特許第6603686号(P6603686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603686
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】腕時計ストラップ
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20191028BHJP
   A44C 5/02 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
   A44C5/00 B
   A44C5/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-105261(P2017-105261)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-947(P2018-947A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】16178235.4
(32)【優先日】2016年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュック・バザン
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・メール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−クロード・グラシア
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第01326934(US,A)
【文献】 米国特許第04881303(US,A)
【文献】 実開昭63−106311(JP,U)
【文献】 特開平09−168413(JP,A)
【文献】 米国特許第06526629(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00
A44C 5/02
A44C 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのケース(100)と、及び可撓性ブレード(2)によって形成されるストラップを有する腕時計(1)であって、
前記ケース(100)は、第1の側面及びこの第1の側面の反対側の第2の側面にホーン(101、102)を有し、
前記可撓性ブレード(2)の第1の端(20)は、前記ケース(100)に固定され、前記第1の端(20)の反対側の第2の端(21)は、前記ストラップを取り付け長さを調整する調整デバイスと連係するようにされ、
前記調整デバイスは、前記可撓性ブレード(2)の長手方向に配置された二つの端側縁(130、131)を有するキャップ(13)とレバー(11)のみによって形成されるクラスプ(10)を有し、
前記キャップ(13)と前記レバー(11)の間で前記可撓性ブレード(2)が滑り、
前記クラスプ(10)は、レバー(11)が回転することができる回転軸を定めるリンク手段によって腕時計(1)の前記ホーン(101、102)間にヒンジ付けされ、これによって、開位置と閉位置に動くことができ、
前記レバー(11)の回転軸が、前記ホーンに対する前記クラスプ(10)のヒンジと一致し、
前記レバー(11)は、前記回転軸の周辺にて、前記レバー(11)と一体化されている偏心機構(14)を有し、
前記偏心機構(14)は、前記レバー(11)が閉位置にあるときに、前記キャップ(13)に対して前記可撓性ブレード(2)をクランプし前記ストラップを保持する
ことを特徴とする腕時計(1)。
【請求項2】
前記偏心機構(14)には、その表面のすべて又は一部にわたって刻み付けが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の腕時計(1)。
【請求項3】
前記偏心機構(14)には、歯列が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の腕時計(1)。
【請求項4】
前記キャップ(13)には、前記可撓性ブレード(2)をガイドする端側縁(130、131)がある
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の腕時計(1)。
【請求項5】
前記リンク手段は、突起又はスライド機構を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の腕時計(1)。
【請求項6】
前記クラスプ(10)は、金属性材料、プラスチック材料、セラミックス材料又は複合材料で作られている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の腕時計(1)。
【請求項7】
前記ストラップの前記可撓性ブレード(2)は、皮革、ゴム、織物又は合成材で作られている
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の腕時計(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストラップを備える腕時計であって、ストラップの第1の端と、これと反対側の第2の端との間に、ストラップを取り付け調整するデバイスを有するものに関する。
【0002】
本発明は、人体に固定される装置の分野に関し、特に、腕時計のような測時装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ストラップ、特に、腕時計ストラップは、一般的には、ユーザーの形態に調整された寸法構成を有する。その調整範囲は限られている。着用されて利用されるときに調整や保持が良好であることが確実でありつつ、迅速に取り付けたり取り外したりする可能性を与えるようなストラップはほとんどない。
【0004】
ピンバックルであってもデプロイヤントバックル機構であっても、伝統的なクラスプには慎重な取り扱いを必要とする。特に、手袋を介しての取り扱いは不可能である。これらのクラスプは、さらに、高価であり、一般的には、鋭くない突出部分がある。
【0005】
特に、スポーツマンのようなユーザーが自身の腕時計又はストラップを大きな加速度がかかる状況下に置いたときに、全体が弾性材料で作られたストラップでは、必ずしも保持が良好であることが確実であるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ストラップを装備した腕時計の完成度を上げることである。これは、クラスプを有さず(通常の用語の意味で)、調整範囲が大きく、ユーザーによって滑らせて取り付けたり取り外したりすることが容易であり、職業的な使用やスポーツ用途に適している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、他の目的とともに、少なくとも1つのケースと、及び可撓性ブレードによって形成されるストラップを有する腕時計のおかげで本発明によって達成される。前記ケースは、第1の側面及びこの第1の側面の反対側の第2の側面にその高さレベルにてホーンを有し、前記可撓性ブレードの第1の端は、前記ケースに固定され、前記第1の端の反対側の第2の端は、前記ストラップを取り付け長さを調整する調整デバイスと連係するようにされる。
【0008】
本発明によると、前記調整デバイスは、キャップとレバーによって形成されるクラスプを有する。このキャップとレバーの間にて、可撓性ブレードが滑り、クラスプは、回転軸を定めるリンク手段によってケースにヒンジ付けされる。この回転軸のまわりにレバーが回転して、開位置と閉位置に動くことができる。レバーは、偏心機構を有し、この偏心機構は、回転軸の周辺にてレバーと一体化されており、レバーが閉位置にあるときに、キャップに対してブレードの自由端をクランプし、ストラップを保持する。
【0009】
したがって、上記の様々な機能的及び構造的な態様のおかげで、本発明の主題によって、取り付けが容易であり、着用者の形態に対して調整することが容易であるような腕時計を得ることができる。
【0010】
本発明の他の好ましい変種によると、
− 偏心機構には、その表面のすべて又は一部にわたって刻み付け(knurling)が形成されている。
− 偏心機構には、歯列が形成されている。
− キャップには、可撓性ブレードをガイドする端側縁がある。
− リンク手段は、突起又はスライド機構を有する。
− クラスプは、金属性材料、プラスチック材料、セラミックス材料、あるいは複合材料で作られる。
− ストラップブレードは、皮革、ゴム、織物、あるいは合成材で作られる。
【0011】
添付図面を参照しながら以下の説明を読むことによって、他の特別な特徴や利点が明白になるであろう。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態による本発明に係る腕時計の斜視図を示している。
図2図1の本発明に係る腕時計の分解斜視図を示している。
図3図1の本発明に係る腕時計の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る腕時計は、少なくとも1つのケース1を有する。これは、第1の側面とこの第1の側面の反対側の第2の側面にその高さレベルにて、ホーンと、及び可撓性ブレード2によって形成されるストラップとを有する。この可撓性ブレード2の第1の端20は、ケース1に固定され、反対側の第2の端21は、ストラップを取り付けストラップの長さを調整するデバイスと連係するようにされている。
【0014】
図1に示すように、本発明に係る取り付け調整デバイスは、2つの要素、すなわち、レバー11とキャップ13、によって形成されるクラスプを有し、このレバー11とキャップ13の間で、可撓性ブレード2が滑る。
【0015】
クラスプ10は、ケース1にヒンジ付けされており、レバー11を回転させて、可撓性ブレード2が自由に滑ることができる開位置から可撓性ブレードが不動である閉位置の方へと動くことができる。
【0016】
図面に示すように、キャップ13は、実質的に長方形であり、キャップ13には、可撓性ブレード2の長手方向に配置された2つの端側縁130及び131がある。これによって、可撓性ブレード2用の通路を形成する。
【0017】
好ましいことに、ブレード2の幅は、キャップ13の幅よりもわずかに小さい。これによって、端側縁130及び131に対するブレード2の摩擦を制限することができる。
【0018】
レバー11は、その一端によってキャップ13にヒンジ付けされており、横断方向の回転軸を有する。好ましいことに、この横断方向の回転軸は、ケース1に対するクラスプ10のヒンジ機能と一致している。
【0019】
クラスプ10は、突起14、スライド機構又は他の要素のようなリンク手段によって、ケース1にヒンジ付けすることができる。リンク手段は、レバー11が回転することを可能にするヒンジ機能を与えつつ、ホーン101及び102の間で、ケース1に対してクラスプ10を保持することができる。
【0020】
本発明によると、レバー11は、レバー11と一体化されている偏心機構14を有する。偏心機構14は、回転軸の周辺にてレバーの裏に配置される。このような偏心機構14によって、レバー11が閉位置にあるときに、キャップ13に対して可撓性ブレード2をクランプし、したがって、ストラップを動けなくすることが可能になる。
【0021】
本発明の第1の実施形態によると、偏心機構14には、その表面のすべて又は一部にわたって、刻み付けが形成されている。これによって、ストラップの固定の信頼性を高くし、かつ、ストラップが滑るようにする。
【0022】
本発明の別の実施形態によると、偏心機構14には、ストラップを動けなくするために、その表面のすべて又は一部にわたって、歯列が形成されている。
【0023】
図1において観察することができるように、ブレード2の第1の端20は、突起などによって、ホーン間で、第1の側面にその高さレベルにてケース1と一体化されている。
【0024】
ブレード2の第2の端21は、開位置において、キャップ13とレバー11の間で動く。
【0025】
着用者が自身の手首上にてストラップを調整するときに、その着用者がキャップ2の方にレバー11を下ろすことで十分である。この回転によって、偏心機構14は、ストラップをクランプし、キャップ13におけるストラップの保持を確実にする。
【0026】
ブレード2を緩めるためには、レバー11を上げることによってクラスプを開くことで十分である。
【0027】
ストラップを形成するブレード2は、皮革、ゴム、織物、あるいは合成材で作ることができる。また、ブレード2が不注意にループから抜けることがないように、ブレード2の第2の端21が余剰な厚みを有するようにすることを想到することができる。
【0028】
したがって、本発明においては、手袋をしていても扱うのが容易である。このことは、スキューバダイビングなどにおいて使用する場合には必要である。
【0029】
本発明における製造コストは非常に廉価である。本発明は、使用形態や審美的な考察に応じて、ストラップの交換に良好に適合する。
【0030】
これらの本発明の種々の態様のおかげで、単純な設計の腕時計を利用することができる。このことによって、ストラップを迅速に調整しロックすることが可能になる。
【0031】
もちろん、本発明は、図示した例に制限されず、当業者に明白な様々な変種や改変形態がある。
【符号の説明】
【0032】
1 腕時計
2 可撓性ブレード
10 クラスプ
11 レバー
12 偏心機構
13 キャップ
14 突起
20 可撓性ブレードの第1の端
21 可撓性ブレードの第2の端
100 ケース
101、102 ホーン
130、131 キャップの端側縁
図1
図2
図3