向案内孔に接続され、横方向案内軸の外側端が横方向挟持板に固定して接続される。前記反転シリンダは、上端がヒンジによって横方向挟持板の上端に接続されて、下端が歯車キャリアによって主動歯車に接続され、主動歯車の回転のために駆動動力を提供し、反転シリンダの下端に反転ラックが設けられ、且つ前記反転ラックは主動歯車と噛み合う。前記歯車キャリアは、主動歯車に套設され、且つヒンジによって主動歯車に接続され、反転ラックを主動歯車に押し締める。前記主動歯車は、軸受台で横方向挟持板に取り付けられ、且つ従動歯車と外歯で噛み合い、反転シリンダの直線変位を主動歯車の回転に変換して、回転を従動歯車に伝達する。前記反転軸は、軸受で横方向挟持板に接続され、外側端がフラットキーによって従動歯車に接続され、内側端が横方向クランプディスクに固定して接続され、従動歯車の回転を横方向クランプディスクに伝達して、更に2つの横方向クランプディスクの間に挟まれた鋳物又は中子を駆動して反転させ、前記横方向クランプディスクの作動表面に滑り止めボスが設けられる。
【0012】
前記歯車キャリアは、U字型フレーム、バネガイドコラム及び引張バネを含む。前記U字型フレームは主動歯車に取り付けられ、バネガイドコラムを取り付けて支持するものであり、ヒンジによって主動歯車に接続され、前記バネガイドコラムは2本あり、且つU字型フレームの外側端に平行に配置され、前記バネガイドコラムは、内側端が円柱対偶でU字型フレームに接続され、且つ内側末端が反転シリンダの反転ラックに接触しており、反転ラックを主動歯車に押し締め、前記引張バネはバネガイドコラムに套設され、反転ラックの引張りのために引張力を提供し、一端がU字型フレームに接続されて、他端がバネガイドコラムの外側端に接続される。
【0013】
使用するときに、まず、鋳造作業タスクに応じて縦方向クランプ又は横方向反転可能な挟持手段のいずれかを選択し、把持対象となる鋳物又は中子の形状に応じて横方向調整手段を調整し、取付ベースにおける縦方向クランプに合理的な間隔を付与し、把持対象となる鋳物又は中子の高さの寸法に基づき、チャック伸縮シリンダを駆動して縦方向チャックのクランプスリーブの内部での位置を調整する。縦方向クランプだけで把持対象となる鋳物又は中子を縦方向に締め付ければよい場合、まず、縦方向クランプシリンダの出力端を延ばして、縦方向チャックの前後間隔を増大し、続いて、縦方向クランプを把持対象となる鋳物又は中子に套設して、縦方向クランプシリンダの出力端を短縮させて、縦方向チャックで鋳物又は中子を締め付け、このように、把持と搬送のタスクを実施できる。把持と搬送のタスクが終了した後、縦方向クランプシリンダを延ばすだけで、縦方向チャックを解放できる。横方向反転可能な挟持手段の使用が必要である場合、横方向クランプシリンダの伸縮により横方向挟持板と横方向クランプディスクの解放又は締め付けを実現できる。把持対象となる鋳物又は中子の反転作業が要求される場合、把持対象となる鋳物又は中子が反転過程で縦方向チャックと衝撃しないように、縦方向クランプシリンダの出力端を延ばし、次に、横方向クランプシリンダを短縮させて、横方向クランプディスクで鋳物又は中子を締め付け、続いて、反転シリンダを駆動して延ばしたり又は短縮させたりして、横方向クランプディスクが把持対象となる鋳物又は中子とともに反転軸の軸線を巡って時計回り又は反時計回りで反転するようにする。作業タスクの実施中、カメラは収集した画像情報を鋳造ロボットに伝送して、鋳造ロボットのコントローラによって識別、判断及び決定を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。従来技術に比べて、本発明では、縦方向クランプの取付ベースでの位置が調整可能で、各縦方向クランプは独立に縦方向での締め付けタスクを実施して、異なる輪郭を有する鋳物又は中子に自動的に対応でき、異形鋳物又は中子に対応して効果的に密着して締め付けることができ、横方向反転可能な挟持手段は、鋳物又は中子を横方向に締め付けるだけでなく、鋳物又は中子を反転させて、鋳物又は中子を異なる姿態に調整したり載置したりすることができ、中・大型鋳物の場合の中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送等の各種作業によるニーズを満足でき、鋳造生産における中子組み合わせ、中子入れや搬送作業の効率、品質及び安全性を向上させ、操作者の作業負荷を低下させて生産コストを削減させる。特に異形砂中子、鋳物に密着させて効果的に把持する作業によるニーズを満たし、中子組み合わせ、中子入れの過程において砂中子又は鋳物へダメージを与えることを防止し、作業の安定性、安全性及び適応性を向上できる。取付ベースの下方に取り付けられたカメラを用いて、鋳物、中子又は砂箱の識別、砂中子ユニットと鋳物の把持、載置、及び搬送等の鋳造作業のタスクを自動的に実施できるため、自動化のレベルが高まり、作業効率が高く、作業負荷が低く、本発明はさらに、構造がコンパクトで、安全性が高くて、適応性が高く、操作もメンテナンスも容易で、複数の用途を一体化させる等の利点を有し、従来技術の欠点を克服できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】本発明の外側端にある縦方向クランプと横方向に反転可能なクランプの取付ベースでの配置関係の模式図である。
【
図6】本発明の横方向反転可能なクランプの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明で達成させる技術案、発明の特徴、達成させる目的及び効果を理解しやすくするために、以下、実施例と図面を参照しながら、本発明についてさらに説明する。
【0017】
実施形態1
図1、
図2、
図3及び
図4に示されるように、鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパーは、接続ベース1、円弧状ホルダー2、取付ベース3、縦方向クランプ4、横方向調整手段5及び横方向反転可能な挟持手段6を備える。前記接続ベース1に鋳造ロボットの末端アクチュエータのインターフェースに接続された接続タグ11、連結ピン軸12が設けられ、前記接続タグ11は接続ベース1の上下両端に対称的に配置され、2つの連結ピン軸12は同軸であり、且つ接続ベース1の左右両側に対称的に配置され、前記接続ベース1の中央位置に接続ベース1の重量軽減のための円形補助孔13が設けられる。前記円弧状ホルダー2は取付ベース3と接続ベース1を接続するものであり、前記円弧状ホルダー2の上下両端はそれぞれ接続ベース1、取付ベース3に固定して接続される。前記取付ベース3の前後両側に縦方向クランプ4を取り付けるためのガイドレール31が設けられ、且つ2本のガイドレール31の間にさらに長円補助孔32が設けられ、取付ベース3の左右両端に横方向反転可能な挟持手段6を取り付けるための横方向案内孔33がそれぞれ設けられる。前記縦方向クランプ4は、取付ベース3に取り付けられ、鋳物又は中子を縦方向に締め付け、前記縦方向クランプ4と取付ベース3は横方向調整手段5で接続され、前記横方向調整手段5は縦方向クランプ4の両端に取り付けられて、縦方向クランプ4の取付ベース3での位置及び隣接する2つの縦方向クランプ4の間の距離を調整し、前記横方向反転可能な挟持手段6は、取付ベース3の左右両端に対称的に取り付けられ、鋳物又は中子を横方向に締め付けたり、鋳物又は中子を反転させたりするものである。
【0018】
図1、
図2、
図4及び
図7に示されるように、前記縦方向クランプ4は、縦方向クランプシリンダ41、クランプスリーブ42、スライダー43、縦方向チャック44及びチャック伸縮シリンダ45を含む。前記縦方向クランプシリンダ41の両端は、横方向調整手段5で取付ベース3に固定して取り付けられ、縦方向チャック44の縦方向運動のために動力を提供し、且つ前記縦方向クランプシリンダ41の両端はヒンジによってクランプスリーブ42のいずれの頂部にも接続され、前記スライダー43の頂部に取付孔431が設けられ、スライダー43の上端に垂直案内孔432がさらに設けられ、スライダー43の下端に縦方向案内孔433が設けられ、スライダー43の内側にガイドレールスライド溝434が設けられ、前記スライダー43は、取付孔431を介して縦方向クランプシリンダ41のピストンロッドに套設され、前記スライダー43はまたガイドレールスライド溝434を介して取付ベース3のガイドレール31に套設され、縦方向クランプスリーブ42を取り付けて支持し、前記スライダー43と取付ベース3は横方向調整手段5によって接続され、前記クランプスリーブ42の断面が「回」字形をしており、前記クランプスリーブ42の上端の内側に縦方向案内軸421が設けられ、前記縦方向案内軸421はスライダー43の縦方向案内孔433に取り付けられ且つ直線軸受又は滑り軸受によりスライダー43に接続され、前記縦方向チャック44の中上部分の断面が長方形をしており、前記縦方向チャック44はクランプスリーブ42の内部に套設され、前記チャック伸縮シリンダ45は縦方向チャック44のクランプスリーブ42の内部での伸縮のために動力を提供するものであり、上端がヒンジによってクランプスリーブ42に接続されて、下端がヒンジによって縦方向チャック44に接続される。
【0019】
図1、
図4、
図5及び
図7に示されるように、前記横方向調整手段5は、ラック51、滑り止め制限板52、握持リング53及び引張コイルバネ54を含む。前記ラック51は2本あり、且つ取付ベース3の前後両端の頂部に平行に配置される。前記滑り止め制限板52は、一端の下方に制限歯521が設けられて、他端に引張コイルバネ54を取り付けるための円形フック孔522とスライダー43の垂直案内孔に配置される垂直案内コラム523が設けられ、滑り止め制限板52は、ラック51と噛み合い、縦方向クランプ4の取付ベース3での横方向移動を限定し、前記滑り止め制限板52と縦方向クランプ4のスライダー43は2つの引張コイルバネ54を介して接続される。前記握持リング53は、滑り止め制限板52の一側に位置し、滑り止め制限板52に固定して接続され、滑り止め制限板52を調整するものである。2つの引張コイルバネ54はスライダー43の外側面に対称的に配置されるものであり、滑り止め制限板52をラック51に押し締め、上端が滑り止め制限板52に接続されて、下端がスライダー43に接続される。
【0020】
図1、
図2、
図4及び
図6に示されるように、前記横方向反転可能な挟持手段6は、横方向挟持板61、横方向クランプシリンダ62、横方向案内軸63、反転シリンダ64、歯車キャリア65、主動歯車66、従動歯車67、横方向クランプディスク68及び反転軸69を含む。前記横方向クランプシリンダ62は、内側端が取付ベース3の下方に固定して取り付けられ、外側端がヒンジによって横方向挟持板61に接続され、横方向挟持板61の横方向運動のために動力を提供する。前記横方向案内軸63は2本あり、且つ取付ベース3の頂部に平行に配置され、横方向案内軸63の内側端が取付ベース3の横方向案内孔33に配置され、且つ直線軸受又は滑り軸受によって横方向案内孔33に接続され、横方向案内軸63の外側端が横方向挟持板61に固定して接続される。前記反転シリンダ64は、上端がヒンジによって横方向挟持板61の上端に接続されて、下端が歯車キャリア65によって主動歯車66に接続され、主動歯車66の回転のために駆動動力を提供し、反転シリンダ64の下端に反転ラック641が設けられ、且つ前記反転ラック641は主動歯車66と噛み合う。前記歯車キャリア65は、主動歯車66に套設され、且つヒンジによって主動歯車66に接続され、反転ラック641を主動歯車66に押し締める。前記主動歯車66は、軸受台で横方向挟持板61に取り付けられ、且つ従動歯車67と外歯で噛み合い、反転シリンダ64の直線変位を主動歯車66の回転に変換して、回転を従動歯車67に伝達する。前記反転軸69は、軸受で横方向挟持板61に接続され、外側端がフラットキーによって従動歯車67に接続され、内側端が横方向クランプディスク68に固定して接続され、従動歯車67の回転を横方向クランプディスク68に伝達して、更に2つの横方向クランプディスク68の間に挟まれた鋳物又は中子を駆動して反転させ、前記横方向クランプディスク68の作動表面に滑り止めボス681が設けられる。
【0021】
図1、
図2、
図4及び
図6に示されるように、前記歯車キャリア65は、U字型フレーム651、バネガイドコラム652及び引張バネ653を含む。前記U字型フレーム651は主動歯車66に取り付けられ、バネガイドコラム652を取り付けて支持するものであり、ヒンジによって主動歯車66に接続され、前記バネガイドコラム652は2本あり、且つU字型フレーム651の外側端に平行に配置され、内側端が円柱対偶でU字型フレーム651に接続され、且つ内側末端が反転シリンダ64の反転ラック641に接触しており、反転ラック641を主動歯車66に押し締め、前記引張バネ653は、バネガイドコラム652に套設され、反転ラック641の引張りのために引張力を提供し、一端がU字型フレーム651に接続されて、他端がバネガイドコラム652の外側端に接続される。
【0022】
実施形態2
図1、
図2及び
図4に示されるように、前記縦方向チャック44の下端に滑り止めゴム層441が設けられ、前記縦方向チャック44の最下端に離脱防止フック442が設けられ、前記滑り止めゴム層441の作動表面が波状にされるか、又は滑り止めゴム層441の作動表面に十字型滑り止め溝が設けられる。このように設計すると、鋳物又は中子の挟持又は搬送過程における離脱を防止し、縦方向クランプ4の縦方向チャック44の作動時の被挟持鋳物又は中子との剛性接触を回避し、挟持過程における鋳物又は中子の締め付けられた部位へのダメージを防止し、さらに、縦方向チャック44と被挟持鋳物又は中子との摩擦力を効果的に増大できる。残りの構成及び接続関係は実施形態1と同様である。
【0023】
実施形態3
図1、
図2及び
図4に示されるように、前記縦方向クランプシリンダ41、チャック伸縮シリンダ45、横方向クランプシリンダ62及び反転シリンダ64としては、複動式シリンダ又は複動式油圧シリンダ又はリニアアクチュエータが使用される。前記取付ベース3の頂部に電磁切換え弁と安全弁が設けられる。このように設計すると、縦方向チャック44の前後方向での締め付けと解放及び垂直方向での伸縮操作、横方向挟持板61の左右方向での締め付けと解放操作、横方向クランプディスク68が鋳物又は中子を挟持したまま時計回り又は反時計回りで反転運動を行う操作を実施しやすくする。残りの構成及び接続関係は実施形態1又は実施形態2と同様である。
【0024】
実施形態4
図1、
図2及び
図4に示されるように、前記縦方向クランプ4の数が4−10個であり、且つそれぞれの縦方向クランプ4と取付ベース3は2つの横方向調整手段5で独立に接続されて制御される。このように設計すると、本発明では、鋳物又は中子を把持するときに、それぞれの縦方向クランプ4の2つの縦方向チャック44は被挟持鋳物又は中子の実際な輪郭寸法に応じて締め付けることで、異形鋳物又は中子に対応して密着して効果的に把持することができ、このように、取付ベース3におけるいずれの縦方向クランプ4も挟持動作を実施可能にするとともに、負荷を分担し、つまり、本発明の負荷能力を向上させる。残りの構成及び接続関係は実施形態1、実施形態2又は実施形態3と同様である。
【0025】
実施形態5
図2に示されるように、取付ベース3の底部にさらに2自由度雲台8で取付ベース3に接続されるカメラ7が設けられる。このように設計すると、作業タスクを行う前に、カメラ7で作業現場での画像を取得して、把持対象となる的鋳物又は中子及び周辺環境について効果的に識別と判断を行い、このように、鋳造ロボットは作業タスクについて作業経路計画と作業姿態の最適化、調整を容易に実施できる。さらに本発明の使用機能は拡張される。残りの構成及び接続関係は実施形態1、2、3又は4と同様である。
【0026】
使用するときに、まず、鋳造作業タスクに応じて縦方向クランプ4又は横方向反転可能な挟持手段6のいずれかを選択し、把持対象となる鋳物又は中子の形状に応じて横方向調整手段5を調整し、取付ベース3における縦方向クランプ4に合理的な間隔を付与し、手動で握持リング53を持ち上げて、滑り止め制限板52をラック51から離脱させてラック51に沿って左右移動させることで、縦方向クランプ4の取付ベース3での位置を調整できる。把持対象となる鋳物又は中子の高さの寸法に基づき、チャック伸縮シリンダ45を駆動して縦方向チャック44のクランプスリーブ42の内部での位置を調整する。縦方向クランプ4だけで把持対象となる鋳物又は中子を縦方向に締め付ければよい場合、まず、縦方向クランプシリンダ41の出力端を延ばして、縦方向チャック44の前後間隔を増大し、続いて、縦方向クランプ4を把持対象となる鋳物又は中子に套設して、縦方向クランプシリンダ41の出力端を短縮させて、縦方向チャック44で鋳物又は中子を締め付け、このように、把持と搬送のタスクを実施できる。把持と搬送のタスクが終了した後、縦方向クランプシリンダ41を延ばすだけで、縦方向チャック44を解放できる。横方向反転可能な挟持手段6の使用が必要である場合、横方向クランプシリンダ62の伸縮により横方向挟持板61と横方向クランプディスク68の解放又は締め付けを実現できる。把持対象となる鋳物又は中子の反転作業が要求される場合、把持対象となる鋳物又は中子が反転過程で縦方向チャック44と衝撃しないように、縦方向クランプシリンダ41の出力端を延ばし、次に、横方向クランプシリンダ62を短縮させて、横方向クランプディスク68で鋳物又は中子を締め付け、続いて、反転シリンダ64を駆動して延ばしたり又は短縮させたりして、横方向クランプディスク68が把持対象となる鋳物又は中子とともに反転軸69の軸線を巡って時計回り又は反時計回りで反転するようにする。作業タスクの実施中、カメラ7は収集した画像情報を鋳造ロボットに伝送して、鋳造ロボットのコントローラによって識別、判断及び決定を行う。
【0027】
なお、本発明の説明において、用語「上」、「下」、「垂直」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「前」、「後」、「左」、「右」等により指示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明を容易且つ簡単に説明するためのものに過ぎず、示される装置又は素子に必ず特定の方位、特定の方位に従う組み合わせや操作が要求されると指示又は示唆するとは限らないため、本発明を制限するものではない。
【0028】
以上は、本発明の基本原理、主な特徴及び利点を例示的に説明した。当業者であれば、本発明は、上記実施例により制限されず、上記実施例と明細書において説明されるものが本発明の原理を説明するために過ぎず、本発明の主旨や範囲を逸脱することなく、本発明について各種変化や改良を実施でき、これら変化や改良はすべて本発明の保護範囲に属すべきである。本発明の保護範囲は添付した特許請求の範囲及びその同等物により制限される。
【要約】
本発明は、接続ベース、円弧状ホルダー、取付ベース、縦方向クランプ、横方向調整手段及び横方向反転可能な挟持手段を備える鋳造ロボット用の反転可能な多指非同期グリッパーを開示する。本発明は、接続ベースによって鋳造ロボットの末端に取り付けられ、各縦方向クランプは、独立して鋳物又は中子をそれぞれ縦方向に締め付けることができ、横方向調整手段で間隔を調整して、異なる輪郭を有する鋳物又は中子に自動的に対応でき、異形鋳物又は中子に対応して効果的に密着して締め付けることができ、横方向反転可能な挟持手段は、鋳物又は中子を横方向に締め付けるとともに、水平軸線を巡って反転可能である。本発明は、鋳造ロボットによる中・大型鋳物の中子取り出し、中子組み合わせ、中子入れや搬送等の各種作業のニーズに応えることができ、構造がコンパクトで、作業の効率化が実現され、安全性が高く、適応性が高く、操作もメンテナンスも容易で且つ複数の用途を一体化させる等の利点を有し、操作者の作業負荷を軽減させて生産コストを削減させる。