(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1レンズ群及び前記第3レンズ群の少なくともいずれか一方のレンズ群は、物体側及び像面側が共に空気との界面を有する、正の屈折力を有する単レンズを少なくとも1枚含み、
以下の条件を満足する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学系。
νdpmin < 40.2 ・・・(5)
但し、
νdpmin:前記第1レンズ群又は前記第3レンズ群に含まれる正の屈折力を有する単レンズであって、最もアッベ数の小さな単レンズのd線に対するアッベ数
である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明に係る光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0014】
1.光学系
1−1.光学系の構成
本件発明に係る光学系は、
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とからなり、第1レンズ群と第3レンズ群とを光軸方向に固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行い、後述する条件式(1)及び条件式(2)で表される条件を満足することを特徴とする。まず、本件発明に係る光学系の光学系の構成について説明する。
【0015】
本件発明に係る光学系では、最も物体側に配置される第1レンズ群が正の屈折力を有する。このため、第2レンズ群には第1レンズ群により収束された光が入射するため、第2レンズ群を外径の小さなレンズで構成することができ、第2レンズ群の小型化及び軽量化を図ることができる。また、第2レンズ群が負の屈折力を有するため、当該光学系をテレフォトタイプの構成とすることができる。このため、系全体の焦点距離よりもその光学全長を短くすることができ、系全体の小型化を図ることができる。そして、最も像面側に配置される第3レンズ群が正の屈折力を有するため、第3レンズ群において光束を集光することができ、大口径化を図ることができる。すなわち、本件発明によれば、正負正の3群構成を採用することで、小型の撮像システムに好適な小型で大口径の光学系を得ることができる。
【0016】
また、本件発明では、第1レンズ群と第3レンズ群とを光軸方向に固定し、第2レンズ群を光軸方向に移動させることで無限遠物体から有限距離物体への合焦を行う。合焦群である第2レンズ群は、上述したとおり、第1レンズ群の収束作用により、小型化及び軽量化が図られているため、第2レンズ群を移動させるための負荷が小さく迅速な合焦動作を行わせることができ、且つ、系全体を小型化することができる。以下、各レンズ群の構成について説明する。
【0017】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は、正の屈折力を有すればよく、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。ただし、第1レンズ群及び第3レンズ群のうち、少なくともいずれか一方のレンズ群は、物体側及び像面側が共に空気との界面を有する単レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0018】
(2)第2レンズ群
第2レンズ群の構成についても、負の屈折力を有し、後述する条件式等を満足するものであれば、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではないが、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが好ましい。負の屈折力を有する第2レンズ群内に、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚配置することにより、合焦時における第2レンズ群の移動に伴う色収差の変動を抑制することができ、被写体との距離によらず優れた結像性能を得ることができる。
【0019】
さらに、第2レンズ群が正の屈折力を有するレンズ1枚と、負の屈折力を有するレンズ1枚とから構成されることが好ましい。第2レンズ群を正負各1枚のレンズから構成することにより、第2レンズ群をより小型及び軽量にすることができ、より迅速な合焦動作を行わせることができる。これと共に、合焦時に当該第2レンズ群を移動させるフォーカス駆動機構への負荷を小さくすることができる。このため、フォーカス駆動機構の小型化及び軽量化を図ることができ、当該光学系及びフォーカス駆動機構等を収容する鏡筒全体の小型化及び軽量化も図ることができる。このとき、第2レンズ群を正の屈折力を有するレンズ1枚と、負の屈折力を有するレンズ1枚とを接合した接合レンズから構成することが好ましい。接合レンズにより第2レンズ群を構成することにより、組み立て時における製造誤差を低減することができ、製造誤差に起因する収差発生を抑制することができる。
【0020】
(3)第3レンズ群
第3レンズ群は、正の屈折力を有し、後述する条件式等を満足するものであれば、その具体的なレンズ構成は特に限定されるものではない。ただし、上述のとおり、第1レンズ群及び第3レンズ群のうち、少なくともいずれか一方のレンズ群は、物体側及び像面側が共に空気との界面を有する単レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0021】
また、第3レンズ群の最も像面側の面は、像面側に凸の形状を有することが好ましい。すなわち、当該光学系における最終面を像面側に凸の形状とすることにより、最終面において光束を集光させることができ、当該光学系のレンズ径を大きくすることなく、大口径化を達成することができる。
【0022】
(4)防振群
本件発明に係る光学系において、上述した第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、いずれかのレンズ群の一部を光軸に垂直方向に移動させて、撮像時の振動等に起因する回転ブレ等を補正する防振群として用いてもよい。
【0023】
(5)開口絞り
本件発明において、開口絞りの位置は特に限定されるものではないが、第3レンズ群内に開口絞りが配置されることが好ましい。このとき、第3レンズ群内において、最も物体側に配置されるレンズと、最も像面側に配置されるレンズとの間に、開口絞りが配置されることが好ましく、第3レンズ群が開口絞りを挟んで、物体側群と、像側群とから構成されることが好ましい。第3レンズ群内において、開口絞りを挟んで、物体側群と、像側群とが配置されるようにすることにより、開口絞りの前後において、軸上光線及び軸外光線のいずれについても発生した収差を打ち消し合わせることが容易になり、高性能な光学系を得ることができる。この場合、物体側群及び像側群の屈折力は特に限定されるものではないが、当該光学系の大口径化を達成する上で、像側群は正の屈折力を有することが好ましい。
【0024】
1−2.条件式
本件発明に係る光学系は、下記の条件式(1)及び条件式(2)を満足することを特徴とし、条件式(3)〜条件式(9)を満足することが好ましい。以下、各条件式について、順に、説明する。
【0025】
0.72 < |f2|/f < 0.90 ・・・(1)
0.5 < Cr3af/Cr2nr < 2.5 ・・・(2)
【0026】
但し、
f2 :第2レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
Cr3af:第3レンズ群の最も物体側の面の曲率半径
Cr2nr:第2レンズ群の最も像面側の面の曲率半径
である。
【0027】
1−2−1.条件式(1)
上記条件式(1)は、当該光学系の焦点距離に対する第2レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(1)を満足する場合、第2レンズ群の屈折力が適正な範囲内となり、テレフォト比の小さな光学系を得ることができる。すなわち、焦点距離に比して光学全長の小さな小型の光学系を得ることができる。また、合焦群である第2レンズ群の屈折力が適正な範囲内となるため、合焦時の収差変動を抑制し、被写体との距離によらず、少ないレンズ枚数でも良好な結像性能を得ることができ、小型、且つ、高性能な光学系を得ることが容易になる。
【0028】
これに対して、条件式(1)の値が上限値以上になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第2レンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎると、テレフォト比を小さくすることが困難になる。この場合、光学全長が大きくなり、光学系の小型化を図る上で好ましくない。また、また、条件式(1)の値が下限値以下になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第2レンズ群の焦点距離が小さくなり過ぎると、合焦群である第2レンズ群の屈折力が大きく、合焦時の位置変化による収差発生量が大きくなる。このため、収差補正に要するレンズ枚数が増加し、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0029】
これらの効果を得る上で、第2レンズ群が下記の条件式(1)’を満足することが好ましく、条件式(1)’’を満足することがより好ましい。
【0030】
0.73 < |f2|/f < 0.88 ・・・(1)’
0.74 < |f2|/f < 0.86 ・・・(1)’’
【0031】
1−2−2.条件式(2)
上記条件式(2)は、第2レンズ群の最も像側の面の曲率半径に対する第3レンズ群の最も物体側の面の比を規定する式である。条件式(2)を満足する場合、各面の曲率半径のバランスが良好であり、サジタルフレア、コマ収差、球面収差等の諸収差を良好に補正することができ、結像性能のより良好な光学系を得ることができる。
【0032】
これに対して、条件式(2)の値が上限値以上になると、すなわち第2レンズ群の最も像側の面の曲率半径が大きくなり過ぎると、サジタルフレアの補正が困難になり、好ましくない。また、条件式(2)の値が下限値以下になると、すなわち第3レンズ群の最も物体側の面が強の曲率半径が大きくなり過ぎると、コマ収差や球面収差の補正が困難になり、好ましくない。
【0033】
これらの効果を得る上で、第2レンズ群の最も像側の面と、第3レンズ群の最も物体側の物体側の面とが、下記の条件式(2)’を満足することがより好ましく、条件式(2)’’を満足することがより好ましく、条件式(2)’’’を満足することがさらに好ましい。
【0034】
0.6 < Cr3af/Cr2nr < 2.2 ・・・(2)’
0.7 < Cr3af/Cr2nr < 1.8 ・・・(2)’’
0.7 < Cr3af/Cr2nr < 1.5 ・・・(2)’’’
【0035】
1−2−3.条件式(3)
本件発明に係る光学系において、第3レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
【0036】
0.50 < f3/f < 1.10 ・・・(3)
但し、
f3:第3レンズ群の焦点距離
である。
【0037】
条件式(3)は、本件発明に係る光学系の焦点距離に対する第3レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(3)を満足することにより、当該光学系のより一層の小型化、高性能化を図ると共に、大口径化を達成することができる。
【0038】
これに対して、条件式(3)の値が上限値以上になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第3レンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎると、光学系の全長が大きくなるため、当該光学系の小型化が困難になる。これと同時に、第3レンズ群で光束を十分に収束させることができず、当該光学系の大口径化を図ることが困難になる。これらの点から、条件式(3)の値が上限値以上になることは好ましくない。また、条件式(3)の数値が下限値以下になると、すなわち当該光学系の焦点距離に対して第3レンズ群の焦点距離が小さくなり過ぎると、球面収差やコマ収差の補正が困難になり、好ましくない。
【0039】
これらの効果を得る上で、第3レンズ群は、下記の条件式(3)’を満足することが好ましく、条件式(3)’’を満足することがより好ましく、条件式(3)’’’を満足することがさらに好ましい。
【0040】
0.55 < f3/f < 1.00 ・・・(3)’
0.60 < f3/f < 0.95 ・・・(3)’’
0.70 < f3/f < 0.90 ・・・(3)’’’
【0041】
1−2−4.条件式(4)
本件発明に係る光学系において、第3レンズ群の最も物体側の面が以下の条件を満足することが好ましい。
【0042】
0 < Cr3af/f ・・・(4)
但し、
Cr3af:第3レンズ群の最も物体側の面の曲率半径
である。
【0043】
上記条件式(4)は、当該光学系の焦点距離に対する第3レンズ群の最も物体側の面の曲率半径の比を規定する式である。条件式(4)を満足する場合、第3レンズ群の最も物体側の面が物体側に凸の形状となり、少ないレンズ枚数で球面収差や像面湾曲を良好に補正することができる。このため、小型、且つ、高性能な光学系を得ることが容易になる。
【0044】
これに対して、条件式(4)の値が下限値以下になると、第3レンズ群の最も物体側の面が平面若しくは物体側に凹の形状となる。この場合、少ないレンズ枚数で球面収差や像面湾曲を良好に補正することが困難になり、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0045】
これらの効果を得る上で、第3レンズ群の最も物体側の面が、下記の条件式(4)’を満足することが好ましく、条件式(4)’’を満足することがより好ましく、条件式(4)’’’を満足することがさらに好ましく、条件式(4)’’’’を満足することが最も好ましい。
【0046】
0.10 < Cr3af/f < 20.00 ・・・(4)’
0.14 < Cr3af/f < 10.00 ・・・(4)’’
0.20 < Cr3af/f < 5.00 ・・・(4)’’’
0.26 < Cr3af/f < 2.00 ・・・(4)’’’’
【0047】
1−2−5.条件式(5)
本件発明に係る光学系において、第1レンズ群及び前記第3レンズ群の少なくともいずれか一方のレンズ群は、物体側及び像面側が共に空気との界面を有する、正の屈折力を有する単レンズを少なくとも1枚含むとき、以下の条件を満足することが好ましい。
【0048】
νdpmin < 40.2 ・・・(5)
但し、
νdpmin:前記第1レンズ群又は前記第3レンズ群に含まれる正の屈折力を有する単レンズであって、最もアッベ数の小さな単レンズのd線に対するアッベ数
である。
【0049】
上記条件式(5)は、第1レンズ群又は第3レンズ群に含まれる正の屈折力を有する単レンズのd線に対するアッベ数を規定する式である。正レンズ群に含まれる正の屈折力を有する単レンズが、条件式(5)を満足する場合、倍率色収差を良好に補正することができる。このため、少ないレンズ枚数で結像性能の良好な光学系を得ることができる。ここでいう単レンズとは、物体側及び像面側共に空気と界面を有し、且つ、単一の硝材で構成されたレンズをいい、例えば凸レンズと凹レンズとが接合された接合レンズは含まない。
【0050】
これに対して、条件式(5)を満足しない場合、倍率色収差の補正が困難になる。このため、収差補正に要するレンズ枚数が増加し、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0051】
1−2−6.条件式(6)
本件発明に係る光学系において、第2レンズ群を構成する正の屈折力を有するレンズ及び負の屈折力を有するレンズが、以下の条件を満足することが好ましい。
【0052】
15 < νd2n−νd2p < 50 ・・・(6)
但し、
νd2n:前記第2レンズ群に含まれる負の屈折力を有するレンズのd線に対するアッベ数
νd2p:前記第2レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズのd線に対するアッベ数
である。
【0053】
上記条件式(6)は、当該光学系の第2レンズ群を構成する負の屈折力を有するレンズ及び正の屈折力を有するレンズのアッベ数の差を規定する式である。条件式(6)を満足する場合、軸上色収差及び倍率色収差を良好に補正することができる。このため、少ないレンズ枚数で結像性能の良好な光学系を得ることができる。
【0054】
これに対して、条件式(6)を満足しない場合、軸上色収差及び倍率色収差の補正が困難になる。このため、収差補正に要するレンズ枚数が増加し、良好な結像性能を維持しつつ、当該光学系の小型化を図ることが困難になる。
【0055】
これらの効果を得る上で、当該光学系の第2レンズ群を構成する負の屈折力を有するレンズ及び正の屈折力を有するレンズのアッベ数の差は、下記の条件式(6)’を満足することが好ましい。
15 < νd2n−νd2p < 42 ・・・(6)’
【0056】
1−2−7.条件式(7)
本件発明に係る光学系において、第1レンズ群が以下の条件を満足することが好ましい。
【0057】
0.70 < f1/f < 1.20 ・・・(7)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
である。
【0058】
条件式(7)は、当該光学系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(7)を満足することにより、当該光学系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離が適切な範囲内となり、当該光学系の小型化、高性能化を図ると共に、大口径化を達成することができる。
【0059】
これに対して、条件式(7)の値が上限値以上になると、すなわち第1レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して大きくなり過ぎると、光学系の全長が大きくなる共に、周辺光量の確保が困難になり、好ましくない。また、条件式(7)の値が下限値以下になると、すなわち第1レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して小さくなり過ぎると、軸上色収差やコマ収差、像面湾曲を補正することが困難になり、良好な結像性能を得ることができず好ましくない。
【0060】
これらの効果を得る上で、第1レンズ群が、下記の条件式(7)’を満足することが好ましく、条件式(7)’’を満足することがより好ましく、条件式(7)’’’を満足することがさらに好ましい。
0.78 < f1/f < 1.20 ・・・(7)’
0.80 < f1/f < 1.10 ・・・(7)’’
0.80 < f1/f < 1.03 ・・・(7)’’’
【0061】
1−2−8.条件式(8)
本件発明に係る光学系において、第1レンズ群と第2レンズ群とが以下の条件を満足することが好ましい。
【0062】
1.0 < f1/|f2| < 1.5 ・・・(8)
但し、f1及びf2は上記のとおりである。
【0063】
上記条件式(8)は、当該光学系の第2レンズ群の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離の比を規定する式である。条件式(8)を満足する場合、小型化と高性能化の両立が図られる。
【0064】
これに対して、条件式(8)の値が上限値以上になると、第1レンズ群の焦点距離が大きくなり過ぎ、第2レンズ群を構成するレンズの外径を小さくすることが困難になり、第2レンズ群及びフォーカス駆動機構の大型化につながるため好ましくない。条件式(8)の値が下限値以下になると、第1レンズ群の焦点距離が小さくなり過ぎ、近距離物体の合焦距離による球面収差変動が大きくなり好ましくない。
【0065】
1−2−9.条件式(9)
当該光学系が防振群を備える場合、防振群が以下の条件を満足することが好ましい。この場合、防振時の収差変動を抑制することができ、当該光学系を小型に維持しつつ、防振時も高い結像性能を得ることができる。
【0066】
0.1 < |(1−βvc)×βr| < 0.8 ・・・・(9)
但し、
防振群とは、光軸に対して垂直方向に移動可能なレンズ群をいうものとし、
βvc : 無限遠合焦時における防振群の横倍率
βr : 防振群より像側に位置する全レンズの無限遠合焦時における合成横倍率
である。
【0067】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、当該光学系の像面側に設けられた、当該光学系によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0068】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮像光学系である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像面側である。
【実施例1】
【0069】
(1)光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0070】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2及び負の屈折力を有するレンズL3を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するレンズL4と、負の屈折力を有する両凹レンズL5とを接合した接合レンズにより構成される。
【0071】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りSと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL6と、正の屈折力を有するレンズL7及び負の屈折力を有する両凹レンズL8を接合した接合レンズと、から構成される。像側群G3bは、物体側から順に、負の屈折力を有するレンズL9と、正の屈折力を有するレンズL10と、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズL11及び正の屈折力を有するレンズL12を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL13と、から構成される。
【0072】
当該実施例1の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL10を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、第3レンズ群G3の像側群G3bに含まれるレンズL10を防振群とする代わりに、像側群G3bにおいて最も物体側に配置されるレンズL9を防振群としてもよい。また、これらのレンズに限らず第3レンズ群G3を防振群としても同様な効果が得られる。
【0073】
なお、
図1において、第3レンズ群G3において、物体側群G3aと、像側群G3bとの間に示す「S」は開口絞りである。また、第3レンズ群G3の像面側に示す「CG」はカバーガラスであり、ローパスフィルターや赤外カットフィルター等を表す。また、カバーガラスの像面側に示す「IMG」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。これらの符号等は実施例2及び実施例3で示す各レンズ断面図においても同様である。
【0074】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該光学系のレンズデータを示す。表1において、「面No.」は物体側から数えたレンズ面の順番(面番号)、「r」はレンズ面の曲率半径、「d」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「νd」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、表2は、表1に示した光軸上の可変間隔である。また、各条件式(1)〜条件式(9)の数値を表7に示す。なお、各表中の長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。これらの表に関する事項は実施例2及び実施例3で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0075】
図2に当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。それぞれの縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.6nm)、破線がC線(波長λ=656.3nm)、一点鎖線がg線(波長λ=435.8nm)における球面収差を表す。非点収差を表す図では、縦軸は像高、横軸にデフォーカスをとり、実線がサジタル面、破線がメリジオナル面での非点収差を表す。歪曲収差を表す図では、縦軸は像高、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの縦収差図に関する事項は実施例2及び実施例3で示す各縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0076】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =82.500
Fno=1.829
ω =14.835
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【実施例2】
【0079】
(1)光学系の構成
図3は、本件発明に係る実施例2の光学系の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成されている。
【0080】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2と、負の屈折力を有するレンズL3及び正の屈折力を有する正レンズL4を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するレンズL5と、負の屈折力を有する両凹レンズL6とを接合した接合レンズにより構成される。
【0081】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、正の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL7と、正の屈折力を有するレンズL8と、負の屈折力を有する両凹レンズL9と、から構成される。像側群G3bは、物体側から順に、負の屈折力を有するレンズL10と、正の屈折力を有するレンズL11と、物体側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズL12及び正の屈折力を有するレンズL13を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL14と、から構成される。
【0082】
当該実施例2の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL11を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、実施例1と同様に、このレンズL11以外のレンズを防振群としてもよいのは勿論である。
【0083】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表3は、当該光学系のレンズデータであり、表4は、表3に示した光軸上の可変間隔である。また、表7に条件式(1)〜条件式(9)の数値を示す。さらに、
図4は、当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図である。
【0084】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =82.500
Fno=1.830
ω =14.835
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【実施例3】
【0087】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例3の無限遠合焦時におけるレンズ構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、から構成されている。
【0088】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL1と、正の屈折力を有するレンズL2と、負の屈折力を有するレンズL3及び正の屈折力を有するレンズL4を接合した接合レンズと、から構成される。
第2レンズ群G2は、物体側から順に像面側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL5と、負の屈折力を有する両凹レンズL6とを接合した接合レンズにより構成される。
【0089】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、負の屈折力を有する物体側群G3aと、開口絞りと、正の屈折力を有する像側群G3bと、から構成される。物体側群G3aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL7と負の屈折力を有する両凹レンズL8とを接合した接合レンズにより構成される。像側群G3bは、物体側から順に、正の屈折力を有するレンズL9と、負の屈折力を有する両凹レンズL10と、正の屈折力を有する両凸レンズL11及び負の屈折力を有する両凹レンズL12を接合した接合レンズと、像側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズL13と、から構成される。
【0090】
当該実施例3の光学系において、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、第1レンズ群G1と第3レンズ群G3が光軸方向に固定された状態で、第2レンズ群G2が光軸に沿って像面IMG側に移動する。また、手振れ等により撮像時に振動が発生した時には、防振群として、第3レンズ群G3の像側群G3b中のレンズL13を光軸と垂直な方向に動かすことで、像面IMG上の像のブレを補正する。なお、実施例1と同様に、このレンズL13以外のレンズを防振群としてもよいのは勿論である。
【0091】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表5は、当該光学系のレンズデータであり、表6は、表5に示した光軸上の可変間隔である。また、表7に条件式(1)〜条件式(9)の数値を示す。さらに、
図6は、当該光学系の無限遠合焦時の縦収差図である。
【0092】
また、当該光学系の焦点距離(f)、F値(Fno)、半画角(ω)は以下のとおりである。
f =113.000
Fno=1.456
ω =10.632
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【表7】