(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
釣りリールに関する従来技術としては、韓国実用新案登録第20−0174209号(登録日:1999年12月27日)の「スプール着脱機構を有するベイトキャスティングリール」がある。この登録考案は、スプールを挿着させることが可能なベイトキャスティングリールのスプール着脱機構に関するもので、リールフレームは、開口部の内周面に所定数の係合切欠部と係合突出部を備え、係合突出部の下方にはその係合突出部から半径方向に延びる係合部が設けられる。スプール着脱機構は、リールフレームに結合するカバーと、前記カバーに固定されてスプールに回転抵抗力を印加するドラッグ手段とを備え、前記カバーは、リールフレームの係合切欠部に挿入されて係合突出部まで回転してそれと結合する環状係合エッジを備え、カバーの一部と接触して回転を防止するために、リールフレームの開口部に隣接してロック部材が配置された構造が提示されている。
【0003】
また、韓国特許登録第10−0687898号(2007年2月21日)の「両ベアリングリールのリール本体」があるが、この登録特許は、リール本体、特に釣り竿に装着され、ハンドルの回転に連動して回転するスプールに釣り糸を巻き取る両ベアリングリールのリール本体に関するもので、側板と側カバーによって、偏心しながら外周円が交差する二つの円筒部が構成されている。これらのうち、外側に突出した第2円筒部から突出部を構成することにより、突出部を設けて回転効率を向上させても外周面の切削加工が容易になると同時に、二つの円筒部によって違和感が発生し難くなる。このため、突出部を有する両ベアリングリールのリール本体において、外観の意匠性及び装飾性の向上を図ることができる構造が提示されている。
【0004】
さらに、韓国特許登録第10−1188291号(登録日:2012年9月27日)の「デュアルベアリングリールのリール本体」があるが、この登録特許は、リール本体、特に、ハンドルが一側面に配置され、内部にスプールが配置されたデュアルベアリングリールのリール本体に関するもので、第2側部カバーを開閉する開閉機構の操作部が第2側板から内側に露出しているので、第2側部カバーを簡単に開閉することができ、また、リール本体を取ったとき、手のひらに当接することなく第2側部カバーを開閉操作することができ、また、リール全体を小型化しつつ、リール外観の美観を向上させることができ、また、第2側部カバーが第2側板に開閉可能なデュアルベアリングリールにおいて、第2側部カバーの他端側が第2側板に接近するように傾斜して軸部材に装着されているので、第2側板と第2側部との間に隙間が生じないようにする構造を提示している。
【0005】
また、韓国特許登録第10−1019509号(登録日:2011年2月25日)の「スプール駆動用ダイヤルを備えたベイトリール」があるが、この登録特許は、釣りを行う過程でスプールの回転を調節して釣り糸が巻き取られる動作を調節する、スプール駆動用ダイヤルを備えたベイトリールを提供し、このスプール駆動用ダイヤルを備えたベイトリールは、ハンドル軸とギアの組み合わせによって接続されるスプール駆動用ダイヤルが備えられ、操作者によって手動でスプールの正回転が微調整できるようにし、ベイトリールのスプールに巻き取られた釣り糸がスムーズで安定的に巻き取られたり繰り出されたりするようにベイトリールに備えられるガイド台によってスプール駆動用ダイヤルがハンドル軸と接続されるようにして、スプール駆動用ダイヤルが追加されてもリールの構成が単純となるようにし、ハンドルの反対側に位置したサイドカバーにスプール駆動用ダイヤルが着脱固定されてスプール駆動用ダイヤルの交換及びメンテナンスが容易に行われるようにする技術を提示している。
【0006】
しかし、これらの従来の文献には、大きさ、特に外径の互いに異なる異種スプールを汎用的に収容することが可能なフレームまたはサイドカバーに関連する技術を提示していないので、本発明とは無関係な技術に該当する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、ラインが巻き取られるスプールボディの両端の大径部の大きさが互いに異なる異種スプールをすべて汎用的(universal)に収容することができるように、フレームボディのスプール用第3装着部が、スプールボディの両大径部の外周面を離間して取り囲むボディサラウンダー(surrounder)を備え、このボディサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つ中間材フレームボディを構成して、多品種少量生産構造に能動的に対応し、生産収量に応じて生産量及び在庫量をフレキシブルに調節することができるようにして、生産管理の効率性を向上させ、かつコスト削減効果を得ることができるようにした、ユニバーサル釣りリールを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記フレームボディのユニバーサルボディサラウンダーと共にまたは別個に、ギア(gear)側の第1サイドカバーまたはパーム(palm)側の第2サイドカバーが、スプールボディの両端の大径部の外周面を離間して取り囲むカバーサラウンダー(surrounder)を有し、このカバーサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つ中間材第1サイドカバーまたは第2サイドカバーを構成する、ユニバーサル釣りリールを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、外径の互いに異なるスプールを汎用的に収容することが可能な中間材フレームボディを備えるボディサラウンダーまたは中間材サイドカバーを備えるカバーサラウンダーの一部または全部は、内側から外側へ行くほど変形する形態であって漸増型内径構造を持つため、さらに大きい大径部を有する異種スプールのための追加加工を必要とする場合でも加工容易性及び寸法精度を確保するようにした、ユニバーサル釣りリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係るユニバーサル釣りリールは
第1装着部、第2装着部及び第3装着部を含むフレームボディと、
前記フレームボディの第1装着部に結合され、第1軸設部を有するギア側の第1サイドカバーと、
前記フレームボディの第2装着部に結合され、第2軸設部を有するパーム側の第2サイドカバーと、
前記第1軸設部及び第2軸設部のそれぞれに両端が結合されるシャフト、及び該シャフトに結合され、前記フレームボディの第3装着部に位置するスプールボディを含むスプールと、を含んでなり、
前記スプールボディは、中央の凹入した小径部と、該小径部から両端に行くほど外径が増加してなす両端部の大径部とを有し、
前記フレームボディの第3装着部は、スプールボディの両大径部の外周面を所定の遊隙を維持した状態で収容するボディサラウンダー(surrounder)を有し、
大径部の大きさが互いに異なる異種スプールの汎用的(universal)収容のために、このボディサラウンダーのいずれか一つまたは二つは、収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持って中間材フレームボディを構成することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係るユニバーサル釣りリールは
第1装着部、第2装着部及び第3装着部を含むフレームボディと、
前記フレームボディの第1装着部に結合され、第1軸設部を有するギア側の第1サイドカバーと、
前記フレームボディの第2装着部に結合され、第2軸設部を有するパーム側の第2サイドカバーと、
前記第1軸設部及び第2軸設部のそれぞれに両端が結合されるシャフト、及び該シャフトに結合され、前記フレームボディの第3装着部に位置するスプールボディを含むスプールと、を含んでなり、
前記スプールボディは、中央の凹入した小径部と、該小径部から両端に行くほど外径が増加してなす両端部の大径部とを有し、
第1サイドカバーもしくは第2サイドカバーまたはこれらの両方は、それぞれの第1軸設部及び第2軸設部の外郭にスプールボディの両大径部の外周面を所定の遊隙を維持した状態で収容するカバーサラウンダー(surrounder)を有し、
大径部の大きさが互いに異なる異種スプールの汎用的(universal)収容のために、このカバーサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持って中間材第1サイドカバーまたは第2サイドカバーを構成することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るユニバーサル釣りリールは
前記フレームボディの第3装着部のボディサラウンダーのいずれか一つもしくは二つ、または第1または第2サイドカバーのカバーサラウンダーは、断面形状が内側から外側に行くほど変形する形態であって漸増型内径構造を有することが好ましく、
これと共に、バックラッシュ防止のためにスプールと第2サイドカバーにそれぞれ配列されるブレーキ手段のブレーキングパワー発生地点の半径がさらに拡大するように、前記フレームボディの第3装着部の内径漸増型ボディサラウンダーは、第2サイドカバー側に隣接して位置し、この内径漸増型ボディサラウンダーは、断面形状が内側突出部と外側凹入部を有し、第2サイドカバーの挿入部は、前記凹入部に配列されることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るユニバーサル釣りリールは、
収容対象の異種スプールの一側の最も小さい大径部に相応する内径を持つ中間材フレームボディのボディサラウンダーと共に、他側の最も小さい大径部に相応する中間材第1サイドカバーまたは第2サイドカバーのカバーサラウンダーを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るユニバーサル釣りリールは、ラインが巻き取られるスプールボディの両端の大径部の大きさが互いに異なる異種スプールをすべて汎用的(universal)に収容することができるように、
フレームボディのスプール用第3装着部が、
スプールボディの両大径部の外周面を離間して取り囲むボディサラウンダー(surrounder)を備え、
このボディサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つ中間材フレームボディを構成する、または、
前記フレームボディのボディサラウンダーと共にまたは別個に、
ギア(gear)側の第1サイドカバーまたはパーム(palm)側の第2サイドカバーが、スプールボディの両端の大径部の外周面を離間して取り囲むカバーサラウンダー(surrounder)をし、
このカバーサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つ中間材第1サイドカバーまたは第2サイドカバーを構成することにより、
多品種少量生産構造に能動的に対応し、生産収量に応じて生産量及び在庫量をフレキシブルに調節することができるようにして、生産管理の効率性を向上させかつコスト削減効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明に係るユニバーサル釣りリールは、
外径の互いに異なるスプールを汎用的に収容することが可能な中間材フレームボディを備えるボディサラウンダーまたは中間材サイドカバーを備えるカバーサラウンダーの一部または全部は、内側から外側へ行くほど変形する形態であって漸増型内径構造を持つため、
大きさがさらに大きい大径部を有する異種スプールのための追加加工を必要とする場合でも加工容易性及び寸法精度を確保することができ、これと共に、内径漸増型ボディサラウンダーの凹入部に第2サイドカバーの挿入部が配列されるようにしてバックラッシュ防止のためにスプールと第2サイドカバーにそれぞれ配列されるブレーキ手段のブレーキングパワー発生地点の半径をさらに拡大することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明を詳細に説明する。
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を持つことができるもので、その実施態様(態様、aspect)(または実施形態)をここに詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物または代替物を含むものと理解されなければならない。
【0019】
各図面において、同一の参照符号、特に十の桁及び一の桁、または十の桁、一の桁及びアルファベットが同じ参照符号は同一または類似の機能を持つ部材を示し、特に言及がない場合、図面の各参照符号が指す部材はこのような基準に準ずる部材と把握すればよい。
また、各図面において、構成要素は、理解の便宜などのために、大きさや厚さを誇張して大きく(もしくは厚く)または小さく(もしくは薄く)表現しているか単純化して表現しているが、これによって本発明の保護範囲が制限されるものと解釈されてはならない。
【0020】
本明細書で使用する用語は、特定の実施態様(態様、aspect)(または実施形態)を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとするものではない。単数の表現は文脈上特に明記しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「からなる」などの用語は、明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらの組み合わせなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0021】
特に他に定義しない限り、技術用語や科学用語を含みここで使われるすべての用語は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を持っている。一般的に使われる辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上で持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されなければならず、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的な意味または過度に形式的な意味に解釈されない。
本明細書において、公知の機能及び構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に不明確にするおそれがあると判断された場合、そのついての説明は省略することができる。
本明細書において記載した「第1」、「第2」などは、互いに異なる構成要素を区分するためのものに過ぎず、製造された順序に拘らないものであり、発明の詳細な説明と請求の範囲においてその名称が一致しないこともある。
【0022】
本発明の
図1〜
図3はいずれも、「X」軸を中心に、右側は異種スプールのうち最も小さい大径部を有するスプールの収容のためのフレームボディまたはサイドカバーを示す構造のものであり、左側は異種スプールのうち相対的に大きい大径部を有するスプールの収容のためのフレームボディまたはサイドカバーを示すものである。便宜上、互いに異なる釣りリールを一つの図面に示したのである。
図1〜
図3は、二つの異種スプールのための釣りリールを示すものであるが、必要に応じて、中間材フレームボディのボディサラウンダーまたは中間材サイドカバーのカバーサラウンダーの内径加工の程度によって2〜6種、好ましくは2〜4種の互いに異なる大きさ(特に、大径部の大きさ)を有するスプールを収容するユニバーサル釣りリールを構成することができる。
本明細書において、各図面における上下左右の区分は図示されたそのままの状態を基準に記述する。
【0023】
まず、
図1に示すように、本発明に係るユニバーサル(universal)釣りリールRは、
フレームボディ10と、
このフレームボディの第1装着部11A及び第2装着部11Bのそれぞれに結合されるギア(gear)側の第1サイドカバー20及びパーム(palm)側の第2サイドカバー30と、
第1及び第2サイドカバーの各第1軸設部21及び第2軸設部31のそれぞれに両端が結合されるシャフト41、及びこのシャフトに結合され、前記フレームボディ10の第3装着部11Cに位置するスプールボディ43を含むスプール40と、を含んでなる。
その他、ギアサイド(gear side)カバー、すなわち第1サイドカバー20には、スプールと連動するようにハンドルHが貫設され、
また、魚が釣り針をくわえたまま逃げる場合、釣り糸がスプールから繰り出される速度を制動して釣り糸を保護するようにドラッグパワーを調節するスタードラッグナットと、スプールの回転速度を調節してキャスティング距離を調節するようにフレームボディの一側に配列されたテンションナットとが備えられている(以上、参照符号で指示されていない)。ちなみに、本明細書において、「サイドカバー」という構成要素は、第1サイドカバー及び第2サイドカバーを共通に指し示す場合に使用される。
【0024】
本発明に係るユニバーサル(universal)釣りリールRの核心は、外径、特にラインが巻き取られるスプールボディ43における中央の凹入した小径部43C、及びこの小径部から両端に行くほど外径が増加してなす両端部の大径部43A、43Bで、この大径部の外径が互いに異なる2種以上のスプール、好ましくは2〜6種のスプール、より好ましくは2〜4種のスプールを、汎用的(universal)に収容することが可能なユニバーサル釣りリールを提供することにある。
図1は、スプールボディ43の両端の大径部43A、43Bの大きさが互いに異なる異種スプールをすべて汎用的(universal)に収容することができるよう、フレームボディのスプール用第3装着部がスプールボディの両大径部の外周面を離間して取り囲むボディサラウンダー(surrounder)を備え、このボディサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部を有するスプール(
図1における「X」軸の右側)に相応する内径を持つモデルを示している。
【0025】
これに比べて、
図2及び
図3は、スプールボディ43の両端の大径部43A、43Bの大きさが互いに異なる異種スプールをすべて汎用的(universal)に収容することができるように、サイドカバー20、30、特にパーム(palm)側の第2サイドカバー30がスプールボディのいずれかの大径部の外周面を離間して取り囲むカバーサラウンダー(surrounder)を備え、このカバーサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部を有するスプール(
図2及び
図3それぞれにおいて、「X」軸の右側)に相応する内径を持つモデルを示している。
【0026】
必要に応じて、このようなカバーサラウンダー(surrounder)は、第1及び第2サイドカバーの両方に備えられるか、またはいずれか一方のサイドカバーにのみ備えられるか、またはフレームボディのボディサラウンダーとサイドカバーのカバーサラウンダーがスプールボディの各大径部のために導入され得る。
【0027】
また、このようなボディサラウンダーを備えたフレームボディとカバーサラウンダーを備えたサイドカバーは、大径部の外径が互いに異なる2以上の異種スプール、好ましくは2〜6種の異種スプール、より好ましくは2〜4種の異種スプールに相応する内径を持つように設計してユニバーサル釣りリールを製造するにあたり、
ダイカストまたは射出によって最初に成形されるときには、フレームボディとサイドカバーを、装着対象の異種スプールのうち最も小さい大径部を有するスプールの大径部に相応するボディサラウンダー及びカバーサラウンダーを持つように成形し、
これにより、フレームボディとサイドカバーは、中間材及び完成材の性質を両方とも有し、(本明細書及び請求の範囲では、ユニバーサル釣りリールの特徴と異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つフレームボディまたはサイドカバーの特性を考慮して、「中間材」フレームボディ及び「中間材」サイドカバーと呼ぶ。)
相対的にさらに大きい大径部を有するスプールを装着する場合には、ボディサラウンダーとカバーサラウンダーを追加加工して内径を対象スプールの大径部の外径に合わせて大きく加工する方式で対処する。
【0028】
請求の範囲及び明細書において、「…に収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持って中間材…」は、上述した意味を縮約して表現したものである。このような本発明のユニバーサル釣りリールの導入趣旨は、様々な釣りパターンの需要に対する消費者のニーズ(needs)を満たすためである。
【0029】
異種スプールの外径の選択の際に、スプールの外径、特に大径部の外径(大径部の大きさの変化は全体的なスプールの大きさ及び形状の変化を意味する)が大きいほどキャスティング距離は増え、これに比べて相対的に釣りリールが大きくなって操作性が複雑になる可能性があるものであって、調和に合った適切な設計・生産及び消費者の購買選択が求められる。
スプールの大きさ(大径部の大きさ)が変化すると、フレームボディ、サイドカバー、クラッチバー(clutch bar)なども変化するが、これは基本的にスプールの大きさの変化がフレームボディ及びサイドカバーの変更(ボディサラウンダー及びカバーサラウンダーの大きさ変更)に帰結するためである。
【0030】
従来は、スプールの大きさが変わると、釣りリールの全般的な部品大きさが変化するので、結果として、多品種少量生産の際に部品による過度な金型の保有、物流倉庫の大型化、物流管理の複雑化を引き起こし、
生産量の増減に伴って生産ラインの稼働率にもバラツキが発生し、納期に間に合わせるのに困難があるうえ、全体的な生産コストの増加及び生産効率性の低下の主な原因の一つになったが、このような従来の問題を本発明のユニバーサル釣りリールによって根本的に解決することができる。
【0031】
具体的には、
図1の実施態様は、前述したように、フレームボディ10のボディサラウンダーに関連するものであって、
本ユニバーサル釣りリールRは、第1装着部11A、第2装着部11B及び第3装着部11Cを含むフレームボディ10と、
前記フレームボディの第1装着部11Aに結合され、第1軸設部21を有するギア(gear)側の第1サイドカバー20と、
前記フレームボディの第2装着部11Bに結合され、第2軸設部31を有するパーム(palm)側の第2サイドカバー30と、
前記第1軸設部21及び第2軸設部31のそれぞれに両端が結合されるシャフト41、及びこのシャフトに結合され、前記フレームボディの第3装着部11Cに位置するスプールボディ43を含むスプール40と、を含んでなる。
【0032】
また、前記スプール40のスプールボディ43は、中央の凹入した小径部43cと、この小径部から両端に行くほど外径が増加してなす両端部の大径部とを有する。
図1においては、「X」軸の右側には、大径部43a、43bが相対的に小さいスプール40aを示しており、「X」軸の左側には、大径部43A、43Bが相対的に大きいスプール40Aを示しているが、
図2及び
図3においてもこれと同様の形態で図示している。
【0033】
図示された2種の異種スプール40a、40A(必要に応じて、2〜6種またはそれ以上、または2〜4種のスプールのための構造の導入が可能)のうち、相対的に小さい大径部を有するスプールの大径部の外径に相応するボディサラウンダー13a、13bに合わせて、フレームボディ10を成形して、これを(最初の)中間材フレームボディとし、
相対的にさらに大きい大径部を有するスプールに合ったフレームボディを必要とする場合は、この中間材フレームボディのボディサラウンダーを切削などにより追加加工して、相対的にさらに大きい内径を持つボディサラウンダー13A、13Bを製造する。
【0034】
結局、設計の際に、装着対象の異種スプールのうち、最も小さい大径部を有するスプールに応じてボディサラウンダーを、ダイカスト、射出、切削などにより製造する。このような意味を、本明細書及び請求の範囲では、「…ボディサラウンダーのいずれか一つまたは二つは、収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持って中間材のフレームボディを構成する…」というふうに記述し、スプールの「最も小さい大径部」という単語を使って本発明のユニバーサル釣りリールの特徴を明示している。
【0035】
サイドカバーと関連するスプールの大径部のためのカバーサラウンダーについての記載においても、「…カバーサラウンダーが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持って中間材第1サイドカバーまたは第2サイドカバーを構成する…」と記述して、同様に、スプールの「最も小さい大径部」という単語を使って本発明のユニバーサル釣りリールの特徴を明示している。
また、スプール40の回転のために、前記フレームボディ10の第3装着部11Cのボディサラウンダー(surrounder)13a、13b、13A、13Bは、スプールボディ43の両大径部43a、43b、43A、43Bの外周面と、所定の遊隙Gを維持した状態で収容され、
大径部の大きさが互いに異なる異種スプール40の汎用的(universal)収容のために、このボディサラウンダーのいずれか一つまたは二つは、収容対象の異種スプールの最も小さい大径部に相応する内径を持つように、中間材フレームボディを構成する。
【0036】
また、前記フレームボディ10の第3装着部11Cのボディサラウンダーのいずれか一つまたは二つが、断面形状が内側から外側に行くほど変形する形態であって(内周面の形状が変化する)漸増型内径構造を持つことにより、さらに大きい大径部を有する異種スプールの装着のために追加加工を必要とする場合でも加工容易性及び寸法精度を確保することができる。
図1では、「X」軸右側の相対的に小さい大径部43a、43b、すなわち、収容対象の異種スプールのうち、最も小さい大径部を有するスプール40aのためのフレームボディ10のボディサラウンダーのうち、第2サイドカバー30側のボディサラウンダー13bが漸増型内径構造を有する。
また、「X」軸左側の相対的に大きい大径部43Bを有するスプール40Aのためのフレームボディ10のボディサラウンダーのうち、第2サイドカバー30側のボディサラウンダー13Bは、大きいスプールの大径部43Bに合わせて右側ボディサラウンダー13bを追加加工(切削など)して内径を拡張した形態である(
図1〜
図3では、ボディサラウンダーまたはカバーサラウンダーと関連して、大きさの異なるスプールの大径部に相応するように加工した前後の構造を「X」軸を中心に右左にそれぞれ示しながら、内径の大きさに応じて変化する部分を破線で表示している)。
【0037】
次に、
図1において、フレームボディ10のボディサラウンダーのうち、第1サイドカバー20側のボディサラウンダーについて述べる。
「X」軸右側の相対的に小さい大径部43a、すなわち、収容対象の異種スプールのうち最も小さい大径部を有するスプール40aのためのフレームボディ10のボディサラウンダーのうち、第1サイドカバー20側のボディサラウンダー13aは、内径が同じ構造であり、漸増型内径構造の下側のボディサラウンダー13bと対比される。
「X」軸左側の相対的に大きい大径部43Bを有するスプール40Aのためのフレームボディ10のボディサラウンダーのうち、第1サイドカバー20側のボディサラウンダー13Aは、大きいスプールの大径部43Aに合わせて右側ボディサラウンダー13aを追加加工(切削など)して内径を拡張した形態であり、
図1により確認することができる。必要に応じて、第1サイドカバー20側のボディサラウンダーも漸増型内径構造を取ることができる。
【0038】
図2では、第1サイドカバー20側のボディサラウンダー13a、13Aは
図1と同様の形態であるが、
第2サイドカバー30が、第2軸設部31の外郭にスプールボディの両大径部の外周面を、所定の遊隙gを維持した状態で収容するカバーサラウンダー(surrounder)33aを有し、
大径部の大きさが互いに異なる異種スプールの汎用的(universal)収容のために、このカバーサラウンダー33aが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部43bに相応する内径を持って中間材第2サイドカバーを構成する。
必要に応じて、第1サイドカバー20もスプールの大径部を取り囲むカバーサラウンダーを持つように構成することができる。
【0039】
図2では、「X」軸右側の相対的に小さい大径部43a、43b、すなわち、収容対象の異種スプールのうち、最も小さい大径部を有するスプール40aのための第2サイドカバー30のカバーサラウンダー33aが大径部43bと遊隙gを置いた状態で備えられ、カバーサラウンダー33aの外郭にフレームボディ10のボディサラウンダー13cが備えられた構造である。
【0040】
また、
図2において、「X」軸左側の相対的に大きい大径部43Bを有するスプール40Aのための第2サイドカバー30のカバーサラウンダーが、大径部43Bと遊隙(特に、図面を基準に上下遊隙(シャフト41配列方向の遊隙)を置いた構造である)を置いた状態で備えられている。この場合、第2サイドカバー30は、カバーサラウンダー33aの部位を追加加工(切削など)したものであるか、必要に応じて他の第2サイドカバーを採用することができる。
図2において、「X」軸左側は、フレームボディ10のボディサラウンダー13Cがスプール40Aの大径部43Bと「左右」遊隙(前述した「上下」遊隙と対比して称したもので、スプールの大径部の円筒外周との遊隙である)を置いた状態で結合される構造を取っている。
【0041】
図3では、第1サイドカバー20側のボディサラウンダー13a、13Aは
図1及び
図2と同様の形態であるが、
第2サイドカバー30が、第2軸設部31の外郭にスプールボディの両大径部の外周面を所定の遊隙gを維持した状態で収容するカバーサラウンダー(surrounder)33aを有し、
大径部の大きさが異なる異種スプールの汎用的(universal)収容のために、このカバーサラウンダー33aが収容対象の異種スプールの最も小さい大径部43bに相応する内径を持つように中間材第2サイドカバーを構成する。
つまり、「X」軸右側は、
図2と同様に、このカバーサラウンダー33aの外郭にフレームボディ10のボディサラウンダー13cが備えられた構造である。
【0042】
これに比べ、
図3における「X」軸左側は、右側第2サイドカバー30においてカバーサラウンダー33aを部分的に追加加工(切削など)したものであり、「X」軸左側では、第2サイドカバー30のカバーサラウンダー33Aがスプール40Aの相対的に大きい大径部43Bを左右遊隙(大径部の外周面側の遊隙)を置いた状態で収容し、「X」軸左側では、右側と同様に、カバーサラウンダー33Aの外郭にフレームボディ10の第3装着部のボディサラウンダー13Cが備えられた構造である。必要に応じて、第1サイドカバー20にも、
図3の第2サイドカバー30のようなカバーサラウンダーを有する構造とすることができる。
ボディサラウンダーまたはカバーサラウンダーとスプールの大径部との間の遊隙は、スプールに巻かれるラインの外径以下であることが好ましい。
【0043】
次に、
図4に基づき、本発明に係るユニバーサル(universal)釣りリールRについて、
図1のボディサラウンダーにおける「フレームボディの第3装着部のボディサラウンダーのいずれか一つまたは二つは、断面形状が内側から外側に行くほど変形する形態であって漸増型内径構造」を有する構成をさらに進めて、バックラッシュ防止のためのブレーキ手段のブレーキングパワー発生地点の半径を拡大する構成について説明する。
【0044】
通常、釣りリール(またはベイトリール)を用いた釣りにおいて、キャスティングの際に餌の付いた釣り針が投擲完了した状態でも、釣り糸が巻かれたスプールは慣性によって回転し続けるので、釣り糸がオーバーラップしたりもつれてしまったりするバックラッシュ(backlash)状況が発生するが、バックラッシュ防止のための方案としては、第一に、遠心力を利用してブレーキシューの摩擦を起こしてスプールに制動を与える方式があり、第二に、磁力を利用してスプールに制動力を加える方式がある。
本発明では、前記フレーム本体10の第3装着部11Cの内径漸増型ボディサラウンダー13bが第2サイドカバー30側に隣接して位置し、
この内径漸増型ボディサラウンダー13bは、断面形状が内側突出部13pと外側凹入部13rを有し、
第2サイドカバー30の挿入部30i(円筒形状)を、前記凹入部13rに配列することにより、出来る限りさらに大きい外径の挿入部の導入を可能にすることができる。
【0045】
第2サイドカバー30の挿入部30iにより、バックラッシュ防止のために、スプール40と第2サイドカバー30にそれぞれ配列されるブレーキ手段(摩擦制動型または磁力制動型)のブレーキングパワー発生地点の半径がさらに拡大するようにすることができる。
図4の上部の一点鎖線円内は、摩擦制動型ブレーキ手段のうち、第2サイドカバー30に配列されるブレーキパッドbpを中心に図示しており、
図4の下部の一点鎖線円内は、磁力制動型ブレーキ手段のうち、第2サイドカバー30に配列されるマグネットbmを中心に図示している。(スプール(特に大径部の外側)に配置されるブレーキシューは単純化して図示している。)
【0046】
上部の一点鎖線円内で、第2サイドカバー30の挿入部30iが内径漸増型ボディサラウンダー13bの凹入部13rに挿入される場合は、そうでない場合よりも相対的に大きい直径を有する挿入部30iの実現が可能であり、これにより、ブレーキ手段の導入面積の大きさに差が発生する。すなわち、太線で現出した凹入部13r(
図4中の太い破線で表されている台形の領域)の有無によって、
相対的にさらに大きい(太い一点鎖線で現出)もしくは相対的にさらに小さい(太い実線で現出)ブレーキパッドbpの導入が可能となる(上部の一点鎖線円内)、または
相対的にさらに外郭に配列された(太い一点鎖線で現出)もしくは相対的にさらに内側の位置に配列された(太い実線で現出)マグネットbmの導入が可能となって(下部の一点鎖線円内)、
ブレーキ手段(摩擦制動型または磁力制動型)のブレーキングパワー発生地点の半径に大小の差が発生し、それ分だけブレーキングパワーの強弱に差が発生する。すなわち、本発明に係るユニバーサル(universal)釣りリールRは、内径漸増型ボディサラウンダー13bの凹入部13rを介してさらに強力なブレーキングパワーを実現したブレーキ手段の導入が可能となる。
【0047】
以上で本発明に係るユニバーサル釣りリールを採用する場合、異種スプールの汎用的収容を可能にするフレームボディにボディサラウンダーまたはサイドカバーのカバーサラウンダーの導入、またはこれらの両方の導入によってスプールの外径、特に大径部の外径の差による金型数及び部品数を最小化することができるため、金型製作費の節約と部品数の最小化が可能であってコスト削減が可能であり、生産管理の効率性が向上し、様々な外径のスプールを生産してもコスト削減が可能であり、その分だけ購買力の向上及び需要の増大が可能である。
【0048】
以上の説明で釣りリール、フレームボディ、製造方法、モデル別のさまざまな大きさ及びデザイン、3種以上のスプール及びボディサラウンダーとカバーサラウンダーなどに関連した通常の公知の技術は省略されているが、当業者であれば容易にこれを推測及び推論し、再現することができる。
【0049】
また、以上で本発明を説明するにあたり、添付図面を参照して、特定の形状と構造を持つリールを中心に説明したが、本発明は、当業者によって様々な修正、変更及び置換が可能であり、それらの修正、変更及び置換も本発明の保護範囲に属するものと解釈されるべきである。