特許第6603492号(P6603492)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6603492情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603492
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20191028BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20191028BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20191028BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20191028BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   G01C21/26 C
   G01C21/26 P
   G08G1/0969
   G08G1/005
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-130308(P2015-130308)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-15460(P2017-15460A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】花房 隆臣
(72)【発明者】
【氏名】杜崎 麗奈
(72)【発明者】
【氏名】飯島 絵里子
(72)【発明者】
【氏名】三上 暁子
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 陽子
(72)【発明者】
【氏名】中村 糸希
(72)【発明者】
【氏名】宮下 瑞恵
(72)【発明者】
【氏名】木村 奈央子
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−009948(JP,A)
【文献】 特開2006−300571(JP,A)
【文献】 特開2009−025238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 −21/36
G08G 1/005
G08G 1/0969
G09B 29/00
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と
を有し、
前記取得手段は、それぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を取得し、
前記決定手段は、前記複数の画像をそれぞれ明るさ比較のための複数の画像領域に分割し、緯度経度の座標が一致する複数の画像領域のそれぞれの明るさを比較し、各座標においても最小の明るさを決定し、
前記出力手段は、各候補ルートについての前記複数の画像から決定された最小の明るさを各候補ルートに関連付けて出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と
を有し、
前記出力手段は、各候補ルートを構成する複数の区間のそれぞれについて当該区間の明るさを示す情報を出力し、各区間の明るさを輝度の違いまたは色の違いで表現することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と、
各候補ルートにおける最小の明るさと距離または所要時間とに基づき少なくとも一つの推奨ルートを判定する判定手段と
し、
前記出力手段は、前記推奨ルートを出力することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、各候補ルートについて取得された第一の衛星画像を構成する複数の画像領域と第二の衛星画像を構成する複数の画像領域についてそれぞれ緯度経度の座標が一致する画像領域を抽出し、前記第一の衛星画像から抽出された画像領域の明るさと、前記第二の衛星画像から抽出された画像領域の明るさとを比較する比較手段を有し、
さらに、
前記比較手段の比較結果に基づきより暗い画像領域を選択する選択手段と、
各座標について選択された画像領域を合成して1つの合成画像を生成する生成手段と、
各候補ルートを前記合成画像にオーバレイするオーバレイ手段と
を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記上空から撮影された画像は一年を通して夜間に定期的に撮影された複数の画像であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記候補ルートは歩行者または自転車用の候補ルートであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力手段は、第一軸が各候補ルートの距離を示し、第二軸が明るさを示すグラフを出力する請求項1ないしのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の出発地と単一の目的地との指定を受け付ける第一の受付手段をさらに有し、
前記候補ルートは、前記複数の出発地のそれぞれから前記目的地までのルートであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
単一の出発地と複数の目的地との指定を受け付ける第二の受付手段をさらに有し、
前記候補ルートは、前記出発地から前記複数の目的地のそれぞれへのルートであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
複数の地域について上空から撮影された画像を記憶した画像データベースと、
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートを検索する地図データベースと、
請求項1ないし9のいずれか1項の情報処理装置と
を有ることを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の情報処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。
【請求項12】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得工程と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定工程と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力工程と
を有し、
前記取得工程は、それぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を取得し、
前記決定工程は、前記複数の画像をそれぞれ明るさ比較のための複数の画像領域に分割し、緯度経度の座標が一致する複数の画像領域のそれぞれの明るさを比較し、各座標においても最小の明るさを決定し、
前記出力工程は、各候補ルートについての前記複数の画像から決定された最小の明るさを各候補ルートに関連付けて出力する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得工程と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定工程と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力工程と
を有し、
前記出力工程は、各候補ルートを構成する複数の区間のそれぞれについて当該区間の明るさを示す情報を出力し、各区間の明るさを輝度の違いまたは色の違いで表現することを特徴とする情報処理方法。
【請求項14】
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得工程と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定工程と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力工程と、
各候補ルートにおける最小の明るさと距離または所要時間とに基づき少なくとも一つの推奨ルートを判定する判定工程と
を有し、
前記出力工程は、前記推奨ルートを出力することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションサービスを提供する情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車はヘッドライトを有しているため、夜間でも走行可能であるが、夜間であってもできるだけ明るい道路を走行することで事故を防ぎやすくなる。特許文献1には、夜間の衛星写真により道路の明るさを算出し、明るい道路を優先した誘導経路を演算する夜間走行支援ナビゲーション装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4587217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歩行者や自転車など(以下、歩行者等)は自動車が通行できないような階段や小道を通ることができるが、自動車用のナビゲーション装置は歩行者等のナビゲーションをサポートしていない。したがって、防犯上の観点から夜間においてより安全な通勤路や通学路を歩行者等に提示することが可能なナビゲーションシステムは有用であろう。とりわけ、女性や子供に対してより明るい歩行路を提示できれば、防犯上、極めて有用であろう。たとえば、新居を探す際に歩行路の夜間の明るさは重要な評価項目になるだろう。歩行路についての衛星画像から歩行路の明るさを推定できるが、歩行路の明るさは天候や季節に応じて変わる。そのため、一年を通した歩行路の明るさは新居選びにとって重要なデータとなろう。また、歩行者だけでなく、自動車の運転手にとっても一年を通した歩行路の明るさは新居選びにとって重要なデータとなろう。目的地から新居の候補地まで複数の候補ルートがある場合に、各候補ルートの明るさを把握できれば、新居を探す者だけでなく、不動産業者にとって顧客の要望に応じた物件を紹介しやすくなるであろう。また、不動産の価値を算定する際に、不動産までのルートの明るさは重要な指標となろう。
【0005】
そこで、本発明は歩行者等に対してルートの明るさを提示することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、たとえば、
出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と
を有し、
前記取得手段は、それぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を取得し、
前記決定手段は、前記複数の画像をそれぞれ明るさ比較のための複数の画像領域に分割し、緯度経度の座標が一致する複数の画像領域のそれぞれの明るさを比較し、各座標においても最小の明るさを決定し、
前記出力手段は、各候補ルートについての前記複数の画像から決定された最小の明るさを各候補ルートに関連付けて出力することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と
を有し、
前記出力手段は、各候補ルートを構成する複数の区間のそれぞれについて当該区間の明るさを示す情報を出力し、各区間の明るさを輝度の違いまたは色の違いで表現することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像を取得する取得手段と、
前記画像を複数の画像領域に分割し、複数の画像領域のそれぞれの明るさを決定する明るさ決定手段と、
各候補ルートについての前記画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて出力する出力手段と、
各候補ルートにおける最小の明るさと距離または所要時間とに基づき少なくとも一つの推奨ルートを判定する判定手段と
を有し、
前記出力手段は、前記推奨ルートを出力することを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば歩行者等に対してルートの明るさを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】情報処理システムの一例を示す図
図2】情報処理装置に適用可能なハードウェアの一例を示すブロック図
図3】サーバと端末装置の主要な機能を示す図
図4】ルート決定処理の一例を示すフローチャート
図5】地図データの一例を示す図
図6】地図データに対して設定された出発地と目的地を示す図
図7】候補ルートの一例を示す図
図8】衛星画像(照度画像)を示す図
図9】推奨ルートを提示するためのユーザインタフェースを示す図
図10】推奨ルートを提示するためのユーザインタフェースを示す図
図11】照度のグラフを示す図
図12】ルート検索部の機能との機能を説明するための図
図13】出発地と目的地を設定するためのユーザインタフェースを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は端末装置に夜間の明るさを考慮した推奨ルートを提示する情報処理システム100の一例を示す図である。ネットワーク1はインターネットなどのコンピュータネットワークである。ネットワーク1を介してサーバ20と複数の端末装置10が接続されている。端末装置10は、たとえば、スマートフォンやタブレット端末などの無線端末10aであってもよいし、パーソナルコンピュータなどの有線端末10bであってもよい。無線端末10aと有線端末10bに共通する事項を説明するときは、これらを単に端末装置10と呼ぶことにする。
【0010】
受信設備30は人工衛星31などにより撮影された画像を受信する受信機を有している。なお、受信設備30や人工衛星31は情報処理システム100にとって必須ではない。これは、情報処理システム100は衛星画像を入手できる状態にあれば、ナビゲーションサービスを提供できるからである。サーバ20は人工衛星31や航空機などにより上空から撮影された地上の画像(以下、衛星画像)を蓄積する。端末装置10は出発地と目的地とを含む検索リクエストをサーバ20に送信する。サーバ20は地図データを有しており、端末装置10からの検索リクエストに応答して検索を実行し、複数の候補ルートを示す情報を端末装置10に送信する。とりわけ、本実施例でサーバ20は、複数の候補ルートを含む地域について夜間に撮影された複数の衛星画像を検索して抽出し、複数の候補ルートの明るさを比較し、推奨ルートを決定し、端末装置10に送信する。なお、複数の出発地から単一の候補地までのルートが検索されてもよいし、単一の候補地から複数の目的地までのルートが検索されてもよい。たとえば、第一の新居候補の住所と、第二の新居候補の住所とが出発地として入力され、最寄り駅の駅名が目的値として入力されてもよい。これにより複数の新居候補をルートとの距離や移動時間、夜間の明るさなどの観点から評価できるようになろう。このように複数の候補ルートには、単一の出発地から単一の目的地までの間にある複数のルートだけでなく、出発地と目的地との少なくとも一方が複数であるときの出発地と目的地の組み合わせごとの複数のルートであってもよい。
【0011】
図2はサーバ20と端末装置10などの情報処理装置に適用可能なハードウェアの一例を示すブロック図である。CPU51は制御プログラムにしたがって各種の演算を実行する演算装置である。記憶装置52は、ROMやRAM、HDD(ハードディスクドライブ)、SSD(シリコンステートドライブ)などの記憶装置である。記憶装置52には、ブートプログラム、データ、ナビゲーションプログラムなどが格納されている。とりわけ、記憶装置52には地図データや衛星画像などが格納されている。通信インターフェース57はネットワーク1を介して他の情報処理装置と情報を送受信する通信回路である。入力装置55はキーボードやマウス、タッチパネルなどであり。操作者が端末装置10の入力装置55を操作することで出発地や目的地が設定され、検索リクエストがサーバ20に送信される。表示装置56はCRT(陰極間管)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置である。端末装置10の表示装置56はサーバ20から受信した推奨ルートなどを表示する。
【0012】
図3はサーバ20のCPU51がナビゲーションプログラムを実行することで実現する機能の一部と、端末装置10のCPU51がプログラム(例:Webブラウザ)を実行することで実現する機能の一部である。サーバ20は、地図情報を蓄積した地図データベース61と、衛星画像(画像データ)を蓄積した画像データベース62と、候補ルートや推奨ルートを検索するルート検索部63を備えている。なお、推奨ルートは複数の候補ルートのうちで評価値(例:距離、移動時間、夜間の明るさ)が相対的に高い候補ルートである。
【0013】
地図データベース61は、出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートを検索する地図データベースサーバであってもよい。画像データベース62は、複数の地域について上空から撮影された画像であってそれぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を記憶した画像データベースサーバであってもよい。端末装置10は明るさを調べたいルートの検索をサーバ20にリクエストし、サーバ20から受信した候補ルートや推奨ルートをユーザに提示するルート提示部64を備えている。サーバ20はナビゲーションサービスをWebベースのサービスとして提供してもよい。この場合、ルート検索部63は出発地や目的地を操作者が入力するためのWebページ(HTMLファイルや画像データ、スクリプトなど)を端末装置10に送信する。端末装置10のルート提示部64はWebページを表示装置56に表示する。Webページには出発地を入力するためのテキストボックスや目的地を入力するためのテキストボックス、検索を指示するための検索ボタンが設けられている。ルート提示部64は、検索ボタンが操作されたことを検知すると、ルート提示部64は出発地や目的地を含む検索リクエストをルート検索部63に送信する。ルート提示部64はルート検索部63から受信した推奨ルートを表示装置56に表示する。サーバ20の一部または全部を端末装置10が備えていてもよい。たとえば、サーバ20は地図データベース61と画像データベース62を備え、ルート検索部63は端末装置10に実装されてもよい。また、端末装置10が地図データベース61、画像データベース62およびルート検索部63を備えていてもよい。記憶装置52の一部として採用可能なメモリカードの低価格化と大容量化によって、端末装置10が地図データベース61と画像データベース62を保持することも可能となろう。
【0014】
<フローチャート>
図4はルート検索部63が実行するルート決定処理の一例を示すフローチャートである。端末装置10のルート提示部64は住所などを入力することで、入力した住所を含む地域の地図データをルート検索部63から受信して表示装置56に表示していてもよい。図5は地図データ71の一例を示している。なお、地図データ71に代えて衛星画像(例:高精度かつ高解像度の衛星写真や航空写真など)が表示されてもよい。
【0015】
S1でルート検索部63はルート提示部64から出発地と目的地とを含む検索リクエストを受け付ける。図6は地図データ71に対してルート提示部64により設定された出発地73と目的地74の一例を示している。出発地73と目的地74はテキストボックスに住所を入力することで指定されてもよいし、表示装置56に表示された地図データ71に対して入力装置55を通じたタッチまたはクリックにより指定されてもよい。操作者は、通勤ルートや通学ルートのうち徒歩区間のルートを調べるために出発地(例:自宅)から目的地(例:最寄り駅やバス停)などを指定する。操作者は、新居を構えようとする候補場所を出発地または目的として指定してもよい。なお、現住所と、候補場所とを交互または同時に入力して、各ルートの明るさを調べるために、本実施例が利用されてもよい。一般には、単一の出発地から単一の目的地までのルート検索が実行されるが、本実施例では、複数の出発地から単一の目的地までのルート検索が実行されてもよいし、単一の出発地から複数の目的地までのルート検索が実行されてもよい。これにより操作者は現住所のルートと新居候補住所のルートとを比較衡量しやすくなろう。図13(A)は、複数の出発地から単一の目的地までのルート検索を実行するためのユーザインタフェース150aを示している。図13(B)は、単一の出発地から複数の目的地までのルート検索を実行するためのユーザインタフェース150bを示している。このように、ルート検索部63は複数の出発地と単一の目的地との指定を受け付ける受付手段や単一の出発地と複数の目的地との指定を受け付ける受付手段として機能する。
【0016】
S2でルート検索部63はルート提示部64部から指定された出発地と目的地とを結ぶ一つまたは複数の候補ルートを、地図データベース61を検索することで抽出する。図7は候補ルートの一例を示す図である。検索結果72には第一候補ルート75と第二候補ルート76とが含まれている。実際には3つ以上の候補ルートなどが抽出されてもよい。
【0017】
S3でルート検索部63は、候補ルートに基づき画像データベース62を検索し、候補ルートを含む地域について複数の衛星画像を抽出する。なお、複数の衛星画像は夜間に撮影されたものを少なくとも含む。解像度が2m以下の衛星写真であれば、歩行者が通行する歩行路についても精度よく明るさ(例:照度)を決定できるようになろう。なお、本発明は歩道のルート検索だけでなく、自転車専用道路のルート検索に使用されてもよいし、自動車用道路のルート検索に使用されてもよい。
【0018】
複数の候補ルートが(衛星写真等の)複数の画像にまたがっている場合、ルート検索部63は、照度の補正を実行してもよい(この処理は規格化または正規化と呼ばれてもよい)。この場合、ルート検索部63は、複数の候補ルートのすべてを含む単一のワイド画像(縮尺の小さな画像)を地図データベース61から取得し、すべての候補ルートが含まれる地域における平均照度(輝度)を求める。さらに、ルート検索部63は平均照度と各地理的領域の照度との比(照度比)を求める。地理的領域は地域を複数に分割したものであり、縮尺の大きな複数の画像によってカバーされている領域である。ルート検索部63は、縮尺の大きな複数の画像のそれぞれについて、各画像についてワイド画像から求められた照度比を乗算することで各画像の照度を補正する。
【0019】
ところで、S3で抽出される複数の衛星画像は、各地域について夜間に定期的に撮影された複数の衛星画像など、時刻や日時が異なる複数の衛星画像であってもよい。これにより、季節、天候、時刻に依存しないその地域における一年間を通した最低の照度を特定できるようになろう。ナビゲーションサービスは短期的な目的で使用されるケースと長期的な目的で使用されるケースとがある。前者は一般的なナビゲーションサービスであるが、後者は新居の選定などに使用されるサービスである。よって、不動産関連サービスでは一年間を通した最低の照度が有用となろう。雨天時に撮影された衛星画像は雲によって地上の明るさを判別できないような画像となることがある。そのような衛星画像は予め除外されるものとする。
【0020】
S4でルート検索部63は抽出された衛星画像を複数の領域に分割し、各領域の照度を求める。図8は、第一の日時に撮影された第一衛星画像81と第二の日時に撮影された第二衛星画像82と、第一衛星画像81および第二衛星画像82を合成して言えられる合成画像83を示した図である。ルート検索部63は衛星画像をN×M個の領域に分割し、各領域を構成している画素の輝度を加算して各領域の照度を求める。第一衛星画像81と第二衛星画像82とを比較するとわかるように撮影日時が異なれば各領域の照度が異なる。たとえば、たまたま撮影日時に自動車が通過している場合、自動車のヘッドライトによって、照度が高くなってしまう。自動車は常に通行しているわけではないため、歩行者等は自動車のヘッドライトを頼りにすることは安全性に欠けよう。そこで、候補ルートの各区間における照度を決定する際には、自動車のヘッドライトの影響を除外する必要があろう。これは複数の衛星画像から各領域ごとの最低照度を求めることで実現されよう。各領域のサイズは、歩道の道幅程度のサイズであればよい。
【0021】
S5でルート検索部63は複数の衛星画像を比較し、同一領域における最低照度を決定する。たとえば、ルート検索部63は複数の衛星画像において緯度経度が同一の領域を抽出し、抽出された複数の領域の照度を比較し、最低照度を決定する。ルート検索部63は各座標(各領域)の最低照度をマッピングすることで、合成画像83を作成してもよい。これにより所定期間において各領域の最低照度が判明する。なお、計算の負荷を低減するために、候補ルート上の領域についてだけ最低照度が決定されてもよい。
【0022】
S6でルート検索部63は少なくとも最低照度に基づき各候補ルートの評価値を決定し、最も評価値の高い候補ルートを推奨ルートに決定する。評価値には、各候補ルートの距離や移動時間(歩行時間など)が考慮されてもよい。たとえば、照度、距離、移動時間をそれぞれ十段階で評価し、合計点を評価値としてもよい。たとえば、照度に比例して評価値は高くなり、距離に反比例して評価値が高くなり、移動時間に反比例して評価値が高くなる。ルート検索部63は複数の候補ルートの評価値を比較し、最も評価値の高い候補ルートを推奨ルートに決定する。なお、評価値に考慮されるべき、パラメータは操作者によって予め指定されてもよい。たとえば、照度が最も優先されるように照度だけが評価値に算入されてもよいし、重みづけが導入されてもよい。
【0023】
S7でルート検索部63は照度と関連付けて推奨ルートを端末装置10に出力する。端末装置10のルート提示部64は、受信した推奨ルートを表示装置56に表示させる。
なお、ルート検索部63は、S4にて求められた照度と関連付けて、複数の候補ルート/推奨ルートを端末装置10に出力してもよい。その際S5、S6の処理は省略される。
【0024】
図9は推奨ルートを提示するためのユーザインタフェース77の一例を示している。ユーザインタフェース77には地図データベースから取得された地図データに対して第一候補ルート75と第二候補ルート76とがマッピングされて表示されている。第一候補ルート75や第二候補ルート76の各区間の色または輝度を最低照度に応じて変化させることで、各区間の最低照度を視覚化してもよい。これにより操作者は各区間の最低照度を認識しやすくなろう。この例では、第二候補ルート76は第一候補ルート75よりも推奨される推奨ルートであるため、第二候補ルート76が強調表示されてもよい。たとえば、第二候補ルート76が点滅表示されてもよいし、より太い線で表示されてもよい。
【0025】
図10は推奨ルートを提示するためのユーザインタフェース77の他の一例を示している。ユーザインタフェース77では、最低照度に基づいて作成した合成画像に対して第一候補ルート75と第二候補ルート76とがマッピングされて表示されている。これにより操作者は各区間の最低照度を認識しやすくなろう。
【0026】
図11は各候補ルートの照度のグラフ85を含むユーザインタフェースの一例を示す図である。図9または図10に示した地図を含むインターフェースとともに、輝度の変化を示すグラフ85が表示装置56に表示されてもよい。グラフ85において第一軸である横軸が各候補ルートの距離を示し、第二軸である縦軸が明るさ(照度)を示している。
【0027】
第一輝度曲線86は第一候補ルート75についての出発地からの距離と照度との関係を示している。第二輝度曲線87は第二候補ルート76についての出発地からの距離と照度との関係を示している。第一輝度曲線86と第二輝度曲線87とを比較すると、第二候補ルート76は第一候補ルート75よりも移動距離が長くなるものの、ほとんどの区間が明るいことがわかる。一方で、第一候補ルート75は移動距離が短いものの、暗い区間が多いことがわかる。
【0028】
なお、ルート検索部63は、各候補ルートの照度の平均値、最大値、最小値などの統計値をルート提示部64に提示してもよい。ルート提示部64は候補ルートや推奨ルートについてこれらの統計値を関連付けて出力する。なお、ルートと統計値は同時に表示されてもよいし、個別に表示されてもよい。
【0029】
<まとめ>
図12はルート検索部63の機能とルート提示部64の機能を説明するための図である。ルート提示部64は、操作者からの指示に応じて出発地を指定する出発地指定部101と、操作者からの指示に応じて目的地を指定する目的地指定部102を有している。図13(A)、図13(B)に示したように、出発地指定部101は複数の出発地を指定してもよいし、複数の目的地を指定してもよい。ルート提示部64は、候補ルートや推奨ルートなどを表示装置56に表示させる推奨ルート表示部103を有している。
【0030】
ルート検索部63は、取得部110、決定部120および出力する出力部130などを有している。取得部110は、S1およびS2に関して説明したように、出発地73から目的地74までの一つ以上の候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像であって、それぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を取得する。つまり、取得部110は端末装置10から入力された出発地と目的地を受け付け、受け付けた出発地と目的地を含む検索リクエストを地図データベース61に送信し、出発地から目的地までの一つ以上の候補ルートのデータを取得する第一取得手段として機能する。なお、取得部110は複数の出発地と単一の目的地との指定を受け付ける受付手段や単一の出発地と複数の目的地との指定を受け付ける受付手段を有していてもよい。また、取得部110は、第一取得手段により取得された候補ルートのデータにしたがって、当該候補ルートを含む地域を上空から撮影された画像であって、それぞれ時刻または日時が異なる複数の画像を画像データベース62から取得する第二取得手段として機能する。S4に関して説明したように、決定部120は、複数の画像をそれぞれ明るさ比較のための複数の画像領域に分割する領域分割部121を有していてもよい。S5に関して説明したように、決定部120は、緯度経度の座標が一致する複数の画像領域のそれぞれの明るさ(例:輝度や照度)を比較し、各座標においても最小の明るさ(例:最低照度)を決定する明るさ決定手段として機能する。また、決定部120は、画像を複数の画像領域に分割し、画像領域のそれぞれの明るさ(例:輝度や照度)を決定する明るさ決定手段として機能してもよい。S7に関して説明したように、出力部130は、各候補ルートについての画像から決定された明るさを各候補ルートに関連付けて端末装置10に出力する。これにより、歩行者等に対してルートの明るさを提示することが可能となろう。
【0031】
S5に関して説明したように、決定部120は、各候補ルートについて取得された第一の衛星画像を構成する複数の画像領域と第二の衛星画像を構成する複数の画像領域についてそれぞれ緯度経度の座標が一致する画像領域を抽出してもよい。比較部122は、第一の衛星画像から抽出された画像領域の明るさと、第二の衛星画像から抽出された画像領域の明るさとを比較してもよい。選択部131は、比較部122の比較結果に基づきより暗い画像領域を選択してもよい。合成部132は、各座標について選択された画像領域を合成して1つの合成画像を生成する生成手段として機能してもよい。図9図10を用いて説明したように、オーバレイ部133は、各候補ルートを合成画像にオーバレイしてもよい。オーバレイ部133は推奨ルート表示部103に含まれていてもよい。
【0032】
上空から撮影された画像は一年を通して夜間に定期的に撮影された複数の画像であってもよい。また、候補ルートは歩行者または自転車用の候補ルートであってもよい。これにより、歩行者や自転車が夜間通行するのに安全なルートを提示することが可能となろう。
【0033】
S7に関連して説明したように、出力部130は、各候補ルートを構成する複数の区間のそれぞれについて当該区間の明るさを示す情報を出力してもよい。出力部130は、各区間の明るさを輝度の違いまたは色の違いで表現してもよい。図11を用いて説明したように、出力部130は、第一軸が各候補ルートの距離を示し、第二軸が明るさを示すグラフを出力してもよい。これにより端末装置10の操作者は視覚的に各区間の明るさを理解できるようになろう。
【0034】
S7に関して説明したように、判定部140は、各候補ルートにおける最小の明るさと距離または所要時間とに基づき少なくとも一つの推奨ルートを判定してもよい。出力部130は、推奨ルートを端末装置10に出力する。これにより操作者は明るさを少なくとも評価値として考慮された推奨ルートを知得できるようになろう。
【0035】
図11を用いて説明したように、端末装置10の操作者がサーバ20を用いて通勤路や通学路を検索することで、夜間における明るさを簡単に調べることができるようになろう。たとえば、新しい住居の選択時(転居や新築時など)に新しい住居を出発地または目的地とした通勤路や通学路の夜間における明るさを操作者に提示できるため、住居選びに役立つであろう。夜間における歩道などの明るさは、女性や子供だけでなく男性にとっても防犯上の重要な情報となろう。さらに、現行ルートより明るい推奨ルートがあるかどうかについても、端末装置10の操作者は容易に理解できるようになり、防犯対策に利用できるようになろう。
【0036】
本実施例に係るナビゲーションシステムは次のような応用サービスに利用されてもよい。
(1)利用者サービス・・・安全を要望する利用者に対して推奨ルート(夜間の明るさ)を提示する。直接的に利用者に推奨ルート(夜間の明るさ)が提示されてもよいし、(会社などの第三者を通して)間接的に推奨ルート(夜間の明るさ)が提示されてもよい。
(2)サービスシステムの販売・・・販売促進や住民サービス用に本実施例に係るナビゲーションシステムが販売されてもよい。たとえば、不動産会社が不動産販売の促進を目的にして本実施例に係るナビゲーションシステムを用いて、顧客に対して、夜間においても明るい通勤路や通学路を確保できる優良物件を提案できるようになろう。携帯通信会社が契約者にのみ本実施例のナビゲーションサービスを提供することで、契約数を増やすことが可能となろう。また、自治体が外灯設置場所を決定するために、本実施例のナビゲーションシステムを導入するか利用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…ネットワーク、10a、10b…端末装置、20…サーバ
図1
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図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
図12
図13