(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る駐車位置案内システムの全体構成を模式的に示す説明図である。本実施形態に係る駐車位置案内システムは、車両に搭載される車載器10と、管理サーバ70と、携帯端末90とで構成されている。本実施形態において、車載器10が搭載される車両は、乗客を輸送するためのバスである。車載器10と管理サーバ70とはネットワーク100を介して相互に通信可能に構成されており、同様に、管理サーバ70と携帯端末90とはネットワーク100を介して相互に通信可能に構成されている。
【0016】
図2は、車載器10の構成を模式的に示すブロック図である。車載器10は、車両に関する情報を記録するものであり、車両の走行情報(運行情報)を記録するデジタルタコグラフである。また、車載器10は、車両周囲の画像を記録するドライブレコーダの機能も備えている。
【0017】
車載器10は、制御部(CPU:Central Processing Unit)11、不揮発性メモリ12、揮発性メモリ13、カードインタフェース(I/F)14、音声I/F16、RTC(Real Time Clock)17、SW入力部21、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ22、速度/エンジン回転I/F23、速度/エンジン回転警報部24、外部入力I/F25、アナログ入力I/F26、外部出力I/F27、ETC(Electronic Toll Collection)_I/F28、GPS(Global Positioning System)_I/F32、CAN(Controller Area Network)_I/F33、通信端末I/F34、電源部35、カメラI/F36及びGセンサ37を備える。
【0018】
制御部11は、車載器10の動作を制御する。不揮発性メモリ12は、制御部11によって実行される動作プログラム、当該動作プログラムの実行に必要な各種固定データ等を格納する。揮発性メモリ13は、制御部11のワーキングメモリとして使用される。
【0019】
カードI/F14には、不揮発性の記録領域を有するメモリカード40を装着可能なスロットを有しており、制御部11がメモリカード40にアクセスするために必要な信号処理機能を備えている。カードI/F14は、装着されたメモリカード40に対し、データ転送等の各種データ処理を実行する。車載器10の記録動作中には、メモリカード40はカードI/F14に装着され、車載器10が収集した走行情報及び画像情報がメモリカード40に書き込まれる。
【0020】
音声I/F16には、スピーカ44が接続される。RTC17は、時計IC(Integrated Circuit)からなり、現在時刻を計時する。制御部11は、RTC17からの情報に基づいて現在時刻を識別する。
【0021】
SW入力部21には、各種スイッチ(図示せず)のON/OFF信号が入力される。このSW入力部21には、運行開始/終了を指示するスイッチ(図示せず)のON/OFF信号が入力されたり、画像記録を指示するスイッチ(図示せず)のON/OFF信号や、車両の駐車完了を指示するスイッチ(図示せず)のON/OFF信号が入力されたりする。
【0022】
LCDコントローラ22は、液晶表示器(LCD)の表示を制御するために用いられる。液晶表示器は、各種情報を表示画面上に表示するものであり、車載器10の筐体の外部に設けられてもよいし、筺体前面に配置されてもよい。
【0023】
速度/エンジン回転I/F23には、車両に搭載された車速センサ(図示せず)やエンジン回転センサ(図示せず)が接続され、速度パルスや回転パルスが入力される。制御部11は、当該速度パルス及び回転パルスに基づいて車両の走行速度、エンジン回転数を算出する。速度/エンジン回転警報部24は、例えばランプ(図示せず)やブザー(図示せず)等の警報器であり、制御部11により制御され、速度オーバやエンジン回転数の上昇を警報する。
【0024】
外部入力I/F25には、イグニッションSW(図示せず)のON/OFF信号、ブレーキSW(図示せず)のON/OFF信号、ウインカSW(図示せず)のON/OFF信号などが入力される。アナログ入力I/F26には、車両の走行距離を計測する距離計(図示せず)からの信号など、各種外部信号が入力される。外部出力I/F27には、その他の各種信号が出力される。
【0025】
ETC_I/F28には、ETC車載器(図示せず)が接続される。GPS_I/F32には、GPS受信機41が接続される。GPS受信機41は、GPS衛星から送信されるGPSデータを取得し、このGPSデータから得られる車両位置の情報を制御部11に出力する。すなわち、このGPS受信機41は、車両の位置を特定する車両位置特定部である。
【0026】
CAN_I/F33には、CAN規格のネットワークに接続された各種のデバイスが接続される。
【0027】
通信端末I/F34には、通信端末モジュール42が接続される。通信端末モジュール42は、例えば無線LANモジュールであり、無線LANによりアクセスポイントに対して接続を行う。アクセスポイントは、例えば車両に設置された無線LANルータ50(
図1参照)であり、この無線LANルータ50は、無線通信により基地局110と接続されている。制御部11は、通信端末モジュール42が接続するネットワーク100を介して、管理サーバ70と通信することができる。
【0028】
電源部35は、車載器10の各部に電力を供給する。
【0029】
カメラI/F36には、カメラ43
(車載器用カメラ)が接続される。カメラI/F36は、カメラ43から出力される画像信号を処理して、デジタル信号で表現される画像データを生成する。生成された画像データは、制御部11により、図示しない所定の画像メモリに格納される。
【0030】
カメラ43は、車両周囲を撮像するものである。カメラ43は、例えば車室内の運転席の近傍に配置されており、前方のウインドシールド越しに見える進行方向前方を撮像する。このカメラ43により、車両が走行する進行方向前方の走行路、自車両の車体の一部分、先行車両、対向車両などが被写体として撮像される。カメラ43は、車載器10の動作中は常時撮像を行うことが可能であり、一定のフレーム周期(例えば30フレーム/秒)で撮像を繰り返し行い、画像信号を順次に出力する。
【0031】
なお、カメラ43は一台に限らず、複数台で構成してもよい。例えば、車両後方に配置され進行方向後方の所定領域を撮像するカメラ43を含むといった如くである。
【0032】
Gセンサ37は、車両に加わる衝撃(加速度)を検出し、制御部11に加速度情報を出力する(加速度センサ)。
【0033】
このような構成の車載器10において、制御部11は、一定時間(例えば0.5秒)毎に、走行情報をメモリカード40に記録する。メモリカード40に記録される情報には、当該情報を記録した時刻が関連付けられる。ここで、一定時間毎に記録する走行情報としては、走行速度、エンジン回転数等が挙げられる。
【0034】
また、制御部11は、所定のイベントが発生した場合には、このイベントに関する情報を走行情報としてメモリカード40に記録する。イベントは車両において発生する各種の事象であり、急発進、急加速、急減速、急旋回、ブレーキ、ウインカ等がこれに該当する。制御部11は、これらのイベントの発生を判断すると、そのイベントの内容、当該イベントが発生した時刻、その車両位置などの情報をメモリカード40に関連付けて記録する。
【0035】
また、イベントには、Gセンサ37において所定値(例えば0.6G)を超える加速度が検出されたことを示すトリガが含まれる。制御部11は、トリガの発生を判断すると、画像メモリに保存されている画像データのうち、トリガが発生したタイミングより前の所定時間(例えば2秒)、及び当該タイミングよりも後の所定の時間(例えば2秒)からなる一連の期間に関する画像データ(画像情報)をメモリカード40に記録する。この場合、制御部11は、イベントがトリガであること、当該トリガが発生した時刻、画像の開始時刻、その走行位置等の情報も関連付けてメモリカード40に記録する。
【0036】
なお、メモリカード40に対する画像データの記録は、トリガの発生以外にも、SW入力部21を介して入力される画像記録の指示信号の発生に基づいて行うことができる。同様に、メモリカード40に対する画像データの記録は、上述した各種のイベントの発生と関連付けて行うこともできる。
【0037】
また、本実施形態の特徴の一つとして、制御部11は、駐車場に車両を駐車させた場合に、GPS受信機41により特定される車両の位置に基づいて車両の駐車位置を送信することにより、管理サーバ70に車両の駐車情報を通知する(通知部)。駐車場に車両を駐車させたか否かの判断は、例えば、イグニッションSWのOFF信号に基づいて判断する。また、これ以外にも、SW入力部21を介して入力される車両の駐車完了に関する信号に基づいて判断してもよい。
【0038】
また、制御部11は、車両の駐車位置とともに所定の画像データを管理サーバ70に送信する。すなわち、管理サーバ70に通知される車両の駐車情報には、車両の駐車位置のみならず、所定の画像データも含まれる。管理サーバ70に送信する画像データは、車両周囲の画像に関する画像データと、車両外観の画像に関する画像データとが含まれる。
【0039】
車両周囲の画像は、駐車場に車両を駐車したときの車両周囲の景色が表れた画像であり、本実施形態では、カメラ43により撮像された車両前方の画像である。この画像は、駐車場に車両を駐車させたタイミングで、又はそれ以降のタイミングでカメラ43により撮像された画像を、画像メモリから読み出すことで取得される。一方、車両外観の画像は、車両の外観が表れた画像であり、車載器10が予め保有している。車両外観の画像は、例えば不揮発性メモリ12に格納されている。
【0040】
なお、制御部11は、車両の位置及び画像データを管理サーバ70に送信するに当たり、これらの情報に、車両IDを関連付けて行う。この車両IDは、本システムにおいて車両を識別するための固有の識別子であり、本実施形態では、車載器10に予め割り当てられた固有の識別子である。
【0041】
図3は、管理サーバ70の構成を模式的に示すブロック図である。管理サーバ70は、駐車位置を案内するために必要なデータを管理するサーバである。この管理サーバ70は、ディスプレイ71、操作部72、記憶部73、通信I/F74及び制御ユニット75を有する。
【0042】
ディスプレイ71は、表示画面に各種の情報を表示するものであり、例えばLCDを利用することができる。このディスプレイ71に表示される情報は、制御ユニット75により制御される。
【0043】
操作部72は、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスなどで構成されている。操作部72は、オペレータの操作指示に応じた操作信号を制御ユニット75に出力する。
【0044】
記憶部73は、車載器10から送信された情報や画像データを格納するものである。この記憶部73は、駐車情報データベース(駐車情報DB)73aを有している。ここで、
図4は、駐車情報データベース73aの構成を示す説明図である。駐車情報データベース73aは、車両の駐車情報を管理する一つ以上の駐車情報レコードから構成されている。駐車情報レコードは、車両毎に用意されている。個々のレコードは、「車両ID」、「通知日時」、「駐車位置」、「周囲画像ファイル名」及び「外観画像ファイル名」で構成されている。
【0045】
「車両ID」は、個別のレコードを識別するためのものであり、車両IDが記述される。「通知日時」は、車載器10から車両の駐車情報が通知された日時が記述される。「駐車位置」は、車載器10から送信される車両の駐車位置が記述される。「周囲画像ファイル名」は、車載器10から送信される車両周囲の画像についてのファイル名が記述される。「外観画像ファイル名」は、車載器10から送信される車両外観の画像についてのファイル名が記述される。
【0046】
通信I/F74は、無線又は有線にて、ネットワーク100と接続するためのインタフェースである。
【0047】
制御ユニット75は、管理サーバ70の制御を司るものであり、CPU、ROM、RAMなどで構成されている。制御ユニット75は、ROM等に格納された所定のコンピュータプログラムに基づいて、所定の動作を実行する。
【0048】
本実施形態との関係において、制御ユニット75は、車載器10から車両の駐車情報が通知されると、送信された車両の位置及び画像データに基づいて駐車情報レコードを作成する。一方、制御ユニット75は、車両の駐車情報の送信を携帯端末90から要求されると、該当する車両の駐車情報レコードを抽出し、当該レコードに記述される車両の駐車位置、並びに、当該レコードに記述される各ファイル名に相当する画像データを、車両IDを通知した携帯端末90に返送する。
【0049】
図5は、携帯端末90の構成を模式的に示す説明図である。携帯端末90は、車両を利用する利用者(乗客)が保有するものであり、一例としてスマートフォンである。しかしながら、携帯端末90としては、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)などの携帯端末を用いることができる。
【0050】
携帯端末90は、制御ユニット91と、記憶部92、方位センサ93、GPS受信機94、ディスプレイ95、操作部96と、カメラ97
(携帯端末用カメラ)、通信部98などで構成されている。
【0051】
制御ユニット91は、携帯端末90の制御を司るものであり、CPU、ROM、RAMなどで構成されている。制御ユニット91は、ROMや記憶部92に格納されたコンピュータプログラムに基づいて、所定の動作を実行する。
【0052】
記憶部92は、携帯端末90の利用に供する各種データを格納するものであり、不揮発性メモリなどで構成されている。また、記憶部92には、制御ユニット91によって実行されるアプリケーション(アプリ)や、ナビゲーション用の地図データ等が格納されている。
【0053】
方位センサ93は、携帯端末90の方位、すなわち、その向きや姿勢、及びその変化を検出する。方位センサ93は、複数の地磁気センサと、複数の加速度センサを組み合わせて構成されている。方位センサ93は、携帯端末90が向いている方向や角度を検出し、その検出結果を制御ユニット91へ出力する。
【0054】
GPS受信機94は、GPS衛星から送信されるGPSデータを取得し、このGPSデータから得られる携帯端末90の位置の情報を制御ユニット91に出力する。換言すれば、このGPS受信機94は、携帯端末90の位置を特定する端末位置特定部である。
【0055】
ディスプレイ(表示部)95は、携帯端末90の表面側に設けられており、各種の情報を表示する。ディスプレイ95に表示される情報は、制御ユニット91により制御される。
【0056】
操作部96は、利用者が携帯端末90を操作するものであり、例えばタッチパネルで構成されている。タッチパネルは、ディスプレイ95上に配置され、当該ディスプレイ95上に表示される情報に従い、入力操作を行うことができる。操作部96は、利用者の操作に応じた操作信号を制御ユニット91に出力する。
【0057】
カメラ97は、携帯端末90の背面側に設けられており、携帯端末90の周囲、すなわち、携帯端末90の背面と対向する側の景色を撮像する。カメラ97による撮像は、例えば毎秒30フレームで画像を取り込むことにより行われ、この画像はディスプレイ95に表示される。
【0058】
通信部98は、例えば3G通信モジュールであり、3G回線用の基地局120との間で電波にて無線通信を行う。携帯端末90は、通信部98を介してネットワーク100と接続され、管理サーバ70との間で通信を行うことができる。なお、通信部98は、例えば無線LANモジュールでもよく、街中に設置されたアクセスポイントとの間で電波にて無線通信を行うものでもよい。
【0059】
このような構成の携帯端末90において、利用者は携帯端末90にインストールされた専用のアプリを起動することで、本システムが提供する駐車位置案内のサービスを利用することができる。この場合において、制御ユニット91は、アプリの実行に伴い、以下に示す処理を行う。まず、制御ユニット91は、利用者が利用する車両の情報(車両ID)を管理サーバ70に通知することで、車両IDについて関連付けられた車両の駐車情報の送信を管理サーバ70に要求する(要求部)。この要求に応じて管理サーバ70から返信を受けることで、制御ユニット91は、車両の駐車情報を取得する。取得した車両の駐車情報には、車両の駐車位置、車両周囲の画像及び車両外観の画像が含まれている。そして、制御ユニット91は、取得した車両の駐車情報に基づいて、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの案内を行う。
【0060】
以下、
図6を参照し、駐車位置案内システムによる処理の流れを説明する。この駐車位置案内システムの処理は、車載器10、管理サーバ70及び携帯端末90の三者が協働することで実現される。
【0061】
まず、ステップ10において、車載器10の制御部11は、駐車場に車両が駐車されたか否かを判断する。駐車の判断は、例えばイグニッションSWのOFF信号に基づいて判断される。このステップ10において肯定判定された場合、すなわち、車両が駐車された場合には、ステップ11に進む。一方、ステップ10において否定判定された場合、すなわち、車両が駐車されていない場合には、ステップ10に戻る。
【0062】
ステップ11において、制御部11は、GPS受信機41により車両の駐車位置を特定する。
【0063】
ステップ12において、制御部11は、カメラ43により撮像された車両周囲の画像を、画像メモリから読み込む。同様に、制御部11は、車両外観の画像を不揮発性メモリ12から読み込む。
【0064】
ステップ13において、制御部11は、車両の駐車位置、車両周囲の画像及び車両外観の画像を車両IDと関連付けた上で、これらの情報を管理サーバ70に送信する。これにより、制御部11は、車両の駐車情報を管理サーバ70に通知する。
【0065】
車両の駐車情報の通知を受けると、ステップ20において、管理サーバ70の制御ユニット75は、車両の駐車情報に基づいて駐車情報レコードを作成し、これを駐車情報データベース73aに追加する。具体的には、制御ユニット75は、車両ID、通知を受け付けた時刻、車両の駐車位置、車両周囲の画像及び車両外観の画像の各ファイル名を、レコードの該当する項目に記述する。これにより、記憶部73に、車両(車両ID)と、その車両の車載器10から送信された車両の駐車情報とを関連付けた情報が格納される。
【0066】
一方、駐車位置への案内を希望し、利用者が自己の保有する携帯端末90にインストールされた所定のアプリを起動すると、携帯端末90の制御ユニット91は、所定の動作を実行する。まず、ステップ30において、制御ユニット91は、利用者が利用する車両と関連付けられた車両の駐車情報の送信(返信)を管理サーバ70に要求する。この要求は、例えば、その車両の車両IDを管理サーバ70に通知することで行われる。管理サーバ70への車両IDの通知方法は、利用者が運行事業者から予め車両IDの情報を知得しておくことで、利用者がアプリの設定項目として車両IDを登録しこれを送信するとしてもよいし、管理サーバ70にアクセスして駐車情報データベース73aに登録された駐車情報レコードの中から所望の車両IDを選択するようにしてもよい。
【0067】
携帯端末90から車両IDの通知を受けると、ステップ25において、管理サーバ70の制御ユニット75は、通知された車両IDに基づいて駐車情報データベース73aを検索し、通知された車両IDと一致する駐車情報レコードを抽出する。通知された車両IDと一致する駐車情報レコードが複数存在する場合には、制御ユニット75は、「通知日時」が最も新しい駐車情報レコードを抽出することが好ましい。
【0068】
ステップ26において、制御ユニット75は、抽出した駐車情報レコードに基づいて、車両の駐車位置を読み込むとともに、各画像ファイル名に記載された車両周囲の画像及び車両外観の画像を読み込む。そして、制御ユニット75は、通知を行った携帯端末90に対して、車両の駐車位置、車両周囲の画像及び車両外観の画像を含む車両の駐車情報を送信する。
【0069】
そして、ステップ31において、携帯端末90の制御ユニット91は、管理サーバ70から送信される車両の駐車情報を取得したか否かを判断する。このステップ31において肯定判定された場合、すなわち、車両の駐車情報を取得した場合には、ステップ32に進む。一方、ステップ31において否定判定された場合、すなわち、車両の駐車情報を取得していない場合には、ステップ31の処理に戻る。なお、ステップ30の処理を実行した後、一定時間を経過しても車両の駐車情報を取得しない場合には、再度ステップ30の処理に戻るようにしてもよい。
【0070】
ステップ32において、制御ユニット91は、案内処理を行う。具体的には、制御ユニット91は、ディスプレイ95に、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの案内を表示する。また、制御ユニット91は、ディスプレイ95に、この案内とともに車両周囲の画像Ica及び車両外観の画像Iceを表示する(
図7又は
図8参照)。ここで、車両の駐車位置までの案内は、例えば以下の手法により行われる。
【0071】
図7は、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの案内表示の一例を示す説明図である。第1の手法としては、地図表示を用いた経路案内の方法である。具体的には、制御ユニット91は、携帯端末90の現在位置を中心とする地図データに基づき、ディスプレイ95上に地図を表示する。そして、制御ユニット91は、当該地図上に、携帯端末90の現在位置を示すアイコンAmと、車両の駐車位置とを示すアイコンAcをそれぞれ表示するとともに、携帯端末90から駐車位置へと至る経路R1を表示する。
【0072】
制御ユニット91は、案内処理を行っている間にわたりGPS受信機94からのGPSデータの受信を周期的に行い、携帯端末90の現在位置を随時更新する。そして、制御ユニット91は、最新の現在位置に応じて表示内容を更新する。
【0073】
図8は、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの案内表示の一例を示す説明図である。第2の手法としては、カメラ97による実写画像(携帯端末周囲の画像)を用いた経路案内の方法である。具体的には、制御ユニット91は、カメラ97によって撮像される画像をディスプレイ95に表示する。また、制御ユニット91は、車両の駐車位置、携帯端末90の位置及び方位に基づいて、駐車位置までの進行方向や距離を特定する。そして、制御ユニット91は、カメラ97の画像に、現在位置を基準とする車両の駐車位置の方向をマークMDで表示する。同様に、制御ユニット91は、車両の駐車位置までの距離(距離)を併せて表示する。
【0074】
制御ユニット91は、案内処理を行っている間にわたり、GPS受信機94からのGPSデータの受信及び方位センサ93による方位の検出を周期的に行い、携帯端末90の位置及び方位を随時更新する。そして、制御ユニット91は、最新の位置及び方位に応じて表示内容を更新する。
【0075】
ステップ33において、制御ユニット91は、案内を終了するか否かを判断する。案内を終了する条件は、例えば利用者により案内終了の操作がされたこと、或いは、携帯端末90の現在位置と車両の駐車位置とが一致したこと等が挙げられる。ステップ33において肯定判定された場合、すなわち、案内を終了する場合には、本処理を終了する。一方、ステップ33において否定判定された場合、すなわち、案内を終了しない場合には、ステップ32に戻る。
【0076】
このように本実施形態において、駐車位置案内システムは、車両に関する情報を時刻と関連付けて記録する車載器10と、車両を利用する利用者が保有する携帯端末90と、車載器10又は携帯端末90と相互に通信可能に構成された管理サーバ70と、で構成されている。
【0077】
ここで、車載器10は、車両の位置を特定するGPS受信機41(車両位置特定部)と、GPS受信機41により特定される車両の位置に基づいて駐車場における車両の駐車位置を送信することにより、管理サーバ70に車両の駐車情報を通知する制御部11(通知部)と、を有している。また、管理サーバ70は、車両毎に車載器10から送信された車両の駐車情報を関連付けた駐車情報データベース73aを記憶する記憶部73を有している。一方、携帯端末90は、携帯端末90の位置を特定するGPS受信機94(端末位置特定部)と、制御ユニット91とを有している。制御ユニット91は、これを機能的に捉えた場合、利用者(乗員)が利用する車両について関連付けられた車両の駐車情報の送信を管理サーバ70に要求する要求部と、管理サーバ70から取得した車両の駐車情報に基づいて、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの案内を行う駐車位置案内部とを有している。
【0078】
この構成によれば、駐車場に車両が駐車されると、車載器10から車両の駐車位置の情報が送信され、これが管理サーバ70に登録される。そのため、利用者が車両の駐車位置までの案内を求める場合には、管理サーバ70にアクセスし、車両の駐車情報を要求するだけでよい。このため、煩雑な操作を要することなく車両の駐車位置への案内を行うことができる。
【0079】
特に、事業用車両には、車両に関する情報を記録する車載器10が搭載されており、この車載器10が備える機能の範囲内で上述のシステムを実現することができる。これにより、駐車位置案内システムを簡単に構築することができる。
【0080】
また、本実施形態において、携帯端末90は、情報を表示するディスプレイ95をさらに備えている。この場合、制御ユニット91は、ディスプレイ95に、携帯端末の現在位置の周囲の地図と、携帯端末90の現在位置から車両の駐車位置までの経路R1とを表示する。
【0081】
この構成によれば、地図と照らしあわせることで、車両の駐車位置を容易に把握することができる。また、経路R1を表示することで、車両の駐車位置までの道程を簡単に把握することができる。
【0082】
また、本実施形態において、携帯端末90は、その周囲を撮像するカメラ97をさらに備えている。この場合、制御ユニット91は、カメラ97によって撮像される携帯端末90周囲の画像に、携帯端末90の現在位置を基準とする車両の駐車位置の方向を示すマークMDを重ねて表示している。
【0083】
この構成によれば、携帯端末90周囲の景色とともに、マークMDによって示される駐車位置までの進行方向を把握することができる。これにより、利用者が周囲の景色から駐車位置までの方向を簡単に把握することができ、車両の駐車位置を容易に把握することができる。また、駐車場内のように道路(経路)が存在しないような場所であっても、駐車位置へと利用者を適切に案内することができる。
【0084】
また、本実施形態において、車載器10は、車両周囲を撮像するカメラ43をさらに有している。そして、制御部11は、カメラ43により撮像された車両周囲の画像を車両の駐車位置とともに管理サーバ70に送信する。そして、携帯端末90の制御ユニット91は、ディスプレイ95に、管理サーバ70から取得した車両周囲の画像Icaを表示する。
【0085】
この構成によれば、付近に駐車する車両や遠景のランドマークといった車両周囲の景色を把握することができる。これにより、駐車場内において自身が利用する車両を探し出すための手がかりとすることができる。
【0086】
また、本実施形態において、車載器10の制御部11は、車両外観の画像を車両の駐車位置とともに管理サーバ70に送信している。そして、携帯端末90の制御ユニット91は、ディスプレイ95に、管理サーバ70から取得した車両外観の画像Iceを表示している。
【0087】
バスといった事業用車両は、利用者が日常的に利用するものではない、その外観の特徴を覚えていないことが多い。しかしながら、この手法によれば、車両の外観を利用者に教示することができるので、駐車場内において自身が利用する車両を探し出すための手がかりとすることができる。
【0088】
以上、本実施形態にかかる駐車位置案内システムについて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることなく、その発明の範囲において種々の変更が可能である。本実施形態では、事業用車両を前提に説明を行ったが、自家用車両や、各種の車両に搭載される車載器を利用してもよい。なお、本実施形態では、車両を利用する利用者として乗客を前提に説明を行ったが、添乗員や乗務員などであってもよい。また、車両外観の画像は、車載器が保有しこれを管理サーバに送信することとしているが、管理サーバに予め登録しておくことでもよい。