特許第6603705号(P6603705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000002
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000003
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000004
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000005
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000006
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000007
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000008
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000009
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000010
  • 特許6603705-自動スプライシング装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603705
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】自動スプライシング装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20191028BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-508944(P2017-508944)
(86)(22)【出願日】2015年3月31日
(86)【国際出願番号】JP2015060214
(87)【国際公開番号】WO2016157436
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】中村 大佑
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 眞人
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/167692(WO,A1)
【文献】 特開2004−031875(JP,A)
【文献】 特開2003−258493(JP,A)
【文献】 特開平06−179412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第1テープに、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第2テープをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置であって、
部品実装機あるいは部品実装機と通信可能に接続されたホストコンピュータとの間で双方向通信可能な通信装置と、
前記第1テープ及び前記第2テープの接続を制御する接続制御装置と、
前記第1テープ及び前記第2テープの接続に関する情報を表示する表示装置と、
を備える、自動スプライシング装置。
【請求項2】
前記通信装置は、部品実装機あるいは部品実装機と通信可能に接続されたホストコンピュータに、前記接続制御装置の制御により接続した前記第1テープ及び前記第2テープのテープ接続情報を送信する、請求項1に記載の自動スプライシング装置。
【請求項3】
一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第1テープに、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第2テープをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置であって、
部品実装機あるいは部品実装機と通信可能に接続されたホストコンピュータと通信可能な通信装置と、
前記第1テープ及び前記第2テープを接続するテープ接続機構と、
前記第1テープ及び前記第2テープの接続に関する情報を表示する表示装置と、
前記通信装置と前記テープ接続機構と前記表示装置を制御する制御装置と、
を備える、自動スプライシング装置。
【請求項4】
前記表示装置は、前記通信装置に送信されてくる前記部品実装機の部品切れとなる部品に関する情報を表示する、請求項1から3の何れか一項に記載の自動スプライシング装置。
【請求項5】
前記表示装置は、前記通信装置に送信されてくる前記部品実装機の部品切れとなる部品に関する情報をもとに、当該情報を優先度の高い順に表示する、請求項1から4の何れか一項に記載の自動スプライシング装置。
【請求項6】
前記自動スプライシング装置は、
前記第1テープを巻回した第1リール及び前記第2テープを巻回した第2リールにそれぞれ付され、前記第1テープ及び前記第2テープの各キャビティに収納された部品の情報がそれぞれ記録された識別情報を読取る読取装置、を備え、
前記表示装置は、前記読取装置に設けられ、前記読取装置で読取った前記識別情報を表示する、請求項1から5の何れか一項に記載の自動スプライシング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティをそれぞれ設けた第1テープ及び第2テープをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装機においては、一般的にリールに巻回されたキャリアテープをフィーダを介して送出し、キャリアテープに収納された部品を基板上に移載して実装するようになっている。部品実装機においてキャリアテープの終端が近付いてきて部品切れになりそうなときは、例えば特許文献1に記載のように、実装ラインを管理するホストコンピュータが、実装ラインの作業者が携帯している携帯端末に部品補充通知を送信する。そして、作業者は、部品補充通知を受信したら実装ラインの稼動を停止し、該当する部品実装機に行って部品切れとなるフィーダのリール交換を行う。しかし、作業者は、リール交換の度に実装ラインの稼動を停止しなければならず、生産効率の低下を招いている。
【0003】
そこで、例えば特許文献2に記載の部品実装機は、フィーダとインターフェース接続したガントリーロボットを備え、部品切れとなるフィーダの運転を停止し、ガントリーロボットで当該フィーダに新しいリールを供給する。この部品実装機では、部品切れとなるフィーダの運転を停止するのみでよく、実装ラインの稼動を停止する必要がないので、生産効率の低下を抑制できる。しかし、近年では、更なる生産効率の向上が望まれている。
【0004】
そこで、実装ラインの稼動停止やフィーダの運転停止が不要となる自動スプライシング装置が提案されている。例えば特許文献3に記載の自動スプライシング装置は、部品実装機の傍に置かれ、作業者により、部品実装機で部品切れとなるキャリアテープと同種のキャリアテープの先端側が、装置の一側面側から挿入されるとともに、部品実装機で部品切れとなるキャリアテープの後端側が、装置の他側面側から挿入される。すると、自動スプライシング装置は、両キャリアテープの部品収納されたキャビティと空のキャビティとの間をそれぞれ切断し、切断箇所同士をスプライシングテープによって自動的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−72643号公報
【特許文献2】特表2005−539370号公報
【特許文献3】特開平4−243757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の自動スプライシング装置では、部品切れとなるキャリアテープに収納されている部品と、新たなキャリアテープに収納されている部品とが同一種類のものであるか否かの照合、すなわちベリファイチェックが誤認された場合でも、部品切れとなるキャリアテープと新たなキャリアテープとがそのまま接続される。この場合、部品実装機においては、異なる種類の部品を実装することになり、不良品を生産することになる。
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の自動スプライシング装置は、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第1テープに、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第2テープをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置であって、部品実装機あるいは部品実装機と通信可能に接続されたホストコンピュータとの間で双方向通信可能な通信装置と、前記第1テープ及び前記第2テープの接続を制御する接続制御装置と、前記第1テープ及び前記第2テープの接続に関する情報を表示する表示装置と、を備える。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の自動スプライシング装置は、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第1テープに、一定の間隔に送り穴と部品収納用のキャビティを設けた第2テープをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置であって、部品実装機あるいは部品実装機と通信可能に接続されたホストコンピュータと通信可能な通信装置と、前記第1テープ及び前記第2テープの接続を制御する接続制御装置と、前記第1テープ及び前記第2テープの接続に関する情報を表示する表示装置と、を備える。
【0009】
この自動スプライシング装置によれば、作業者は、部品実装機等から送信されてくる第1テープ及び第2テープの接続に関する情報を表示装置で視認できるので、当該接続の誤作業を防止でき、また接続作業を効率良く行える。よって、部品実装機においては、不良品の発生を防止して生産効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の自動スプライシング装置及び部品実装機の概略構成を示す図である。
図2】自動スプライシング装置のテープ接続機構の構成を示す図である。
図3A】キャリアテープを示す平面図である。
図3B図3Aに示すキャリアテープを側方から見た図である。
図4】キャリアテープが巻回されたリールを着脱可能なテープフィーダを示す図である。
図5】自動スプライシング装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】第1、第2スプロケット、第1、第2原点位置検出装置、及び第1、第2光量検出装置の配置状態と、キャリアテープの送り状態を示す図である。
図7】先端検知直前の第1テープ送り装置の第一原点位置の検出状態を示し、当該状態における第1スプロケット及びキャリアテープを示す図である。
図8】先端検知状態を示し、当該状態における第1スプロケット及びキャリアテープを示す図である。
図9】先端検知直後の第1テープ送り装置の原点位置の検出状態を示し、当該状態における第1スプロケット及びキャリアテープを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(自動スプライシング装置の概略構成)
本実施形態の自動スプライシング装置の概略構成について図を参照して説明する。図1に示すように、自動スプライシング装置20は、詳細は後述するが、読取装置30と、通信装置40と、表示装置90と、制御装置100等とを備え、図2に示す第1、第2テープ送り装置50,51等のテープ接続機構Wを有する装置である。
【0012】
この自動スプライシング装置20は、部品実装機Mで用いられる図3A,3Bに示すキャリアテープTcに収納された部品eが部品切れになることを、部品実装機Mと通信可能に接続されたホストコンピュータHCから通信装置40を介して受信して表示装置90に表示することにより作業者に確認させ、部品切れとなるキャリアテープTcの後端部と新たなキャリアテープTcの先端部とをスプライシングテープによって自動的に接続する装置である。自動スプライシング装置20は、図略の台車等に載置されて複数台の部品実装機M間を移動可能に構成され、該当する部品実装機Mに搬送されてテープ接続が実行される。
【0013】
ここで、部品実装機Mは、一般的な実装機であり、図4に示すテープフィーダ10(本発明の「部品供給装置」に相当)に装着したリール11に巻回されたキャリアテープTcを部品採取位置12へ送り出し、部品移載装置で部品eをキャリアテープTcから採取し、搬送された基板上に採取した部品eを移載して実装する。このような部品実装機Mは、複数台並べて実装ラインとして構築されており、各部品実装機Mの部品実装を制御する実装制御装置mcは、ホストコンピュータHCと部品実装等の情報の送受信を行う。
【0014】
また、キャリアテープTcは、図3A,3Bに示すように、所定の幅で細長く形成され、長手方向に複数のキャビティCtが所定のピッチPtで形成される。これらのキャビティCtには、回路基板に実装される部品eがそれぞれ収納される。キャビティCtの上部は開口され、キャリアテープTcの表面に貼り付けられるトップテープTtによって覆われる。キャリアテープTcの幅方向の一端側には、長手方向に送り穴Hcが一定のピッチPcで形成される。なお、本実施形態では、先端側に部品eが収納されていない複数の空のキャビティCtの部分が連なるキャリアテープTcが用いられる。
【0015】
キャリアテープTcは、部品eのサイズ等によってキャビティCtのピッチPt及びサイズが異なるが、送り穴HcのピッチPc及びサイズは同一である。キャビティCtと送り穴Hcとは、一定の位置関係に配置され、キャリアテープTcは、送り穴Hcと同一の位置及び隣り合う送り穴Hcの中間位置にそれぞれ1つのキャビティCtが存在するように所定ピッチPt(=Pc/2)で形成される。
【0016】
キャリアテープTcは、図4に示すように、リール11に巻回される。そして、リール11は、テープフィーダ10に着脱可能に取り付けられる。リール11には、キャリアテープTcに収納された部品eの種類等のテープ識別情報が記録されたバーコード等の識別子15が付される。テープフィーダ10には、リール11に巻回されたキャリアテープTcを定量ずつ送り出して、部品eをテープフィーダ10の先端部に設けられる部品採取位置12に1個ずつ供給するテープ送り機構13が内蔵される。テープ送り機構13は、テープフィーダ10の本体に回転可能に支持され、キャリアテープTcの送り穴Hcに係合するスプロケット14と、スプロケット14を回転させる図略のモータ等とを備える。
【0017】
読取装置30は、リール11に付された識別子15のテープ識別情報を光学的に読み取って通信装置40に有線で送信する例えばバーコードリーダである。
通信装置40は、読取装置30と有線で接続され、また複数台の部品実装機Mの実装制御装置mcを管理するホストコンピュータHCと無線で通信する例えばブリッジタイプの装置である。
【0018】
表示装置90は、識別子15のテープ識別情報、部品実装機Mにおける部品eの実装に関する情報等の各種情報を表示する例えばパネルコントローラである。
制御装置100は、読取装置30、通信装置40、表示装置90及びテープ接続機構Wを制御する装置であり、通信制御部101、表示制御部102及び接続実行部103(本発明の「接続制御装置」に相当)等を備える。
【0019】
通信制御部101は、通信装置40を介して行なわれる、読取装置30及びホストコンピュータHCとのデータの送受信を制御する。
表示制御部102は、通信制御部101から送られてくるデータである、読取装置30から通信装置40を介して受信した識別子15のテープ識別情報、ホストコンピュータHCから通信装置40を介して受信した部品実装機Mにおける部品実装等の情報を優先度の高い順、例えば部品切れとなるのが早い順に並べ替えて表示装置90に表示する。
【0020】
接続実行部103は、通信制御部101から送られてくるデータである、ホストコンピュータHCから通信装置40を介して受信した部品切れとなるキャリアテープTc及び新たなキャリアテープTcの識別情報の照合結果によって、テープ接続機構Wの駆動を制御する。また、接続実行部103は、部品切れとなるキャリアテープTc及び新たなキャリアテープTcの接続位置に存在する空のキャビティCtの数を検知し、通信制御部101へ送出する。通信制御部101は、通信装置40を介してホストコンピュータHCへ、接続実行部103が検知した空のキャビティCtの数を送信する。
【0021】
(自動スプライシング装置のテープ接続機構の構成)
次に、自動スプライシング装置20のテープ接続機構Wの構成について説明する。
図2に示すように、自動スプライシング装置20の筺体21(図1参照)内には、第1、第2テープ送り装置50,51と、第1、第2原点位置検出装置63a,63bと、第1、第2光量検出装置52,53と、第1、第2切断装置54,55と、第1、第2取込装置56,57と、接合装置58と、制御装置100(図1参照)等とが配置される。
【0022】
第1、第2テープ送り装置50,51は、筺体21内及び蓋体22(図1参照)内の両側にそれぞれ配置される。そして、第1、第2原点位置検出装置63a,63bは、第1、第2テープ送り装置50,51の後述する第1、第2スプロケット61a,61bの下方にそれぞれ配置され、第1、第2光量検出装置52,53は、第1、第2テープ送り装置50,51の後述する第1、第2搬送経路60a,60bの第1、第2検知位置Ld1,Ld2を挟んで上下に対向するようにそれぞれ配置される。
【0023】
また、第1、第2切断装置54,55は、第1、第2テープ送り装置50,51の間の第1、第2切断位置Lf1,Lf2にそれぞれ配置され、第1、第2取込装置56,57は、第1、第2切断装置54,55の間の第1、第2切断位置Lf1,Lf2とスプライシング位置LSとの間にそれぞれ配置され、接合装置58は、第1、第2取込装置56,57の間に配置される。
【0024】
第1、第2テープ送り装置50,51は、筺体21両側面から中央に向かって水平方向に延在するように設けられる第1、第2搬送経路60a,60bと、第1、第2搬送経路60a,60bの下方に配置される第1、第2スプロケット61a,61bと、第1、第2スプロケット61a,61bに連接される第1、第2ギヤモータ62a,62bと、第1、第2搬送経路60a,60bの上方に配置される第1、第2テープ検知装置64a,64b等とを備える。
【0025】
第1、第2切断装置54,55は、第1、第2切断位置Lf1,Lf2に設けられる第1、第2カッター68a,68bと、第1、第2カッター68a,68bを上下動させる図略の上下動機構等とを備える。第1、第2切断装置54,55は、キャリアテープTcの切断箇所において不要部分を切断可能に構成される。
【0026】
第1、第2取込装置56,57は、第1、第2切断位置Lf1,Lf2とスプライシング位置LSとの間に設けられる第1、第2取込部材75a,75bと、第1、第2取込部材75a,75bを駆動する図略の駆動機構等とを備える。第1、第2取込装置56,57は、キャリアテープTcの切断された不要部分をそれぞれ取り込み可能に構成される。
【0027】
接合装置58は、第1切断装置54と第2切断装置55との間に設けられ、第1、第2搬送経路60a,60bの一部をなす搬送経路60が形成される。接合装置58は、搬送経路60に沿って搬送され、搬送経路60の中央のスプライシング位置LSにて切断箇所が突き合わされているキャリアテープTcを接続可能に構成される。
【0028】
自動スプライシング装置20においては、図2の左右より、スプライシングすべき2つのキャリアテープTcが、第1、第2テープ送り装置50,51でそれぞれ所定のピッチで送り込まれ、各キャリアテープTcの情報、すなわちキャリアテープTcの有無、隣り合うキャビティCt間のピッチPt(以下、キャビティCtのピッチPtという)、キャビティCt内の部品eの有無(部品収納キャビティCt、空キャビティCtという)等が検知される。
【0029】
そして、先端側に連なる複数の空キャビティCtのうち所定数の空キャビティCtを残すようにして、先端部分が第1、第2切断装置54,55の第1、第2カッター68a,68bでそれぞれ切断され、切断された先端部分は、第1、第2取込装置56,57の第1、第2取込部材75a,75bにそれぞれ取り込まれる。そして、2つのキャリアテープTcを接続する図略のスプライシングテープを貼付した保護テープが、キャリアテープTcの送り方向に直交する方向より送り込まれ、2つのキャリアテープTcの切断端部同士が、接合装置58でスプライシングテープによって互いに接続される。
【0030】
(自動スプライシング装置の動作)
次に、自動スプライシング装置20の制御装置100の動作について図5のフローチャートを参照して説明する。
ホストコンピュータHCは、各部品実装機Mの実装制御装置mcから送信される部品実装等の情報により、部品切れとなるリール11を有する部品実装機Mを特定したら、当該部品実装機Mの実装機認識情報及び部品切れとなる部品識別情報を自動スプライシング装置20の制御装置100に送信する。
【0031】
制御装置100は、ホストコンピュータHCから受信した、部品実装機Mの実装機認識情報及び部品切れとなる部品識別情報を表示装置90に表示させる(図5のステップS1,S2)。具体的には、通信制御部101は、ホストコンピュータHCから受信した部品実装機Mの名称等の実装機認識情報及び部品eの名称、型番等の部品識別情報を表示制御部102に送出する。そして、表示制御部102は、実装機認識情報及び部品識別情報を表示装置90に表示するが、部品切れとなる部品実装機Mが複数有る場合、又は同一の部品実装機Mで部品切れとなるテープフィーダ10が複数有る場合は、優先度の高い順、例えば部品切れとなるのが早い順に並べ替えて表示装置90に表示する。
【0032】
作業者は、表示装置90を見て部品切れとなる実装機認識情報及び部品識別情報を確認したら、該当する部品eを収納したキャリアテープTcが巻回されたリール11とともに自動スプライシング装置20を該当する部品実装機Mまで台車で搬送する。そして、作業者は、部品切れとなるリール11が装填されたテープフィーダ10から、リール11を取り外す。そして、作業者は、テープフィーダ10から取り外したリール11及び搬送したリール11の各識別子の部品eの名称、型番等のテープ識別情報を読取装置30で読み取らせる。
【0033】
制御装置100は、読取装置30で読み取った各リール11のテープ識別情報を表示装置90に表示させるとともに(図5のステップS3)、当該テープ識別情報をホストコンピュータHCに送信する(図5のステップS4)。具体的には、通信制御部101は、読取装置30から受信した各リール11のテープ識別情報を表示制御部102に送出するとともに通信装置40を介してホストコンピュータHCに送信する。そして、表示制御部102は、各リール11のテープ識別情報を表示装置90に表示する。また、ホストコンピュータHCは、各リール11のテープ識別情報を受信したら、互いのテープ識別情報を照合し照合結果を通信装置40を介して通信制御部101に送信する。
【0034】
制御装置100は、ホストコンピュータHCから受信した、テープ識別情報の照合結果を表示装置90に表示させる(図5のステップS5,S6)。具体的には、通信制御部101は、ホストコンピュータHCから受信した、テープ識別情報の照合結果を表示制御部102に送出する。そして、表示制御部102は、照合結果を表示装置90に表示する。
【0035】
作業者は、表示装置90を見て照合一致であることを確認したら、テープフィーダ10から取り外したリール11のキャリアテープTcの後端部及び搬送したリール11のキャリアテープTcの先端部を自動スプライシング装置20の筺体21の両側からそれぞれ挿入する。
【0036】
制御装置100は、照合結果が照合一致であるか否かを判断し(図5のステップS7)、照合結果が照合一致であると判断した場合は、テープ接続機構Wの駆動を制御して挿入された2つのキャリアテープTcを接続し(図5のステップS8)、テープ接続情報をホストコンピュータHCに送信する(図5のステップS9)。具体的には、通信制御部101は、ホストコンピュータHCから受信した、テープ識別情報の照合結果を接続実行部103に送出する。そして、接続実行部103は、照合結果が照合一致であると判断したら、テープ接続機構Wの駆動を制御して挿入された2つのキャリアテープTcを接続し、接続位置に存在する空のキャビティCtの数を検知して通信制御部101に送出する。通信制御部101は、空のキャビティCtの数を通信装置40を介してホストコンピュータHCに送信する。
【0037】
作業者は、キャリアテープTcの接続が完了したら、自動スプライシング装置20から接続したキャリアテープTcを取り外し、リール11をテープフィーダ10に装填する。
【0038】
ホストコンピュータHCは、通信装置40から空のキャビティCtの数を受信したら、該当する部品実装機Mの実装制御装置mcに空のキャビティCtの数を送信する。部品実装機Mの実装制御装置mcは、テープフィーダ10から送り出されるキャリアテープTcの接続位置が部品採取位置に到達したら、ホストコンピュータHCから受信した空のキャビティCtの数の分だけテープフィーダ10のテープ送り速度を速める制御を行う。そして、空のキャビティCtが部品採取位置を通過したら、テープフィーダ10のテープ送り速度を元のテープ送り速度に戻して部品実装を継続する。
【0039】
一方、ステップS7において、制御装置100は、照合結果が照合不一致であると判断した場合は、テープ接続機構Wを駆動せず(図5のステップS10)、表示装置90に接続中止の警告を表示し(図5のステップS11)、ステップS3に戻って上述の処理を繰り返す。具体的には、接続実行部103は、照合結果が照合不一致であると判断したら、テープ接続機構Wの駆動を行わず、接続中止の警告を表示制御部102に送出する。そして、表示制御部102は、接続中止の警告を表示装置90に表示する。
【0040】
作業者は、表示装置90を見て照合結果が不一致であって接続中止の警告を確認したら、リール11等を確認し、リール交換等の処置を行ってテープ識別情報を読取装置30で再度読み取らせ、上述の処理を繰り返す。
【0041】
(自動スプライシング装置における空キャビティの検出)
次に、自動スプライシング装置20における空キャビティの検出について図6を参照して説明する。
第1、第2スプロケット61a,61bの周縁には、キャリアテープTcの送り穴HcのピッチPcと同一ピッチの複数の第1、第2歯67a,67bが形成される。本実施形態では、第1、第2歯67a,67bは、キャリアテープTcの送りピッチ以上の間隔で形成される。第1、第2スプロケット61a,61bは、回転している第1、第2歯67a,67bのうち最上部に回転してきた第1、第2歯67au,67buと、第1、第2搬送経路60a,60bに沿って挿入されてくるキャリアテープTcの送り穴Hcdとが噛合可能なように、第1、第2搬送経路60a,60bの下方に配置される。
【0042】
第1、第2テープ検知装置64a,64bは、キャリアテープTcが挿入されたことを検知する。第1、第2原点位置検出装置63a,63bは、第1、第2スプロケット61a,61bの複数の第1、第2歯67a,67bのうち1つの第1、第2歯67a,67bを検出する。本実施形態では、第1、第2スプロケット61a,61bの複数の第1、第2歯67a,67bの位置を、それぞれ第1、第2テープ送り装置50,51の原点位置として定義する。よって、第1、第2原点位置検出装置63a,63bは、第1、第2テープ送り装置50,51の複数の原点位置のそれぞれを検出するセンサである。
【0043】
そして、第1、第2原点位置検出装置63a,63bは、回転している第1、第2歯67a,67bのうち最下部に回転してきた第1、第2歯67ad,67bd(原点位置)を検出したとき、回転している第1、第2歯67a,67bのうち最上部に回転してきた第1、第2歯67au,67buと、第1、第2搬送経路60a,60bに沿って挿入されてくるキャリアテープTcの送り穴Hcdとが噛合するように配置される。
【0044】
第1、第2光量検出装置52,53は、第1、第2スプロケット61a,61bで送られるキャリアテープTcのキャビティCt等の透過光量を検出する。第1、第2光量検出装置52,53で検出される光量は、キャリアテープTcで遮光されないとき、すなわち飽和状態では、最大値Lmaxを示し、空キャビティCtでは、所定値Laよりも小さい値となる。また、上記所定値Laよりも小さい値Lbを閾値として設定し、検出光量が閾値Lb(<La)よりも小さいときは、隣り合うキャビティCt間のテープ部分及び部品収納キャビティCtと判断する。
【0045】
ここで、第1、第2光量検出装置52,53の検出位置(センサ光軸Sの位置)は、第1、第2原点位置検出装置63a,63bで第1、第2スプロケット61a,61bの第1、第2歯67ad,67bd(原点位置)を検出したとき、キャリアテープTcの送り穴Hcbと同位置に形成されるキャビティCtbが位置するように、すなわちキャビティCtbの透過光量を検出するように配置される。
【0046】
本実施形態では、第1、第2光量検出装置52,53で検出されるキャビティCtbと同位置の送り穴Hcbの位置を、キャリアテープTcのテープ基準位置(送り穴Hcbの位置)として定義するので、第1、第2テープ送り装置50,51の原点位置(第1、第2歯67ad,67bdの位置)は、キャリアテープTcのテープ基準位置(送り穴Hcbの位置)と一定の位置関係を有することになる。そして、キャリアテープTcの先端の検知信号を入力した時の第1、第2テープ送り装置50,51の第一位置及び先端検知直前における第1、第2テープ送り装置50,51の第一原点位置に基づいて、第一原点位置と一定の位置関係を有するテープ基準位置を決定する。
【0047】
ここで、第一位置及び第一原点位置に基づくテープ基準位置の決定動作について図8〜10を参照して説明する。なお、自動スプライシング装置20の両側から挿入されるキャリアテープTcに対するテープ基準位置の決定動作は同一であるため、以下の説明では図2の右側から挿入されるキャリアテープTcに対するテープ基準位置の決定動作を説明する。また、本実施形態では、図8に示すように、キャリアテープTcのテープ先端Thは、仮想線(一点鎖線)で示す送り穴HcのキャビティCtと当該キャビティCtに隣り合うキャビティCtとの間のテープ部分とする。
【0048】
図7は、キャリアテープTcの先端検知直前の第一原点位置の検出状態を示す。この状態では、第1原点位置検出装置63aで第1スプロケット61aの最下部の第1歯67ad1を検出したとき、すなわち第1スプロケット61aの最上部の第1歯67au1とキャリアテープTcの送り穴Hcd1とが噛合したときのキャリアテープTcのテープ先端Thの位置は、第1光量検出装置52の検出位置(センサ光軸Sの位置)から4分の1ピッチ(Pc/4)分だけ搬送上流側に離間している。なお、第1歯67ad1の次に検出される第1歯67aには符号67ad1を付け、第1歯67au1の次に送り穴Hcd2と噛合する第1歯67aには符号67au1を付けて以下説明する。
【0049】
図8は、キャリアテープTcの先端検知状態を示す。つまり、第1スプロケット61aが、図7の第一原点位置の検出(第1歯67ad1を検出)状態から距離Pc/4だけ回転し、キャリアテープTcが、距離Pc/4だけ進み、テープ先端Thが第1光量検出装置52の検出位置(センサ光軸Sの位置)に達した状態を示す。このときの第1歯67ad1の位置を第一位置とする。
【0050】
基準位置の決定は、第一原点位置、すなわち第1歯67ad1が第1原点位置検出装置63aで検出された位置と、第一位置、すなわち第1歯67ad1が第1原点位置検出装置63aで検出されてから距離Pc/4だけ回転した位置とから、第一原点位置から第一位置までのキャリアテープTcの送り量、すなわち距離Pc/4を求める。そして、隣り合う原点位置の間隔、すなわち距離Pcと、第一原点位置から第一位置までのキャリアテープTcの送り量、すなわち距離Pc/4との差、すなわち距離3Pc/4を求める。そして、求めた距離3Pc/4だけキャリアテープTcを図9の状態から送ったとき、第1光量検出装置52の検出位置(センサ光軸Sの位置)に位置するキャリアテープTcのキャビティCtと同位置の送り穴Hcの位置を、第一原点位置と一定の関係を有するテープ基準位置として決定する。
【0051】
図9は、キャリアテープTcがテープ基準位置に位置する状態を示す。この状態は、第1原点位置検出装置63aで第1スプロケット61aの第1歯67au1の次に回転してくる最下部の第1歯67ad2を検出し、第1スプロケット61aの第1歯67au1の次に回転してくる最上部の第1歯67au2とキャリアテープTcの送り穴Hcd1の次に送られてくる送り穴Hcd2とが噛合しており、キャリアテープTcの先端検知直後の原点位置の検出状態を示す。このときのキャリアテープTcのテープ先端Thの位置は、第1光量検出装置52の検出位置(センサ光軸Sの位置)から4分の3ピッチ(3Pc/4)分だけ搬送下流側に離間している。よって、テープ基準位置は、第1光量検出装置52の検出位置(センサ光軸Sの位置)に位置するキャビティCtbと同位置に形成される送り穴Hcd0の位置となる。
【0052】
そして、予め設定されている空キャビティCtとテープ部分(隣り合うキャビティCt間の部分)及び部品収納キャビティCtとを判別する所定の光量の閾値に基づいてキャリアテープTcの空キャビティCtを検出し、当該検出周期に基づいてキャビティCtのピッチPcを演算する。そして、光量の閾値より小さい光量を連続して検出した場合は、最初に検出したキャビティCtを部品収納キャビティCtと判断する。以上により、空キャビティの数を検出できる。
【0053】
なお、上述した実施形態においては、自動スプライシング装置20は、通信装置40を介してホストコンピュータHCと通信可能に構成したが、複数台の部品実装機Mと個別に通信可能に構成してもよい。また、上述した実施形態においては、自動スプライシング装置20は、読取装置30と通信装置40を介して有線で通信する構成としたが、読取装置30を携帯可能に構成し、通信装置40を介して無線で通信する構成としてもよい。その場合、表示装置40は、携帯可能に構成した読取装置30に設けるように構成してもよい。
【0054】
(効果)
本実施形態の自動スプライシング装置20は、一定の間隔Pcに送り穴Hcと部品収納用のキャビティCtを設けた第1テープ(キャリアテープ)Tcに、一定の間隔Pcに送り穴Hcと部品収納用のキャビティCtを設けた第2テープ(キャリアテープ)Tcをスプライシング位置でスプライシングテープによって自動的に接続する自動スプライシング装置20であって、部品実装機Mあるいは部品実装機Mと通信可能に接続されたホストコンピュータHCと通信可能な通信装置40と、第1テープTc及び第2テープTcの接続を制御する接続制御装置100(103)と、第1テープTc及び第2テープTcの接続に関する情報を表示する表示装置90と、を備える。
【0055】
この自動スプライシング装置20によれば、作業者は、部品実装機M等から送信されてくる第1テープTc及び第2テープTcの接続に関する情報を表示装置90で視認できるので、当該接続の誤作業を防止でき、また接続作業を効率良く行える。よって、部品実装機Mにおいては、不良品の発生を防止して生産効率を向上できる。
【0056】
また、表示装置90は、通信装置40に送信されてくる部品実装機Mの部品切れとなる部品eに関する情報を表示するので、接続のために用意したテープTcに収納されている部品eが、表示されている部品eと同一種類のものであるか否かの照合を、作業者は確実に視認することができる。よって、部品実装機Mにおいては、不良品の発生を防止できる。この場合、当該情報を優先度の高い順に表示する。これにより、部品実装機Mの部品切れによる生産停止を未然に防止でき、生産効率を向上できる。
【0057】
また、自動スプライシング装置20は、第1テープTcを巻回した第1リール11及び第2テープTcを巻回した第2リール11にそれぞれ付され、第1テープTc及び第2テープTcの各キャビティCtに収納された部品eの情報がそれぞれ記録された識別情報を読取る読取装置30、を備え、表示装置40は、読取装置30に設けられ、読取装置30で読取った識別情報を表示する。これにより、作業者は、接続のために用意すべきテープTcが巻回されたリール11が自動スプライシング装置20から離れた場所に保管されていても、保管場所にて当該リール11の識別情報を読取装置30で読み取らせて確認できる。
【符号の説明】
【0058】
10:テープフィーダ、11:リール、12:部品採取位置、15:識別子、20:自動スプライシング装置、30:読取装置、40:通信装置、90:表示装置、100:制御装置、101:通信制御部、102:表示制御部,103:接続実行部、W:テープ接続機構、M:部品実装機、HC:ホストコンピュータ、mc:実装制御装置、Tc:キャリアテープ、Ct:キャビティ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9