(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記濃度測定部が測定した二酸化炭素の濃度の変化率の絶対値が所定の変化率閾値以上であると、前記窒素酸化物供給手段による窒素酸化物の供給を開始させることを特徴とする請求項1に記載の植物育成促進装置。
前記制御部は、時間情報と、前記温室内に供給する窒素酸化物の量とが関連付けられた制御パターンを参照し、該制御パターンと現在時刻とに基づいて、前記窒素酸化物供給手段が供給する窒素酸化物の量を制御することを特徴とする請求項6に記載の植物育成促進装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
(第1の実施形態:植物育成促進装置100)
図1は、第1の実施形態にかかる植物育成促進装置100の構成を説明する図である。
図1に示すように、植物育成促進装置100は、温室10内に設けられ、二酸化炭素(CO
2)供給手段110と、窒素酸化物(NOx)供給手段120と、濃度測定部130と、開閉検知手段140と、制御部150とを含んで構成される。
【0019】
二酸化炭素供給手段110は、例えば、二酸化炭素ボンベ、二酸化炭素吸着剤(例えば、特願2015−202017号)、燃焼装置(例えば、特願2015−202018号)等を含んで構成され、温室10内に二酸化炭素を供給する。
【0020】
窒素酸化物供給手段120は、例えば、窒素酸化物ボンベ、スパークプラグ(例えば、特願2015−202016号)、窒素酸化物吸着剤(例えば、特願2015−202017号)、燃焼装置(例えば、特願2015−202018号)等を含んで構成され、温室10内に窒素酸化物を供給する。
【0021】
濃度測定部130は、温室10内の二酸化炭素の濃度を測定する。濃度測定部130による二酸化炭素の濃度の測定は、既存の技術であるため、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0022】
開閉検知手段140は、温室10に設けられた換気窓12、および、温室10への人の出入りを可能とするドア14等の開閉扉の開閉を検知する。
【0023】
制御部150は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して、植物育成促進装置100全体を管理および制御する。
【0024】
本実施形態において、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度に基づいて、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給量、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給量を制御したり、開閉検知手段140の検知結果に基づいて、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給量、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給量を制御したりする。
【0025】
温室10内の二酸化炭素の濃度が低下する要因として、(1)換気窓12やドア14の開放による温室10内の雰囲気ガスの外部への流出、(2)温室10内の植物の光合成による二酸化炭素の消費が挙げられる。一方、窒素酸化物は、植物にほとんど吸収されないため、温室10内の窒素酸化物の濃度が低下する要因は(1)である。
【0026】
温室10内の二酸化炭素の濃度の低下の要因として(1)が(2)より支配的である場合、二酸化炭素の濃度の低下と、窒素酸化物の濃度の低下は、(1)によるものであるとみなすことができる。この場合、温室10内の雰囲気ガス中の窒素酸化物の濃度が、二酸化炭素の濃度と相関があると推定し、二酸化炭素の濃度に基づいて窒素酸化物の供給量を制御する。
【0027】
具体的に説明すると、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度と、所定のCO
2目標濃度値(CO
2目標濃度範囲)とに基づき、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量をPID制御(Proportional-Integral-Differential Control)する。ここで、CO
2目標濃度値は、植物の生育に最適な二酸化炭素の濃度である。
【0028】
また、制御部150は、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量に基づいて、窒素酸化物供給手段120が供給する窒素酸化物の量を制御する。具体的に説明すると、制御部150は、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量に所定の係数を積算して、温室10内が所定のNOx目標濃度値(NOx目標濃度範囲)となるために必要な窒素酸化物の量を導出する。そして、制御部150は、導出した量の窒素酸化物が供給されるように窒素酸化物供給手段120を制御する。ここで、NOx目標濃度値は、植物の生育に最適な窒素酸化物の濃度であり、所定の係数は、換気窓12、ドア14を開放した際の二酸化炭素の濃度の実測値と、窒素酸化物の濃度の実測値と、NOx目標濃度値に基づいて設定される。
【0029】
このように、温室10内の二酸化炭素の濃度の低下の要因として(1)が(2)より支配的である場合、二酸化炭素の濃度の低下と、窒素酸化物の濃度の低下は、同じ要因(1)によるものである。したがって、二酸化炭素の濃度と窒素酸化物の濃度とに相関があるといえる。このため、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度に基づいて、二酸化炭素の供給量を決定し、決定した二酸化炭素の供給量に基づいて窒素酸化物の供給量を制御することで、窒素酸化物の濃度をNOx目標濃度値に制御することができる。
【0030】
一方、温室10内の二酸化炭素の濃度の低下の要因として(2)が(1)より支配的である場合、二酸化炭素の濃度の低下と、窒素酸化物の濃度の低下との要因が異なる。具体的に説明すると、二酸化炭素の濃度の低下は(2)によるものであり、窒素酸化物の濃度の低下は(1)によるものである。
【0031】
したがって、二酸化炭素の濃度変化と、窒素酸化物の濃度変化との間で相関がなくなり、上記濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度に基づいて窒素酸化物供給手段120を制御しても、窒素酸化物の濃度をNOx目標濃度値とすることができない。
【0032】
そこで、制御部150は、上記二酸化炭素の濃度に基づく制御に加え、開閉検知手段140による開閉扉の開放の検知に基づいて、二酸化炭素供給手段110および窒素酸化物供給手段120を制御する。具体的に説明すると、制御部150は、開閉検知手段140によって開閉扉の開放が検知されると、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を開始させるとともに、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。また、制御部150は、開閉検知手段140によって開閉扉の閉鎖が検知されると、上記二酸化炭素の濃度に基づくPID制御を行う。
【0033】
つまり、制御部150は、確実にNOx濃度が低下する要因である開閉扉の開放が開閉検知手段140によって検知された場合に、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給と、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。
【0034】
これにより、(2)による二酸化炭素の濃度変化に拘らず、窒素酸化物の濃度をNOx目標濃度値に制御することができる。
【0035】
図2は、第1の実施形態にかかる制御部150の処理の流れを説明するフローチャートである。なお、第1の実施形態にかかる制御部150の処理は、所定時間間隔の割込処理として実行される。
【0036】
(開閉判定処理S100)
制御部150は、開閉検知手段140によって開閉扉の開放が検知されたか否かを判定する。その結果、開放が検知されていない(閉鎖が検知された)と判定した場合には濃度取得処理S102に処理を移し、開放が検知されたと判定した場合には供給処理S106に処理を移す。
【0037】
(濃度取得処理S102)
制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度を取得する。
【0038】
(PID制御処理S104)
制御部150は、濃度取得処理S102で取得された二酸化炭素の濃度と、CO
2目標濃度範囲とに基づき、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量をPID制御する。また、制御部150は、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量に基づいて、窒素酸化物供給手段120が供給する窒素酸化物の量を制御する。
【0039】
(供給処理S106)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を維持する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態にかかる植物育成促進装置100によれば、NOx濃度計を備えずとも、温室10内の窒素酸化物の濃度を、NOx目標濃度値に維持することができる。したがって、NOx濃度計に要するコストを削減することができ、低コストでNOx目標濃度値となるように窒素酸化物を供給することが可能となる。また、NOx濃度計の校正が不要となるため、作業者に煩雑な校正作業を強いる事態を回避することができる。
【0041】
(第1の変形例)
上記第1の実施形態では、制御部150が、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度と、CO
2目標濃度値とに基づき、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量をPID制御する構成を例に挙げて説明した。しかし、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度に基づいて、窒素酸化物供給手段120を直接制御することもできる。
【0042】
具体的に説明すると、第1の変形例において、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度がCO
2目標濃度値未満であると、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給と、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給とを行う。ここで、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給量と、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給量との比(量論比)は予め設定されており、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素を供給することでCO
2目標濃度値に到達した際に、温室10内の窒素酸化物の濃度がNOx目標濃度値となるような比に設定される。
【0043】
図3は、第1の変形例にかかる制御部150の処理の流れを説明するフローチャートである。なお、第1の変形例にかかる制御部150の処理は、所定時間間隔の割込処理として実行される。
【0044】
(開閉判定処理S110)
制御部150は、開閉検知手段140によって開閉扉の開放が検知されたか否かを判定する。その結果、開放が検知されていないと判定した場合には濃度取得処理S120に処理を移し、開放が検知されたと判定した場合には供給処理S140に処理を移す。
【0045】
(濃度取得処理S120)
制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度Cを取得する。
【0046】
(判定処理S130)
制御部150は、濃度取得処理S120で取得した二酸化炭素の濃度Cが、CO
2目標濃度値Ct未満であるか否かを判定する。その結果、二酸化炭素の濃度CがCO
2目標濃度値Ct未満であると判定した場合には供給処理S140に処理を移し、二酸化炭素の濃度CがCO
2目標濃度値Ct未満ではないと判定した場合には停止処理S150に処理を移す。
【0047】
(供給処理S140)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を維持する。
【0048】
(停止処理S150)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素の供給を停止しているか否かを判定し、停止していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を停止させる。また、停止している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給の停止を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物の供給を停止しているか否かを判定し、停止していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を停止させる。また、停止している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給の停止を維持する。
【0049】
以上説明したように、第1の変形例においても、NOx濃度計を備えずとも、温室10内の窒素酸化物の濃度を、NOx目標濃度値に維持することができる。
【0050】
(第2の変形例)
上記第1の実施形態では、制御部150が、開閉検知手段140による開閉扉の直接的な検知結果に基づいて、二酸化炭素供給手段110および窒素酸化物供給手段120を制御する構成について説明した。しかし、開閉扉の開閉を間接的に検知することもできる。
【0051】
具体的に説明すると、第2の変形例において、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度の変化率の絶対値が所定の変化率閾値以上であると、開閉扉が開放されたと判定する。(1)による二酸化炭素の濃度の低下速度は、(2)による二酸化炭素の濃度の低下速度よりも大きい。したがって、変化率閾値を、(1)による二酸化炭素の濃度の低下速度に基づいて設定しておくことで、制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度の変化率の絶対値に基づいて、開閉扉の開放を検知することができる。
【0052】
図4は、第2の変形例にかかる制御部150の処理の流れを説明するフローチャートである。なお、第2の変形例にかかる制御部150の処理は、所定時間間隔の割込処理として実行される。
【0053】
(濃度取得処理S210)
制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度Cを取得する。
【0054】
(判定処理S220)
制御部150は、濃度取得処理S210で取得した二酸化炭素の濃度Cと、前回の濃度取得処理S210で取得した二酸化炭素の濃度Cとに基づいて、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度の変化率(dC/dt)の絶対値を導出する。そして、制御部150は、導出した変化率の絶対値が変化率閾値以上であるか否かを判定する。その結果、変化率の絶対値が変化率閾値以上ではないと判定した場合にはPID制御処理S230に処理を移し、変化率の絶対値が変化率閾値以上であると判定した場合には供給処理S240に処理を移す。
【0055】
(PID制御処理S230)
制御部150は、濃度取得処理S210で取得された二酸化炭素の濃度と、CO
2目標濃度範囲とに基づき、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量をPID制御する。また、制御部150は、二酸化炭素供給手段110が供給する二酸化炭素の量に基づいて、窒素酸化物供給手段120が供給する窒素酸化物の量を制御する。
【0056】
(供給処理S240)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を維持する。
【0057】
以上説明したように、第2の変形例においても、NOx濃度計を備えずとも、温室10内の窒素酸化物の濃度を、NOx目標濃度値に維持することができる。
【0058】
(第3の変形例)
また、上記第1の実施形態、第1の変形例、第2の変形例では、植物育成促進装置100が二酸化炭素の濃度に基づく制御と、開閉扉の開放の検知に基づく制御とを両方行う構成を例に挙げて説明した。しかし、植物育成促進装置は、二酸化炭素の濃度に基づく制御のみを行う構成としてもよいし、開閉扉の開放の検知に基づく制御のみを行う構成としてもよい。例えば、第2の変形例で説明した開閉扉の開閉の間接的な検知に基づく制御のみを行う植物育成促進装置は、
図5に示すように、濃度取得処理S310、第1判定処理S320、供給処理S330、第2判定処理S340、停止処理S350を遂行する。
【0059】
(濃度取得処理S310)
制御部150は、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度Cを取得する。
【0060】
(第1判定処理S320)
制御部150は、濃度取得処理S310で取得した二酸化炭素の濃度Cと、前回の濃度取得処理S310で取得した二酸化炭素の濃度Cとに基づいて、濃度測定部130が測定した二酸化炭素の濃度の変化率(dC/dt)の絶対値を導出する。そして、制御部150は、導出した変化率の絶対値が変化率閾値以上であるか否かを判定する。その結果、変化率の絶対値が変化率閾値以上であると判定した場合には供給処理S330に処理を移し、変化率の絶対値が変化率閾値以上ではないと判定した場合には第2判定処理S340に処理を移す。
【0061】
(供給処理S330)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物を供給しているか否かを判定し、供給していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を開始させる。また、供給している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を維持する。
【0062】
(第2判定処理S340)
制御部150は、濃度取得処理S310で取得した二酸化炭素の濃度Cが、CO
2目標濃度値Ct未満であるか否かを判定する。その結果、二酸化炭素の濃度CがCO
2目標濃度値Ct未満であると判定した場合には当該制御処理を終了し、二酸化炭素の濃度CがCO
2目標濃度値Ct未満ではないと判定した場合には停止処理350に処理を移す。
【0063】
(停止処理S350)
制御部150は、二酸化炭素供給手段110が二酸化炭素の供給を停止しているか否かを判定し、停止していない場合、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給を停止させる。また、停止している場合、制御部150は、二酸化炭素供給手段110による二酸化炭素の供給の停止を維持する。同様に、制御部150は、窒素酸化物供給手段120が窒素酸化物の供給を停止しているか否かを判定し、停止していない場合、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給を停止させる。また、停止している場合、制御部150は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給の停止を維持する。
【0064】
(第2の実施形態:植物育成促進装置200)
図6は、第2の実施形態にかかる植物育成促進装置200の構成を説明する図である。
図6に示すように、植物育成促進装置200は、温室10内に設けられ、二酸化炭素供給手段110と、窒素酸化物供給手段120と、濃度測定部130と、開閉検知手段140と、パターンメモリ210と、制御部250とを含んで構成される。なお、上記第1の実施形態における構成要素として既に述べた二酸化炭素供給手段110、窒素酸化物供給手段120、濃度測定部130、開閉検知手段140は、実質的に機能が等しいので重複説明を省略し、ここでは、構成が相違するパターンメモリ210、制御部250を主に説明する。
【0065】
パターンメモリ210は、ROM等で構成され、温室10内に供給する窒素酸化物の量と時間情報とが関連付けられた制御パターン(第1の制御パターン、第2の制御パターン)や、温室10内に供給する窒素酸化物の量と開閉扉の開放とが関連付けられたイベント情報を保持する。
【0066】
図7は、制御パターンの作成の一例を説明する図である。
図7(a)に示すように、第1の制御パターンを作成する際には、温室10内にNOx濃度計を設置し、制御部250は、温室10内の窒素酸化物の濃度をNOx濃度計から、例えば、1時間(時間帯)ごとに取得する(S510)。そして、制御部250は、取得した窒素酸化物の濃度と、NOx目標濃度範囲とに基づき、窒素酸化物供給手段120が供給する窒素酸化物の量をPID制御する(S520)。制御部250は、窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給量を、例えば、24時間(1日)に亘って記録する(S530)。
【0067】
そして、この窒素酸化物供給手段120による窒素酸化物の供給量の記録を複数日分行い、各時間帯の窒素酸化物の供給量を平均化する。最後に、制御部250は、導出した窒素酸化物の供給量と、時間情報(時間帯を示す情報)とを関連付けて第1の制御パターンとする。
【0068】
また、制御部250は、窒素酸化物を常時供給せずに第2の制御パターンを作成することもできる。例えば、温室10の開閉扉をすべて閉鎖した状態で、温室10内にNOx濃度計を設置し、
図7(b)に示すように、所定量の窒素酸化物を温室10内に供給する(S550)そして、制御部250は、温室10内の窒素酸化物の濃度をNOx濃度計から、例えば、1時間ごとに取得する(S560)。制御部250は、取得した窒素酸化物の濃度(濃度の減衰)を、例えば、24時間に亘って記録する(S570)。
【0069】
そして、制御部250は、この窒素酸化物の濃度の取得を複数日分行い、各時間帯の窒素酸化物の濃度を平均化する。そして、窒素酸化物の濃度の平均値と、NOx目標濃度値とに基づいて、NOx目標濃度値を満たすために必要な窒素酸化物の量を各時間帯ごとに導出する。そして、導出した窒素酸化物の量と、時間情報とを関連付けて第2の制御パターンとする。
【0070】
また、制御部250は、第2の制御パターンとともにイベント情報を作成する。例えば、制御部250は、開閉扉をすべて開放した状態で、上記S550〜S570の処理を別途遂行する。そして、制御部250は、開閉扉がすべて閉鎖されている場合の窒素酸化物の濃度と、開閉扉がすべて開放されている場合の窒素酸化物の濃度との差分を導出する。こうして導出した差分に相当する窒素酸化物の量をイベント情報とする。
【0071】
制御部250は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して、植物育成促進装置200全体を管理および制御する。
【0072】
また、本実施形態において、制御部250は、パターンメモリ210に保持された第1の制御パターン、または、第2の制御パターンと、現在時刻とに基づいて、窒素酸化物供給手段120が供給する窒素酸化物の量を制御する。
【0073】
なお、制御部250は、第2の制御パターンに基づいて制御する場合、開閉検知手段140によって開閉扉の開放が検知されると、上記イベント情報に基づいて窒素酸化物供給手段120を制御する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態にかかる植物育成促進装置200によれば、制御パターンを生成する際にのみNOx濃度計を使用する。したがって、通常運転時には、NOx濃度計自体が不要となり、このため、NOx濃度計の煩雑な校正が不要となる。
【0075】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、上記第1の実施形態において、制御部150は、PID制御の入力値として、二酸化炭素の濃度を例に挙げて説明した。しかし、PID制御の入力値として、二酸化炭素供給手段110が供給している二酸化炭素の量(現在の二酸化炭素の出力量)を入力値としてもよい。
【0077】
また、上記第2の実施形態において、植物育成促進装置200が、制御パターンに基づく制御と、開閉扉の開放の検知に基づく制御とを両方行う構成を例に挙げて説明した。しかし、植物育成促進装置は、制御パターンに基づく制御のみを行う構成としてもよい。
【0078】
また、植物育成促進装置が、制御パターンに基づく制御と、二酸化炭素の濃度に基づく制御と、開閉扉の開放の検知に基づく制御とを行う構成としてもよい。