(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、上記の構成によりポジ型現像液とネガ型現像液とを混合させることなく現像液の排出処理を行うことができると記載されている。しかしながら、ポジ型現像液およびネガ型現像液の排出流路が部分的に共用されているので、ポジ型現像液とネガ型現像液とがわずかに混合される。したがって、ポジ型現像液とネガ型現像液とを分離して回収することができない。
【0007】
本発明の目的は、異なる種類の処理液を分離して回収することが可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板処理装置は、
金属を含有する金属含有塗布膜が形成された基板を保持する基板保持部と、
金属含有塗布膜の金属を溶解させる第1の処理液と、
金属含有塗布膜の塗布膜を溶解させる第2の処理液とを基板保持部により保持される基板の被処理面に供給する処理液供給ユニットと、基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離する処理液分離機構とを備え
、処理液分離機構は、分離された使用済みの第1および第2の処理液をそれぞれ排出する第1および第2の排出配管を含む。
【0009】
この基板処理装置においては、基板保持部により
金属を含有する金属含有塗布膜が形成された基板が保持される。この状態で、処理液供給ユニットにより
金属含有塗布膜の金属を溶解させる第1
の処理液および
金属含有塗布膜の塗布膜を溶解させる第2の処理液が基板の被処理面に供給される。基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液が貯留部に貯留される。ここで、第2の処理液の比重は、第1の処理液の比重よりも小さいので、貯留部内では、第1の処理液の層と第2の処理液の層とが上下に分離するように形成される。これにより、第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離することができる。
【0010】
この構成によれば、使用済みの第1および第2の処理液を共通の排出流路を通して排出した場合でも、貯留部内で分離することができる。その結果、第1および第2の処理液を分離して第1および第2の排出配管からそれぞれ回収することが可能になる。また、異なる種類の処理液を分離して回収することにより、処理液の廃棄コストを低減することができる
。
【0011】
(
2)処理液分離機構は、第1の排出配管に介挿された第1の排出バルブと、貯留部内に貯留された第1の処理液と第2の処理液との境界面を検出する境界面検出部と、境界面検出部により検出された境界面を取得し、取得した検出面が予め定められた下限位置以下である場合には第1の排出バルブを閉止し、取得した検出面が下限位置よりも大きい場合には第1の排出バルブを開放するように第1の排出バルブを制御する制御部とを含み、第1の排出配管は下限位置よりも下方における貯留部に接続され、第2の排出配管は下限位置よりも上方における貯留部に接続されてもよい。
【0012】
この場合、簡単な制御で使用済みの第1の処理液を貯留部から第1の排出配管を通して回収し、使用済みの第2の処理液を貯留部から第2の排出配管を通して回収することができる。また、使用者は、第1の処理液と第2の処理液とを分離するための作業を行う必要がない。これにより、処理液の廃棄コストをより低減することができる。
【0013】
(
3)処理液分離機構は、第2の排出配管に介挿された第2の排出バルブをさらに含み、制御部は、取得した検出面が予め定められかつ下限位置よりも大きい上限位置以下である場合には第2の排出バルブを開放し、取得した検出面が上限位置よりも大きい場合には第2の排出バルブを閉止してもよい。
【0014】
この場合、簡単な構成で使用済みの第1の処理液が貯留部から第2の排出配管を通して回収されることを防止することができる。
【0015】
(
4)第1の処理液は水溶液を含み、第2の処理液は有機溶媒を含んでもよい。この場合、基板処理装置の共通の部分で水溶液を含む処理液と有機溶媒を含む処理液とを用いた基板処理を行うことができる。また、水溶液を含む処理液と有機溶媒を含む処理液とを分離して回収することができる。
(
5)第1の処理液は、アルカリ性除去液または酸性除去液を含んでもよい。
【0016】
(
6)基板処理装置は、金属を含有する塗布液を金属含有塗布液として吐出するように構成された塗布液供給ユニットをさらに備え、基板保持部は、基板を水平姿勢で保持して回転させるように構成され、塗布液供給ユニットは、基板保持部により回転される基板の被処理面に金属含有塗布液を吐出することにより基板の被処理面に金属含有塗布膜を形成し、処理液供給ユニットは、基板の被処理面の周縁部を除く領域に金属含有塗布膜が残存するように、第1および第2の処理液を基板保持部により回転される基板の被処理面の周縁部に供給してもよい。
【0017】
この場合、周縁部を除く基板の被処理面に金属含有塗布膜が形成される。これにより、金属含有塗布膜を用いてより微細なパターン形成を行うことができる。また、基板の周縁部の金属成分および塗布液は第1および第2の処理液によりそれぞれ溶解される。これにより、基板の周縁部の塗布膜の残存に起因したパーティクルによる基板処理装置の汚染を防止するとともに、基板の周縁部の金属の残存による基板処理装置の汚染を防止することができる。
【0018】
また、比重に基づいて第1の処理液と第2の処理液とを分離することにより、第1および第2の処理液を分離して回収することが可能となる。それにより、第1および第2の処理液の廃棄コストを低減することができる。
【0019】
(
7)基板処理装置は、第1および第2の処理液を基板保持部により回転される基板の被処理面と反対側の裏面に供給する裏面処理ユニットをさらに備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、金属含有塗布液が基板の裏面に回り込んだ場合でも、裏面の基板の裏面に付着した金属含有塗布液は、裏面処理ユニットにより除去される。これにより、基板処理装置の汚染を十分に防止することができる
。
【0023】
(
8)第
2の発明に係る基板処理方法は、基板保持部により金属を含有する金属含有塗布膜が形成された基板を保持するステップと、処理液供給ユニットにより金属含有塗布膜の金属を溶解させる第1の処理液と、金属含有塗布膜の塗布膜を溶解させる第2の処理液とを基板保持部により保持される基板の被処理面に供給するステップと、処理液供給ユニットにより基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液を貯留部に貯留するステップと、貯留部に貯留された第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離するステップと、分離された使用済みの第1および第2の処理液をそれぞれ第1および第2の排出配管により排出するステップとを含む。
【0024】
この基板処理方法においては、基板保持部により
金属を含有する金属含有塗布膜が形成された基板が保持される。この状態で、処理液供給ユニットにより
金属含有塗布膜の金属を溶解させる第1
の処理液および
金属含有塗布膜の塗布膜を溶解させる第2の処理液が基板の被処理面に供給される。基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液が貯留部に貯留される。ここで、第2の処理液の比重は、第1の処理液の比重よりも小さいので、貯留部内では、第1の処理液の層と第2の処理液の層とが上下に分離するように形成される。これにより、第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離することができる。
【0025】
この方法によれば、使用済みの第1および第2の処理液を共通の排出流路を通して排出した場合でも、貯留部内で分離することができる。その結果、第1および第2の処理液を分離して第1および第2の排出配管からそれぞれ回収することが可能になる。また、異なる種類の処理液を分離して回収することにより、処理液の廃棄コストを低減することができる
。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、異なる種類の処理液を分離して回収することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置および基板処理方法について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板またはフォトマスク用基板等をいう。また、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、位置決め用のノッチを除く外周部が円形を有する。
【0029】
(1)基板処理装置
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置の模式的平面図である。
図1および
図2以降の所定の図には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0030】
図1に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック11、第1の処理ブロック12、第2の処理ブロック13、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bを備える。洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bにより、インターフェイスブロック14が構成される。搬入搬出ブロック14Bに隣接するように露光装置15が配置される。
【0031】
図1に示すように、インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。搬送部112には、メインコントローラ114および搬送機構115が設けられる。メインコントローラ114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。搬送機構115は、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。
【0032】
第1の処理ブロック12は、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向するように設けられる。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1〜PASS4(
図7参照)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送機構127,128(
図7参照)が設けられる。
【0033】
第2の処理ブロック13は、現像処理部131、搬送部132および熱処理部133を含む。現像処理部131および熱処理部133は、搬送部132を挟んで対向するように設けられる。搬送部132と搬送部122との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS5〜PASS8(
図7参照)が設けられる。搬送部132には、基板Wを搬送する搬送機構137,138(
図7参照)が設けられる。
【0034】
洗浄乾燥処理ブロック14Aは、洗浄乾燥処理部161,162および搬送部163を含む。洗浄乾燥処理部161,162は、搬送部163を挟んで対向するように設けられる。搬送部163には、搬送機構141,142が設けられる。搬送部163と搬送部132との間には、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図7参照)が設けられる。載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2は、複数の基板Wを収容可能に構成される。
【0035】
また、搬送機構141,142の間において、搬入搬出ブロック14Bに隣接するように、基板載置部PASS9および後述の載置兼冷却部P−CP(
図7参照)が設けられる。載置兼冷却部P−CPは、基板Wを冷却する機能(例えば、クーリングプレート)を備える。載置兼冷却部P−CPにおいて、基板Wが露光処理に適した温度に冷却される。搬入搬出ブロック14Bには、搬送機構146が設けられる。搬送機構146は、露光装置15に対する基板Wの搬入および搬出を行う。
【0036】
(2)塗布処理部、現像処理部および洗浄乾燥処理部
図2は、
図1の塗布処理部121、現像処理部131および洗浄乾燥処理部161の内部構成を示す模式的側面図である。
図2に示すように、塗布処理部121には、塗布処理室21,22,23,24が階層的に設けられる。各塗布処理室21〜24には、塗布処理ユニット129が設けられる。現像処理部131には、現像処理室31,32,33,34が階層的に設けられる。各現像処理室31〜34には、現像処理ユニット139が設けられる。
【0037】
図3は、塗布処理ユニット129の構成を示す模式的平面図である。
図4は、
塗布処理ユニット129の構成を示す模式的側面図である。
図3および
図4に示すように、各塗布処理ユニット129は、待機部20、複数のスピンチャック25、複数のカップ27、複数の塗布液ノズル28、ノズル搬送機構29、複数のエッジリンスノズル41,43および複数のバックリンスノズル42,44を備える。本実施の形態においては、スピンチャック25、カップ27、エッジリンスノズル41,43およびバックリンスノズル42,44は、各塗布処理ユニット129に2つずつ設けられる。
【0038】
図3に示すように、各スピンチャック25は、基板Wを保持した状態で、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。カップ27はスピンチャック25の周囲を取り囲むように設けられる。待機時には、各塗布液ノズル28は待機部20に挿入される。各塗布液ノズル28には、図示しない塗布液貯留部から塗布液配管を通して種々の塗布液が供給される。複数の塗布液ノズル28のうちのいずれかの塗布液ノズル28がノズル搬送機構29により基板Wの上方に移動される。スピンチャック25が回転しつつ塗布液ノズル28から塗布液が吐出されることにより、回転する基板W上に塗布液が塗布される。
【0039】
本実施の形態においては、
図2の塗布処理室22,24の塗布液ノズル28からは、反射防止膜用の塗布液(反射防止液)が吐出される。塗布処理室21,23の塗布液ノズル28からは、レジスト膜用の塗布液(レジスト液)が吐出される。
【0040】
反射防止液およびレジスト液には、より微細なパターンを形成するために金属分子または金属酸化物等の金属成分が組成物として含有されている。本例では、金属成分として、例えばSn(スズ)、HfO
2(酸化ハフニウム)またはZrO
2(二酸化ジルコニウム)が反射防止液およびレジスト液に含有される。以下、金属成分を含有する反射防止液またはレジスト液等の塗布液を金属含有塗布液と総称する。また、金属含有塗布液により形成される膜を金属含有塗布膜と呼ぶ。
【0041】
図4に示すように、エッジリンスノズル41,43は、スピンチャック25により保持された基板Wの被処理面の周縁部を向くように配置される。ここで、被処理面とは回路パターン等の各種パターンが形成される基板Wの面をいう。基板Wの周縁部とは、基板Wの被処理面において、基板Wの外周部に沿った一定幅の領域をいう。バックリンスノズル42,44は、スピンチャック25により保持された基板Wの裏面を向くように配置される。ここで、裏面とは基板Wの被処理面と反対側の面をいう。
【0042】
エッジリンスノズル41,43には、それぞれ供給配管41p,43pが接続される。バックリンスノズル42,44には、それぞれ供給配管42p,44pが接続される。エッジリンスノズル41およびバックリンスノズル42には、図示しない第1の除去液供給タンクからそれぞれ供給配管41p,42pを通して除去液が供給される。エッジリンスノズル43およびバックリンスノズル44には、図示しない第2の除去液供給タンクからそれぞれ供給配管43p,44pを通して除去液が供給される。
【0043】
ここで、第1の除去液供給タンクには、除去液として有機溶媒が貯留されている。有機溶媒は、例えばシンナーを含む。第2の除去液供給タンクにはアルカリ性除去液または酸性除去液が貯留されている。アルカリ性除去液は、例えばアンモニアおよび過酸化水素を含む水溶液である。酸性除去液は、例えば希フッ酸を含む水溶液である。酸性除去液は、例えば硫酸および過酸化水素を含む水溶液であってもよい。
【0044】
以下、エッジリンスノズル41およびバックリンスノズル42から吐出される有機溶媒からなる除去液を有機除去液と呼ぶ。エッジリンスノズル43およびバックリンスノズル44から吐出されるアルカリ性除去液または酸性除去液を金属用除去液と呼ぶ。金属用除去液は、反射防止液またはレジスト液に含有された金属成分を溶解可能である。
【0045】
塗布処理ユニット129には、異なる種類の金属用除去液がそれぞれ貯留された2つの第2の供給タンクが設けられてもよい。この場合、各塗布処理ユニット129の2つのエッジリンスノズル43からそれぞれ異なる種類の金属用除去液を吐出することができる。同様に、各塗布処理ユニット129の2つのバックリンスノズル44からそれぞれ異なる種類の金属用除去液を吐出することができる。金属用除去液は、例えば30℃〜40℃に温度調整された状態でエッジリンスノズル43およびバックリンスノズル44から吐出されてもよい。
【0046】
スピンチャック25により基板Wが回転された状態で、エッジリンスノズル41から基板Wの周縁部に有機除去液が吐出されるとともに、バックリンスノズル42から基板Wの裏面に有機除去液が吐出される。この場合、基板Wの周縁部および裏面に塗布された塗布液が溶解される。それにより、基板Wの周縁部および裏面の塗布膜が除去され、基板処理装置100がパーティクルにより汚染されることを防止することができる。
【0047】
しかしながら、基板Wの周縁部には金属含有塗布液に含有されていた金属成分が残存している。また、基板Wの裏面に金属含有塗布液が回り込んだ場合には、基板Wの裏面には金属含有塗布液に含有されていた金属成分が残存している。
【0048】
基板Wの周縁部または裏面に金属成分が付着した状態で基板Wが基板処理装置100内で搬送されると、基板処理装置100の内部の各搬送機構および各処理ユニットだけでなく、露光装置15の内部にも金属成分による汚染が発生する。そこで、スピンチャック25により基板Wが回転された状態で、エッジリンスノズル43から基板Wの周縁部に金属用除去液が吐出されるとともに、バックリンスノズル44から基板Wの裏面に金属用除去液が吐出される。この場合、基板Wの周縁部および裏面に残存した金属成分が溶解される。それにより、基板Wの周縁部および裏面に残存した金属成分が除去される。
【0049】
図2に示すように、現像処理ユニット139は、塗布処理ユニット129と同様に、複数のスピンチャック35および複数のカップ37を備える。また、
図1に示すように、現像処理ユニット139は、現像液を吐出する2つのスリットノズル38およびそれらのスリットノズル38をX方向に移動させる移動機構39を備える。
【0050】
現像処理ユニット139においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック35が回転される。それにより、基板Wが回転される。この状態で、スリットノズル38が移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。これにより、基板Wの現像処理が行われる。
【0051】
洗浄乾燥処理部161には、複数(本例では
3つ)の洗浄乾燥処理ユニットBSSが設けられる。各洗浄乾燥処理ユニットBSSにおいては、有機溶媒または純水を用いて露光処理前の基板Wの周縁部および裏面の洗浄ならびに乾燥処理が行われる。
【0052】
(3)除去液の回収処理
上記のように、塗布処理ユニット129の基板処理においては、有機除去液および金属用除去液が用いられる。そのため、カップ27から使用済みの有機除去液と金属用除去液とを分離して回収することが好ましい。そこで、
図4に示すように、カップ27の排液部に回収配管50が接続される。また、回収配管50は、回収配管50の下流
の回収タンク53に接続される。この場合、カップ27からの使用済みの有機除去液および金属用除去液が共通の回収タンク53に導かれる。
【0053】
ここで、有機除去液と金属用除去液とは互いに異なる比重を有し、金属用除去液の比重は有機除去液の比重よりも大きい。そのため、回収タンク53内においては、金属用除去液の層と有機除去液の層とが上下に分離するように形成される。そこで、回収タンク53には、金属用除去液と有機除去液との境界面を検出する境界検出部54が設けられる。本実施の形態では、境界検出部54は静電容量式の液面レベルセンサであるが、本発明はこれに限定されない。境界検出部54は、フロート式、光学式、超音波式、電導率式、ピエゾ共振式等の他の方式の液面レベルセンサであってもよい。
【0054】
回収タンク53には、金属用除去液と有機除去液との境界面の下限高さL1および上限高さL2が設定される。上限高さL2は下限高さL1よりも上方に位置する。回収タンク53には、下限高さL1よりも低い位置に回収配管55が取り付けられ、上限高さL2よりも高い位置に回収配管56が取り付けられる。回収配管55,56は、それぞれ図示しない金属用除去液回収部および有機除去液回収部に接続される。回収配管55,56には、それぞれ回収バルブ55v,56vが介挿される。
【0055】
境界検出部54、回収配管55,56および回収バルブ55v,56vおよび後述する
図6のローカルコントローラLC1により処理液分離機構50Aが構成される。処理液分離機構50Aは、異なる種類の処理液を分離して回収する。
図5は、回収バルブ55v,56vの制御を示すフローチャートである。なお、回収バルブ55v,56vの動作は
、ローカルコントローラLC1により制御される。
【0056】
図5に示すように、ローカルコントローラLC1は、境界検出部54から回収タンク53内の金属用除去液と有機除去液との境界面を取得する(ステップS1)。次に、ローカルコントローラLC1は、取得した境界面の高さが下限高さL1未満であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
ステップS2において、境界面の高さが下限高さL1未満である場合、ローカルコントローラLC1は回収バルブ55vを閉止する(ステップS3)。その後、ローカルコントローラLC1はステップS1の処理に戻る。なお、ステップS3の時点においては、回収バルブ56vは開放されていてもよいし、閉止されていてもよい。一方、ステップS2において、境界面の高さが下限高さL1以上である場合、ローカルコントローラLC1は、境界面の高さが上限高さL2未満であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0058】
ステップS4において、境界面の高さが上限高さL2未満である場合、ローカルコントローラLC1は、回収バルブ55vを開放するとともに回収バルブ56vを開放する(ステップS5)。その後、ローカルコントローラLC1はステップS1の処理に戻る。一方、ステップS4において、境界面の高さが上限高さL2以上である場合、ローカルコントローラLC1は、回収バルブ55vを開放するとともに回収バルブ56vを閉止する(ステップS6)。その後、ローカルコントローラLC1はステップS1の処理に戻る。
【0059】
この処理においては、境界面の高さが下限高さL1未満である場合、回収バルブ55vが閉止される。これにより、回収配管55から有機除去液が排出されることが防止される。境界面の高さが下限高さL1以上でかつ上限高さL2未満である場合、回収バルブ55v,56vが開放される。これにより、回収配管55,56からそれぞれ金属用除去液および有機除去液が排出される。境界面の高さが上限高さL2
以上である場合、回収バルブ56vが閉止される。これにより、回収配管56から金属用除去液が排出されることが防止される。
【0060】
このように、本実施の形態における除去液の回収方式においては、有機除去液および金属用除去液の比重に基づいて、使用済みの有機除去液と使用済みの金属用除去液とが分離される。この回収方式によれば、有機除去液と金属用除去液とを分離して回収することが可能となる。この場合、使用者は、有機除去液と金属用除去液とを分離するための作業を行う必要がない。これにより、除去液の廃棄コストを低減することができる。
【0061】
上記の除去液の回収方式においては、回収配管56に回収バルブ56vが介挿されるが、本発明はこれに限定されない。回収配管56が上限高さL2よりも十分に上方に取り付けられ、金属用除去液が回収配管56から排出されないように構成されている場合には、回収配管56に回収バルブ56vが介挿されなくてもよい。この場合、
図5のステップS4,S6の処理は行われず、ステップS5の処理では回収バルブ55vのみが開放される。
【0062】
(4)熱処理部
図6は、
図1の熱処理部123,133および洗浄乾燥処理部162の内部構成を示す模式的側面図である。
図6に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302には、複数の熱処理ユニットPHP、複数の密着強化処理ユニットPAHPおよび複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0063】
熱処理部123の最上部にはローカルコントローラLC1が設けられる。ローカルコントローラLC1は、
図1のメインコントローラ114からの指令に基づいて、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123の動作を制御する。
【0064】
熱処理ユニットPHPにおいては、基板Wの加熱処理および冷却処理が行われる。密着強化処理ユニットPAHPにおいては、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理が行われる。具体的には、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板WにHMDS(ヘキサメチルジシラ
ザン)等の密着強化剤が塗布されるとともに、基板Wに加熱処理が行われる。冷却ユニットCPにおいては、基板Wの冷却処理が行われる。
【0065】
熱処理部133は、上方に設けられる上段熱処理部303および下方に設けられる下段熱処理部304を有する。上段熱処理部303および下段熱処理部304には、冷却ユニットCP、複数の熱処理ユニットPHPおよびエッジ露光部EEWが設けられる。
【0066】
熱処理部133の最上部には、ローカルコントローラLC2が設けられる。ローカルコントローラLC2は、
図1のメインコントローラ114からの指令に基づいて、現像処理部131、搬送部132および熱処理部133の動作を制御する。
【0067】
エッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部の露光処理(エッジ露光処理)が行われる。基板Wにエッジ露光処理が行われることにより、後の現像処理時に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が除去される。それにより、現像処理後において、基板Wの周縁部が他の部分と接触した場合に、基板Wの周縁部上のレジスト膜が剥離してパーティクルとなることが防止される。
【0068】
洗浄乾燥処理部162には、複数(本例では4つ)の洗浄乾燥処理ユニットBSSが設けられる。各洗浄乾燥処理ユニットBSSにおいては、有機溶媒または純水を用いて露光処理前の基板Wの周縁部および裏面の洗浄ならびに乾燥処理が行われる。洗浄乾燥処理部162に設けられる洗浄乾燥処理ユニットBSSは、
図2の洗浄乾燥処理部161に設けられる洗浄乾燥処理ユニットBSSと同様の構成および機能を有する。
【0069】
(5)搬送部
図7は、搬送部122,132,163の内部構成を示す模式的側面図である。
図7に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。搬送部132は、上段搬送室135および下段搬送室136を有する。上段搬送室125には搬送機構127が設けられ、下段搬送室126には搬送機構128が設けられる。また、上段搬送室135には搬送機構137が設けられ、下段搬送室136には搬送機構138が設けられる。
【0070】
塗布処理室21,22(
図2)と上段熱処理部301(
図6)とは上段搬送室125を挟んで対向し、塗布処理室23,24(
図2)と下段熱処理部302(
図6)とは下段搬送室126を挟んで対向する。同様に、現像処理室31,32(
図2)と上段熱処理部303(
図6)とは上段搬送室135を挟んで対向し、現像処理室33,34(
図2)と下段熱処理部304(
図6)とは下段搬送室136を挟んで対向する。
【0071】
搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。上段搬送室125と上段搬送室135との間には、基板載置部PASS5,PASS6が設けられ、下段搬送室126と下段搬送室136との間には、基板載置部PASS7,PASS8が設けられる。
【0072】
上段搬送室135と搬送部163との間には、載置兼バッファ部P−BF1が設けられ、下段搬送室136と搬送部163との間には載置兼バッファ部P−BF2が設けられる。搬送部163において搬入搬出ブロック14Bと隣接するように、基板載置部PASS9および複数の載置兼冷却部P−CPが設けられる。
【0073】
載置兼バッファ部P−BF1は、搬送機構137および搬送機構141,142(
図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。載置兼バッファ部P−BF2は、搬送機構138および搬送機構141,142(
図1)による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。また、基板載置部PASS9および載置兼冷却部P−CPは、搬送機構141,142(
図1)および搬送機構146による基板Wの搬入および搬出が可能に構成される。
【0074】
基板載置部PASS1および基板載置部PASS3には、インデクサブロック11から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置され、基板載置部PASS2および基板載置部PASS4には、第1の処理ブロック12からインデクサブロック11へ搬送される基板Wが載置される。
【0075】
基板載置部PASS5および基板載置部PASS7には、第1の処理ブロック12から第2の処理ブロック13へ搬送される基板Wが載置され、基板載置部PASS6および基板載置部PASS8には、第2の処理ブロック13から第1の処理ブロック12へ搬送される基板Wが載置される。
【0076】
載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2には、第2の処理ブロック13から洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置され、載置兼冷却部P−CPには、洗浄乾燥処理ブロック14Aから搬入搬出ブロック14Bへ搬送される基板Wが載置され、基板載置部PASS9には、搬入搬出ブロック14Bから洗浄乾燥処理ブロック14Aへ搬送される基板Wが載置される。
【0077】
搬送機構127は、塗布処理室21,22(
図2)、基板載置部PASS1,PASS2,PASS5,PASS6(
図7)および上段熱処理部301(
図6)に対して基板Wの受け渡しを行う。搬送機構128は、塗布処理室23,24(
図2)、基板載置部PASS3,PASS4,PASS7,PASS8(
図7)および下段熱処理部302(
図6)に対して基板Wの受け渡しを行う。
【0078】
搬送機構137は、現像処理室31,32(
図2)、基板載置部PASS5,PASS6(
図7)、載置兼バッファ部P−BF1(
図7)および上段熱処理部303(
図6)に対して基板Wの受け渡しを行う。搬送機構138は、現像処理室33,34(
図2)、基板載置部PASS7,PASS8(
図7)、載置兼バッファ部P−BF2(
図7)および下段熱処理部304(
図6)に対して基板Wの受け渡しを行う。
【0079】
(6)基板処理
図1、
図2、
図6および
図7を参照しながら基板処理を説明する。インデクサブロック11のキャリア載置部111(
図1)には、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送機構115は、キャリア113から基板載置部PASS1,PASS3(
図7)に未処理の基板Wを搬送する。また、搬送機構115は、基板載置部PASS2,PASS4(
図7)に載置された処理済みの基板Wをキャリア113に搬送する。
【0080】
第1の処理ブロック12において、搬送機構127(
図7)は、基板載置部PASS1に載置された未処理の基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図6)、冷却ユニットCP(
図6)および塗布処理室22(
図2)に順に搬送する。次に、搬送機構127は、塗布処理室22の基板Wを、熱処理ユニットPHP(
図6)、冷却ユニットCP(
図6)、塗布処理室21(
図2)、熱処理ユニットPHP(
図6)および基板載置部PASS5(
図7)に順に搬送する。
【0081】
この場合、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板Wに密着強化処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、反射防止膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室22において、塗布処理ユニット129(
図2)により基板W上に反射防止膜が形成される。続いて、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、レジスト膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室21において、塗布処理ユニット129(
図2)により、基板W上にレジスト膜が形成される。その後、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS5に載置される。
【0082】
また、搬送機構127は、基板載置部PASS6(
図7)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(
図7)に搬送する。
【0083】
搬送機構128(
図7)は、基板載置部PASS3に載置された未処理の基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図6)、冷却ユニットCP(
図6)および塗布処理室24(
図2)に順に搬送する。次に、搬送機構128は、塗布処理室24の基板Wを、熱処理ユニットPHP(
図6)、冷却ユニットCP(
図6)、塗布処理室23(
図2)、熱処理ユニットPHP(
図6)および基板載置部PASS7(
図7)に順に搬送する。
【0084】
また、搬送機構128(
図7)は、基板載置部PASS8(
図7)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS4(
図7)に搬送する。塗布処理室23,24(
図2)および下段熱処理部302(
図6)における基板Wの処理内容は、上記の塗布処理室21,22(
図2)および上段熱処理部301(
図6)における基板Wの処理内容とそれぞれ同様である。
【0085】
第2の処理ブロック13において、搬送機構137(
図7)は、基板載置部PASS5に載置されたレジスト膜形成後の基板Wをエッジ露光部EEW(
図6)および載置兼バッファ部P−BF1(
図7)に順に搬送する。この場合、エッジ露光部EEWにおいて、基板Wにエッジ露光処理が行われる。エッジ露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1に載置される。
【0086】
また、搬送機構137(
図7)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理ユニットPHP(
図6)から露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送機構137は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図6)、現像処理室31
,32(
図2)
のいずれか一方、熱処理ユニットPHP(
図6)および基板載置部PASS6(
図7)に順に搬送する。
【0087】
この場合、冷却ユニットCPにおいて、現像処理に適した温度に基板Wが冷却された後、現像処理室31
,32のいずれか一方において、現像処理ユニット139により基板Wの現像処理が行われる。その後、熱処理ユニットPHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS6に載置される。
【0088】
搬送機構138(
図7)は、基板載置部PASS7に載置されたレジスト膜形成後の基板Wをエッジ露光部EEW(
図6)および載置兼バッファ部P−BF2(
図7)に順に搬送する。
【0089】
また、搬送機構138(
図7)は、インターフェイスブロック14に隣接する熱処理ユニットPHP(
図6)から露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送機構138は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図6)、現像処理室33
,34(
図2)
のいずれか一方、熱処理ユニットPHP(
図6)および基板載置部PASS8(
図7)に順に搬送する。現像処理室33
,34および下段熱処理部304における基板Wの処理内容は、上記の現像処理室31
,32および上段熱処理部303における基板Wの処理内容とそれぞれ同様である。
【0090】
洗浄乾燥処理ブロック14Aにおいて、搬送機構141(
図1)は、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図7)に載置された基板Wを洗浄乾燥処理部161,162のいずれかの洗浄乾燥処理ユニットBSS(
図2または
図6)および載置兼冷却部P−CP(
図7)に順に搬送する。
【0091】
この場合、いずれかの洗浄乾燥処理ユニットBSSにおいて、基板Wの周縁部および裏面の洗浄ならびに乾燥処理が行われる。その後、載置兼冷却部P−CPにおいて露光装置15(
図1)による露光処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0092】
搬送機構142(
図1)は、基板載置部PASS9(
図7)に載置された露光処理後の基板W
を上段熱処理部303または下段熱処理部304の熱処理ユニットPHP(
図6)に順に搬送する。この場合、熱処理ユニットPHPにおいて露光後ベーク(PEB)処理が行われる。
【0093】
搬入搬出ブロック14Bにおいて、搬送機構146(
図1)は、載置兼冷却部P−CP(
図7)に載置された露光処理前の基板Wを露光装置15(
図1)の基板搬入部に搬送する。また、搬送機構146は、露光装置15の基板搬出部から露光処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS9(
図7)に搬送する。
【0094】
本実施の形態においては、上段に設けられた塗布処理室21,22、現像処理室31,32および上段熱処理部301,303における基板Wの処理と、下段に設けられた塗布処理室23,24、現像処理室33,34および下段熱処理部302,304における基板Wの処理とを並行して行うことができる。それにより、フットプリントを増加させることなく、スループットを向上させることができる。
【0095】
(7)効果
本実施の係る基板処理装置100においては、エッジリンスノズル41,43およびバックリンスノズル42,44により基板Wに供給された後の使用済みの金属用除去液および有機除去液は、回収タンク53に貯留される。有機除去液の比重は、金属用除去液の比重よりも小さいので、回収タンク53内では、金属用除去液の層と有機除去液の層とが上下に分離するように形成される。これにより、金属用除去液と有機除去液とが比重に基づいて処理液分離機構50Aにより分離される。
【0096】
この構成によれば、使用済みの金属用除去液と使用済みの有機除去液とを共通の回収配管50を通して排出した場合でも、回収タンク53内で分離することができる。その結果、金属用除去液と有機除去液とを分離して回収することが可能になる。また、金属用除去液と有機除去液とを分離して回収することにより、除去液の廃棄コストを低減することができる。
【0097】
(8)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、現像処理室31〜34に処理液分離機構50Aが設けられないが、本発明はこれに限定されない。現像処理室31〜34において、基板Wに対してポジティブトーン現像処理とネガティブトーン現像処理とを混在させて行うことにより異なる種類の現像液が用いられる場合には、現像処理室31〜34に処理液分離機構50Aが設けられてもよい。
【0098】
例えば、現像処理室31〜34において、ポジティブトーン現像処理用の現像液としてアルカリ性水溶液、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH:Tetra Methyl Ammonium Hydroxide)または水酸化カリウム(KOH:Potassium Hydroxide)等を用いることができる。また、現像処理室31〜34において、ネガティブトーン現像処理用の現像液として例えば酢酸ブチル(Butyl Acetate)等の有機溶剤を含む現像液を用いることができる。この場合、現像処理室31〜34に処理液分離機構50Aを設けることにより、使用済みのポジティブトーン現像処理用の現像液と使用済みのネガティブトーン現像処理用の現像液とを分離して回収することができる。
【0099】
この構成においては、被処理面に形成されたレジスト膜に対してポジティブトーン現像処理が行われるべき基板Wがスピンチャック35に保持されているときには、スリットノズル38からポジティブトーン現像処理用の現像液が吐出される。これにより、当該基板Wのレジスト膜をポジティブトーンに現像することができる。一方、被処理面に形成されたレジスト膜に対してネガティブトーン現像処理が行われるべき基板Wがスピンチャック35に保持されているときには、スリットノズル38からネガティブトーン現像処理用の現像液が吐出される。これにより、当該基板Wのレジスト膜をネガティブトーンに現像することができる。
【0100】
(b)上記実施の形態において、反射防止液およびレジスト液の両方に金属成分が含有されているが、本発明はこれに限定されない。反射防止液およびレジスト液の一方に金属成分が含有されなくてもよい。この場合、塗布処理室21,23または塗布処理室22,24の一方には、エッジリンスノズル43およびバックリンスノズル44が設けられない。
【0101】
(c)上記実施の形態において、塗布液として反射防止液およびレジスト液に金属成分が含有されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハードマスク(HM)膜を形成するための塗布液に金属成分が含有されていてもよい。この場合、金属成分として、例えば酸化チタン(TiO
x)、酸化タングステン(WO
x)または酸化ジルコニウム(ZrO
x)が塗布液に含有される。
【0102】
(d)上記実施の形態において、洗浄乾燥処理ブロック14Aに2つの洗浄乾燥処理部161,162が設けられるが、本発明はこれに限定されない。洗浄乾燥処理ブロック14Aに洗浄乾燥処理部161および洗浄乾燥処理部162の一方が設けられ、洗浄乾燥処理部161および洗浄乾燥処理部162の他方が設けられなくてもよい。
【0103】
(e)上記実施の形態において、塗布処理ユニット129にエッジリンスノズル41およびバックリンスノズル42が設けられるが、本発明はこれに限定されない。塗布処理ユニット129にエッジリンスノズル41およびバックリンスノズル42の一方または両方が設けられなくてもよい。
【0104】
(f)上記実施の形態において、塗布処理ユニット129に有機除去液を吐出するエッジリンスノズル41と金属用除去液を吐出するエッジリンスノズル43とが別個に設けられるが、本発明はこれに限定されない。塗布処理ユニット129に有機除去液と金属用除去液とを選択的に吐出する共通のエッジリンスノズルが設けられてもよい。
【0105】
同様に、塗布処理ユニット129に有機除去液を吐出するバックリンスノズル42と金属用除去液を吐出するバックリンスノズル44とが別個に設けられるが、本発明はこれに限定されない。塗布処理ユニット129に有機除去液と金属用除去液とを選択的に吐出する共通のバックリンスノズルが設けられてもよい。
【0106】
(g)上記実施の形態において、塗布処理ユニット129は回収配管50および回収タンク53を含むが、本発明はこれに限定されない。カップ27が使用済みの処理液を貯留する貯留部として用いられる場合には、塗布処理ユニット129は回収配管50および回収タンク53を含まなくてもよい。この場合、カップ27に処理液分離機構50Aの境界検出部54および回収配管55,56が設けられる。
【0107】
(h)上記実施の形態において、第1の処理液として水溶液を含有する処理液(金属用除去液またはポジティブトーン現像処理用の現像液)が用いられ、第2の処理液として有機溶媒を含有する処理液(有機除去液またはネガティブトーン現像処理用の現像液)が用いられるが、この発明はこれに限定されない。第2の処理液の比重が第1の処理液の比重よりも小さければ、第1および第2の処理液は上記の処理液とは異なる他の処理液であってもよい。
【0108】
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0109】
上記の実施の形態では、基板Wが基板の例であり、スピンチャック25またはスピンチャック35が基板保持部の例であり、エッジリンスノズル41,43またはスリットノズル38が処理液供給ユニットの例である。回収タンク53が貯留部の例であり、処理液分離機構50Aが処理液分離機構の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、回収配管55,56がそれぞれ第1および第2の排出配管の例である。
【0110】
回収バルブ55v,56vがそれぞれ第1および第2の排出バルブの例であり、境界検出部54が境界面検出部の例であり、ローカルコントローラLC1が制御部の例である。塗布液ノズル28が塗布液供給ユニットの例であり、バックリンスノズル42,44が裏面処理ユニットの例である。
【0111】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(10)参考形態
(10−1)第1の参考形態に係る基板処理装置は、基板を保持する基板保持部と、第1の比重を有する第1の処理液と、第1の比重よりも小さい第2の比重を有する第2の処理液とを基板保持部により保持される基板の被処理面に供給する処理液供給ユニットと、基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液を貯留する貯留部と、貯留部に貯留された第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離する処理液分離機構とを備える。
この基板処理装置においては、基板保持部により基板が保持される。この状態で、処理液供給ユニットにより第1および第2の処理液が基板の被処理面に供給される。基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液が貯留部に貯留される。ここで、第2の処理液の比重は、第1の処理液の比重よりも小さいので、貯留部内では、第1の処理液の層と第2の処理液の層とが上下に分離するように形成される。これにより、第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離することができる。
この構成によれば、使用済みの第1および第2の処理液を共通の排出流路を通して排出した場合でも、貯留部内で分離することができる。その結果、第1および第2の処理液を分離して回収することが可能になる。また、異なる種類の処理液を分離して回収することにより、処理液の廃棄コストを低減することができる。
(10−2)処理液分離機構は、貯留部から使用済みの第1の処理液を排出するように設けられた第1の排出配管と、貯留部から使用済みの第2の処理液を排出するように設けられた第2の排出配管と、第1の排出配管に介挿された第1の排出バルブと、貯留部内に貯留された第1の処理液と第2の処理液との境界面を検出する境界面検出部と、境界面検出部により検出された境界面を取得し、取得した検出面が予め定められた下限位置以下である場合には第1の排出バルブを閉止し、取得した検出面が下限位置よりも大きい場合には第1の排出バルブを開放するように第1の排出バルブを制御する制御部とを含み、第1の排出配管は下限位置よりも下方における貯留部に接続され、第2の排出配管は下限位置よりも上方における貯留部に接続されてもよい。
この場合、簡単な制御で使用済みの第1の処理液を貯留部から第1の排出配管を通して回収し、使用済みの第2の処理液を貯留部から第2の排出配管を通して回収することができる。また、使用者は、第1の処理液と第2の処理液とを分離するための作業を行う必要がない。これにより、処理液の廃棄コストをより低減することができる。
(10−3)処理液分離機構は、第2の排出配管に介挿された第2の排出バルブをさらに含み、制御部は、取得した検出面が予め定められかつ下限位置よりも大きい上限位置以下である場合には第2の排出バルブを開放し、取得した検出面が上限位置よりも大きい場合には第2の排出バルブを閉止してもよい。
この場合、簡単な構成で使用済みの第1の処理液が貯留部から第2の排出配管を通して回収されることを防止することができる。
(10−4)第1の処理液は水溶液を含み、第2の処理液は有機溶媒を含んでもよい。この場合、基板処理装置の共通の部分で水溶液を含む処理液と有機溶媒を含む処理液とを用いた基板処理を行うことができる。また、水溶液を含む処理液と有機溶媒を含む処理液とを分離して回収することができる。
(10−5)基板処理装置は、金属を含有する塗布液を金属含有塗布液として吐出するように構成された塗布液供給ユニットをさらに備え、基板保持部は、基板を水平姿勢で保持して回転させるように構成され、第1の処理液は、金属含有塗布液の金属を溶解させ、第2の処理液は、金属含有塗布液の塗布液を溶解させ、塗布液供給ユニットは、基板保持部により回転される基板の被処理面に金属含有塗布液を吐出することにより基板の被処理面に金属含有塗布膜を形成し、処理液供給ユニットは、基板の被処理面の周縁部を除く領域に金属含有塗布膜が残存するように、第1および第2の処理液を基板保持部により回転される基板の被処理面の周縁部に供給してもよい。
この場合、周縁部を除く基板の被処理面に金属含有塗布膜が形成される。これにより、金属含有塗布膜を用いてより微細なパターン形成を行うことができる。また、基板の周縁部の金属成分および塗布液は第1および第2の処理液によりそれぞれ溶解される。これにより、基板の周縁部の塗布膜の残存に起因したパーティクルによる基板処理装置の汚染を防止するとともに、基板の周縁部の金属の残存による基板処理装置の汚染を防止することができる。
また、比重に基づいて第1の処理液と第2の処理液とを分離することにより、第1および第2の処理液を分離して回収することが可能となる。それにより、第1および第2の処理液の廃棄コストを低減することができる。
(10−6)基板処理装置は、第1および第2の処理液を基板保持部により回転される基板の被処理面と反対側の裏面に供給する裏面処理ユニットをさらに備えてもよい。
この構成によれば、金属含有塗布液が基板の裏面に回り込んだ場合でも、裏面の基板の裏面に付着した金属含有塗布液は、裏面処理ユニットにより除去される。これにより、基板処理装置の汚染を十分に防止することができる。
(10−7)基板保持部は、被処理面にポジティブトーン現像処理を受けるべき基板と、被処理面にネガティブトーン現像処理を受けるべき基板とを選択的に保持し、第1の処理液は、ポジティブトーン現像用の現像液であり、第2の処理液は、ネガティブトーン現像用の現像液であり、処理液供給ユニットは、被処理面にポジティブトーン現像処理を受けるべき基板が基板保持部に保持されているときには第1の処理液を吐出し、被処理面にネガティブトーン現像処理を受けるべき基板が基板保持部に保持されているときには第2の処理液を吐出してもよい。
この場合、被処理面にポジティブトーン現像処理を受けるべき基板が基板保持部に保持されているときには、処理液供給ユニットから第1の処理液が吐出されることにより当該基板の被処理面をポジティブトーン現像することができる。一方、被処理面にネガティブトーン現像処理を受けるべき基板が基板保持部に保持されているときには、処理液供給ユニットから第2の処理液が吐出されることにより当該基板の被処理面をネガティブトーン現像することができる。
(10−8)第2の参考形態に係る基板処理方法は、基板保持部により基板を保持するステップと、処理液供給ユニットにより第1の比重を有する第1の処理液と、第1の比重よりも小さい第2の比重を有する第2の比重を有する第2の処理液とを基板保持部により保持される基板の被処理面に供給するステップと、処理液供給ユニットにより基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液を貯留部に貯留するステップと、貯留部に貯留された第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離するステップとを含む。
この基板処理方法においては、基板保持部により基板が保持される。この状態で、処理液供給ユニットにより第1および第2の処理液が基板の被処理面に供給される。基板に供給された後の使用済みの第1および第2の処理液が貯留部に貯留される。ここで、第2の処理液の比重は、第1の処理液の比重よりも小さいので、貯留部内では、第1の処理液の層と第2の処理液の層とが上下に分離するように形成される。これにより、第1の処理液と第2の処理液とを比重に基づいて分離することができる。
この方法によれば、使用済みの第1および第2の処理液を共通の排出流路を通して排出した場合でも、貯留部内で分離することができる。その結果、第1および第2の処理液を分離して回収することが可能になる。また、異なる種類の処理液を分離して回収することにより、処理液の廃棄コストを低減することができる。