(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603640
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/28 20060101AFI20191028BHJP
H01P 1/23 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
H01Q9/28
H01P1/23
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-184959(P2016-184959)
(22)【出願日】2016年9月22日
(65)【公開番号】特開2018-50209(P2018-50209A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079290
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100136375
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 弘実
(72)【発明者】
【氏名】山保 威
(72)【発明者】
【氏名】片山 睦
(72)【発明者】
【氏名】昆野 靖弘
【審査官】
赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−204179(JP,A)
【文献】
特開平04−200003(JP,A)
【文献】
特開2007−110693(JP,A)
【文献】
特開2010−263524(JP,A)
【文献】
特開2013−138380(JP,A)
【文献】
特表2006−502610(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0237255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/28
H01P 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、を備え、
直交三軸をそれぞれx軸、y軸、z軸とした場合に、
前記ボウタイアンテナは、給電点から+z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第1板状金属と、前記給電点から−z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第2板状金属と、を有し、
前記第1磁気コアは、前記給電点の−x方向側、かつz方向において前記第1及び第2板状金属の存在範囲内に位置し、x方向における位置が前記第1及び第2板状金属と重複し、
前記給電点が、前記第1板状金属のx方向中央位置、又は前記第2板状金属のx方向中央位置から、+x方向にオフセットした位置にある、アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1磁気コアが、x方向において、前記第1又は第2板状金属の−x方向側端部と、前記給電点との間に収まっている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1磁気コアの軸方向が、x方向と略平行である、請求項1又は2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、を備え、
前記ボウタイアンテナは、略三角形状の第1板状金属と、略半円形状の第2板状金属と、を有し、
前記第1及び第2板状金属の相互接点である給電点に対する、前記第1磁気コアが配置される側の前記第1板状金属の頂点までの距離を、反対側の頂点までの距離よりも長くすることを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項5】
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記ボウタイアンテナとは別のアンテナに接続される第2同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、
前記第2同軸ケーブルが貫通する第2磁気コアと、を備え、
直交三軸をそれぞれx軸、y軸、z軸とした場合に、
前記ボウタイアンテナは、給電点から+z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第1板状金属と、前記給電点から−z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第2板状金属と、を有し、
前記第2板状金属は、前記第1板状金属よりもz方向寸法を短くし、かつ前記第1板状金属との接点たる給電点から−x方向に延出するにつれz軸と平行となるように曲がる凸状曲線部を有し、
前記第1及び第2磁気コアのうちの一方を、z方向において前記第2板状金属側に配置したことを特徴とする、アンテナ装置。
【請求項6】
前記ボウタイアンテナとは別のアンテナと、
前記別のアンテナに接続された第2及び第3同軸ケーブルと、
前記第2及び第3同軸ケーブルがそれぞれ貫通する第2及び第3磁気コアと、を備え、
前記第1乃至第3磁気コアが俵積み状に配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボウタイアンテナを含むアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図2は、一般的なボウタイアンテナの概略構成図である。
図2に示すボウタイアンテナは、給電点5から上下方向にそれぞれ延出するアンテナエレメント110、120を備える。アンテナエレメント110、120は、それぞれ給電点5を頂角とする二等辺三角形の金属板である。アンテナエレメント110、120の底辺の中点同士を結んだ仮想線Lc上に給電点5が位置する。給電点5には給電線31が接続される。ボウタイアンテナは、LTE(Long Term Evolution)等の広い周波数帯域をカバーすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-193432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、高周波を伝送する給電線には、外来電波の影響抑制と漏れ電力による損失低減等の観点から、同軸ケーブルが用いられる。ここで、同軸ケーブルが不平衡型の給電線であるのに対し、ボウタイアンテナは平衡型アンテナであるため、ボウタイアンテナの給電線31に同軸ケーブルを用いると(ボウタイアンテナと同軸ケーブルとを接続すると)、同軸ケーブルの外部導体に漏洩電流が流れるという問題がある。そこで、
図3に示すように円筒状の磁気コア71(例えばフェライトコア)を同軸ケーブルに装着することで、広帯域に渡り、漏洩電流を抑制することができる。
【0005】
しかし、
図3の構成では、磁気コア71がボウタイアンテナの構成範囲からはみ出す。具体的には、磁気コア71が、アンテナエレメント110、120の少なくともいずれかの底辺の図中左端を通る上下方向に延びる仮想線Leよりも大きく外側に延出する。このため、
図3の構成では、アンテナエレメント110、120及び磁気コア71を保持する不図示のケースを、磁気コア71のはみ出し量に合わせて大きくする必要があり、アンテナ装置として製品化する際にサイズが大きくなるという課題があった。
【0006】
本発明はこうした課題を認識してなされたものであり、その目的は、ボウタイアンテナを備える構成において、漏洩電流を抑制しながら大型化を抑制可能なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、アンテナ装置である。このアンテナ装置は、
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、を備え、
直交三軸をそれぞれx軸、y軸、z軸とした場合に、
前記ボウタイアンテナは、給電点から+z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第1板状金属と、前記給電点から−z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第2板状金属と、を有し、
前記第1磁気コアは、前記給電点の−x方向側、かつz方向において前記第1及び第2板状金属の存在範囲内に位置し、x方向における位置が前記第1及び第2板状金属と重複し、
前記給電点が、前記第1板状金属のx方向中央位置、又は前記第2板状金属のx方向中央位置から、+x方向にオフセットした位置にある。
【0008】
前記第1磁気コアが、x方向において、前記第1又は第2板状金属の−x方向側端部と、前記給電点との間に収まってもよい。
【0009】
前記第1磁気コアの軸方向が、x方向と略平行であってもよい。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、アンテナ装置である。このアンテナ装置は、
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、を備え、
前記ボウタイアンテナは、略三角形状の第1板状金属と、略半円形状の第2板状金属と、を有し、
前記第1及び第2板状金属の相互接点である給電点に対する、前記第1磁気コアが配置される側の前記第1板状金属の頂点までの距離を、反対側の頂点までの距離よりも長くすることを特徴とする。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、アンテナ装置である。このアンテナ装置は、
ボウタイアンテナと、
前記ボウタイアンテナに接続される第1同軸ケーブルと、
前記ボウタイアンテナとは別のアンテナに接続される第2同軸ケーブルと、
前記第1同軸ケーブルが貫通する第1磁気コアと、
前記第2同軸ケーブルが貫通する第2磁気コアと、を備え、
直交三軸をそれぞれx軸、y軸、z軸とした場合に、
前記ボウタイアンテナは、給電点から+z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第1板状金属と、前記給電点から−z方向に伸びxz平面と略平行な部分を有する第2板状金属と、を有し、
前記第2板状金属は、前記第1板状金属よりもz方向寸法を短くし、かつ前記第1板状金属との接点たる給電点から−x方向に延出するにつれz軸と平行となるように曲がる凸状曲線部を有し、
前記第1及び第2磁気コアのうちの一方を、z方向において前記第2板状金属側に配置したことを特徴とする。
【0012】
前記ボウタイアンテナとは別のアンテナと、
前記別のアンテナに接続された第2及び第3同軸ケーブルと、
前記第2及び第3同軸ケーブルがそれぞれ貫通する第2及び第3磁気コアと、を備え、
前記第1乃至第3磁気コアが俵積み状に配置されてもよい。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ボウタイアンテナを備える構成において、漏洩電流を抑制しながら大型化を抑制可能なアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置1の概略構成図。
【
図3】
図2の構成において、給電線31に磁気コア71を装着した場合の概略構成図。
【
図4】本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置2の概略斜視図。
【
図5】本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置3の、カバー80を取り外した状態の斜視図。
【
図7】アンテナ装置3の、カバー80を取り付けた状態の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0017】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置1の概略構成図である。
図1において、直交三軸であるx軸、y軸、z軸を定義する。アンテナ装置1は、ボウタイアンテナを構成する第1板状金属10及び第2板状金属20を含む。第1板状金属10は、給電点5から+z方向に伸び、xz平面と略平行な、給電点5を頂点とする三角形形状である。第2板状金属20は、給電点5から−z方向に伸び、xz平面と略平行な、給電点5を頂点とする三角形形状である。給電点5には、第1同軸ケーブルとしての給電線31が接続される。給電線31には、漏洩電流低減用の筒状(例えば円筒状)の磁気コア71(例えばフェライトコア)が装着される。すなわち、給電線31は、磁気コア71を貫通する。磁気コア71の軸方向は、x方向と略平行である。磁気コア71は、給電点5の−x方向側、かつz方向において第1板状金属10及び第2板状金属20の存在範囲内に位置する。
【0018】
本実施の形態では、
図2に示すボウタイアンテナと異なり、給電点5が、第1板状金属10のx方向中央位置、及び第2板状金属20のx方向中央位置の少なくともいずれかから、+x方向にオフセットした位置にある。すなわち、第1板状金属10又は第2板状金属20の給電点5と対向する辺の中点を通るz方向と平行な仮想線Lcに対して、給電点5が+x方向に所定距離だけずれている。このため、本実施の形態では、
図2に示すボウタイアンテナと比較して、第1板状金属10及び第2板状金属20の少なくともいずれかの−x方向側端部を通るz方向と平行な仮想線Leと、給電点5との間の距離が大きい。したがって、本実施の形態では、
図3の場合と異なり、磁気コア71が仮想線Leから−x方向側にはみ出さない。すなわち、磁気コア71が、x方向において、第1板状金属10又は第2板状金属20の−x方向側端部と、給電点5との間に収まっている。よって、本実施の形態によれば、
図3に示す構成と比較して、第1板状金属10、第2板状金属20及び磁気コア71を保持する不図示のケースを小型化することができ、漏洩電流を抑制しながら製品サイズの大型化を抑制できる。なお、+x方向への給電点5のオフセット量が小さいと、依然として磁気コア71が仮想線Leから−x方向側にはみ出すこともあるが、
図3に示す構成と比較すればはみ出し量が低減されるため、大型化抑制の効果は得られる。また、第1板状金属10及び第2板状金属20は互いに対称形状でなくてもよい。
【0019】
実施の形態2
図4は、本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置2の概略斜視図である。本実施の形態のアンテナ装置2は、
図1に示した実施の形態1のものと比較して、第1板状金属10及び第2板状金属20によって構成されるボウタイアンテナに図示しない他のアンテナを複合し、出力が3系統となっている点で相違し、その他の点で一致する。追加された2系統の出力のために第2及び第3同軸ケーブルとしての給電線32,33が設けられる。給電線32,33にはそれぞれ、漏洩電流低減用の筒状(例えば円筒状)の磁気コア72,73(例えばフェライトコア)が装着される(給電線32,33がそれぞれ磁気コア72,73を貫通する)。磁気コア71〜73は、x方向位置が互いに等しく、軸方向がx方向と略平行である。本実施の形態では、磁気コア71〜73を俵積み状に配置することで、省スペース化を図っている。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0020】
実施の形態3
図5は、本発明の実施の形態3に係るアンテナ装置3の、カバー80を取り外した状態の斜視図である。
図6は、同右側面図である。
図7は、アンテナ装置3の、カバー80を取り付けた状態の右側面図である。
図8は、アンテナ装置3の分解斜視図である。アンテナ装置3は、例えば携帯電話の周波数帯を送受信可能なボウタイアンテナと、GPS(Global Positioning System)及びGLONASS(Global Navigation Satellite System)の周波数帯を送受信可能なパッチアンテナを複合したものであり、出力は3系統である。GPS及びGLONASSは、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)に含まれる。なお、GPS及びGLONASSのいずれか一方のみでもよい。
【0021】
アンテナ装置3において、第1板状金属10、第2板状金属20、及びTELアンテナ基板45は、ボウタイアンテナを構成する。GNSSアンテナ基板50及びGNSSアンテナエレメント60は、パッチアンテナを構成する。ベース(ロアケース)40は、例えば絶縁樹脂製であり、第1板状金属10、第2板状金属20、TELアンテナ基板45、GNSSアンテナ基板50、及び磁気コア71〜73を保持する。カバー(アッパーケース)80は、例えば絶縁樹脂製であり、ベース40に上方(+z方向側)から取り付けられ、第2板状金属20を除く全体を覆う。
【0022】
第1板状金属10は、略三角形であり、ベース40の側面(−y方向側に臨むxz平面と平行な側面)に爪等によりxz平面と略平行に係合保持される。第1板状金属10の給電点から−x方向側に伸びる辺10aは、+x方向側に伸びる辺10bよりも長い。すなわち、第1板状金属10及び第2板状金属20の相互接点である給電点に対する、第1板状金属10の−x方向側(磁気コア71〜73が配置される側)の頂点までの距離は、反対側(+x方向側)の頂点までの距離よりも長い。第2板状金属20は、ベース40の上面にネジ止め等により固定される。具体的には、第2板状金属20は、第1板状金属10と略同一平面に存在する略半円形の主面部21の+z方向側端部のx方向両端部に、+z方向に突出する凸部21aをそれぞれ有し、各凸部21aの上端部で−z方向側に折り返され、連絡部22によってそれぞれ+y方向側に延出し、連絡部22の+y方向側端部から立設部23が立ち上がる構成であり、連絡部22がネジ止めによりベース40の上面に固定される。なお、第2板状金属20は、主面部21以外の部分もアンテナエレメントとして作用する。第2板状金属20は、第1板状金属10よりもz方向寸法が短く、かつ第1板状金属10との接点である給電点から−x方向に延出するにつれz方向と平行(仮想線Leと平行)となるように曲がる凸状曲線部21b(
図6)を有する。このように曲がっていることで生まれた空間に磁気コア73が配置される。立設部23の+z方向側端部のx方向両端部に、+z方向に突出する凸部23aがそれぞれ設けられる。凸部21a及び凸部23aは、x方向においてGNSSアンテナエレメント60の両側にあり、ボウタイアンテナのエレメントとしての面積を確保しつつ、
図6に示すようにGNSSアンテナエレメント60のy方向側を覆わないことで、GNSSアンテナへの影響を抑える役割を期待できる。
【0023】
TELアンテナ基板45は、ベース40の上面にxz平面と略平行となるように保持され、第1板状金属10及び第2板状金属20の頂点に当たる部分とそれぞれ電気的に接続され、各接続点が給電点として機能する。給電点は、第1板状金属10のx方向中央位置から、+x方向にオフセットした位置にある。すなわち、
図6に示すように、第1板状金属10の給電点と対向する辺の中点を通るz方向と平行な仮想線Lcに対して、給電点が+x方向に所定距離だけずれている。このため、本実施の形態では、第1板状金属10の−x方向側端部を通るz方向と平行な仮想線Leと、給電点との間の距離が大きく、磁気コア71〜73が仮想線Leから−x方向側にはみ出さない。すなわち、磁気コア71〜73が、x方向において、第1板状金属10の−x方向側端部と、給電点との間に収まっているため、ケースを構成するベース40及びカバー80を小型化することができ、漏洩電流を抑制しながら製品サイズの大型化を抑制できる。TELアンテナ基板45には、整合回路が設けられる。
【0024】
GNSSアンテナ基板50は、第2板状金属20の連絡部22を挟むようにして、xy平面と略平行となるようにベース40の上面にネジ止め固定される。GNSSアンテナ基板50の裏面(−z方向側の面)には、ベタのGNDパターンが設けられ、このGNDパターンと第2板状金属20の連絡部22が互いに電気的に接続される。GNSSアンテナ基板50の表面(+z方向側の面)に、GNSSアンテナエレメント60が搭載される。GNSSアンテナ基板50の表面には、位相調整回路、結合回路、バンドパスフィルタ、及び低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)、信号分配回路等が設けられる。給電ピン61,62は、GNSSアンテナエレメント60の表面の電極(例えば銀電極)とGNSSアンテナ基板50の表面とを相互に電気的に接続する。信号分配回路には、たとえばウィルキンソン型分配器をGNSSアンテナ基板50上に形成することができる。
【0025】
第1同軸ケーブルとしての給電線31は、中心導体がTELアンテナ基板45を介して第1板状金属10に電気的に接続され、外部導体がTELアンテナ基板45を介して第2板状金属20に電気的に接続される。給電線31には、漏洩電流低減用の筒状(例えば円筒状)の磁気コア71が装着される(給電線31は磁気コア71を貫通する)。第2及び第3同軸ケーブルとしての給電線32,33は、中心導体がGNSSアンテナ基板50の信号ライン(信号分配回路で分配した2つの信号ラインの各々)に電気的に接続され、外部導体がGNSSアンテナ基板50のGNDパターンに電気的に接続される。給電線32,33には、漏洩電流低減用の筒状(例えば円筒状)の磁気コア72,73がそれぞれ装着される(給電線32,33はそれぞれ磁気コア72,73を貫通する)。磁気コア71〜73は、x方向位置が互いに等しく、軸方向がx方向と略平行になるように、ベース40の上面に保持される。給電線31〜33の端末は、コネクタ48に装着される。なお、本実施の形態では、磁気コア71〜73は、それぞれ外周面がスポンジ状の緩衝材81〜83によって覆われ、互いに直接接触が防止される。
【0026】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0027】
1〜3 アンテナ装置、5 給電点、10 第1板状金属(第1TELアンテナエレメント)、20 第2板状金属(第2TELアンテナエレメント)、21 主面部、21a 凸部、21b 凸状曲線部、22 連絡部、23 立設部、23a 凸部、31 給電線(第1同軸ケーブル)、32 給電線(第2同軸ケーブル)、33 給電線(第3同軸ケーブル)、40 ベース(ロアケース)、45 TELアンテナ基板、48 コネクタ、50 GNSSアンテナ基板、60 GNSSアンテナエレメント、61,62 給電ピン、71 磁気コア(第1磁気コア)、72 磁気コア(第2磁気コア)、73 磁気コア(第3磁気コア)、80 カバー(アッパーケース)、81〜83 緩衝材