【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、請求項1で特定される方法によってこの目的を達成する。
【0015】
本発明の有利な構成は、従属請求項で特定され、本発明の一般的な概念と同様に、以降において個々に説明される。
【0016】
従って、少なくとも700MPaの降伏強度を有し、少なくとも70体積%程度にベイナイト系ミクロ組織を有する平鋼製品を製造するための本発明の方法は以下の工程を有する:
a)以下(重量%単位)からなる鋼溶融物を製錬する工程
C:0.05%〜0.08%、
Si:0.015%〜0.500%、
Mn:1.60%〜2.00%、
P:0.025%まで、
S:0.010%まで、
Al:0.020%〜0.050%、
N:0.006%まで、
Cr:0.40%まで、
Nb:0.060%〜0.070%、
B:0.0005%〜0.0025%、
Ti:0.090%〜0.130%、
および0.12%までのCu、0.100%までのNi、0.010%までのV、0.004%までのMoおよび0.004%までのSbを含む技術的に不可避の不純物、
ならびに
残部としての鉄;
b)この溶融物を鋳造してスラブを得る工程;
c)このスラブを1200〜1300℃の再加熱温度に再加熱する工程;
d)950〜1250℃の粗圧延温度および粗圧延によって達成される少なくとも50%の総圧下率にてスラブを粗圧延する工程;
e)粗圧延されたスラブを熱間仕上圧延する工程であって、この熱間仕上圧延が、800〜880℃の熱間圧延終了温度にて終了する工程;
f)熱間仕上圧延の後10s以内から開始して、熱間仕上圧延された平鋼製品を、少なくとも40K/sの冷却速度にて550〜620℃の巻き取り温度に急冷する工程;
g)熱間仕上圧延された平鋼製品を巻き取る工程。
【0017】
本発明の方法は、厳しい限度内で互いに適合した合金構成要素および合金含有量を有する鋼合金に基づき、こうして作動上信頼できる様式にて行われることができる手順において、最大化された機械的特性および最適化された表面特徴がいずれの場合でも得られるようになる。
【0018】
以降で説明されるように、工程a)において本発明に従って製錬される鋼合金の合金構成要素および合金含有量は、本発明に従って特定される工程に準拠する場合に、軽量鋼構築、特に特定用途車構築の分野において使用するのに特に適した特性の組み合わせを有する熱間圧延平鋼製品を確実に製造できるように選択される:
C:本発明に従う加工処理された鋼の炭素含有量は、0.05重量%〜0.08重量%である。所望の強度特性を達成するために、少なくとも0.05重量%のC含有量が必要とされる。しかし、炭素含有量が高過ぎると、本発明に従って加工処理される鋼の靭性特性または溶接性および成形性が損なわれる。この理由から、炭素含有量は0.08重量%以下に制限される。
Si:ケイ素は、本発明に従って加工処理されている鋼の脱酸素剤として、靭性特性の改善のために使用される。しかし、ケイ素含有量が高過ぎると、靭性特性、特に溶接結合の熱影響部の靭性が大きく損なわれる。こうした理由から、本発明に従って加工処理されている鋼のケイ素含有量は、0.50重量%を超えない。表面品質の欠陥を信頼性高く回避するために、ケイ素含有量は、最大0.25重量%に制限され得る。
Mn:マンガンは、良好な靭性特性と組み合わせられた所望の強度特性を達成するために、1.6重量%〜2.0重量%の含有量において、本発明に従って使用される鋼に添加される。マンガン含有量が1.60重量%未満である場合、必要とされる強度特性は所望の確実性をもっては得られない。Mn含有量を最大2.00重量%に制限することにより、溶接性、靭性特性、成形性および偏析特徴における劣化を回避する。
P:リンは、ノッチ衝撃エネルギーおよび成形性を悪化させる付随元素である。故にリン含有量は、0.025重量%の上限を超えてはならない。最適な様式において、P含有量は、0.015重量%未満に限定される。
S:硫黄は、MnSの形成の結果として、本発明に従って加工処理されている鋼のノッチ衝撃エネルギーおよび成形性を悪化させる。こうした理由から、本発明に従って加工処理されている鋼のS含有量は、0.010重量%以下であるべきである。こうした低い硫黄含有量は、例えばCaSi処理によるこれ自体既知の様式にて達成できる。本発明に従って加工処理されている鋼の特性に対する硫黄の悪影響を確実に排除するために、S含有量は、最大0.003重量%に限定され得る。
Al:アルミニウムは、脱酸素剤として同様に使用され、AlN形成の結果として、オーステナイト化の過程でオーステナイト結晶粒の粗大化を阻害する。アルミニウム含有量が0.020重量%未満である場合、脱酸プロセスが完了しない。しかし、アルミニウム含有量が0.050重量%の上限を超える場合、Al
2O
3介在物が形成し得る。これらは、純度レベルおよび靭性特性に悪影響を与える。
N:窒素は、アルミニウムと共にAlNを形成し、またはチタンと共にTiNを形成する付随元素である。しかし、窒素含有量が高過ぎると、靭性特性が悪化する。これを防止するために、本発明に従って加工処理されている鋼の場合、窒素含有量についての上限は0.006重量%に固定される。
Cr:クロムは、本発明に従って加工処理されている鋼に、その強度特性を改善するために、添加されてもよい。しかし、クロム含有量が高過ぎると、熱影響部において溶接性および靭性が悪影響を受ける。故に、本発明に従って加工処理されている鋼の場合、クロム含有量の上限は0.40重量%に固定される。
Nb:ニオブは、温度制御された圧延の過程においてオーステナイト構造の結晶粒微細化によって、または巻き取りの過程において析出硬化によって強度特性を助長するために、本発明に従って加工処理されている鋼に存在する。この目的のために、本発明に従って加工処理されている鋼は、0.060重量%〜0.070重量%のNbを含む。ニオブ含有量がこの範囲未満の場合、強度特性は得られない。Nb含有量がこの範囲の上限を超える場合、溶接操作の熱影響部において溶接性および靭性の劣化がある。
B:本発明に従う加工処理されている鋼のホウ素含有量は、0.0005重量%〜0.0025重量%である。Bは、強度特性を助長するためにおよび硬化性を改善するために使用される。しかし、過剰のホウ素含有量は靭性特性を悪化させる。
Ti:チタンは、同様に、オーステナイト化の過程において結晶粒成長を防止することによって、または巻き取りの過程において析出硬化によって、靭性特性を改善することに寄与する。これを確実にするために、本発明に従って加工処理されている鋼のTi含有量は、0.09重量%〜0.13重量%である。チタン含有量が0.09重量%未満である場合、本発明の目的とする強度値は得られない。特定されたTi含有量範囲の上限を超える場合、溶接操作の熱影響部において溶接性および靭性の劣化がある。
【0019】
Cu、Ni、V、MoおよびSbは、鋼製造の過程において技術的な不可避汚染として本発明に従って加工処理されている鋼に取り込まれる付随元素として存在する。これらの含有量は、本発明の目的である本発明に従って加工処理されている鋼の特性に関連して不活性である量に制限される。この目的のために、Cu含有量は最大0.12重量%に制限され、Ni含有量は0.1重量%未満に、V含有量は0.01重量%以下に、Mo含有量は0.004重量%未満に、Sb含有量は同様に0.004重量%未満に制限される。
【0020】
良好な溶接性を達成するために、以下の条件が、以下の式によって計算される炭素当量CEに適用されるように、本発明の鋼のC、Mn、Cr、Mo、V、CuおよびNiの含有量を本発明に従って特定される限度内に調整できる。
CE=%C+%Mn/6+(%Cr+%Mo+%V)/5+(%Cu+%Ni)/15
ここで、%C=重量%単位のそれぞれのC含有量、
%Mn=重量%単位のそれぞれのMn含有量、
%Cr=重量%単位のそれぞれのCr含有量、
%Mo=重量%単位のそれぞれのMo含有量、
%V=重量%単位のそれぞれのV含有量、
%Cu=重量%単位のそれぞれのCu含有量、
%Ni=重量%単位のそれぞれのNi含有量、
CE≦0.5重量%。
【0021】
スラブが鋳造された後、1200〜1300℃のオーステナイト化温度に再加熱される。スラブがオーステナイト化のために加熱される温度範囲の上限は、オーステナイト結晶粒の粗大化および増大したスケール形成を回避するために、超えてはならない。1200〜1300℃の本発明に従って特定される再加熱温度範囲内においては、本発明に従って製造されている平鋼製品の表面品質を低下させ得る赤スケールの形成をさらに増大させることはない。再加熱後のスラブ表面に存在する一次スケールが多過ぎる場合には、赤スケールが、熱間圧延操作(本発明のプロセスの工程d)、e))においてのみ本発明の組成を有するスラブの加工処理の過程において形成する。
【0022】
それに反して、再加熱温度の下限は、ミクロ組織の所望の均質化が均質温度分布に関して確実になるように固定される。この温度を上方に超える場合、オーステナイトにおけるそれぞれのスラブに存在する粗炭窒化Tiおよび炭窒化Nb析出物の非常に実質的な完全溶解が生じる。熱間仕上圧延された平鋼製品の後続巻き取り(本発明の方法の工程g))において、微細な炭窒化Tiまたは炭窒化Nb析出物が再形成し、説明されるように、これらが強度特性の増大に本質的に寄与できる。このようにして、製造されたおよび本発明の組成を有する平鋼製品が通常700MPaの最小降伏強度を有することを確実にする。
【0023】
本発明によれば、TiCおよびNbC析出物の最大溶解という所望の効果を達成するために、それぞれのスラブのオーステナイト化の再加熱温度は少なくとも1200℃である。それに反して、1200℃未満のオーステナイト化温度の場合、オーステナイトに溶解したTiおよびNbの炭化物析出物の量が非常に低く、本発明に従って利用される作用が生じない。故に、本発明に従って最適化された合金選択に対応する組成を有する平鋼製品の加工処理の場合に1200℃未満の再加熱温度の結果は、必要とされる強度特性が得られないというものである。TiCおよびNbC析出物の非常に実質的な溶解は、再加熱温度が少なくとも1250℃である場合に特に信頼性の高い様式において確実にできる。
【0024】
その表面特徴に対する最高品質の要求を満たす平鋼製品は、粗圧延の前にスラブに存在するスケールを完全に除去することによって製造できる。これは、粗圧延の前に可能である限り迅速に、オーブンから放出後のスラブ表面を完全にデスケーリングすることによって達成できる。この目的のために、スラブは、従来通りのスケールウォッシャを通過することができる。
【0025】
最適化表面特徴を有する平鋼製品を製造するために、ステーション(「再加熱(工程c)」)または再加熱に続く任意の「一次スケールの除去(工程c’))」から熱間仕上圧延(工程e))の開始までのスラブの移動に必要とされる時間t_1は、最大300sに制限できる。最適な様式において、これは粗圧延を含む。こうした短時間の移動時間内においては、一次スケールが少量でのみ再形成されるので、熱間圧延の過程においてそこから形成する赤スケールは、熱間圧延後に得られた平鋼製品の表面の品質に悪影響を及ぼさない。デスケーリングが粗圧延の前に行われる場合、デスケーリング骨材から粗圧延構造体までの輸送時間は、30s以下であるべきである。こうした短時間の輸送時間の場合、あるとしても無害の酸化物薄層だけが、先にデスケーリングされたスラブ上に形成し得る。
【0026】
工程d)において、いずれの場合も加工処理されるスラブは、950〜1250℃の粗圧延温度にて粗圧延される。粗圧延にて達成される圧下率は、合計で少なくとも50%である。総圧下率Δhvは、粗圧延前(厚さdVv)と粗圧延後(厚さdNv)とのスラブ厚さの差、および粗圧延前のスラブの厚さdVvから形成された比を指す(Δhv[%]=(dVv−dNv)/dVv×100%)。
【0027】
粗圧延温度に関して特定される範囲の下限および総圧下率Δhvの最小値は、再結晶化プロセスが各粗圧延されたスラブにおいて完了するまで進行するように固定される。このようにして、微細結晶粒オーステナイトミクロ組織の形成は仕上圧延の前に確実にされ、本発明に従って製造された平鋼製品の最適化靭性および破断伸び特性を得る。
【0028】
粗圧延と仕上圧延との間の滞留時間および遅延時間t_2は、所望でないオーステナイト結晶粒成長を回避するために、50sに限定される。
【0029】
粗圧延の後に、工程e)において、粗圧延されたスラブの熱間圧延が続き、通常3〜15mmの熱間ストリップ厚さを有する熱間圧延平鋼製品を与える。こうした厚さを有する平鋼製品は、当該技術分野において「厚板」と称される。
【0030】
この熱間圧延の終了温度は、800〜880℃である。この熱間圧延終了温度範囲を順守することによって、高度に延伸されたオーステナイト結晶粒が、得られた熱間ストリップのミクロ組織中に得られる。比較的低い熱間圧延終了温度により、熱間圧延の作用を向上させる。転位に富むオーステナイトが、得られた熱間ストリップのミクロ組織に存在する。急冷(工程f))の後、これは、転位に富む微細構造化ベイナイトに変態され、こうして降伏強度が上昇する。熱間圧延終了温度範囲における上限は、オーステナイトの再結晶化が熱間圧延の仕上トレインの圧延過程において生じないように固定される。これはまた、微細結晶粒のミクロ組織の成長に寄与する。下限温度は、圧延過程においてフェライトが形成しないように、少なくとも800℃である。
【0031】
仕上圧延において得られる圧下率Δhfは、合計で少なくとも70%であり、ここでこの圧下率Δhfは、式Δhf=(dVf−dNf)/dVf×100%によって計算される(ここで、dVf=熱間仕上圧延区間に入る際の圧延材料の厚さ、dNf=熱間仕上圧延区間から出る際の圧延材料の厚さ)。高い圧下率Δhfの結果として、高度に形成されたオーステナイトからの相変態が生じる。これは、小さい結晶粒サイズが本発明に従って製造された平鋼製品のミクロ組織に存在するような、微細な粒度に好影響を与える。
【0032】
熱間仕上圧延された平鋼製品が、熱間圧延仕上トレインの最終スタンドから出現したら、熱間圧延平鋼製品を、少なくとも40K/sの冷却速度dTにて、550〜620℃の巻き取り温度まで冷却する、10s以内の範囲内の急冷を設定する。
【0033】
熱間圧延後の冷却遅延は、熱間圧延と制御された加速冷却との間でのミクロ組織の所望でない変化を防止するために、10s以内である。
【0034】
巻き取り温度のための本発明に従って特定される範囲を順守することによって、本発明に従って製造される平鋼製品のベイナイト系ミクロ組織の形成のための必須条件が確立される。
【0035】
同時に、巻き取り温度の選択は、析出硬化に対して重要な影響を及ぼす。このために巻き取り温度範囲は、まずベイナイト開始温度未満であり、第2に炭窒化析出物の形成のための析出最大値にあるように、本発明に従って選択される。しかし、巻き取り温度の低過ぎる作用は、析出ポテンシャルがもはや利用可能ではなくなり、故に必要とされる最小降伏強度がもはや達成され得ないことである。冷却条件は、熱間圧延平鋼製品が、巻き取り直前に、少なくとも70体積%の相含有量を有するベイナイト系ミクロ組織を有するように、本発明に従って選択される。さらなるベイナイト形成が、次いでコイルで進行する。特性の必要とされる組み合わせに関して、本発明に従って製造される熱間圧延平鋼製品のミクロ組織は、巻き取りの後、技術的目的のために全体がベイナイトからなる場合に、最適であることが分かる。これは、本発明に従って特定される巻き取り温度範囲を順守することによって達成される。
【0036】
速い冷却速度は、所望でない相構成要素の形成を防止する。最適な平面性を有する平鋼製品を得るために、熱間圧延後の冷却の冷却速度は、150K/sに制限できる。
【0037】
上記で説明された様式において本発明に従って製造される熱間圧延平鋼製品の降伏強度は、信頼性高く700〜850MPaである。破断伸びは、同時に少なくとも12%である。同じように規則的に、本発明の平鋼製品は、750〜950MPaの引張強度を得る。本発明の製品のために決定されたノッチ衝撃エネルギーは、−20℃にて50〜110Jの範囲、−40℃にて30〜110Jの範囲である。
【0038】
本発明に従って製造される平鋼製品は、良好な破断伸びおよび靭性を達成するために、20μm以下の平均結晶粒サイズを有する微細結晶粒ミクロ組織を有する。
【0039】
同時に、本発明の手順において、上述の特性は、巻き取り後に圧延された状態の熱間圧延平鋼製品中に存在する。特定用途車構築において高強度シート金属として意図される使用にとって重要である特定の特性を確立または顕在化するためにいずれかのさらなる熱処理は必要ではない。
【0040】
本発明は、実施例によって以降で詳細に説明される。
【0041】
表1に特定される組成を有する鋼溶融物A〜Eは、既知の様式において製錬され、鋳造されてスラブ1〜26を与える。
【0042】
続いて、鋼A〜Eからなるスラブは、再加熱温度TWまで加熱されている。
【0043】
再加熱炉から、再加熱されたスラブは30s未満以内でスケールウォッシャに輸送され、ここで接着した一次スケールはスラブから除去されている。
【0044】
次いでスケールウォッシャから出たスラブは、粗圧延スタンドに輸送され、ここでこれらは、粗圧延によって達成される粗圧延温度TVWおよび総圧下率Δhvにて粗圧延されている。
【0045】
続いて、粗圧延されたスラブは、熱間仕上圧延区間において熱間仕上圧延されて、厚さBDおよび幅BBを有する熱間ストリップを得る。熱間圧延操作は、いずれの場合も、熱間圧延終了温度TEWにおいて熱間仕上圧延区間の総圧下率Δhfにて終了する。スケールウォッシャの出口から熱間仕上圧延の開始までに経過した時間は、いずれの場合も300s未満であった。
【0046】
空気下で徐々に冷却される最後のスタンドから出た熱間仕上圧延平鋼製品は、1〜7sの遅延t_p後、50〜120K/sの冷却速度dTにて巻き取り温度HTまで水で急冷することによって冷却されている。冷却後、平鋼製品は、既に少なくとも70体積%程度にベイナイト系ミクロ組織を有する。
【0047】
この巻き取り温度HTにおいて、得られた熱間ストリップそれぞれは、コイルに巻き付けられている。コイルの平鋼製品の冷却の過程において、ミクロ組織のベイナイトへの完全な変態があり、こうして得られた平鋼製品は、技術的目的のために100体積%程度にベイナイト系ミクロ組織を有していた。
【0048】
表2a、2bには、スラブ1〜26のそれぞれの加工処理において確立されたプロセスパラメータを報告する(再加熱温度TW、粗圧延温度TVW、粗圧延によって達成される総圧下率Δhv、予備加熱の後で粗圧延の前に行われるデスケーリングと熱間仕上圧延の開始との間の時間t_1、粗圧延と熱間圧延との間の時間t_2、仕上圧延によって達成される総圧下率Δhf、終了圧延温度TEW、熱間圧延の終了と強制冷却の開始との間の冷却遅延t_p、冷却速度dT、巻き取り温度HT、ストリップ厚さBDおよびストリップ幅BB)。
【0049】
得られた熱間ストリップの機械的特性およびミクロ組織が試験されている。
【0050】
降伏強度ReH、引張強度Rmおよび破断伸びAを決定するための引張試験は、熱間ストリップの長手方向サンプルにおいてDIN EN ISO6892−1に従って行われている。
【0051】
−20℃または−40℃および−60℃にてノッチ衝撃エネルギーAvを決定するためにノッチ付き衝撃曲げ試験は、DIN EN ISO148−1に従って長手方向サンプルに対して行われた。
【0052】
ミクロ組織調査は、光学顕微鏡検査および走査電子顕微鏡検査によって行った。この目的のために、サンプルをストリップ幅の4分の1からとり、長手方向断面として調製し、ナイタール(すなわち、3体積%の硝酸含有量を含有するアルコール性硝酸)または二亜硫酸ナトリウムでエッチングされていた。ミクロ組織構成要素は、H.Schumann and H.Oettel「Metallografie」[Metallography]14th edition,2005 WILEY−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA,Weinheimに記載されるように、1/3シート厚さのサンプル位置での表面分析によって決定された。
【0053】
本発明に従って製造される熱間ストリップの機械的特性およびミクロ組織構成要素を表3に報告する。本発明の方法によって製造されたシート金属ストリップは、良好な靭性特性および良好な破断伸びと組み合わせられた高い強度特性を有する。
【0054】
上記で説明される様式で製造される熱間ストリップの降伏強度は、700MPa〜790MPaである。破断伸びは少なくとも12%であり、引張強度は750〜880MPaである。−20℃でのノッチ衝撃エネルギーは60〜100Jである。−40℃にてノッチ衝撃エネルギーは40〜75Jであり、−60℃にてノッチ衝撃エネルギーは30〜70Jである。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2a】
【0057】
【表2b】
【0058】
【表3】