(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーによる検知結果に基いて、前記接触部分または前記影部分への接触が雨滴によるものであることを判定した場合に、前記ドアを施錠したままにするように前記施錠部に指示することを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
前記人間が携帯する電子キーとの間で信号の送受信を行う信号送受信部と、前記信号送受信部が送受信する信号に基いて前記電子キーや前記電子キーの操作を認識するキー認識部とを有する非接触検知部をさらに備え、
前記制御部は、前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーによる前記検知結果と、前記キー認識部による前記認識結果とに基いて、前記施錠部を制御することを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーの少なくとも1つは、マトリックス状に配置された静電容量センサーであることを特徴とする請求項5に記載のドア開閉装置。
前記接触部検知センサー、前記影部検知センサー、および前記雨検知センサーの少なくとも1つは、静電容量センサーであることを特徴とする請求項3に記載のドア開閉装置。
前記接触部検知センサー、前記影部検知センサー、および前記雨検知センサーの少なくとも1つは、マトリックス状に配置された静電容量センサーであることを特徴とする請求項7に記載のドア開閉装置。
前記接触部検知センサーは、前記人間の手が接触する接触部分への接触を検知し、前記影部検知センサーは、前記人間の前記手よって影となる影部分への接触を検知することを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
前記接触部検知センサーは、前記人間の右手が接触する接触部分への接触を検知する第1の接触部検知センサーと、前記人間の左手が接触する接触部分への接触を検知する第2の接触部検知センサーとを備え、
前記影部検知センサーは、前記人間の前記右手よって影となる影部分への接触を検知する第1の影部検知センサーと、前記人間の前記左手よって影となる影部分への接触を検知する第2の影部検知センサーとを備えることを特徴とする請求項1に記載のドア開閉装置。
前記制御部は、前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーによる検知結果に基いて、前記接触部分または前記影部分への接触が雨滴によるものであることを判定した場合に、前記ドアを施錠したままにするように前記施錠部に指示するステップを有することを特徴とする請求項11に記載のドア開閉装置の制御方法。
前記ドア開閉装置は、前記人間が携帯する電子キーとの間で信号の送受信を行う信号送受信部と、前記信号送受信部が送受信する信号に基いて前記電子キーや前記電子キーの操作を認識するキー認識部とを有する非接触検知部をさらに備え、
前記制御部が、前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーによる前記検知結果と、前記キー認識部による前記認識結果とに基いて、前記施錠部を制御するステップをさらに有することを特徴とする請求項11に記載のドア開閉装置の制御方法。
前記制御部は、前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーによる検知結果に基いて、前記接触部分または前記影部分への接触が雨滴によるものであることを判定した場合に、前記ドアを施錠したままにするように前記施錠部に指示することを特徴とする請求項14に記載の電子キーシステム。
前記接触部検知センサーおよび前記影部検知センサーの少なくとも1つは、マトリックス状に配置された静電容量センサーであることを特徴とする請求項17に記載の電子キーシステム。
前記接触部検知センサー、前記影部検知センサー、および前記雨検知センサーの少なくとも1つは、静電容量センサーであることを特徴とする請求項16に記載の電子キーシステム。
前記接触部検知センサー、前記影部検知センサー、および前記雨検知センサーの少なくとも1つは、マトリックス状に配置された静電容量センサーであることを特徴とする請求項19に記載の電子キーシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0015】
又、以下に示す実施の形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
[実施の形態]
(ドア開閉装置のブロック構成)
図1は、実施の形態に係るドア開閉装置の構成例を示す概略ブロック構成図である。
【0017】
実施の形態に係るドア開閉装置は、開閉機構部100と、その他検知部300と、その他機能部400と、以上の各部を制御する制御部(マイコン)200とを備える。開閉機構部100は、接触検知部120と、非接触検知部140と、施錠部(ロック部)160とを備える。その他検知部300は、SOS信号検知部302と、強制信号検知部304と、テスト信号検知部306と、エンジン始動検知部308と、走行速度検知部310と、その他検知部312とを備える。尚、エンジン始動検知部308および走行速度検知部310は、実施の形態に係るドア開閉装置を車両などの移動手段に適用する際に用いられるオプション機能である。
【0018】
接触検知部120は、例えば、静電容量を検出する静電容量センサーなどのスイッチ操作向け検知電極から構成される雨滴検知センサー(検知電極)122および人体検知センサー(検知電極)124と、雨滴検知センサー122(1〜2ch)および人体検知センサー124(2〜6ch)を制御する静電スイッチコントロールIC126とを備える。雨滴検知センサー122は、雨検知センサー(検知電極)128と晴検知センサー(検知電極)130とを備え、人体検知センサー124は、接触部検知センサー(検知電極)132と影部検知センサー(検知電極)134とを備える。接触部検知センサー132は、人間がドアの開閉操作を行う際に接触する接触部分への接触を検知する。影部検知センサー134は、人間がドアの開閉操作を行う際に人間の身体の少なくとも一部(例えば手や指など)によって影となる影部分への接触を検知する。
【0019】
制御部200は、接触部検知センサー132および影部検知センサー134による検知結果に基いて、接触部分への接触が人間の身体の少なくとも一部によるものであることを判定した場合に、ドアの開錠を行うように施錠部160に指示する。
【0020】
非接触検知部140は、例えば、カードキーやスマートフォンなどから構成される電子キー3との信号の送受信を行う信号送受信部(信号送受信装置)142と、信号送受信部142が送受信する信号に基いてキーやキーの操作を認識するキー認識部144とを備える。
【0021】
施錠部160は、ドアなどの施錠/開錠する施錠部(施錠装置)162と、接触検知部120、非接触検知部140、その他検知部300などが検知した検知信号(データ)に基いて、施錠部162に対して施錠(ロック)/開錠(ロック解除)を制御する施錠制御部164とを備える。
【0022】
その他機能部400には、例えば、エアコン機能、カーナビ機能、オーディオ/ビデオ機能、照明機能などの各種機能が含まれ、接触検知部120、非接触検知部140、その他検知部300などが検知した検知信号(データ)に基いて、各種機能を制御することができる。
【0023】
(ドア開閉装置を備えたドアノブ例)
実施の形態に係るドア開閉装置において、雨滴や洗車などの水が触れる部分と、人(手などの人体)が触れる部分のそれぞれに、何が触れているのかを判別するための検知機構として、静電容量センサーなどのスイッチ操作向け検知電極から構成される接触検知部120を導入する。
【0024】
図2のドアノブ2を例に説明すると、例えば、雨滴9は、ドアノブ2の表面に一様に(検知電極配置エリアEA、EB、EC、ED、EHを含む全域に)降りかかる(接触する)[事象P]。それに対して、人の手8は、手8で操作する部分(握る部分)にのみ接触する[事象Q]。
【0025】
事象Pと事象Qとには、以下のような違いがある。人の手8がドアノブ2に接触する際には、ドアノブ2に接触している手8の影となる部分(つまり、手8が庇のように機能して、ドアノブ2の一部をカバーすることにより、雨滴9などが降りかかるのを防ぐ部分)がある。この影となる部分(手8が庇となる部分)には、雨が降っていたとしても雨滴9は掛からない。
【0026】
そこで、実施の形態に係るドア開閉装置においては、雨滴9が触れているのか、人の手8などが触れているのかを判断するために、検知センサー(接触検知部120)を少なくとも2つ以上設ける。設けた接触検知部120の各検知センサーの大きさ、位置、電極の数、形状、電極−電極間距離、電極−接地(GND)間距離などは、必要に応じて調整する。
【0027】
図2(a)は、実施の形態に係るドア開閉装置を備えた建物などのドアノブ2を模式的に例示しており、ドアノブ2は接触検知部120を備えている。
図2(b)は、
図2(a)に例示したドアノブの2外側ノブ部の表面を、検知電極配置エリアECと検知電極配置エリアEDとの間で切断して展開した概略図である。例えば、手8で握る部分(検知電極配置エリアEA、EB、およびEHの一部分)と、手8の動作(アクション)により手が庇となって、影になる部分(雨滴9が掛からない部分)(検知電極配置エリアEHの別の一部分)と、雨滴9は掛かるが、影になるなどの手8の影響がない部分(検知電極配置エリアEC、ED、およびEHの残りの部分)との3つの検知電極配置エリアに分ける。
【0028】
より具体的には、
図3および
図4に例示するように、ドアノブ2の検知電極配置エリアEA、EH3、EH5は、左手8の接触を認識(検知)する検知電極配置エリア、検知電極配置エリアEB、EH5、EH7は、右手8の接触を認識(検知)する検知電極配置エリア、検知電極配置エリアEH4は、右手8による影(右手8の手のひらの窪みが庇のように機能する部分)を判断(検知)する検知電極配置エリア、検知電極配置エリアEH6は、左手8の影(左手8の手のひらの窪みが庇のように機能する部分)を判断(検知)する検知電極配置エリア、残りの検知電極配置エリアEC、ED、およびEHの残りの部分(左手の場合はEH1、EH2、EH6〜EH9、右手の場合はEH1〜4EH2、EH8、EH9)を雨のみを検知する部分として用いる。そして、例えば、検知電極配置エリアEA、EBには、それぞれ、接触部検知センサー132を配置し、検知電極配置エリアEC、EDには、それぞれ、影部検知センサー134を配置する。
【0029】
(ドア開閉装置の制御方法:ドアノブへの接触を判別して、施錠/開錠する処理手順)
図5は、実施の形態に係るドア開閉装置において、
図2に例示したドアノブ2への接触を判別して、施錠/開錠するための処理手順を例示する。実施の形態に係るドア開閉装置の制御部200は、接触部検知センサー132および影部検知センサー134からの検知信号を、静電スイッチコントロールIC126を介して取得する。それとともに、電子キー3を身につけた人間がドアノブ2に接近してきた場合に電子キー3から送信される識別信号を、非接触検知部140を介して取得する。そして、制御部200は、取得した検知信号および識別信号に基いて、施錠部160に対して、施錠/開錠の指示を送信する。
【0030】
まず、ステップS1において、検知電極配置エリアEA(とEH3、EH5)、EB(とEH5、EH7)にそれぞれ配置された接触部検知センサー132のいずれかが何らかの接触を検知したか否かを判定する。検知電極配置エリアEAとEH3、EH5(左手8が接触する部分)に何らかの接触があったことを接触部検知センサー132が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEAとEH3、EH5に人間の左手8若しくは雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS2に進む。逆に、ステップS1において、検知電極配置エリアEBとEH5、EH7(右手8が接触する部分)に何らかの接触があったことを接触部検知センサー132が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEBとEH5、EH7に人間に右手8若しくは雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS3に進む。
【0031】
ステップS2に進んだ場合、次に、ステップS2において、検知電極配置エリアEH6(右手8で検知電極配置エリアEBに触れると影になる部分(すなわち、左手8で検知電極配置エリアEA、EH3、EH5に触れても影にはならない部分))に何らかの接触があったことを影部検知センサー134が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH6に雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS4に進む。
【0032】
ステップS4に進んだ場合、次に、ステップS4において、検知電極配置エリアEH4(左手8で検知電極配置エリアEA、EH3、EH5に触れると影になる部分)に何らかの接触があったことを影部検知センサー134が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH6に雨滴9が接触したものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEA、EH3、EH5に接触したものは人間の左手8ではなく、雨滴9であったものと断定して、ステップS6に進む。そして、ステップS6において、制御部200は、施錠部162を施錠したままにするように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、雨滴9がドアノブ2に触れただけで開錠してしまう、という誤動作を防止することができる。
【0033】
逆に、ステップS4において、検知電極配置エリアEH4への接触を影部検知センサー134が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH4に雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、それとも雨が降っていたとしても左手8の影になっていて雨滴9が接触してない)ものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEA、EH3、EH5に接触したものは人間の左手8であったものと断定して、ステップS8に進む。そして、ステップS8において、制御部200は、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が左手8でドアノブ2に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0034】
一方で、ステップS2において、検知電極配置エリアEH6への接触を影部検知センサー134が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアECに雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、少なくとも雨は降っていない)ものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEAに接触したものは人間の左手8であったものと断定して、ステップS8に進む。そして、ステップS8において、制御部200は、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が左手8でドアノブ2に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0035】
また、ステップS3に進んだ場合、次に、ステップS3において、検知電極配置エリアEH4(左手8で検知電極配置エリアEA、EH3、EH5に触れると影になる部分(すなわち、右手8で検知電極配置エリアEB、EH5、EH7に触れても影にはならない部分))に何らかの接触があったことを影部検知センサー134が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH4に雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS5に進む。
【0036】
ステップS5に進んだ場合、次に、ステップS5において、検知電極配置エリアEH6(右手8で検知電極配置エリアEB、EH5、EH7に触れると影になる部分)に何らかの接触があったことを影部検知センサー134が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアECに雨滴9が接触したものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEB、EH5、EH7に接触したものは人間の右手8ではなく、雨滴9であったものと断定して、ステップS7に進む。そして、ステップS7において、制御部200は、施錠部162を施錠したままにするように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、雨滴9などの水滴がドアノブ2に触れただけで開錠してしまう、という誤動作を防止することができる。
【0037】
逆に、ステップS5において、検知電極配置エリアEH6への接触を影部検知センサー134が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH6に雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、それとも雨が降っていたとしても右手8の影になっていて雨滴9が接触してない)ものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEB、EH5、EH7に接触したものは人間の右手8であったものと断定して、ステップS8に進む。そして、ステップS8において、制御部200は、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が右手8でドアノブ2に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0038】
一方で、ステップS3において、検知電極配置エリアEH4への接触を影部検知センサー134が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEH4に雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、少なくとも雨は降っていない)ものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEB、EH5、EH7に接触したものは人間の右手8であったものと断定して、ステップS8に進む。そして、ステップS8において、制御部200は、施錠部(施錠装置)162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が右手8でドアノブ2に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0039】
尚、各検知電極配置エリアEA、EB、EC、ED、EHに配置される検知電極が接触を検知する際の接触の時間や回数(すなわち、どの程度の時間や回数の接触を検知したら、「接触あり」と判断するのか)は、予め所定の時間/回数として設定しても良く、さらに、必要に応じて調整しても良い。
【0040】
(ドアハンドル例)
図6に例示する車両用のドアハンドル4を例に説明すると、例えば、雨滴9(図示せず)は、ドアハンドル4の表面に一様に(検知電極配置エリアEF、EGを含む全域に)降りかかる(接触する)[事象P]。それに対して、人の手8(図示せず)は、手8で操作する部分(手8の指を掛けるドアハンドル4の裏面部分(検知電極配置エリアEE含む部分))にのみ接触する。例えば、
図12・
図13に例示するように、ドアハンドル4を操作する際には、ドアの窪み5を利用してドアハンドル4の内側(裏面部分)に手8の指を掛ける(触れる)[事象Q]。
【0041】
事象Pと事象Qとには、以下のような違いがある。人の手8がドアハンドル4に接触する際には、ドアハンドル4に接触している手8の影となる部分(つまり、手8が庇のように機能して、ドアハンドル4の一部をカバーすることにより、雨滴9などが降りかかるのを防ぐ部分)がある(
図12参照)。この影となる部分(手8が庇となる部分)には、雨が降っていたとしても雨滴9は掛からない。
【0042】
そこで、実施の形態に係るドア開閉装置においては、雨滴9が触れているのか、人の手8などが触れているのかを判断するために、検知センサー(接触検知部120)を少なくとも2つ以上設ける。設けた接触検知部120の各検知センサーの大きさ、位置、電極の数、形状、電極−電極間距離、電極−接地(GND)間距離などは、必要に応じて調整する。
【0043】
図6は、実施の形態に係るドア開閉装置を備えた車両1のドアハンドル4を模式的に例示しており、ドアハンドル4に接触検知部120を備えている。
【0044】
例えば、手8で触れる部分(検知電極配置エリアEE)と、手8の動作(アクション)により手が庇となって、影になる部分(雨滴9が掛からない部分)(検知電極配置エリアEF)と、雨滴9は掛かるが、影になるなどの手8の影響がない部分(検知電極配置エリアEG)との3つの検知電極配置エリアに分ける。
【0045】
より具体的には、ドアハンドル4の検知電極配置エリアEFは、手8(例えば右手)の接触を認識(検知)する検知電極配置エリア、検知電極配置エリアEFは、手8による影を判断(検知)する検知電極配置エリア、検知電極配置エリアEGは、雨滴9を認識(検知)する検知電極配置エリアとして用いる。そして、例えば、検知電極配置エリアEE、EFには、それぞれ、接触部検知センサー132、影部検知センサー134を配置し、検知電極配置エリアEGには、雨滴検知センサー122を配置する。
【0046】
(比較例におけるドア開閉の制御方法:施錠/開錠の処理手順)
図7は、比較例における施錠/開錠の処理手順を例示する。
【0047】
ステップS11において、制御部200は、エンジン始動検知部308からの検知信号に基いて、車両1のエンジンが始動しているか否かを判定する。車両1のエンジンが始動している場合、次にステップS12において、制御部200は、走行速度検知部310からの検知信号に基いて、車両1が停止しているか否かを判定する。車両1が停止していなければ、すなわち、車両1が走行中であれば、ステップS13において、制御部200は、施錠部162を施錠したままにするように、施錠制御部164に対して指示を送る。
【0048】
一方で、ステップS11において車両1のエンジンが始動していない(すなわち、エンジンが停止している)と判定した場合、若しくは、車両1のエンジンが始動しているが、車両1が停止しているとステップS12において判定した場合、次に、ステップS14に進む。
【0049】
ステップS14において、制御部200は、電子キー3からロックを解除する信号(開錠信号)が非接触検知部140に送られてきたか否かを判定し、開錠信号が送られていれば、ステップS15において、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。
【0050】
ステップS14において、電子キー3からロックを解除する信号(開錠信号)が送られていなければ、次に、ステップS16に進む。ステップS16において、制御部200は、ドアハンドル4に配置されている接触検知センサーに何かが触れているか否かを判定する。接触検知センサーに何かが触れていれば、制御部200は、ステップS18において、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。
【0051】
ステップS16において、接触検知センサーに何も触れていないと判定した場合、ステップS17において、制御部200は、施錠部162を施錠したままにするように、施錠制御部164に対して指示を送る。
【0052】
このように、比較例においては、車両1のエンジンが停止しているか、あるいは車両1が停止中である場合に、ドアハンドル4に配置されている接触検知センサーに何かが触れただけで(ステップS14)、ドアのロックを開錠してしまうため、例えば、雨滴9が接触検知センサーに何かが触れただけで開錠してしまう、という誤動作を起こす可能性がある。
【0053】
(ドア開閉装置の制御方法:ドアハンドルへの接触を判別し、施錠/開錠する処理手順)
図8は、実施の形態に係るドア開閉装置において、
図6に例示したドアハンドル4への接触を判別して、施錠/開錠するための処理手順を例示する。実施の形態に係るドア開閉装置の制御部200は、接触部検知センサー132および影部検知センサー134からの検知信号を、静電スイッチコントロールIC126を介して取得する。それとともに、電子キー3を身につけた人間がドアハンドル4に接近してきた場合に電子キー3から送信される識別信号を、非接触検知部140を介して取得する。さらに、制御部200は、エンジン始動検知部308および走行速度検知部310からの検知信号を取得する。そして、制御部200は、取得した検知信号および識別信号に基いて、施錠部160に対して、施錠/開錠の指示を送信する。
【0054】
図8におけるステップS11からステップS15までの処理手順は、
図6の比較例での処理手順ステップS11〜ステップS15と同様であるため、詳細な説明を省く。
【0055】
ステップS14において、電子キー3からロックを解除する信号(開錠信号)が送られていなければ、次に、ステップS25に進む。
【0056】
ステップS25において、検知電極配置エリアEE(手8が接触する部分)に配置された接触部検知センサー132が何らかの接触を検知したか否かを判定する。検知電極配置エリアEEに何らかの接触があったことを接触部検知センサー132が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEEに人間の手8若しくは雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS26に進む。
【0057】
逆に、ステップS25において、検知電極配置エリアEEへの接触を接触部検知センサー132が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEEに人間の手8が接触してない(すなわち、人間が開錠しようとしていない)ものと断定して、ステップS31に進む。そして、ステップS31において、制御部200は、施錠部162を施錠したままにするように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、検知電極配置エリアEEに人間の手8が接触してない(すなわち、人間が開錠しようとしていない)状態で開錠してしまう、という誤動作を防止することができる。
【0058】
ステップS26に進んだ場合、次に、ステップS26において、検知電極配置エリアEG(雨滴9を認識(検知)する検知電極配置エリア)に何らかの接触があったことを雨滴検知センサー122が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEGに雨滴9が接触した可能性があるものと推定して、ステップS27に進む。
【0059】
ステップS27に進んだ場合、次に、ステップS27において、検知電極配置エリアEF(手8で検知電極配置エリアEEに触れると影になる部分)に何らかの接触があったことを影部検知センサー134が検知した場合、制御部200は、検知電極配置エリアEFに雨滴9が接触したものと断定して、すなわち、ステップS1で検知した検知電極配置エリアEAに接触したものは人間の左手8ではなく、雨滴9であったものと断定して、施錠部162を施錠したままの状態で、ステップS30に進む。そして、ステップS30において、接触検知部120の各検知センサーの大きさ、位置、電極の数、形状、電極−電極間距離、電極−接地(GND)間距離などは、必要に応じて時間/回数等の調整回路を動作させて調整し、再度、ステップS25に戻る。これにより、雨滴9がドアハンドル4に触れただけで開錠してしまう、という誤動作を防止することができる。
【0060】
逆に、ステップS26において、検知電極配置エリアEGへの接触を雨滴検知センサー122が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEGに雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、少なくとも雨は降っていない)ものと断定して、すなわち、ステップS25で検知した検知電極配置エリアEEに接触したものは人間の手8であったものと断定して、ステップS28に進む。そして、ステップS28において、制御部200は、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が手8でドアハンドル4に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0061】
また、ステップS27において、検知電極配置エリアEFへの接触を影部検知センサー134が検知しない場合、制御部200は、検知電極配置エリアEFに雨滴9が接触してない(すなわち、晴れているか、それとも雨が降っていたとしても手8の影になっていて雨滴9が接触してない)ものと断定して、すなわち、ステップS25で検知した検知電極配置エリアEEに接触したものは人間の手8であったものと断定して、ステップS29に進む。そして、ステップS29において、制御部200は、施錠部162を開錠するように、施錠制御部164に対して指示を送る。これにより、電子キー3を身につけた人間が手8でドアハンドル4に触れただけで、ドアを開錠することができる。
【0062】
本実施の形態によれば、静電方式の錠を有するドアノブ(室内外)や車両のドアハンドルに付着する水滴等による誤動作を防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態によれば、接触検知部による判定部分を条件により分割することで、水滴等による誤動作をより的確に防止することができる。
【0064】
(変形例1)
図9は、実施の形態に係るドア開閉装置の変形例1による接触検知部を備えたドアハンドル4の例を模式的に例示する。
【0065】
図6に示したドアハンドル4では、検知電極配置エリアEF部分に横長型で単一の影部検知センサー134を配置しているのに対して、変形例1におけるドアハンドル4では、検知電極配置エリアEFを複数に分割して、影部検知センサー134を複数個(EF1、EF2、EF3、EF4)横並びに配置している。
図9に示す例では、EF1、EF2、EF3、EF4の4個の影部検知センサー134を配置しているが、影部検知センサー134の個数は、3個以下でも良いし、5個以上でも良い。
【0066】
このように、複数個の影部検知センサー134を配置することで、検知電極配置エリアEFでの接触検知処理の精度を向上することができ、ドア開閉装置の開錠/施錠制御をより高精度で行うことができる。
【0067】
(変形例2)
図10は、実施の形態に係るドア開閉装置を備えた車両1を模式的に例示しており、車両1のフロント上部(ルームミラー付近)の位置に、さらに変形例2に係る雨滴検知センサーRSを備えた例を示す。このように、ドアハンドル4とは別の位置にも雨滴検知センサーRSをさらに配置することで、ドアハンドル4に配置された雨滴検知センサー122と協働して、雨滴の検知をさらに高精度に行うことができる。
【0068】
(変形例3)
図11は、実施の形態の変形例3に係る接触検知部を備えたドアハンドル4の例を模式的に例示する。
【0069】
図6に示したドアハンドル4では、検知電極配置エリアEGに単一の雨滴検知センサー122を配置しているのに対して、変形例3におけるドアハンドル4では、検知電極配置エリアEFを挟んで検知電極配置エリアEGを複数に分割して、雨滴検知センサー122を複数個(EG1、EG2)配置している。
図11に示す例では、EG1、EG2の2個の雨滴検知センサー122を配置しているが、雨滴検知センサー122の個数は、3個以上でも良いし、配置する位置もこれに限定されない。
【0070】
また、
図11に示すドアハンドル4には、後述するボタンスイッチ7も配置されている。
【0071】
このように、複数個の雨滴検知センサー122を配置することで、検知電極配置エリアEFでの接触検知処理の精度を向上することができ、ドア開閉装置の開錠/施錠制御をより高精度で行うことができる。
【0072】
(変形例4)
図13は、実施の形態の変形例4に係る接触検知部を備えたドアハンドル4の例を模式的に例示する。
【0073】
変形例4におけるドアハンドル4では、雨滴検知センサー122として、雨検知センサー128と晴検知センサー130の双方を検知電極配置エリアEGに配置している。このように、雨検知センサー128と晴検知センサー130の双方を検知電極配置エリアEGに配置することで、雨滴の検知をさらに高精度に行うことができる。2つの矢印は、雨検知センサー128と晴検知センサー130に雨滴がかかる様子を模式的に表している。
【0074】
尚、
図13に示す例では、5個の影部検知センサー134を配置しているが、影部検知センサー134の個数は、これに限定されない。
【0075】
尚、各検知センサー130,134,128が接触を検知する際の接触の時間や回数(すなわち、どの程度の時間や回数の接触を検知したら、「接触あり」と判断するのか)は、予め所定の時間/回数として設定しても良く、さらに、必要に応じて調整しても良い。
【0076】
また、変形例1〜4の構成を単独で用いても良いし、変形例1〜4の構成うちの任意の2以上の構成を組み合わせても良い。
【0077】
(接触検知部のブロック構成)
図14は、実施の形態に係る接触検知部120の応用回路構成の一例を示す概略ブロック図である。
【0078】
接触検知部120の応用回路構成は、
図14に例示するように、静電スイッチコントロールIC126と、静電スイッチコントロールIC126に接続された雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触部検知センサー132、および影部検知センサー134とを備え、静電スイッチコントロールIC126は、後述する電子キーシステムの電子機器などのホスト装置129に接続される。
【0079】
静電スイッチコントロールIC126は、雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触部検知センサー132、および影部検知センサー134などのスイッチ操作向け静電容量センサーのコントローラである。
【0080】
静電スイッチコントロールIC126は、静電容量を検出するAFE(Analog Front End)、検出容量をディジタル検出値に変換するA/Dコンバータ、検出値を処理するMPU(Micro Processing Unit)、PWM(Pulse Width Modulation)対応LED(Light Emitting Diode)コントローラ、I2C(Inter-Integrated Circuit)バスプロトコルに対応した2線シリアルバスホストインターフェース、パワーオンリセット、クロック発振回路、内部用LDO(Low Drop-Out regulator)などを内蔵可能である。
【0081】
静電スイッチコントロールIC126では、
図14に例示するように、1つの静電容量センサーを1つの独立スイッチ(すなわち、独立した検知センサー(雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触部検知センサー132、および/または影部検知センサー134))として用いることができる。各独立した検知センサーでは、ON、OFF、長押しなどを認識することができる。
【0082】
また、
図15に例示するように、静電スイッチコントロールIC126では、複数のセンサ(雨検知センサー128、晴検知センサー130、接触部検知センサー132、および/または影部検知センサー134)をマトリクス状に配置し、そのマトリクス配置の交点(クロスポイント)を1つのキースイッチとして扱うこともできる。各クロスポイントでは、ON、OFF、長押しなどを認識することができる。
【0083】
(キーレスエントリーシステム)
図16は、一般的なキーレスエントリーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。キーレスエントリーを使用した車両1のドアロックを開錠する場合は、
図16(a)に例示するように、車両1の近くで、電子キー3本体に配置されているスイッチを操作して、ドアのロックを開錠する。また、車両1のエンジンの始動は、
図16(b)に例示するように、電子キー3の鍵部を、車両1内のイグニッションスイッチ部に、手動で挿入して操作することで行うことができる。
【0084】
(電子キーシステム)
図17は、一般的な電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。
【0085】
電子キーシステムを備えた車両1を操作する場合は、
図17(a)に例示するように、電子キー3Aを携帯した(身につけた)人間(運転者など)が、車両1側から発信されている信号を受信できる範囲(作動範囲)内に入ると、電子キー3Aと車両1内の非接触検知部140とが信号の送受信を行う。ここで、車両1側から発信されている信号を受信できる範囲(作動範囲)外の電子キーは、電子キー3Aと同一のものであるが電子キー3Bで表されている。そして、
図7などに関連して上記で説明したような処理手順を、制御部200などが実行することで、車両1のドアロックを開錠することができる。すなわち、電子キー3Aを身につけていれば、電子キー3Aを取り出さなくても車両1のドアロックを開錠することができる。
【0086】
また、
図17(b)に例示するように、作動範囲内で電子キー3Cと非接触検知部140とが信号の送受信を行うことで、エンジンの始動もできるようになる。
【0087】
図18(a)は、比較例に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。比較例に係る電子キーシステムを備えた車両1では、電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入ると、電子キー3と車両1側とが自動的に信号の送受信を行い、それによって、車両1のドアロックが開錠される。
【0088】
一方、
図18(b)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示する。電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入ると、電子キー3と車両1内の非接触検知部140とが信号の送受信を行うが、それだけでは、車両1のドアロックは開錠/施錠されない。電子キー3を身につけた人間が、車両1に近づき、作動範囲内に入り、且つ、ドアハンドル4を操作し(すなわち、ドアハンドル4に配置されている接触検知部120に触れ)、
図8などに関連して上記で説明したような処理手順を、制御部200などが実行することで、水滴等による誤動作を防止しつつ、車両1のドアロックを開錠することができる。
【0089】
(リモートドアロックシステム)
図19(a)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1におけるリモートドアロックシステムを模式的に例示し、
図19(b)は、
図19(a)に例示したリモートドアロックシステムの構成例を示す概略ブロック図である。
【0090】
ここで、通常のドアロックが、車両1内外のスイッチ等の操作により、ドアロックの開錠/施錠を行うのに対して、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1におけるリモートドアロックシステムでは、リモート機能(送信機34)を有する電子キー3と、車両1の非接触検知部140(受信機32)とが信号の送受信を行うことで、ドアロックの開錠/施錠を行う。ドアロックの開錠/施錠結果は、車両1のハザードランプの点灯などによって、運転者等に通知することもできる。ドアロックには、人間が乗り降りするドア以外にも、荷室(トランクなど)のドアロックも含まれ得る。
【0091】
電子キー3側の送信機34は、送信部40と、暗号通信IC42と、アンテナ44とを備える。車両1の非接触検知部140側の受信機32は、受信部38と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)36と、アンテナ33とを備え、ECU36は、開錠/施錠部(開錠/施錠装置)30に接続する。
【0092】
送信機34の暗号通信ICにて暗号化され、送信部40からアンテナ44を通じて送信されるIDコードを、受信機32の受信部38がアンテナ33を通じて受信し、ECU36内で復号・照合し、正式なIDコードであることが認証されると、ECU36は、開錠/施錠部30に対して、開錠/施錠の指示を送る。
【0093】
(電子キーシステムを備えた車両の操作方法)
図20(a)は、実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1を操作する様子を例示した概略図であり、
図20(b)は、
図20(a)に例示した車両1のドアハンドル4を操作する様子を例示した概略図であり、
図20(c)は、
図20(b)に例示したドアハンドル4に設けたボタンスイッチ7を操作する様子を例示した概略図である。
【0094】
実施の形態に係る電子キーシステムを備えた車両1では、電子キー3を携帯した(身につけた)人間80(運転者など)は、電子キー3を取り出さなくても、車両1のドアロックを開錠/施錠することができる。
図20(a)に例示するように、電子キー3を身につけた人間80が作動範囲内に入ると、電子キー3と非接触検知部140とが信号の送受信(暗号通信)を行う。電子キー3側から送信されるIDコードが正式なIDコードであることが車両1の非接触検知部140において認証されると、
図20(b)に例示するように、電子キー3を身につけた人間80の手8(例えば指)がドアハンドル4の裏側に配置されている接触部検知センサー132に接触するだけで、ドアロックを開錠することができる。
【0095】
ドアロックを施錠する際には、ドアを閉めた状態で、電子キー3を身につけた人間80が、ドアハンドル4に配置されたボタンスイッチ7を手8(例えば指)で押すと、電子キー3と非接触検知部140とが信号の送受信(暗号通信)を行う。電子キー3側から送信されるIDコードが正式なIDコードであることが車両1の非接触検知部140において認証されるとともに、車両1の室内に電子キー3が置き忘れられていないことが確認されると、ドアロックが施錠される。車両1の室内に電子キー3が置かれたままで、ボタンスイッチ7を操作しても、電子キー3の閉じ込めを防止するために、ドアロックの施錠は行われず、アラームなどで警告する。
【0096】
(電子キーシステムの構成)
図21は、実施の形態に係る電子キーシステムの構成例を示す概略ブロック構成図である。また、
図22は、
図21に例示した電子キーシステムの各部を備えた車両の一例を模式的に示す。
【0097】
実施の形態に係る電子キーシステムは、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)500と、接触検知部120・非接触検知部140・施錠部(ロック部)160を備える開閉機構部100と、車室外発信機560と、車両の前後にそれぞれ配置される車室内発信機(前)562および車室内発信機(後)564と、荷室内発信機520と、荷室外発信機522と、チューナ540と、電子キーシステム内の上記各部に接続して制御を行う制御部(マイコン)200とを備える。制御部(マイコン)200は、例えば、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車載ネットワークを介してECU500・開閉機構部100の制御を行う。
【0098】
実施の形態に係る電子キーシステムにおいて、制御部200は、電子キー3と車両1との間でのID照合や、電子キー3の位置確認などを行うために、以下の制御を行う。まず、制御部200は、ID照合や位置確認のリクエスト信号を各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520、荷室外発信機522)を介して、電子キー3に送信する。次に、制御部200は、リクエスト信号を受信した電子キー3からIDコードなどを含む応答信号を受信する。制御部200は、受信した応答信号に基いて、ID照合を行い、ECU500や開閉機構部100などに動作を指示する。
【0099】
電子キー3には、施錠/開錠スイッチ、荷室スイッチなどが配置され、各ドアの施錠/開錠をスイッチによって行うこともできる。また、非常時用の施錠/開錠キーやトランスポンダーキーを備えていても良い。
【0100】
図23は、実施の形態に係る電子キーシステムの検知範囲の一例を模式的に示す。制御部200から各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520、荷室外発信機522)を介して発信される電子キー3の検知範囲は、車室内検知エリア11、車室外検知エリア13、荷室外検知エリア15、荷室内検知エリア17などから形成される。車室内検知エリア11は、運転者席のドアの開閉、ブレーキ、イグニッションキー、各種アラームなどの制御を行うために形成される。車室外検知エリア13は、車室のドアロックの施錠/開錠する際の電子キー3のID照合や位置確認などのために形成される。荷室外検知エリア15は、荷室ドアのドアロックの施錠/開錠する際の電子キー3のID照合や位置確認などのために形成される。荷室内検知エリア17は、荷室ドアの開閉時に形成される。
【0101】
図24は、実施の形態に係る電子キーシステムにおけるドア開錠時の制御の一例を概略的に示す。
【0102】
図24に例示するように、制御部200は、車室外発信機560を介してアンテナから間欠的に信号を発信する(SE1)。電子キー3を身につけた人間が車両1に近づき、車室外検知エリア13の範囲内に入り、電子キー3が車室外発信機560からの信号を受信すると、電子キー3は、IDコードなどのデータを含む信号を車両1側に送信する(SE2)。制御部200は、電子キー3から送信された信号を、チューナ540を介して受信し(SE3)、受信した信号に基いて、IDコードの照合を行う。IDコードが認証されると、制御部200は、接触検知部120に対して、動作スタンバイの指示を送る(SE4)。接触検知部120は、人間の手8が人体検知センサー124に触れており、雨滴9による接触ではないことを検知すると、その検知情報を制御部200に報告する(SE5)。制御部200は、それに呼応して、ドアロックの開錠指示信号をECU500に送信する(SE6)。ECU500は、受信した開錠指示信号にしたがって、施錠部160に施錠装置のロックを開錠させる(SE7)。
【0103】
図25は、実施の形態に係る電子キーシステムにおけるドア施錠時の制御の一例を概略的に示す。
【0104】
図25に例示するように、エンジンが停止されており、且つすべてのドアが閉じた状態で、人間の手8によりドアハンドル4のボタンスイッチ7が押されると(SE1)、制御部200は、各発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520)にリクエスト信号を送信する(SE2)。発信機(車室外発信機560、車室内発信機(前)562、車室内発信機(後)564、荷室内発信機520)は、受信したリクエスト信号に呼応して、車室内検知エリア11、車室外検知エリア13、荷室外検知エリア15、荷室内検知エリア17を形成し、電子キーに報告する(SE3)。電子キー3は、IDコードなどのデータを含む信号を車両1側に送信する(SE4)。制御部200は、電子キー3から送信された信号を、チューナ540を介して受信し、受信した信号に基いて、IDコードの照合を行う。制御部200は、IDコードを認証し、且つ電子キー3が車内にない(すなわち、車外にある)ことを確認すると、ドアロックの施錠指示信号をECU500に送信する(SE5)。ECU500は、受信した施錠指示信号にしたがって、施錠部160に施錠装置のロックを施錠させる(SE6)。
【0105】
(電子機器)
実施の形態に係るドア開閉装置に搭載した接触検知部120は、
図14・
図15などに例示したホスト装置129のような様々な電子機器に適用可能である。すなわち、接触検知部120は、構造が簡単で水(雨)にも強く(誤動作しない)、安価であり、しかも操作性の良好な静電式スイッチを使用するため、ドアノブ2やドアハンドル4に限らず、様々な電子機器に適用可能である。また、接触検知部120の用途も、ドアなどの開閉などに限らず、様々な電子機器のスイッチやボタン、タッチパネルを操作して行う、様々な動作(指示や認証など)に用いることができる。例えば、接触検知部120若しくは接触検知部120と静電スイッチコントロールIC126は、銀行など金融機関のATM・自動販売機(特に鉄道駅やレストランなどの自動券売機)などの不特定多数が扱う公共性の高いものをはじめ、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC、カメラ、携帯情報端末(PDA)、ディジタルオーディオプレーヤ、携帯ゲーム機、コピー機、ファックス、カーナビなどに適用可能である。また、マルチメディアステーション、アーケードゲーム、案内板、ハローワークの求人検索システム、外食レストランでの注文システム、自動精算機、自動投票機、図書館貸出システム、レジシステム、スコア計算システム、鉄道車両のモニタ装置、電子楽器などにも適用可能である。
【0106】
本実施形態によれば、静電方式の錠を有するドアノブ(室内外)や車両のドアハンドルに付着する水滴等による誤動作を防止するドア開閉装置およびその制御方法、および電子キーシステムを提供することができる。
【0107】
本実施形態によれば、静電方式の錠を有するドアノブ(室内外)、ドアハンドルにおいて、接触検知部による判定部分を条件により分割することで、水滴等による誤動作を防止するドア開閉装置およびその制御方法、および電子キーシステムを提供することができる。
【0108】
[その他の実施の形態]
上記のように、実施の形態について記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0109】
このように、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。