(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6603711
(24)【登録日】2019年10月18日
(45)【発行日】2019年11月6日
(54)【発明の名称】縁部を研削するための装置及びプロセス、ならびに研削縁部を有するグレイジング
(51)【国際特許分類】
B24B 55/02 20060101AFI20191028BHJP
B24B 9/10 20060101ALI20191028BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20191028BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20191028BHJP
C03C 19/00 20060101ALI20191028BHJP
【FI】
B24B55/02 Z
B24B9/10 Z
B24B9/00 601B
B60J1/00 G
C03C19/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-519907(P2017-519907)
(86)(22)【出願日】2015年10月13日
(65)【公表番号】特表2017-533830(P2017-533830A)
(43)【公表日】2017年11月16日
(86)【国際出願番号】GB2015052998
(87)【国際公開番号】WO2016059389
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2018年8月27日
(31)【優先権主張番号】1418175.4
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス マイル
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン ハブラセック
【審査官】
須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−172749(JP,A)
【文献】
再公表特許第2012/073626(JP,A1)
【文献】
国際公開第2013/034828(WO,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01413397(EP,A1)
【文献】
特開2003−266306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B9/00;9/10
B24B55/02
C03C19/00
B60J1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレイジング(10)の縁部を研削するための装置(1)であって、
− 軸(2)を中心に回転可能な、前記グレイジング(10)の縁部を研削するのに適したホイール(20)と、
− 溝(30)の平面(3)が前記回転軸(2)に対して垂直になるように、前記ホイール(20)の外周の前記溝と、
− 冷却液を射出するのに適した、前記溝の前記平面(3)の第1及び第2の側部に配設される、第1及び第2のオリフィス(41、51)と、を備え、
− 前記第1及び第2のオリフィス(41、51)が、実質的に前記溝(30)の中へ、前記溝の前記平面(3)にない第1及び第2の直線状の軌道上に方向付けられる冷却液の第1及び第2のジェット(61、71)を形成するように配設され、
− 前記溝(30)及び前記グレイジング(10)が、接触領域(31)を画定するように配設され、前記冷却液の第1及び第2のジェット(61、71)が、実質的に前記接触領域(31)の中へ、前記直線状の軌道と前記接触領域(31)とが交わるように方向付けられることを特徴とする、装置。
【請求項2】
− 冷却液の第1の一連のジェット(61、62、63、64)を形成するように前記溝の前記平面(3)の前記第1の側部に配設される第1の一連のオリフィス(41、42、43、44)と、
− 冷却液の第2の一連のジェット(71、72、73、74)を形成するように前記溝の前記平面(3)の前記第2の側部に配設される第2の一連のオリフィス(51、52、53、54)と、を備え、
− 前記ジェットが、実質的に前記溝(30)の中へ、前記溝の前記平面(3)にない軌道上に方向付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記溝の前記平面(3)の前記第1及び第2の側部に配設される、冷却液を収容するための、及び冷却液を前記オリフィスに供給するための第1及び第2の容器(4、5)を更に備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の容器(4、5)が、前記ホイール(20)の外周の半分以下に対して平行に延在する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の容器(4、5)が、前記第1の容器(4)から前記第2の容器(5)へ冷却液を供給するのに適した少なくとも1つの導管(6)によって接続され、単一の入口(40)を備え、前記オリフィスを除いていかなる出口も備えないアセンブリを形成する、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
オリフィスが、前記溝の前記平面(3)に対して5度〜45度の範囲で配設される、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
オリフィスの直径が、1mm〜5mmの範囲である、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記グレイジング(10)が、2mm〜6mmの範囲の厚さを有する自動車用グレイジングである、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
グレイジング(10)を製造するためのプロセスであって、
− 軸(2)を中心に回転可能な、前記グレイジング(10)の縁部を研削するのに適したホイール(20)を備える装置(1)を提供する工程と、
− 溝(30)の平面(3)が前記回転軸(2)に対して垂直になるように、前記ホイール(20)の外周の前記溝を提供する工程と、
− 冷却液を射出するのに適した、前記溝の前記平面(3)の第1及び第2の側部に配設される、第1及び第2のオリフィス(41、51)を提供する工程と、を含み、
− 前記第1及び第2のオリフィス(41、51)を、実質的に前記溝(30)の中へ、前記溝の前記平面(3)にない第1及び第2の直線状の軌道上に方向付けられる冷却液の第1及び第2のジェット(61、71)を形成するように配設し、
− 前記溝(30)及び前記グレイジング(10)を、接触領域(31)を画定するように配設する工程を更に含み、前記冷却液の第1及び第2のジェット(61、71)が、実質的に前記接触領域(31)の中へ、前記直線状の軌道と前記接触領域(31)とが交わるように方向付けられることを特徴とする、プロセス。
【請求項10】
− 冷却液の第1の一連のジェット(61、62、63、64)を形成するように前記溝の前記平面(3)の前記第1の側部に第1の一連のオリフィス(41、42、43、44)を配設する工程と、
− 冷却液の第2の一連のジェット(71、72、73、74)を形成するように前記溝の前記平面(3)の前記第2の側部に第2の一連のオリフィス(51、2、53、54)を配設する工程と、を含み、
− 前記ジェットが、実質的に前記溝(30)の中へ、前記溝の前記平面(3)にない軌道上に方向付けられる、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
− 冷却液を収容するための、及び冷却液を前記オリフィスに供給するための第1及び第2の容器(4、5)を、前記溝の前記平面(3)の前記第1及び第2の側部に配設する工程と、
− 前記第1の容器(4)から前記第2の容器(5)へ冷却液を供給するのに適した、前記第1及び第2の容器(4、5)を接続する少なくとも1つの導管(6)を提供し、単一の入口(40)を備え、前記オリフィスを除いていかなる出口も備えないアセンブリを形成する工程と、を含む、請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記グレイジング(10)が、2mm〜6mmの範囲の厚さを有する自動車用グレイジングである、請求項9、10、または11に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、グレイジングの縁部を処理するための装置及びプロセス、ならびに処理された縁部を備える自動車用グレイジングなどのグレイジングに関する。
【0002】
車両用ウインドスクリーンなどのガラス枠を処理する分野では、砥石ホイールなどの回転ホイールを使用して処理した縁部を提供することが知られている。ガラス枠に適したホイールは、その外周に、ガラス枠の所望の縁部形状に対応する形状を有する環状溝を有する。ガラス枠は、環状溝の平面に配設され、また、溝と接触させて、接触領域を画定する。接触領域が溝に沿って移動するにつれて、研削によってガラス材料が除去される。ガラス枠に冷却液を供給するために、ノズルなどのオリフィスが提供される。
【0003】
第US4739586号(Eckardt/Flachglas)は、接触領域が溝に沿って両方向から冷却液を受容するように、冷却液を溝の中へ接線方向に噴射するための、溝の平面に配設された2つの冷却液ジェットを開示している。冷却液は、微細なジェットで噴射され、よって、比較的限られた量の冷却液が必要とされる。
【0004】
第US4667443号(Sakurai/NSG)は、枠の縁部に冷却液を噴射するための、ガラス枠の上側に配設された単一のノズルを開示している。研削圧力は、所望の縁部形状及び一様な縁辺を有するグレイジングを提供するように制御される。縁部形状の例は、面取りされ、U字形状である。ガラス枠の例は、車両のウインドシールドガラスである。
【0005】
第US5713784号(Miller)及び第US6287176号(Voigt/Wendt)はどちらも、研削ホイールの溝の平面の片側にだけ配設された1つのノズルまたは一連のノズルを介して、冷却水を研削領域にスプレーするための水容器を開示している。
【0006】
第WO2003080290A1号(Collins/AP−Technoglass)は、冷却液を縁部処理ホイールに向かって概して方向付けるための単一のノズルを開示している。冷却液は更に、接触領域を潤滑する役割も果たす。縁部処理は、(a)ガラス枠を取り扱うときに怪我を生じさせ得る縁部の鋭利な部分(「ばり」)を除去する、(b)そうしなかった場合にガラス枠の粉砕を生じさせ得る縁部の微細な破砕を低減させる、及び(c)美的に好ましい製品を製作する、といった3つの利点を有すると言われる。
【0007】
第JP2003266306A号、第WO2003076132A1号、及び第JP2010058265A号(Bando/Bando)は、第1及び第2の一連の孔を介して冷却液を供給するための容器を開示している。第1の一連の孔は、グレイジングが研削ホイールに接触する接触領域に隣接する領域において、冷却液をグレイジングに供給するために、グレイジングに対して垂直に配設される。第2の一連の孔は、冷却液を溝に供給するために、研削ホイールの外周の溝の平面に配設される。
【0008】
第US6196902号(Gazca−Ortiz/Vidrio)は、研削ホイールを有する、自動車用グレイジングの縁部を処理するための装置、及びホイールの両側に配置され、各々が複数の孔を有する2つのチューブを備える、冷却液体を分配するための手段を開示している。この孔は、冷却液流体をホイールの外周縁ならびに上面及び下面に向かって射出するためのものである。冷却液体は、好ましくは、スプレーまたは霧として射出される。スプレーは、水の流れによってガラスの縁部の上を運搬される研削由来の破片でガラスに傷が付くことを防止するので、スプレーは、水の流れに勝る改善であると言われる。
【0009】
対応する製品において上述した利点を達成するために、縁部処理のための代替の装置及び代替のプロセスに対する必要性が残されている。
【発明の概要】
【0010】
第1の態様からの本発明によれば、本明細書に添付される請求項1に記載された特徴を備える装置が提供される。
【0011】
本発明は、実質的に溝の中へ、溝の平面にない軌道上に方向付けられる冷却液の少なくとも2つのジェットを形成するように配設される、溝の平面の各側部の少なくとも1つに少なくとも2つのオリフィスを提供する。驚くべきことに、発明者らは、該配設によって、縁部処理のための装置のより長い使用可能時間がもたらされることを見出した。この配設はまた、グレイジングを製造するためのプロセスのより高い効率も生じさせ、また、処理された縁部を備えるグレイジング製品のより高い強度も生じさせる。
【0012】
発明者らは、全般に溝に沿った方向に、またはミストとして冷却液が噴射される従来技術による1つまたは2つのオリフィスを使用することは、接触領域からすべての破片を除去することができないことを見出した。接触領域に残っている破片は、更に小さい破砕を生じさせ、グレイジングの縁部強度を低減させると考えられる。低減した縁部強度は、硬化などの更なる処理中または使用中に、熱衝撃に関連する破損を生じさせる。驚くべきことに、発明者らは、本発明に従って、溝の平面にない2つのオリフィスを配設することが、グレイジング縁部において、従来技術よりも少ない破砕を生じさせることを見出した。
【0013】
好都合な一実施形態では、少なくとも2つのオリフィスが、冷却液のジェットを実質的に接触領域の中へ方向付けるように配設され、接触領域の中への冷却液の改善された浸透を提供するので、小さい破砕がほぼ完全に排除される。したがって、従来技術と比較して、グレイジングの使用中の不具合が大幅に低減される。
【0014】
好ましくは、溝及びグレイジングは、接触領域を画定するように配設され、冷却液の第1及び第2のジェットは、実質的に接触領域に方向付けられる。
【0015】
発明者らは、本発明に従って、溝の平面にない、特定の範囲の該平面に対する角度に、少なくとも2つのオリフィスを配設することで、低減された縁部処理ホイールの摩耗をもたらすことを見出した。比較的限られた量の冷却液の微細なスプレーが溝に沿って接線方向に噴射される従来技術よりもホイールの交換が必要になる頻度が少なくなるので、したがって、装置の使用可能時間が増加する。溝に沿って冷却液を噴射することによって、従来技術は、接触領域のすべての接触面を潤滑することができないと考えられる。
【0016】
好ましくは、本装置は、冷却液の第1の一連のジェットを形成するように溝の平面の第1の側部に配設される第1の一連のオリフィスを備え、また、冷却液の第2の一連のジェットを形成するように溝の平面の第2の側部に配設される第2の一連のオリフィスを備え、該ジェットは、実質的に溝の中へ、溝の平面にない軌道上に方向付けられる。
【0017】
好ましくは、本装置は、溝の平面の第1及び第2の側部に配設される、冷却液を収容するための、及び冷却液をオリフィスに供給するための、第1及び第2の容器を更に備える。
【0018】
好ましくは、フィスト及び第2の容器は、ホイールの外周の半分以下、より好ましくは、ホイールの外周の4分の1以下に対して平行に延在する。これらの実施形態は、第1の容器だけを有する既存の機械に第2の容器をより容易に適合させるのに好都合である。また、オリフィスの洗浄などのメンテナンスのための休止時間も低減される。
【0019】
好ましくは、第1及び第2の容器は、第1の容器から第2の容器へ冷却液を供給するのに適した少なくとも1つの導管によって接続され、単一の入口を備え、オリフィスを除いていかなる出口も備えないアセンブリを形成する。導管は、実質的に等しい圧力で第1及び第2の組のオリフィスに冷却液を提供し、したがって、異なる直径の研削ホイールに対してより一様な冷却を提供する。本発明の利点は、ホイールの直径とは関係なく、装置が研削ホイールを冷却し、かつ潤滑することである。摩耗したホイールを、より大きい直径を有する新しいホイールと交換するときに、オペレータは、最適な冷却液の流れのために装置を調整する必要がないので、従来技術と比較してセットアップ時間が低減される。
【0020】
好ましくは、オリフィスは、溝の平面に対して5度〜45度、より好ましくは、10度〜20度の範囲で配設される。
【0021】
好ましくは、オリフィス直径は、1mm〜5mmの範囲である。これらの実施形態は、溝の最適な潤滑のために、実質的に溝の中へ、直線状の軌道上に方向付けられる冷却液のジェットを形成する。
【0022】
好ましくは、グレイジングは、2mm〜6mmの範囲の厚さを有する自動車用グレイジングである。発明者らは、本発明に従って配設された冷却液の少なくとも2つのジェットによって、研削プロセス中に研削ホイールからのより良好な熱の除去がもたらされること、及び該厚さの範囲の自動車用グレイジングの表面からのより良好な破片の除去がもたらされることを見出した。従来技術よりも高い品質のガラス縁部が達成される。
【0023】
第2の態様からの本発明によれば、本明細書に添付される請求項10に記載された工程を含む、グレイジングを製造するためのプロセスが提供される。
【0024】
驚くべきことに、発明者らは、本発明によるグレイジングを製造するためのプロセスが、従来技術よりも短いサイクルタイムを有することを見出した。発明者らは、冷却液の冷却効果が従来技術よりも大きいので、研削をより速く行うことができることを見出した。
【0025】
好ましくは、本プロセスは、溝及びグレイジングを、接触領域を画定するように配設する工程を更に含み、冷却液の少なくとも2つのジェットが、実質的に接触領域の中へ方向付けられる。
【0026】
好ましくは、本プロセスは、
− 冷却液の第1の一連のジェットを形成するように、溝の平面の第1の側部に第1の一連のオリフィスを配設する工程と、
− 冷却液の第2の一連のジェットを形成するように、溝の平面の第2の側部に第2の一連のオリフィスを配設する工程と、を更に含み、
− 該ジェットが、実質的に溝の中へ、溝の平面にない軌道上に方向付けられる。
【0027】
好ましくは、本プロセスは、
−冷却液を収容するための、及び冷却液をオリフィスに供給するための第1及び第2の容器を、溝の平面の第1及び第2の側部に配設する工程と、
−第1の容器から第2の容器へ冷却液を供給するのに適した、第1及び第2の容器を接続する少なくとも1つの導管を提供し、単一の入口を備え、オリフィスを除いていかなる出口も備えないアセンブリを形成する工程と、を更に含む。
【0028】
好ましくは、本プロセスは、オリフィスを、溝の平面に対して5度〜45度、より好ましくは、10度〜20度の範囲で配設する工程を更に含む。
【0029】
好ましくは、本プロセスは、オリフィス直径が、1mm〜5mmの範囲であることを更に特徴とする。
【0030】
好ましくは、本プロセスは、グレイジングが、2mm〜6mmの範囲の厚さを有する、積層された、またはモノリシックの自動車用グレイジングであることを更に特徴とする。
【0031】
第3の態様からの本発明によれば、本明細書に添付される請求項15に記載された特徴を備えるグレイジングが提供される。
【0032】
V字形状の縁部は、面取りされた縁部としても知られている。U字形状、C字形状、及びV字形状はまた、非対称である縁部も含むことが理解される。
【0033】
驚くべきことに、発明者らは、本発明のグレイジングが、従来技術のグレイジングと比較して、高品質の縁部の平滑性を有することを見出した。したがって、縁部強度がより高く、グレイジングは、硬化などの更なる処理における、または使用中の熱衝撃によって破損しない。
【0034】
以下、本発明は、添付図面を参照しながら、非限定的な実施例を用いて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】ホイールの回転軸を含む平面において本発明による装置及びグレイジングを断面で示す図である。
【
図2】溝の平面において本発明による装置及びグレイジングを示し、接触領域を画定する溝及びグレイジングを示す図である。
【
図3】第1の一連のオリフィス及び冷却液の第1の一連のジェットを有する、本発明による装置及びグレイジングを示す図である。
【
図4】第2の一連のオリフィス及び冷却液の第2の一連のジェットを有する、本発明による装置及びグレイジングを示す図である。
【
図5】ホイールの回転軸を含む平面において本発明による装置及びグレイジングを等角かつ断面で示す図である。
【
図6】本発明による、各々が一連のオリフィスを備え、導管によって接続された、冷却液を収容するための第1及び第2の容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、特に自動車用ウインドスクリーンに関して本明細書で説明されるが、他の車両用グレイジング、例えばリアウインドウまたはサイドウインドウへの応用例を有することが理解されるであろう。
【0037】
図1は、グレイジング10の縁部を研削するための装置1を示す。装置は、軸2を中心に回転するホイール20を備える。ホイールの外周の溝30は、回転軸2に対して垂直な平面3にある。第1のオリフィス41及び第2のオリフィス51は、冷却液の第1のジェット61及び第2のジェット71を溝30の中へ方向付けるように配設される。
【0038】
一実施形態において、第1のオリフィス41及び第2のオリフィス51は、冷却液を射出するために、溝の平面3の第1及び第2の側部に配設される。第1及び第2のオリフィスは、実質的に溝30の中へ、溝の平面3にない第1及び第2の軌道上に方向付けられるジェット61、71を形成するように配設される。
【0039】
図2は、好都合な一実施形態を示し、図において、溝30は、グレイジング10に接触して接触領域31を画定し、少なくとも1つのオリフィス41は、破片の除去を改善するために、及び更なる冷却のために、冷却液の少なくとも1つのジェット61を溝30の中へ方向付けるように配設される。
【0040】
図3は、好都合な一実施形態を示し、図において、第1の一連のオリフィス41、42、43、44は、冷却液の第1の一連のジェット61、62、63、64を形成するように溝の平面3の第1の側部に配設される。
【0041】
図4は、冷却液の第2の一連のジェット71、72、73、74を形成するように溝の平面3の第2の側部に配設される第2の一連のオリフィス51、52、53、54を示す。
【0042】
図5は、グレイジング10の縁部を研削するための装置1の断面を示す。第1の容器4及び第2の容器5は、冷却液を収容するための、及び冷却液をオリフィスに供給するために提供され、該容器は、溝の平面3の第1及び第2の側部に配設される。第1の容器4及び第2の容器5は、ホイール20の外周の半分以下、より好ましくは、外周の4分の1以下に対して平行して延在する。
【0043】
図6は、好都合な一実施形態を示し、図において、第1の容器4及び第2の容器5は、第1の容器4から第2の容器5へ冷却液を供給するのに適した少なくとも1つの導管6によって接続され、単一の入口40を備え、オリフィスを除いていかなる出口も備えないアセンブリを形成する。
【0044】
好都合には、本発明による2つの一連のオリフィスを有するアセンブリは、第1の容器及び第1の一連のオリフィスだけを有する従来技術の装置に組み込むことができる。第1の容器4及び第2の容器5の両端部での圧力を等しくするように、2つの導管6を提供することができる。
【0045】
本発明の実施例
溝を備える研削ホイールを有し、溝の平面の第1及び第2の側部に配設される第1及び第2の一連のオリフィスを更に備える装置によって、本発明によるグレイジングを作製した。オリフィスは、実質的に溝の中へ、溝の平面にない軌道上に方向付けられる、冷却液の第1及び第2の一連のジェットを形成するように配設した。
【0046】
発明者らは、溝の平面に対して5度〜45度の範囲で、一連の軌道上に冷却液のジェットを形成するようにオリフィスが配設された場合に、ホイールの良好な冷却及び溝の洗浄が達成されることを見出した。最適な洗浄は、10度〜20度の範囲で達成された。
【0047】
最適なオリフィス直径は、1mm〜5mmの範囲である。オリフィスは、冷却液容器の壁の孔とすることができ、またはノズルとすることができ、これは、オリフィスの洗浄をより容易にすることを可能にするために回して外すことができる。
【0048】
比較実施例では、2mm〜6mmの範囲の厚さを有する自動車用グレイジングの縁部を、上で説明した装置に類似するが一連のオリフィスを1つだけ有する装置に導入した。本発明による装置及びプロセスによって製造される自動車用グレイジングは、比較実施例よりも鋭利な部分が少なく、小さい破片が少ないことが見出された。縁部強度は、従来技術よりも高く、よって、製造中のグレイジングの破損がより少なく、したがって、プロセスの歩留まりがより高かった。