特許第6603695号(P6603695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603695
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   G01R31/02
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-177802(P2017-177802)
(22)【出願日】2017年9月15日
(65)【公開番号】特開2019-52963(P2019-52963A)
(43)【公開日】2019年4月4日
【審査請求日】2019年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 充晃
(72)【発明者】
【氏名】大石 英一郎
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−196677(JP,A)
【文献】 特開平6−222099(JP,A)
【文献】 特開2007−168715(JP,A)
【文献】 特開2007−60762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電源に接続され前記主電源から電力が供給される異常検出対象と、
第1抵抗と、第2抵抗と、前記異常検出対象である第3抵抗と、第4抵抗と、第5抵抗とを含んで構成されるブリッジ回路と、
前記主電源とは異なる電源であり前記ブリッジ回路に電圧を印加する電圧供給部と、
前記主電源及び前記電圧供給部を制御する制御部と、を備え、
前記ブリッジ回路は、前記第1抵抗と前記第2抵抗とが直列に接続され前記第2抵抗と前記第4抵抗とが直列に接続された直列回路が形成され、前記直列回路が前記第3抵抗と並列に接続され、前記第5抵抗の一端が前記第2抵抗と前記第4抵抗との間に接続され前記第5抵抗の他端が前記第1抵抗と前記第3抵抗との間に接続され、前記電圧供給部が前記第1抵抗と前記第2抵抗との間に接続され、
前記制御部は、前記主電源をオフした状態で前記電圧供給部から電圧を印加することにより検出した前記ブリッジ回路の検出電圧に基づいて前記第3抵抗の異常を検出することを特徴とする異常検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第3抵抗が短絡したことを示す短絡基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記第3抵抗の短絡を検出し、
前記第3抵抗が開放したことを示す開放基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記第3抵抗の開放を検出する請求項1に記載の異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、負荷部に電力を供給する主電源の電圧を検出する電圧検出装置が搭載されている。また、車両には、主電源から負荷部に電力を供給する前に、負荷部の短絡等の異常を検出する異常検出装置が搭載される場合がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−250258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の異常検出装置は、負荷部の短絡等の異常を検出する専用の電子部品が必要となるため、大型化する傾向にあり、この点で更なる改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、大型化を抑制することができる異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る異常検出装置は、主電源に接続され前記主電源から電力が供給される異常検出対象と、第1抵抗と、第2抵抗と、前記異常検出対象である第3抵抗と、第4抵抗と、第5抵抗とを含んで構成されるブリッジ回路と、前記主電源とは異なる電源であり前記ブリッジ回路に電圧を印加する電圧供給部と、前記主電源及び前記電圧供給部を制御する制御部と、を備え、前記ブリッジ回路は、前記第1抵抗と前記第2抵抗とが直列に接続され前記第2抵抗と前記第4抵抗とが直列に接続された直列回路が形成され、前記直列回路が前記第3抵抗と並列に接続され、前記第5抵抗の一端が前記第2抵抗と前記第4抵抗との間に接続され前記第5抵抗の他端が前記第1抵抗と前記第3抵抗との間に接続され、前記電圧供給部が前記第1抵抗と前記第2抵抗との間に接続され、前記制御部は、前記主電源をオフした状態で前記電圧供給部から電圧を印加することにより検出した前記ブリッジ回路の検出電圧に基づいて前記第3抵抗の異常を検出することを特徴とする。
【0007】
上記異常検出装置において、前記制御部は、前記第3抵抗が短絡したことを示す短絡基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記第3抵抗の短絡を検出し、前記第3抵抗が開放したことを示す開放基準電圧と前記検出電圧とに基づいて前記第3抵抗の開放を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る異常検出装置は、第1抵抗、第2抵抗及び第4抵抗から成る直列回路が第3抵抗と並列に接続され、第5抵抗の一端が第2抵抗と第4抵抗との間に接続され第5抵抗の他端が第1抵抗と第3抵抗との間に接続され、電圧供給部が第1抵抗と第2抵抗との間に接続されたブリッジ回路を備える。第3抵抗は、主電源に接続され、主電源から電力が供給される。異常検出装置は、主電源をオフした状態で電圧供給部から電圧を印加することにより検出したブリッジ回路の検出電圧に基づいて第3抵抗の異常を検出する。この構成により、異常検出装置は、主電源の電圧検出と第3抵抗の異常検出とを共通の回路(第1抵抗、第2抵抗、第4抵抗、第5抵抗、及び、制御部)を用いて行うことができる。この結果、異常検出装置は、大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る異常検出装置の構成例を示す回路図である。
図2図2は、実施形態に係る異常検出装置の動作例を示す回路図である。
図3図3は、実施形態に係る異常検出装置の動作例を示す回路図である。
図4図4は、実施形態に係るブリッジ回路の構成例を示す概略図である。
図5図5は、実施形態に係るブリッジ回路の短絡発生時を示す概略図である。
図6図6は、実施形態に係るブリッジ回路の開放発生時を示す概略図である。
図7図7は、実施形態に係る異常検出装置の動作例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る高電圧J/Bへの適用例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態〕
実施形態に係る異常検出装置1について説明する。異常検出装置1は、負荷部R3の異常を検出する装置である。異常検出装置1は、車両の主電源としてのバッテリ2を制御する車両電源制御システム100に組み込まれる。車両電源制御システム100は、バッテリ2から負荷部R3に供給される電力を制御するシステムである。車両電源制御システム100は、図1に示すように、バッテリ2と、スイッチ3と、負荷部R3と、異常検出装置1とを備える。
【0012】
バッテリ2は、負荷部R3に電力を供給するものである。バッテリ2は、電力を蓄電可能な二次電池であり、スイッチ3を介して負荷部R3に接続される。バッテリ2は、負荷部R3に電圧Eの電力を供給する。
【0013】
スイッチ3は、バッテリ2から負荷部R3に流れる電流を通電又は遮断する回路である。スイッチ3は、バッテリ2の正極と負荷部R3との間に設けられる。スイッチ3は、後述する異常検出装置1の制御部40に接続され、制御部40から出力されるスイッチ制御信号に基づいてオン・オフする。スイッチ3は、例えば、スイッチ制御信号が当該スイッチ3をオンするスイッチオン信号の場合にはオンし、バッテリ2と負荷部R3とを電気的に接続する。また、スイッチ3は、例えば、スイッチ制御信号が当該スイッチ3をオフするスイッチオフ信号の場合にはオフし、バッテリ2と負荷部R3とを遮断する。
【0014】
負荷部R3は、バッテリ2から供給される電力を消費するものであり、例えば、車両の走行用のモータ等である。
【0015】
異常検出装置1は、負荷部R3の短絡等の異常を検出する装置である。異常検出装置1は、ブリッジ回路10と、電圧供給部20と、電圧検出部30と、制御部40とを備える。ブリッジ回路10は、第1抵抗としての抵抗R1と、第2抵抗としての抵抗R2と、第3抵抗としての負荷部R3と、第4抵抗としての抵抗R4と、第5抵抗としての抵抗R5とを含んで構成される。負荷部R3は、上述のようにバッテリ2に接続され、バッテリ2から電力が供給される。負荷部R3は、電気的な接続の異常が検出される異常検出対象であり、例えば、短絡や開放等の異常が検出される。ブリッジ回路10は、抵抗R1と抵抗R2とが直列に接続され、抵抗R2と抵抗R4とが直列に接続された直列回路11が形成される。そして、ブリッジ回路10は、直列回路11が負荷部R3と並列に接続される。また、ブリッジ回路10は、抵抗R5の一端が抵抗R2と抵抗R4との間に接続され、抵抗R5の他端が抵抗R1と負荷部R3との間に接続される。さらに、ブリッジ回路10は、電圧供給部20が抵抗R1と抵抗R2との間に接続される。また、ブリッジ回路10は、負荷部R3と抵抗R4との接続点がGNDに接続される。
【0016】
電圧供給部20は、バッテリ2とは異なる電源であり、ブリッジ回路10に電圧Vを印加する電源である。電圧供給部20は、図2に示すように、N型チャネルのMOSFET(Metal・Oxide・Semiconductor field・effect transistor)であるFET21と、P型チャネルのMOSFETであるFET22と、ダイオード23と、サブ電源24とを有する。FET21は、ゲート端子が制御部40に接続され、ドレイン端子がFET22のゲート端子に接続され、ソース端子がGNDに接続される。FET22は、ゲート端子がFET21のドレイン端子に接続され、ソース端子がサブ電源24に接続され、ドレイン端子がダイオード23に接続される。ダイオード23は、アノード端子がFET22のドレイン端子に接続され、カソード端子が抵抗R1と抵抗R2との間に接続される。
【0017】
電圧供給部20は、制御部40から駆動信号(オン)が出力されFET21のゲート端子に電圧Vが印加されると、FET21がオンしてFET21のドレイン端子からソース端子に電流が流れる。電圧供給部20は、FET21のドレイン端子からソース端子に電流が流れるとFET22のゲート端子の電圧がソース端子の電圧よりも低下してFET22がオンする。電圧供給部20は、FET22がオンするとサブ電源24からダイオード23を介してブリッジ回路10に電流が流れる。つまり、電圧供給部20は、ブリッジ回路10に電圧Vを印加する。一方、電圧供給部20は、制御部40から駆動信号(オフ)が出力されFET21のゲート端子の電圧が低下すると、FET21がオフしてFET21のドレイン端子からソース端子に電流が流れなくなる。電圧供給部20は、FET21のドレイン端子からソース端子に電流が流れなくなるとFET22のゲート端子の電圧とソース端子の電圧とが同等となりFET22がオフする。電圧供給部20は、FET22がオフするとサブ電源24からダイオード23を介してブリッジ回路10に電流が流れない。つまり、電圧供給部20は、ブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止する。
【0018】
電圧検出部30は、電圧を検出する回路である。電圧検出部30は、例えば、抵抗R4に並列に接続される。また、電圧検出部30は、制御部40に接続される。電圧検出部30は、検出した検出電圧Vdtcを示す検出信号S(S1〜S4)を制御部40に出力する。電圧検出部30は、例えば、スイッチ3がオンされバッテリ2から負荷部R3に電力が供給される場合、つまり、通常動作の場合、抵抗R1、抵抗R2、及び、抵抗R5の合成抵抗と抵抗R4との分圧値を通常動作時の検出電圧Vdtcとして検出する。通常動作時の検出電圧Vdtcは、以下の式(1)により定められる電圧値である。式(1)に記載のR1、R2、R4、R5は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5のそれぞれの抵抗値であり、式(1)に記載のEは、バッテリ2の電圧値である。電圧検出部30は、通常動作時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S1を制御部40に出力する。
【0019】
【数1】
【0020】
また、電圧検出部30は、スイッチ3がオフされ電圧供給部20からブリッジ回路10に電圧Vが印加されたときに負荷部R3の電気的な接続が正常である場合、つまり、異常検出動作において正常である場合、ブリッジ回路10から異常検出動作時の検出電圧Vdtcを検出する(図4参照)。異常検出動作時の検出電圧Vdtcは、以下の式(2)により定められる電圧値である。式(2)に記載のR1〜R5は、抵抗R1〜抵抗R5のそれぞれの抵抗値であり、式(2)に記載のVは、電圧供給部20の電圧値である。電圧検出部30は、異常検出動作時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S2を制御部40に出力する。
【0021】
【数2】
【0022】
また、電圧検出部30は、異常検出動作の場合に負荷部R3が短絡(short)しているとき、つまり、負荷部R3の抵抗が0Ωであるとき、ブリッジ回路10から短絡検出時の検出電圧Vdtcを検出する(図5参照)。短絡検出時の検出電圧Vdtcは、以下の式(3)により定められる電圧値である。式(3)に記載のR1、R2、R4、R5は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5のそれぞれの抵抗値であり、式(3)に記載のVは、電圧供給部20の電圧値である。電圧検出部30は、短絡検出時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S3を制御部40に出力する。
【0023】
【数3】
【0024】
また、電圧検出部30は、異常検出動作の場合に負荷部R3が開放(open)しているとき、つまり、負荷部R3の抵抗が∞Ωであるとき、ブリッジ回路10から開放検出時の検出電圧Vdtcを検出する(図6参照)。開放検出時の検出電圧Vdtcは、以下の式(4)により定められる電圧値である。式(4)に記載のR1、R2、R4、R5は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5のそれぞれの抵抗値であり、式(4)に記載のVは、電圧供給部20の電圧値である。電圧検出部30は、開放検出時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S4を制御部40に出力する。
【0025】
【数4】
【0026】
制御部40は、バッテリ2のスイッチ3及び電圧供給部20を制御する回路である。制御部40は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部40は、図示しない上位のECU(電子制御ユニット;Electronic Control Unit)に接続される。制御部40は、例えば、ECUからスイッチ3をオンする外部信号(駆動信号)が出力される。記憶部には、各種基準電圧が記憶されている。例えば、記憶部には、通常動作時の電圧を示す通常基準電圧、及び、異常検出動作時の電圧を示す異常基準電圧が予め記憶されている。通常基準電圧は、上記式(1)により定められ、異常基準電圧は、上記式(2)により定められる。また、記憶部には、負荷部R3が短絡したことを示す短絡基準電圧、及び、負荷部R3が開放したことを示す開放基準電圧が予め記憶されている。短絡基準電圧は、上記式(3)により定められ、開放基準電圧は、上記式(4)により定められる。
【0027】
制御部40は、電圧供給部20に接続され、電圧供給部20を駆動する。制御部40は、例えば、電圧供給部20に駆動信号(オン)を出力することにより電圧供給部20からブリッジ回路10に電圧Vを印加する。また、制御部40は、電圧供給部20に駆動信号(オフ)を出力することにより電圧供給部20からブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止する。制御部40は、電圧検出部30に接続され、電圧検出部30から検出信号S(S1〜S4)が出力される。制御部40は、スイッチ3に接続され、検出信号S(S1〜S4)に基づいてスイッチ3をオン・オフする。制御部40は、検出信号S(S1〜S4)が異常を示す場合、上位のECUに異常検出信号等を出力する。
【0028】
制御部40は、スイッチ3をオンしてバッテリ2から抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5、及び、負荷部R3に電流を流し、当該バッテリ2から負荷部R3に電力を供給する。制御部40は、バッテリ2から負荷部R3に電力を供給したときに、記憶部に記憶された通常基準電圧と電圧検出部30から出力される検出信号Sとを比較する。そして、制御部40は、電圧検出部30から通常動作時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S1が出力されたと判定した場合、バッテリ2から負荷部R3に正常に電力が供給されていると判定する。そして、制御部40は、スイッチ3のオン状態を維持する。また、制御部40は、例えば、電圧検出部30から検出信号S1が出力されず、バッテリ2から負荷部R3に正常に電力が供給されていないと判定した場合、スイッチ3をオフする。なお、制御部40は、スイッチ3がオンの状態で通常動作時の検出電圧Vdtcが0Vである場合、スイッチ3が故障していると判定する。
【0029】
制御部40は、スイッチ3をオンする前に電圧供給部20からブリッジ回路10に電圧Vを印加したときに、記憶部に記憶された異常基準電圧、短絡基準電圧、及び、開放基準電圧と電圧検出部30から出力される検出信号Sとを比較する。そして、制御部40は、電圧検出部30から異常検出動作時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S2が出力されたと判定した場合、負荷部R3の電気的な接続が正常であると判定する。そして、制御部40は、電圧供給部20からブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止してスイッチ3をオンする。
【0030】
制御部40は、スイッチ3をオンする前に電圧供給部20からブリッジ回路10に電圧Vを印加したときに、電圧検出部30から短絡検出時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S3が出力されたと判定した場合、負荷部R3が短絡していると判定する。そして、制御部40は、電圧供給部20からブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止すると共にスイッチ3のオフ状態を維持し、運転者に負荷部R3の短絡異常を報知する。制御部40は、例えば、ディスプレイ表示や音声等により短絡異常を報知する。
【0031】
制御部40は、スイッチ3をオンする前に電圧供給部20からブリッジ回路10に電圧Vを印加したときに、電圧検出部30から開放検出時の検出電圧Vdtcを示す検出信号S4が出力されたと判定した場合、負荷部R3が開放していると判定する。そして、制御部40は、電圧供給部20からブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止すると共にスイッチ3のオフ状態を維持し、運転者に負荷部R3の開放異常を報知する。なお、制御部40は、負荷部R3が開放されている場合、スイッチ3をオンして負荷部R3が電気的に接続されているかを試みてもよい。
【0032】
次に、図7を参照して異常検出装置1の動作例について説明する。異常検出装置1は、スイッチ3がオフされバッテリ2から負荷部R3に電力が供給されていない状態であることを前提とする。制御部40は、スイッチ3をオンする外部信号が出力されたか否かを判定する(ステップST1)。制御部40は、例えば、車両のイグニッション電源がオンされると上位のECUからスイッチ3をオンする外部信号が出力される。制御部40は、スイッチ3をオンする外部信号が出力された場合(ステップST1;Yes)、図3に示すように、駆動信号(オン)を電圧供給部20に出力する(ステップST2)。電圧供給部20は、制御部40から駆動信号(オン)が出力されるとFET21、22がオンしてブリッジ回路10に電圧Vを印加する。電圧検出部30は、ブリッジ回路10に電圧Vが印加されると検出信号S2〜S4のいずれか1つを制御部40に出力する。制御部40は、検出信号S3、S4が出力されると負荷部R3が電気的に異常であると判定する(ステップST3;Yes)。制御部40は、例えば、検出信号S3が出力されると負荷部R3が短絡していると判定し、ディスプレイ表示や音声等により短絡異常を報知する(ステップST4)。また、制御部40は、例えば、検出信号S4が出力されると負荷部R3が開放していると判定し、ディスプレイ表示や音声等により開放異常を報知する(ステップST4)。そして、制御部40は、図2に示すように、駆動信号(オフ)を電圧供給部20に出力し(ステップST5)、電圧供給部20からブリッジ回路10に印加する電圧Vを停止し、スイッチ3をオフの状態で処理を終了する。なお、上述のステップST1で、制御部40は、スイッチ3をオンする外部信号が出力されない場合(ステップST1;No)、スイッチ3をオンする外部信号が出力されるまで待機する。上述のステップST3で、制御部40は、検出信号S2が出力されると負荷部R3が電気的に正常であると判定し(ステップST3;No)、スイッチ3をオンする(ステップST6)。
【0033】
以上のように、実施形態に係る異常検出装置1は、ブリッジ回路10と、電圧供給部20と、制御部40とを備える。負荷部R3は、バッテリ2に接続され、当該バッテリ2から電力が供給される。負荷部R3は、異常検出対象である。ブリッジ回路10は、抵抗R1と、抵抗R2と、第3抵抗である負荷部R3と、抵抗R4と、抵抗R5とを含んで構成される。電圧供給部20は、バッテリ2とは異なる電源でありブリッジ回路10に電圧Vを印加する。制御部40は、スイッチ3及び電圧供給部20を制御する。ブリッジ回路10は、抵抗R1と抵抗R2とが直列に接続され、抵抗R2と抵抗R4とが直列に接続された直列回路11が形成される。そして、ブリッジ回路10は、直列回路11が負荷部R3と並列に接続され、抵抗R5の一端が抵抗R2と抵抗R4との間に接続され、抵抗R5の他端が抵抗R1と負荷部R3との間に接続される。そして、ブリッジ回路10は、電圧供給部20が抵抗R1と抵抗R2との間に接続される。制御部40は、スイッチ3をオフした状態で電圧供給部20から電圧Vを印加することにより検出したブリッジ回路10の検出電圧Vdtcに基づいて負荷部R3の異常を検出する。
【0034】
この構成により、異常検出装置1は、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5、及び、電圧検出部30によりバッテリ2の検出電圧Vdtcを検出することができる。また、異常検出装置1は、抵抗R1、抵抗R2、負荷部R3、抵抗R4、及び、抵抗R5を含んで構成されるブリッジ回路10、電圧検出部30、並びに、電圧供給部20により負荷部R3の異常を検出することができる。この構成により、異常検出装置1は、バッテリ2の電圧検出と負荷部R3の異常検出とを共通の回路(抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5、及び、電圧検出部30)を用いて行うことができる。この構成により、異常検出装置1は、バッテリ2の電圧検出の回路を流用して負荷部R3の電気的な接続の異常検出を行うことができるので、電子部品を削減することができる。この結果、異常検出装置1は、電子部品を搭載するスペースを削減することができ、装置の大型化を抑制することができる。また、異常検出装置1は、電子部品を削減できるので製造コストを抑制できる。また、異常検出装置1は、スイッチ3をオンする直前や、異常を検知し、バッテリ2と負荷部R3との接続を遮断した後、当該遮断からの再起動時に回路確認を行うことにより、安全に電源供給を行うことができる。
【0035】
上記異常検出装置1において、制御部40は、負荷部R3が短絡したことを示す短絡基準電圧と検出電圧Vdtcとに基づいて負荷部R3の短絡を検出し、負荷部R3が開放したことを示す開放基準電圧と検出電圧Vdtcとに基づいて負荷部R3の開放を検出する。この構成により、異常検出装置1は、検出電圧Vdtcと短絡基準電圧とを比較し、検出電圧Vdtcが短絡基準電圧に一致した場合、負荷部R3が短絡したと判定することができる。また、異常検出装置1は、検出電圧Vdtcと開放基準電圧とを比較し、検出電圧Vdtcが開放基準電圧に一致した場合、負荷部R3が開放したと判定することができる。
【0036】
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。変形例に係る異常検出装置1Aは、車両電源制御システム100Aとして高電圧車両の半導体高電圧J/Bに組み込まれる。なお、変形例は、実施形態と同等の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。車両電源制御システム100Aは、図8に示すように、高電圧回路7Aと12V系回路7Bとを有する。高電圧回路7Aと12V系回路7Bとは、絶縁されている。高電圧回路7Aは、高電圧バッテリ2Aと、負荷部R3と、異常検出装置1Aの制御部40以外の構成要素と、負荷部R3の上流側に設けられる上流半導体リレー3Aと、上流半導体リレー3Aを駆動する駆動回路4Aと、負荷部R3の下流側に設けられる下流半導体リレー3Bと、下流半導体リレー3Bを駆動する駆動回路4Bと、を含んで構成される。12V系回路7Bは、制御部40と、12V系バッテリ5と含んで構成される。
【0037】
上流半導体リレー3A及び下流半導体リレー3Bは、一対のFET3a、3bを有し、各FET3a、3bのソース端子同士が接続される。異常検出装置1Aは、ブリッジ回路10と、電圧供給部20と、電圧検出部30と、制御部40とを備える。制御部40は、絶縁素子6を介して電圧供給部20、電圧検出部30、及び、駆動回路4A、4Bにそれぞれ接続される。制御部40は、電圧検出部30から検出信号Sが出力される。また、制御部40は、電圧供給部20、駆動回路4A、4Bに駆動信号を出力する。12V系バッテリ5は、絶縁電源であり、下流半導体リレー3Bに絶縁されて接続され下流半導体リレー3Bに電力を供給する。異常検出装置1Aは、例えば、上流半導体リレー3Aをオフし下流半導体リレー3Bをオンした状態で異常検出動作を行う。
【0038】
このように、異常検出装置1Aは、高電圧車両の半導体高電圧J/Bに適用することができる。異常検出装置1Aは、高電圧バッテリ2Aの電圧検出と負荷部R3の異常検出とを共通の回路(抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4、抵抗R5、及び、電圧検出部30)を用いて行うことができるので、電子部品の削減が可能となり、装置の大型化を抑制することができる。異常検出装置1Aは、高電圧車両の半導体高電圧J/Bに適用した場合、高電圧の耐圧等を考慮した電圧検出用の抵抗を用いる必要があるが、高電圧バッテリ2Aの電圧検出に用いられる抵抗(抵抗R1、抵抗R2、抵抗R4)を使用するので、異常検出用の回路を容易に構成することができる。
【0039】
なお、制御部40と電圧検出部30とを別々の機能ブロックとしたが、制御部40と電圧検出部30とを一つの機能ブロックとしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1、1A 異常検出装置
2 バッテリ(主電源)
10 ブリッジ回路
11 直列回路
20 電圧供給部
40 制御部
R1 抵抗(第1抵抗)
R2 抵抗(第2抵抗)
R3 負荷部(第3抵抗)
R4 抵抗(第4抵抗)
R5 抵抗(第5抵抗)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8